■日本代表、香港にスッキリしない勝利

 今年最後の代表マッチとなったアジアカップ予選の対香港戦は、4-0で日本の勝利に終わりました。

対戦相手の香港は日本にとって、ホームでもアウェーでも問題なく勝てる相手という戦力評価は前回対戦時から変わっていません。

その点、アウェーで4-0の勝利という結果を出したことについては良かったと思います。

 試合は、立ちあがりからホームの香港が積極的に攻勢に出てきて互角の展開。
中盤でも激しくプレスをかけてきて日本に攻撃を自由にやらせてはくれません。

前半15分ごろまでは香港にFKから何度も攻められますが、それを過ぎるとだんだんと日本がボールを回せるようになってきます。

それでも一度引いて体勢を立て直してから激しくプレスをかけてくる香港の守備にてこずり、攻めのリズムが悪い時間帯が続きます。

しかし「引いた相手にはミドルシュート」という定石通り、32分ペナルティエリア前のほぼ中央から長谷部選手が正確なミドルシュートを香港ゴールへ突き刺し日本先制。

0-0ならがんばれるけれど、たった1点でも失うとガックリと運動量が減って押し込まれる一方になった香港の姿は、オランダ遠征の日本を見ているようでした。

それでも闘莉王選手のヘッドをゴール直前でかき出すなど、香港選手の最後のふんばりには目を見張るものがあります。

 後半はロッカールームでカツが入ったのか、香港の激しいプレスが復活し、日本の攻撃のリズムが再び悪くなります。

29分、香港のCKからのボールがゴール前に入り日本の選手に当たってポストをかすめていき、ヒヤッとさせられます。

そうした嫌な流れを変えたのは途中出場した佐藤選手のゴールでした。

29分、遠藤選手の正確なクロスを彼がヘッドで落ちついて決めて2-0。

これでガックリきた香港。

39分には直接FKを中村俊選手がゴールにねじこみ3-0。

ロスタイムには自分が倒されて得たPKを岡崎選手が決めて4-0。

試合を決定づけました。

 それでは試合内容を見ていきましょう。ますは守備面からです。

守備に関しては、ゴール前でも集中を切らさず、中盤のプレスもがんばっていたと思います。

ただ、プレッシングの連動という面では改善すべきところも依然として残っています。

例えば一人がプレスをかけに行っても、他の選手とあまり連動していないため、ボールを持った相手にサッとかわされ、ドリブルで抜かれてそれっきりというシーンもたまに見かけます。

一人がプレスをかけて、相手がそれをドリブルで抜きにかかりボールを体から離した瞬間に後方でカバーしている選手が奪うとか、プレスをかけられた相手選手がパスでそれをかわそうとした場合に、後方でカバーしている味方がパスコースを読んでインターセプトする、といった連動性が欲しいところです。

南アフリカ戦でもそうでしたが、チーム全体がやや間延びしていたのも守備の連動を難しくしていたのかもしれません。

また、プレスをかける選手もいきなり飛び込んで相手に抜かれてそれっきりではなく、悪質なファールをして倒す必要はありませんが、最後まで体を寄せて相手のバランスを崩し、自分をカバーしてくれる味方を助けることも重要です。

守備全体としてはまずまずでしたが、そのあたりチーム全体としてどうするのかを詰めて、意思統一をしておくことが必要に思います。

 攻撃に関しては内容が良くありませんでした。

中盤がうまく組みたてられず、リズムに乗った攻撃がなかなかできない原因となりました。

長旅の疲れがあったのでしょうが、パスを引き出すための動きが鈍く、パスを受ける選手のポジショニングやボディシェイプが悪いために、苦しまぎれにヒールなどを使ってボールをつなごうとしてパスが不正確になり相手に奪われるというパターンが多かったです。

日本側のボール保持者もパスコースを探しているうちに香港のプレスにかかり、横パス・バックパスが増えてしまいました。

香港が闘志あふれる素晴らしいプレスディフェンスを展開したというのはありますが、あれをかわしてパスがつなげるようでなくては、スペインやブラジルが本気で日本のボールを奪いに来たら、手も足も出なくなってしまうでしょう。

相手が激しくプレスをかけてくると、安全にパスを受けられるポイントというのも激しく動きます。

攻撃側はそれを上回るスピードでポジショニング修正をしないと、ダイレクトでパスをつなぐのが困難になります。

逆にこちらが早めに適切なポジショニングでパスを受け、周りの味方も連動してダイレクトパスをつなぐことで相手のプレスがかわせれば、相手もそう簡単にはプレスをかけて飛びこんで来ることはできなくなります。

南アフリカ戦でもそうでしたが、この試合も日本のバックからトップまでの間がやや間延びしていて、選手間の距離が遠くなったこともうまく中盤でつなげなくなった原因の一つだと思います。

南アフリカや香港のようにロングボールを多用するチームは間延びしがちなので、こちらもそれに引きずられる形で間延びしがちになりますが、チーム全体としてトップからバックまでの距離が今どうなっているのかを常に意識してプレーし、問題があればピッチ上の選手だけで修正できるようになって欲しいと思います。

 攻撃がうまくいかなくても我慢して、引いた相手を正確なミドルシュートで崩せたことは評価できます。

長谷部のあのゴールはワールドクラスのプレー。さすがにブンデスリーガーですね。

松井・大久保・内田の各選手にも決定的なシュートチャンスが何度もありました。

積極的にシュートを打つその姿勢は大いに買いたいのですが、あまりにも不正確なのが残念です。

あそこで点を入れられる能力があるかないかで、W杯の結果にも大きく関わってきます。対戦相手が強豪であってもそうでなくても、普段できないことは試合中にごまかしが効きません。

せめてワクには飛ばして欲しい。

彼らの場合、シュートが不正確になる原因は技術的なものよりもメンタルだと思うので、練習でハードワークして実戦で結果を残し、自信をつけていって欲しいと思います。

 途中出場ながら佐藤も冷静にゲームの流れを変えるゴールを決めました。

岡崎のパートナーがなかなか見つからないなか、どうして先発で試さないのかとずっと考えていました。90分戦うスタミナに問題があるとも思えませんが。

その岡崎は、相手DFに引きずり倒されても「PKなんかいらない。自分でゴールする」とばかりにレフェリーの顔一つ見ずに立ちあがってシュートを狙うというプレーが前半にありましたが、まさに点取り屋でした。私はこういうアグレッシブな選手が大好きです。

後半のPK獲得も、そうしたメンタルが生み出したプレーでした。

W杯本大会まで、まだ伸びしろが期待できる選手です。

 今回の香港戦は、4-0という結果をキッチリと出したことは良かったと思いますが、試合内容についてはあまり良くありませんでした。

それでも南アフリカ・香港と中盤で厳しくプレスをかけてくるチームと試合ができたことは、貴重な教訓になったと思います。

W杯本大会でも強豪相手に激しいプレスをかけられて、日本の持ち味である「人とボールを動かしショートパスで相手を崩すサッカー」ができないケースも想定しておかなくてはなりません。

ベストなのは今よりもっと連動性を高めて、どんなにプレスをかけられてもそれをかいくぐってパスをつなぐ能力を獲得することです。

しかし、相手のプレスディフェンスのレベルが高すぎて上手くつなげない場合でも我慢してこちらから先に失点しない、粘り強く打開策を実施して相手の足が止まったときなどの好機を逃さず試合を決定づけるゴールをあげる、といった応用力を本大会までにつけないと、W杯3位以上は見えてこないでしょう。



-------------------------------------------
          2009.11.18  香港大球場


         香港  0  -  4  日本


                    長谷部  '32
                    佐藤   '74
                    中村俊  '84
                    岡崎(PK)'90+



       GK 張春暉      GK 川島

       DF 李志豪      DF 内田
          ガイ          中澤
          陳偉豪        闘莉王
          潘耀チュク      駒野
         (黄展鴻 32)    (徳永悠平 84)
          呉偉超
         (文彼得 83)   MF 長谷部
                       遠藤
       MF 李海強        (阿部 86)
         (歐陽耀沖 45)    中村俊
          郭建邦         松井
          白鶴
          盧均宜      FW 岡崎
                       大久保
       FW 陳肇麒       (佐藤 60)





↑購読料代わりに一日一回ポチッとして頂けるとうれしいです。↓
人気blogランキング

  

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク






   

ブログ内検索