■W杯出場決定も、いろんな意味で後味の悪い試合(その2)

前回からのつづきです。

 守備面では、中澤を中心とした日本ゴール前の最後のところは良くかんばっていたと思いますが、中盤でまったくプレスがかからず、相手にいいようにボールを拾われ回されてしまいました。

その最大の原因はセットプレー中は例外としても、ゲームの始めから終わりまで、例えば4-2-3-1ならその四つのラインを常に一定の幅にし、FWからDFまでを30m以内に収めなければならないというチーム戦術の基礎ができていないからです。

引きぎみ
(クリックで拡大)

     ↓  ↑

普通

     ↓  ↑

押しぎみ

バルサやマンチェスター・Uの試合を見ていると、試合終了5~10分前には多少崩れるところもあるかもしれませんが、ほぼ90分間チーム全体の形はほとんど乱れません。

ところが日本代表の場合、上下にオーバーラップや左右のポジションチェンジをするのは良いのですが、ある選手が本来の位置から動いたとき、チーム隊形が維持しつづけられるよう他の選手が必ずそのスペースを埋めてカバーするという意識が希薄なので、試合をやっていくうちに、チーム隊形が崩れていきます。

この試合、まずDFラインが怖がって深くなりすぎていました。

そして下がるDFラインにボランチがついていくのが遅れ、ボランチが下がるのに二列目がついていくのが遅れ、結果として中盤にスペースを広く空けてしまいました。

そのためどうしてもDFのクリアが広く空けてしまった中盤に落ち、それを拾うのはいつも敵選手で、相手に押し込まれる一方となってしまうのです。

こうした課題は今にはじまったことではありませんが、なかなか解決されません。

 攻撃に関してはバーレーンに負けたときなどに典型的にあらわれるパターンですが、各選手ともいつもの早いパス回しがまったくできず、ロングボールの蹴り合いになってしまいました。

苦しい試合にはいつも「日本の地のサッカー」が出てしまうのです。

中村憲が浮き球のミドルパスから岡崎の得点をアシストしましたが、あれが通用してしまうのがウズベキスタンがW杯に出られない理由の一つでしょう。

ただ、浮き球のロング・ミドルパス攻撃が機能したのはこれ一回ぐらいで、あとはウズベキスタンDF陣がきっちり修正してきて、日本はまったく攻め手を失ってしまいました。

ここで攻撃を別のオプションに切り替えることができればよいのですが、ロングパスを一本調子に放り込んで、身長が高くフィジカルの強い相手にことごとく拾われてしまう、それじゃあと苦しまぎれに単独でドリブル突破をはかりますが、やっぱり屈強な相手選手にあっさりとボールを奪われてしまいました。

ロングパスの攻撃はどうしても自らの陣形を間延びさせますが、それが原因で選手同士のサポート距離も開きすぎてしまい、ショートパスで崩す自分たちのサッカーをやろうとしてもできません。

W杯予選の雰囲気に飲まれ、冷静さを失っていました。

ロングパスの攻撃一辺倒になり、パスがつながらなくなってきたら、落ちついてもう一度チーム隊形をコンパクトに整えて、ショートパスをつないで試合の流れを自分たちの方へ引き戻すということができるようになれば、日本は強くなると思います。

 選手個人の面では、岡崎のファイティングスピリットにチームは救われたのかもしれません。

逆に彼をのぞく、中盤の選手があまり機能していません。

中村俊も大ブレーキ。

ボールを持ちすぎてチーム全体の攻めのリズムを狂わせ、強引なドリブルを仕掛けてはあっさりボールを失い、ノールックでバックパスをすれば相手へのプレゼントボールとなって、敵のカウンターの基点となっていました。

止まったボールを蹴るのはともかく、流れの中からまったくといって良いほどゲームをつくれていません。

ショートパスをまわして日本代表がボールを支配し続けるかぎり問題があらわれてくることはありませんが、相手にボールを圧倒的に支配されてしまうと、中村俊・遠藤・中村憲の守備面での弱さが目立ちます。

パス能力は高いがフィジカルが弱くボール奪取をあまり得意としないタイプばかりを中盤に並べることについて、チーム全体のバランスを再検討すべきかもしれません。

 タシケントでのウズベキスタン戦は、W杯ドイツ大会でも見られた、プレッシャーのかかる大一番で日本代表は自分たちの普段のサッカーを見失ってしまうという、最大の弱点がまたしても出てしまった試合でした。

岡田ジャパンはW杯3位以上を目標としているはずです。

アジア予選の段階でウズベキスタン相手に1点取ったら「これを守りきろう」と逃げに入ってしまうようなメンタルの弱さをかかえていたのでは、このゴールが決まればライバル国に得失点差で1上回ってグループリーグ突破が決まる、このPKが決まれば2010年W杯準決勝進出が決まるという場面で、どうして冷静にシュートを決められるでしょうか。

スペイン・ドイツ・ブラジルなどが当然出てくるであろうW杯で、日本が3位になるということはそういうことです。

こういうメンタル面の課題は、プレッシャーがかかるアジア予選のうちに克服しておきたかったです。

しかもプレッシャーがかかる真剣勝負は、もうW杯本番までないのです。

例え相手がスペイン・ドイツ・ブラジルでも、日本が負けて失うもののない親善マッチでは、あまりメンタル面での鍛錬にはなりません。

親善マッチでは相手もケガをしたくないので、フィジカルでガチガチくることはありません。
だからこそフィジカルの弱い日本でもそこそこ善戦できてしまうのです。

ドイツ大会で惨敗したジーコジャパンも、親善マッチではドイツ・イングランド・ブラジルに引き分けることができたことを忘れるべきではないでしょう。

キリンカップのベルギー戦後に言ったように、親善マッチでできたことがW杯予選本番でできなくなるのでは意味がないと警告しましたが、ウズベキスタン戦でそれが現実となってしまいました。

 私は岡田ジャパンが3位になるところを是非みたいと思っています。

ですからこの記事を真剣に書いていますが、そのために必要とされるサッカーのレベルにはぜんぜん足りないのです。

 もしかしたら岡田さんは、選手が自分たちの力だけで正解に気づくことを待っているのかもしれません。

サッカーの教科書の基礎と応用を90%以上マスターしておくのは最低限、運にも恵まれてようやく到達できるのがW杯3位以上というゴールです。

現在の日本代表は、応用どころか基礎の部分さえ十分にマスターできていないレベルです。

W杯までわずか1年。

世界トップレベルの国とのテストマッチをやれたとしてもたったの数試合。

クラブチームならまだしも、選手が自分たちの力だけで正解に気づくのを待っていたのでは、けっきょく時間切れで2010年W杯は3試合で終了という可能性が高いです。

それではジーコ元監督の失敗の二の舞です。

 明治以降の日本は、自分たちの力だけで鉄道・自動車やコンピューターをつくれるようになったわけではありません。

欧米先進国から学びそれに日本人らしい創意工夫をプラスすることで、世界から奇跡と呼ばれるほどの急スピードで先進国・日本ができあがりました。

先駆者の知恵や経験から学ぶことは恥ではありません。それはサッカーとて同じです。

スペインやドイツ・イングランドといった先駆者の経験や知恵から良いところを学び、すばやく効率的に成長できるというのが二番手以降の強みです。

これから世界トップレベルの航空会社をつくろうとするとき、すでに最新鋭のジェット旅客機が発明されて売っているのに、わざわざ自分たちの力だけでプロペラ複葉機を部品からつくりはじめる必要はないと思います。


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    2009.6.6  パフタコール・マルカジ・スタディオニィ
                    (タシケント)


     ウズベキスタン  0  -  1  日本

                 
                       岡崎 '9



     GK ネステロフ         GK 楢崎

     DF イスマイロフ        DF 駒野
        トゥフタフジャエフ       中澤
        スユノフ             闘莉王
       (S.ジュラエフ 83)       長友

     MF カリモフ          MF 遠藤
        アフメドフ            長谷部
        カパーゼ            中村憲
        ハサノフ           (本田 66)
        ジェパロフ           中村俊
        F.タジエフ          (阿部 90+) 
       (ソリエフ 61)
                       FW 岡崎
     FW ゲインリフ           大久保
       (エルキノフ 75)       (矢野 69)




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