■ホームとアウェーと(その2)

 前回述べたアウェーを戦う時の注意点をふまえ、このまえの北朝鮮戦から日本代表の戦術における改善ポイントを見てみます。 

3次予選の最初の試合からずっとそうなのですが、日本は「相手を圧倒しなければいけない」という思いが強すぎるせいか、相手ボールになってもチーム陣形がタテにもヨコにも間延びしたままで、攻から守へのトランジション(切り替え)がにぶく、ホームを戦う北朝鮮の攻勢に防戦一方となってしまいます。

5-3-2の北朝鮮は、フィジカルが強い2トップにロングボールを当てて日本が広く空けてしまったバイタルエリアで基点をつくったり、ウイングバックが両サイドいっぱいに開いてそこでロングパスを受けて、サイドからのクロスを2トップのヘッドに合わせる形から、再三シュートチャンスをつくりました。(下図)


悪い形
(クリックで拡大)


日本は陣形が間延びしすぎていて、特にセンターバックの前のバイタルエリア(1)やサイドバックとセンターバックの間のスペース(2)を広く空けてしまい、1人1人が担当すべきスペースが広くなりすぎてこぼれ球が拾えず、反撃の糸口さえつかめませんでした。

北朝鮮の5-3-2と日本の4-2-3-1、(特にダブルボランチが)タテに間延びしているため日本の4バックの前に北朝鮮の選手が最大6人いる、4対6の大変危険な形になっています。

ベンチのホワイトボード上の計算ではマッチアップ的にかみあっているはずなのに、ピッチ内の陣形が間延びしているために4対6の数的不利を自らつくってしまっているわけです。

これでは相手に押しこまれっぱなしになるのも当り前です。

 もし相手に押し込まれる時間帯になっても冷静に、4-2-3-1の両サイドハーフ(この試合では左・岡崎、右・清武)がダブルボランチの横まで下がって4-4の守備ブロックをつくり、コンパクトさを維持したまま相手のボールホルダーに適度にプレスをかけます。(下図参照)

コンパクトなブロック


油断はできませんけど、少なくとも今のアジアでコンパクトな守備ブロックを組織的なショートパスで崩せるだけの実力をもった国は、日本以外ほとんど見当たらないのではないでしょうか。

 この試合のように相手がFWにロングボールを当ててきて、たとえバイタルエリアに落とされたとしても、両ボランチがバイタルエリア(図の網かけの部分)を狭く(CBとの距離を10m以内に)保っておけば、落とされたボールをボランチなりが拾って反撃につなげやすくなります。

相手が左右に開いたウイングバックにパスを展開してサイド攻撃してきても、コンパクトさを維持したまま守備ブロック全体がボールサイドへと移動します。

守る選手どうしの距離が近ければプレス&カバーもしやすいですし、サイドからのクロス攻撃もはね返しやすくなります。

こちらの4バックが横へスライドすることで、相手の2トップのうちどちらかをこちらのSBがみなければならなくなることを嫌がる監督さんもいるかもしれません。

その場合は、ボールサイドへスライドするのはSBだけにして、2枚のCBは相手の2トップをケアしながらゴール前中央にいて、SBとCBの間のスペースはボランチがカバーすれば良いでしょう。(下図)


カバー


私はどちらかというとスライド派です。サイドバックはまず守備が本業でそれプラス攻撃力があれば良いという考え方をとります。

ミスマッチになってしまい相手センターフォワードを1対1で抑えられないほど守備力の弱いSBは、たとえ攻撃力が高くても私は起用できないですね。 

 2番目の図のように陣形をコンパクトにしておけば、マッチアップ上も数的不利におちいることはありません。

ボールを奪い返したら冷静にテンポ良くパスを回し、こちらのSHが北朝鮮のウイングバックの後ろのスペースを使って攻めることで反撃の糸口がつかめたでしょうし、相手のサイド攻撃を封じることにもつながります。

ロングボール攻撃以外では相手によるゴール正面からのミドルシュートが要警戒ですが、その場合でもボランチがバイタルエリアをコンパクトに保つことがまず重要になってきます。

 最後に問題になるのが、自分のゴール前での1対1に競り負けてヘディングからゴールを食らうことですが、こればっかりはチーム戦術ではどうしようもありません。

1対1に強い選手を地道に育成していくほかないでしょう。

その意味で、センターバックとは「敵が組み立てる攻撃を破壊する専門職」だと思いますし、やはり攻撃力があっても守備の弱いサイドバックは私の好みではありません。

ユーロ2008の決勝戦、ドイツの左サイドバックだったラームがスペインのFWフェルナンド・トーレスにたった一瞬だけ1対1に敗れて失点、それがドイツが優勝を逃す決勝点となってしまいました。

現代サッカーでは、サイドバックでも相手センターフォワードに負けないだけの守備能力が求められていると思います。

 というわけで2回にわたり、こちらに不利とされるアウェーゲームを戦う上での注意点について見てきました。

問題なのは、相手に押しこまれる時間帯をつくられることではなくて、押しこまれたことそれ自体に焦ってしまい、もう試合に負けたような気分のまま失点してしまうことです。

サッカーはやるべきことをちゃんとやっていれば、そう簡単に失点することのないスポーツですし、失点しなければ少なくともその試合に負けることはありません。

したたかに、神経を図太くして、相手が攻める時間帯はしっかりとコンパクトな守備ブロックをつくって失点を防ぎ、反撃のチャンスを見逃さずにゴールをあげ、再び攻められたら守備ブロックをつくって相手の攻撃を封じこめる。

予選が始まる前に「3次予選失点ゼロを目標に」と言ったのですが、こういうサッカーができていたら失点0でいけたのではないでしょうか。

W杯アジア最終予選では日本代表に、もっとしたたかなサッカーを見せて欲しいと思います。




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