■日本代表、エレファンツに苦しみながらも勝利

 豊田スタジアムで行われた日本代表のキリンカップ初戦、対コートジボアール戦は1-0で日本の勝利となりました。

対戦相手のコートジボアール(ニックネームはユニの胸エンブレムにも描かれているエレファンツ)は今は日本より格上と認めざるを得ません。

もしW杯行きの最後の一枚の切符をかけて、日本とコートジボアールがフルメンバーを揃えてH&Aでガチンコ勝負をやったとしたら、アウェー戦はもちろんホームでも日本が勝つのは難しいだろうと思っていました。

今回来日したコートジボアール代表は、1.7軍といったところでしょうか。

チェルシーのドログバやカルー、バルサのヤヤ・トゥーレ、ランスのディンダンといった主力選手にどれだけ日本の選手が対抗できるかをとても楽しみにしていたのですが、彼らの来日がかなわず残念でした。

それでも来日したコートジボアール代表には欧州主要リーグでプレーする選手が含まれており、手ごわい相手であったのは間違いありません。

この試合日本にとっては初戦でしたが、コートジボアールは横浜でパラグアイと試合をやり、休息日がたった一日のハードスケジュールで豊田へ移動と、日本はホームアドバンテージを120%生かした試合となりましたから、勝たなければいけない試合だったと思います。

よって1-0という結果は良かったと思いますし、あのバーレーン戦とは雲泥の差でしたが、試合内容も含めて諸手を上げて「快勝だった」と喜ぶことはできない微妙な勝利でした。

 試合展開をふりかえってみましょう。

たちあがりは日本のペース。
激しいプレスでボールを奪うと、ショートパスを使った速く組織的な攻撃でコートジボアールを攻め立てます。

コートジボアールは休息時間一日で移動してきたために試合後半のスタミナ切れを恐れて、前半はかなりペースを落としてきました。

これによって日本とコートジボアールの力関係が逆転します。

前半6分・16分に大久保選手の惜しいシュートがあった後の21分、速攻から前を向いた今野選手が右サイドへスルーパス、これに走りこんだ長谷部選手が精度の高いクロスをあげ、玉田選手が見事なスライディング・ボレーであわせ日本が先制します。

日本は自分たちの時間帯になっているうちにタイムリーに得点をあげることができました。

 しかし失点で目の色が変わったコートジボアールがギアチェンジしてエブエを中心に反撃開始。
日本はだんだんと劣勢になります。

後半になると一方的なコートジボアール・ペース。

コートジボアールの猛攻を日本は粘り強い守備で一つ一つ潰していきます。

苦しい展開ながらも楢崎選手のファインセーブやゴールポストにも救われ、前半の1点を守りきって日本が勝利しました。

 つづいて試合内容を守備から分析してみます。

守備に関してはとても良かったと思います。

個のレベルでは、フィフティフィフティのボールを「必ずマイボールにするんだ」という気迫と玉際の強さ、そしてフィジカルコンタクトを嫌がらずどんどん当たっていって、「フィジカル勝負に勝つんだ」という姿勢がはっきりと見えましたし、相手がボールを受ける前に後ろから足を出してインターセプトするような守備の積極性も良く出ていました。

組織レベルでも、前半を中心にプレスが良く効いてコートジボアールの猛攻を最後の一線で食い止めることができました。

こうした積極的な「攻めの守備」を忘れず、今後も継続していって欲しいと強く思います。

 課題をあげるとしたら、ピッチを三つに分割したときのいわゆる「ディフェンディング・サード」においては何よりも安全第一が選手に求められますが、この試合、ディフェンディング・サードにいるボランチやサイドバックが自分でボールを長時間キープしようとして相手のプレス守備に囲まれて、苦し紛れに出したショートパスが読まれてカットされ、危険な逆襲を受けるシーンが三回ぐらいありました。

一点ぐらい失ってもおかしくは無かったと思います。

ディフェンディング・サードは一人の選手が長時間ボールをキープしたり、ドリブルで相手を抜きにかかったり、ボールと一緒に前へターンするようなゾーンではありません。

チーム全体が押し上げてミドル・サードにいる時でも、ボランチやDFラインの選手によるそのようなリスクの高いプレーは避けるべきです。

自分の前にフリーな選手がいたらシンプルかつ安全確実にパスする、もし相手に囲まれそうになったらロングパスを前線に送るか、思い切ってタッチラインの外にけり出す等のはっきりしたプレーをすべきです。

 攻撃に関しては、前半25分まではかなり良かったです。バーレーン戦の出来とは雲泥の差でした。

選手ひとりひとりが連動性を持って組織的にボールに絡み、どんどんショートパスをまわしてコートジボアールの守備を崩していきました。

オシムジャパン時代の高い連動性がだいぶ戻ってきたように思います。

 課題は、これが前半25分ぐらいしか続かなかったことでした。
これが後半35分ぐらいまで続けばワールドレベルなのでしょうが...。

日本は初戦だったにもかかわらず前半25分でガス欠。

コートジボアールは休息時間がたった一日の第二戦だったにもかかわらず一試合トータルで日本より運動量で上回り、後半もそれがあまり落ちませんでした。

日本がフィジカル調整に失敗したのか、どうしてこうなったか原因はわかりませんが。

ともかく、前半25分までのレベルの攻撃を一試合通して行えるようにすること、そして攻撃の質・正確性をもっと上げることが課題です。

前半の良いリズムの時でも、ショートパスがちょっとづつズレていましたが、先制点をあげた後はパスのズレがかなり大きくなって、コートジボアールの激しいプレス守備の前に、まったくパスをつなげなくなってしまいました。

これはグラウンダーのショートパスをつなぐ場合、その局面においてどこでパスを受けるのが正しいのか、どこへパスを出すのが正しいのかの共通理解がまだまだできていないということを意味しています。

グラウンダーのショートパスは出すのも受けるのも容易で、有効な攻撃ツールである反面、相手にカットされることを防ぐためにパスコースが限定されます。

ですからパスを出したい瞬間にボールの受け手が正しいポジショニングをとってくれないとパスが通らないのです。少しのポジショニングのズレでもそれがパスミスにつながってしまいます。

実際の試合でも、日本の選手がパスを出したい、あるいは相手のプレスに囲まれてパスしないといけない瞬間に、限定されたパスコースのどこにも味方が適切なポジショニングをとっていないため、パスをだしてもミスになり、相手ボールになるというシーンが多く見られました。

以前のエントリーで適切なポジショニングについては詳説しましたので繰り返しませんが、このあたりの共通理解を日本代表の中にしっかりと根付かせる、苦しい試合でも忘れないように選手ひとりひとりが体が覚えているぐらいのレベルまで浸透させることが欠かせません。

 選手個々については、やはり長谷部・松井の両選手は光っていましたし、まだまだチームにフィットする余地はあると思います。

長谷部はドイツでもまれてタフになりましたし、先制点を引き出した精度の高いクロスも見事でした。

玉田・長友両選手もなかなか良かったですし、闘莉王選手が帰ってきたことでDFラインもぐっとしまったと思います。

贔屓目を抜きにしても、中澤選手とコンビを組むセンターバックの安定度はアジアでトップではないでしょうか。

余談ですが、寺田選手がセンターバックとしてインターナショナルレベルで通用するという前提条件を満たすのであれば、闘莉王をボランチにあげてみるのも面白いかもしれません。

ショートパスでボールをうまく散らして攻撃の基点となる能力を磨けば、強いフィジカルと高いボール奪取力・激しい闘争心とあいまって、世界に通用する大型ボランチになると思います。

似たイメージとしてはフランスのパトリック・ビエラでしょうか。

センターバック一枚がサイドに引きずり出されたとき、ボランチの闘莉王がセンターバックの位置まで下がるようにすれば、より一層守備が安定するでしょう。

 というわけで今回のコートジボアール戦は、1-0という結果は良かったのですが、試合内容は前半25分までは合格、それ以降に課題を残すという評価の難しい微妙な試合となりました。

今度のパラグアイ戦で病み上がりの岡田ジャパンを経過観察したいと思います。

 それにしても豊田スタジアムは良いですね。

中京地区での代表戦は、確かファルカン・ジャパン時代に瑞穂競技場でやったガーナ戦いらいだと思いますが、珍しいです。

豊田スタジアムを完全ホームとするJリーグクラブが無いことも含めて、ちょっともったいないのではないでしょうか。

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 2008.5.24  豊田スタジアム


  日本  1  -  0  コートジボアール


  '21 玉田


GK 楢崎    GK ゾグボ

DF 駒野    DF ボカ
   闘莉王      アブドライエ
   中澤       ドメル
   長友      (ロロ 67)
            エブエ 
MF 今野       ゾロ
   遠藤
   松井    MF アカレ
  (香川 75)   (トラオレ 75)
   長谷部      ゾコラ
            ファエ
FW 玉田      (ドゥンビア 83)
  (矢野 75)    ティエヌ
   大久保
         FW サノゴ





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