■日本代表、不満の残るドロー

 開催地が二転三転した日本代表の南アフリカ遠征ですが無事試合は開催され、2010年ワールドカップ・ホスト国である南アフリカと0-0で引き分けという結果になりました。

 今回対戦相手となった南アフリカ代表ですが、イングランドやオランダでやっている選手はいるものの、国内リーグでプレーする選手が中心です。

戦力は日本の方が上、日本のホームで日本の勝ち、アウェーで引き分けぐらいの実力差と評価していました。

(日本ではブラックアフリカのチームをリスペクトしすぎているように思います。もちろんどんな相手もナメてはいけませんが、日本よりはっきりと実力が上というチームはコートジボアールとガーナくらいではないでしょうか)

0-0で引き分けという結果については順当だと思いますがそれでは現状維持にすぎません。

岡田ジャパンはW杯3位以上を目標にしている以上、勝利という結果が是が非でも欲しいところでした。

 試合展開の方ですが、立ち上がりはやや日本が優勢か。

プレスをかけてボールを奪い、人とボールを良く動かして相手を崩しにかかる日本。

しかし南アフリカも厳しいプレスで対抗、固い守備を見せますが、攻撃はFWマッカーシーへロングボールを当てる単調なもので、さほど怖さはありません。

前半11分、ゴール前やや左から長谷部選手が鋭いミドルシュートを放ちますが、惜しくもGKジョセフにセーブされます。 

15分、日本のカウンターぎみの攻撃からパスが左サイドをかけあがった岡崎選手へ通り、そのまま相手DFラインの裏へ抜け出してシュート!これはファーポスト側へ外れます。

前半30分前後から日本が中盤を組みたてられなくなり、ゲームの流れが南アフリカへと傾きます。

30分、日本の右サイドでボールを受けたツァバララが強烈なミドルシュートを放ち、GK川島選手が横っ飛びで何とかセーブ。

33分、スルーパスを受けた大久保選手が相手DFラインの裏へ抜け出しGKと一対一。

この試合最大の得点チャンスでしたが、ボールを持ちすぎてしまってシュートチャンスを失い、戻ってきた相手選手につぶされてしまいました。

その後も南アフリカが優勢に試合を進めましたが日本がしのいでゲームは後半へ。

 後半10分に中村俊・松井両選手を投入して再びパスがスムーズにつなげるようになり、流れが日本へと傾きます。

31分のCKは中澤選手が先にさわりましたがヘディングシュートは惜しくも外れます。

34分、徳永選手からのフィードを受けた岡崎が振り返りざまにシュート、しかし南アGKがはじいてCKへと逃れます。

試合終了まで日本が攻勢に出ましたが、最後まで得点をあげることはできませんでした。

 それでは試合内容を分析しましょう。今日はディフェンスからです。

ディフェンスについてはまずまず良かったと思います。南アにほとんど決定機を与えませんでした。

中盤のプレスもかなり効いていましたし、ゴール前でのマークのズレもなく、ガーナ戦でやられたロング1本のカウンター攻撃にも上手く対応できていました。

ただ、相手に放りこまれたロングボールは出来るだけバウンドさせずに、ヘッドか足で対処したいところです。

バウンドしたボールを奪い合う場合、やはり身体能力の高いアフリカの選手が有利ですし、たった一回負けただけでいきなり失点というリスクがあります。

この試合決定的なミスにはなっていませんが、バウンドしたボールの奪い合いで少し危なっかしいシーンが見られました。

 ディフェンスの問題点としては、前半30分のツァバララに強烈なミドルを打たれたシーンがありましたが、相手のボール保持者がドリブルで突進してきたとき、誰も応対に行かずにフリーにしてしまうケースが何度かあったことです。

ジーコジャパン時代からずっと言っていますが、特に今野選手のポジショニングがおかしいように思います。

相手のボール保持者のシュートやパスのコースを切るために今野が応対に行って、彼の背後に相手の別の選手がオーバーラップをかけると、今野はボールを持っている相手をフリーにして、オーバーラップをかけた選手の方へついて行ってしまいます。

これでは日本陣内深くで、ボールを持っている相手選手のプレー選択肢を無限大に広げてしまい危険極まりありません。

今野が任されたゾーンに相手がボールを持って侵入してきたら少なくとも相手がボールを放すまでしっかりマークについていき、別の選手がオーバーラップをかけてきたら、中澤・闘莉王の両CBなどに後ろのカバーを任せたほうが良いと思います。

ただ、トータルで見れば守備に大きな問題はありませんでした。

 次は攻撃面について。

中盤の組み立てですが、これもまずまず良かったと思います。

人とボールが良く動いて、ショートパスを中心にした良い攻撃でした。

これによってアウェーにもかかわらず、ゲームの主導権をこちらで握ることが出来ました。

ただ、南アフリカもかなり厳しくプレスをかけてきたため、こちらのパスやスローイング・トラップが雑になってミスからボールを無駄に失うシーンが多かったです。

守備でプレスをかける目的は、まずボールを奪うことであり、その次にボールを一発で奪えなくても、相手のプレーを不正確なものにしてミスを誘い、最終的にチーム全体でボールをからめとってしまうというところにありますが、特に前半は南アフリカの厳しいプレスに苦しんでいたようでした。

W杯決勝トーナメントで勝ちぬいていくためにも、これぐらい激しいプレスを受けたとしてもプレー一つ一つの正確さを失うようではいけません。

アフリカ人選手は他の人種よりも、相手のボールを奪う時のリーチが長いように思うのですが、特に前半の日本代表は相手が厳しくプレスをかけてきているのに「まだボールを持っていても大丈夫だろう」といったぐあいに余裕を持ちすぎ、ミスにつながっていたのもちょっと気になりました。

それでもトータルで見れば中盤の組みたては良かったと思います。

 攻撃で問題だったのは、やはりフィニッシュ。

ゴールしなければ勝てませんし、そのために中盤を組み立てているわけですから。

W杯でベスト4に入ってくるようなチームなら、この試合1-0・2-0で勝つ可能性が高いと思います。

岡田ジャパンの目標をふまえれば、ノーゴールという結果は不満です。

どうやら3トップを試したようですが、残念ながらそのようには見えませんでした。

岡崎はまずまずの動きでしたが、ファンの方には申し訳ないのですが大久保はFWとしては軽いです。

今のところチャンスメーカーではあってもゴールゲッターではないと思います。

本田もトップというよりはMFの仕事に忙殺され、ほとんどシュートを打てませんでした。

2トップにしてその一角に本田をいれ、「点をとってこい」と仕事を明確化してやったほうがオランダリーグで発揮された得点力が生きるかもしれません。

もし3トップにこだわるなら、ウインガーには松井を入れたらどうでしょうか。

松井という選手は独特なプレースタイルからシステムを選ぶので、むしろそのポジションぐらいしかピタリとはまるところがないという気がします。

 さて今回の遠征はW杯本大会のシミュレーションという意味合いがありました。
ピッチの状態・会場の雰囲気・宿泊施設などについて、貴重な経験を積むことができたと思います。

W杯南アフリカ大会は、季節がいつもと逆の冬の開催となります。

2006年W杯は欧州にしては酷暑の大会となり、運動量があまり多くないテンポもややスローなゲームが多かったですが、2010年は今回の試合のように運動量が多く、かなりテンポの早いゲームが多くなることが予想されます。

また、会場になったポートエリザベスは「風の街」という異名を持つぐらいインド洋から吹きつける強風が名物となっていますが、TVで見るかぎり当日もけっこう風が強いようでした。

風がゲームに与える影響についても貴重なデータが取れたのではないでしょうか。

当初、標高1700mの高地にあるヨハネスブルグで試合が予定されていましたがそれがキャンセルされ岡田監督が残念がっていました。

年明けにはアジアカップ予選の対イエメン戦がアウェーであるはずですが、イエメンの首都サヌアは標高2200mにあり、高地対策を行うならサヌアが良いかもしれません。

ともかく南アは高原の国なので、高地の影響が実際のプレーにどの程度影響するか、一度は経験しておく必要があるでしょう。

 今回の南アフリカ戦は、試合内容はまずまず良かったと思いますが残念ながらゴール、そして勝利という結果を出すことはできませんでした。

中盤の攻防についてはかなり形になってきています。

後はゴール前での攻防が課題ですね。

いかに自軍ゴール前でのミスを防ぐか、いかに相手ゴール前でのチャンスをゴールという結果に結びつけるかによって、W杯の結果は大きく変わってくるでしょう。 


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     2009.11.14 ネルソンマンデラ・ベイ・スタジアム
                    (ポートエリザベス)

      南アフリカ  0  -  0  日本



     GK ジョセフ         GK 川島

     DF グールド        DF 内田 
       マシレラ           (徳永 71)
       ヌコンカ            中澤
       モコエナ           闘莉王
                       駒野
    MF ツァバララ          (今野 80)
      (クレイト 69)
       モダイス         MF 稲本
     (ファン・ヘールデン 69)   (松井 59)
       シバヤ             長谷部
       ディクガコイ          遠藤
     (レトショロニャン 69)      本田
                       (中村俊 59)
    FW マッカーシー
      (パーカー 74)      FW 岡崎
       ムフェラ            大久保
                       (興梠 71)





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