■日本、オーストラリアに力負け

 2010年W杯アジア予選の最終節、対オーストラリア戦は1-2で敗戦という結果となりました。

この試合で審判団はようやくノーマルなジャッジとなりましたね。

 さて、対戦相手のオーストラリアは現時点では日本より格上。
日本のホームで引き分け、アウェーでオーストラリアの勝利、ぐらいの実力差と評価していました。

1-2で敗戦という結果は順当だったと思います。

おそらく両チームともまだW杯出場を決めておらず、フルメンバーで対戦したとしても、かなりの確率で同じ結果になっていたのではないでしょうか。

しかし、日本はW杯で3位以上という目標をかかげているわけですから、どんなに悪くとも引き分けにしておかないといけません。

 試合経過をおさらいしておきます。

立ちあがりは両チーム互角の展開。

7分、オフサイドぎみにウラへ抜けたケーヒルが定石通りファーへシュートするも楢崎選手がセーブ、こぼれたボールのクリアがオーストラリア側へ渡ってステリョフスキーにシュートを打たれるも、日本の選手が体に当ててCKへ。CKからケーヒルのヘッドはゴールマウスを外れました。

19分、GKのミスキックを拾った松井選手がクロス、岡崎選手のヘッドはクロスバーの上。

40分、オーストラリアの時間を耐えた日本が反撃。
CKから中村憲選手が蹴ったボールをフリーになった闘莉王選手が打点の高いヘッドでゴールにねじ込み、日本先制。

 ここから目の色が変わったオーストラリアが攻勢を強めます。

後半10分・13分に松井や岡崎のシュートが外れた後の14分、日本ゴール前のFKからフリーになったケーヒルがヘッドで競り勝ってシュート、オーストラリアが同点に追いつきます。

32分、またしてもセットプレーから失点を許します。CKから阿部選手に競り勝ったケーヒルに逆転ゴールを叩きこまれて1-2。

このあと日本の攻撃をオーストラリアがしっかり守って、そのままタイムアップとなりました。

 それでは試合内容を攻撃から分析してみます。

中盤での攻撃の組み立てはウズベキスタン戦を大底に、カタール戦→オーストラリア戦と徐々に良くなっていました。

各選手から自分たちのやり方を取り戻そう、最後までやり抜こうという意志が見えたのはとても良かったと思います。

ただ、ショートパスによる組み立てでミスが多く、オーストラリアに簡単に攻撃権を渡してしまったのは残念でした。

原因は、パスの受け手のポジショニングがまずいのが一点。

そしてパスの出し手が、足元にしっかりと出すわけでもない、かといって敵選手がいないスペースに出すわけでもない、非常に中途半端なショートパスを出してしまうことが二点目です。

結局、相手の守備陣形をグラウンダーのショートパスで崩す時の基本がまだまだ理解できていないということであり、少なくともミドルサードでは、パスの出し手はどういう時にパスを出して良いのか、受け手はどこでパスを待ったら良いのか、それぞれの約束事をハッキリと決めておくべきです。

グラウンダーのショートパスをつなぐときの基本事項

W杯までたった1年という段階で、こういうベーシックな部分ができていないというのは危機的状況だと思います。

 得点シーンは、中村憲がスペースへ精度の高いCKを蹴ったことと、闘莉王がうまく自分のマークを振り切ってフリーになり、落ちてくるボールに全力で飛び込んだことが勝因でした。

本来ならケーヒルが闘莉王をマークすべきだったのでしょうが、一瞬応対が遅れたことも得点につながりました。

どうも日本サッカー界には、身長の高いチーム相手にサイドからのクロスボール攻撃は通用しないという思いこみがあるみたいなのですが、精度の高いクロスを相手の選手と選手の間のスペースへ正確に落とし、うまく相手のマークを振り切って落ちてくるボールに全力で飛び込んでヘッドすれば、日本代表でも得点できるということをこの日の得点は証明しています。

日本代表の場合、相手の身長が高いからといってサイドからのクロスをためらってしまったり、クロスを受ける選手も、その場でジャンプできる範囲内のボールしかヘッドしないという傾向がありますが、それではサイドからのクロス攻撃が機能しないのも当然です。

その点日本人FWとしては希少価値のある、スペースへ飛び込むダイビングヘッドが得意な岡崎がブレイクしたのも必然だったのでしょう。

ゴール前でのヘディングシュートの基本

 つづいて守備面ですが、各選手から中盤でのプレスをしっかりやる、チーム隊形をコンパクトにするという意志を感じ取ることができたのは良かったと思います。それがより完成度の高いものに近づくように、継続していって欲しいと思います。

最初の失点シーンは、ケーヒルについていた阿部がどういうわけか途中でマークを放してしまい、ほぼフリーでヘディングシュートを打たれたことが敗因でした。

今年はじめのイエメン戦でも言いましたが、オーストラリアはもちろんスペインやドイツ・ブラジル相手にW杯本番でこういうプレーを10回やったら12点叩きこまれるでしょう。

自軍ゴール前でマークすべき相手選手をフリーにしてしまうというのは、サッカーの上手・下手、戦術うんぬん以前の問題であって、相手のCK・FKやクロスに対してはまず日本の選手が最初にボールに触る、それがどうしてもできない時はそれであきらめてしまうのではなくて、最後まで相手選手に自分の体を密着させフリーでやらせない、相手のヘッドをできるかぎり弱めてGKを助けるということは全てのフィールドプレーヤーとって最低限の義務です。

これは阿部1人の問題ではなくて、日本人選手全体の問題ですが、W杯まであと1年を切っている段階で、こういうベーシックなところが未だに徹底されていないというのはかなり危機的な状況です。

 2失点目は、阿部がケーヒルとの一対一の勝負で負けたことが全てでした。

ケーヒルはW杯予選初失点の原因が自分にあったことを理解して、日本にリードされて以降、普段より増して積極的にプレーし、ミスを取り返そうとしていました。

ミスを取り返すどころか決勝点を決めておつりが来る活躍でした。

ファンの方には申し訳ないですが、現時点において阿部に世界レベルの試合でセンターバックを任せるのは荷が重過ぎるようです。

山口・槙野両選手がいたのですから、同じ失敗をするにしてもまだ槙野に経験を積ませた方が良かったのではないでしょうか。

 選手個々の評価では、カタール・オーストラリアとの二連戦で、阿部・今野・橋本といったレギュラーポジションを取れていない選手が起用されましたが、何としても自分がレギュラーポジションを獲得してW杯に出てやるという積極的な姿勢が伝わってきません。

自分のマークを放して相手がフリーでプレーするのを立ち止まって見ている、攻守の切り替え時でも自分のポジションに戻るのが遅い、せっかく相手ゴール前でシュートチャンスをもらってもパスすることばかり考えている、といった具合にプレーがとても消極的です。

これでは世界で戦えません。

代表に新しい選手を入れてどんどんチャンスを与え、控え組はもちろんレギュラー組にも危機感を持たせることで、よどんで腐りかけた水を一掃すべきです。

今までの実績にあぐらをかいて、「控えでも良いから南アフリカへ行って、記念に10分でも試合に出られればそれでいい」と考えるベテランをいれるぐらいなら、経験も実績もなくとも「何としても代表でレギュラーポジションを取り、南アフリカで活躍してリーガエスパニョーラやプレミアリーグのスカウトにアピールしてやる」と考える10代の選手の方がよっぽどいい。

監督の代表選手選考や試合での起用法についても、年功序列を重視した、消極的な安全策ばかりになっているのではないでしょうか。

 アジア予選の最終戦は、サッカーの基本を最低限おさえられているオーストラリアが、基本がまだ完全にはできていない日本を破るという順当な結果となりました。

ただ、現時点でオーストラリアがW杯で決勝トーナメントに行けるかどうかは五分五分でしょう。

 W杯アジア最終予選を総括すると、日本の2位通過は順当な結果だったと思います。

岡田ジャパンは当初、W杯で3位以上という目標をかかげましたが、今予選中、決勝トーナメント進出を狙えるようなレベルのサッカーができたのはアウェーのカタール戦1試合のみであり、現在の状況では決勝トーナメント進出すら危ういように思われます。

日本が2002年W杯で決勝トーナメントに進出した熱気が残っていた06年W杯予選では、ドイツ行きを決めた対北朝鮮戦の視聴率は40%を越えていました。

ところがドイツでの大敗の後、オシム前監督が「全員で(止まってしまった日本サッカーという)車を強く押さなければならない」 と危機感をあらわにしたように、代表人気も凋落、南アフリカ行きを決めたウズベキスタン戦の視聴率は半減の20%台という状況です。

国民は、日本代表がグループリーグ敗退の次のステップへ進むことを期待しており、南アフリカでもう一度大敗するようなことは、許されない状況です。

代表とJリーグは日本サッカーにとって車の両輪であり、どちらが欠けても前へ進めなくなってしまいます。

 岡田ジャパンのたてたW杯3位以上という目標が実現するところをぜひ見たいと私も思います。

そのためには、いついかなる状況でもサッカーの基本を押さえたプレーができるように練習で一つ一つ地道につぶしていく、いったん覚えた基本は二度と忘れない、同じ失敗を二度と繰り返さないということを、地に足をつけてやって欲しい。

優秀な監督なら、1年あれば本番にギリギリ間に合う最後のチャンスです。

もし私がJFAの会長であったなら、岡田監督がそうした問題意識をそもそも持っているのか、具体的なソリューションを持っているのか良く話し合いをして、正しい解を用意できないと判断すれば、スッパリ監督を変えて積極的に勝負します。



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     2009.6.17 メルボルン・クリケットグラウンド


     オーストラリア  2  -  1  日本


     ケーヒル '59          闘莉王 '40
     ケーヒル '76


     GK シュワルツァー       GK 楢崎

     DF ニール            DF 闘莉王 
       ノース               長友
       ステファヌット           内田
       ウィリアムズ         
      (バーンズ 78)        MF 阿部
                          今野
     MF ケーヒル             橋本
      (ビドシッチ 86)         (興梠 84)
       カール               中村憲
      (マクドナルド 78)         松井
       カリーナ             (矢野 68)
       グレッラ
       ステリョフスキー       FW 岡崎
                           玉田
     FW ケネディ




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