■日本代表、韓国を3-0と圧勝も...

 札幌でW杯予選をひかえた最後のテストマッチが行われ、日本が3-0で韓国に勝利しました。

対戦相手の韓国は、ボルトンのイ・チョンヨンをケガで欠いていましたが、こちらもインテルミラノの長友選手を欠いていましたからお互いさま。「選手層の厚さ」も戦力のうちでしょう。

現時点では日本のホームで日本の勝利、アウェーで引き分けぐらいの実力差と評価していましたが、ホームで日本が3-0で勝利という結果は順当でしたし、良かったと思います。

天国にいる松田選手に捧げる勝利となりました。

それでは試合の流れを振り返りましょう。

 キックオフ後しばらくは互角の展開。

2分、本田からのパスを受けた岡崎がペナルティエリア(P.A.)に侵入してシュート、惜しくもゴールバーの上を通過します。

6分、日本の左サイドを突破したチャ・ドゥリからのクロスをイ・グノがゴール直前でフリーになりヘッド。シュートが不正確で助かりました。

21分、本田からパスを受けた香川が得意のバイタルエリアでのドリブルからシュート、これはGKがなんとかセーブ。

このシュートから流れは一気に日本へ傾きます。

25分過ぎから日本が怒涛の攻撃、CKの連続からシュートを雨あられと降らせます。

待望の日本の先制点は35分でした。
遠藤のパスをP.A.の中で受けた李がヒールパス、これを香川が拾って相手DFをかわしてゴール!

その後は早く追いつきたい韓国に反撃されますが守備ブロックをつくってそれをいなし、日本優勢のまま前半を終えます。

 後半は序盤から日本の攻撃力が爆発。

1分の本田のFKから始まり、3分清武のパスを李がスルーして香川がシュートするも相手選手がスライディングで防ぎます。

そして8分、駒野が左サイドを突破してそのままシュート、GKがセーブしたボールを拾った清武が中央へ折り返し、これを本田が決めて2-0。

10分、香川からのパスを受けた清武がまたしても右サイドから絶妙の折り返し。これを香川がゴールに冷静に流し込んで3-0とします。

3-0となったことで日本代表は緊張の糸がプッツリと切れ、「今日はもう勝ち」という油断したムードがただよいます。

余裕を持ちすぎたパス回しからイージーなミスを連発して、韓国のカウンターをくらいました。

26分、28分とキム・シンウクに連続でシュートを打たれ、31分にはク・ジャチョルに決定的な場面をつくられます。

35分にもキム・シンウクに危険なシュートを打たれますが、相手のシュート技術の低さやGK川島のファインセーブに救われました。

そしてタイムアップ。日本代表が3-0で韓国を下しました。

 それでは試合内容を見て行きましょう。まず攻撃から。

攻撃についてはとても良かったと思います。

中盤における攻撃の組み立ても素早く的確な判断でパスが良く回り、アタッキングサードに侵入する回数を多くつくることができました。

アタッキングサードに入ってからは、外からでも中央からでもチャンスメークできるアイデア豊富で多彩な攻撃。

本田選手がサイドに流れ、逆にゴール前中央に香川選手が入っていき、これに清武選手がからんで上手く攻撃が機能していました。

香川・本田両選手の連携もアジアカップの頃に比べると格段に良くなりましたね。見ていて楽しかったです。

そして香川選手を中心にシュートへの意識が非常に高く、それぞれ素晴らしいフィニッシュから3得点。

特に2点目のシーンは、これまでの日本サッカーであればほぼ100%パスを選択していたプレーだと思いますが、サイドを突破した駒野選手がパスではなく自信を持って思い切り良くシュートしたことで本田選手のゴールが生まれました。

3-0になってからチーム全体がスローダウンしてしまいましたが、最後まで緊張感を持って戦えたら、あと1~2点は追加できていたでしょう。

あえて攻撃面で課題を言えば、パスが弱くて味方に届く前に相手に奪われるというシーンがやや目立ったことです。

味方の足元にしっかりとしたパスを出すことを心がけて欲しいです。

それでも攻撃面の内容には80点はつけられます。

 逆に守備面では課題が多いです。こちらの出来はまだ50点といったところでしょうか。

オフが明けたばかりで久しぶりの実戦に臨む選手にありがちなのは、シーズン中よりもこぼれ球への反応や相手選手へのマークの意識が鈍くなることです。

この試合でもそういう傾向が出ていたように思います。

あるいはケガを気にしていたのかもしれませんが、韓国の選手が中盤においてフリーでドリブルを始めても、誰もプレッシャーをかけに行かないシーンがしばしばありました。

こうなるとこちらのDFラインはズルズルと下がらざるを得なくなり、相手を安易にシュートレンジに近づけてしまうだけです。

また日本のゴール前に相手が浮き球のクロスボールを上げてきた時も、こちらのセンターバック2枚が相手を簡単にフリーにしてヘディングシュートを許していました。

こちらのゴール前では相手より必ず先にボールに触ってクリアする、もしどうしてもそれが出来ないときは相手選手に体をしっかりつけて相手の体の自由を奪ってしまうという守備の基本中の基本は、誰がそのポジションに入っても試合終了のホイッスルが鳴るまで、絶対にやり続けなくてはいけないことです。

「今後の強化ポイント」の記事で、「縦横にコンパクトな4バックのゾーンディフェンスをつくる時の約束事をチェックせよ」と書いておきましたが、この試合日本の組織ディフェンスについて、縦はまずまずコンパクトになっていたと思いますが、横のコンパクトについては改善の余地ありです。

(それについては、次回(週末更新を予定)記事で図をつくって説明したいと思います)

この試合無失点だったのは、日本がやるべきことをやって相手の攻撃を完全に封じたというよりも、相手が外してくれて「結果オーライ」的な要素が強く、もし先に失点していたら試合がまったく別のシナリオに分岐していた可能性があり、短期決戦で絶対に先制点をやれないW杯3次予選を前にこういう守備では困ります。

W杯の予選そして本大会で成功するためには、守備の安定が絶対に欠かせません。

 選手個々で特筆すべきは、やはり香川選手。

バイタルエリアでボールをもって前を向けたら、かなりの確率で自分で局面を打開してゴールまで持っていける選手です。

昨年のドルトムントでの活躍やアジアカップ・カタール戦を見ても思いましたが、日本代表はようやくワールドクラスのフィニッシャーを手に入れましたね。

本田選手も、中盤の組み立ての中心としてパスを上手く散らしていました。これでバイタルエリアからのシュート精度が上がればもっと良くなります。

五輪代表のキーマンである清武選手も右サイドから好アシスト連発。代表の2列目のポジション争いがますます熾烈になりそう。

李選手もナイスアシストでしたが、やはりセンターフォワードなのでゴールが欲しいところ。

駒野選手は久しぶりの召集で前半はチームにフィットしていない様子でしたが、後半から本領発揮。

逆に今野・吉田の両センターバックは、ゴール前で相手を簡単にフリーにしてしまい、こんなプレーぶりでは困ります。

特に吉田選手は将来のディフェンスリーダー候補として期待しているのですが、189cmの体格を生かせていません。

VVVの失点の多さも気になるのですが、これだけチャンスを与えられているのですからそろそろ成長したところを見せて欲しいです。

 チーム全体としてのゲーム運びは、3-0になるまではほぼパーフェクトでしたが、それ以後はチーム全体に楽勝ムードが漂って、緊張の糸が完全に切れてしまいました。

テストマッチだからでしょうか変に余裕を持ちすぎてしまい、シュートを打てる場面でもパスを回そうとしすぎて徐々に攻撃のリズムを失い、最終ラインで相手をかわすため、意味の無いハイリスクなパス回しからボールを奪われて、再三のピンチを招いていました。

2-0にして楽勝ムードになったチームが、たった1点返されただけでそのまま2-3とひっくり返されることはサッカーではしばしばあることですが、一度緊張の糸が切れたチームを元に戻すのは容易ではなく、3-0にした後で1点でも決められていたらどうなっていたかわかりません。

W杯予選の本番ではこういうことは起こらないと信じますが、長谷部キャプテンを中心にもう一度チームを引き締めて欲しいです。

 W杯予戦前、最後のテストマッチとなった韓国戦。

3-0で勝利という結果は良かったですが、試合内容は攻撃面は良かったものの、守備面は合格点というわけにはいきませんでした。

この試合で見つかった課題を予選本番までにきっちりと修正してきて欲しいと思います。

 最後に、今回の日韓戦について言えば結果も内容も日本が圧倒しましたが、だいぶ前から足元の技術は日本の方が上回っていました。

しかしフィジカルや組織力の問題に加え、「これまでやられてきたから、またやられるんじゃないか」とか「韓国は永遠のライバル」みたいな、相手を過剰にリスペクトした「敗者のメンタリティー」が自分たち本来の能力を押さえつけてしまい、技術の高さが各年代の日韓戦で勝利という結果につながりませんでした。

これが変わったのは、苦しい戦いを勝ち抜いて南アフリカW杯でベスト16に進出し、同じ年ホームにメッシ擁するアルゼンチンを迎えて撃破した辺りで、ハイレベルの厳しい戦いの連続で日本の選手たちが精神的に急激な成長を遂げました。

それにザッケローニ監督の組織戦術が組み合わさって、日本人選手の技術の高さがダイレクトに3-0という結果となって現れたように思います。

もちろん相手がどこであれこちらが油断して手を抜けばやられますが、「U-22日本代表、精神面に課題」で述べたように「これからも日本と韓国は良きライバルとして競り合っていけばいい」みたいな敗者のメンタリティーは、この試合で日本代表から一掃されたのではないでしょうか。

下の年代もA代表に続いて欲しいですね。

ただ日本の最終的な目標は、スペインやオランダ・ウルグアイなど世界トップレベルのチームに勝ってW杯で優勝することであり、現時点において韓国に勝つということはその過程でついてくるものに過ぎないということは忘れてはいけないでしょう。

その意味でも、すぐさま韓国サッカー協会から「泣きのもう一番」のお願いが日本にくるかもしれませんが、韓国とのテストマッチは当分必要無いと思います。

本田選手がキ・ソンヨンにスパイクのウラで削られ、ブンデスリーガで開幕ゴールをあげ順調なスタートを切った岡崎選手が負傷退場した時はヒヤっとしましたが、古くは城彰二選手が前歯を折られ香川選手や駒野選手の連続骨折など、純粋なスポーツ以外の要素がからんで異常に激しくくる韓国代表は、正直この時期のテストマッチの相手としてふさわしいとは思えませんでした。

W杯予選直前ということもありますし、各選手を無事にクラブに帰してあげることができて本当に良かったです。

次回は週末アップの予定です。

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          2011.8.10 札幌ドーム

      日本   3  -  0   韓国


    香川 '35
    本田 '53
    香川 '55


    GK 川島        GK チョン・ソンリョン

    DF 駒野        DF チャ・ドゥリ
      (槙野 56)        イ・ジェソン
       今野           イ・ジョンス
       吉田           キム・ヨングォン 
       内田          (パク・ウォンジェ 25)   
                    (パク・チュホ 37)
    MF 遠藤
      (家長 73)     MF キム・ジョンウ
       長谷部         (ナム・テヒ 84)
      (阿部 66)        キ・ソンヨン
       香川           イ・ヨンレ
      (細貝 85)       (キム・シンウク 52)
       本田         
       岡崎        FW ク・ジャチョル
      (清武 36)        パク・チュヨン
                    (ユン・ビッカラム 58)
    FW 李            イ・グノ
                    (キム・ボギョン 52)





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