■日本代表、パラグアイを崩せず残念なドロー

 埼玉スタジアムで行われた日本代表のキリンカップ第二戦、対パラグアイ戦はスコアレスドローとなりました。

これによって一応、1勝1分の日本代表がキリンカップ優勝を獲得しました。

 対戦相手のパラグアイですが最近大変勢いのあるチームで、南米のサッカー勢力図をマラソンに例えると、現在ブラジル・アルゼンチンとともに先頭集団を形成してトップを走っているといったところです。

もし日本とパラグアイでW杯行きの最後の一枚の切符をかけて、モチベーションバリバリのフルメンバーでH&Aを戦ったとしたら、アウェーの試合はもちろんホームの試合でも日本が勝つのはかなり難しいぐらいの実力差はあるのではないでしょうか。

今回来日したパラグアイ代表は、ドルトムントのバルデスやブラックバーンのサンタクルス、アメリカ(メキシコリーグ)のカバニャスらを欠いた、国内組中心の二軍。

こうしたことをふまえれば、ホームの日本が勝たなければいけない試合でしたが、引き分けという残念な結果に終わりました。

 試合の経過をおさらいしておきます。

立ち上がりは日本のペース。

厳しいプレスからボールを奪うと、連動性のあるショートパスで相手を崩してチャンスをつくります。

前半5分、山瀬・中村憲・巻の各選手がショートパスで相手のDFラインをきれいに崩し、抜け出した山瀬にラストパス。しかしパラグアイの選手に防がれシュートはできず。

16分、中村俊選手が左サイドからゴール前へクロス。これを闘莉王選手が教科書どおりに地面に叩きつけるヘディングシュートを放つも、相手GKがすばらしい反応ではじきます。こぼれ球も日本の選手がつめる前にクリアされました。

この後日本のCK・FKが何本かありましたが得点には結びつかず。

25分ごろになると、コートジボアール戦と同じように日本はスローダウンしてしまいます。
この前と違ったのは日本の時間帯で得点できなかったこと。

ここからパラグアイが反撃してきますが、闘莉王・寺田選手を中心に失点を許しません。

 後半から松井選手を投入。これで日本の攻撃が復活しました。

後半11分の中村俊のFKや16分の巻のヘッドも得点には結びつかず。

このあたりから試合は再び膠着状態に陥ります。それもややパラグアイペースか。

20分、FKからヌニェスが蹴ったブレながら落ちる強烈なシュートを楢崎選手がなんとか前へはじき、これをつめたゴンサレスのシュートはワクを大きく外れ、日本は命びろいします。

28分、右サイドのFKからヌニェスのまたもや強烈なシュートがゴールマウスをかすめて行き、肝を冷やしました。

その後、両チームが盛んに選手を交代させましたが、このままスコアレスドローという結果になりました。

 それでは試合の内容を検討しましょう。まず守備から。

守備に関しては、コートジボアール戦よりわずかにレベルダウンした感じでしたが、組織においても個のレベルでも大変良かったと思います。

一回だけフリーで相手にヘディングシュートを許した場面を除いてはマークのズレもあまり見られず、プレス守備も良く効いていました。

代表デビューとなったCBの寺田選手も189cmの長身とフィジカルの強さを生かして無難に役割をこなしていたように思います。彼がインターナショナルレベルで通用するなら大きいです。

32歳という年齢の高さを懸念する人がいるかもしれませんが、98年W杯でフランスの優勝に守備面から貢献したのは、当時33歳のCBローラン・ブランでした。

肉体的には若いに越したことは無いかもしれませんが、フィジカルの強さ・スピード・技術において致命的な弱点があるのでなければ大丈夫でしょう。ベテランらしい読みがあれば肉体面ではピークをすぎていてもカバーできます。

 つづいて攻撃面ですが、コートジボアール戦と同様、前半25分まではかなり良かったと思います。

すばやいショートパスでボールと人がどんどん動いて相手の守備を崩していく日本らしい攻撃が見られました。

山瀬・中村憲・巻らがからんだ前半5分のダイレクトパスによる攻撃が象徴的シーンです。

しかし25分を過ぎると、パラグアイが守備のやり方を修正してきたこともあって、日本らしい攻撃が見られなくなってしまいました。

パラグアイのプレスがきつくなりショートパスがつながらなくなってきたので、ミドルパスの攻撃に切り替えた感じでしたが、はじめから味方がいないスペースにアバウトなパスを放り込むような雑な攻撃になってしまい、クロスやラストパス、そしてシュートシーンが見られなくなってしまいました。

一試合90分を通して日本の流れが続くというのはまずあり得ませんが、相手がきびしいプレスをかけてきてショートパスによる攻撃がうまく行かなくても、自分たちのやり方・長所を信じて、最後まで日本らしいサッカーをやり通すということが大事だと思います。

相手が強豪であればあるほど、ショートパスをまわし続けることでプレスをかけてきた相手を疲れさせ、前半は0-0でも我慢して後半の20分あるいは30分を過ぎて相手が弱ったところで決勝点を奪って仕留めるといった頭脳的なゲームプランが必要になってきます。

焦るあまり、大きな魚を一気に釣り上げようとして糸を切られてしまうのではなく、長い時間泳がせておいて魚を弱らせてから釣り上げるというイメージです。

そのためにも、ピッチを三分割した時のディフェンディングサードやミドルサードでは、相手に体を寄せられバランスを崩す前にパスすること、自分より前にフリーでいる味方がいたら迷わず、その味方がフリーでいるうちにオートマチックにパスすることが重要です。

攻撃のための時間は有限です。
同じ時間を使うならアタッキング・サードで使いたいのです。


 また、ショートパスをまわすのは良いのですが、わざわざ敵選手が密集しているところでパスをまわそうとしてボールを失う場面が見受けられました。

敵選手が密集しているところでは、人もボールも高速で動かさねばならず、ミスの可能性が高まります。

岡田ジャパンはオシムジャパンよりパススピードが上がっていますが、それに比例するようにパスミスも増えています。

パスを受ける人のポジショニングとパスを出す人のタイミングさえ適切であれば、もう少しパススピードが遅くてもちゃんとまわりますし、なるべくなら守備が薄い方を突いたり、大きなサイドチェンジを一本いれてから、攻撃を組み立てなおすことも大事です。

この試合サイドチェンジが不正確で、ことごとく相手に渡ってしまったのが残念でした。
もっと正確性がほしいです。

 システム面では、何度も繰り返して言いますが、今の日本代表にワントップは向いていないと思います。

日本の攻撃的MFは往々にしてパサーに特化した選手が多く、DFの裏に抜け出して点を取ること、特にヘディングシュートが苦手な選手が多いです。

この試合、サイドを突破してクロスをあげようとした場面でも、ゴール前にいる選手が多くても一人というシーンが多かったように思います。

ワントップに入った巻も普段、シュートよりも後ろに下がってのポストプレーの方を一生懸命やってしまう傾向があるので、大げさな言い方をすれば、この試合の日本代表は4-6-0システムのようなものでした。これでは点を取るのは難しいでしょう。

どうしても4-2-3-1をやりたいのであれば、中村俊・山瀬・遠藤・中村憲と良い中盤が揃っているのですから中盤の組み立ては彼らに任せ、ワントップは相手CBの前のスペースにどーんと張って、そこでパスを受けて前を向きシュート、あるいは裏へ抜け出してゴールすることに専念すべきです。

また、中村俊・山瀬・遠藤もワントップをどんどん追い越して、相手DFラインの裏へ抜けてゴールを奪うような積極性が求められます。

もしポジションチェンジをするなら、巻がポストプレーをするため下がったら中村俊・山瀬・遠藤の誰か一人がワントップの位置に入り、二列目の中村俊・山瀬・遠藤の誰かが下がったらボランチの中村憲か鈴木のどちらか一人は上がるようにして、4-2-3-1の四つのラインが崩れないように注意する必要があります。(四つのライン同士の距離に気をつけ全体をコンパクトにすることも忘れずに)

 最後にセットプレーですが、これも前に言いましたが、中村俊のFK・CKは落としどころが相手GKに近すぎて、キャッチされるかパンチングされるかしてほとんど防がれてしまっていました。

何かこだわりがあるのでしょうが、FKの半分でも良いからもう1~2m手前に落とすと相手GKが出るに出られず、ゴールの確率があがると思います。

FKから直接ゴールを狙うときの中村俊のキックは好きですが、FK・CKを誰かの頭に合わせる時の落としどころについては遠藤のセンスの方が私は好みです。

 さてパラグアイ戦は引き分けという残念な結果になってしまいましたが、内容はまずまずといったところでした。

バーレーン戦の時と試合内容は雲泥の差です。

ただ、キリンカップは負けても失うものの無いテストマッチであり勇気を持って思い切ったプレーができてもある意味当然です。

負けたらW杯出場を逃すプレッシャーのかかる試合でも勇気を持って、やるべきことがやれるというのでなければ意味がありません。

岡田ジャパンの経過観察はしばらく続きそうです。


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   2008.5.27  埼玉スタジアム2002


   日本  0  -  0  パラグアイ



 GK 楢崎       GK ゴメス

 DF 寺田       DF ベロン
    闘莉王         ベニテス
    阿部          カニサ
   (駒野 69)       ヌニェス
    長友         (バルブエナ 82)

 MF 遠藤       MF ブリテス
   (松井 46)      (L・カセレス 80)
    山瀬          アキノ
   (大久保 77)     (アギラル 88)
    中村俊         E・ゴンサレス
    鈴木         (V・カセレス 79)
   (長谷部 63)      エスティガリビア
    中村憲         マルティネス
   (今野 85)      (エスコバル 80)

 FW 巻        FW ボハド
   (高原 63)      (ロペス 66)




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