■ジーコ監督の4年間は何だったのか?(最終回)

前回の続き

 これまでの2回の記事で、ジーコ監督が現実離れした行き過ぎた理想主義者であったこと、”年功序列制度”と”縁故採用”を代表選考に持ち込んで、チームのマネジメントに完全に失敗したこと、そもそも監督としての経験がまったく不足していたことを述べてきました。

このシリーズのしめくくりに、代表監督を適切に評価する場合、どうすればよいのかについて考えてみたいと思います。

 監督としてのジーコをどう評価するかという問題に、鹿島での功績をプラスしようとする日本人が少なくありません。

確かに管理人スパルタクも、ジーコが住友金属のデコボコのグラウンドにやってきて、鹿島アントラーズとJリーグを育ててくれたことに大変感謝しています。
まったく足を向けて寝られないというやつです。

しかしそうした事実と代表監督としてのジーコへの評価は、100%関係の無い別の話で、感情に流されて冷静さを失い、関係の無い二つのことがらを一緒にしようとしたり、鹿島での功績を代表監督としてのジーコへの評価にプラスしたりしてはいけません。

日本人のそういう論理的思考力の無さは、日本サッカーを世界に通用するものにしていく過程で、必ず足を引っ張ります。

もし、感情に流されて関係の無い二つのことがらをごちゃ混ぜにするのが許されるのであれば、代表で結果を出せなかったジーコへ悪意を持つ人が、「代表で失敗したのだから、ジーコは鹿島でも何も良いことをしなかった」と言っても、それを許さなくてはならなくなります。

私は就任した当初からジーコ監督の監督としての能力を批判してきました。

こういうことを言うと、”トルシエ信者”とか”ジーコ信者”とかいった話が出てきそうですが、そのどちらでもありません。 

私は”良いサッカーの信者”です。

たとえ相手がかつての名選手であろうとも、日本サッカー界の功労者であっても、それはこの際、関係ありません。

良いサッカーをやっている監督は評価しますし、ダメなら批判する。ただそれだけです。 同じ監督であっても正しい道を歩んでいるときは支持するし、間違った道を歩み出したら当然批判します。

だから、私がジーコを批判したのは別にジーコが嫌いだからではありません。

しかし、「ダメだから批判する」ということと「相手が嫌いだから悪口を言う」ということの区別ができない、論理的思考力の無い極めて感情的な人が日本には少なくないのが大変残念です。

日本のサッカー・ジャーナリストも何か遠慮しているというか、これまで適切にジーコを評価できた人はあまり多くないように見受けられました。

先ほども言いましたが、こうしたことは日本がサッカー強国ではないことの証明でもあり、またサッカー強国になるための妨げにもなるでしょう。

ジーコが今後も監督をやりたいという夢を持っているのなら、監督としてダメなところはダメと言ってあげるほうが、よっぽどジーコ本人のためになると思うのですが...。

 それではジーコ監督の4年間は何だったのか?という今回のシリーズをまとめたいと思います。

ジーコ監督の4年間とは、監督としての経験がほとんど無いジーコが夢見てきた理想を日本代表で実現しようとした、壮大な実験でした。

 私は今から一年と一ヶ月前こう言いました。

UAEに負けたから言うわけではありませんが、2002年W杯が終わってからキリン・カップまでジーコ監督の指揮のもと日本代表はやってきて、そろそろ3年ちかくなると思いますが、相変わらずこのような状態では、W杯ドイツ大会の見通しは暗いです。

ジーコが現役だった当時のW杯82年スペイン大会のブラジル代表は、セレソン史上もっとも美しいチームだった、印象に残るチームだったとよく言われます。

ビデオでしか観た事ありませんが、名将テレ・サンターナに率いられ、ジーコ・ソクラテス・ファルカン・トニーニョ・セレーゾの黄金の中盤(カルテット)を擁したセレソンは確かに美しかった。

しかし、ジーコのブラジル代表はイタリアのロッシのカウンターに沈められ、W杯で優勝するどころか3位にも入る事はありませんでした。

今のジーコを見ていると、「ひょっとしたら80年代のあのブラジルのサッカーを現代の日本代表でやろうとしているのではないか?」と思えてきます。

しかし、当時と現代では、サッカーは大きく変わっています。特に守備戦術の発達は比べ物にならないでしょう。




当該記事 

そして、ジーコジャパンの4年間とは「個の自由に基づく美しいサッカー」というジーコの夢もしくは理想が、もう一度敗れるのを確認するための4年間だったのではないでしょうか。

高度に組織化された現代サッカーにおいて、少なくとも世界トップレベルのサッカーをしているチームが、個の自由だけで成功しているという実例を私は見たことがありません。

個人が基礎能力・高い応用力を持っているのは当たり前で、そうした選手たちが協力していかに高い組織をつくりあげるかというのが現代サッカーの方向性となっています。

チーム組織が個をダメにするというのは、時代錯誤的な考えであって、組織と個の能力は両方大事であり一緒に強化をはかるべきというのが世界のサッカー界の最新の流れです。

そんなことは、W杯なりチャンピオンズリーグなりを見て、最新のサッカー戦術のトレンドをちょっと研究すればすぐわかることでしょう。

 私は同じ記事でこうも言っています。

ともかくジーコジャパンの長期にわたる不振・不安定さは、代表どころかJリーグを含めた日本サッカー界全体の歯車をおかしくしている気がします。

 このさい、ジーコ監督は、アジア予選突破をしてもしなくても北朝鮮戦が終わったところで、解任すべきだと思います。

そうすればW杯ドイツ大会までまだ1年あり、しっかりした哲学をもった監督にまかせれば、まだ立てなおす時間はぎりぎりあります。

監督を変えるには、もはやこのタイミングしかありません。

あらたな監督が見つけられないというのなら、ジェフ・千葉の社長に頭を下げてイビチャ・オシム監督を代表に招くというのはどうでしょうか?

スパルタクがみたかぎり、Jの最優秀監督です。
限られた持ちゴマの能力を最大限に引き出して、ジェフ・千葉を優勝争いできるようなクラブにしたオシムの手腕は卓越しています。

また彼のコメントからは、サッカーを知り尽くした哲学を感じますし、本当に勉強になります。

決断するなら今をおいて他に無いと強く思いますが、いかがでしょうか。



当該記事 

 私は、日本代表の2006年W杯の失敗は十二分に防ぐことができたと思います。

少なくともW杯ドイツ大会の1年前に、白昼夢を見続け地に足のついていない理想主義者・ジーコを解任し、日本代表選手にサッカーの基礎を教えられる適切な人間を監督に据えていれば、何かしらの遺産が日本代表に残ったはずです。

しかし、ジーコは解任されなかった。

今、マスコミやサッカー解説者はジーコが残してくれたものを必死になって探しているようですが、つらい現実から目をそむけるのはやめませんか。

ジーコは「個の自由・自主性」とやらに任せてこの4年間、日本代表にはほとんど何もしてこなかったのです。 そもそも何も残りようがありません。

その結果、「サッカーの基礎が出来ていないと痛い目をみるよ」ということをW杯の本番で日本代表はイヤというほど思い知らされました。

もしかしたら、今さらながらそのことに気づいた事が、ジーコがこの4年間で日本に残してくれたものだったのかもしれませんが、そんなことは、ちょっと考えれば分かる当たり前のことですし、4年間の貴重な歳月とウン億円という強化費を使って知るべき情報ではありませんでした。

 99年のワールドユース準優勝・2000年のシドニー五輪ベスト8・2002年W杯ベスト16と順調に経験を積んできた日本の黄金世代を、ジーコ監督はそっくりトルシエ監督から受け継ぎ、任されました。

しかし、黄金世代が脂の乗り切った成熟期を迎え、日本代表が大きな果実を収穫するときだった2006年W杯ドイツ大会は、他の国が必死になって強化を図っているのに、「日本だけそれまでの4年間何もしてこなかった」という現実から当然の罰を与えられて、無惨な結果となってしまいました。

その責任は、最終的にはジーコを鶴の一声で代表監督にすえた、日本サッカー協会会長・川淵三郎氏にあります。

次回からは、「川淵会長の罪と罰」について考えてみたいと思います。




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■コメント

■監督 [トット]

こんにちは。
私も全く同感ですね。
私も4年間のジーコの総評を言えば
「勝ちを甘く見た迷将」ですね。
やっぱり結果を残すことが
勝負の世界では大切ですね♪
しかし、・・お疲れ様でした。

■トットさん [スパルタク@管理人]

はじめまして、トットさん。

>私も4年間のジーコの総評を言えば
「勝ちを甘く見た迷将」ですね。
やっぱり結果を残すことが
勝負の世界では大切ですね♪

これは言い訳の通用しないプロの世界の宿命ですね。 

■Re: ジーコ監督の4年間は何だったのか?(最終回) [いの]

今更なコメントですが、
たまたまたどり着いたので読ませていただきました。

>>関係の無い二つのことがらを一緒にしようとしたり、
これは日本人が得意とする発想なので
さけられないのがとても悔しいです。
攻めて監督を選ぶ人がこうでなければいいのですが。。。
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