■日本代表、オマーンに完勝

 横浜の日産スタジアムで行われたW杯アジア三次予選、日本対オマーン戦は3-0で日本の完勝という結果になりました。

オマーンはカタールやクウェートのリーグでプレーする選手中心のチームで、日本とほぼ互角の実力を持つ相手、それでもやや日本の方が上かと思っておりましたが今回は日本のホーム。

石にかじりついても絶対に日本が勝たなければいけない試合でしたが、3-0で勝利という結果はすばらしかったです。

ドイツW杯アジア1次予選やアジアカップ2004であたった時よりも、オマーンはレベルダウンしていたように思います。サスペンションやケガで主力5人が欠けていたり監督が変わったばかりといった話もありますが、それが影響したのでしょうか。

 それでは試合経過をざっと振り返りましょう。

試合は攻守ともに終始日本が主導権を握ります。

左サイドからショートパスで相手を崩し獲得した前半10分のCK。

遠藤選手が蹴ったボールがゴール前ど真ん中の、相手GKが出られそうで出られない絶妙なポイント
(イングランドの戦術教科書で言うところの「プライム・ターゲットエリア」)に落ち、これを相手選手を引きずりながら中澤選手が頭でねじ込み、日本先制。

前回のエントリーでも言いましたがセットプレーからボールをどこへ落とすか、そのセンスは中村俊選手より遠藤の方が私は好きです。

早い時間で先制できたことがとても大きく、日本の選手たちがのびのびとプレーしはじめます。

22分、闘莉王選手が後方から最前線にあがると、オマーンDF陣のマークがズレて混乱、中村俊がロングパスを送り、闘莉王がヘッドで落としたボールを拾った大久保選手がゴール左に流し込んで2-0。

一方、中澤が一回ミスした時以外はオマーン攻撃陣にほとんど仕事をさせません。

 後半も、ひきつづき日本ペース。

4分、松井選手が前から積極的なプレスでボールを奪取するとドリブルで中へ持って行き、ゴール前やや右に走りこんだ中村俊へパス。

フェイントを入れて相手DFを外して放った中村俊のミドルシュートがゴールに突き刺さり、日本が3-0とリードを広げます。

この後日本はスローダウン、今後のことを考えてもう1点ぐらい欲しいところでしたが、無難な試合運びでそのままタイムアップとなりました。

 次に日本代表の試合内容を分析します。まず守備から。

守備に関してはキリンカップでの好調を引き続き維持しています。

オマーンお得意の、身体能力の高いFWにロングボールを放り込むカウンター攻撃は、抜群のフィジカルの強さと高さを誇るセンターバック・コンビ、中澤と闘莉王がシャットアウト。

かといって中盤でつなごうにもオマーンは攻撃面での組織力が低く、ことごとく日本の厳しいプレス守備網にひっかかって、数少ないセットプレー以外オマーンの攻め手は完全に無くなりました。

相手のボール保持者にまず一人が当たりに行き、相手がバランスを崩したところでカバーに入った二人目三人目がボールを奪うという日本の組織的なプレス守備が非常に機能していました。

これからもコンスタントに、このような高いレベルの組織的ディフェンスを維持・発展させていって欲しいと思います。

 つづいて攻撃面ですが、キリンカップの時と同様まずまずだったと思います。

立ちあがりは緊張からか、ややギクシャクしたところもありましたが、セットプレーから早めに先制点を取ってからは、ショートパスを中心に人とボールが良く動く、日本らしい攻撃ができていました。

二列目の選手が積極的に前へ飛び出してゴールを狙って欲しいと、パラグアイ戦のエントリーで課題として挙げておきましたが、中村俊のゴールはとても良かったです。他の攻撃的MFやボランチの選手も彼の良いところを盗んで欲しいと思います。

 ただ攻撃面における組織力は、まだまだ伸ばす余地がありますし、岡田さんはW杯で3位以上という目標をかかげていますが、その目標を達成するには改善が必要です。

この試合における日本代表の攻撃力のレベルは、キリンカップの時とさほど変わっていません。

コートジボアールに1-0、パラグアイに0-0だったのに、オマーンに3-0で勝てたのは、攻撃力がここ数日間で急激にレベルアップしたと言うよりは、オマーンがコートジボアールやパラグアイより弱かったという単純な事実が原因でしょう。

オマーンに3-0で勝てれば、日本はイタリアやフランスにも3-0で勝てるということなら何も言うことはありませんが、事実はそうではないということに留意しなくてはならないと思います。

 この試合問題だったのは、岡田監督もハーフタイムで指摘したようですがFWから最終DFラインまでかなり間延びしてしまったことです。

これによって選手ひとりひとりの距離や一本一本のパスが長くなり、それに比例するようにパスミスも多くなってしまいました。

ロングパスを放り込んだり3バックで1人余らせる守備システムをしくことが多い中東のチームや中国・韓国代表は元来間延びしやすい傾向をもっています。

日本代表は選手も監督も、まだ自分の意思でFWからDFラインまでの距離を自由自在に設定することができず、相手につられてそれに合わせてしまうクセがあります。

相手が間延びした中東のチームだと日本もつられて間延びしてしまい、相手がコンパクトな欧州のチームだとこちらもつられてFWからDFラインまでコンパクトになるといった具合です。

 よく日本代表が欧州遠征で、チェコやスイスを破りドイツやイングランドと引き分けるといったサプライズを見せるのは、相手のコンパクトな布陣につられてこちらもコンパクトになり、選手同士の距離がショートパスをつなぐのに最適のサポート距離になってパスが楽に回せるためです。

日本の布陣がコンパクトになっているために相手DFラインも高く保たれ、相手DFのウラのスペースが広いためにウラへ抜け出す選手に出すロングパスも通りやすくなります。

現在の日本代表はFWからDFまでコンパクトな布陣にするということを、相手につられたときに偶然できるという段階ですが、これを自分たちの意思でいつでもどんな時でもできるようにしなければいけません。

このあたりが組織戦術面において、イタリアやフランスといった世界トップレベルの強豪から日本が大きく遅れている分野のひとつです。

 そこで一番問題なのは日本のFW陣のポジショニングで、日本のFWは点を取りたいと焦るあまりゴールに近いところへ近いところへとポジショニングする傾向がありますが、相手DFは自分のウラを取られたくないので、当然オフサイドラインを下げます。

するとFWに引きずられる形で日本の二列目の選手も前へ前へと移動し、ボランチと二列目が離れすぎてその間に大きなギャップが発生、結果として日本のDFラインからFWまでが間延びして、ショートパスを回しにくい、パスミスが多い状態になってしまうのです。

また、相手のオフサイドラインを下げさせてしまうために、相手DFとGKまでのウラのスペースが狭くなり、日本のFWが狙っているはずの、相手DFのウラに抜け出してロングパスを受けてGKと一対一の局面をつくるということも難しくなります。

つまり自分が前へ前へと得点を焦ってポジショニングすることで、自分がプレーするスペースを自分でつぶしてしまって得点から遠のいているということです。

バックやボランチがボールを持っている段階で、日本のFWが焦って相手DFのウラへウラへと動くのではなく、中盤でボールをまわしているうちはコンパクトな陣形を保ち、相手センターバックの前のスペースで日本の二列目の選手がボールを持ち前を向いた瞬間に、相手DFのウラへ抜け出すような動きを始めても遅くは無いと思います。

ここで重要なポイントになってくるのが、相手センターバックの前のスペースの使い方で、スペインやアルゼンチンなどの選手はそこを使うのが本当に上手いのですが、日本のFWも二列目の選手もこのスペースの使い方にまだまだ課題を抱えています。

このスペースでワンツーを使って相手のDFラインを突破したり、スルーパスを出したり、いったん中央へ敵を引き付けてからサイドへ展開などなど、このスペースでこそ選手ひとりひとりの個性・アイデア・ファンタジーを見せて欲しいと思います。

その点において、この試合の中村俊のゴールは良かったと思います。

こうした攻撃を続けているうちに、相手が日本のパス回しを封じるためDFラインを押し上げ、中盤が詰まってきた場合は、味方のバックやボランチがボールを持った瞬間、日本のFWがオフサイドに気を付けながら相手DFのウラへ抜け出し、ロングパスを受けるような動きをすると効果的です。

 この試合、ショートパスをつなぐ時のミスもまだまだ多いのが気になりました。

アタッキングサードの、特に敵ペナルティエリア直前にいる選手にショートパスを出すときに、パスを出す選手が決定機ということでパニックになってしまうのか、スペースに出すでもない味方の足元に出すでもない、中途半端なパスをなんとなく出して、そのままボールを敵に渡してしまうシーンが見受けられました。

まだまだショートパスをつなぐ時のセオリーがしっかりと身についていないようです。

判断に迷うようなら、敵DFラインの前ではまず確実に足元へつなぐことを最優先にして、パスをスペースへ出すのは相手DFのウラへの動きのみにするという約束ごとを決めておいた方が良いかもしれません。

それで基本プレーが確実にできるようになったら、応用へとすすむようにすれば、日本の攻撃はさらにレベルアップすることでしょう。

 今回のオマーン戦、3-0という結果はとても良かったと思いますし、試合内容もキリンカップに引き続いてまずまずでしたが、2010年W杯でグループリーグ突破・3位以上という目標を念頭に置くならば、攻守におけるさらなるレベルアップを貪欲に追及し続けて欲しいと思います。

「まだ本大会まで時間があるから、今はアジアを勝ち抜けるレベルで良いのでは」という方がおられるかもしれませんが、代表はクラブと違って、チームづくりの時間が非常に限られています。

である以上、アジア予選を戦いながらなるべく早いうちに基礎問題を確実にクリアできるようにし、試合の中で応用問題を解く時間をできるだけ長く取りたいのです。

イタリアやフランス、ドイツ、アルゼンチン、ブラジルといったチームはとっくに基礎を固め、もう何十年も応用問題で何点とれるかという競争をライバルたちと続けてきました。

日本とはそうした意味で経験が違います。

これからの三試合で岡田ジャパンのサッカーに、少なくとも2010年W杯でグループリーグ突破の可能性が見えるのか、そこまでの「のびしろ」はあるのか、そのあたりをじっくりチェックしようと思っています。

最近代表戦の観客数が減っているようですが、その原因はそうした「のびしろ」がまったく見えなかったところにあるのではないでしょうか。

 次回はアウェーのオマーン戦ですが、H&Aとして見ればまだ「前半」が終わったばかり。
「後半」も良い結果・ハイレベルの試合内容に期待したいです。

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    2008.6.2 日産スタジアム(横浜)


  日本  3  -  0  オマーン


  中澤  '10
  大久保 '22
  中村俊 '49


 GK 楢崎      GK アルハブシ

 DF 中澤      DF アシュラフ
    闘莉王        マダファル
    駒野         アルアジミ
    長友         ファヤル
   (今野 83)      アシュール

 MF 中村俊     MF A・ハディド
    遠藤         ドゥールビーン
    松井         M・ムバラク
    長谷部       (H・ラビア 75) 
               アルムシャイヒ
 FW 玉田        (H・ハミス 55)
   (巻 79)
    大久保     FW アルホスニ
   (香川 72)




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