■日本代表、またしてもイエメンに”苦勝”

 昨日、アジアカップ予選の対イエメン戦がイエメンの首都・サヌアで行われ、ロスタイムのゴールで、日本がまたしてもイエメンに”苦勝”するかたちとなりました。

対戦相手のイエメンは、新潟で対戦したときの記事にも書いたとおり、国内リーグでプレーする選手がほとんどで、FWのアル・ノノなど数人がバーレーンやUAEなどの海外リーグでプレーしているというチームです。

過去のイエメンの成績を分析する限りでは、日本がたとえアウェーとはいえ勝たなければならない相手でした。 サウジは、サヌアで行われたイエメン戦を4-0で勝っています。

 試合のほうは、新潟での試合ではベッタリと引いて”専守防衛体制”をしいたイエメンでしたが、ホームとなったこの試合は、守るだけでは本大会にすすめませんので、カウンターを中心に攻めに出てきました。

ですが、もともと実力差がかなりあるので、日本代表がゲームのほとんどを支配するかたちとなりました。

前半10分、日本の左サイドを突破したイエメンのアル・オムキのクロスは坪井選手がブロック、その跳ね返りをイエメンの選手がミドルシュートするも、三都主選手が跳ね返します。

イエメンのチャンスらしいチャンスはこれくらいだったでしょうか。

それからは、日本が攻撃を続けます。
しかし、ボールを保持している時間が長い割には、クロスやシュートが少ないようでした。

それでも32分には、田中達選手のクロスを全くのフリーだった巻選手が無人のゴールに決められず。

 後半も日本が主導権をにぎります。

後半から投入された佐藤寿選手や三都主のミドルシュートが立て続けにあり、

27分には、遠藤選手がピッチ中央からドリブル、出したパスがミスぎみだったのをイエメンの選手が対応を誤り、結果的にワンツーのようなかたちに。 そのリターンをもらった遠藤が至近距離からシュートするもフカしてしまいます。

40分には佐藤寿のクロスを後半から出場の我那覇選手がヘディングシュートするも、ワクをとらえず。

ロスタイムに入って引き分け濃厚となった時に、坪井からのロングフィードを巻がヘッドで落とし、これに倒れこみながら我那覇があわせ、泥臭いゴール。

これが決勝点となりました。

アウェーで酸素の薄い高地、しかもピッチの状態も最悪に近いということで、試合条件はかなり厳しいものでしたが、勝ち点3という結果をきっちり出したのは、大変良かったと思います。

 日本代表の試合内容の方は、試合条件が悪かったということも大きかったと思いますが、イージーなミスが多くて前回のサウジ戦より良くありませんでした。

特に、デコボコで国際規格ぎりぎりの狭いピッチに途惑った面もあったと思いますが、そうした条件を考慮していつもよりクロスの長さを短くするといった、普段やっているプレーを試合中に修正をするという良い経験ができたのではないでしょうか。

 ただ、ピッチ・コンディションとは明らかに関係ないミスがあったのも事実です。

はじめから誰もいないところにパスやクロスをだしてしまったり、ヘディングシュートが全くワクをとらえなかったりといったことです。

パスの出し手が「いてほしい」と考えるスペースに誰も味方がいないのに、それにもかかわらずそこへパスを出してしまって、相手にボールをプレゼントしてしまう場面が非常に多かったです。

これはジーコジャパン時代から言っていることですが、日本人選手は、パスの出し手と受け手に「その局面において、どこでパスを受ければ成功する確率が最も高いのか」という共通理解が無いように見えます。

特に足元でもらうショートパスにおいて、そうした共通理解がほとんど無いようです。

以前にも言ったことがありますが、「インサイドキックを使って足元でつなぐパスではたいした攻撃はできない、アウトフロントやヒールを使ったような難しいパスでなければ、決定的なパスは出せない」という間違った思い込みが日本サッカー界では強く、その結果、足元のパスを使った攻撃が上手く出来ないのではないでしょうか。

日本代表でもJリーグでも、足元でパスをつなぐときの選手のポジショニングが、あまり良くないですし、パスを出すほうも、弱々しいちょろっとしたキックを蹴る場面が目立ちます。

代表にしろJにしろチームのリズムが悪いときは、パスを受ける方も、ボールがボランチのあたりにあるにもかかわらず、相手のDF最終ラインに入って、
裏へのパスを一本調子で待ってばかりになるというシーンも良く見ます。

一人でもいいから、敵センターバックの前のスペースへ顔をのぞかせてボールを足元でもらって前を向ければ、攻撃の選択肢が増えるのにと思うのですが。

ともかく、適切なポジショニングで、腰が入った強いインサイドキックで、バシバシつなぐような足元へのパスが、日本ではなかなか見られないのです。

よくTV解説者も「足元ばかりでつないでいてもしょうがない。裏のスペースを狙ってパスしろ」と盛んに言いますし、何か足元へのインサイドキックのパスを馬鹿にしたような風潮が感じられます。

 ですが、つきつめてみると相手の最終DFラインの裏へ出すパスいわゆるラストパス以外は、基本的に足元でつなぐパスになるわけです。

なぜなら現代サッカーにおいて、相手の最終DFラインの前では、敵の選手が密集して陣形をつくっていますから、広いスペースはほとんどありません。

狭いスペースで、足元ではなくスペースに出すパスを出せば、味方より敵が先にボールに追いつく可能性が高いわけで、そうなると確実に使えるパスは足元へのパスだけということになります。

例外として、サイドに広いスペースが空いている時とか、こちらが押し込まれていてボールを奪い返した直後、敵陣内に残っている相手DFの前にスペースがぽっかり空いていたとか、そういうケースはありますが。

簡単かつ基礎的な足元へのパスですが、それを軽視して基本的なことも出来ないのでは、効果的な攻撃はのぞめません。

足元へのパスで敵を引き付けてこそ、スペースに出すパスが生きますし、逆もまたしかりです。

それに試合でもっとワンツーを狙ってほしい。
ワンツーにこそ足元へのパスで大事なエッセンスがつまっているからです。

局面局面で、まずパスの受け手が正しいポジショニングをすること、ボールを受ける前に次のプレーを考えて、正しいボディシェイプでボールを受け次のプレーへつなげること、

パスの出し手は、味方の足元へ、利き足や敵の位置も考えながら、強くしっかりとしたパスを正確に出すことが基本となります。


その局面で足元でボールを受けるときの正しいポジショニングとは、たとえば敵4人に囲まれているスペースの中だったら、敵の4人それぞれから一番遠い、スペースの中心である一点がそうです。

正しいボディシェイプとは、敵ゴールに向かって半身になり、パスが来るほうに体の前を向ける状態です。

もし敵がすぐそばにいたら、ボールをスクリーンするために、敵とボールの間に自分の体を入れなければなりませんから、半身の姿勢がとれるとは限りませんが。

子供のときからコーチに教えられてこなかったのか、日本人選手でこうした基礎をきっちりできる人は意外と少ないように思われます。

 また、パスするにしろシュートするにしろ、日本人選手のヘッドは、弱くて不正確な場合が多いです。そうしたことが、ヘディングシュートの決定力の低さにつながっていると思います。

足元へのパスにしろヘッドにしろ、こういう基礎的なことが合格点に達していないということは、イエメンのような基礎力の低い対戦相手のときには目立たなくても、ブラジルのような強豪とやると、誰の目にもはっきりとわかるようになります。

それがドルトムントでの1-4という結果となって表れれているわけで、ジーコジャパン時代から言ってきたことですが、日本人選手にはサッカーの基礎を馬鹿にしてほしくないです。

日本人選手が足元へのパスで相手を崩せないのだとしたら、それは足元へのパスが悪いのではなくて、足元へのパスの使い方がまだ良くわからず、それを馬鹿にしている日本サッカー界に問題があるのだと思います。

 選手個人では、遠藤選手が気になりました。

まず前半に数度、ゴール前でシュートを打つチャンスがありましたが、彼はパスを選択しました。

サウジ戦でも日本人はなぜシュートを打たないのかという話をしましたが、ピッチの状態が悪いのですからシュートを打てば相手GKがミスをする可能性が高い反面、味方にパスを出せばトラップミス・シュートミスをする可能性も高いわけです。

だったら打てるときに自分がシュートを打たなくてはなりません。(特に相手GK直前でバウンドするようなシュートを)

そこでパスばかり選択するぐらいなら、後半に至近距離からシュートをフカしてしまった、あのプレーのほうが何倍も良いです。

 さらに彼がクロスやFKのときに多用していた、ふわっとした山なりの弱いボールですが、あれだとボールが落下するまでに時間があるので、相手GKなりセンターバックなりが余裕をもって対応できてしまいます。

これは中村俊輔選手にも言えることですが、もっと速くて強く、鋭く曲がるようなボールを味方がいて、敵GKが出られそうで出られないところへ蹴らないと、なかなか良いヘディングシュートにつながりません。

イエメンの選手が、それほどヘッドが強いわけでもなく、マンマークが得意なわけでもなかったのに、質の高いクロスがなかなか味方の頭に合わない原因はそこにあったのではないでしょうか。

遠藤は日本代表の攻撃の要である二列目を任されたのですから、あえて厳しい評価をしました。

 我那覇は、短い時間ではありながらも、きっちりとチャンスを決めたところはさすがでした。

 内容に関しては、さまざまな課題が出ましたが、厳しい条件の中きっちりと結果を出したことについては大変良かったと思います。

次回は、ちゃんとしたピッチで試合が出来ると思いますので、結果・内容が伴った試合を期待したいと思います。


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2006.9.6   アリ・ムフシン・スタジアム(サヌア)


   イエメン  0 - 1  日本

             '90+ 我那覇

GK サイード     GK 川口

DF アブドゥラ    DF 三都主
   アルワディ       坪井
   ワシム         加地
   サレム         闘莉王

MF アルオムキ    MF 遠藤
  (ラドワン 77)     阿部
   アクラム        羽生
   モハナド       (我那覇 73)
   アルワ         鈴木
  (アルマング 84)
   アリシェリ    FW 巻
  (ヤセル 64)     (梅崎 90+)
               田中
FW アルノノ       (佐藤 46)



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