■イエメンに勝利もコンセプト浸透せず

 岡田ジャパンの2009年始動のゲームとなったアジアカップ予選イエメン戦。

 日本代表にとってアジアカップ出場という結果を出すことは絶対条件ですが、スタメンにあまり起用されない選手や若手にも岡田ジャパンのサッカーコンセプトをじゅうぶん理解・浸透させ、昨年秋のドーハにおけるカタール戦で見せてくれたレベルのサッカーを誰がスタメンで出てもかなりの程度やれるようなグループをつくっておきたいところです。

その意味で、今回のイエメン戦は絶好のチャンスと言えました。

 対戦相手のイエメンは、ほとんどの選手が国内リーグでプレーしており、ホームでやってもアウェーでやっても日本が勝てるぐらいの戦力差があると評価していました。

2-1で勝利という結果は順当であり、良かったと思います。

しかし、試合内容についてはあまり良かったとは言えず、特に岡田ジャパンがやりたいサッカーコンセプトについて、控え組や若手はまだまだ理解が足らず、実戦においてそれを表現することができないという問題点があらわれていました。

 試合展開を振り返ってみましょう。

立ち上がりから猛烈なプレスでボールを奪い、人とボールが良く動く攻撃で試合の主導権を握った日本。

前半7分、ショートコーナーから右サイドを突破した田中達選手が中央へ折り返し、それを岡崎選手が押し込んで、早くも日本先制。

しかし、ここからがいけません。

1点先制したところで一息ついてしまい、ダラダラとしたメリハリの無いサッカーをしてしまう日本の悪いクセが出ます。

ボールを回すものの効果的に相手を崩せなくなり、攻撃のリズムを失った日本にイージーミスが目立ちはじめます。

30分すぎからはイエメンに攻撃されてしまう始末で、ゲームの流れが悪いまま後半へ。

 後半も流れは悪いまま。

立ち上がり2分、右サイドのFKから、どフリーになったハリドにヘディングシュートを浴びせられ、同点とされてしまいます。

同点にされて冷水を浴びせられたあと、ようやく一休みモードから目が覚めて反撃を開始するという日本代表にありがちな展開となり、20分、右コーナーキックから岡崎がヘッドでゴール前へつなぎ、これを田中達が頭でねじ込んで2-1とします。

その後も日本代表が攻めたてますが、シュートの精度も悪く、このままタイムアップとなりました。

 それでは試合内容を分析します。

この試合、レギュラーポジションが取れていない選手や若手に岡田ジャパンのサッカーコンセプトをどれくらい浸透させられたかが大きな注目点となりました。

しかし、1点を取るまでは良かったのですが、そこからは昨秋のカタール戦前の日本代表に逆戻り。

先制してから2点3点とたたみかけて相手の戦意を喪失させ、一気にゲームを決めてしまうのではなく、先制したことで悪い意味での余裕を持ちすぎ、ダラダラとしたサッカーで一休み。

イエメン代表はベタ引きの上に技術で劣るため、中盤でいくらでもボールを持たせてもらえましたが、攻めの起点となっていた中村憲・駒野・青木の三選手が、時間を追うごとにボールを持ちすぎてしまい、パスをもらってルックアップしどこへパスを出そうか考えているうちに、イエメン側にマークを修正する時間を与えていました。

イエメン代表は技術こそ劣りますが、フィジカルや当たりの強さは同じアラブの国であるサウジやバーレーン代表とあまり変わりません。

イエメンの選手にタイトなマークにつかれた味方へパスしてミスを誘発。

そこからムダな横パス・バックパスばかりが増えていくという以前のサッカーに逆戻り。

 また、ワンツーや第三の動きが時間を追って少なくなり、パスの出し手と受け手だけが動くサッカーになってしまいました。

こういうサッカーをやってしまえば、たとえスタメンで海外組を呼び戻しても、今度のオーストラリア戦はたいへん厳しい結果となるでしょう。

 イエメン代表がベタ引きの上、ゴール前中央を固めているにもかかわらず、二列目を中心とした攻撃陣が中央突破にこだわりすぎました。

こういう場合、サイドから正確なクロスをDFの間に落とし、そこに飛び込んだ選手がヘッドでゴールにねじ込むという「飛び道具」が最も有効です。

たとえフィジカルが強くても、このレベルの相手だと往々にして人が足りているのに、サイドからのクロスにボールウオッチャーとなり、案外フリーになりやすいものです。

重要なポジションを任されている香川選手あたりが、中央がダメならサイド攻撃へというふうにチームの舵取りをして欲しかったのですが、攻撃の視野がちょっと狭かったように思います。

 シュートを打った選手を責めたくはないのですが、それにしてもシュートがゴールの枠内に飛びません。

個の能力において、世界トップレベルの選手と日本の選手とで一番差がついている分野はシュート能力だと思います。

ヘディングシュートにしても、ゴールマウスの内側でGKのいないところへシュートがコントロールできるよう、クロスを頭で確実にミートすることに専念すれば何でもないと思うのですが、頭を激しくブリブリ振り回して、シュートをわざわざゴールマウスの外へ大きくはずしてしまっています。

 次に守備ですが、中盤でのプレスディフェンスは良かったと思います。

失点シーンは、青木が自軍ゴール前で直近の相手選手のマークを放してしまうという初歩的なミスが原因でした。

スペインやドイツ・ブラジル相手にこういうプレーを10回やったら12点叩きこまれるでしょう。

Jリーグチャンピオンチームのボランチのプレーとしては、寂しすぎるものがあります。

 選手個々の評価としては、ゴールにチャンスメークと全得点にからんだ田中達の豊富な運動量に裏付けされたプレーはさすがです。

岡崎の積極性も評価できるでしょう。経験をつんでプレーに正確さがでてくれば戦力となりそうです。

川島・寺田・高木の三選手はあまり守備機会が無かったもののまずまず。

駒野や中村憲は、ボールを持ちすぎて攻撃のリズムを失わせていました。

ファンの方には申し訳ないですが、駒野はジーコジャパン時代からあまり進歩が見られず、年齢も考えると、今のプレーを続けるようなら若手にチャンスを与えた方が良いのかもしれません。

ボランチは現代サッカーの要であり、つい厳しい評価となりますが、中村憲は、せっかくの高い技術が戦術理解の不足で台無しになっています。

欧州リーグで通用するようなワンランク上の選手を目指すなら、現代戦術の理解が欠かせません。

青木はマークのズレ・パスミス・シュートミスが目立ち、相当我慢して経験を積ませる必要がありそうです。

 興梠選手も消えている時間がほとんどでした。

香川・内田の両選手は注目の若手としてかなりチャンスを与えられていますが、さいきん頭打ちのような気がします。

ゆっくりとした歩みでも良いから、着実に成長しレベルアップしたところを実戦で見せて欲しいものです。

 アジアカップ出場権獲得のため勝利という結果とともに、誰が出てもレベルダウンしない組織サッカーをするため、岡田ジャパンのコンセプトをサブ組や若手にしっかり浸透させることが求められたイエメン戦。

結果はともかく内容は先制するまでは良かったのですが、そこから昨秋のカタール戦前の悪い日本代表に戻ってしまい残念でした。

昨秋のカタール戦の録画を見せてチームコンセプトを共有させたり、これからも辛抱して経験を積ませる必要がありそうです。

 ただ試合を見て思ったのですが、世界のトップレベルであれば若手というのは10代の選手で、C.ロナウドやルーニーのように、20代前半であればもうチームの主力としてバリバリ働く中堅どころであり、20歳前後になれば既に大人のサッカーをしています。

25歳をすぎればもうベテランの風格といった感じさえします。

 しかし日本の場合、成長が5歳遅いというか、20代前半の選手はまだまだ経験不足の若手であり、やっているサッカーも幼いものです。

25歳をすぎてようやく中堅どころ、30歳近くでベテランといったところではないでしょうか。

「若手中心の日本代表」を見ながら、これが果たして良いのか悪いのか、ちょっと考えてしまいました。


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     2009.1.20 熊本県民総合運動公園陸上競技場


       日本  2  -  1  イエメン

      岡崎   '7        ハリド '47
      田中達 '65


     GK 川島        GK S.アブドゥラー

     DF 寺田        DF サレハ
        高木          アルワディ
        駒野          ハリド
        内田          アルサイド

     MF 中村憲       MF アルアマリ
        青木          ムバラク
        香川         (アルシェヘリ 84)
       (金崎 87)       アルウォラフィ
                    (タビト 73)
     FW 田中達         アルサッシ
       (乾 79)
        岡崎        FW バスキ
        興梠          アルノノ
       (巻 60)       (アルアケル 66)





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