■ザックジャパン、初陣でアルゼンチン撃破!

 ザックジャパンの実質的な初陣となるアルゼンチン戦が埼玉スタジアムで行われ、日本が1-0で勝利しました。

アルゼンチンは世界ナンバー1のアタッカー、リオネル・メッシをかかえる強豪ではありますが、日本が南アフリカでの戦い方をベースにして挑めば、ホームでなら勝つ可能性は十分あると考えていました。

南米予選ではアルゼンチンとパラグアイは勝ったり負けたりと互角の勝負を繰り返しているわけですから、日本がホームでパラグアイに勝てるならアルゼンチンに勝つのもそれほど不思議なことではありません。

そして日本が1-0でアルゼンチンから初勝利をあげるという良い結果を出すことができました。

試合中アルゼンチンはハムストリングなど足を痛める選手が続出しており、コンディションが整っていないようでしたが、それも含めてのホームアドバンテージだと思います。

これはあくまでもテストマッチだということは頭に入れておいたほうが良さそうですが、それでも南アフリカでの4試合で日本代表の選手たちが急成長して、ちょっと調子の悪いアルゼンチンなら倒すことができるようになったということは言えるでしょう。

 試合の流れを振りかえります。

立ちあがりは、アルゼンチンのプレスにパニクった栗原がゴール前で相手にボールを渡してしまう大ピンチがありましたが、それを何とか防ぐとあとはほぼ互角の展開。

7分、D.ミリトからパスを受けたメッシがドリブルで中央突破し、ループシュートを狙いましたがバーの上。

8分、右からの内田のクロスが相手に当ってコースが変わり、これを岡崎がシュートするもGK正面へ。

19分、ゴール前中央で岡崎からのパスを受けた本田圭がシュート態勢に入るも一旦防がれますが、そのこぼれ球を長谷部が強烈なミドルシュート!

GKは前へはじくので精一杯で、そのこぼれを岡崎がプッシュして日本が待望の先制点ゲット。

27分、メッシの直接FKは川島がナイスセーブ。

後半立ちあがりも日本はアルゼンチンと堂々と渡り合います。

11分、南アフリカでのデンマーク戦と似たような位置でFKのチャンス。本田圭のブレ球FKは相手GKが何とか触ってCKへ逃れます。

しかし、後半の15分過ぎからパストーレを投入し早く同点にしたいアルゼンチンが大攻勢をかけてきて日本は防戦一方に。

時間とともに疲労がたまってきたせいか、それまでコンパクトだった日本のチーム陣形がタテにもヨコにも間延びしはじめると、アルゼンチンに何度も危険なチャンスをつくられてしまいます。

18分、アルゼンチンにいいようにパスを回されて、ゴール前へ飛び出したパストーレにラストパスが出ますが、前から戻ってきた岡崎がボールを外へ蹴りだしシュートさせません。

30分、日本のゴール前で再びつながれて最後はメッシのコントロールシュートを食らいますが、川島がナイスキャッチ。

31分、再びメッシに日本のゴール前やや右を突破されてセンタリングを許し、テベスが飛びこみますがボールに触ることができません。

45分、前掛かりになったアルゼンチンの裏をつく日本のカウンター攻撃。交代出場の前田がGKと1対1となりましたが、惜しくもシュートは防がれます。

後半ロスタイム、日本のゴール前でメッシのFKが壁に当って外れたところでタイムアップ。

日本はアルゼンチンから初勝利をあげました。

 今回はじめてザッケローニ監督がやろうとしているサッカーが目に見える形となって表れたわけですが、「岡田ジャパン総括(3)」の記事において、次期代表監督にふさわしい人の条件として三つあげました。


(1)基礎的なところからより高度なレベルまでゾーンディフェンスをみっちり指導できる人

(2)攻撃面での組織力、特に敵選手の間・間でショートパスをスムーズにつないで相手守備陣を崩す組織戦術の指導ができる人

(3)攻撃の時も守備の時も、そして最終ラインをどこに置くにしても常にコンパクトな陣形を維持し続けるという日本人の一番苦手な部分を修正する能力を持った人



まだ一試合だけで評価を下すのは早計なのかもしれませんが、少なくともアルゼンチン戦を見た限りでは、ザッケローニ監督が(1)(2)(3)の条件を満たしているかと問われれば、その答えはSi(イエス)です。

ザックジャパンは攻撃時は4-2-3-1で、守備のときは1トップと本田選手を残して両サイドハーフ(この試合では岡崎・香川両選手)が引いて、中盤がフラットな4-4-2でゾーンディフェンスの守備ブロックをつくるのが基本戦術のようです。

日本代表は、W杯南アフリカ大会ではDFの最終ラインを自陣のペナルティエリアがはじまるあたりまで下げてコンパクトな守備ブロックをつくっていましたが、DFラインを押し上げて攻めに出ると間延びしてしまう傾向にありました。

スライムをコップに入れるところを思い浮かべてほしいのですが、スライムが日本代表のチーム陣形でコップがピッチの自軍側半分、コップの底がペナルティエリアのはじまりのラインだとします。

南アフリカではスライムをコップに入れると(日本が自陣に引きぎみに構えると)コンパクトにまとまりますが、コップからスライムを出すと(前へ前へ攻めにあがると)、びろ〜んと伸びてしまうといった感じでした。

この試合では南アフリカの時より最終ラインを10〜20mぐらい高くあげていましたがそれでもコンパクトな陣形を保つことができました。

このあたりはザッケローニ監督の指導の成果でしょう。

実際、4日間の合宿で選手たちは正しいボディシェイプからゾーンディフェンスの基礎を叩きこまれたようで、とても良い傾向です。

ボディシェイプ(体の向き)が正しくないと適切な視野が確保できずに、守備で失点しやすくなるのはもちろん攻撃の時もスムーズにパスやシュートができない原因となります。

日本人選手のボディシェイプの悪さは私も長年気になっていたのですが、この際新監督にきっちりと修正してもらうべきでしょう。

この試合後半15分過ぎから日本の組織が崩れて陣形がだんだんと間延びしはじめ、スペースが広くなったことでアルゼンチンの選手が前を向いて日本の選手と1対1をしかけやすくなり日本が再三ピンチにおちいりましたが、ザッケローニ監督がベンチの前に出て、身振り手振りをまじえて盛んにコンパクトにしろと叫んでいましたので、日本代表の長年の問題点も的確に把握できています。

というわけで新監督に求められる条件のうち、(1)と(3)は合格です。

残りの(2)はまだ様子を見たいと思いますが、ザッケローニ監督はインタビューで「日本のテクニカルなサッカーにスピードを乗せたい」と語っていました。

それについてはまったく同感でこれまで何度も指摘しましたが、日本のファンタジスタ系MFがミドルサードでモタモタとドリブルしたがり、それがボールのポゼッション率は高いけれどもなかなかシュートチャンスに結びつかない、いつも相手の陣形が整うのを待ってから攻めることになってしまう一因となっていました。

少なくともザッケローニ監督がやりたい攻撃の方向性は正しいように思われます。

また、試合の流れを見極める能力もありますし選手交代を含む采配も的確でした。

後半15分過ぎから流れが悪くなりアルゼンチンに押し込まれる一方になりましたが、ザッケローニ監督はすぐさまそれを感じとってその5分後に前田選手を投入して流れを引き戻そうとし、それでも不十分と見るや続けざまに阿部選手や中村選手を投入して、チームを立て直そうと努力し勝利に結びつけました。

やろうとしている戦術、試合の流れやチームの問題点を的確につかむ能力、選手交代のタイミングを含む采配と、こと監督の仕事に関する限り、このアルゼンチン戦はストレスをまったく感じることなく観戦することができました。

病気で倒れやりたいサッカーの全貌が最後まで明らかにならなかったオシム氏を除けば、こういうことは本当に久しぶりです。

まだ一試合だけで判断を下すのは早計なのかもしれませんが、ザッケローニ氏は新監督として合格点を与えられると思います。

というか、ザッケローニ氏がやるサッカーを見ることで、欧州で主流となっている組織戦術とはどんなものかということを生で知る格好のレッスンとなるのではないでしょうか。

逆に、どちらかというと個の能力に頼ったサッカーをしていたのはアルゼンチンでした。

ザッケローニ監督はアルゼンチン戦直前に、「勝ちたければ、チーム力で上回るしかないと選手たちに言ったそうですが、的確なチーム戦術の選択で見事に勝利をおさめることができました。

これまで「組織戦術は個性をダメにする。『個の自由』こそ重要」「組織で劣勢な個の能力をカバーするなんて不可能」などといった主張が堂々とまかり通ってきた「ガラパゴス化」した日本サッカー界ですが、南アフリカでようやく正しい方向へと歩み出した日本サッカーの流れが「世界標準」を満たすザッケローニ新監督の就任によって確固たるものになることを希望します。

 選手個々については、相手GKがボールを前へはじくことを予測してきちんとつめていた岡崎選手はすばらしかったです。

そのプレーをアシストした形となった長谷部選手のミドルシュートも良かったですね。
やはりシュートを打たないことには何も始まりません。

本田圭選手は依然として良くありません。

次のプレーへの判断が遅く、自分一人で何でもやろうとしてボールを持ちすぎてしまうことが不調の原因だと思います。

シュートを打つタイミングもワンタッチ・ツータッチ遅れています。

香川選手もシュートを打つ時に同じような傾向にありました。

相手選手の前からもっとミドルシュートを狙っても良いでしょう。

グアテマラ戦で良かった森本選手も元に戻ってしまった感じです。

守備では川島選手と長友選手が光っていましたね。

 ザッケローニ新監督の実質的な初陣となったアルゼンチン戦、勝利という結果も良かったですし、試合内容もまだ修正すべき点は多々あるものの今後に期待が持てるものでした。

守備ではゾーンディフェンスを採用してタテにもヨコにもコンパクトな布陣からプレスをかけて相手のボール保持者を外へ外へと追いこんで行く、攻撃では日本の特色であるテクニカルなサッカーに世界標準のスピードを乗せたいというザッケローニ監督の目指すサッカーの方向性もじゅうぶん納得できるものです。

アルゼンチンに勝ったという結果は抜きにしても、ザッケローニ氏の監督として指導の内容が良く、我々はようやく世界標準を満たす監督を手に入れたのかもしれません。

 最後に余談ですが、アルゼンチンの国歌は独唱には向かないと思いました。スペインなど独唱に向かない国歌は多々ありますが、どうしても歌手に歌わせたいならせめて伴奏をつけたらどうでしょうか。


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      2010.10.8 埼玉スタジアム2002

     日本  1  −  0  アルゼンチン


      岡崎 '19


    GK 川島         GK ロメロ
     (西川 85)
                 DF デミチェリス
    DF 長友           G.ミリート
      栗原           ブルディッソ
      今野          (ラベッシ 78)
      内田           エインセ
  
    MF 遠藤         MF マスチェラーノ
     (阿部 71)        カンビアッソ
      長谷部         (ボラッティ 45)
      香川          (ディ・マリア 84)
     (中村 77)        ダレッサンドロ
      本田圭         (パストーレ 60)
      岡崎
     (関口 71)      FW メッシ
                   テベス
    FW 森本           D.ミリート
     (前田 65)       (イグアイン 33)




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■Re: ザックジャパン、初陣でアルゼンチン撃破! [ガンバマン]

すごい勉強のなりました!

■Re: ザックジャパン、初陣でアルゼンチン撃破! [回春太郎]

まさか勝とは。。。これからも応援します

■Re: ザックジャパン、初陣でアルゼンチン撃破! [WEBRONZA編集部]

今回『ザックジャパン、初陣でアルゼンチン撃破!』のブログをWEBRONZAテーマページにリンクさせていただきます。不都合な場合、WEBRONZA@asahi.comにご連絡ください。
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