■日本代表、ウルグアイに大敗

 札幌ドームでW杯アジア最終予選に向けた最後のテストマッチが行われ、日本はウルグアイに1-3と大敗を喫しました。

対戦相手のウルグアイは、日本とほぼ互角の相手、地力で相手が日本をやや上回るかと評価していました。

具体的に言えば、お互いフルメンバーをそろえてW杯行きの最後の切符をかけてH&Aでプレーオフのガチンコ勝負をやるならば、埼玉スタジアムで日本の1-0、センテナリオスタジアムでウルグアイの3-0で1勝1敗ぐらいの実力差ではないかと思っていました。

ウルグアイはほぼベストメンバーではあるものの、アトレチコ・マドリッドのフォルラン、ナポリのガルガーノ、バルサのカセレスを欠いた1.5軍といったところでしょうか。

一方故障などで日本も中村俊や松井、遠藤、闘莉王の各選手を欠き、青木・高木の初代表組や、小野・田中達など久しぶりに代表に呼ばれた選手がスタメンに入るなど、アジア3次予選からは大幅にメンバーが変わっていました。

その点を考慮してあげなければいけないのでしょうが、それでも日本代表は現時点におけるベストメンバーのはずで、やはりプライドをかけてホームでは何としても勝たなければいけない試合でしたが、1-3という試合結果も内容も大敗でした。

 それでは試合経過を振り返りましょう。

前半は立ちあがりからウルグアイペース。

ウルグアイにボールを回されて押し込まれる苦しい時間帯が多くなりました。

しかし前半30分過ぎに駒野選手のミドルシュートから日本の流れになりました。
それでも決定打に欠け、前半終了。

 ハーフタイムで指示があったのか、後半立ちあがりから日本が積極的に飛ばします。

後半3分、右CKがクリアされたボールを小野選手が拾ってパス、これを受けた中村憲選手が入れたゴール前へのクロスボールが相手選手に当たってオウンゴールを誘います。

しかし後半10分、ウルグアイがカウンターで反撃、高木選手が前へ応対に出たところを飛び越し、ブエノがヘッドでボールを落として中澤選手もかわされてしまい、フリーのエグレンに決められて同点。

その後、両チームに得点チャンスが生まれるが決まらず。

ロスタイムまで10分を切ったところで、またもやウルグアイお得意のカウンター攻撃を食らってしまいます。

日本のゴール前右に出たパスを受けたスアレスがていねいなクロス、これをフリーで待ち構えたI・ゴンサレスが冷静にヘッドで押し込んで逆転。

ロスタイムにも前掛かりになった日本の裏を突かれ、アブレウのゴールを浴びて完全に息の根を止められました。

 それでは試合内容を守備から分析してみます。

久しぶりの代表ゲームであり、準備時間が少ない中で初召集組や久しぶりに代表に呼ばれた選手が多く含まれるなど、攻守両面における組織力の低下は明らかでした。

これは以前から言っておりなかなか修正されないのですが、この試合の日本代表もDFラインから2トップまでが間延びしてしまうことで選手どうしがお互いサポートしづらい距離まで離れてしまい、そのことが必然的に相手との一対一勝負をもたらすという結果になってしまいました。

特に日本代表が間延びした場合、ゴールを焦って前へ行きたがるトップ・2列目の攻撃組と、失点を恐れてズルズル下がってしまうDFラインの守備組とで一つのチームが分裂してしまい、ボランチの前後に広大なスペースができるという欠点があることは再三指摘しています。

そのボランチの前後の広く空いたスペースを上手く使われて、孤立した日本のDFラインより数的優位にたったウルグアイにカウンター攻撃を仕掛けられ、次々と失点してしまいました。

サイドバックの守備力の低さともからんでくる話ですが、攻撃力の高い相手に本職の守備的MFが一枚だけで守りきれるかという、アジアレベルでは目立たなかった問題も露呈しました。

長谷部・遠藤・中村俊・松井で組むベストメンバーの日本の中盤にしても、銀河系軍団といわれながら中盤の守備力の低さで崩壊した一時期のレアル・マドリッドが連想されます。

 これも以前から感じていたことですが、日本代表は良くポジションチェンジを行いますが、ポジションチェンジを行って本来いるべき人がいなくなったスペースのカバーを誰がやるのか約束事ができているのか、実際にそれができるよう練習を積んでいるのか疑問に思います。

ポジションチェンジは現代サッカーではもちろん必須の組織戦術で、サッカーの教科書で言えば中級編にあたる話ですが、上下の関係で言えば2列目が上がったら追い抜かれたFWがその間は2列目の役目を担い、ボランチが上がったら追い抜かれた2列目がボランチの役目を担う、センターバックが上がったらボランチが下がってセンターバックの役割を担うという、ポリバレント(マルチロール)な能力が選手に求められています。

ユーロ96で優勝したドイツは3バックでしたが、リベロのザマーが危険を察知したり攻撃参加したりして最終DFラインより前へ出たら、ボランチのアイルツがリベロの位置まで下がるという約束事ができていましたし、

ユーロ2000を優勝して日本で行われたコンフェデ2001に乗りこんできたフランス代表も、センターバックのデサイーなどが相手のポストプレーを妨害するため上がると、ボランチのビエラがセンターバックのポジションに一時的に入ってカバーするという風に約束事ができており、昨日今日はじまった組織戦術ではないわけです。

ウルグアイ戦では、日本のボランチの前後に広大なスペースができていて、そこで相手に自由にやらせないようCBの高木選手が前へ出たところ、ウルグアイにその後ろのスペースへ人もボールも送り込まれ、中澤選手一枚のところを崩されてやられてしまいました。

もし4-2-2-2でやるならその四つのラインとコンパクトな陣形を保って、高木が前へ出た瞬間ボランチの一枚がセンターバックまで下がるようにすれば、あそこまで守備がボロボロに崩壊することは防げたのではないでしょうか。

 センターバックが上がった場合、サイドバックが中央へしぼるというやり方もありますが、もともと守備が強いわけではありませんし、特に駒野選手ですが中央へしぼって欲しい場面でも相手へのマークがあいまいで、良く3点で済んだといった感じでした。

守備力の低さに目をつぶっても良いと思わせるほど、素晴らしい精度のクロス・破壊力のあるキックがあるわけでもありませんし、ピンチの時に中央へしぼったり相手のセットプレーで自軍ゴール前でマークにつくときなどに、守備力の低さが本当に目立ちます。

確かドイツW杯のオーストラリア戦で同点ゴールを浴びたときも、相手のロングスローからこちらのサイドバックがフィジカル勝負でつぶされて、そのこぼれ球を相手に押し込まれたはずです。

身長が低く攻撃を重視したサイドバックが日本で好まれるのは、おそらくブラジルのロベルト・カルロスの影響が大だと推測しますが、ロベルト・カルロスは身長こそ低いものの、守備で大穴をあけるということはありませんでした。

日本サッカー界は地に足をつけて、サイドバックの人選基準と育成方法を根本的に変える必要があるように思います。

サイドバックなのですから、多少攻撃能力が低くても堅実な守備能力を持っていることに重きを置き、攻撃参加はMFをサポートして時折クロスをあげる程度、4バック1ボランチでガッチリ守って、その分、前の5人が精力的に動いてサイド攻撃も担当させるというのも一案。

もし今の守備力の低いサイドバックでやるなら、守備力の高い本職のボランチを二人はつけてセンターバックをサポートさせないと今回のようなことになってしまうのではないでしょうか。

この試合、間延びしたことと関係があるのでしょうが、プレスがほとんどかからず、ウルグアイが好き勝手にボールを回したりドリブルしたりするのを見てしまっていた時間が長かったです。

また、日本ゴール前でのマークのズレも目立ち、守備組織の全面的な立てなおしが急務です。

 攻撃に関しては、日本がある程度やれた時間もありましたが、ウルグアイのプレスにかなり手こずりました。

あれぐらいのプレスであっても、ショートパスで崩していけるような攻撃の組織力を持たなければ、W杯の決勝トーナメントを勝ちぬいていくというのは難しいでしょう。

ウルグアイとのフィジカル勝負においても、日本のFWが次々と倒れて、ポーランド人主審に「何でファールを取らないんだ」とアピールする場面が多くありましたが、ふだんから倒れれば何でもかんでもファールを取ってくれるJリーグの審判に保護されている日本の選手のひ弱さが目につきました。

 選手個人レベルでは、青木・高木の初召集組を注目していました。

身長など素材の良さは感じましたが、代表選手として世界で戦っていくにはある程度のミスに目をつぶって、辛抱して経験を積ませてやる必要があるでしょう。

小野・田中達・大黒のひさびさ召集組も、チームとフィットするのにまだ時間が必要のようです。

 これは余談ですが、久しぶりに代表戦のTV中継を担当したフジテレビ系列、サッカー中継が下手クソになりましたね。

選手や監督の顔を長く映しすぎたり、リプレーをしつこく流していて、次の瞬間ライブ映像にスイッチすると日本かウルグアイの選手がもうゴール前へ迫って決定的場面ということが多すぎました。

ウルグアイの3点目は、フジテレビ側のスイッチングの遅れでどういう経過で点が入ったのか視聴者にはサッパリわからず。サッカー中継としては最低だと思います。

 それではまとめましょう。

今回のウルグアイ戦は、試合結果も内容も大敗・完敗でした。

久しぶりの代表戦に加え、チームの背骨の部分に、後ろから高木・青木・小野・田中達と、初召集もしくは久々の代表復帰組が入ったため、攻守にわたる組織力の低下はやむをえないものがありました。

その点においては、これまで南米予選を戦ってきたレギュラーとサブ組の選手のみで固めたウルグアイに分があったように思います。

たとえ負けが仕方なかったとしても、W杯最終予選に向けた最後のテストマッチであり、久しぶりの代表ゲームということも考えあわせれば、新戦力のテストよりもこれまでの岡田ジャパンの攻守にわたる約束事、試合の感覚を思い出すということに重点を置いた試合にすべきではなかったのかと思います。

まあ、監督がぶっつけ本番でも大丈夫と考えておられるなら、結果がちゃんと出るなら何も言うことはないのですが...

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 2008.8.20 札幌ドーム


  日本  1  -  3  ウルグアイ


 '48 O.G.       '55 エグレン
             '83 I.ゴンサレス 
             '90+ アブレウ


GK 楢崎      GK カスティージョ

DF 高木      DF ルガノ
  駒野         フシレ
  阿部         シルバ
  中澤        (アルコバ 88)
              バルデス
MF 青木     
  (長友 45)   MF ペレス
   小野        (I.ゴンサレス 69)
   中村憲       ペレイラ
  (佐藤 75)     (A.ゴンサレス 60)
   長谷部       エグレン
              C.ロドリゲス
FW 玉田        (サンチェス 60)
  (大黒 68)  
   田中達     FW スアレス
  (山瀬 76)     (J.ロドリゲス 84)
               ブエノ
              (アブレウ 69)




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■コメント

■興味深いですね [Ⅴ号戦車]

はじめまして Ⅴ号戦車と申します

大変興味深いですね
多くの人がいろんな事を思い代表戦を見ている
それぞれが期待する事もいろいろですが
少なくとも多くの人が期待はずれの試合だったのは間違いなさそうです

期待するものが「勝利」であるとするならば
そこに行き着くまでのプロセスになにが足りないのかを考察する

我々は代表監督ではないですが
日本代表はそういう場を我々に提供してくれる
なんとも面白い存在だなと改めて感じました

また拝見させていただきます
がんばってください

■ [管理人スパルタク]

Ⅴ号戦車さん、応援コメントありがとうございます。コメントを下さったその他の皆さんも、ありがとうございました。

>我々は代表監督ではないですが
日本代表はそういう場を我々に提供してくれる なんとも面白い存在だなと改めて感じました

代表は、その国のサッカー選手によるオールスターチームであり、代表戦は各国のサッカー文化のコンテストだと思っています。

そのあたりが多くの人を魅了するのかもしれませんね。
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