■日本代表、アウェーでも大勝(その2)

 前回にひきつづきタジキスタン戦の試合内容を分析します。

今日は守備面を。

結果としては無失点だったものの、数字には表れない課題が残りました。

1対1の対応はできていましたが、トランジション(攻守の切り替え)が良くありません。
相手が格下だったせいか、特に攻→守のトランジションが緩慢でした。

チーム全体が前掛かりになり、しかもDFラインからトップまで間延びしすぎていて、相手ボールになったとき日本のセンターバックの前・いいかえればボランチの後ろに危険なスペースが広く空いていました。

このあたりはザッケローニ監督が指摘していた通りです。

岡田ジャパンが南アフリカW杯直前に、セルビアや韓国など2トップのシステムを組む相手に大敗を繰り返していたのは、相手の2トップがロングボールを受けて日本のセンターバックの前に広く空いたスペースへ落とし、それを相手の2列目などに拾われて何度も危険なカウンターを浴びていたからです。(下図)

トランジション
(クリックで拡大)

この試合でもタジキスタン(4-1-3-2フォーメーション)の狙いは、ロングパスを2トップがジャンプしながらトラップして味方に落とし、3人に増やした2列目の選手がそれを拾って日本のバイタルエリアで基点をつくるというものでした。

幸いタジキスタンの2トップの能力がそれほどなかったので事無きを得ましたが、アジア最終予選で当たるような能力の高いFWがいる相手だと狙ったところにボールを落とされ、広く空けてしまった日本のバイタルエリアでボールを持った敵選手にフリーで前を向かれて失点なんてことになりかねません。

こうした問題は、アウェーのウズベキスタン戦(1-1)において相手の攻撃に押された原因でもあったわけですが、それからあまり改善されていませんね。

現代サッカーの組織戦術では、攻撃の時には広がっても守備の時にはタテにもヨコにもコンパクトな布陣に戻るという、すばやいトランジションがとても重要です。

長谷部・遠藤の両ボランチは攻撃では良かったのですが守備の時やや戻りが緩慢で、そのため相手ボールになった時、センターバックの前のスペースが広く空いてしまいました。

チーム全体が前掛かっている時に後ろへ戻るのはきついかもしれませんが、日本のセンターバックの前・いいかえればボランチの後ろのスペースをしっかりとケアして欲しいです。

2人のボランチがセンターバックと適切な距離(10m以下)をとってバイタルエリアを狭めておけば、もし相手FWにボールを落とされてもこちらのボランチが先に拾ってクリアできる確率が高くなりますし、それなら相手の攻撃も大して怖くはありません。

この試合、4バックがヨコにも間延びしていたのでそれも要改善点。(下図)


スカスカ


4バックはペナルティエリアの幅より広がらずスライドして守るのがセオリー。こういうことはピッチの良し悪しに関係なく常にやらなければいけないお約束です。(下図)


スライド

 守備では少し課題が残りましたが、攻守全体では試合内容は良かったと思います。


        ☆        ☆        ☆


 選手個々で特筆すべきは、まず機を見ての攻め上がりから先制ゴールをあげた今野選手が良かったですね。
あのゴールでチーム全体に落ち着きを与えました。ただ守備面では前述のような課題が残ります。

2ゴールの岡崎選手もゴールへの意識の高さがとても良いです。

前田選手も久しぶりのゴールでしたが、ドリブルで相手選手をほんろうして自分でシュートコースをつくってからの一撃はストライカーらしいです。

香川選手もクラブでの好調さを代表に持ちこみ、多くのチャンスメークで貢献。ゴールがあればベストでした。

この試合ややボールの持ちすぎで、パスしようか一瞬迷ってシュートに切り変えた時にはもう相手にコースを消されていたというシーンが何度かありました。

まずシュート・ゴールが第一選択肢で、それがどうしてもできない時にパスを選んでも遅くはないと思います。

 逆に内田選手は足の状態がまだ万全ではないのかピッチが荒れていたせいかクロスの質が悪かったです。

ハーフナー選手も、サイドから良いクロスが入ってこなかったので彼のヘッドが生かせずかわいそうでしたが、荒れたピッチのせいで足元のボールコントロールにも、てこずっていたようでした。


        ☆        ☆        ☆


 アウェーの厳しいコンディションに日本代表の選手たちはたくましく適応して、4-0で大勝という結果は素晴らしかったですし、自分たちのサッカー哲学を自信をもって貫き試合内容も良かったです。

なおウズベキスタンが北朝鮮に勝利したため、2試合を残した段階で日本代表の最終予選進出が決定しました。
これも素晴らしいです。

残り2試合をどう使うかは監督さんの判断となりますし、若手選手に経験を積ませるための「捨てゲーム」にすることもできますが、最終予選の組み合わせのことも考えるとW杯予選のような公式戦では下手な試合はできないのではないでしょうか。

最終予選は、2010年W杯の結果によって第一シードを決めるべき(つまり決勝Tに進出した日本がシード)だと私は思いますし、日本サッカー協会(JFA)にもアジアサッカー連盟(AFC)でちゃんと自己主張して欲しいのですが、確か3次予選はFIFAランクで上位から順番に第一シード枠が割り振られたはずです。

単なる親善マッチより公式戦であるW杯予選はFIFAランクに影響するポイントが大きかったように記憶しているのですが、もしこの後FIFAランクが低い北朝鮮に負けて日本がアジア3位以下に下がってしまうと、AFCが「最終予選の第一シードはランキング上位2チームとする」と決定した場合とても困ることになります。

ですから、消化試合とは言っても3次予選の残り2試合も下手な試合はできないと思うのですが、ザッケローニ監督をはじめJFAとしてはそのあたり、どう判断するでしょうか。


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  2011.11.11 
  ツェントラルニィ・レスパブリカンスキ・スタディオン
                     (ドゥシャンベ)

     タジキスタン  0 - 4  日本

                   今野 '36
                   岡崎 '61
                   前田 '82
                   岡崎 '90+


    GK トゥイチェフ       GK 川島

    DF F.バシエフ       DF 内田
       サバンクロフ       (伊野波 89)
       エルガシェフ        今野
       ラジャボフ         吉田
                       駒野
    MF ダブロノフ
       ジャリロフ       MF 長谷部
      (ファトフロエフ 57)     遠藤
       ラビモフ           岡崎
      (サディコフ 69)       中村
       D.バシエフ         (清武 87)
                       香川
    FW マフムドフ       
       サイドフ        FW ハーフナー
      (ハムロクロフ 67)     (前田 56)




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