■プレトリアの死闘

 日本代表が中立地開催でのワールドカップ初となるベスト8を目指した戦いは、延長戦を含む120分の死闘でも決着がつかず、PK戦の末に惜しくもベスト8進出はなりませんでした。

対戦相手のパラグアイ代表は、欧州や南米の強豪リーグでプレーする選手がほとんどのチームで、南米予選ではホームでブラジル・アルゼンチンに勝っている強豪です。

戦前では、日本のホームで引き分け、パラグアイホームでパラグアイの勝利ぐらいの実力差があると評価していました。

そのパラグアイを120分間0-0で苦しめたのですから日本は全力を出し尽くしたと思いますし、ベスト8進出を果たせなかったのは本当に残念でしたが、じゅうぶん胸を張っていい結果です。

ちなみに昔のワールドカップだと、90分で勝負がつかない場合は引き分け再試合になったはずです。

ところが、テレビ放映権料などサッカーに巨額のお金が動くようになると、決められた日時で大会日程をこなさないといけなくなったため、何日か後に再試合なんていうのんびりとしたことはやっていられなくなりました。

そこで導入されたのが次のラウンドへ進出するチームを決めるための「クジ引き」としてのPK戦だったというわけです。

前回記事でも書きましたが、PKを外した選手に責任はありませんし誰も責める権利はないと思います。

 それでは2時間30分を越える死闘を振り返ってみます。

試合は終始、地力に勝るパラグアイペースで進みました。

日本は守備ブロックをつくり、パラグアイの攻勢がゆるんだところで時折反撃するという展開です。

前半19分、ラストパスをもらったバリオスがルーレットのようなターンで日本のDFをかわしてGKと一対一に。
しかし彼のシュートを川島がナイスブロック、こぼれ球も中澤が懸命のクリア!

21分、パラグアイゴール前で大久保がドリブル、これを相手選手がスライディングで防ぐもこぼれ球が松井の前へ。松井はダイレクトでシュートを放ち、惜しくもバーを叩きます。

27分、パラグアイの左CKからのボールがこぼれてサンタクルスの前へ。しかし本田の必死のスライディングでサンタクルスのシュートはゴール右へ外れます。

40分、中盤でボールを奪って日本のカウンター、3対2の形をつくります。
右サイドを突破した松井が中央へ折り返し、本田がダイレクトシュート!
左足アウトにかけたシュートはわずかにゴール左へ。

この試合、もっともゴールの可能性を感じたシーンでした。

 後半も前半同様ジリジリとした我慢くらべの展開。

9分、松井のクロスを相手選手がヘッドでクリア、それを拾った長友のミドルシュートは相手のスライディングに阻まれて、最後はGKがキャッチ。

11分、中盤深いところでボールを奪われてパラグアイのカウンターを浴びます。ラストパスをもらったベニテスのシュートは中澤が体を張ってブロック。

17分、日本の右CKから闘莉王が打点の高いヘッドでゴールを狙いますが、ゴール左へ外れます。

36分、中村憲を投入して日本は攻撃的な4-2-3-1へシフト。

ロスタイム、FKのボールを中澤が頭で落とし、闘莉王が懸命に足をのばすが届かず、延長戦へ。

 延長前半6分、ラストパスをもらったバルデスがターンしてGKと一対一になりながらシュートするがまたしても川島がブロック、パラグアイはゴール前にどんどんパスを入れてきて連続シュートでたたみ掛けてきますが日本が体を張って気合の守備で防ぎます。

9分、本田のFKは低い弾道となり、GKがなんとか弾いてCKに逃れます。

延長後半11分、長友がボールを奪ってカウンター、岡崎→玉田とつながって玉田はシュートではなくゴール前への折り返しを選択しますが中村憲には合わず。

2006年大会のブラジル戦や2004年アジアカップ準決勝でもそこからゴールを決めていたはずですし私はそこを「玉田ゾーン」と呼んでいるのですが、ゴール前左の角度のないギリギリのところは玉田選手が本来シュートを得意としている場所ではないでしょうか。

外れてもいいから玉田選手には積極的にシュートを打って欲しかったと個人的には思います。

延長戦でも決着がつかずPK戦へ

先攻のパラグアイは5人とも決めたのに対し、日本は1人が外してパラグアイがベスト8に進出する権利を得ました。

 それでは試合内容を分析します。まずは守備から。

この試合でも日本の守備がとても良く機能していたと思います。

パラグアイの選手は当りの強さも技術もレベルが高く、危険な攻撃を何度もしかけられましたが、ゾーンディフェンスによる日本の守備ブロックがクッションとなってパラグアイの鋭い攻撃を吸収してしまい、時間がたてばたつほど疲労したパラグアイの選手のパス・トラップが不正確になっていきました。

最後の一線も両センターバックとGKが体を張って守りきりました。

今の日本代表は、守備力だけで言えば世界の強豪にまったくひけを取らないと思います。

スペインやブラジル・オランダのような優勝候補であっても、そう簡単にはゴールをあげることはできないでしょう。

ただこの試合の前半、日本の選手同士でボールをお見合いしてパラグアイの選手に奪われたりするシーンが何度か見られました。

やはり日本初のベスト8をかけた試合で相手は南米の強豪ということで、消極性や失敗に対する恐怖心がどうしても顔をのぞかせてしまったのかもしれません。

これを除けば、日本の守備は素晴らしかったです。

 つづいて攻撃面ですが、日本代表は守備でこそ短期間で組織力を世界レベルまで高めることができましたが、残念ながら攻撃での組織力アップはそこまで手がまわらなかった印象です。

前から激しく来るパラグアイのプレスに引っかかり、日本は中盤でかなりボールを失っていましたし、数少ないチャンスも単発で、パラグアイの守備を崩して攻撃の形をつくることがなかなかできませんでした。

やっぱり「大切な試合だから大事に行きたい」という思いが強いのか、選手がボールを長時間キープしたがり、フィジカルやテクニックで勝る相手選手に体を寄せられて簡単にボールを失っていました。

連戦の疲労もあるとは思いますが、ボールを持っている味方に対するまわりのサポートも緩慢で、日本の選手が相手選手が2人も3人もいるところへ単騎ドリブルで突っ込んで行ってはボールを奪い返されていました。

相手選手の間で組織的にショートパスをリズミカルにつないでミドルサードを短時間で突破し、バイタルエリアや相手サイドバックの前のスペースで味方がボールを持って前を向くシーンをもっともっとつくれれば、1-0、2-0で勝つことも可能だったと思います。

 日本が南米の強豪パラグアイに120分間戦いぬいて0-0という結果は大健闘でした。

PK戦の結果でベスト8進出は果たせませんでしたが、日本は現有戦力でベストを尽くし、全力を出しきったと思います。

岡田ジャパンの総括は近いうちにやりたいと考えていますが、個の能力で劣勢な日本がワールドカップでベスト16に進出し、南米3位の強豪にほぼ互角にやりあえたのは組織の力あってこそでした。

単純に11対11の「個の能力の足し算」で勝負を挑んでいたら日本はここまで来れなかったことでしょう。

しかし、ここから先に進むためには長期プログラムで組織を支える選手個々の能力をもっと高めていく必要がありますし、組織力もとくに攻撃面でもっともっとみがきをかけないといけません。

日本代表の選手・監督・スタッフの皆さん全員に心から感謝の意を述べるとともに、次の戦いまでゆっくり心身を休めて欲しいと思います。

連日、良いゲーム・良いプレーを見せていただき本当にありがとうございました。

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   2010.6.29 ロフタスヴァースフェルド・スタジアム
                   (プレトリア)


     パラグアイ  0  -  0  日本
              (5 PK 3)
 


      GK ヴィジャール     GK 川島

      DF モレル        DF 駒野
        ダシルバ          中澤
        アルカラス         闘莉王
        ボネット           長友

      MF ベラ         MF 阿部
        リベロス          (中村憲 81)
        オルティゴサ       長谷部
       (バレト 75)        遠藤
                       松井
      FW サンタクルス      (岡崎 65)
        (カルドソ 94)      大久保
        バリオス         (玉田 106)
        ベニテス
       (バルデス 60)    FW 本田





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