■ワールドカップ南アフリカ大会開幕

 先日コメント欄に書きこんでくださった方から「このブログを見てサッカーが面白いと思えるようになった」とおっしゃって頂き本当に嬉しいですね。

初めはでたらめにボールを蹴り合っているようにしか見えないかもしれませんが、サッカー戦術のことを知ると一つ一つのプレーにちゃんと意図があることがわかるようになります。(少なくとも一流のチーム同士では)

ヨーロッパでサッカーはしばしばチェスにたとえられますが、相手に勝つために攻守にわたってどういう布陣をひいてどういう風に動かしていけば最適なのかを考える頭脳戦でもあります。

将棋でたとえるなら、強いチームは飛車や角を3枚も4枚も持っていて、弱いチームは王様のほかは全部歩なんてことも。

そこで弱いチームがどうやったら強いチームに勝てるか知恵をしぼるのも監督業の醍醐味なのかもしれません。たいていは勝てないんですけどね。

「中澤選手や本田選手が足が遅いのではないか?」というご指摘ですが、中澤選手にはベテランらしい読みでカバーして欲しいですね。

本田選手の足が特別遅いかどうかわかりませんが、ミドルサードで余計なドリブルをしてボールを奪われるなど判断の遅さの方が私は気になります。

もう一人の方へのお返事としては、カタールやバーレーンより攻撃力が強いチームと対戦すると失点が多くなり、今までの間延びしたまま前へ前へとプレスをかけて相手を押しこんで行くサッカーができなくなったというのが現状ではないでしょうか。

よってコンパクトな陣形を維持したまま相手の強弱によって最終ラインを置く位置を変えるようなチーム戦術を構築することが解決策になると個人的には思います。

 それでは本題に入りますが、いよいよワールドカップ南アフリカ大会が開幕します。

私も一生懸命日本代表を応援したいと思いますが、まずは1勝を目標にしてその積み重ねが日本代表の決勝トーナメント進出達成につながることを祈ります。

そこでオランダ対ハンガリー戦、オランダ対ガーナ戦(前半のみ)、デンマーク対セネガル、カメルーン対スロバキア戦(前半のみ)を観て、日本と同組に入ったライバル国の戦力をチェックしてみました。(ABCの3段階評価)


      個の能力 チームの組織力

オランダ    A     A

デンマーク   B     A

カメルーン   B     B

日本     B~C    B~C 


個人的見解ではこうなります。現在の日本代表はイングランド戦みたいに好不調の波が激しすぎるので評価が難しいです。

ただ、実際の順位がこの通りになるかどうかは試合をやってみないとわかりません。

ここまで来たら戦力差がどうこうじゃなくて選手一人一人の積極性・やる気・モチベーションの問題だと思います。

サッカーはモチベーションで結果が大きく左右されるスポーツです。

ここが勝負の分かれ目というところでどれだけ相手より多く良質な動きができるか、もう少しで相手ゴールにボールを押しこめるという勝負どころで選手が目の色をかえて相手ゴールに殺到できるか、相手のシュートに体を張ってそれを防ぐことができるかどうかで日本代表の歴史が大きく変わることでしょう。

個の能力や組織力をCからB、BからAにアップさせ世界の日本に対する評価を塗り替えるのは、実際にワールドカップのピッチに立った日本代表の23人の選手達です。

 攻撃でも守備でも11人が協力しやすくするためにチーム陣形をコンパクトにすること。

陣形を崩してまで無理して相手からボールを奪おうとする必要はありませんが、コンパクトな陣形を保ったまま相手のボール保持者にプレスをかけて自由に攻撃はさせない、マイボールになったらやはりコンパクトな陣形を保って選手みんなが協力し連動して攻めることが勝利への第一歩です。

しばらく勝利していないのでつい弱気になってしまうかもしれませんが、「相手に押しこまれるに決まっている」と決めつけてキックオフからベタ引きは禁物。

相手の出方を慎重にうかがいながらも、いける時は積極的にディフェンスラインを押し上げて攻勢に出なくてはいけません。

そうしないと90分ずっと守って終わってしまったということになってしまいます。

もちろんW杯では格上のチームが多いですから、相手に攻められる時間が長くなるかもしれません。

しかし日本が焦る必要はまったくありません。

サッカーはどんなに攻められてもボールを回されても、点さえ取られなければ負けることはありません。

このことをよく頭に叩き込んで、たとえ攻められる時間が長くても神経を図太くしてずうずうしくプレーして欲しいと思います。

日本代表はアジア内においては長時間攻められることが少ないだけに、いざそうなると日本人選手は不安になったり焦ったりもう負けが決まったような気分になってしまいがちです。

そうした精神的落ち込みから相手の攻撃に耐えきれなくなって実際にゴールを許したり、マイボールになっても守から攻への切り替えが遅くなって、攻撃から鋭さが失われているように見えます。

最近相手に攻められる時間が長い試合が多いせいか、岡田監督は「攻撃の推進力が足りない」と言っていますが、そのことが原因ではないでしょうか。

ブラジルの名選手がサッカーを「寸足らずの毛布」にたとえたように、こちらがちゃんと陣形をコンパクトにして必要以上に自陣にベッタリ引かなければ、相手に攻撃され押しこまれている時というのは実はカウンターアタックから日本が得点するチャンスなのです。

攻められる時間が長いからといって精神的にブルーになる必要はありません。虎視眈々と得点チャンスを狙い、攻撃的な守備を心がけるべきです。

カウンターと言えば、遠藤選手などが「カウンターの時は一発のパスでウラへ」とコメントしています。

イングランド戦の前半、カウンターから大久保選手がウラへ抜け出してそこへ阿部選手が浮き球のパスを出しましたが、大久保選手より背の高いG.ジョンソンにヘッドでクリアされてカウンターが決まりませんでした。

もしこれがグラウンダーのパスだったら、ジョンソンの脇をパスが抜けたらもう彼は追いつけなかったでしょう。

浮き球の一発のパスが成功するケースもありますが、カウンターの成功率を上げたかったらなるべくグラウンダーのスルーパスでちょっとだけ手数をかけてやって最終ラインを突破すべきでしょう。

そのためにはカウンターを仕掛けるFWや二列目の選手がいつマイボールになっても良いように、相手のディフェンダーの配置を見ながらカウンターを仕掛けるのに最適なポジショニングをとっておきます。

そしてカウンターを仕掛ける3人なり4人なりでやりたいカウンター攻撃のイメージを共有しないといけません。

さらにカウンターを仕掛ける時、ボールを奪った選手がまず最初にボールを預けるのは誰かあらかじめ決めておきます。(右サイドでボールを奪ったらまず右ハーフを探してすぐボールを預けるとか)

こうすればカウンター攻撃がスムーズに仕掛けられることでしょう。

本音ではオランダもデンマークもカメルーンも「このグループで日本が最弱であり勝って当り前。日本戦で勝ち点3が取れないチームが決勝トーナメント行きを逃す」と考えているはずです。

つまり「ゴールしなければならない、勝たなければいけない」という重いプレッシャーを背負っているのは相手の方なのです。

相手はゴールするために「上半身に毛布をかけて、足をさらけ出す」はずです。

そこに日本がつけこむスキがあり、勝機があるということになります。

ちょっと攻められる時間が長かったからといって日本の選手が意気消沈し、マイボールになっても守から攻への切り替えが遅ければ、みすみす得点チャンスを逃してしまいます。

 ただテストマッチを見た感じでは、100%ベストの状態のオランダ代表はまさに悪魔のようなチームです。

エンスヘーデで日本と対戦した時とはまったく別のチームに仕上がっていますし、このまえのイングランドよりもレベルは上です。(あの時のイングランドは不調だったのかも)

日本がオランダとまともにがっぷり四つに組んだら、4~6点差の大敗を喫する可能性があります。

オランダに勝てればこれ以上言うことはありませんし、引き分けでも勝ちに等しい大健闘と言えます。

しかし5点も6点も取られて負けてしまえば、日本の決勝トーナメント進出が非常に難しくなってしまいます。

どんなに悪くとも1点差負けぐらいにしておかなくてはなりません。

オランダの4-2-1-3はセンターフォワードにファンペルシーという強力な選手がいて、両ウイングのロッベンやカイトも脅威です。

そしてトップ下のスナイデルはバイタルエリアで前を向いたら、自分の前に相手センターバックがいてもお構いなしにミドルシュートをゴールへ叩きこむ力を持っています。

その正確性と破壊力はパクチソンをまったく問題にしません。

ミドルシュートだけではなく、ワントップや両ウイングへのスルーパスも要注意です。

これに両サイドバックがからんでくるのがオランダの主要な攻撃パターンでしょう。

攻撃力が高いオランダ対策としてチャンピオンズリーグで優勝したインテルのモウリーニョ監督のシステムが参考になります。

4バックのゾーンディフェンスでは、相手がサイドへボールを展開したら4バックがボールサイドへスライドして守るのが基本ですが、相手チームの3トップが非常に強力な場合、二枚のセンターバック(CB)がサイドへずれるとゴール前がやや手薄になります。

チャンピオンズリーグ決勝のインテル対バイエルン戦を例にあげると(下図 クリックで拡大)、バイエルンにはロッベンという超強力なサイドハーフがいて、ドリブル能力の高いロッベンは戦いを有利にするためサイドいっぱいまで開きます。

インテルのサイドバック(SB)は絶対にロッベンをフリーにはできませんから、やはりサイドいっぱいまで引きずり出されてしまいます。(1)

インテル

しかし、ロッベンについたSBにインテルのCBがスライドしてついていくとゴール前が手薄になって、バイエルンのやはり強力なセンターフォワード・オリッチをつかまえきれなくなると嫌なのでしょう、インテルのCB二枚はボールサイドにあまりスライドしないのが特徴です。

するとインテルのSBとCBの間に大きなスペースが空きます。(2)

そこでボランチ(DM)二枚のうち、ボールサイドの選手がそのスペースを埋めるのがモウリーニョのインテルでは約束事になっているようです。(3)

そしてロッベンに対してSBとDMの二枚で突破を妨害し、ロッベンがたまらずボールを中央へパスしたら、DMは大急ぎで本来のポジションに戻って、バイエルンの2トップに正確なパスが入らないようバイタルエリアを狭めていました。(4)

中央へはパスの出しどころがないと見て、バイエルンのMFが再びサイドのロッベンへパスすると、インテルのDMは再びSBの後ろのスペースをケアするためにカバーのポジションに入ります。

DMにかなり負担のかかる守備システムですが、インテルの両DMカンビアッソとサネッティはうまくこなしていました。さすがです。

これを日本代表にも取り入れることはできないものかと思います。

ただしカンビアッソのいない日本代表がオランダを相手にDM二枚で同じシステムをやるのはちょっと無理かもしれません。(下図)


オランダ対策


システムは4-3-2-1もしくは4-3-1-2です。(図ではDMが5人いるように見えますが3人です)

日本のDM三枚のうち、一人は基本的にバイタルエリア前から動かず、スナイデルのスルーパスやミドルシュートを防ぎます。

オランダの両ウイングにはSBがつきますが、CB二枚はインテルのようにボールサイドへスライドせず相手のセンターフォワードをみます。

そして両ウイングにボールが渡った時は、残りのDMのうちボールサイドの選手がSBの後ろのスペースに入ってカバーし、相手のウイングの突破(インでもアウトでも)を妨害します。

相手ウイングが突破をあきらめてボールを中央にいる選手へ戻したら、DMも元のポジションまで戻ります。

攻撃は前の三人もしくはボランチ一枚を加えた四人ぐらいでやるのが基本となりますが、時折オランダが胆を冷やすような鋭いカウンターアタックをしかけ、できればゴールしないと専守防衛で90分間はきついと思います。

やってみる価値はあると思いますがどうでしょうか。

ともかくオランダに1点でもリードされたからといって意気消沈して足を止めれば、大量失点負けまっしぐらです。

できれば勝利や引き分けが欲しいですが、どんなに悪くとも1点差負けに留めるため90分間最後まであきらめずにファイトしなくてはいけません。

 いろいろと書いてきましたが、ここまで来たら最後は選手一人一人の積極性・やる気・モチベーションです。

決勝トーナメントのことはひとまず忘れて、これまでのサッカー人生でやってきたことに自信を持って目の前の試合に勝つことに集中して欲しい。試合が終わったらぶっ倒れてもいいという覚悟で、積極的にボールにからんでいって欲しいと思います。

サッカーは、積極的で前向きなチーム・選手の方にボールと幸運が転がってくるものです。

今の日本代表には「谷間の世代」と呼ばれた選手も多いですが、このままそれを認めて引退していくのか。

それとも意地とプライドをかけて南アフリカで勝利をかちとり「谷間の世代」と言った人間を見返してやるか。

パクチソンみたいに外国の選手から名指しで「弱い」と言われて、それを認めておめおめ引き下がるのか。

それとも「日本は弱い」と馬鹿にした選手がいる国よりも南アフリカで良い成績を収めてリベンジを果たすか。

すべては選手しだい。

サポーターも、意地とプライドをかけて全力を出しきった日本代表を見たいはずです。

いよいよワールドカップ南アフリカ大会が開幕します。

さあ皆さん、楽しい楽しいサッカーの時間ですよ。




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■コメント

■高さ対策、ハイボール対策はどうするのか? [青侍]

ひとつ前の記事についてですがレスして頂いてありがとうございます。

さて、この記事なのですが、インテルのCBと違って、中沢、闘莉王のCBコンビは非常に不安定ですよね。最近の試合でもかなりの脆さを見せています。最近起用されることが多くなった阿部にしても稲本にしても高さには不安があり、過去の試合でも流れの中やセットプレーで空中戦で競り負けて、決定的な危ない場面を作られています。

W杯GLでは相手もそれを知っているわけで、当然そこも狙ってきます。流れの中やセットプレーでハイボールを放り込まれて日本が失点することも充分考えられると思うのですが、その対処法はどうお考えですか?

■バイタルエリアに注目して観戦します [youzy_yam]

いよいよ日本戦が始まります。
色々、観戦ポイントがあるとは思いますが、
今回は、「バイタルエリア」に注目して見ます。
日本のディフェンスは「バイタルエリア」をどのようにケアするのか?
日本の攻撃は「バイタルエリア」をうまく使えるのか?

■この勝利は日本のためになるのか? [youzy_yam]

まずは、この勝利を素直に喜びたいと思います。
しかし(サッカー素人なりに)冷静に考えると....
「はたしてこの勝利は、将来の日本サッカーのためになるのか?」
という思いも頭をよぎります。
岡田監督の酷い戦略による敗戦が続き、ようやく日本にも「戦略」に対する議論が盛り上がることで、サッカー文化成長の息吹を感じておりました。
この勝利が日本サッカーに悪影響を与えないことを祈ります。
この試合バイタルエリアに注目して見ていましたが、
両チームともこのエリアを有効に使う攻撃が、あまり見られませんでした。
唯一、カメルーンが放ったシュートがクロスバーに阻まれた場面くらいでしょうか?
エトーが右サイドに張り付いていたのがラッキーだったと思います。
それにしても、カメルーンはこんなチームではないはず。何があったのだろうか?
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