■日本代表、不完全燃焼の3-4-3

 キリンカップ初戦となる日本VSペルー戦が新潟で行われ、0-0の引き分けとなりました。

対戦相手のペルーは、もしブラジル行きの切符をかけてW杯予選大陸間プレーオフで日本と当たったら、日本のホームで日本の勝利、アウェーで引き分けぐらいの実力差と見ていました。

ただ今回来日したメンバーはシャルケのファルファンこそいましたが、ブレーメンのピサロやハンブルガーSVのゲレーロ、フィオレンティーナのバルガスらを「ケガ」で欠く1.5軍といったら良いでしょうか。

そのことも踏まえても日本の勝利が求められる試合でしたが、引き分けという結果は残念でした。

 それでは試合の流れをざっと追っていきましょう。

日本代表は試合前から大きな話題になっていた3-4-3システムで試合に臨みましたが、ペルーの厳しいプレスもあってなかなか攻撃がうまく機能しません。

ペルーの攻撃もそれほど迫力のあるものではなく、前半は見せ場の少ない一進一退の攻防が続きます。

24分、FKから遠藤がトリックプレー、これを受けた長谷部がシュートするもワクを捉えず。

26分、パスを受けたバルビンが日本のDFラインの前からロングシュート、川島が好セーブでなんとかCKへ逃れます。

 後半、日本代表がシステムを4-2-3-1に戻してから攻撃が少し機能し始めますが、しばらくすると再び膠着状態に。

11分、ゴール前で得た本田のFKは惜しくもゴール左へ

40分、パスを受けた本田が倒されたものの、すばやく立ちあがってシュート!これも残念ながらゴール左へ。

41分、左サイドから長友のクロスを李が落とし、岡崎がダイレクトでシュートするもミートせず、こぼれ球を本田が詰めますが、相手GKがクリア。

日本の攻撃をしのいだペルーがここから怒涛の反撃。

1点ぐらい取られてもおかしくない感じでしたが、川島のファインセーブ連発やゴールポストが日本を守ってくれたこともあり、そのままスコアレスドローに終わりました。

 つづいて試合内容を分析します。

この試合で初めてザッケローニ監督は3-4-3を国際Aマッチの実戦で試すことになったわけですが、残念ながら機能したとは言えませんでした。

震災チャリティマッチの記事でも述べましたが、中盤をフラットにした3-4-3は4-2-3-1からトップ下を削ってセンターバックを一枚増やした形とも言え、サイドからの速い攻撃がやりやすいシステムである反面、ピッチ中央からショートパスで崩して行く場合、トップ下がいない分どうしても前線中央が手薄になってしまいます。

そのため両ウイングが中へしぼりぎみに動いてパス回しにからまないといけないわけですが、この試合で起用された岡崎・関口両選手が効果的にそういう動きをできなかったため、日本の最大の武器であるショートパスの崩しが前半は影をひそめてしまいました。

さらにペルーが3-4-3システムに比べて有利なシステムに変更してきたことも、日本の攻撃が機能しない原因となっていました。

ペルー代表は直近のテストマッチで4-1-3-2を使っていたと聞いていましたが、この試合もキックオフ直後は4-1-3-2で、日本が3バックなのを見てすかさずシステムを4-1-4-1に変更したように見えました。(ペルーのマルカリアン監督は4-3-3をやりたかったが前半は両ウイングが下がりすぎたと会見で言っていました)


数的不利
(クリックで拡大 以下同様)

上図を見て欲しいのですが、相手が4-1-3-2ならともかく4-1-4-1を使ってきた場合、選手のマッチアップを見ると3-4-3システムは中盤中央で相手より数的不利になってしまいます。

先ほど述べたように3-4-3はただでさえトップ下がいなくて中央からの攻撃が手薄なのに、クルサードと言いましたでしょうか相手チームのアンカーが中盤中央でフリーで余り、数的有利の状態になっています。

このため中央からのパス回しがよけいやりづらくなってしまいましたし、サイド攻撃をしようとしても岡崎・関口の両ウイングや安田・西のサイドハーフにペルーが厳しくプレスをかけてきてつぶされてしまったために、前半は日本の攻撃が機能しませんでした。

震災チャリティマッチの後半から若手選手に入れ替えたら、とたんに3-4-3が機能しなくなっていましたが、このシステムは両ウイングにとても高い能力が求められ、相手チームが3-4-3より有利なシステムをぶつけてきた場合も使うのが難しい、ザッケローニ監督としてはかなり思い入れがあるのでしょうが、使えるシチュエーションがかなり限定されるシステムだなというのが実感ですね。

ペルーに攻められた場面で、5バックぎみになってしまったところもザッケローニ監督の意図するところではなかったはずです。

 後半からは4-2-3-1に戻したわけですが、まず攻撃面から見てみますと本田選手や長友選手といった主力級を投入したものの、前半の不完全燃焼に終わった攻撃を引きずっているような展開。

トップからバックラインまで間延びし、選手一人一人の距離が遠くなったためにパスが通しづらくなり、アジアカップの時よりも連動性は低くなっています。

さらに選手一人一人がボールを持ちすぎてしまい、攻撃のリズムも悪くなってしまいました。(特に本田選手)

 もっと気がかりなのは守備面。


約束事


上の図を見て欲しいのですが、相手がサイドから攻撃してきてこちらのサイドバックが応対している場面ですが、バックラインの残りの3人が相手のボールホルダーに応対しているこちらのサイドバックに連動して横へスライドしないため、4バックが横に間延びしてサイドバックのウラに危険なスペースを何度もつくっていました。

さらにバックラインからトップまで間延びして、特にダブルボランチが日本のセンターバックの前にあるバイタルエリアを広く空けてしまったために、試合終盤にペルーの波状攻撃が止められない状態になり、いつ失点してもおかしくはありませんでした。

昨年秋のアルゼンチン・韓国とのテストマッチでは縦にも横にも陣形がコンパクトで日本の攻守両面における組織力は非常に高いレベルにありましたが、アジアカップもそうですしこの試合もそうですが、久しぶりの代表召集や選手の入れ替わりなどによって、選手が4バックによるゾーンディフェンスの約束事を忘れかけている状態にあります。

今の守備が不安定な状態では、W杯アジア予選は安心して戦えません。

前回記事で「まず4-2-3-1の守備組織をしっかりと再整備して2010年のレベルまで回復させてほしいところです」と言ったのは、そうした傾向がアジアカップからちらほら見えるのが少し懸念されたからです。

大震災の影響で3月のテストマッチがキャンセルされコパアメリカにも出場できない状況ですから、3-4-3へのチャレンジは時間に余裕ができる時までひとまず封印し、秋までの合宿やテストマッチでは、まず選手に4-2-3-1の約束事を思い出させ、高いレベルでの実戦感覚を維持するために、W杯予選スタートまでの限られた時間を使った方が良いように思います。

海外組はこれからオフに入りますから、秋のW杯予選までに彼らの実戦感覚や代表でのコンビネーションを取り戻させるだけでも一仕事になるはずで、今は新しいことに大きく手を広げる余裕はあまりないのではないでしょうか。

 選手個々では、川島選手の安定感が抜群でゲームを引き分けに持ち込めた最大の功労者です。

関口・西・安田の各選手に新戦力としての期待がかかりましたが、3-4-3システムが機能しなかったせいもあってか、ほとんど見せ場をつくれず。長い目で見て育てていく必要がありそうです。

後半ペルーに押しこまれたこともあり、久しぶりに呼ばれた興梠選手も消えてしまっていました。

 ザッケローニ監督の思い入れが深い3-4-3に、国際Aマッチの実戦で初めてチャレンジしたペルー戦でしたが、残念ながら機能しませんでした。

代表がいろいろな戦術オプションを持っていることは決して悪いことではありませんが、今は4-2-3-1の決まりごとや実戦感覚・コンビネーションを忘れないよう、高いレベルで維持し続けることに限られた時間を使うべきだと私は考えます。

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       2011.6.1 東北電力ビッグスワン(新潟)


        日本  0  -  0  ペルー


       GK 川島       GK リブマン

       DF 伊野波     DF アカシエテ
         (森脇 75)       ビルチェス
          栗原         レボレド
          今野         ラバナル
                     (ジョトゥン 63)
       MF 安田     
         (興梠 71)   MF クルサード
          遠藤        (ロバトン 73)
          長谷部        バルビン
         (細貝 90+)     (バジョン 62) 
          西          アドビンクラ
         (本田 46)      ラミレス
                      クエバ
       FW 岡崎        (チロケ 61)
          前田
         (李 67)    FW ファルファン
          関口        (ルイディアス 67)
         (長友 67)




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