■カタール戦、空回りのドロー

 2010年W杯アジア最終予選、日本にとっては事実上の消化ゲームとなってしまった対カタール戦が横浜で行われ、1-1で引き分けという結果となりました。

 いや~それにしてもカタールの首都でやった試合かと思いました。

この試合もウズベキスタン戦に引き続き、9割がた政治力(ぶっちゃけて言えばイカサマ)がかかっていたように思えます。

「アジアサッカー連盟(AFC)のハマム会長の出身国であるカタールがW杯に出られないのではカッコがつかない。日本はもうW杯出場が決まってんだし、この試合は負けとけ。な。」という天の声があったか、

前々回にお話したとおり、FIFA理事選でハマム会長の落選を狙って失敗した日本サッカー協会への報復か。

それを生かす?ことができず、W杯プレーオフ行きの切符を逃してしまうカタールもなんだかなぁ、という話ですが。

 正々堂々と戦えれば、日本はホームでもアウェーでもカタールに勝てる実力差はあると評価していましたが、引き分けという結果は残念でした。

W杯行きをすでに決めている日本としては、モチベーションの維持が難しかったと思いますし、審判もアレでしたからやむをえないところもあるでしょう。

PKからの失点はあんまり気にする必要はないと思います。

ただW杯3位以上をめざすなら、審判が向こうの味方であっても、問題なくあのレベルの相手には勝っておきたいところでした。

選手たちも、政治力が働いていると試合中に気づいたら、どうやれば勝てるか、どういうことは避けるべきかということを、この試合の経験から学ぶことができれば、これからきっと役に立つことがあるでしょう。

 つづいて試合展開を振り返っておきます。

立ちあがりはほぼ互角の展開。

日本は、前からプレスをかけてリズムよくショートパスをまわす、これまでやってきたスタイルを取り戻そうとしていました。

これに対し勝たなければW杯行きが無くなるカタールも、DFラインを高く保って前からプレスをかけて攻めてきます。

DFラインを高く保ってコンパクトな陣形をとる湾岸アラブのチームというのは、初めて見た気がします。

 2分、中村俊選手のすばやい展開から右サイドを突破した内田選手が中央へクロス、これをカタール選手がクリアミスしてオウンゴール。早くも日本が先制します。

10分、右サイドを突破したカタール選手がクロス、ゴール前左にフリーでいたシディクのヘッドは枠をとらえず。

30分、左サイドから今野選手がクロス、橋本選手がヒールでシュートするが惜しくも外れます。

このあたりから攻守にわたって日本の足が止まりはじめ、カタールに押し込まれ続けるウズベキスタン戦と似た嫌な展開。

カタールの攻撃を何とかしのいだ44分、左サイドから日本のクロスが入り、こぼれたボールを闘莉王選手が押し込んで起死回生のゴールかと思いきや、その前にハンドの判定。

 後半も、同様の展開。

8分、日本のペナルティエリア直前で中澤選手と併走していたカタールの選手が倒れて、これが何と、まったくあり得ないPK判定。カタールが同点に。

しかし15分すぎあたりから、カタールが攻め疲れたのか足がパッタリと止まると、再び日本が攻撃できるようになります。

ここから日本が何度か決定機をつくりますが決めきれず、30分をすぎると日本の足も止まりバテバテに。

あとはゴール前で危険なミスがでたりして、ノーガードの打ち合い状態になるも両者とも決定力に欠けて得点できず、異様に長すぎるロスタイムも消費してそのままタイムアップとなりました。

 それでは試合内容の方を分析します。まずは攻撃から。

攻撃面では、選手個々がボールの持ちすぎ、単調なロングボール攻撃ばかりになって苦戦の原因をつくったウズベキスタン戦の反省から、チーム全体が忘れかけている、これまでやってきた攻めのコンセプトを取り戻そうという努力が見えたのは評価できます。

相手のオウンゴールを誘った日本の攻撃も、すばやいパス回しから中村俊が速い判断で右サイドへ展開して、戻りきれない相手をサイドから崩したもので、良い攻めの形だったと思います。

中村憲選手も、普段はロングの浮き球をパスとして多用しますが、今回はグラウンダーのスルーパスを岡崎に通すことで、単調な攻めになるのを防ごうとする意識が見えました。

先制してからも攻撃をスローダウンさせず、気持ちで守りにはいらないよう努力していました。

そのため攻めのリズムがかなり良くなり、先制点につながりました。

 しかし前半30分すぎから試合終了まで、相手の足が止まった後半の15分間を除いて、日本の攻めがまったく機能しなくなります。

その原因はウズベキスタン戦とまったく同じであり、詳細についてはウズベキスタン戦の記事(その1その2)を読んでいただくとして、日本の中盤の選手に変な余裕が出てきたのか普段のやり方を捨て、またしてもロング一本のパスで試合を決めようとして、攻めが単調になってしまいました。

中村憲も浮き球からグラウンダーに切り替えて悪いリズムを変えようとしたのは良かったのですが、岡崎にウラばかりを狙わせてひたすら一本のパスを通そうとするのではなく、例えば相手センターバックの前のスペースで岡崎にボールを受けさせることでワン・クッションを置いて、自分や中村俊が岡崎を追い抜いて、DFラインのウラでスルーパスをもらってシュートすれば、攻めのオプションに幅を持たせることができます。

 ところで、ちょっと前に発売された名古屋のストイコビッチ監督の顔が表紙になっている号のスポーツ雑誌「ナンバー」は皆さんご覧になったでしょうか。

ストイコビッチ監督インタビューイタリアから来た戦術オタク記者のJリーグ観戦記が載っているのですが、彼らが日本サッカーを見て気づいた戦術的な問題点というのが実に的確な指摘で、ぜひお読みになることをお勧めします。

ストイコビッチ監督が一番好きなチームはマンチェスター・ユナイテッドだそうで、マンチェスター・Uのようなチームを作るために最も重要なものとして、「コレクティブ(組織的な)・スピリット」をあげています。

「(マンチェスター・Uの選手たちは)ゲームにおける自分の役割、そして責任というものを完璧に理解していて、好き勝手にプレーする選手なんて一人も見当たらない」「どの選手もとてもフットボール・インテリジェンスが高い」とストイコビッチ監督は言います。

それと同時に自分が監督をつとめる名古屋の選手に対し、パスやトラップといった技術面でのミスはしょうがないが戦術的なミスは絶対に譲れない、「戦術的なミスを犯すということは、コレクティブ(組織的)にプレーすることに対する意識が低いことを意味する。つまりチーム全体のことを考えていないということなんだ」とインタビューに答えていました。

 ウズベキスタン戦でも今回カタール戦でも見られたように、日本代表の、特に中盤の選手がボールを持ちすぎ、自分の一本のロングパスで試合を決めてやろうとこだわり続けるのは、独り善がりなエゴにすぎないと思います。

たぶん「自分が決定的なパスを出せば、チームの勝利に貢献するのだから、独り善がりではない」という考えなのかもしれませんが、決定的なパスを出してやろうと1人の選手がボールを長く持ち、パスの出しどころを探しつづけるという行為そのものがチーム全体の攻撃のリズムを悪くして勝利から遠ざけてしまう、自分勝手なエゴなのです。

敵ゴール前ならいくらでもエゴイストになって、ゴールを決めてヒーローになって一番目立って欲しい。

しかし現代サッカーにおいては、ゲームをつくるミドルサードでエゴイストになる選手が出れば、そのチームは勝つのが難しくなります。

 中村俊は、ゴール前のFKのときに重要な戦力になってくれる選手ですし、ロングキックの練習に惜しみない努力をし続けている点も尊敬しています。

しかし、現在日本代表の攻撃がうまく機能していないのは、10番を任されている攻撃のリーダー・中村俊の責任が大きいと思います。
 
攻撃のリーダーである中村俊がロング一本のパスにこだわり続け、ロングが通らないということで中盤で無謀ともいえるドリブル突破をはじめると、周りの選手は彼が1人で局面を打開するのを足を止めて待つ「ボールウオッチャー」になってしまいます。

そして中村憲・遠藤・長谷部・大久保・玉田といったまわりの選手も、リーダーである中村俊につられて同じようなプレーをはじめ、チーム全体の攻撃がロング一本の単調な攻めになってしまうのです。

ストイコビッチ監督に言わせれば、「フットボール・インテリジェンスが高くない、サッカーIQが高くない」ということになるでしょう。

ウズベキスタン戦や今回のカタール戦、皆さんは楽しかったですか?

私はぜんぜん楽しくなかったです。もっと楽しいサッカーが見たいです。

 昨年11月のW杯予選・カタール戦は岡田ジャパンのベストゲームで、唯一、W杯決勝トーナメント進出が狙えるレベルのサッカーだったと、何度も言ってきました。

日本代表、カタールに充実の勝利!!

日本代表、カタールに充実の勝利!!(その2)

その試合よく思い出して見ると、中村俊が左ひざのケガでほとんど動けない状態でした。

彼は、ボールをもらうと痛めたひざに負担がかからないよう、ワンタッチ・ツータッチでシンプルにパスをしていましたし、中村俊があまり動けない分、他の中盤やFWの選手が一生懸命動いて、連動性の高い、フットボール・インテリジェンスにあふれた攻撃を展開していました。

試合を見ていてとてもワクワクしましたし、実際アウェーという不利な状況で、カタールに3-0で勝利というパーフェクトマッチだったわけです。

日本代表の調子が悪くなったときは、このカタール戦の録画を見ろと言ってきましたが、この試合にこそ日本の攻撃がどういうときに機能するのか、その重大なヒントが隠されています。

 守備面でも課題はウズベキスタン戦と同じです。

90分を通してチームをコンパクトにしつつ、ポジションチェンジを行ってもチーム全体の陣形は変えてはいけないということが守れなかったために、カタールに押し込まれる原因となりました。

阿部・橋本の両ボランチが、下がって行くDFラインについていくのが遅れ、DFラインの前に広くスペースを空けてカタールに使われてしまうという、危険な状況を自らつくりだしていました。

サイドバックも、ボランチが見てくれるはずの敵選手を見れば良いのか、サイドをあがってくる本来マークすべき選手を見れば良いのか混乱して、敵をフリーにしていました。

たとえば4-2-3-1の4ラインを30m前後に収めるということは、ラインとラインの間は最も広がった状態でも8mぐらいまでということになります。

試合中、選手はそのことを常に意識してポジショニングを考える必要があります。

 チームが間延びしていると、それだけ必要のない無駄な走りをしなくてはいけません。

これによって、勝つために1点がどうしても欲しい、絶対に1点を守りたいと思っても、それがわかっているのに足が動いてくれないということが起こってしまいます。この試合のように。

W杯決勝トーナメントでスペインやドイツと当たった時、90分間を何とか同点に持ちこんでも、無駄に体力を消耗している分だけ日本の足が止まって延長戦で失点とか、PK戦で足がつって思うようなキックができずに敗退する、といった可能性が高くなってしまいます。

W杯で3位になれるチームは、豊かな経験でそういうことを知っているということです。

 今回のカタール戦は結果も内容も残念なものでしたが、モチベーションや政治力の問題もあって、ある程度やむをえないところがあったと思います。

それでも、日本代表がW杯で3位をねらうにはサッカーの基礎がまだまだできていない、ストイコビッチ監督がおっしゃるサッカーIQが高くないという課題がはっきりした試合でした。

決して今回の苦戦は、単純な疲労が原因ではありません。

カタールを含む他のすべてのチームの条件は同じですし、そもそもウズベキスタン戦であれほど日本が消耗した原因は必要のない無駄な動きが多いからです。

南アフリカ行きを決めてもなおオーストラリアは、休養十分・モチベーションバリバリのバーレーンを中3日でホームに迎えて、キッチリと2-0で勝利しています。

いまだオーストラリアはこの予選・無失点を続けており、現状において日本との力の差をハッキリと感じます。


 (本人が了承してくれることが前提になりますが、若い本田選手や試合にあまり出ていない松井選手はオーストラリア遠征につれていった方が良いように思います。向こうがどんなメンバーで来るかわかりませんが、オーストラリアに対して自分たちのサッカーを最後までやり切るということが貴重な経験となるからです)


 

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        2009.6.10 横浜国際総合競技場


        日本  1  -  1  カタール


 O.G.(アル・ビナリ) '2      ヤヒヤ(P.K.) '53



        GK 楢崎       GK ブルハン

        DF 中澤       DF アブドルマジド
           闘莉王        ラジャブ
           今野         ザヘル
           内田 
                     MF アル・ヤジディ
        MF 橋本          モンテジン
           阿部         (アル・ハマド 70)
          (松井 58)       シディク
           中村俊
          (本田 81)    FW ヤヒヤ
           中村憲        (アル・ハイドス 87)
                        マジド・ハッサン
        FW 玉田         (ユーセフ・アリ 54)
          (興梠 67)       モハマディ
           岡崎          アル・ビナリ




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