■日本代表、最低限の勝ち点1(その1)

 昨夜アジア3次予選の第2戦、ウズベキスタン戦がタシケントで行われ、日本代表は1-1で引き分けました。

対戦相手のウズベキスタンは、ロシア・中東・韓国などでプレーする海外組に、国内でプレーする選手を合わせたチーム。

日本との実力差は、日本のホームで日本勝利、アウェーで引き分けぐらいと評価していました。
この試合1-1という結果は順当で日本は最低限のノルマは果たしましたが、試合内容は悪かったです。

内容が悪かったのは2つのミスが原因であり、それは

1.監督の采配ミス

2.選手が自分たちのサッカーを放棄してしまったこと

です。

まず試合展開を振り返ります。

        ☆        ☆        ☆

○試合展開

 立ち上がりはホームのウズベキスタンがやや押しぎみか。

前半8分、左サイドからゲインリフのクロスが内田に当たり、落ちてきたボールを今野が競ったこぼれ球を拾ったジェパロフがフリーでシュート。日本、絶対にやってはいけない先制点を与えてしまいます。

13分、左サイドへパスを展開してから駒野がクロス、李のヘディングシュートは相手GKがなんとかセーブ。

15分、相手の大きなサイドチェンジから右サイドのカルペンコがボレーキック。これが絶好のシュートになりますがGK川島がゴールからかき出します。

この試合ボランチに阿部、トップ下に長谷部を入れた布陣が攻守に機能せず、30分過ぎに阿部をアンカーにする4-1-4-1へシステム変更しますがあまり状況は改善しません。

45分、長谷部の浮き球のパスを受けた李が胸トラップからのシュート、これはゴールポストに阻まれます。

 後半から清武を投入し、再び4-2-3-1へ。これで日本のリズムが少し良くなります。

3分、駒野のクロスから香川がフリーでヘディングシュート、しかしバーの上を通過。

12分、右サイドから清武が中央の香川へ折り返し、シュートしますがやはり大きくふかしてしまいます。チーム全体が前半の悪いリズムをひきずっています。

17分、左サイドで基点をつくったアフメドフが内田の後ろに大きく空いたスペースへパス。カパーゼがこれを受けてGKと1対1になるも川島がファインセーブ!

決定機をしのいだ後の日本のチャンス。20分、長谷部が右へパスを展開して内田がクロス、岡崎のダイビングヘッドを相手GKが止めきれず、日本がようやく同点に追いつきます。

しかし前半の消耗が激しかったのか、日本の攻勢は続かず。

23分、中盤での不十分なクリアを相手に拾われ、そこからスルーパスを通されて最後はジェパロフが川島と1対1になりますが、川島がビッグセーブ連発!!

30分、遠藤・清武とつないで右サイドからクロス、ハーフナーがヘッドしますがGK正面。

日本は何とか逆転ゴールを狙いましたが、このままタイムアップ。両チームで勝ち点1を分け合いました。

        ☆        ☆        ☆

○試合内容の分析

 まずザッケローニ監督の采配から見ていきたいと思いますが、ホームのウズベキスタンが白の2ndユニホームで出てきたのもちょっと驚きましたが、もっと驚いたのは阿部選手がボランチで長谷部選手のトップ下起用という、ぶっつけ本番の新布陣でした。

北朝鮮戦の後半に清武選手が投入され、トップ下香川-右サイド清武-ボランチ長谷部のトライアングルができたことでパスがつながって攻撃が機能するようになり、あのロスタイムの決勝弾が生まれました。

それを踏まえれば、このウズベキスタン戦でも香川選手と清武選手を近づけて配置し、このトライアングルを崩さないようにした方が日本の攻撃が機能しやすくなると私は考えていました。

監督さんは守備を重視したいということであのような布陣にしたのかもしれませんが、今までどおり、守備の時は4-2-3-1の両サイドハーフがボランチの位置まで下がって4-4-1-1のコンパクトなブロックをつくればアウェーでも十分守れたと思います。

私は、上手くいっているチームをいじるのは好みません。

やはり長谷部選手のトップ下起用というザッケローニ監督の采配は慎重すぎて弱気だったと思いますし、機能せず失敗でした。

攻めが機能しないのでチームから良いリズムと自信が失われ、焦りと疲労からミスプレーが増加、悪いリズムは清武選手を投入して香川選手をトップ下に入れた後半まで尾を引いてしまいました。

これが試合内容が悪かった原因の一つ目です。

また、香川選手の左サイド起用というのも機能しませんね。

香川選手がドリブルしてもゴールから遠すぎて、相手にとって脅威になっていません。

ザッケローニ監督が香川選手の左サイド起用にこだわるのは、彼の姿をユベントスのアレッサンドロ・デルピエロと重ね合わせているからかもしれません。

私もかつては“ユベンティーノ”でしたからアレックスのプレーは数多く見てきましたし、ゴール前の左45°が“デルピエロゾーン”と呼ばれ、数々の芸術的ゴールを決めてきたのも知っています。

ですが、「香川選手はデルピエロとは違う個性を持つ選手なのだ」ということを理解してあげて欲しいです。

やはり香川選手はクラブでやっているようにトップ下で、センターバック直前のバイタルエリアでボールを持って前を向いたときに真価を発揮する選手だと思いますし、少なくとも本田選手が帰ってくるまではトップ下で勝負させて、ダメだったら別の対応を考えたら良いのではないでしょうか。

 試合内容が悪かった原因の2番目は、選手が自分たちのサッカーを放棄してしまったことです。

例えるなら、「お金が無くて苦しい人がコツコツと働きもせず、宝くじを買って人生の一発逆転をかける、そんなサッカーをやってしまいました。

この試合いつものようにショートパスで中盤を組みたてるのではなく、確率の低いミドルあるいはロングの浮き球のパスを多用する、単調で雑なサッカーをやってしまったことで攻撃が機能せず、試合の主導権を相手に奪われ、先制されてそれを追いかける苦しい試合になってしまいました。

遠藤選手は「パスを回せば崩せた相手だったと思います」とコメントしていましたが私もそう思います。(遠藤選手コメント)

最近「アジアでは相手を圧倒して勝ちたい」というコメントが選手たちから良く聞かれるようになりましたが、韓国とのテストマッチとは正反対の、攻撃の「引出し」の少ない単調で雑なサッカーではそれは無理です。

前線の李・岡崎両選手も、2人一緒にひたすら裏でボールを受けようとするアイデアに乏しいワンパターンの動き。

こういうサッカーをやってしまうと、バックからトップまで間延びしてしまい、選手一人一人の距離が離れすぎてしまいパスミスも多くなる。

パスは距離が長くなればなるほど出す方も受ける方もミスが多くなりますし、相手にも読まれてカットされやすい。

チームが間延びすると守備にも穴ができやすくなります。

試合後の会見でザッケローニ監督が、「選手どうしの距離感が悪く相手にスペースを与えすぎてしまった」と語っていたとおりです。

あれほど指摘しておいたのですが、関塚ジャパンがアウェーのクウェート戦で犯したミスをA代表も繰り返してしまいました。

U-22が負けてA代表が引き分けにできたのは、GKとセンターバックの質と経験の差でしょう。

長谷部キャプテンは前日の記者会見で「自分たちのサッカーを変わらずにピッチの上で表現したい」と言っていたのに、どうして単調で雑なサッカーをやってしまったのか?

それはマスコミ報道に選手たちが引きずられてしまったからではないでしょうか。

数日前から日本の報道陣がさかんに、「パフタコル競技場のピッチがひどくてパスがつなげない」と大騒ぎしていました。

駅のスタンドで売っているスポーツ紙に「日本代表、W杯予選大ピンチ」と書いてあったら、多くの人はつい買いたくなるでしょう。

マスコミは、やれ「日本と比べてピッチが荒れている」だの「ボールがJリーグで使っているのとは違う」(ドイツW杯予選、アウェーのシンガポール戦)だの言っては、「日本代表、W杯予選大ピンチ」と大騒ぎして危機感をあおります。

そうやって読者の不安をあおった方が新聞が売れるからです。

しかし私がTVで試合を見たかぎりでは、ボールがイレギュラーしてボコボコはねるシーンはほとんどありませんでしたし、ウズベキスタンは普通にショートパスで日本を崩して川島との1対1の決定機を何度もつくっていました。

ですからショートパスが回せないほどピッチが極端に悪かったとは思えません。芝も試合直前に短く刈り込まれたましたし。

一部の選手のコメントが示すように、日本のマスコミが「ピッチがひどくてパスがつなげない」と大騒ぎしたことで、監督や選手たちが「この試合はパスをつなぐのは無理」と思いこんでしまったのではないでしょうか。

それがミドルの浮き球パスばかりを使った単調で雑なサッカーをやってしまった理由だと思います。

遠藤選手が語ったように、パスを回せたし、そうすれば崩せた相手だったと試合後に気づいたと。

関塚ジャパンのクウェート戦もまったく同じでした。

「クウェートのスタジアムのピッチがひどい」というだいぶ前の古い情報があって、当日TVの解説者も「ピッチが悪いから今日はパスをつなぐのはあきらめ、大きく前へ蹴れ」と言っていました。

そしてあの敗戦。

試合後、関塚ジャパンの選手か監督から「ピッチは以前より改善されていた。つなごうと思えばつなげた」という声があったように記憶しています。

ショートパスをつなげないほどひどいピッチかどうかは、試合当日までの練習で確認できるはず。

自分たちが実際にボールを蹴ってみた感触だけを信じて欲しい。

そして日本代表の選手や監督は、マスコミやTV解説者の大騒ぎには一切耳を貸さないで欲しいと思います。

万が一、試合までにピッチ状態が確認できなかったら、試合開始後10分ぐらいパスを回してみれば無理かどうか判断できるでしょう。

昨日の試合は、日本代表の選手たちがマスコミの報道につられて「パスをつなぐのは無理」と始めから決めつけてしまったのは失敗でしたし、そのことで韓国戦で見せてくれたような自分たちの普段のサッカーを放棄して単調で雑なサッカーをやってしまった。

それが試合内容が悪かった原因の2つ目です。

攻撃が単調になって機能していないと感じたら、試合の途中から陣形をコンパクトにして普段通りのショートパスをつなぐ攻撃に転換するということを、監督に言われなくてもピッチ上の選手だけで判断して実行するという、大人のサッカーを見せて欲しかったですね。

そうした選手の成長も望まれます。

 これは余談ですけど、日本の選手は世界的に見てもサッカーをする環境がとても恵まれています。

南米やアフリカの貧しい国では、芝がはえたピッチなんてぜいたく品で、土ぼこりの舞うデコボコの空き地や道路で裸足でサッカーをやって、ボールがイレギュラーするのは当り前の環境から、すばらしいテクニシャンが何人も育ってきたわけです。

過去に日本が戦ったイエメンのサヌア、インドのバンガロールのスタジアムは本当にデコボコのピッチでしたけど、それが世界で戦うということの意味であり厳しさです。

埼玉が「上」サヌアが「下」だとすれば、パフタコルのピッチは「中」でした。

ピッチは良いに越したことはありませんが、日本のマスコミがあの程度で大騒ぎしているのを見ていると、とても「ひ弱」に感じます。

ボールがボコボコはねるような荒れたピッチでは4人のバックラインで横パスを回したり、DFからボランチの足元へパスをつけるのはなるべく避けなければなりませんが、日本代表の選手には多少ボールがイレギュラーするピッチでも、なんなくショートパスが回せるぐらいの技術とタフさを身につけて欲しいと個人的には思います。

記事が長くなりました。

攻撃・守備の具体的な分析は次回にします。

(続く)




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