■日本、タイを3-0で圧倒

 バンコクで行われたアジア三次予選の第五節、タイ対日本は0-3で日本の圧勝に終わりました。

対戦相手のタイにはクラブ・ブルージュやグラスホッパー・チューリヒでプレーする海外組がいる(レギュラー取れているんでしょうか?)ようですが、実力では日本が上。

バーレーンもオマーンもバンコクで勝ち点3をあげている以上、日本も勝たなくてはならない試合でしたが3-0の大勝で、結果としては大変よかったと思います。

 試合経過の方は、立ちあがりから激しいプレスで積極的にボールを奪取した日本ペース。
セットプレーでもフィジカルの強さで勝る日本が何度も惜しいヘディング・シュートを放ちます。

待望の先制点は23分。遠藤選手のショートコーナーから闘莉王選手が地面に叩きつけるヘディングシュート!これが決まって日本先制。

この後も日本が攻め立て、39分遠藤の左コーナーからゴール前中央のいわゆるプライムターゲットエリア中央に飛び込んだ中澤選手のヘディングシュートが豪快にゴールに突き刺さり2-0。

日本は自分の時間帯でうまいこと2点をゲットすることができました。

 しかし後半は、前半から積極的にいった日本の足が止まったこともあり一転してタイペース。

タイらしいショートパスをつないだ崩しで日本ゴールへと迫りますが、中澤を中心としたDFラインがシュートコースを消すなどして対応、何とか最後の一線だけは割らせませんが、2点差リードというのは1点返されるとガタガタッといって一番ひっくり返されやすい試合展開であり、まだ安心できる点差ではありません。

後半25分に中村憲・矢野両選手を投入するとゲームの流れをやや引き戻すことができました。

43分、中央へ切りこんできた駒野選手がラストパス、相手DFラインの裏へ抜け出した中村憲のシュートが決まって、この試合を「完全に殺しました」。

 それではいつものように日本代表の試合内容を守備から見ていきましょう。

守備に関しては、相変わらず好調さを維持しています。

特に前半ですが、激しいプレスでタイ代表の持ち味であるショートパス攻撃を封じ込めることができました。これでタイの攻め手が無くなりピンチらしいピンチもありませんでした。

後半は足が止まったことで、タイがショートパスをかなり回せるようになって押されましたが、前半から勝負をかけて2点リードしていましたから、そういうゲームプランであったのなら問題ないと思います。

バンコクは40℃近いマスカットより気温が低かったですが、逆にムシムシと湿度が高く、汗の蒸発による体の冷却がうまくいかなくて日本選手の消耗も激しかったでしょうから、やむを得ないところもあります。

 続いて攻撃面です。

良かった所は何と言ってもセットプレーでしょう。

「流れの中からとれない」という人もいますが、セットプレーからでも1点は1点です。

日本が使えるスペースを極力狭くするために、引いてゴール前を固めてきた相手から点を奪うのに一番有効な攻撃ツールは、アーリークロスやセットプレーから最小限のスペースでもシュートが打てるヘディングです。

闘莉王の先制点も良かったですが、中澤による追加点は特に良かったです。

ヒマがあったら図でも作りたいところですが、プライムターゲットエリアのど真中を狙った遠藤のボールの落としどころのセンスもパーフェクトでしたし、いったんファーポスト側に動いてから自分のマークを外し、そこから急反転してニアに向けて走りこんで正確なヘッドを叩きこむ中澤の動きもパーフェクト。

再三言ってますが、セットプレーからのボールの落としどころについての遠藤のセンスは大好きです。

日本のFW陣も基本に忠実な中澤のヘディングシュートの技術・マークの外し方を盗むべきです。

ヘディングシュートを狙う時の基礎として二人のプレーの連続写真をサッカー教科書に載せたいくらいで、全国のサッカー少年・少女は是非まねをしてほしいと思います。

 ただ、ここまで空中戦で日本が有利だったのは、タイがあきらかに日本よりフィジカルコンタクトに弱かったからで、どんな相手でもここまで上手く点がとれるとは限らないことに注意が必要でしょう。

サウジ・バーレーンやオマーンといったアラブ勢、韓国・中国の東アジア勢に比べ、タイやベトナム・インドネシアといった東南アジア勢は、アジアレベルでさえもフィジカルコンタクトが明らかに弱く、それが彼ら最大の弱点であり、20年前の日本サッカーが抱えていた弱点でもあります。

以上の理由から、岡田ジャパンには「絶対に勝ちに行く時は、縦に速いロングを放り込んで背の高い選手に競らせるパワープレー」というゲームプランがありますが、アラブ勢や東アジア勢はもちろん、フィジカルで日本に勝るオーストラリアや欧州勢、アフリカ勢にたいしてパワープレーから点が取れて勝ちにいけるのか相当疑問です。

そもそもパワー負けしている相手に有効なパワープレーを仕掛けることが可能なのか疑問ですし、パワープレーが成功する確率は非常に低いのではないでしょうか。

だったらショートパスで相手を振りまわして疲弊させ、相手の足が止まった後半30分以降、日本の得意な形で決勝点を奪う方が確率が高いように思います。

日本サッカー界はテクニック崇拝が根強い裏返しとして、自分達や相手チームのフィジカルコンタクトの強弱が試合の勝敗に与える影響を軽視する傾向があります。

岡田ジャパン首脳陣は、三次予選が始まる前に「このグループで一番良いライバルチームはタイ」と言っていて私は首をかしげましたが、タイの最下位が決定的な今、スカウティング・ミスは明らかでしょう。

それは技術の高低だけで戦力評価をし、フィジカル能力の高低が勝敗に与える影響を軽視したことが原因ではないかと思います。

それと同様、日本のパワープレーがどんな相手にも通用すると考えるのは危ういのではないでしょうか。

 中盤におけるショートパスのつなぎ・人とボールの連動性については蒸し暑さもあったと思いますが、前回よりもレベルダウンしていました。

ボールを受けても2タッチ3タッチしてどこへパスを出すか考え込んでしまうシーンも多く、そうこうしているうちに今までフリーだった味方に敵のマークがついてパスが出せなくなり、苦し紛れに出したパスがミスになる、相手にボールを奪われて余計にスタミナを消耗するという悪循環でした。

足元に出すショートパスも雑で、味方の効き足やや前方へ確実にパスを出してやって欲しいです。

シドニー五輪予選のフィリピン戦で、相手の悪質なタックルで小野選手が選手生命を左右するような大ケガをしていますが、大差で負けているとラフプレーに走るのも東南アジアのチームにはありがちで、つまらないケガを防ぐと言う意味でも、シンプルなパス回しが重要です。

 やはり日本代表選手にとって、ボールを受けた時は次にどういったプレーを選択するかそれを考えるのを楽しみたい、パスを出すときは慎重に大事に行きたいというのはあると思います。

しかし時間もスペースも少ない現代サッカーにおいては、次にどういったプレーを選択するかそれを楽しむ時間というのは、アタッキングサードやバイタルエリアの中で使うべきであり、ミドルサードやディフェンディングサードで時間を浪費してしまうと、なかなか点が取れない試合に勝てないということが常識になっています。

自分より前にいる選手がいたらオートマチックにショートパスをまわすことを身につけることだけを目的として、日本代表よりかなり力が劣る相手との練習マッチを組んで、パス回しのリズムを体で覚えさせたり、ショートパスの出し方受け方を練習させたらどうでしょうか。

そうすることでオートマチックにパス回しをする不安を解消することができると思います。

今ユーロ2008がやっていますが、オランダ・チェコそれに負けてしまいましたがスイスなどサッカー戦術で世界最先端を行っているチームのショートパスのつなぎ方を見ていると、「そんなサッカーの基礎が出来ているのは当たり前」と言わんばかりに、パスを出すコースとタイミング、ボールを受ける時のポジショニングがほぼパーフェクト、観ている方もストレス無く楽しむことができます。

文章ではなかなか伝わりにくいと思いますので、ぜひユーロの映像を見て、良いところを盗んで欲しいと思います。

 この試合セットプレーからの2得点で目立たなくなっていますが、FWとMFの連携からシュートチャンスをつくるということもあまり上手くいっていません。

再三言っていますが、日本にはワントップというシステムが合っていないということが一点。
(岡田さんはこれまでずっとワントップだったとおっしゃっているようですが、試合中に玉田・大久保は2トップ的に動いているように見えます)

あとホームのオマーン戦でも言いましたがFWがウラへ動き始めるタイミングがいつも早すぎるというのが原因の二点目でしょう。

MFが相手ボランチの前のスペースで前を向いただけで、日本のFWはもう全速力で相手のウラへ走りこんでいます。でもパスが出ないので相手のオフサイドラインと平行に走りますがそれでもパスが出ないのでついにはオフサイドポジションへ突きぬけてしまいます。

ユーロ2008でファンニステルローイやアンリ、ビジャの動き方を見ていましたが本当に勉強させられます。

味方が相手のボランチの前のスペースでショートパスをつないでいるときはまだ動かず、敵のセンターバックの前のスペースの味方にショートパスが渡り、味方がボールを受けて前を向いた瞬間に、ようやくウラへ抜け出す動きを始めます。

「焦らずあわてず味方のパサーをFWの自分に引き付ける」というイメージでしょうか、ウラのスペースが広ければ広いほどスルーパスは通すにも受けるにもやりやすくなりますから、早く動きすぎてウラのスペースを自分でつぶしてしまうのではなく、味方が敵センターバックの前のスペースで前を向き、グラウンダーのスルーパスの「一本道」が見えてからウラへ動きはじめても遅くはないわけです。

FWはゴールに向いていてウラへ動くには有利ですが、相手DFはゴールに背を向けていて体勢が不利ですし、相手DFより数m速く抜け出せれば、GKと一対一にもっていけます。

シュートの正確性も含め、日本のFW陣が学ぶ点はたいへん多いと思います。

 選手起用については香川選手があまり機能していなかったように思います。 
上述のFWとMFの連携が上手く行かなかった一因として、それもあったのではないでしょうか。

現時点で香川より山瀬選手や中村憲の方が経験は上だと思うのですが、ワントップというシステム選択と同様疑問が残ります。

点が取れない時のためのパワープレー用に、巻・矢野両選手と山瀬や中村憲を温存しておいたというのであれば、慎重すぎるというか弱気で悲観的な采配ではないでしょうか。

タイをなめてかかるわけではありませんが、試合前からそこまで日本がいっぱいいっぱいになる必要があったとも思えません。

 それではまとめますが、タイとのアウェー戦で3-0という結果はかなり良かったと思います。
試合内容もまずまずでした。

ただ、ユーロ2008に出場している列強の試合内容を横目でにらむと、バーレーンとオマーンが引き分けたため日本の最終予選進出が決定こそしましたが、2010年W杯決勝T進出・3位以上という岡田ジャパンの目標達成のための戦力整備という点では、まだまだレベル向上が必要と思われます。


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追記

北京へ行く五輪代表にオーバーエージを使うという話が出ていますが、私は反対です。

A代表の選手は疲労の蓄積・故障の発生等で、とても北京に戦力を割ける状況にありません。
W杯予選もまだアジア最終予選ですらありませんし。

オーバーエージを入れれば、若手が経験を積むチャンスが確実に失われますし、勝っても負けてもU-23で勝負をいどんで経験を積ませることが短期的な勝敗を超越した、長い目で見た日本サッカーの利益になると思います。

U-23の人的リソースを十分生かしきっているとは思えないのに、オーバーエージで何とかしようというのであれば安易な発想ではないでしょうか。


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2008.6.14 ラジャマンガラ・ナショナル・スタジアム
            (バンコク)


   タイ  0  -  3  日本


             '23 闘莉王
             '39 中澤
             '88 中村憲



 GK コーシン      GK 楢崎

 DF スリー       DF 闘莉王
   二ウェット       中澤
   ナタポーン       駒野
   キアトプラウット    内田

 MF ダサコーン     MF 中村俊
   ピシットポン     (中村憲 70)
  (スティー 85)     香川
   タワン        (今野 82)
   チャイウット      松井
  (ニルット 71)    (矢野 70)
               遠藤
 FW サラーユット      長谷部
  (タナー 48)
   ティーラシン    FW 玉田




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■コメント

■QBK [モハメド・アル・サガミ]

こんばんは初コメです。
よろしくお願いいたします。

6月27日にクアラルンプールで最終予選の抽選会をやりますが日本はサウジとシードランキングが同じ順位のためシードを分ける必要があるので本抽選の前に予備抽選をやります。
この予備抽選こそが日本の運命を左右するといっても過言ではありません。
もし第3シードになったら下手すると豪州&イランもしくは韓国&イランと同居の可能性があるからです。
人によって見方が異なりますが、日程も第2シードの方が良いのではと私は思います。
ちなみに今回のシードランキングは一昨年のドイツW杯の成績を参考にしています。
日本はドイツW杯の1次リーグの成績はサウジと勝ち点、得失点差、総得点が全て同じです。
つまりクロアチア戦で柳沢が加地の絶妙なクロスを見事に”クリア”したあの「QBK」が今頃になってボディーブローのようにモロに効いてます(笑)
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