■次期代表監督について

 脳梗塞で入院中のオシム監督が少しづつ意識を取り戻しているそうで、まだ油断できない状態だとは思いますが、良いニュースに少しホッとしました。

こうした状況の中、日本サッカー協会はオシム監督のご家族に理解を求めつつ、元横浜マリノス監督の岡田武史氏に代表監督への就任を要請したと報道されています。

私自身は、オシム監督が病気を克服して代表監督に復帰してくれるのがベストだと考えていますが、意識を取り戻したご本人や、アシマ夫人などのご家族が「監督続行は無理」と決断を下したのであれば、それを尊重するより他にないと思います。


 それでは次期日本代表監督についてお話したいと思います。

後任監督として名前が報じられている岡田さんですが、私の頭に残像として残っている岡田さんのサッカーは、Jリーグで頂点をきわめた後、頭打ちになって停滞するマリノスのサッカーです。

アジアにおけるクラブレベルの戦いでも、目立った成功はありませんでした。

代表レベルでは、98年フランスW杯で三連敗に終わったサッカーが印象として残っています。

岡田さんのサッカーは、良くも悪くも日本的なところがある気がします。

ローリスク・ローリターンと言ったら良いでしょうか、リスクをかけない反面、大きな成功からも遠いサッカー、

「虎穴に入らずんば、虎子を得ず」という言葉がありますが、その言葉を使えば、虎の穴に入るような危険なことはしないから、虎に食われずに済むが、虎子を得ることもできないサッカーという印象です。

これは、日本のサッカー選手がなかなかシュートを打てない、ゴール前でもとりあえず無難なパスに逃げてしまうという問題と根は一緒だと思いますし、我々日本人の弱点と言えると思います。

 私は一度負けた人や失敗した人に、もう一度立ち上がるチャンスを与えることについては、積極的に賛成します。

「一度失敗したやつは、もう終わり」という考え方は大嫌いです。

ただ、再びチャレンジのチャンスを与えるには、前回の失敗原因をよく分析し、説得力のある解決策を持っているか、あるいは既に前回の失敗を克服していることが最低条件です。

そうでなければ、同じ失敗をもう一度くりかえすことになるでしょう。

 さて、岡田さんは充電期間をどう過ごされたのでしょうか。リベンジを果たすための具体的かつ説得力のある処方箋は既にみつかったのでしょうか。

それについては私はまったく情報を持っていないのですが、もし処方箋を用意していなかった、これからみつけますというのであれば、後任監督として賛成はできません。

それでは2010年になった時、ポジティブな日本代表の姿が想像できません。

 もし、「加茂監督解任の緊急事態のときに任せたから」「代表監督としての経験があるから」「旧・古河電工サッカー部の人間だから」といった、まずローリスクありきの、いかにも日本人らしい極めて消極的な前例主義・年功序列主義かつプロサッカー界の大前提である実力主義のかけらもない縁故主義で監督を任せるのであれば、日本代表の明るい未来は想像しにくいです。

 確かにW杯予選まで3ヵ月と迫っているのですが、どうしてそんなに焦る必要があるのでしょうか。

オシム監督のおかげで、組織力をベースとして、組織が個の能力を引き立てるサッカーがある程度形になっています。

オシム監督が、日本代表の土台をつくりあげ、進むべき道筋をつけてくれたのだから、次の監督もサッカーの方向性が同じ人を選べば、それほど引き継ぎに手間取ることはないのではないでしょうか。

アジア3次予選を戦いながら、チームを掌握し熟成させる。サッカーの方向性が同じ監督を後任にすれば、走りながら考えることが可能ではないでしょうか。

3次予選は、オマーン・タイ・バーレーンと同じ組となりました。
楽な組み合わせではありませんが、走りながら考えることが不可能だとは思えません。

サッカー協会は「後任監督はオシム流にしばられる必要はない」と言っていますが、オシムサッカーをご破算にして一から積み上げ直すというのであれば、そんな時間があるのでしょうか。

それこそ、あと3ヵ月で間に合うのでしょうか。

 私は、オシムとサッカーの方向性が同じ人、組織力をベースとして、組織が個の能力を引き立てるサッカーを実現できるというレシピを持っている人を探すべきだと思います。

それが岡田さんで、それを実現できるというのであれば、チャンスを与えることに反対はしませんが...。

  
 ジーコ前監督が、シンガポールともう少しのところで引き分けそうになるなどW杯予選で低調な試合を続けていた時にも感じたのですが、何か緊急事態になったとき、どうしてサッカー協会はいつも「適当な人材がいない」と大騒ぎをはじめるのでしょうか。

国内に人材がいないとすれば、普段からスペイン・イングランド・イタリア・ドイツの主要リーグや、オランダ・ポルトガル・デンマークや東欧諸国などのリーグをモニターしていて、日本代表監督候補としてふさわしい人を何人かピックアップして、その情報を常時プールしておけばよいと思うのですが。

現役監督がいるのに、裏で別の監督に接触するのは道義上問題でしょうが、情報をプールしておく分には、問題ないはずです。

たまに、チームに目立ったスター選手がおらず、個の能力で見た戦力ならリーグ中位から下位に沈むようなチームを組織力で鍛え上げて、主要リーグの4位前後ぐらいまでチームをもっていくことができる理論派の監督がでてきます。

こういう人こそ、日本代表監督にふさわしいと思います。

たとえそれまで無名だろうが若かろうが現役時にプロ選手として成功した経験が無かろうが、こういう人は日本にとって買いです。

日本サッカー協会は、上で述べたようなリスクマネジメントを怠っているから、いざという時に大騒ぎして
”泥縄”をはじめることになるのです。

(泥縄=泥棒をつかまえてから、泥棒をしばる縄をつくりはじめること)





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