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■日本代表、のどもと過ぎれば熱さ忘れる

 今日は図をたくさんつくったので記事作成に時間がかかってしまいました。

 さてアジアカップ2011準々決勝、日本対カタール戦は荒れた試合となり、一人少ない日本代表が3-2でカタールを振り切り、ベスト4へと進出しました。

対戦相手のカタールは、ほぼ全員が自国リーグでプレーしています。

10年以上も前のデータも含めて「日本はカタールが苦手」なんて言うのはナンセンスで、ホームでもアウェーでも日本が勝利できるぐらいの差があると戦力評価していましたが、こちらが一人少ない状況から2点取って3-2で逆転勝利という結果は良かったです。

しかしながら、地獄と天国がクルクル入れ替わって観客は面白かったのかもしれませんが、「プロの視点」から見れば日本代表の試合内容は決してほめられたものではありませんでした。

サウジに5-0で勝って「のどもと過ぎれば熱さ忘れる」なのか、日本はヨルダン戦・シリア戦で痛い目にあったこともすっかり忘れて、相手をナメて油断しきった状態にチームの雰囲気が逆戻りしてしまいました。

 試合経過をおさらいしておきましょう。

ヨルダン戦・シリア戦のようにキックオフ直後からチーム陣形が前後に間延びした日本代表を見て、嫌な予感がよぎります。

日本の選手の頭の中は95%攻撃のことで占められており、センターバック2枚を残して8人がガンガン攻め上がってしまうなど、イージーな試合の入り方をしてしまいました。

これに対してカタールは2トップ、特にフィジカルの強いセバスチャンにロングボールを当てて、こぼれ球を拾ってからのカウンター狙い。

日本の最終ラインで2対2の状況が続くという大変危険な状態。

9分、カウンターからセバスチャンがシュート、今野に当ったこぼれ球をアルハマドがすべりこみながらシュート、なんとかGK川島がCKへ逃れましたがヒヤッとさせられます。

12分、オフサイドぎりぎりでウラへ抜けたセバスチャンが吉田を抜いてシュート、カタールが先制しスタジアムの雰囲気が騒然としてきます。

ところがカタールは日本の攻撃力を恐れすぎていて、プレスもかけずにただひたすら自陣にベタ引き状態になって墓穴を掘ります。

25分、それまできれいにパスをつなごうとしすぎていた日本が、長友のミドルシュートで目を覚まします。

28分、香川→本田とつないで本田が相手DFのウラへパスを出し、ノーマークで抜け出した岡崎がボールを浮かしてGKをかわし、最後は香川がつめて同点に。

31分、セバスチャンからY.アリにパスが出てシュート、ゴール左へ外れましたがカタールのカウンターに日本の守備が不安定な状況は変わりません。

 後半立ちあがりカタールが攻勢をかけてきますが、ハーフタイムで監督から修正指示があったのか日本はいくぶんコンパクトな陣形に戻れたことで守備が安定し、これをいなします。

しかしホッとしたのもつかの間、16分に吉田が長友に出したパスがミスとなって相手にかっさらわれ、Y.アリを倒したとして吉田が2枚目のイエローで退場。

続くカタールのFKは川島がニアを破られて1-2とカタールにリードを奪われます。

一人少ない状況で1点を取らなければいけないというシリア戦とまったく同じ大ピンチに追いつめられました。

ところが、リードすると日本を恐れすぎるカタールが引きすぎてしまい自滅というパターンを繰り返します。

25分、本田圭のスルーパスが岡崎に当ってこぼれたところを香川が拾ってウラへ抜け出し、GKとの1対1を冷静に見切ってゴールに流し込み、値千金の同点弾。

一人少ない日本に対しカタールは猛攻をしかけてきますが、カタールのシュートやCKの雨あられをしのいだ後の44分、

長谷部のパスを受けた香川がまたしてもウラへ抜け出し、香川は相手選手に倒されましたがこぼれ球を伊野波がゴールへ蹴りこんで3-2と逆転します。

長めのロスタイムも守りきり、日本が準決勝へと駒を進めました。

 それでは試合内容を分析しますが、サウジに5-0と大勝したせいか、本田選手が戻ってきたせいか知りませんが、この試合の日本代表はシリア戦以前の、相手をナメきった油断しきった状態に戻ってしまいました。

それが一番良くあらわれていたのが、チーム陣形の間延びと攻守のバランスの悪さ。

カタール代表の「個の能力」「チームの組織力」を見れば、日本がサウジ戦のようにちゃんとコンパクトな守備ブロックをつくっていれば、2-0か3-0できっちり勝てた試合でした。

守備はザルでも攻撃力や選手の技術はカタールよりサウジの方が上だったと思います。

そもそもヨルダンにしろシリアにしろ、日本が点をやるような相手ではありません。

ところがサウジ戦の大量得点でチーム全員の頭の中は攻撃のことでいっぱいで、両サイドバックは同時に上がってしまうし、ダブルボランチもバイタルエリアを広く空けて攻めあがってしまうし、日本は2人で守って8人で攻め、しかも最終ラインに残っているセンターバックやサイドバックがオフサイドラインさえそろえないという油断しきった状態。

この試合もシリア戦以前と同様、日本の4バックがヨコに間延びしていることが守備の不安定さにつながっています。

今野選手もそういう傾向がありますし特にセンターバックの吉田選手がそうなんですが、彼が間延びの原因となっているケースが多いです。

こちらのサイドバック(SB)がボールを持った相手選手に応対しているときでも、吉田選手がそちらへ向かってスライドせずにゴール前中央にいるので、ゴール前に危険なスペースをつくってしまうばかりかSBまで遠すぎてカバリングさえできません。(下図)

スカスカ2
(クリックで拡大 以下同様)

逆サイドでこちらのSBと今野選手が相手に応対している時でも、そちらへスライドせずに吉田選手はゴール前中央にいるケースが多いです。

現代のサッカー戦術では、センターバックが常にゴール前中央にいること=適切なポジショニングではないんですね。経験の浅い吉田選手はまだそこがよく理解できていないようです。

さらにこの試合、遠藤・長谷部の両ボランチがイケイケで攻め上がっていたので、センターバックの前のバイタルエリアを広く空けていたことも、ロングボールを2トップに放りこんでこぼれ球を拾って攻めの基点をつくるという、決して高度とは言えないカタールの攻撃を有効にしてしまいました。(下図)

スカスカ3

アウェー戦ではレフェリーが、微妙な判定の場面では常にホーム側に有利な笛を吹くというのがわかっているのに、日本代表全体として大変軽率な守備へのアプローチをしてしまいました。

 そうではなくて、たとえ相手が誰であろうとボールを取られたらすばやく切り換えて、タテにもヨコにもコンパクトな守備ブロックをつくる。

DFラインとMFラインの間を10m以上空けることなく二つのラインをつくって、きっちりバイタルエリアを締めておく。


こちらが4-2-3-1で相手が4-4-2の場合、相手の攻撃的MF2枚をこちらのボランチで見るのか両SBが見るのか、その受け渡しが一つのポイントになってくるのではないでしょうか。

例えば相手FWがサイドに流れたら攻撃的MFをボランチが見て(1)、相手MFがサイドへ流れたらSBが見る。(2)そして相手の2トップと攻撃的MFがうまく連動できないようにする必要があります。(下図)

コンパクト2


 攻撃面でも、チームの間延びが原因でサウジ戦よりも攻撃のリズムがやや悪かったように思います。

サウジ戦とは違ってこちらの陣形が間延びしていて、攻撃の選手が早い段階から相手陣内深くへどんどん攻めこんで行ったために、相手の最終ラインが下がってウラのスペースが狭くなってしまいました。

にもかかわらずサウジ戦の先制点で味をしめたのか、岡崎選手を中心にみんながみんなウラへ抜けてパスを受ける動きをしてしまい、攻めのパターンが単調で強引すぎました。

確かに前半、浮き球のパスから岡崎選手がウラへ抜けるプレーで1点取りましたが、あれはウラへ抜けるプレーが上手くいったというよりは、カタール側の誰も岡崎選手を見ていなかったことが原因といえるでしょう。

強豪レベルではまずあり得ない守備です。

サウジ戦で破壊力抜群だった、サイドからのアーリークロスをヘッドで狙うという攻撃もほとんど影をひそめてしまい、前田選手が消えてしまっています。

陣形が間延びしたことで選手同士の距離が離れすぎ、一本一本のパスが長くなって相手がパスカットしやすくなったことで、サウジ戦よりもパスの回りがやや悪くなってしまいました。

日本のチーム陣形が間延びしてしまったことで守備が不安定になり、それが原因で攻撃のバランスも悪くなっていました。

攻守のバランスをしっかりとって、コンパクトな陣形を維持しながらチーム全体で前進したり後退したりすることで、サウジ戦のように攻撃も守備も上手くいくようになるでしょう。

次の試合までしっかり練習して欲しいです。

 選手個々では、吉田選手がボロボロでしたね。

1対1からセバスチャンの個人技にやられて先制点を献上し、後半も経験豊かなセバスチャンに体を上手くつかわれてイエローをもらうなど、退場への伏線をはられます。

そして自分のミスパスから相手にボールを奪われファールで止めて退場処分。

アウェーではレフェリーが相手有利の笛を吹くのはわかっているわけですから、自陣深くでは今まで以上に安全第一なプレーが求められたはずなんですが、自分が退場してチーム全体に迷惑をかけた上に、それが原因となったセットプレーが失点につながり大ピンチ。

若さと経験の無さといえばそれまでかもしれませんが、サウジ戦のあと「相手が強くなかった」とコメントした吉田選手に油断とおごりがあったのではないでしょうか。

吉田選手にとっては一生忘れられない試合になったと思いますが、幸いにしてチームが勝ったから良かったものの猛反省して欲しいです。

戻ってきたGK川島選手も出来はいまいち。

カタールの2点目ですが、壁が少なかったとはいえニアを抜かれるのはGKのミスと見なされてもしかたないのではないでしょうか。

吉田選手の退場でフィールドプレーヤーが9対10となったあのFKの場面では、全員がゴール前へ戻ってしまうのではなく香川選手あたりが前線ではるようにして、カタール側が香川選手に2人のマークをつけてくれば、ゴール前は同数になって守りやすくなるはずですから、その方が良かったのかなとも思います。

本田選手も、ヨルダン戦・シリア戦よりは球ばなれが早くなった点は評価できますし、彼のラストパスが2点につながった点も良かったのですが、サウジ戦よりはチーム全体のパスの回りが悪かったですね。

もっとシンプルにパスをはたけるはず。

そして2ゴールの香川選手ですが、前回記事で述べたように私は決して彼の状態が悪いとは考えていませんでしたが、ようやく彼の得点力が爆発してくれました。

シリア戦以前はチーム全体の攻めのリズムが悪く、それが香川選手に伝染したような感じでしたが、サウジ戦ではパスが良く回って香川選手も攻撃にからめていたので、ゴールは時間の問題だと思っていました。

 準々決勝のカタール戦、一人少なくなっても最後まであきらめずに逆転勝ちという結果を出したことは良かったです。チームが着実に成長していると言えるでしょう。

ただ、シリア戦の記事で「日本代表最強の敵は自分たちの心の中にひそんでいるのかもしれません」と書きましたが、サウジ戦の大勝によってチーム全体のムードがだらけ、相手を格下扱いしてナメて油断しきったままゲームに入って痛い目を見るという、ヨルダン戦・シリア戦とまったく同じ間違いを繰り返してしまいました。

誰だって間違いや失敗はあります。

全力を出した結果、上手く行かなかったのであればしょうがありませんし、一度の失敗から学んで同じ間違いを繰り返さなければ良いだけのことです。

ですが、相手を甘く見て油断したり手を抜いたりした結果やられてしまう、同じミスを何度も繰り返すことほど残念なことはありません。

私はそういうプレーを一番嫌います。

闘莉王選手のような怖~い先輩がいれば、「お前ら、勝つ気あんのかよ!!」とカミナリが落ちるのでしょうが...

若い選手が多いこともあるのでしょうが、長谷部キャプテンを中心にもう一度チーム全体の雰囲気がピリッとなるように引き締めて欲しいです。

ザッケローニ監督も言っているように、代表はクラブと違って試合が少なく練習の時間も短く、成長のための時間が限られます。

半年や1年なんてあっという間です。

この試合、自分たちの油断から危うく「真剣勝負の公式戦」という貴重な成長の場を失うところでした。

J1からユースにいたるまで全ての人にいえることですが、代表に呼ばれてザッケローニ監督と1試合でも多く一緒にサッカーをしないとサッカー選手として本当に損をすると思います。

それぐらい彼はサッカーのことを良く知っています。

日本人がこういうレベルの指導者に教えてもらえるチャンスはそうそうありません。

 対戦相手がどこであれ、次の準決勝こそ日本代表の選手全員がピリッと引き締まり全力を出し切って、きっちりと勝利してくれることを強く望みます。

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  2011.1.21 サーニ・ビン・ジャシムスタジアム(ドーハ)

       日本  3  -  2  カタール


      香川  28'      セバスチャン 12'
      香川  70'      モンテジン  63'
      伊野波 89'



      GK 川島       GK ブルハン
             
      DF 長友       DF ハリファ
        吉田          ラジャブ
        今野          I.アブドルマジド
        伊野波        (ムフタハ 14)
                     アルガニム
      MF 遠藤
        長谷部      MF アルハマド
        香川          (アルマリ 90+)
       (永田 90+).      ローレンス
        本田          W.アブドルマジド
        岡崎          アルサイード
                    (モンテジン 59)
      FW 前田       
        (岩政 64)    FW Y.アリ
                      セバスチャン



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