■もったいないテストマッチの使い方

 ベトナム代表とのテストマッチが神戸で行われ、日本代表が1-0で勝ちました。

対戦相手のベトナムは、自国リーグでプレーする選手で組まれたチーム。ホームでもアウェーでも日本が勝利できるぐらいの実力差があると見ていました。

ベトナムの足元の技術やフィジカル・組織力を踏まえれば、特に日本のホームでは4点以上はとって大差の勝ちが求められましたが、1-0という結果は物足りないものがあります。

試合内容も良くありませんでした。

試合の経過をおさらいしましょう。

       ☆       ☆       ☆

日本代表は3-4-3でキックオフ。

実力差で勝る日本がボールを支配しますが、なかなかシュートまで持っていけません。

20分、藤本のパスをウラへ抜け出した香川が受けたもののトラップが乱れ、うまくヒットしなかったシュートは相手にクリアされます。

24分、中盤で長谷部がボールを奪い、カウンターからゴール前右サイドにいた藤本へパス、これを中央へ折り返し最後は李が決めて日本先制。

先制はしたものの3-4-3の攻撃が機能せず、その後も質の高いシュートチャンスがほとんどつくれません。

 後半はメンバーを入れ替え、4-2-3-1でスタート。

3分、バックラインでボールを持ちすぎた今野が相手にかっさらわれレ・コン・ビンがシュート、これは西川が何とかCKへ逃れます。

続くCKも、ゴール前で今野が相手マークをずらしてしまいフリーでヘディングシュートを打たれますが、西川がファインセーブ!

この試合、緊張感に欠ける日本代表を象徴するようなプレー。

6分、ベトナムゴール前でのFK。槙野がキックするも相手GKがキャッチ。

出だしは良かったものの、この後じょじょに日本の攻撃が機能しなくなり、ボールは支配すれども質の高いシュートチャンスがつくれない時間が続きます。

43分、DFのクリアボールに反応して裏へ抜け出した李を相手選手が倒して退場。続くFKを藤本が蹴りますが、ゴール左へ外れます。

この後たいしたチャンスもなく試合終了。

シュートチャンスに乏しくほとんど見所の無い、退屈な試合となりました。

       ☆       ☆       ☆

 試合内容を分析する前に。

まず今回のテストマッチの位置付けですが、本田選手の負傷欠場で4-2-3-1のトップ下にふさわしい代役がまだ見つかっていない、というのが現在の状況です。

であるならば、香川選手でも中村選手でも良いので4-2-3-1のトップ下で試してみて、そのポジションにふさわしい代役をまず見つけ、相手から2・3点取って攻撃が機能することを実戦で確認して欲しかったと、個人的には思います。

それから3-4-3を試しても決して遅くはありません。

しかし、経験の少ない控え組中心でいきなり3-4-3をやって、かなり力の劣る相手なのにやっぱり攻撃は機能しないし、また4-2-3-1のトップ下に誰を入れるべきか答えを見つけられませんでした。

ザッケローニ監督は「出場機会の少ない選手に経験を積ませるための捨てゲーム」と考えたのかもしれませんが、たとえそうだったとしても、もったいないテストマッチの使い方だったと思います。

出場した選手も自信をつけられたか疑問でした。

       ☆       ☆       ☆

 それではまず攻撃から試合を分析しましょう。

日本代表がうまく行かない時は、だいたい「陣形の間延び」か「ボールの持ちすぎ」のどちらかなのですが、この試合日本の攻撃が機能しなかった最大の原因は後者です。

「どのタイミングでどういうプレーを選択するか」という選手個々の状況判断が悪いから、と言いかえることもできます。

これは埼玉での北朝鮮戦からずっと改善していません。

中盤では、次にどういうプレーを選択するかの判断が遅すぎで、日本の選手がボールを持ってどこにパスを出すか迷っている間に味方にみんなマークがついてしまい、わざわざ自分からパスが通りにくい状況にしてから、通るかどうかイチかバチかの難しいパスを出しては相手に奪われるという悪循環。

そうではなくて、自分より相手ゴールに近い味方がフリーでいたら、パスを通しやすい最初のタイミングで味方が受けやすいパスをオートマチックにはたき、自分は次のフリースペースへ動くという風に、シンプルでリズミカルなプレーを心がけなくては攻撃は機能しません。

アタッキングサードに入ってからもボールの持ちすぎで、シュートの意識が低すぎるのが問題。

これも北朝鮮戦から改善しませんね。

ペナルティエリアの中に入っても、まだ「完璧にパスで相手を崩してやろう」ということにこだわっていて、シュートが少なすぎて日本の攻撃にダイナミックさがありません。

ミドルサードで相手がコンパクトなブロックをつくっていて時間もスペースもないのですから、ショートパスをシンプルにつないでそこを突破し、アタッキングサードにおいてフリーでボールを持って前を向くというシーンを数多くつくることを心がける。

アタッキングサードでフリーで前を向いたら、良い体勢でシュートが打てると思った最初のチャンスを逃さず打つ。

自分の前にゴールマウスと相手GKしかいなかったら、迷わずシュートを狙うべきです。
どうしてもシュートが打てないときに初めてパスという選択を考えるべき。

バイタルエリアでワンフェイントいれて相手CBを振り、シュートコースをつくって相手の前から打っても良いですし、ミドルシュートでも良いでしょう。

札幌での韓国戦とこの試合の違いは、中盤でのボール持ちすぎとシュート意識の低さです。

サッカーは、アバウトなロングボールをひたすら放りこむような雑すぎる攻撃でもいけませんし、逆に選手がボールを大事にしすぎて、なかなか放さないのも良くありません。

その両極端の間に、理想の攻撃があるのです。

現代戦術
(クリックで拡大)


■リスクマネジメントの仕方
優先順位


中盤でオートマチックにリズム良くパスを回してチームを前進させ、アタッキングサードに入ったら必ずシュートで終わる、そういうトレーニングに今は時間を割くべきでしょう。

 守備でも、今野選手のプレーが象徴的ですが、相手をナメて余裕を持ちすぎたのか最終ラインでボールを持ちすぎて相手FWに奪われるという致命的ミス。

フィフティ・フィフティのボールの競り合いもルーズで、選手ひとりひとりに相手とファイトする姿勢があまりうかがえませんでした。

       ☆       ☆       ☆

 選手個々で特筆すべきは、李選手のゴールはとても良かったのですが、パスをもらってもヒールパスしたりまたいだりと、FWとしてシュート意識の低いプレーが多いのが気になります。

藤本選手も良い突破から好アシストでしたが、総じて次のプレーへの判断が遅く、無駄な横パス・バックパスが多いです。

西川選手は少ない守備機会ながら好セーブ連発が好評価。

 逆に、今野選手は前述の致命的なイージーミスにゴール前でのマークのズレと、欧州4大リーグのクラブであれば、次の試合レギュラーポジションがなくなっているような、たるんだプレーぶり。

駒野選手は動きにキレがなく、クロスも精度に欠けました。

香川選手も次のプレーをどうするかの決断が遅く自信なさげで、ひとつひとつのプレーが雑です。

香川選手が調子を落とすときは、まずトラップやドリブルといったシュートの1つ前のプレーが雑になっていき、自分の思ったところにボールを置けないのでシュートも不正確になりゴールが決まらない、ゴールが決まらないことに焦ってそこばかりに注意がいってしまい、さらにシュートの1つ前のプレーが雑になっていくというパターンのような気がします。

さんざん迷って選んだプレーが好結果につながるということはサッカーではまずありません。
なぜならサッカーにおいて「時間は常に守備側に味方する」からです。

ですから次のプレーへの決断を速くして、トラップなりドリブルなりパスなりシュートの1つ前のプレーを正確に心がけるところから始めたらどうでしょうか。

 この試合、レギュラーポジションを取れていない選手が数多く起用されましたが、先発で見てみたいと思わせるような選手はいませんでした。

そもそも多くの選手から、全力を出しきってポジションを奪い取ってやるというハングリーさが感じられません。

何を勘違いしたのか「相手が格下だから7割の力で流しても勝てるよ」といったプレーぶりでした。

相手がスペインだろうとブータンだろうと、日本代表選手には常に100%のプレーを私は求めたい。

そしてスペインに1-0で勝つのとブータンに1-0で勝つのでは、同じ結果でも意味がまったく違います。

       ☆       ☆       ☆

 今年最後のテストマッチは、試合結果も残念でしたし内容も良くはありませんでした。

3-4-3を再び試しましたが、やはり機能しませんでしたね。

監督さんが3-4-3に思い入れがあるのは理解しますが、ゴールはともかく、「このフォーメーションならたくさんチャンスがつくれるんだ」というところをそろそろ実戦で証明してもらわないと、見ている方はキツイです。

日本より力の劣るベトナム相手で使っても機能しないのに、「W杯本大会でいずれ必要になる」と言われても説得力がありません。

日本のサッカーは攻撃的MFに良い選手が多い、というのがストロングポイントです。

それを考えると、トップ下を置かない3-4-3をわざわざ使うメリットが感じられません。

あるフォーメーションをやるために試合があるのではなくて、試合に勝つためにチームに最適なフォーメーションを選ぶのだということは確認しておきたいと思います。

 最後に、この試合に召集されたタイ人主審のレフェリングの質にも問題がありました。
君が代を独唱する歌手に払うギャラがあるなら欧州か南米から呼んでみてはどうでしょうか。

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       2011.10.7 ホームズスタジアム神戸

      日本  1  -  0  ベトナム

      李 '24


     GK 西川      GK ブイ・タン・チュオン

     DF 槙野      DF フイン・クアン・タイン
       (吉田 68)      チャン・チ・コン 
        今野         レ・フオック・トゥ
        伊野波        ドアン・ビエト・クオン
       (阿部 46)
                 MF グエン・ミン・チャウ
     MF 長友        (グエン・バン・クエット 78)
       (栗原 46)      グエン・コン・フイ
        細貝         グエン・チョン・ホアン
        長谷部       (グエン・アイン・トゥアン 88)
       (中村 46)      レ・タン・タイ
        駒野        (グエン・ゴック・タイン 59)
                    ファム・タイン・ルオン
     FW 香川        (ホアン・ディン・トゥン 67)
       (原口 46)
        李       FW レ・コン・ビン
        藤本        (グエン・クアン・ハイ 81)





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■コメント

■ [あ]

アタッキングサードetc‥の捉え方が少し古いですね。もうタテぽんサッカーの時代ではないので

もしかしたら年が近いのかも知れませんね(笑)

■Re: もったいないテストマッチの使い方 [めにぃ]

槙野がひどかったです。

3バックという事を考えると不用意に上がりすぎて今野一人が孤立。


格下意識が一番あった選手だと思いました。



今回の試合は、彼が象徴的な印象でした


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