■日本、バーレーンの自滅で勝ち点3

 アジア三次予選最終戦となるバーレーンとの試合が、雨の埼玉スタジアムで行われ、日本が1-0と勝利しました。

対戦相手のバーレーンは、日本より実力的に下という私の評価は変わっていません。

確かに日本はバーレーンのホームで0-1と敗れています。

ですが、日本はホームでオマーンやタイに大差で勝利しているにもかかわらず、バーレーンは両チームにホームでとうとう勝てませんでした。

そのことからも、日本とバーレーンの力の差がうかがえると思います。

アウェーのバーレーン戦は、結果はもちろんどれだけ日本代表の試合内容が悪かったか、まったくの勇気に欠けた、ふがいない自滅だったかがわかるでしょう。

 岡田監督も明言なさっているように、プライドをかけたリベンジの戦いとなったこの試合に注目が集まりましたが、1-0で勝ったという結果は順当と言えますが、試合内容は攻守にわたって低調だったと言わざるを得ません。

ドイツで惨敗したジーコジャパンのアジア予選、同じ埼玉で行われたオマーン戦・バーレーン戦の録画を見ているようでした。

結局三次予選におけるバーレーンとの二試合は、アウェーはこちらのGKのミスでゲームを落とし、ホームでは相手GKのミスで勝ちを拾った、ということになるでしょう。

 試合経過を振り返っておきます。

立ち上がりは攻守に積極的な日本のペース。

前半5分、スルーパスに抜け出した佐藤選手が倒されたとしてPK獲得。

これは日本ホームならではの「ホームタウン・デシジョン」ぎみの判定に見えましたが、もらえるものはありがた~くもらっておきたいもの。

ところが中村俊選手のPKは相手GKにはじかれてしまいました。

PKは半分クジのようなものですから常に改善は必要なものの、中村俊は自分を責める必要は無いと思います。

あえて言うなら、もう少し助走を取ったほうが良い気がしますが。

20分、佐藤のクロスを闘莉王選手がヘッドで落とし、再び佐藤がつめますが届かず。

あの距離であるならば十分すぎるくらいのシュート射程距離内。

闘莉王はヘッドでつなぐということを決め打ちするのではなく、積極的にヘディングシュートを打ってほしかった。攻撃好きでアグレッシブな彼らしくありません。

45分、遠藤選手のFKがゴールバーに当たってはね返り、これを本田選手がつめますが、残念ながらシュートは空振り。

これで前半終了。

 後半立ち上がりは一転して流れがバーレーンへ。

7分F・ムバラクの強烈なミドルシュートを食らいますが、楢崎選手がナイス・セーブ。

この後も何度か危ない場面がありましたが、無失点だったのは彼のおかげでしょう。マン・オブ・ザマッチは文句なく楢崎だと思います。

これで目がさめたのか日本は再び主導権を奪い返し、攻撃をしかけますが、中盤での組み立てにミスが多く、なかなか得点を奪えません。

スコアレスドローの空気が濃厚となってきた45分、相手のクリアを内田選手がヘッドでゴール前へ押し込み、相手GKが判断ミスで前へ出れず、ワンバウンドさせてしまったボールは彼の頭上を超えてゴールイン。

結局これが決勝点となりました。

 それでは試合内容を分析します。

埼玉の気温が21℃と、ようやくサッカー向きの気候のなか試合ができると思ったので、試合内容に期待したのですが、あまり良くありませんでした。

守備面では、キリンカップのときから比べるとプレスが甘くなり、相手のボール保持者へのプレッシャーが減った結果、かなり正確なミドルシュートを打たれていたように思います。

まずシュートコースを消し、後ろのカバーが整っているならプレスをかけて相手のミスを誘う、片方のコースを切ってチーム内で約束事になっている方向へ追い込む等、してほしいもの。

 攻撃に関しても、前回タイ戦では相手のフィジカル能力が弱かったので、セットプレーからのヘッドで2ゴールをあげることができましたが、タイと違ってバーレーンはフィジカル能力においては日本と互角。

日本にも惜しいシーンが二度くらいあり、セットプレーのやり方が間違っていたわけではありませんが、タイほど容易にはゴールさせてくれません。それについては前回述べました。

 こうなると流れの中からの崩しが重要になってきますが、あまりうまく行きませんでした。

ここ数試合のエントリーにおいてずっと、

1.コンパクトな布陣の維持(FWが前へ前へと焦らない、選手間の適切なサポート距離・複数のパスコースの確保) 

2.アタッキングサードへ行くまではシンプルかつ速く、グラウンダーのショートパスをオートマチックに回せ

3.グラウンダーのショートパスを受ける時のポジショニングの取り方、パスを出すときのコースとタイミングの基本に忠実に

4.ゴールゲットのキーとなる敵センターバックの前のスペースを上手く使え

と言ってきましたが、この試合においてもほとんど進歩・改善が見られません。



(クリックで拡大)

上の図は、岡田ジャパンに非常に良く見られるシーンですが、玉田・大久保コンビにしろ玉田・佐藤コンビにしろ巻選手が入るにしろ、2トップがいつも同時に同じような動き(相手のウラへ抜け出す動き)をしてしまう

それも二人ともゴールを焦って、早すぎるタイミングで前へ前へと行ってしまう結果、自分から相手のウラのスペースを狭めてしまう、チーム全体が間延びしてしまう

敵センターバックの前のスペース(黄色い線で囲んだスペース)を誰も使えない、使おうとしないというシーンが良く見られます。

 そうではなく、まずチーム全体をコンパクトにし(特にFWと二列目が気をつける)、2トップや二列目が敵センターバックの前のスペースを上手く使うことが重要です。


(クリックで拡大)

図は攻撃の一例ですが、トップと二列目が一人づつ敵センターバックの前のスペースを利用してダイレクトのショートパスをつなぎ、相手にプレスをかける余裕を与えることなく、グラウンダーのショートパスでキラーパスを出したところです。

キラーパスはグラウンダーですし、距離が短いからさほどスピードも速くないので、FWも受けるのが容易でしょう。あとは焦らず慌てずオフサイドに気をつけて抜け出すだけです。

パスを出すときはタッチラインと平行に(縦にまっすぐ)出すのではなく、図のようにダイアゴナル(ななめにジグザグ)に出すことが重要です。

パスを受ける動きも、縦にまっすぐ上がったり下がったりするのではなく、ダイアゴナルに動くと効果的。

ダイアゴナルなパス交換と言えば、中盤での組み立ても敵最終ラインへの崩しでもそうですが、日本代表はほとんどワンツーが使えません。

ユーロ2008準々決勝のポルトガル対ドイツ戦、

ドイツは左サイドでクローゼ・バラックらがからんでワンツーを二本かませてポドルスキが抜け出し、ゴール前へグラウンダーのクロス、これをシュバインシュタイガーが押し込むというのが先制シーンでしたが、別に「奇跡のパス一本」が無くても「グラウンダーのショートパスでワンツー」という基本ワザだけで優勝候補ポルトガルの最終ラインを崩せてしまうんですね。

日本も、もっともっとワンツーを上手に使ってほしいです。

 また、敵センターバックの前から、相手をフェイントで振ってのミドルシュートも悪くありません。
この試合ミドルが少なすぎました。

 アタッキングサードへ人とボールを送り込むための、中盤における組み立てにしても問題が多く、特に中村俊が相手の二列目の前、あるいはボランチの前のスペースで、ゆっくりとドリブルしながら4タッチ5タッチしている間に、バーレーンの選手が6人7人と戻ってゴール前を固めてしまいます。

人とボールがアタッキングサードにいる時間を長くしたい、バーレーンのDFが自分のゴールに向かってバックするところに速攻をしかけたいのに、ディフェンディングサード・ミドルサードでモタモタと時間をかけて、日本はいつもバーレーンの守備隊形が整うのを待ってから攻撃しているわけです。

アタッキングサードにいくまでは、シンプルかつ速く正確に、グラウンダーのショートパスをオートマチックに回して、敵の陣形が整わないうちに、素早く上の図に示した敵センターバックの前のスペース、あるいはサイドのスペースに人とボールを送り込んでほしいものです。

これまで見てきたように、日本がアジアにおける戦いで、引いた相手に苦しむ原因の半分は自分たちにあります。相手が引いている原因の50%は、自分たちのスペースの使い方がマズイ、中盤でボールをいつも持ちすぎるからです。

この試合の後半27分でしたか、中村俊・山瀬・玉田らがからんだシンプルなダイレクトパスによる惜しい攻撃がありましたが、ここにこそ攻撃力アップのヒントがあると思います。

 さて、バーレーンでの自滅後、「俺流宣言」して始まった、病み上がり岡田ジャパンの経過観察の結論を述べようと思います。

代表選手の選考に関しては、オシム氏より岡田監督の方が私は好みです。

守備に関しては、まずまずといったところですが、攻撃に関してははっきりとした進歩・改善が見られたとはちょっと言えません。

図で説明したように特にスペースの使い方の戦術理解が弱いというのは、選手・指導者の別なく日本サッカー界全体が抱えている弱点ですが、それが一向に良くなりません。

岡田さんはそれがわかっていて選手にも指導しているが、いくら言っても選手が試合で表現できないのか、それとも選手と岡田監督の両方が問題点を理解できていないのか、私にはわかりません。

ただ、前から厳しくプレスをかけてボールを奪い、攻守の切り替えを速くして攻撃したいというところまではコンセプトは見えますが、ではどう攻撃するかという具体的なソリューションが、岡田ジャパンから見えてきません。

岡田さんがDF出身の殻を打ち破れないということなのでしょうか。

また、中盤におけるパス回しや、選手の連動性もオシムジャパン時代のレベルには戻れていません。
これではバーレーンやオマーンより守備組織が上のチームと当たったら、日本のパス回しが封じられかねません。

このまま現状維持であれば、2010年W杯で3位どころかグループリーグ突破さえ困難かと思われます。

私は岡田さんを尊敬していますし、彼も厳しいプロの世界の掟をじゅうぶんご理解なさっていると思いますが、日本サッカー協会として岡田さんより良い監督を確保できる自信があるなら、最終予選まで時間がある今のうちに決断するべきだと思います。



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   2008.6.22 埼玉スタジアム2002


   日本  1  -  0  バーレーン


  内田 '90


 GK 楢崎       GK S・モハメド

 DF 中澤       DF S・イッサ
   闘莉王        M・フセイン
   安田         A・サイード
  (今野 73)     (R・イッサ 72)
   内田         M・アドナン

 MF 中村俊      MF S・マフムード
   遠藤         H・ラケア
   中村憲        アブドルラフマン
   本田         F・ムバラク
  (巻 80)       A・イスマイール

 FW 玉田       FW アブドルラティフ
   佐藤        (R・ジャマル 83)
  (山瀬 64)




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■コメント

■ [(@@)]

私も日本代表には注目していますが、岡田監督が就任してからは、もどかしさを感じながら試合を観ています。そんな中で、管理人さんの鋭いご指摘を、なるほどと感じながら読ませていただきました。

そして私なりの感想をいくつか書かせていただきます。

まず日本(岡田ジャパン)の実力は、バーレーンより少し上だと思っています。しかし相性が悪いために、直接対決した場合の力はほとんど互角ではないでしょうか。

後半がバーレーンの流れになったのは、日本が前半とばしすぎて、後半の日本のプレスが甘くなったから。前回のタイ戦など、後半にスタミナ不足になるシーンをよく見ます。日本を知り尽くしているバーレーンの監督も、そこで一気に勝負を賭けてきたのではないでしょうか。また正確なミドルを撃たれたのは、日本のプレスの甘さに加えて、守備意識の低い攻撃的ボランチを2人並べているからというのもあるかもしれません。

流れの中からの崩しに関しては、難しくて私にはよくわからなかったのですが、管理人さんの書かれている文章から色々と学ばせていただきました。これまで想像していた以上に、サッカーの奥深さを感じました。そして「中盤でボールをいつも持ちすぎる」「アタッキングサードにいくまでは、シンプルかつ速く正確に」というご指摘は、本当にその通りだと思います。監督や選手に直接言いたくなります。

雑誌で読んだのですが、岡田監督は、元甲府監督の大木さんが甲府でやっていた戦術を取り入れているようです(実際に大木さんをコーチとして招いています)。それは、人数をかけて細かいパスを回しながら、敵の密集している狭いスペースを突破していく、という斬新なものだそうです。しかし今の代表は、この「細かいパスをつないで綺麗に崩す」ことにとらわれすぎているように思います。

最後に、今の岡田ジャパンの力では、「世界を驚かす」どころか最終予選突破さえ困難ではないかと、私は感じています。組み合わせが良ければそれほど苦しまずに行けるかもしれませんが、悪ければグループ最下位もありうると。
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