■ひいた相手の崩し方

 まず初めに。

コメント欄にこのブログがわかりやすいと書きこんでくださった方がいて、サッカーブロガーの一人としてとても嬉しいです。

本当はもっとわかりやすく論点をしぼって書きたいのですが、時間上アップできる記事の数がかぎられているので、どうしても一つの記事に多くのことを盛りこまないといけない状況になっていて、そこは歯がゆいところです。

今後も「的確な分析をわかりやすく」を目標に、ブログを更新していけたらと考えています。

        ☆        ☆        ☆

 さて埼スタでの北朝鮮戦では、相手に自陣にひかれて日本代表はなかなかゴールすることができませんでした。

こういうことは今に始まったことではありませんし、北朝鮮戦の内容は悲観するほどのものでもありませんでしたが、日本の攻め方に改善すべき点があるのも事実です。

今日はお約束どおり、ひかれた相手の崩し方について短期集中講座を開催します。

 まず下図をご覧下さい(クリックで拡大 以下同様)


ベタひき



ひかれた相手を崩すのがなぜ難しいかと言えば、攻める側にとってフリーでプレーできるスペースが少なくなるからです。

戦術を理解し実行する能力で劣るチームでもひくことによって、強豪チームがレベルの高いプレスをかけて相手が使えるスペースを少なくするのと同様の効果をあげることができます。

相手がひくと、まず裏のスペースが狭くなります。

最近ではコンパクトな陣形をとるチームが増えていますので、そういうチームではバックラインの後ろのみならず、前にもスペースが少なくなっています。

こういう戦術を取るチームから点を取るのは簡単ではありません。

 ひいた相手に対して避けるべきは、前線へロングボールを放りこんで、ひたすら相手のDFラインのウラを狙うプレーをやってしまうこと。

ひいたチームのウラは始めから狭くなっていて、ロングをウラへ放りこんでもGKにキャッチされる確率が非常に高くなります。

また、攻撃側のFWが得点を焦って早い段階から前へ前へと行くと相手DFもウラを警戒してラインを下げ、ただでさえ狭いウラのスペースがなおさら狭くなってしまいます。

パスを出す方も受ける方も「ウラへ抜け出すプレー」を好む選手が多かったため、過去の日本代表はこうしたパターンの攻撃を繰り返し、ひかれた相手に苦戦する例が多かったですね。

 それでは、ひいたチームに弱点は無いのかというとちゃんとあります。

上図のように、いくらベタびきしてもサイドのスペースは埋めきれません。

また、ひくことによってオフサイドラインが下がり、攻撃側がクロスをあげるポイントを自軍ゴールに近づけてしまうという問題もあります。

クロスは距離が短いほど正確になりますし、守備側もマークのズレを修正する時間がなくなってしまいます。

ですから、ひいた相手を崩すには“飛び道具”が有効と言えます。

つまり、相手のDFラインより前でシンプルにパスを回してサイドからクロスをあげる、そしてフィニッシュは、相手選手に囲まれた狭いスペースからシュートできるヘディングが適しています。(ヘディングじゃなきゃ絶対ダメという意味ではありません)

先制点をあげてしまえば、負けられない相手は前へ出てこざるを得ません。そうすればスペースができて、こちらの攻めのバリエーションは増えるでしょう。

(逆にいえば、これまでアジアで「ベタびきにしてカウンター」という戦術が有効だったのは、精度の高い“飛び道具”を持つチームが無かったから。日本はこうしたレベルから早く抜け出すべきです)


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 まず中盤の組みたて方ですが、グラウンダーのショートパスを中心にしてシンプルにパスをつないで相手を前後・左右にゆさぶります。

パスを受けたらまずボールをキープして、ゆったりとドリブルしながら「どこへ出そうかな?」などとノンキなことをやっていると、パスを受ける味方がみんなマークされてしまって、ひいた相手を崩せません。

DFラインの前でパスをつながれると、相手はこちらのボール保持者に自由にやらせないようプレスをかけ、ラインを崩してでもバックラインを多少あげてきます。(ゾーンディフェンスの場合)

そこでタイミング良くサイドに展開して、できれば相手のバックが自軍ゴールに向かって走る形からアーリークロスをあげたいところ。

クロスをあげる地点は上図の黄色い円のエリアが距離的にも理想でしょう。

時にはサイドを深くえぐってからのクロスも効果的。

そしてクロスに合わせゴール前でフィニッシュ。

相手にはね返されても、あきらめずにボールを拾って外から中から、ヘッドにミドルシュートと手を変え品を変えやることで、いつかは相手も疲労して崩れるはずです。

 3次予選2試合の中盤の組みたてにおいて、各選手がボールを受ける時のボディシェイプが悪いのも気になります。

北朝鮮戦後に柏木選手が「相手に背を向けてボールを受けるのが怖かった」と言っていましたが、それはボールを受ける時のボディシェイプが悪いから。

相手ゴールに背を向けるのではなく、自分のヘソをボールが来る方向のタッチラインに向けて半身で受ければ、ゴール方向への視界が確保できるので恐怖感なく、そのまま前方へターンするかボールを相手からスクリーンして横あるいは後ろへパスするか、といった判断がしやすくなります。(下図)


ボディシェイプ


ボールを受ける前にフェイントを入れて、自分のマークをはがしてからパスを受けるのが理想的。
こういう細かいところでスペイン代表のような世界のトップレベルの強豪と差がついてきます。

反対にパスを受ける選手のボディシェイプが悪いとパスがスムーズにつながらず、苦しまぎれにロングを放りこんでGKにキャッチされるか、DFにヘッドではね返されるかして、やっぱり苦戦なんてことになりかねません。

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 フィニッシュに関して。

北朝鮮戦でもウズベキスタン戦でもそうなのですが、日本の選手はヘディングする場合ゴールに近すぎるという問題をかかえています。(下図)


近すぎる


極端な場合ゴールエリア内に何人もの選手がいてクロスが入ってくるのを待っており、2mぐらいクロスがずれると、もうヘディングシュートをあきらめて見送ってしまいます。

これではその場で垂直にジャンプするだけなので、いくら体をひねってもシュートの威力が低くなってしまいますし、クロスが少しズレただけでシュートチャンスを逃してしまいます。

クロスの落下点がゴールエリアに近いとGKにもキャッチされやすくなりますね。

FWはゴールに近づけば近づくほど良いというものではありません。

まず自分が走りこんでヘディングするスペースをつくることが重要です。

走りこみながらヘディングすれば自分の運動エネルギーがボールに乗って、シュートの破壊力が格段にアップします。

そうすればゴールから多少離れても、シュートは十分決められます。(下図の黄色で囲んだエリア)





クロスを入れる時も、立ち止まっている味方の頭へ合わせるよりも敵の選手と選手の間のスペースへ正確に落とす、あるいは中にいる味方と打ち合わせしておいて、中の選手が動いてつくったスペースに落とすべきでしょう。

 ゴール前への走りこみ方の基本は、一旦ファーサイドへ動きながらクロスに対して走り出すタイミングをできるだけ遅らせ、走り出したらクロスの軌道とGKの位置などを確認しつつスピードに乗ってボールにミートします。

その場で垂直にジャンプする場合は点でボールに合わせないといけませんが、こうすることでクロスの軌道に面で合わせられるのでクロスが多少ズレてもミートポイントを微調整することでシュートチャンスを多くつかむことができます。

またファーサイドへふくらんでから中へ走りこんでヘッドすることでシュートをコントロールしやすくなり、シュートの決定率も上がることでしょう。(下図)


飛び込み方基本


さらに一旦ファーサイドへ動くことで、自分にピッタリくっついているマーカーを引きはがしやすくなります。(下図)


飛び込み方1



1.マーカーがこちらを見ている時にファーサイドへ動き出す。はがされまいとマーカーはもちろんついてくる。

2.相手が自分から目を離してボールを見た瞬間に内側へターン。マーカーは自分とボールを同時には見られないのでマーカーの前を取れる。

3.GKの位置を確認しつつクロスの軌道に合わせて走りこみ確実にミート。ゴール!


次は、クラブワールドカップでガンバ大阪とマンチェスターUが対戦した時、C.ロナウドが使ったテクニック。(下図)


飛び込み方2


1.マーカーがこちらを見ている時に動き出す。マーカーもついてくる。

2.相手が自分から目を離した瞬間にその場でストップ!マーカーが知らずにそのまま前方へ走っていけば、自分の前にポッカリとスペースが。

3.クロスに合わせてゴール!


ヘディングシュートの威力や正確性をあげるためにも、マークを外し自分がシュートするスペースをつくり出すためにも、ゴールに近いところで垂直にジャンプするよりもタイミングを遅らせてゴール前へ走りこんだ方がベターです。

くりかえしますがFWはゴールに近いところにいれば良いというものではありません。

日本人選手はゴールを焦せり、我慢しきれずに早すぎるタイミングで必要以上にゴールへ近づきすぎる傾向があります。

ウズベキスタン戦で決めた岡崎選手のダイビングヘッドが良い例です。

それまでの2試合、彼はヘッドする時ゴールに近づきすぎていましたが、あのゴールだけはクロスに対して走りこむタイミングを遅らせたために、自分の前方に飛びこめるスペースが生まれたわけです。

決まれば良いのですが、それでもまだ若干ゴールに近いんですけどね。

 これは余談ですが、ここ2試合ゴールのニアへ向かってシュート性の低いボールを蹴り、GKの前を味方(吉田・長谷部)が横切るというプレーをやっていますね。

あれはGKの前を横切るプレーヤーがスルーではなく少し触ってコースを変えた方がGKが取りづらく、よりゴールになりやすいと思います。

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 というわけで、今回はひかれた相手を崩す定石としての“飛び道具”の使い方について述べました。

日本人選手は、足元の技術について言えば南米や欧州の選手にもだんだんと引けを取らなくなってきましたが、ヘディングやクロスの技術については、まだまだ差をつけられているように感じます。

そのあたりを改善できれば、相手にひかれてもそれほど苦にしなくなるでしょう。




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