■日本、PK勝ちでオーストラリアとの死闘を制す

 アジアカップ2007準々決勝の日本対オーストラリア戦は、120分の死闘の末、日本のPK勝ちに終わりました。

この試合を見て、まず言いたいことは、

あー、組織戦術のあるサッカーって
素晴らしい!!


ということ。

 今回の対戦相手、オーストラリアは、ニューキャッスルのビドゥカ、リバプールのキューウェル、アラベスのアロイージなど、ほとんどが欧州主要リーグでプレーする選手でかためたチーム。

アジアカップでの不調を考慮しても、日本とほぼ互角か、少しオーストラリアの方が実力は上かと考えていました。

90分戦って同点にもちこみ、PK戦の末に日本がオーストラリアを下すという結果は、大変素晴らしいものだと思います。

ジーコジャパンの時のオーストラリア代表は、W杯初体験の状態でしたが、今回のオーストラリア代表は、ドイツW杯ベスト16・決勝Tで優勝したイタリアとの激闘を経験し、自信と勝ち方を知ったチームになっています。

ですから、蒸し暑い気候の有利さを差し引いても、オーストラリアと対戦する難しさで言えば、今回の方が上でしょう。

そのオーストラリアにPK勝ち、試合内容でも日本が押していましたから、本当に素晴らしいと思います。

 試合を振り返ると、前半立ちあがりはオーストラリアに攻め込まれますが、日本が我慢強く耐えて反撃します。

いつものようにショートパスで崩していく日本と、タテに長いボールを入れてくるオーストラリアとで、一進一退の展開。

前半の中ごろから、やや日本が押し気味でゲームが続くも、得点に至らず。

 後半は日本のペースとなり、何度かチャンスがありましたが決められず、後半15分あたりで、一人一人がボールを持ちすぎるようになってからリズムが悪くなり、流れがオーストラリアへ。

24分、右CKからのキューウェルのボールがゴール前を通過、ファーポストにつめていたアロイージに押し込まれ、それまで押されぎみのオーストラリアが先制。

しかし、中村俊選手のクロスを巻選手が頭で落とし、相手のクリアミスを拾った高原選手が素晴らしい切り返しでシュート。

これが決まってわずか3分で同点。これは大きかったです。

直後の31分、グレッラが高原にヒジ打ちで一発レッド。

そこから延長の30分を含めて、日本が押し込み、何度も惜しいチャンスがありましたが、オーストラリアの堅守に阻まれて試合を決めることはできません。

そしてPK戦へ突入。

キューウェルとニールのキックを川口選手が見事な反応ではじき出し、日本は高原以外の全員が決めて、120分間の死闘にケリをつけました。

 さて試合内容ですが、まずは攻撃から。

前回のエントリーで、

身長が高くフィジカルの強いオーストラリアが得意なサッカーをするのではなくて、能力の高いMFを中心に組織的にすばやくショートパスを回して相手を崩す日本の持ち味を生かしたサッカー、相手に走り負けないサッカーをやるのです。



ということをオーストラリア戦での課題としてあげておきましたが、ショートパスで崩していく日本の持ち味を生かした攻撃がうまく機能して、非常に効果的だったと思います。

ドイツW杯ではオーストラリアに、完全に試合の主導権を奪われてしまいましたが、今回は、日本の方が長い時間、試合の主導権を握ることができました。

たとえオーストラリアが、プレミアリーグ・セリエA・リーガエスパニョーラ・ブンデスリーガ等で活躍する選手で固めてきたとしても、たとえ相手の方が身長が高く、フィジカルが強かったとしても、日本側にしっかりとした組織戦術があれば、あれぐらいはやれるという良い証明になったと思います。

代表選手・個人個人も、自分たちのサッカーに自信を深めたと思いますし、成長も実感できたのではないでしょうか。

 また、この試合ではオーストラリアに先制点を許してしまいましたが、落ち着いて反撃を開始し、すぐに同点に追いつけたことも大きかったです。

日本代表が精神的にも成長したところを見せてくれました。

 攻撃で課題があるとすれば、相手が一人少なくなっていた45分間も含めて、
押しているにもかかわらず、試合を決めるゴールが上げられなかったことです。

グループリーグ三試合で何度も見られたシーンですが、日本が相手を押し込むのですが、そこから攻撃がつまってしまい、なかなかシュートまでいけません。

トルシエも同じようなことを言っていたと思いますが、監督がチームにしてやれるのは、良い戦術を与えて、ボールを相手ゴールから25mのところまで持っていけるようにすることまでです。

そこから先は、選手・個人個人のアイデア、ファンタジーが問われるエリアであって、監督が、ピッチ上の選手の代わりにラストパスを出してやったり、フリースペースに走りこんだり、シュートを打ってやるわけにはいきません。

日本は、オーストラリアのような強敵相手でも、素晴らしい組織戦術で相手ゴールから25mのところまでボールを持っていけるようになりました。

そこから試合を決める得点をどうやってゲットするかが、今後の課題です。

世界に出れば、オーストラリア・クラスの相手はゴロゴロしているわけですから、2010年で結果を出そうとするなら、この課題の解決は避けて通れないものです。

 ある程度予想していましたが、この試合、日本がボールを支配する時間が長かった割にはシュートが少なかったと思います。

当たり前のことですが、シュートしなければ得点することはできません。

日本の選手がペナルティエリア(PN)に侵入した場面が何度かありましたが、
自分の前にGKしかいなくても、積極的にシュートを打つよりも、パスを選択してしまう場面が多いです。

相手GKのシュウォーツァーは、ハイボールに強い反面、グラウンダーのボールは前へポロポロやっていたので、意図的に強くてグラウンダーのシュートをファーポスト側に(もちろんゴールのワク内に)打って、別の誰かがつめる、といったアイデアが欲しいです。

シュートにしろ、クロスにしろ、日本の選手がためらってしまう理由は、「今はバックパスした方が、後でもっと良いチャンスが来るのではないか?」と考えるからではないかと思うのですが、「サッカーにおいて、時間は常に守備の味方」という格言があります。その可能性は低いでしょう。

時間をかければかけるほど、戻ってくる相手の選手の数は増えますし、ポジショニングやマークのズレを修正されてしまいます。

シュートやクロスは、打てる時こそ最高のチャンスと考えて、相手が準備できていないと見たら、積極的に打って出るべきです。

 これもUAE・ベトナム戦のエントリーで指摘しましたが、相手のセンターバックの前、ボランチの後ろのスペースをなかなか使えていません。

組織戦術でボールを回すのは、サイドを崩してフリーでクロスを上げたりドリブル突破したりしたいのと、相手のセンターバック(CB)の前、ボランチの後ろのスペースで、ボールを持ってフリーで前を向きたいからです。

ここで前が向ければ、たまらず相手のCBが前へ出てくるでしょうから、相手の最終ラインが崩れます。

そこをスルーパスでつくなり、ワンツーを使うなり、ドリブルやフェイントで相手をかわすなり、選手のアイデア・ファンタジーをこのスペースでこそ発揮して欲しいのです。

リーガエスパニョーラのバレンシアあたりは、このスペースを本当にうまく使うイメージがあるのですが。

 残念ながらオーストラリア戦でもベトナム戦でもUAE戦でも、多くの場合、日本の攻撃の選手が相手の最終DFラインと一直線になってしまって、このスペースを使おうというアイデアがある選手がまだまだ少ないです。

中村俊・遠藤・中村憲選手は、このエリアでこそフリーで前を向いて欲しいですし、FWが一人下がってきても、オーバーラップした鈴木選手が使っても面白いです。

こういったことがうまくできれば、ゴール前25mから先の問題は解決できるのではないでしょうか。

 守備に関しては、かなりうまく出来ていたと思います。
暑くて大変だとは思いますが、最後までこの調子でいってほしいと思います。

あの失点については、やむをえないことだったかもしれません。

ただ、アロイージがあそこにいたのは偶然では無いと思います。

いままで何度か言っていますが、セットプレーの時、あるいはクロスが入ってくる時、ファーポストの前・数mのエリアに最低一人つめておくのは、少なくともイングランド・サッカーの戦術では定石です。

そこはプライム・ゴールエリアといって、非常に得点できる可能性が高い場所だからです。

日本も自分の攻撃の時はそこを使い、相手の攻撃の時はうまく使われないように気をつける必要があります。

さらにあのシーンは、誰か一人が自分のマークを捨ててでも前へ出ていって、ボールをクリアできれば、失点は防げたかもしれません。

 さて、鈴木選手が頼もしいコメントをしてくれましたので、選手たちは大丈夫だと思いますが、浮かれ気味のマスコミは「オーストラリア戦が事実上の決勝戦だ」と言っていますが、あの試合は準々決勝以上でもそれ以下でもありません。

この試合でようやくアジアカップが開幕したぐらいの心構えを持つことが重要でしょう。

この試合でつかんだ、成長の実感と自分たち日本代表のサッカーへの自信を胸に、積極的に勝負することの大切さを忘れずに、次の試合にのぞんで欲しいと思います。

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2007.7.21  ミーディン・スタジアム(ハノイ)


   日本  1  -  1  オーストラリア
         4 PK 3

 '72 高原          '69 アロイージ



 GK 川口        GK シュウォーツァー

 DF 中澤        DF ニール
   駒野          ボーシャン
   加地          ミリガン
  (今野 88)
             MF カリーナ
 MF 阿部          エマートン
   中村憲         グレッラ
  (矢野 115)       カーニー
   鈴木          ブレシアーノ
   中村俊        (カーヒル 71)
   遠藤
             FW ビドゥカ
 FW 高原         (キューウェル 61)
   巻           アロイージ
  (佐藤 102)      (カール 83)



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