■世界を驚かせる覚悟

 皆さんは自分が応援していないチーム同士の試合を観る時、強いチーム視点で観ますか?それとも弱いチーム視点で観ますか?

例えば、FCバルセロナVSシェレス戦を観るとしたら、たぶん多くの人は「メッシすげーな、イニエスタすげーな」と言いながらバルサ視点で観戦するのではないでしょうか。

その方がだんぜん面白いですしね。

私は逆に、いつも弱いチーム視点で観ます。

もしFCバルセロナVSシェレスならシェレスの視点で、ドイツVSリヒテンシュタインならリヒテンシュタイン代表の視点で観ます。

なぜかと言えば、強豪チームの選手はフットボーラーとしてなすべきことを当り前のようにやってしまうので、強いチーム視点で観ているとそれが本来どれくらいすごいことなのかイマイチ分かりにくい。

「C.ロナウドすげーな」で何となく終わってしまうのではないでしょうか。

ところが、弱いチームというのは「やるべきことをやらないとこういう失敗するよ」ということの宝庫なのです。

だから弱いチーム視点で試合を観ると、逆にワールドクラスのプレーヤーが難なくこなしていることがどれくらいすごいことなのかハッキリと分かります。

 一例をあげれば、「相手に1点リードされても決してしょぼくれて下を向くことなく、すぐ点を取り返そうと反撃する」という一見当り前のことが弱小チームではできません。

特に「対戦相手は自分達より強い」と考えている場合、弱いチームが同点あるいはリードしている状態であればがんばれるのですが、たった1点リードされただけで「ダメだ。もう終わった」というムードがチームに充満し、がっくりとモチベーションが下がることが良くあります。

これは典型的な「敗者のメンタリティ」です。

モチベーションの急落は「足が止まる」という現象で現れます。

自軍のペナルティエリア内で相手の一番危険な選手がヘディングシュートしても、ボールがゴールネットに突き刺さるまでみんなが足を止めてそれを見ている。

相手選手がミドルシュートの体勢に入ったとき、シュートコースを消すための一歩が遅れたためにもう1失点。

気づくと相手に3点差・4点差をつけられている。

弱小チームのイレブンの「もう終わった」という気持ちが、強豪相手の試合で現実にそういうスコアを引き寄せてしまう。

オランダ遠征での日本代表が典型的だと思います。

0-0の状態では非常によい内容のゲームをしていました。

ところがゴール前における一瞬のマークのズレからファンペルシーに先制ゴールを許すと日本代表は運動量がガックリと減って、スナイデルのミドルにフンテラールの駄目押しゴールを立て続けに食らって0-3の完敗。

東アジア選手権での韓国戦も、前半日本が先制したものの逆転を許し1点ビハインドという状況で、ロッカールームに帰ってきた選手達は、みんな下を向いて黙りこくっていたそうですね。

まだ残り45分もあって、たった1点リードされただけなのに。

サッカーでは、退場で1人少なくなったチームがまるで相手より1人多いかのように動き回ってガンガン攻めるなんてことも起こります。

日本の選手が消極的な「敗者のメンタリティ」を引きずっている限り、W杯で決勝トーナメントへ進出するなど夢のまた夢でしょう。

W杯優勝3回を誇るドイツ代表の代名詞といえば最後の1分1秒まで絶対に勝利をあきらめない「ゲルマン魂」で、過去に何度も名勝負を繰り広げてきましたが、これこそ「勝者のメンタリティ」と言えます。

 日本人選手のメンタル面における二つ目の問題は、日本代表は練習やテストマッチではできることでも、プレッシャーのかかる公式戦(W杯予選や本大会など)だとサッパリできなくなってしまうということがよくあります。

まず、失敗を恐れるあまり慎重になりすぎて、「勝つ」ために最低限必要なリスクさえ取ることができなくなってしまいます。

ボールを失うのが怖いのか、バイタルエリアに入ってもシュートやクロスをためらって、バックパスばかりのサッカーになる。

東アジア選手権の3試合でも、監督の指示とちょっとでも違うことをやってレギュラーポジションを失うのが怖いのか、監督が「サイド攻撃を」と指示すると、サイドからのクロス・パスばかりになってなかなかシュートが打てません。

これでは自分の力を出しきる前に負けてしまいます。こんな悔しい負け方はないはずですが...

 さらに、強いプレッシャーのかかる試合では無我夢中でプレーしてしまうために現代戦術のセオリーが忘れ去られ、日本の「地のサッカー」がたちまち姿をあらわしてしまいます。


それは、FWからDFまでチームが間延びして、特にセンターバックの前に広いスペースを空けてしまうという現象としてあらわれます。

つらい試合苦しい試合ほど、にわか仕込みのチーム戦術などはぶっ飛んでしまって、子供の時から体に染みついている「地のサッカー」が姿をあらわすというのは私の持論なのですが、日本のW杯出場がかかったアウェーのウズベキスタン戦はその典型で、日本はコンパクトな陣形をまったくつくれず本当に苦しい試合になりました。

東アジア選手権の韓国戦もそうでしたし、ドイツW杯のオーストラリア戦でもそうでしたね。

元ブラジル代表でかつて王様と呼ばれたペレは、「ペナルティエリアでは落ちついている方が勝つ」と言っています。

日本代表の選手たちは、相手のペナルティエリアに近づくほどメンタル面で余裕を失い、プレーがどんどん硬くなっていきます。

ワールドクラスのプレーヤーは、相手のゴール前でゆるいパスを本当に上手に使います。

敵GKやDFよりも味方の方が早く到達できるスペースへ「シュートを打ってください」とばかりに、やさし~いゆっくりとしたパスを出すのが本当に上手いですね。

ところが日本の選手がペナに近づくと、味方が追いついたりトラップするだけでも難しいような、強すぎるパスを力任せに蹴るシーンをしばしば見かけます。

ようやく一大決心をしてシュートを打つ時は全身に力が入りすぎてもうガチガチで、技術力のレベルがミドルサードにいる時の半分くらいになってしまいます。

日本代表のベンチワークからしてプレッシャーのかかる試合ではガチガチにこりかたまってしまって、交代カードを切るのがいつも手遅れになるなど「脳死状態」に陥っているように思います。

 人間だから、プレッシャーのかかる公式戦で緊張するのは仕方ありません。

しかし日本がW杯で勝ちぬいて行くためには、過緊張からくる悪影響がチームの敗戦に直結しないよう、選手のメンタル面でのマネジメントが欠かせないと思います。

本当ならば、W杯アジア予選の段階でこういった課題は一つ一つクリアしておくべきでした。

それをおざなりにしてきたから、W杯まで後3ヶ月という今になってジタバタ大騒ぎしているわけです。

こういう問題は海外組を呼べばなんとかなるというものではありません。
海外組が参加していたW杯予選からずっとそうでしたから。

 日本代表選手のメンタル面の問題をもう一度整理します。

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1.ちょっと苦しい状況になっただけで勝利への闘争心を失い、ガックリとモチベーションが下がってしまう

2.プレッシャーのかかる試合ほどシュートが打てなくなるなど、消極的な安全策に逃げこんでしまう

3.プレッシャーのかかる試合ほど選手が我を忘れて無我夢中でプレーしてしまい、戦術の基本的なお約束さえどこかへぶっ飛んでしまう


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少なくともアジアにおける日本人選手の技術力はトップクラスだと思うのですが、どうしてこうも自信なさげにプレーしてしまうのでしょうか。

 私は「根性さえあれば勝てる」といった非科学的な精神論は支持しません。

もちろんフィジカル能力や技術力・チーム戦術の理解力も重要なのですが、選手個々のメンタル面が脆弱だとやはりよい成績はあげられないと思います。

日本代表選手の抜本的な意識改革を行って、たとえ相手が強豪でも不利な試合展開でも最後まで勝利をあきらめずに、アタッキング・サードではリスクをおかしてシュートすることから逃げない積極性を何としても身につける。

どんなにプレッシャーがかかる試合でも無我夢中で我を忘れてプレーしてしまうのではなく、攻守両面でチーム戦術が徹底できているかどうか常にまわりを見渡せる冷静な判断力、相手のゴール前へ行くほどよい意味で力をぬいたプレーができるメンタル面での余裕。

W杯で本当に4強を狙うなら、そういった「勝者のメンタリティ」を身につけるための意識改革が絶対に必要です。

これで対戦相手が想定外のことをやってきて自分達のやっているサッカーがうまく行かなくなった時、ピッチ上の選手たちだけでどうすべきかを考え、正解を導き出せるような戦術眼を持つようになってくれば言うことなしですが。

 少なくとも、相手が誰だろうが1点奪われたら今まで以上のモチベーションでそれを取り返してやろうとすることに特別な才能はいらないはず。

残念ながら、今の岡田ジャパンから「世界を驚かせる覚悟」というものがぜんぜん感じられません。





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