■日本代表に一番足りないもの

 今年日本代表の実質的な始動となったベネズエラ戦から先月のセルビア戦まで不調が続いています。

今年に入ってからの試合をずっと観てきて感じるのは、日本代表選手の非常に弱気で消極的な姿勢です。

シュートが打てる場面でも打たず、ボールを持った味方を周りの選手が立ち止まったまま見ているシーンが目立ちました。

監督から「サイド攻撃を」と言われればそればっかりになってしまって、サイドからペナルティエリア内に侵入してもシュートをせずにパスばっかり。

東アジア選手権の中国戦で「日本代表の選手はW杯まであと4ヶ月に迫った今さら、シュートから逃げて何を守ろうとしているのか不可解としかいいようがありません」と書いたとおりです。

(日本代表、消極性で自滅)

ところが大敗に終わったセルビア戦の後、中澤選手のコメントから代表選手たちが何を守ろうとしているのか、やっとわかりました。

それは「自分のポジション」です。

中澤選手はこう言っています。

メンバー選考にみんな恐怖を感じている。もっとみんなが思い切ってやらないといけなかった」 

(サンスポ記事)

プレーで何かミスしてワールドカップにおける自分のポジションを失いたくないためにボールにからむことから逃げたり、監督の指示とちょっとでも違うことをしてワールドカップメンバーから外されたら嫌なので、「サイド攻撃」と言われればそればっかりをやっていたと。

つまり日本代表の各選手にとって、試合に勝つことや岡田ジャパンの目標である「W杯4強進出」よりも、自分のポジションを守ることが一番大事だったわけです。

勝利することだけに集中して全力でプレーするのではなく、「自分のポジションを守ること」を何よりも優先させてプレーしていたんでは、試合に勝てないのはあたりまえですね。

「自分のポジションを守ること」を何よりも優先させてプレーした結果、最悪の内容で試合に負けるなら、守ろうとしていたはずのワールドカップにおける自分のポジションだって真っ先に失ってしまうかもしれないのに。

いつもこのブログでは、「消極的な安全策ほど危険な策はない」「サッカーは消極的な選手やチームが罰せられるスポーツ」だと言ってきました。

2010年W杯出場が決まった後、日本サッカー協会から「世界を驚かせる覚悟がある」というキャッチフレーズが発表され、今では早くも死語となりつつありますが、「W杯4強進出」を狙うチームにはありえないメンタリティだと思います。

選手たちの本音は、「南アフリカへ行って試合に勝つこと」ではなく「ワールドカップに参加すること」が本当の目標なのですから。

ものすごく消極的な考え方です。正直失望しました。

ワールドカップで優勝を狙っているオランダ、決勝トーナメント進出が目標のデンマークやカメルーンを相手にこれでは、試合をやる前から結果が見えたようなものです。

今年に入って、サポーターから激しいブーイングを浴びせられる試合が続いていますが、それも当然です。

代表サポーターが試合で見たいのは、「全力でやった結果が失敗ならしょうがないけれども、相手が強かろうが何だろうが日本代表がひたむきに勝利に向かってチャレンジしつづける姿勢」ではないでしょうか。少なくとも私ならそうです。

 ワールドベースボールクラシック(野球版ワールドカップ)で日本代表は大会二連覇を果たしましたが、野球というのは受身で消極的な傾向がある日本人にも向いているスポーツだと思います。

遅延行為でボークを取られてしまうからピッチャーはいつかボールを投げないといけませんし、ボールが投げられたら打者はストライク三球のうち一回はバットを振らないといけません。

バットに当たったボールがインフィールドに飛んだら一塁・二塁・三塁・本塁と順番に走らないといけませんし、打球が飛んできたらノーバウンドで捕らないかぎり野手は走者が向かっているベースへ送球しないといけません。

野球の監督さんの中には投手に何を投げさせるかベンチから捕手に一球一球サインを出す人さえいますが、野球というスポーツは選手が受身でも何とかなってしまう気がします。

もし選手が決められたプレーを拒否した場合、失敗の責任が誰にあるかはっきりしていますから、試合が始まって投手が第一球を投げた瞬間から、どんなに受身で消極的な選手でも否応なく動かないといけない、それが野球というスポーツの特徴といえるでしょう。

ところがサッカーというスポーツはそうはいきません。

ボールを持って孤立している味方を助けに行くか、足を止めて見殺しにするかは各選手の自由ですし、選手がボールにからまなかったからといって反則を取られるようなことはありません。

自分の前にゴールしかないのにシュートを打たずバックパスしてもやっぱり選手の自由ですし、自軍ゴールに敵のシュートが突き刺さるまで黙って見ていても反則にはなりません。

選手が次にどういうプレーをすべきか、ワンプレーごとに監督がサインを出すわけにもいきません。

サッカーは選手により大きな自由が与えられている分、選手の積極性・自主性が強く求められるスポーツだと言えます。

野球のようにピッチ上に「攻める時、ここを走れ」という意味のラインは引いてありません。

積極的にボールにからんでプレーするのも自由なら、ちんたら歩いて試合をサボったり失敗が怖くてプレーから逃げるのも自由。

二つのチームの能力が互角ならば、試合に勝つのは自主的・積極的にプレーする選手が多い方でしょう。

サッカーはいつもプレーの失敗を恐れているような弱気で消極的な人には向かないスポーツと言えます。

このブログでいつも「サッカーは消極的な選手やチームが罰せられるスポーツ」と言っているのはそういうことです。

 サガン鳥栖の監督である松本育夫氏は「日本人にはゾーンディフェンスは向かない」というのが持論だったと思いますが、それも同じことでしょう。

二人のDFが担当しているゾーンとゾーンのちょうど中間に敵選手が入ってくると、日本人の場合「相手のFWと競り負けて自分の責任になると嫌だから」ということで、DFが二人とも敵選手のマークを譲り合ってしまうことがよくあるために、どフリーになった相手に簡単にシュートを決められてしまう。

だったら始めから誰が敵のどの選手につくか強制的に決めてしまうマンツーマンにしてしまえば、受身で消極的な日本人でもちゃんと守れるだろうという意味だと思います。

現代サッカーにおいてマンツーマンをやるのはちょっとキツイと思いますが、松本氏が言いたいことはよくわかります。

 日本のサッカー選手とスペインやブラジルなど世界トップクラスの選手とで一番差がついているのは、プレーに対する積極性や自主性だと思います。

かつて日本代表監督だったフィリップ・トルシエ氏はしばしば選手をどついたりしてサッカー協会との関係が悪化しましたが、消極的ですぐ下を向いてしまいがちな日本人選手でもわざとどついて怒らせれば、さすがの日本人でも積極的に自己表現するようになるだろうというトルシエ氏なりの計算だったのではないでしょうか。

代表監督時代「日本の選手は自分の殻を破れ」とトルシエ氏がさかんに言っていましたが、私も岡田ジャパンの選手達に一番望むことは、弱気で消極的という自分の殻を破って欲しいということです。

個性と自己主張が特に激しいフランスからやってきた監督とプレーでなかなか積極的に自己表現できない日本人選手の組み合わせは激しい文化摩擦を引き起こしましたが、W杯ベスト16という日本サッカー史上最高の成績を残しました。

その点ジーコ監督は日本人に理解がありすぎたと思いますし、岡田さんは日本人そのものです。

 弱気で自信がない日本人と言えば2002年W杯ベスト16という日本代表の結果について、「自国開催だったから、あれは本物の成績ではない」と言う日本人がいることも私には本当に信じられません。

アルゼンチンにしろフランスにしろ、自国開催のW杯で初優勝することで自信をつけて真の強豪国になっていったのです。

自国開催だろうが何だろうがW杯で優勝したからこそ、「自分はW杯優勝国の選手だ。もうぶざまなプレーはできない」というプライドと責任感が生まれて、それが代表チームをもっと強くする。

アルゼンチン人やフランス人で「自国開催だったからあのW杯優勝はウソだ」なんて弱気なことを言っている人がいるとは思えません。

そんなことを言っているのは日本人だけじゃないでしょうか。

 ワールドカップイヤーになったとたん、試合に勝利するためにプレーするのではなくて、自分のポジションを守るためにプレーしてしまう岡田ジャパンの選手たち。

ワールドカップは勝つためにプレーするもので、サッカー選手の卒業旅行ではありません。

世界中どこでもスタジアムのゴール裏席からは放送禁止用語満載のチャントが起こるものですが、そうでなくとも岡田ジャパンには「お前ら、カーチャンのお腹の中にキ○タマ忘れてきたのか!」と叫びたくなります。

個人の技術やフィジカル能力、チーム戦術も大事ですが、日本のサッカー選手に一番足りないのはプレーに対する積極性と自信です。

積極性と強い自信があれば、日本人選手の技術の高さや俊敏性という長所がもっと生きるはず。

フィジカルの弱さという短所も、積極的な先手先手の当たりを心がけることで何とかなってしまうのではないでしょうか。

 荒削りながらも私がCSKAモスクワの本田選手に期待してしまうのは、岡田ジャパンのどの選手にもない日本人ばなれした積極性と自信を持っているからです。

負けた試合では「今日は相手にとって脅威になれなかった」というコメントを残すことからもわかるように、サッカー雑誌の四コマ漫画に書かれているみたいな、自分や相手を冷静に分析・評価できない単なる自惚れ屋ではないと思います。

むしろ世界で成功するためには本田選手ぐらい自信過剰ぎみでちょうどいいと思いますし、四コマ漫画のネタにされるほど日本人には珍しいタイプの選手というのはとても残念なことです。

成功するためには「根拠なき自信」というのも時には必要で、根拠のある自信が持てることしかやらないのであればその人間が大きく成長することはないでしょう。

日本代表のワールドカップ召集メンバー発表が直前に迫っていますが、誰が選ばれるにせよ選手一人一人が必死になって自分の殻を破り積極性と自信を身につけることができれば、現在のピンチを脱出して南アフリカでの成功につなげられるはずです。

南アフリカでは、失敗を恐れず試合に勝つために積極的にチャレンジする日本代表が見たい、そのことを今一番強く願っています。




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■コメント

■はじめまして [スコ]

いつも興味深く拝見しています
が…野球が消極的な国民性の日本人向きというのは違うと思います
日本の野球には歴史があり世界的に優秀な選手(特にイチロー)やスタッフがいること
アメリカなど強豪がプレシーズンであまり本気でないことなどが日本二連覇だと思います
日本代表はMVPの小笠原や得点王の前田などJリーグで結果を出して自らのプレースタイルを代表で否定される姿を皆が感じているから指示遵守になってしまっているのかなぁと思います(俊輔や本田はそれでも外さない矛盾ありますし)
問題は岡田さんが結果を出したスタイル(堅守カウンター)と逆のスタイル(なんちゃってスペイン)を志向しているのが大きいと思います
あと選手交代など真剣勝負の采配が全く見れてない事がめちゃめちゃ不安です
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