■日本、UAEに勝利するも...

 アジアカップ2007、ここまで1引き分けの日本は第二戦となった対UAE戦で、3-1の勝利をあげました。

たしかUAE代表はカタール代表と同じく、国内リーグに所属する選手だけで構成されたチームだったと思います。

最近、チーム力が下降いちじるしいUAEのことを考えれば、ホームでもアウェーでも日本が勝てるぐらいの実力差があると見ていました。

ベトナムがUAEに2点差をつけて勝ちましたし、最終戦でカタールがUAEに何点とって勝つかわからないので、最低でも3点差以上での日本の勝利が欲しいなと思っていましたが、3-1の勝利、総得点でかろうじてグループリーグ首位になるという、本当に最低限の結果を得た試合となりました。

酷暑とものすごい湿気のなか、最低限の結果は出したわけですから、素直に評価したいのですが、最終戦のベトナム戦は相手のホームですし、何が起こるかわかりません。

ベトナム代表は、自分が生まれ育った気候のもとで試合ができますし、東南アジア四カ国のなかでも、ベトナム・サポーターの熱狂的な応援は有名です。

レフェリーの判定基準も当然ベトナム寄りとなると見た方がよいでしょう。

実力的には日本のほうが上であるのは間違いありませんが、以上のことを考えると、やっぱり何が起こるかわからないのです。

勝てたとしても、相当タフな試合となりそうです。

ベトナム対日本戦と同時刻に行われるカタール対UAEも、カタールが当然大勝を狙ってくるでしょう。

そうしたことを考えればUAE戦は、3-0、4-0以上の日本の勝利が欲しかった試合でもありました。

 試合は、負けられないUAEが主導権を握る形でスタートしましたが、15分間それをしのぐと、今度は日本のペース。

左からのショート・コーナーから中村俊選手が体勢を崩しながらクロス、それが高原選手にぴたりと合って日本が先制。

日本は攻勢を弱めず、27分、右サイドの加地選手のアーリークロスを、高原がワン・トラップして相手選手の前からシュート、これが見事にネットに突き刺さり、日本が2-0とします。

これでガックリきたUAEはラフプレーを連発するようになりますが、日本は冷静に攻撃を続け、43分、ペナルティ・エリアに侵入した遠藤選手が相手GKに倒されてPKゲット。

これを中村俊が決めて3-0として前半終了。

 後半は負けられないUAEが再び攻勢に出てきますが、日本も上手く守ります。

しかし、日本がトドメの追加点を取れそうで取れないうちに、UAEのお得意のカウンターから失点して3-1。

その後は元気になったUAEの攻勢を受けるも、何とかしのいでタイムアップとなりました。

 それではいつものように試合内容についてですが、前回指摘した「日本人選手の消極性と自信の無さ」という課題がまだ完全には解決されていません。

オシムの戦術で、すばらしくボールが回っており、中盤での組み立ては大変うまくいっています。ジーコジャパン時代にはあまり無いことでした。

ですが、両サイドを崩して突破して、もう行き止まり、後はクロスを入れるかドリブルでかわすだけという状況でも、ボールを失うことを恐れているのか、まだ無意味なバックパスをしてしまうシーンを見かけます。

何のために速いパスワークで相手を崩したのでしょうか。

2点目のシーンのように、アーリークロスでも良いから勇気をもってチャレンジし、ちゃんとゴール前のターゲットに合わせられれば、チャンスもゴールも増えるのです。

 また、日本対カタール戦を見たUAEのブルーノ・メッツ監督が「日本は試合を殺すことができない(決めることができないという意味か)」と言ったそうですが、それはUAE戦でも言えたと思います。

後半、UAEがフラフラになっていて、あと一点ダメ押しできれば試合を完全に”殺せた”と思うのですが、日本が消極的に、サイドを突破してはバックパス、サイドチェンジして反対サイドを突破してはバックパス、迷って迷って最後に中央で最悪のミスパスなんてことをやっているうちに、カウンターから失点をくらってしまいました。

これでUAEが元気になり、無駄なエネルギーを消費させられたと思います。
UAEから1点でも多くゲットして、最終戦を楽にしたいというプランも崩れてしまいました。

 「日本が試合を殺すことができない」もう一つの原因は、チームのFWからDFラインまでの間をコンパクトに保てないことだと思います。

これはジーコジャパン時代からさんざん書いてきたことですけれど、消極性の次にありがちな日本のチームの弱点だと思います。

どうしてそうなるかと言えば、点を取りたいトップと二列目は、なるべく相手ゴールに近づきたいと思って前がかりになり、失点が怖いDFラインは下がり気味となって、DFラインとボランチの間にポッカリと亀裂ができて、日本代表が”守備チーム”と”攻撃チーム”の二つに分裂してしまうからです。

カタール戦にしろUAE戦にしろ、日本代表のFWから中村憲選手までの”攻撃チーム”は、得点差や残り時間に関係無くいつも前がかりで、孤立した日本代表の”守備(DFライン)チーム”は、失点してはいけない危険な時間帯でもカウンターをくらいやすいのです。

だからカタール戦みたいに試合終了まぎわに追いつかれてみたり、ヘロヘロ状態のUAEを元気付けるカウンターをくらってしまうわけです。

チームのFWからDFラインまでの間をコンパクトに保つということは本当に重要なことです。

4-2-2-2のシステムだとすると、この4つのラインはお互いの距離を一定に保てるよう常に注意しなければなりません。

そして絶対に失点してはいけない時間帯では、DFライン+ボランチ2枚はあまり上がらずに(下がりすぎてもいけません)、両サイドもオーバーラップを控えるようにして、守備体勢を崩さないようにしなければなりません。


コンパクトにすることで自分のポジションがゴールから遠くなっても、2トップ+攻撃的MF2人が焦る必要はありません。

日本代表がコンパクトになっていて、こちらが程よく押し込まれている時、相手はバックラインをかなり押し上げている可能性が高いです。

すると、相手のバックラインの裏に広大なスペースが生まれるわけです。

そこを効果的に動いて、ワンツーとスルーパスを組み合わせて、オフサイドに注意しながら相手最終ラインの穴をつけば、前の4人だけであっても得点することはそんなに難しいことではありません。

日本代表は伝統的にこういった攻守の駆け引きが下手ですし、こうすることによってリスクをそれほどかけずに試合を”殺す”ことができるのです。

それができないのは日本サッカー界全体が、チームのFWからDFラインまでの間をコンパクトに保つということの重要性をわかっていないからです。

 選手個々で見ると、

高原は、リスクをおかして勝負して良い時に、自信をもって積極的に勝負をして、しかも結果を次々と出しているわけですから、本当に素晴らしいです。

逆に、中村俊はセットプレーからのキックは相変わらず素晴らしいですが、現在、流れの中でゲームをつくることができていません。

難しいことをやろうとしすぎて周囲とかみあわず、一人で空回りしているようにも見えます。

「アウトサイドやヒールキックなど、難易度の高いプレーでなければサッカーでチャンスはつくれない、インサイドキックではろくなチャンスがつくれない」といった、日本人選手にありがちな考え方に陥っているような気がします。

もっとサッカーをシンプルに考えるようにして、インサイドキックで高原か巻選手に当てて、ワンツーでリターンをもらってシュート・ゴールのような、基礎的なプレーに一旦立ち戻るべきではないでしょうか。

 厳しいことも言いましたが、こうした課題をクリアできないとW杯では勝てない、世界では勝てないということで、UAE戦で日本代表が最低限の結果を出したことについては、評価すべきだと思います。

前述のように、グループリーグ最後のベトナム戦は周りが全て敵の、本当にタフな試合になると思います。

決勝トーナメントであたる他グループのチームのことも見据えながら、自信を持って積極的に、リスクをおかすべきところはチャレンジし、リスクをおかしてはいけないところはクレバーに安全第一でやってほしいです。

それができれば、おのずから結果はついてくるでしょう。


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  2007.7.13 ミーディン・スタジアム(ハノイ)


    日本  3  -  1  UAE

 '22 高原        '66 S・アルカス
'27 高原
'41 中村俊(PK)


 GK 川口       GK M・ナスル

 DF 駒野       DF ラシド・A
   加地         H・アリ
   中澤         B・サイード
              H・ファヘル
 MF 阿部
   遠藤       MF A・ジュマ
   中村俊        E・アリ
  (水野 71)     (S・アルカス 45)
   鈴木         H・サイード
  (今野 77)
   中村憲      FW K・ダルビッシュ
             (A・モハメド 45)
 FW 巻          I・マタル
   高原         アル・シェッヒ
  (羽生 67)     (M・カシム 56)




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