■岡田ジャパン初陣はスコアレスドロー

 第二期・岡田ジャパンの初陣となったチリ戦は、スコアレスドローとなりました。

対戦相手のチリは、私個人としては日本とほぼ互角の相手と評価していましたが、

W杯南米予選を戦っている欧州やブラジル・アルゼンチン・メキシコリーグでプレーする主力選手を帯同せず、若手の国内組のみでチームを組んだこと、そして真夏の地球の裏側から真冬の日本へはるばる遠征したことも考え合わせて、何としても日本が勝利しなければならないと考えていましたが試合は引き分けに終わり、日本代表は結果を出せませんでした。

さすがに理論派のビエルサ監督がつくったチームだけあり、非常に組織力が鍛えられた良いチームでした。

攻撃に難があるようでしたが、試合終了まで続けられたプレス守備は驚きです。

日本とチリ、目指す方向性が似ているように思えました。

 ただ、シーズンオフ明けとなる岡田ジャパンの最初の実戦としては、まずまずの内容だったと思います。

 試合の方は、最初の10分こそ日本が良い形をつくりましたが、3バックにシステムを修正して中盤の厳しいプレス守備で日本の攻撃の芽をつみ、試合の主導権をにぎったチリのペース。

しかし守備は素晴らしいものの、チリの攻撃にも迫力がなく、前半は両チームともゴール前であまり熱いシーンが見られることなく終了。

 後半も同じような展開。 

17分、高原選手に代えて大久保選手を投入すると、ゲームの流れが変わりました。

1分後、中村憲選手が相手のバックラインのウラへパスを出すと、大久保が抜け出し相手GKを外してシュートするもゴールマウスを外れます。

20分、羽生選手のスルーパスを受けた大久保が中へきり返してコントロールシュート!
惜しくもバーの上へ。

37分、遠藤選手のCKを大久保が頭でうまく合わせるも、相手GKの好セーブで得点ならず。

41分、矢野選手が落としたボールを拾った大久保がGKと一対一、このシュートもゴールの上へ。

主審がほとんどロスタイムを取らず試合終了となりました。

 それでは試合内容をチェックします。まず攻撃から。

攻撃における組織プレーは、最初の実戦にしては良くできていた方だと思います。

特に前半9分の、遠藤・高原・巻選手らがからんだ組織的な崩しは、スペースの使い方・使用するパスの選択・連動性どれも素晴らしかったです。

全選手がこのプレー映像を良く頭に焼き付けておいて、岡田ジャパンの攻撃の土台とすべきです。

 逆に課題となったのは、あまりにも「速くパスを回さなければ」という意識が強すぎたところにあったように思います。

前半9分のプレーは理想的な形でしたが、あれよりパススピードを速くすると、今の日本代表選手のポジショニング能力・技術ではプレーの正確性がぐっと下がってしまうように思います。

チリのプレス守備も良かったのですが、あれ以降パススピードは上がりましたが、日本の中盤の組み立てがどんどん雑になってしまい、良い形がほとんどつくれなくなってしまいました。

あまりにも「速くパスを回さなければ」「ダイレクトパスをしなければ」という意識が強すぎて、味方が誰もいないスペースや敵選手にパスしてしまったケースが目立ちます。

ダイレクト・パスでミスになりそうなら、ツータッチしてもやむを得ませんし、まわりの状況がつかめていないなら、いったんキープしてルックアップしても良いでしょう。

本来ならダイレクトで流れる様にパスがつながるのが理想ですが、中盤の組み立てが雑になってミス連発では意味がありません。

 また、敵ゴールから30mのいわゆるバイタルエリアに侵入してもなお、「パスを回して最後の最後まで崩してやろう」という意識が強すぎて、バイタルエリア内でのシュート・クロスが少なすぎました。(特に前半)

バイタルエリアでシュート・クロスの勝負から逃げてしまうという問題は、オシムジャパン時代からの課題であり、それがなお解決されていないということでもあります。

FW陣も試合の前半、「速いパス回しをしなければ」という意識が強すぎて、悪い意味でポストプレーをやるのに一生懸命になりすぎ、本来の仕事つまり得点するということがおろそかになっていたと思います。

「バックパスありき」では無く、ボールを受けたらまず前へ向いてシュートするのが第一の選択肢。

それが出来ない場合に、スルーパス・クロスという選択肢を考え、それでもダメな時は横パス・バックパス。

それとともに、足元で受けて前へ向くプレーと同じくらいウラへ飛び出すプレーやゴール前へつめるプレーも大切。シュートとウラへ抜け出すプレーが無いと相手DFはちっとも怖くありません。

 守備面では、中のマークもかなり集中できていましたし、中盤のプレスも速くてまずまずでした。

しかし、相手のボール保持者には体をもっと寄せてミスプレーを誘わないと、ただ速くつめてパスコースを切るだけでは守りきれません。

試合中でも、キープ力が高いチリの選手にかなりやられていて、それが苦戦の原因となったように思います。

 選手個々では、内田選手に経験を積ませられたことが大きいです。

オシムジャパンでは、両サイドバックのポジションで競争がほとんどなかったのですが、G大阪の安田選手あたりも含めて、フレッシュな選手が参戦することでポジション争いが激しくなって欲しいです。

大久保も活発な運動量でチームにカツを与えました。
シュートが外れたことについては気にする必要は無いと思います。

どんどんシュートを打って、どんどん決める、それだけに集中すれば良いでしょう。

 岡田ジャパンの初陣は、ドローに終わりました。

結果こそついて来なかったですが、初の実戦にしてはまずまずの内容だったと思います。

次回のボスニア戦が勝負となります。

ただ、相手がフルメンバーでバリバリのモチベーションで来るならば、そう簡単に勝てる相手ではありませんが。

ともかく、日本代表選手がバイタルエリアに入ったら「パスで完璧に崩してやろう」とか「シュートが外れたらどうしよう」などと考えず、得点チャンスと見たらどんどんシュートを打って、貪欲にゴールを求めて欲しいです。

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 2008.1.26 東京・国立競技場

   日本 0  -  0  チリ



GK 川口       GK ピント

DF 中澤       DF セレセダ
   駒野          ハラ
   内田          マルチネス
  (加地 71)    
   阿部       MF フィエロ
               エストラーダ
MF 遠藤          イトゥーラ
   中村憲         モラレス
  (山瀬 80)       メデル
   鈴木
   山岸       FW ルビオ
  (羽生 57)       ボセジュール

FW 高原
  (大久保 62)
   巻
  (矢野 70)



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