■フィンランドに大勝も内容は?

 昨日おこなわれたテストマッチ・対フィンランド戦は5-1で日本の大勝となりました。

仮想オーストラリアとして招待されたフィンランド代表は、要所にクイバストやリトマネンら経験者が入っていますが、国内リーグでプレーするメンバー中心で、なんと10人以上が代表初キャップの選手だったようです。(プッキは良い選手でしたが)

しかも冬が厳しいフィンランドのリーグは春に始まって秋に終わりますから、フィンランドの選手は昨年11月にシーズンが終わって以来、ひさびさの実戦だったのではないでしょうか。

日本として絶対に勝たなくてはいけない相手でした。

負けても痛くもかゆくもないテストマッチだったために来日したメンバーには、リバプールのヒッピアやブレーメンのパサネン、ハノーバーのフォーセルやNACのコルッカ、サンダーランドのタイーニオといったおなじみの顔ぶれが含まれていませんでしたが、

フルメンバーをそろえたW杯欧州予選ではホームとはいえドイツと3-3の引き分け、ユーロ2008本大会出場こそ逃しましたが、その予選ではポルトガルとのH&Aを2引き分けで乗り切るなど、残念ながら現時点で日本よりフィンランドの方が格上と認めざるをえません。

もし日本とフィンランドが2010年W杯大陸間プレーオフのガチンコ勝負を今やるとすれば、埼玉で引き分け、ヘルシンキでフィンランドの勝利ぐらいの力の差はあると思います。

 それでは試合展開をふりかえります。

経験もコンビネーションも不足している若いフィンランド代表に対し、日本代表が試合を終始、有利に進めました。

前半15分、内田選手が相手DFラインのウラへ浮き球のロングパスを入れ、そこへ飛び出した岡崎選手が拾ってシュート、これが決まって早くも日本先制。

32分、まったく同じ形から追加点をあげます。
中村憲選手が相手DFラインのウラへ浮き球のミドルパスを入れ、再び岡崎選手が相手のウラへ飛び出してシュート。これで2-0となります。

フィンランドのDF陣はコンビネーション練習の不足のせいか基本的なラインコントロールさえままならず、これで試合が決まってしまいました。

44分、相手のミスパスを奪った香川選手がドリブルで相手を3人ぐらいかわしてゴール。
3-0となります。

 後半たちあがり、集中が切れやすい時間に日本はセットプレーから失点します。
5分、フィンランドの左CKからGK都築選手と相手選手が競ったボールがゴール前へこぼれ、それを相手につめられて3-1。

12分、コーナキックから内田がサイドから正確なクロスを入れ、これを中澤選手がヘッドでゴールにねじ込み4-1。

41分、途中交代の安田選手がゴール前へ突進してシュート。
相手GKがそれをキャッチングミスして後逸、そのまま失点となるお粗末なプレーでした。

結局5-1で日本が大勝という結果になりました。

 5-1で勝利という結果については良かったと思います。
ただ、内容についていえばあまり良くはありませんでした。

それでは攻守別に内容を分析してみましょう。

 攻撃で良かった点は、岡崎の2ゴールを筆頭に、若手が実戦でゴールをあげたことでシュートに自信をつけたことでしょう。

この自信を基礎として、プレッシャーのかからないテストマッチだけでなく公式戦でも、冷静かつ確実にシュートを決めて欲しいと思います。

また、中澤のゴールを引き出した内田の正確なアーリークロスも良かったですね。

相手から多少プレッシャーをかけられても正確なクロスを入れられるようになるよう、期待しています。

 ただ、攻撃の連動性についてはいぜん低調で、合格ラインである昨秋のカタール戦を10とすればこの試合は6ぐらいだったでしょうか。

まだ1月のイエメン戦の方が7ぐらいで若干良かったと思います。

この試合の日本代表は、中盤あたりから浮き球のミドルパスを相手DFの背後に放り込んで、オフサイドぎりぎりに飛び出した選手がそれを拾ってシュートという攻撃のパターンを多用していました。

相手DFのウラへ浮き球のパスを放り込み、そこへFWが走りこむという形は、ボールの出し手と受け手の二人だけで行う、サッカーにおいて一番初歩的で基本的な攻撃のパターンです。

日本のサッカー選手にとって高校時代から体に染みついた「地のサッカー」であり、好きな形なのではないでしょうか。

こうした攻撃パターンは単純で、ワンツーや第三の動きのような複雑な連携もいりませんし、パスの出し手と受け手がタイミングさえ気をつければ、やること自体は難しいものではありません。

 しかし、簡単で初歩的な攻撃パターンだからこそ相手もウラをとられないようじゅうぶん気をつけているわけで、サッカーのレベルが上になればなるほど、こうした単純な攻撃は通用しなくなっていきます。

スペインやドイツ、ブラジル相手にこうした攻撃がいつも通用するなら苦労はありませんし、みんなこればっかりやっているでしょう。

フィンランドのDF陣は欧州のチームらしく、比較的高い位置に最終ラインを置いてウラのスペースを広く空けていましたが、練習が不足しているのか、オフサイドラインのコントロールがままならず、日本側のパスの出し手にもほとんどプレッシャーをかけていませんでした。

これではいかに単純な攻撃とはいえ、やられるのは当たり前です。

バーレーンやサウジのようなアラブのチームはDFラインを引き気味にしてウラのスペースを使われないよう狭くしますし、オーストラリアのDFラインもフィンランドのように簡単にウラを取らせてもらえるとは思えません。

実際、ドイツW杯におけるオーストラリア戦で、ジーコジャパンは相手DFのウラへ浮き球のパスを放り込み、そこへFWが走りこむという単調な攻撃を多用していましたが、ほとんどの場合オーストラリアDF陣のヘッドに跳ね返されるかオフサイドになってしまい、まったく攻撃が機能していませんでした。

逆に2007アジアカップの準々決勝でオシムジャパンがオーストラリアを破った時は運動量で相手を上回り、人が2人3人と連動してグラウンダーのショートパスで相手の最終ラインを崩そうとする攻撃パターン中心でした。

浮き球のパスを使った単純な攻撃がこんど来日するオーストラリアに通用すればそれに越したことはありませんが、もしそれが通用しなかった場合、別の攻撃の形を持っていないとドイツW杯の二の舞になりかねません。

フィンランド代表の2軍に通用したからオーストラリア代表にも絶対に通用するだろうという考えは危険だと思います。

「小学校のテストで100点とったから高校入試は大丈夫」と言うようなものです。

今回のフィンランド戦では、後半25分すぎからいくぶん連動性が良くなりましたが、それまでは、相手DFのウラへ浮き球のパスを放り込みそこへFWが走りこむというボールの出し手と受け手の二人だけがやる単調な攻撃がほとんどで、大量5得点という「お化粧」のせいで、よりレベルの高い別の攻撃の形・アイデアが見えなかったという重大な問題が隠されてしまったように思います。

 次に守備面ですが、中盤のプレスも連動性はまだ本調子とは言えないようです。 

失点シーンですが、GKの都築がキャッチングにいったところ相手FWが競ってきて結果的に小さいクリアをするようなかっこうになり、それを相手に拾われてシュートを食らったように見えました。

こぼれ球に対する日本選手の反応も遅かったように思いますが、あそこは強いパンチングで遠くへクリアすべきだったかもしれません。

グラウンダーのシュートをこぼす場面もあり、久しぶりの先発で緊張したのかもしれませんが、やや不安定でした。

 今回のフィンランド戦、オフ明けの日本代表はイエメン相手に苦しみましたが、代表キャップ一ケタ選手中心のフィンランド代表も同じようにオフ明けで、すでに3試合目の日本代表に苦しんだ試合といった感じでした。

5-1で勝利という結果は良かったと思いますが、内容はさほど良いものではありませんでした。

特に日本の命綱ともいえる攻守の連動性、攻撃のバリエーションが昨秋のカタール戦のレベルとはほど遠く、オーストラリア戦に向けて不安を感じさせます。

中村俊選手や長谷部選手といった海外組の中盤が戻ってくれば、状況も変わってくるのかもしれませんが、イエメン戦からずっと言ってますが、今の連動性の低い、ボールの出し手と受け手の二人だけがやるサッカーをする限り、どんなにメンバーを変えてもよほど運に恵まれないとオーストラリア戦はとても厳しいものになると思います。

5点入って浮かれポンチのマスコミや解説者と違い、選手たちが口々に「オーストラリアは今回のフィンランドとはレベルが違う」と地に足がついたコメントをしているのが救いです。

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         2009.2.4  東京国立競技場


        日本  5  -  1  フィンランド


       岡崎 '15        ポロカラ '50
       岡崎 '32
       香川 '44
       中澤 '57
       安田 '86


        GK 都築       GK マーノヤ

        DF 中澤       DF ハルスティ
           闘莉王        クイバスト
          (高木 55)      アホ
           長友         トゥルネン
           内田        (ライタラ 55)
          (駒野 72)
                     MF スパルフ
        MF 橋本          ポロカラ
           遠藤          アルキブオ
          (今野 77)      (P.ヘテマイ 85)
           中村憲         クヤラ
           香川         (M.ヘテマイ 45)
          (安田 81)
                     FW リトマネン
        FW 玉田         (プッキ 68)
          (巻 84)        タルバヤルビ
           岡崎




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