■日本代表、酷暑のアウェーで勝ちに等しいドロー

 オマーンの首都マスカットで行われたW杯アジア三次予選の対オマーン戦は1-1で引き分けという結果に終わりました。

対戦相手であるオマーンの戦力評価については、前回エントリーでも言ったように日本とほぼ互角の相手、やや日本の方が上かと思っていました。

ですが今回は気温が40℃にもなろうかというアウェー戦。

勝てれば最高ですが、引き分けでも勝ちに等しいと考えていました。

その点からすれば1-1という結果は良かったと思いますし、三次予選突破に向けて確実に一歩前進できました。

前回3-0で完勝だったのに今回引き分けに終わったのは、たった5日間でオマーンが急激に強くなったとか、日本が急激に弱くなったというよりは、この試合がオマーンホームだったからという単純な事実が原因でしょう。

ただ中村俊選手も似たようなことをコメントしていますが、目先の相手ではなく世界の強豪国を意識して、2010年W杯グループリーグ突破という目標を見据えるならば、結果・内容ともにまだまだ足りないところがあるというのは、岡田ジャパン発足以来変わっていません。

 それでは試合経過を振り返っておきましょう。

試合は両チーム五分五分の立ちあがり。

先制したのはオマーンで前半12分、右サイドからのFKからこぼれたボールがオマーン選手の前へころがり、ゴール前中央へバックパス。

これを走りこんできたマハイジリがシュート・ゴールしてオマーンが先手を取ります。

ここからオマーンが引いてカウンター狙いになり、日本が相手を押し込んで中澤・大久保両選手の惜しいシュートがありましたが得点できず。

 後半、日が落ちて少し涼しくなったことで動きが良くなった日本に対し、オマーンはがっくりと運動量が落ち、前半以上に日本が押し込みます。

後半7分、長谷部選手のスルーパスから抜け出した玉田選手が倒されたとしてPK獲得。
相手の足はかかっていないように見えましたがラッキーでした。

これを遠藤選手が冷静に決めて同点に。

直後の12分、オマーンのサレハが日本のペナルティエリア(PA)を突破、闘莉王選手が引っ掛けたとしてPKを取られます。

闘莉王の足は相手にかかっていないように見えましたが、アンラッキーでした。
審判は日本にPKを与えたことへの「バランス」を取ったのでしょうか。

しかしドゥールビーンのPKを楢崎選手が見事にストップ!日本は命拾いをします。
 
その後も日本が優勢に試合をすすめますが、29分相手GKと交錯した大久保が報復で蹴りを入れてしまい一発退場。相手も退場者が出ましたが日本優勢の流れに水を差してしまいます。

結局試合はこのままドローとなりました。

 それでは試合内容の方を見ていきましょう。まず守備から。

40℃近い酷暑の中、マークのズレもほとんど見られず、中盤のプレスも精一杯やっていたと思います。

このあたりはキリンカップからの守備面の好調さを維持しているようでした。

横浜での試合よりFWからDFラインまでが間延びしたように見えましたが、もともと相手が、引いてトップにロングボールを蹴りこんでくる間延びしたサッカースタイルの上、酷暑の砂漠気候の中ですからやむを得ないところでしょう。

コンパクトな布陣というのは今後も常に意識し続けて欲しいです。

失点シーンですが、FKのボールが混戦の中からちょうどオマーン選手の前へこぼれてくるあたりが、オマーン・ホームの地の利ということなのでしょう。

TVアナは「まさかの失点」「オマーンは横浜とは別のチームのよう」を連呼していましたが、ホームとアウェーでほとんど有利不利が無い、Jリーグの恵まれた環境を大前提にしているからだと思います。

 唯一気になったのが、ボールを奪い返してからDFラインでパスを回している時、相手がプレスをかけてきているのに余裕を持ちすぎて、奪われそうになったシーンが何度があったことです。

ピッチを三分割した場合の自軍ゴール寄り、ディフェンディングサードはリスクをかけてパスをつなぐ所ではありません。

危なくなったらロングを放り込んでも良いので、とにもかくにも安全第一でお願いします。

 攻撃に関しては、あの酷暑のなか人とボールが動き続け、中盤の組み立ての部分ではまずまず良かったのではないでしょうか。

ただ相変わらず、グラウンダーのショートパスを受ける時のポジショニングの取り方、パスを出すときのコースとタイミングの基本がマスターできていないようです。

この試合、日本の選手がパスを相手選手にぶつけてしまうシーンが非常に多かったのですが、ボールを保持している日本選手から見て、敵選手がパスのコース上に立ちふさがっていて死角となっているスペースへ味方が走りこんでしまい、それでも無理やりパスを出そうとするので、相手選手にボールをぶつけてしまって奪われていました。

闘莉王がPKを取られたシーンも、駒野選手が相手にボールをぶつけてしまうというミスから始まっています。

より高いレベルの攻撃を求めるなら、ショートパスを回す時の基本のマスターが欠かせません。

 しかしながら、この試合なかなか日本が得点できなかった原因は中盤ではなく、相手ゴール前のバイタルエリアに侵入してからにあって、パスで相手のDFを完全に崩して、GKまでパスでかわして後はゴールに流し込むだけという形をつくりたいという、いきすぎた完璧主義に陥っているのかもしれませんが、日本の選手はバイタルエリアで前を向けてもシュートが少なすぎました。

シュートへの積極性においてはオマーンの方が上で、それが1-1という結果につながった一つの要因でしょう。

パスで相手を完璧に崩しきってからシュートしたいという考えの裏側には、シュートが外れるのを恐れ、シュートという勝負から逃げてしまうというメンタルの弱さがあると思うのですが、それが2006年W杯グループリーグ敗退や07年アジアカップ4位という結果の大きな原因の一つであり、日本サッカー界がなかなか解決できないでいる課題となっています。

日本選手の弱気さというのは、相手PA内に侵入した日本選手に相手がちょっとでも触れると倒れて、
すぐさま主審の顔を見てPKをアピールするというシーンがこの試合で何度も何度も見られたことからもうかがえます。

この試合のマレーシア人主審は、2004年アジアカップ決勝T一回戦の対ヨルダン戦、PK戦において日本が二本外した後、宮本選手の提案でPK戦をやるゴールを反対側に代え、日本が大逆転勝利をした時と同じ方とお見受けしましたが、オマーン戦でPKを一本獲得できたのは審判との相性が良かったと言うか、ちょっとラッキーだったと思います。

レベルの高い欧州や南米の主審だったらどうだったでしょうか。

もちろん悪質なファールを受けたというなら別ですが、相手がボディコンタクトしてきても日本の選手が倒れずに踏ん張って、シュートなりラストパスなりすれば、この試合もっと点が入っていたかもしれないと思います。

シュートを打とうと思えば打てるが、倒れてあわよくばPKをもらおうという考え方自体、消極的で弱気な証拠であり、日本人選手のサッカー技術の向上にも役立つことは無いでしょう。

下手をするとシミュレーションを取られてカードをもらうことになりますし、正真正銘日本にPKが与えられるようなファールがあっても、日本選手が審判からの信用を失ってしまい、シミュレーションを警戒した審判がPKを取ってくれないこともあるかもしれません。

レベルの高い審判であれば、選手が思っているほどシミュレーションかそうでないかを見分けるのは難しくないと思います。

ともかく、こういった日本選手のメンタル面での弱さというのは、イタリアやアルゼンチンといった強豪と対戦すればもっとハッキリとあらわれ、悪い試合結果へとつながっていくことになります。

失敗しても良いから、アタッキングサード、特にゴール前では日本の選手がリスクをおかし、積極的にシュートで勝負を挑む姿を見たいです。

横浜では中村俊のゴールでそうした姿勢がまずまず見られたのに、この試合ではチーム全体にそういう意識がなかったのが残念。

サイド深くでボールをもらった最初のタイミングでゴール前へクロスをあげて勝負するよりも、すぐボールを後ろへ戻してしまうバックパス専用選手と化しているサイドバックの姿も見たくないです。

前回指摘した、センターバックの前のスペースをどう使うかという問題も、浮き球のパスを出してFWが裏を狙うという単調な攻撃が多く、もっと創造力を求めたいところ。

 先ほどシミュレーションの話をしましたが、ジーコジャパン時代の日韓戦で大久保がシミュレーションを取られて退場になったことがありました。

この試合でも、相手GKと交錯した時に報復行為の蹴りを入れて一発退場。

日本代表を重大な危機に陥れましたが、審判との相性の良さでしょうか、大久保のラフプレーが原因となってエキサイトした相手選手が松井選手を突き飛ばしたとして、バランスを取ってレッドを出してくれたので、数的不利は免れました。

ただ、代表に大きな迷惑をかけたのはこれで二度目であり、情状酌量の余地はありません。
大久保は当分代表から外すべきでしょう。

これに関連してですが、松井は二列目よりも大久保に代えてFWにあげたほうが、彼の個性が生きるのではないでしょうか。

 プレー以外にも気になったことが二点。

この試合、日本は白の2ndユニホームを着用していましたが、オマーンのユニホームは赤か白のはず。どうして日本が2ndユニを着用する必要があったのでしょうか?

たとえばブラジル代表のカナリア色のユニが相手チームに与える精神的威圧感は相当なものだと思うのですが、オマーンを含めアジア各国にとっても、アジアの強豪・日本代表の青いユニホームから受けるプレッシャーがあるはずです。

横浜でオマーンを圧倒した青いユニホームを日本が自分からひっこめてしまったことで、オマーン側に完敗のショックから立ち直る気分転換のチャンスを与えてしまったのではないでしょうか。

Jリーグでもそうですが、アウェーだから自動的に2ndユニではなく、日本協会はもっと自分たちの1stユニホームに誇りを持ち大切にして欲しいです。

優勝したJクラブがユニの上からヘンテコなTシャツを着て記念撮影するのも私個人は好きではありません。

どうして優勝を勝ち取った自分たちの誇りある「戦闘服」を、安っぽいTシャツで隠してしまう必要があるのか理解に苦しみます。

 二点目は、どうして40℃近い酷暑のオマーンで、わざわざ太陽がまだ沈んでいない17時というキックオフ時間を選んだのかです。

オシムジャパン時代にオマーンの隣国イエメンとのアウェーを戦った時もそうだったのですが、これは日本におけるサッカー中継開始をなるべくゴールデンタイムに近くして視聴率を上げたい日本側の都合でそうなったそうで、それを受け入れたオマーン協会もどうかと思いますが、川淵会長率いる日本サッカー協会の愚かな商業主義がまだ続いているのかとあきれてしまいます。

W杯ドイツ大会でも日本でのTV中継時間を第一に考えてキックオフ時間が設定されましたが、人とボールを動かすことが生命線になっている日本代表が、デーゲームの猛暑のなか足がとまり、(特にオーストラリア戦の試合終了直前)それがドイツでの惨敗の大きな要因となりました。

日本協会の行きすぎた商業主義がドイツにおける日本の惨敗につながり、そのことが現在まで尾をひく代表戦人気凋落の原因となっています。

ドイツW杯直後、「川淵会長は責任を取って辞任するべきだ」という意見が当然出て、私も支持しましたが、驚いたことに「川淵会長がいなくなったら代表戦の興行収入はどうなる。だからやめさせてはダメだ」という論陣をはって川淵氏をかばうブロガーが少なくありませんでした。

しかし、代表人気の凋落を防ぐには試合に勝って好成績をあげることに勝るものはありません。

代表が勝つために日本サッカー協会が存在しているはずなのに、川淵会長の協会カネ儲け第一主義が代表チームの足をひっぱり、代表が勝てないから観客動員が落ちる、興行収入が減るというのでは、川淵会長続投支持の根拠はすべて崩れ去ったと言わざるを得ません。

川淵氏はJリーグを作ったからその後は何をしても許されるという、プロの世界にあるまじき年功序列主義はまったくの論外。

日本サッカー協会の会長職を選挙によって決めようという話が出ると川淵氏が怒り狂って、後輩たちが静まり返ったという話が某週刊誌に載っていましたが、たとえ先輩が間違っていても後輩は絶対に逆らってはいけないという日本独特の部活文化も、協会に巣くう前近代性の象徴でしょう。

 それではまとめます。

アウェーのオマーン戦で1-1という結果は良かったと思います。内容もまずまずでした。

ただW杯で3位以上という岡田ジャパンの目標を見据えると、結果も内容もさらに高いレベルが望まれます。

W杯で決勝トーナメントに進出できるチーム、あるいはユーロの本大会に出場できるレベルのチームであったなら、たとえ1点差であってもオマーンに勝ちきっていたと思います。

アジアはレベルが低いから、どんなに試合を重ねても日本代表のレベルアップにはつながらないということはありません。

日本代表がアジアにおいて「まるで別の惑星から来たようなチームだ」と言われるぐらいの、別次元の強さを見せることが出来るようにならないとW杯3位以上は見えてこないでしょう。


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 2008.6.7 ロイヤルオマーンポリス・スタジアム
                  (マスカット)


  オマーン  1  -  1  日本


'12 マハイジリ       '53 遠藤(PK)



 GK アルハブシ       GK 楢崎

 DF ラビア          DF 中澤
   アルナウフリ         闘莉王
   サビール           駒野
   アルアジミ          内田
   ファヤル           (今野 90+)

 MF ドゥールビーン     MF 長谷部
   (Y・ムバラク 85)       遠藤
    M・ムバラク         松井
   (アシュール 46)      (山瀬 78)
    マハイジリ        中村俊
   (アルムシャイヒ 69)
    アルファルシ      FW 玉田
                    (矢野 90+)
 FW サレハ            大久保




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■コメント

■ [ひら]

2ndユニフォームを着用したのは、レプリカ2ndユニフォームの売り上げを伸ばすためではないでしょうか。1stの方はもう何回も着ていて定着してきてるので…この辺でこっちも宣伝しておきたかったんでしょう。まあ何にしろ、商業の都合でしかないのは確実かと。

■アジアの試合は世界に通じる? [vissel777]

ちょっと異論が

>アジアはレベルが低いから、どんな>に試合を重ねても日本代表のレベル>アップにはつながらないということ>はありません。

ジーコは、アジア杯を優勝したメンバーを過信して予選敗退した。

2002W杯の主力選手(小野、中田浩、稲本、松田)を2006で起用せず
未経験者を並べオーストラリア戦が惨敗でした。

W杯と予選は別物です。世界大会やヨーロッパで戦った経験をもっと重要視する必要があると思います。


>日本代表がアジアにおいて「まるで>別の惑星から来たようなチームだ」>と言われるぐらいの、別次元の強さ>を見せることが出来るようにならな>いとW杯3位以上は見えてこない
>でしょう。

これは、確かに言えるでしょう。

■ [コリング]

> vissel777

>ジーコは、アジア杯を優勝したメンバーを過信して予選敗退した。

2002W杯の主力選手(小野、中田浩、稲本、松田)を2006で起用せず
未経験者を並べオーストラリア戦が惨敗でした。

言ってる事がむちゃくちゃだぞ。
ジーコがメンバーを過信してたのは事実だが、2002の主力とか海外組を並べときゃ勝てるわけじゃない。
あの時のジーコですら気づいたってのに。

だいたい中田も中村も高原も小笠原も中澤もいたぞ。いずれも海外経験豊富、国際試合に出場していた選手だ。中澤は若い頃ブラジルにいたのは知ってるよなw

だいたい小野?不貞腐れて遊んでたじゃねーか。精神面は若い頃の中村以下だぞ。オシム、岡田になってもなんで一度も呼ばれないのか理解した方がいい。
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