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■バイタルエリアが使えない日本代表

 前回、日本代表の守備面における重大な問題点を指摘しましたが、今回は攻撃面の問題について述べたいと思います。

まずサッカーというスポーツの本質から述べたいと思いますが、サッカーは相手より1点でも多くゴールすれば勝つスポーツです。

それではゴールの確率が一番高い攻撃の形はどんなものかというと、オフサイドにならずにボールを持った味方が前を向いて相手GKと一対一になることです。

どうすればそういう形を一番つくりやすくなるかといえば、相手センターバックの前のスペース、いわゆるバイタルエリアで味方がボールを持って前を向くことです。これは非常に重要なことです。

逆に守備面の課題として、口を酸っぱくして「バイタルエリアを広く空けるな」と言っているのはそういうわけです。

(「バイタルエリア」といったとき、ペナルティエリア直前の「D」のエリアを指して言う人もいますが、わが国際サッカー戦略研究所ではバイタルエリアを上記のように定義します。よって、相手がDFラインを上げ下げすることで、当然バイタルエリアも移動します)


バイタルエリア1
(クリックで拡大 以下同じ)


上図を見て欲しいのですが、バイタルエリアでボールを持って前を向ければいろんなことがやれるわけです。

相手のセンターバック(4番)は自分のマークを捨て、大あわてで10番のシュートコースを消しにくるでしょう。

ならば9番のFWの足元にパスをすれば、9番はGKと一対一の局面に持っていけます。

あるいはDFラインのウラにスルーパスを出して11番に狙わせても良いでしょう。

ここが重要なのですが、バイタルエリアで前を向ければグラウンダーのショートパスでスルーパスが出せます。

グラウンダーのショートパスなら難しいトラップが必要ないので、受ける選手は簡単にダイレクトでシュートを打つこともできます。トラップやシュートのミスの可能性も低くなりますしGKとしてもセーブのタイミングをはかるのが難しくなります。

もちろん下図のように、相手センターバックをフェイントで揺さぶり、シュートコースを空けて自分で打ってしまうのも有効な攻撃です。


シュート


バイタルエリア2


バイタルエリアを使うのが2列目の選手ではなくFWだってかまいません。

上図を見ながら説明しますが、FWのうちの一人(9番)がバイタルエリアまで下がってきてパスをもらい前を向きます。

そして相手DFのウラへやはりグラウンダーでスルーパスを出して、もう一人のFW(11番)がオフサイドにならないタイミングで抜け出し、GKと一対一になります。

あるいは11番へのスルーパスと見せかけて、9番を追い越してオーバーラップをかけてきた10番へのスルーパスも破壊力抜群です。

ゴール前が混乱していると、後ろから上がってきた選手へのマークは見逃しやすいと言えます。

ゴール前中央が密集しすぎているなら、バイタルエリアからいったん外へボールを展開し、サイドバック(3番)からのセンタリングをゴール前にいる選手がフィニッシュという形も考えられます。

このようにバイタルエリアで味方がボールを持って前を向ければ攻撃のバリエーションが広がり、相手DFのウラに味方とボールを送ってGKと一対一の形を非常につくりやすくなります。

ここも重要な点ですが、相手もケアしていてなかなかスペースを空けてくれないバイタルエリアでボールを持って前を向くためには、どうすればやりやすいか。

バイタルエリアにおいて、やはり味方からグラウンダーのショートパスを受けた方が断然やりやすいと言えます。

なぜなら浮き球のパスをバイタルエリアにいる味方へ放りこんでも味方が受けるのが大変困難であり、勢いをつけてジャンプしてきた相手センターバックによってヘッドでクリアされてしまう可能性の方が高いからです。

だからこそ、攻撃の大半をグラウンダーのショートパスで組み立てていきたいわけです。

ゴールから逆算するとそういうことになります。

 ところが日本のサッカー選手はバイタルエリアを使うのがあまり上手ではありません。

どうしてバイタルエリアが上手に使えないのかといえば、「地のサッカー」の記事で詳しく述べましたが、日本人サッカー選手の体に「高校サッカースタイル」が染みついているからでしょう。

「高校サッカースタイル」とは、FWが相手DFのウラへ抜け出し、MFがそこへ向かってひたすら浮き球のロングボールを放りこむという単純な攻撃です。

この癖が大人になってもなかなか抜けず、日本代表が攻撃で行き詰まっている時は、たいてい高校サッカースタイルで一本調子の攻撃になってしまっていることが多いように思われます。

攻撃はもちろん守備も含めた諸悪の根源なのですが、まず日本人FWの相手DFラインのウラへ抜け出す仕掛けが圧倒的に早すぎるのが問題です。

まだ味方が相手ボランチの前でボールを持っている段階から、ひどい場合になると味方が相手の2列目の前でボールを持った段階でFWがウラへ抜け出そうと仕掛けてしまいます。

さらに前にいる選手全員が、一斉に同じ動き(ウラへ抜ける動き)をしてしまう傾向があります。


悪い癖


これではチーム全体が間延びしてしまって、パスをまわそうにも選手どうしの距離が離れすぎているために、パス出しをする方も相手選手の頭を越す浮き球のロングボールを放りこむぐらいしか攻撃の選択肢がなくなってしまいます。

守備で大きな穴をあけてしまう原因は、DFラインからトップまでチーム陣形が間延びすることにあると指摘しましたが、攻撃が上手くいかない原因もまったく同じです。

それを深刻な問題と理解していない選手がいることも問題なのですが。

早すぎる仕掛けを好むのはパス出しをする方も同じで、相手のボランチの前のスペースでボールをもらったら、もうラストパスを狙うための体勢に入ります。

最近は少し改善されていますが、中村俊選手や中村憲選手はそうしたプレースタイルの代表といえるでしょう。

しかし、相手DFのウラへのロングパスは相手も十分警戒していますし、残念ながら岡崎・玉田・大久保といった日本代表FW陣はフィジカルの強さや身長で世界レベルの相手にアドバンテージがあるとは思えません。

パスを受けるFWにしてみても、オフサイドにならずに自分の背後から来る浮き球のロングパスをミスなくトラップしてシュートまで持っていくのは、グラウンダーのショートパスを受けるより難易度は格段に高いです。

ところが日本の選手は相手GKとの一対一の形をつくるために、わざわざ確率が低くて難易度が高い攻撃を好むという問題があります。ここも大変重要なポイントです。

先ほども言いましたが、バイタルエリアでボールをもって前を向こうにも、浮き球のロングパス攻撃主体ではそれも難しくなります。

ラストパスの仕掛けが早いといえば引退した中田英選手も同じで、浮き球のロングバスを好むのが中村俊選手とすれば、グラウンダーのロングスルーパスを好むのが中田選手でした。


中田スルーパス


ですが、FWがパスを受けるのが難しいという意味では同じで、日本のファンタジスタ系の選手はパスを出したらその後のこと・受ける選手のことはあまり深く考えない傾向にあるといえるでしょう。

ラストパスを受ける選手の受けやすさを考えれば、あるいはミスが起こりにくい難易度の低いキックでラストパスを出すためには、バイタルエリアでボールを持って前を向くことが重要というわけですね。

 それではどうすればバイタルエリアを有効に利用した攻撃ができるかもう一度まとめましょう。

まずFWがオフサイドラインのウラへ抜けるタイミングを今よりかなり遅らせることです。

一番上の図のように、味方がバイタルエリアでボールを受けて前を向いた瞬間、ウラへ飛び出す仕掛けを始めても遅くはありません。

そうすることでチーム全体が間延びすることがかなり改善されるはずです。

そして一人のFWがウラへ抜ける動きをしたら、もう一人はバイタルエリアに下がってきてパスを受ける動きをする。(つるべの動き)

2トップや2列目の選手がみんな一斉に同じ動き(ウラへ抜ける動き)をしないことが一本調子の攻撃を避け、攻撃にバリエーションと創造性を持たせることにつながります。(上から二番目の図)

MFもゴールから逆算して、意識的にバイタルエリアでボールを持って前を向けるようなパスの組み立てを心がける。

となれば、攻撃の組み立ての主体はグラウンダーのショートパスになるはずです。

こちらが相手DFラインの前でショートパスをガンガンまわすと相手はスペースを消すために押し上げてきますから、そこではじめてウラのスペースが広く空いて、ロングパスを出してウラへ抜け出す攻撃が有効になってきます。

こちらがウラを狙うと相手は警戒してDFラインを下げますから、こんどはDFラインの前にスペースが空いてくるはずで、再びショートパス中心の組み立てでゴールを狙う。

攻撃を縦ではなく横の関係で見れば、相手が中央の守備を固めていればサイドを、サイドを警戒して人をさいているなら中央が空いているはずなのでバイタルエリアを攻める。(あるいは逆サイドを攻める)

これが現代サッカーの攻撃戦術における定石といえるでしょう。

何度も強調しますが、そこで重要になってくるのがバイタルエリアの使い方です。

ウラへ抜けてボールをもらいたがる選手とウラへのロングパスを出したがる選手が多いために、日本代表はなかなかバイタルエリアを使った有効な攻めができません。

だからオランダどころか東アジア選手権に出てきた韓国や中国の守備陣さえ崩すことができないという事態が起こってしまいます。

 一筋の光明はCSKAモスクワの本田選手の存在でしょう。

今の日本代表において、本田選手はバイタルエリアで足元にボールをもらうことを好む希少なタイプの選手です。

豊田スタジアムで行われたバーレーン戦、前半ロスタイムにとても良い形がありました。

バイタルエリアでボールを受けた本田選手が相手DFのウラへグラウンダーのスルーパスを通し、タイミング良く抜け出した松井選手が相手GKと一対一になったシーン。

残念ながら松井選手が次のプレーを迷ってしまったためにゴールにつながりませんでしたが、バイタルエリアを使った攻撃としては理想的な形でした。

こういう形をどんどんつくっていけるなら、W杯でも希望が見えてきます。

CSKAでのプレー映像を見ていると、本田選手はバイタルエリアで前を向いたら自分の前にDFがいても構わず積極的にシュートを狙っていて、そのアグレッシブな姿勢も非常に良いです。

日本代表の他の選手達もこのように、どんどんバイタルエリアを使っていくべきです。

そうすることによって日本代表の攻撃が一本調子に陥ったり、ボールを回している割には良質なシュートチャンスをつくれない、攻撃がつまってしまうといった課題の解決につながるはずです。

 もしあなたが高校やJクラブのユースなどで実際にプレーしているなら、バイタルエリアを上手く使うことでライバルに2歩も3歩も差をつけられると思いますよ。




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