■日本、スイス相手に大金星
日本時間で今日の早朝おこなわれた三大陸トーナメントの第二戦、対スイス戦は、4-3で日本の大逆転勝利に終わりました。
対戦相手のスイスは、ほとんどがドイツ・イングランド・イタリア・スペインなど欧州主要リーグでプレーする選手で構成されていて、ホームでならイタリア・フランス・オランダといった強豪にも勝つ能力は十分あるチームであると考えていました。
ドイツW杯予選や本大会でトルコやフランスと互角の勝負を繰り広げていますし。
(日本戦には、フライやギガックスといったドイツW杯で活躍した選手が出なかったのが残念でしたが)
日本との実力差を考えた場合、たとえばW杯行きの切符をかけてスイスとH&Aでガチンコの勝負をしたとしたら、アウェーはもちろん、ホームでもちょっと勝つのは難しいぐらいの差はあると思っていました。
それを、中立地のテストマッチとはいえ4-3で大逆転勝利の大金星という結果は、すばらしい成果です。
オーストリア遠征の前に、「二試合で勝ち点2以上取れればたいしたものだと思います」と言いましたが、勝ち点4も取ってしまいました。
ただ監督としては、試合後に課題を選手に指導するのが難しくなるかもしれません。 ”美しい勝利”が日本の問題点をお化粧で隠してしまう可能性があるからです。
さて、試合をざっと振り返ってみましょう。
前半は、攻守に高度な組織力を見せるスイスのペース。
日本は相手を怖がってしまっているのか、オーストリア戦で見せたような鋭い組織的守備ができません。
前半9分、マニャンに右サイドを破られ、闘莉王選手が自分の手にボールを当てながらCKに何とか逃れます。
そこからゴール前右でスイスにFKを与えてしまい、これをマニャンに決められてスイス先制。
13分、またもやマニャンに右サイドをワンツーで破られて、ゴール前のクフォーにアーリークロス、クフォーのトラップが闘莉王の手に当たってしまい、今度はPKの判定。
これをクフォーが決めて、あっという間に0-2とされてしまいます。
24分に、またまたマニャンに右サイドの突破を許すも、中村俊選手が戻って必死の守備。
このあたりからスイスは勝利を確信したのか、流しモードへ。
31分に松井選手が切れこんでシュートするもバーの上。
36分、42分にもマニャンに突破を許し、オフサイドの判定で救われたり中澤選手が防いだりと、ヒヤヒヤの展開。
ここまでマニャンの突破に日本の右サイドはボロボロに崩されており、3点目を取られていたら試合は終わっていたかもしれません。
後半開始から、勝利を確信したらしいスイスは、他の選手のテストのためでしょうか、マニャンとマルガイラツを下げてしまいますが、特に、日本がまったく止められなかった攻撃のキーマンであるマニャンがいなくなったことで流れが大きく変わりました。
7分、左サイドを突破してペナルティエリア(PA)に侵入した松井が倒されPK獲得。これを中村俊が決めて1-2。
「2-0はサッカーでは一番危険な点差である」とは良く言われることですが、2-0で勝利を確信したチームが、いったん”流しモード”に入ってしまったら、モチベーションを立て直すことは本当に難しく、そこから1点でも返されれば、焦りからパニックにも似た状態となって、同点ゴールあるいは逆転ゴールを許してしまう可能性はかなり高くなります。
そしてそのとおりになってしまいました。
(U-20W杯・カナダ大会の日本対チェコ戦で、日本が同じような形になってしまいましたね)
前半の半ばから日本はある程度ボールを回せていましたが、それは「持たされている」ものであったのに対し、1点返してからの日本は、自分からボールが持てるようになりました。
22分、中村俊のFKから巻選手がヘッドで同点ゴールをねじ込みます。
32分、駒野選手のクロスを合わせようとした巻が引きずり倒されてPK獲得。
これを再び中村俊が決めて、ついに逆転。
35分、スイスはようやく必死の反撃、ヤキンのCKからジュールーが飛び込んで同点ゴール。
ノーガードの打ち合いのような試合に決着をつけたのは日本。
ロスタイム、山岸選手のクロスに中村憲選手がシュート、GKがよくセーブするも、こぼれを矢野選手が良くつめてゴール!これが決勝点となりました。
それでは日本代表の試合内容を分析していきますが、この試合の結果に一番影響を与えたのはメンタル面だったと思います。スイスの敗因も同様です。
私は「根性が無いから試合に負けるんだ」みたいな非科学的な根性論には賛成しませんが、日本人選手の一番の弱点はメンタル面における消極性と自信の無さであり、それを解決できれば日本サッカーの問題の多くが解決されると言ってきました。
アジアカップでも露呈した、シュート・クロスなど勝負から逃げてしまうという問題も、根本の原因はそれです。
この試合0-2と追い込まれて後が無い局面で、松井がPA内で勝負を挑んでPKを獲得し、1点を取り返したことがチーム全体の自信と積極性を取り戻すきっかけとなりました。
そこから思い切ってクロスをあげる、シュートするといった「勝負から逃げない積極的な姿勢」がチームにあらわれ、これが大逆転につながったと思います。
日本がスイスより優れていた点が一つありました。
それは試合の最後まで走りきるスタミナです。
オーストリア戦でもそうでしたが、試合の後半、相手チームがバテてくる時間でも、日本の走力はあまり衰えませんでした。
これが「勝負から逃げない積極的な姿勢」を土台から支えました。
日本もスイスと同じようにバテていたら、あの大逆転劇は無かったかもしれません。
これまでのオシムジャパンは、豊富な運動量でボールを支配してきました。
後は、「バイタルエリアで勝負を逃げず、ゴールを決める」という最後の1ピースがはまれば、攻撃のパズルは完成するところまできていました。
それがドタバタしながらも、いったん完成したのがスイス戦だったと言えるのではないでしょうか。
ただ、手放しで喜ぶわけにはいきません。
これがテストマッチではなくて、W杯の本番であったなら、日本の右サイドをズタズタにし、スイスの攻撃のキーマンとなって、2得点にからんだマニャンを前半だけで下げてしまうようなことは無かったでしょうし、そうなれば、試合結果は全く違ったものになったかもしれません。
前半の立ち上がり、日本は”強豪スイス”をリスペクトしすぎてしまったのか、プレスに消極的で、オーストリア戦で見せてくれたような組織的守備が出来ませんでした。
日本がプレーに積極的になれたのは、2点を先行されて追い詰められてからで、このあたりは、アジアカップ準決勝のサウジ戦と同じような展開でした。
今回は追いつき、逆転できたから良かったですが、アジアカップのように追いつけないこともあり得るので、試合の最初から先手先手で積極的に勝負に行くということが、課題としてまだ残っていると思います。
スイスの攻守にわたる高い組織力は、日本がボールを回すにも守備でプレスをかけるにも、相当やっかいですが、前半は何とか0-0でしのぎ、後半、スイスがバテたところで点を取って1-0で勝つような試合ができるようになれば、W杯の本番でも日本はスイスと互角にやれるでしょう。
ここで負けた相手を誉めるのはやりにくいのですが、スイス代表は世界でも最先端の組織戦術をもったチームだと思います。
メッシやロナウジーニョのような卓越したタレントはいませんが、蹴る・止める・ドリブルするの基礎がしっかり出来ていて穴の少ない、平均点の高い選手がそろい、それを高いレベルの組織戦術がまとめているというチームです。
このブログで述べている戦術を形にすれば、スイスがやっているような組織サッカーとなりますし、オシム監督がめざしているのも、スイスのような組織サッカーでは無いでしょうか。
世界で卓越した個を持たない日本代表にあったサッカーだと思います。
前半25分までのスイスを録画などで良く見てほしいと思いますし、それ以後、楽勝ムードで流しに入ってしまったのが残念でしたが、
最終ラインを高く保ち、トップとバックラインをコンパクトにして、攻守いずれの場面でも、選手同士の距離が離れすぎず、適度なサポート距離を維持することの大切さを教えてくれます。
日本では「ボールを奪ったら味方同士が散らばれ」と指導されていると思いますが、私自身、今となってはWMシステムぐらい時代遅れのやり方だと思っています。
スイスは、守備ではゾーンで組織的にプレスをかけ、ボールを奪うとインサイドキックやワンツーといった基礎テクニックを中心に攻撃していました。
そういったスイスサッカーを代表する選手が、何度も述べているマニャンで、
中盤で自分の前方にフリーでいる選手がいれば、オートマチックにパスをして、自分は次のフリースペースへ走りこんでワンツーを狙い、サイドを突破したら、最初に出せるタイミングでクロスを上げていましたし、ゴール前の選手もそのタイミングで詰めていました。
特別なテクニックがあるわけではありませんが、チームの勢いを殺さない彼のダイナミックな動きと、考えるスピードの速さが、前半15分までで日本から2点を奪う原動力となりました。
日本のMF、中村俊・憲や遠藤選手は、ボールを持つとギアダウンしてどこへパスを出すか考え込んでしまいますし、両サイドバックも、サイドを突破したのにクロスを上げず、結局うしろへ戻してしまっています。
「下手な考え休むに似たり」と言いますが、1人がボールを長く持ってこねくり回してもなかなか得点になりませんし、現代サッカーで求められているプレーとは何か、マニャンのスタイルは本当に参考になると思います。
ボールをまたいだり、ヒールキックを使ったりといった”サーカスプレー”をしなくても、インサイドキックやワンツーのような基本プレーでも十分、相手を崩せるのだということを彼は証明してくれています。
オシムの組織的ポゼッション・サッカーにおいて、攻撃のパズルの最後の1ピースは「勝負から逃げずゴールすること」だったのですが、スイス戦でようやくそれがはまった感じがしました。
アジアカップ以降、ピッチの上で起こっていることのうわっつらしか見えていない一部の解説者がオシム解任を求めていたようですが、カメルーン・オーストリア・スイスと対戦してきて、改めて日本代表がやろうとしていることの方向性が正しかったことが証明されたと思います。
もちろん、テストマッチとガチンコ勝負は違いますし、日本の組織力・個の力をもっとレベルの高いものにしていかなければなりませんが、欧州遠征の成果を素直に評価したいと思います。
これで欧州主要リーグに日本人選手が売れたり、強豪からテストマッチのオファーが日本にくれば、良いのですが。
個人では、松井がマン・オブ・ザ・マッチでしょう。
巻や矢野もゴールによって自信をつけ、一皮も二皮もむけて欲しいと思います。
巻は「自分は脇役だから」なんて消極的なことを言っていてはダメです。「高原選手を抜くのは俺だ」ぐらいの目標をたてないと。
次回は、10月のエジプト戦あたりで更新予定です。
-----------------------------------------
2007.9.11 ヒュポ・アレナ(クラーゲンフルト)
日本 4 − 3 スイス
'52 中村俊(PK) '11 マニャン
'67 巻 '13 クフォー
'78 中村俊(PK) '80 ジュールー
'90+ 矢野
GK 川口 GK ベナリオ
DF 駒野 DF マニャン
闘莉王 (バルネッタ 46)
加地 センデロス
中澤 シュパイヒャー
ベーラミ
MF 遠藤 フォン・ベルゲン
(佐藤 87) (エッギマン 88)
中村俊
(中村憲 90+) MF マルガイラツ
鈴木 (ヤキン 46)
松井 フッゲル
(山岸 71) (セレスティーニ 69)
稲本 インラー
(ジュールー 79)
FW 巻
(矢野 80) FW フォンランテン
(リヒトシュタイナー 72)
クフォー

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対戦相手のスイスは、ほとんどがドイツ・イングランド・イタリア・スペインなど欧州主要リーグでプレーする選手で構成されていて、ホームでならイタリア・フランス・オランダといった強豪にも勝つ能力は十分あるチームであると考えていました。
ドイツW杯予選や本大会でトルコやフランスと互角の勝負を繰り広げていますし。
(日本戦には、フライやギガックスといったドイツW杯で活躍した選手が出なかったのが残念でしたが)
日本との実力差を考えた場合、たとえばW杯行きの切符をかけてスイスとH&Aでガチンコの勝負をしたとしたら、アウェーはもちろん、ホームでもちょっと勝つのは難しいぐらいの差はあると思っていました。
それを、中立地のテストマッチとはいえ4-3で大逆転勝利の大金星という結果は、すばらしい成果です。
オーストリア遠征の前に、「二試合で勝ち点2以上取れればたいしたものだと思います」と言いましたが、勝ち点4も取ってしまいました。
ただ監督としては、試合後に課題を選手に指導するのが難しくなるかもしれません。 ”美しい勝利”が日本の問題点をお化粧で隠してしまう可能性があるからです。
さて、試合をざっと振り返ってみましょう。
前半は、攻守に高度な組織力を見せるスイスのペース。
日本は相手を怖がってしまっているのか、オーストリア戦で見せたような鋭い組織的守備ができません。
前半9分、マニャンに右サイドを破られ、闘莉王選手が自分の手にボールを当てながらCKに何とか逃れます。
そこからゴール前右でスイスにFKを与えてしまい、これをマニャンに決められてスイス先制。
13分、またもやマニャンに右サイドをワンツーで破られて、ゴール前のクフォーにアーリークロス、クフォーのトラップが闘莉王の手に当たってしまい、今度はPKの判定。
これをクフォーが決めて、あっという間に0-2とされてしまいます。
24分に、またまたマニャンに右サイドの突破を許すも、中村俊選手が戻って必死の守備。
このあたりからスイスは勝利を確信したのか、流しモードへ。
31分に松井選手が切れこんでシュートするもバーの上。
36分、42分にもマニャンに突破を許し、オフサイドの判定で救われたり中澤選手が防いだりと、ヒヤヒヤの展開。
ここまでマニャンの突破に日本の右サイドはボロボロに崩されており、3点目を取られていたら試合は終わっていたかもしれません。
後半開始から、勝利を確信したらしいスイスは、他の選手のテストのためでしょうか、マニャンとマルガイラツを下げてしまいますが、特に、日本がまったく止められなかった攻撃のキーマンであるマニャンがいなくなったことで流れが大きく変わりました。
7分、左サイドを突破してペナルティエリア(PA)に侵入した松井が倒されPK獲得。これを中村俊が決めて1-2。
「2-0はサッカーでは一番危険な点差である」とは良く言われることですが、2-0で勝利を確信したチームが、いったん”流しモード”に入ってしまったら、モチベーションを立て直すことは本当に難しく、そこから1点でも返されれば、焦りからパニックにも似た状態となって、同点ゴールあるいは逆転ゴールを許してしまう可能性はかなり高くなります。
そしてそのとおりになってしまいました。
(U-20W杯・カナダ大会の日本対チェコ戦で、日本が同じような形になってしまいましたね)
前半の半ばから日本はある程度ボールを回せていましたが、それは「持たされている」ものであったのに対し、1点返してからの日本は、自分からボールが持てるようになりました。
22分、中村俊のFKから巻選手がヘッドで同点ゴールをねじ込みます。
32分、駒野選手のクロスを合わせようとした巻が引きずり倒されてPK獲得。
これを再び中村俊が決めて、ついに逆転。
35分、スイスはようやく必死の反撃、ヤキンのCKからジュールーが飛び込んで同点ゴール。
ノーガードの打ち合いのような試合に決着をつけたのは日本。
ロスタイム、山岸選手のクロスに中村憲選手がシュート、GKがよくセーブするも、こぼれを矢野選手が良くつめてゴール!これが決勝点となりました。
それでは日本代表の試合内容を分析していきますが、この試合の結果に一番影響を与えたのはメンタル面だったと思います。スイスの敗因も同様です。
私は「根性が無いから試合に負けるんだ」みたいな非科学的な根性論には賛成しませんが、日本人選手の一番の弱点はメンタル面における消極性と自信の無さであり、それを解決できれば日本サッカーの問題の多くが解決されると言ってきました。
アジアカップでも露呈した、シュート・クロスなど勝負から逃げてしまうという問題も、根本の原因はそれです。
この試合0-2と追い込まれて後が無い局面で、松井がPA内で勝負を挑んでPKを獲得し、1点を取り返したことがチーム全体の自信と積極性を取り戻すきっかけとなりました。
そこから思い切ってクロスをあげる、シュートするといった「勝負から逃げない積極的な姿勢」がチームにあらわれ、これが大逆転につながったと思います。
日本がスイスより優れていた点が一つありました。
それは試合の最後まで走りきるスタミナです。
オーストリア戦でもそうでしたが、試合の後半、相手チームがバテてくる時間でも、日本の走力はあまり衰えませんでした。
これが「勝負から逃げない積極的な姿勢」を土台から支えました。
日本もスイスと同じようにバテていたら、あの大逆転劇は無かったかもしれません。
これまでのオシムジャパンは、豊富な運動量でボールを支配してきました。
後は、「バイタルエリアで勝負を逃げず、ゴールを決める」という最後の1ピースがはまれば、攻撃のパズルは完成するところまできていました。
それがドタバタしながらも、いったん完成したのがスイス戦だったと言えるのではないでしょうか。
ただ、手放しで喜ぶわけにはいきません。
これがテストマッチではなくて、W杯の本番であったなら、日本の右サイドをズタズタにし、スイスの攻撃のキーマンとなって、2得点にからんだマニャンを前半だけで下げてしまうようなことは無かったでしょうし、そうなれば、試合結果は全く違ったものになったかもしれません。
前半の立ち上がり、日本は”強豪スイス”をリスペクトしすぎてしまったのか、プレスに消極的で、オーストリア戦で見せてくれたような組織的守備が出来ませんでした。
日本がプレーに積極的になれたのは、2点を先行されて追い詰められてからで、このあたりは、アジアカップ準決勝のサウジ戦と同じような展開でした。
今回は追いつき、逆転できたから良かったですが、アジアカップのように追いつけないこともあり得るので、試合の最初から先手先手で積極的に勝負に行くということが、課題としてまだ残っていると思います。
スイスの攻守にわたる高い組織力は、日本がボールを回すにも守備でプレスをかけるにも、相当やっかいですが、前半は何とか0-0でしのぎ、後半、スイスがバテたところで点を取って1-0で勝つような試合ができるようになれば、W杯の本番でも日本はスイスと互角にやれるでしょう。
ここで負けた相手を誉めるのはやりにくいのですが、スイス代表は世界でも最先端の組織戦術をもったチームだと思います。
メッシやロナウジーニョのような卓越したタレントはいませんが、蹴る・止める・ドリブルするの基礎がしっかり出来ていて穴の少ない、平均点の高い選手がそろい、それを高いレベルの組織戦術がまとめているというチームです。
このブログで述べている戦術を形にすれば、スイスがやっているような組織サッカーとなりますし、オシム監督がめざしているのも、スイスのような組織サッカーでは無いでしょうか。
世界で卓越した個を持たない日本代表にあったサッカーだと思います。
前半25分までのスイスを録画などで良く見てほしいと思いますし、それ以後、楽勝ムードで流しに入ってしまったのが残念でしたが、
最終ラインを高く保ち、トップとバックラインをコンパクトにして、攻守いずれの場面でも、選手同士の距離が離れすぎず、適度なサポート距離を維持することの大切さを教えてくれます。
日本では「ボールを奪ったら味方同士が散らばれ」と指導されていると思いますが、私自身、今となってはWMシステムぐらい時代遅れのやり方だと思っています。
スイスは、守備ではゾーンで組織的にプレスをかけ、ボールを奪うとインサイドキックやワンツーといった基礎テクニックを中心に攻撃していました。
そういったスイスサッカーを代表する選手が、何度も述べているマニャンで、
中盤で自分の前方にフリーでいる選手がいれば、オートマチックにパスをして、自分は次のフリースペースへ走りこんでワンツーを狙い、サイドを突破したら、最初に出せるタイミングでクロスを上げていましたし、ゴール前の選手もそのタイミングで詰めていました。
特別なテクニックがあるわけではありませんが、チームの勢いを殺さない彼のダイナミックな動きと、考えるスピードの速さが、前半15分までで日本から2点を奪う原動力となりました。
日本のMF、中村俊・憲や遠藤選手は、ボールを持つとギアダウンしてどこへパスを出すか考え込んでしまいますし、両サイドバックも、サイドを突破したのにクロスを上げず、結局うしろへ戻してしまっています。
「下手な考え休むに似たり」と言いますが、1人がボールを長く持ってこねくり回してもなかなか得点になりませんし、現代サッカーで求められているプレーとは何か、マニャンのスタイルは本当に参考になると思います。
ボールをまたいだり、ヒールキックを使ったりといった”サーカスプレー”をしなくても、インサイドキックやワンツーのような基本プレーでも十分、相手を崩せるのだということを彼は証明してくれています。
オシムの組織的ポゼッション・サッカーにおいて、攻撃のパズルの最後の1ピースは「勝負から逃げずゴールすること」だったのですが、スイス戦でようやくそれがはまった感じがしました。
アジアカップ以降、ピッチの上で起こっていることのうわっつらしか見えていない一部の解説者がオシム解任を求めていたようですが、カメルーン・オーストリア・スイスと対戦してきて、改めて日本代表がやろうとしていることの方向性が正しかったことが証明されたと思います。
もちろん、テストマッチとガチンコ勝負は違いますし、日本の組織力・個の力をもっとレベルの高いものにしていかなければなりませんが、欧州遠征の成果を素直に評価したいと思います。
これで欧州主要リーグに日本人選手が売れたり、強豪からテストマッチのオファーが日本にくれば、良いのですが。
個人では、松井がマン・オブ・ザ・マッチでしょう。
巻や矢野もゴールによって自信をつけ、一皮も二皮もむけて欲しいと思います。
巻は「自分は脇役だから」なんて消極的なことを言っていてはダメです。「高原選手を抜くのは俺だ」ぐらいの目標をたてないと。
次回は、10月のエジプト戦あたりで更新予定です。
-----------------------------------------
2007.9.11 ヒュポ・アレナ(クラーゲンフルト)
日本 4 − 3 スイス
'52 中村俊(PK) '11 マニャン
'67 巻 '13 クフォー
'78 中村俊(PK) '80 ジュールー
'90+ 矢野
GK 川口 GK ベナリオ
DF 駒野 DF マニャン
闘莉王 (バルネッタ 46)
加地 センデロス
中澤 シュパイヒャー
ベーラミ
MF 遠藤 フォン・ベルゲン
(佐藤 87) (エッギマン 88)
中村俊
(中村憲 90+) MF マルガイラツ
鈴木 (ヤキン 46)
松井 フッゲル
(山岸 71) (セレスティーニ 69)
稲本 インラー
(ジュールー 79)
FW 巻
(矢野 80) FW フォンランテン
(リヒトシュタイナー 72)
クフォー

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