■東アジア選手権の最終戦はドロー

 東アジア選手権の最終日、日本は優勝をかけて韓国と戦いましたが1-1の引き分けとなり、優勝はなりませんでした。

 対戦相手の韓国は、日本とほぼ互角の相手。
W杯3次予選の結果から見て、現在の勢いは韓国の方が少し上と考えていました。

ただ、お互い国内組のみでメンバーを組み、双方ケガ人が出てベストの状態でもありませんでした。その意味でも条件はほぼ一緒であり、1-1という結果はまあ妥当なものと言えるでしょう。

しかしながら、韓国とは勝ち点で並び得失点差も一緒、直接対決も引き分けで、総得点の差という僅差で優勝を逃してしまったことは大変残念でした。

アジアカップの3位決定戦となった前回の日韓戦は、試合内容に見るべきものがほとんどありませんでしたが、今回は90分戦って同点という結果こそ同じですが、それなりに内容のある試合だったと思います。

 それでは試合展開を振りかえります。

立ちあがりから厳しいプレス守備で、韓国がやや押し気味に試合をすすめます。

日本は韓国のプレス守備につぶされて、得意のショートパスによる攻撃がなかなかうまくいかず、ワントップの田代選手も孤立ぎみで、シュートチャンスをつくれません。

韓国の流れのまま前半15分、左サイドからパク・ウォンジェがクロス。
中央でフリーとなっていたヨム・ギフンのボレーシュートが決まり先制。

この後も韓国の激しいプレスに苦しみ、なかなか良い形をつくれませんが、中村憲選手の惜しいシュートが2本ありました。

内田選手のシュートも惜しかったですが、ワンタッチ余計でした。
その一つ前のタッチでファー側へシュートすればベストだったと思いますが、内田のチャレンジ精神を買います。

 後半も激しくプレス守備をかけ続ける韓国のペース。

日本はロングパスで局面の打開をはかろうとしますが、空中戦も韓国が優勢で重苦しい時間が続きます。

18分、ロングパスの基点になっていた中村憲を下げて安田選手を投入すると、少し流れが変わります。

23分、遠藤選手がショートコーナー、内田がペナルティーエリア中央へ流すと、走り込んできた山瀬選手がミドルシュート! 

これが決まって同点。

30分ぐらいになると、韓国もさすがに足が止まってきました。
日本はまだスタミナが残っているようで、ここが勝機だったと思います。

日本はFWの枚数を増やし、ゴール前へロングボールを放りこむパワープレーで逆転を狙いますが、やはり空中戦は韓国が優勢。

こぼれ球への反応も韓国が速く、ボールを拾った韓国はキープして時間を消費します。

日本はほとんどシュートチャンスをつくれないまま、1-1で試合終了のホイッスルとなりました。

 相手が日本よりフィジカルで勝る場合、得点の可能性が低いロングの放りこみによるフィジカルサッカーで1点を取りに行くのが良いのか、韓国の足が止まりかけていただけに、攻撃回数は少なくてもより得点の可能性が高いショートパスでの崩しが良いのか、疑問が残る采配でした。

 次に試合内容を分析しますが、まず攻撃から。

今回の対戦相手韓国のプレス守備は、岡田ジャパンが発足して以来、一番厳しいものでした。

そのため、日本の持ち味であるショートパスでの中盤の組み立てがなかなかうまくいかず、相手のプレス守備を回避するため、浮き球のロングパスで局面打開をはかろうとしましたが、ボールの落下地点で繰り広げられるフィジカル勝負の空中戦も日本が劣勢で、後半の半分くらいまで、あまり効果的な攻めができませんでした。

またどこへパス出ししようか考えて、長時間ボールを持ちすぎてしまっているうちに、相手選手に3人4人と囲まれボールを組織的に奪われてしまいました。

 当・国際サッカー戦略研究所では、日本代表が浮き球のロングパスを使ったフィジカル勝負のサッカーをすると批判することが多いですが、もし日本代表が身長185cm以上の選手をズラリと並べ、フィジカルの強さも世界トップレベルというなら、そういったスタイルのサッカーをやっても悪いとは言いません。

しかし、あるサッカースタイルに選手の方を当てはめようとするのはありがちな間違いで、選手の長所を生かし、短所をカバーするようにサッカースタイルの方を選手に合わせなければいけません。

日本の場合、技術と持久力と俊敏さが長所であり、平均身長の低さ・フィジカルの弱さが短所です。

そうした日本人の特徴にあわせたサッカースタイルが、オシムジャパンに代表される、ショートパスで相手を崩して走り勝つサッカーです。(もちろんロングパスが正しい局面もありますが)

W杯3位以上という目標をかかげたなら、自分たちの長所を生かしたサッカースタイルをワールドカップの本番でもやり通せなければ勝機は見えてこないでしょう。

自分から相手の得意な土俵へ引きずり込まれては、苦しくなります。

今回韓国と1-1の引き分けという結果自体は特別悪いものとは思いませんが、韓国レベルのプレス守備で、ショートパスによる組み立てがうまくいかなくなってしまうのであれば、ワールドカップの本番でイタリア・フランス・アルゼンチンなどの選手がガツガツ激しくボールを取りに来たら、やはり日本は自分たちのサッカーが出来なくなってしまうのではないでしょうか。

アジアのその先を見据えるならば、アジアトップクラスという現状に満足せず、さらなるレベルアップを目標にかかげ、着実に一歩一歩前進する必要があります。

 それではどうして今回、ショートパスによる組み立てが出来なくなってしまったのか、連動性をもったパスのつなぎが出来なかったのかですが、

グラウンダーのショートパスというのはトラップしやすく、シュートにしろパスにしろドリブルにしろ次のプレーへつなげるのが容易、フィジカルの弱い選手でも容易にパスゲームが出来るという長所があります。

しかし相手選手の死角(背後)にいる味方へは出すことができないのが短所です。

よって、あるスペースにおけるパスコースやボールを受ける適切なポジショニングというのは限定されてきます。

そして韓国の激しいプレス守備によって、刻々とスペースの形・大きさが変わるなか、日本の選手が適切なポジションを取るための修正が遅れたから、うまくつなげなかったのです。

どうして適切なポジション修正ができなかったのかと言えば、まだまだ日本代表選手はグラウンダーのショートパスをスペースのどこで待てば良いのか、パスを出す方もスペースのどこへ出せば良いのかの基本的なお約束が、完全にはマスターできていないからです。

東アジア選手権の日本代表は、オシムジャパン時代よりショートパスによる組み立ての連動性が少しレベルダウンしていることもちょっと気になります。

 以下に、その基本的なお約束の例をあげておきます。

青が味方選手、白丸がボール、赤が敵選手です。
青線の二重丸は適切なポジショニング、×付きの一重丸は間違ったポジショニングです。

ポジショニング

(クリックで拡大)

これは3人の敵選手に囲まれたスペースですが、そのスペース内で3人の敵選手の誰よりも一番遠い場所(青丸)が、適切なポジショニングです。

ここでボールを受ければ、相手が体を寄せてくる前に次のプレーを実行する時間が稼げます。

このスペース内にあらかじめ味方がいても、これからこのスペースに味方が走りこんでくる場合でも、パスを出す選手はこの場所を狙います。

このポジションにいる選手が次のスペースへ走り出したら、別の味方がそこへ走りこんで来ている以外、もうそこへはパスを出せません。

この狭いスペース内において、味方の足元では無く、スペースにパスを出してはいけません。
そのパスは味方よりも敵選手が早く追いついてしまう危険性があります。

これらのことはパスを出す方も受ける方も共通のお約束・共通理解です。

チーム全体に共通理解があれば、今よりもっとスムースにパスがつながるはずです。

 次に、4人の敵選手に囲まれたスペースの場合。

ポジショニング2


上の場合とお約束事項は同じです。

始めからスペースのど真ん中に居るべきというより、トラップして前を向いた時そうなるよう、自分のトラップのスペースの分だけ余裕を見ておくと良いかもしれません。

 次はタッチライン沿いの敵選手2人に囲まれたスペース。

ポジショニング3


足元に出す(足元で受ける)なら、青丸の選手が適切なポジショニングです。

次のスペースで受けたい(次のスペースにパス出ししたい)なら、青線の二重丸が適切な場所。

しかし日本選手の場合、×印をつけた青線一重丸の非常に窮屈なスペースでボールをもらおうと待っている人や、青丸の選手が前へダッシュを始めると、×印をつけた一重丸のスペースへパスを出そうとする選手が少なくありません。

これはまだ基礎ができていないということです。

ここは敵選手に非常に近いため、トラップした瞬間に体を寄せられて奪われたり、直近の敵によるパスカットを防ぐために、非常に強いパスが必要なので、パスミス・トラップミスにもつながりやすいのです。

敵の最終DFラインでの受け方。

ポジショニング4



相手のマークを外すため、二人の敵DFのちょうど中間点にできるマーク・ギャップにポジショニングします。相手のDFが密着マークしてきて、それと一緒にちんたら歩いているようではダメです。

これに関連して、これまで述べたようなポジションに前もって居たら、相手がマークするため近づいてきて、せっかくのスペースがつぶれてしまうと言う人がいるかもしれませんが、だからこそ良いのです。

相手がフリーでいる味方をマークするため近づいてくるということは、相手の陣形が崩れて新たなスペースが生まれていることを意味します。

そこを使えば良いのであって、そうしないからなかなか相手の守備隊形が崩れないのです。

 最後は少し応用問題。

ポジショニング5


今、ボール保持者が2番の選手にパスを出そうとしていますが、2番の死角にいる1番の選手は、2番の選手がパスを受けてから次のスペースへ動いたんでは少し遅いです。

スペースのどこにパスを出すか、受けるかのお約束は決まっているのですから次のプレーを予測して、2番にパスが出た瞬間、1番の選手は次のスペースへ動いていなければ、高い連動性は望めません。(第三の動き)

そして、2番の選手は1番の選手にパスをはたいた後、1番を追い越して次のスペースへ動き出すと、より高度な攻撃となります。

 以上のことはあくまでも基本であって、実戦ではさまざまな形のスペースが現れては消えていきます。相手が激しくプレスをかけてくれば、スペースの形がものすごい速さで変化していきます。

そうした応用問題にも対応できるよう、まず基礎をしっかりと身につける必要があるでしょう。

日本代表の攻撃の生命線は、高い連動性によるショートパスでの崩しです。

次回につづきます



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