■日本、ドイツと勝ちに等しいドロー

 ドイツ・レバークーゼンで30日(日本時間31日)行われたテストマッチ・ドイツ対日本戦は点の取り合いとなり、2-2のドローに終わりました。

 試合を振り返ると、前後半ともにホームのドイツが圧倒的にボールを支配して日本を押し込み、日本は高く上げたドイツのバックラインの背後を狙ってカウンターを仕掛ける展開となりました。

ドイツのチャンスはコーナーキックなどセットプレーがらみが多く、日本のチャンスはカウンターから生まれていました。

 前半には、カウンターから中田英・柳沢両選手の惜しいシュートがありましたが、GKレーマンに阻まれました。
日本はドイツの猛攻をよく耐えて、0-0で後半へ。

 後半立ち上がりは、日本のリズムとなります。

11分、ドイツのCKからのこぼれ球を中村選手-柳沢-高原と素早くつないで、美しすぎるカウンターアタック!
GKレーマンと一対一になった高原が落ち着いてゴールに叩きこみ、日本が先制します。

20分には、中田英-中村とつながったボールが駒野選手へ渡り、高原へパス。
球を受けた高原はターンしながらドイツの選手を強引に抜き去り裏へ抜け出してシュート。

これがドイツゴールのファーサイドに突き刺さって、日本が2-0とします。

 このままでは絶対に終われないドイツは、総攻撃にかかります。
30分、左サイドで得たFKから、ゴール前で宮本選手との競り合いに勝った、クローゼがゴールして一点差。

35分には、こんどは右サイドのFKから、マークについた柳沢を振り切ったシュバインシュタイガーのヘディング・シュートを食らって同点とされました。

38分、体勢を立て直した日本は、中田英の絶妙のスルーパスを受けた大黒選手がレーマンと一対一になりましたが、シュートは惜しくもブロックされました。

この後日本はドイツの攻撃をよくしのいで、なんとか2-2のドローに持ちこみました。

 アウェーでの試合で、相手がドイツということを考えると、2-2のドローという結果は勝ちに等しい、大変評価できるものですし、選手は自信を持って良いと思います。

結果のみならず内容も、攻守に渡ってかなり充実していました。

 ただ、課題もはっきりしました。 

勝ちに等しいドローではなく、後半30分近くまでに2-0とした時点で、勝ちそのものにしなければならなかったという点です。

 どうしてそれが出来なかったのかと言えば、

日本代表は、押しているのか押しこまれているのか、あるいはリードしているのかされているのかそれとも同点なのかといった、点差や試合展開・相手の強弱に応じて、失点のリスクをおかしてでも攻めに出たり、やや引いて守備を固めたりといった、選手全員が共通意識を持って、チーム全体で駆け引きをする経験が圧倒的に不足しているからです。

逆にいえば、日本代表は点差や試合展開・相手の強弱などお構い無しに、一本調子で相手を攻めてしまうような試合をしてしまう傾向があるということです。

 今回の試合をみて、テヘランで行われたW杯アジア予選のイラン戦で、一旦1-1に追い付いて勝ち点1で充分OKだったのに、不用意に攻めに出て決勝点を奪われてしまった、あの試合を思い出しました。

ドイツ戦でも後半30分になろうかという時に2-0だったのですから、リスクをあえておかす必要は無かったと思います。 2-0で勝とうが更にリスクをおかして3-0で勝とうが勝ち点3は動きません。

(ドーハの悲劇も試合終了1分前で2-1。 このまま勝ち点3ならアメリカへ行けたのに、攻めに出て球を失いイラクの同点ゴールを許して勝ち点1しかとれなかったから悲劇となったわけです。 2-1で勝っても3-1で勝ってもアメリカに行けたのに。)

 しかしその時点で、日本代表は、自陣内でもリスクをおかすプレーで球を失うという場面がちらほら見られました。

例えば、通るか通らないかギリギリのパスやドリブル突破を自陣内でやってしまうといったようなことです。

球を失うリスクをおかした、通るか通らないかギリギリのパスやドリブル突破というのは、点を取りたい攻めの局面でそれも相手陣内でやるものですが、2-0でリードしているにもかかわらず自陣内やハーフライン付近でやるようなプレーではありません。

無理に押し上げる必要はありませんし下がり過ぎも禁物ですが、バックからFWまでチームをコンパクトにして、しっかりとプレスをかけて相手の攻めをがっちりと受け止め、球を奪い返したら、自陣内では足元でしっかりと確実につなぎ、リスクをかける攻めのプレーは相手陣内で行うということができれば、後半30分すぎからバタバタすることも無かったのではないでしょうか。

サッカーは相手にいくら押しこまれてもそれだけで負けることはありませんから、慌てふためく必要は全くありません。サッカーは相手より一点でも多くゴール数が上回っていれば、勝ちになるスポーツです。 

後半30分近くで2-0でリードしていて、チーム全体として守備重視で行くと決めたら、2トップとトップ下の3人ぐらいは攻めても、残りの選手はなるべく自陣内から出ずに、守備に人数を充分かけておくような、したたかな駆け引きが出来無いと、W杯で勝ちあがって行くことは出来ません。

 次に攻守の内容について見ますが、攻守両方に言える事ですが、2トップから最終バックラインまでチーム陣形を90分間コンパクトに保っておくこと、3-4-1-2ならこの4ラインがお互い一定の距離を90分間なるべく保つことが、重要だというのがよくわかった試合だったと思います。

日本代表では現在、少し下がってでも守備をしっかりとやりたい守備陣と「それではゴールから遠くなる」という攻撃陣の間で意見の違いがあるようですが、

攻撃陣の言いたいことは良くわかりますが、この場合はコンパクトにするということを最優先にしてコンパクトに保ったチームの上げ下げは最終守備陣の判断に基づくべきです。

日本代表が少し下げたい守備陣と得点を焦って前に行きたい攻撃陣の二つに分かれて間延びしてしまうのは一番良くありません。

今回のドイツ戦は相手にガンガンに押しこまれた結果、日本の最終ラインをやや下げざるを得なくなり、結果として日本の2トップはゴールから遠くなったわけですが、それでも2得点できました。

つまりゴールから遠くなる事を心配する必要はあまりないということです。

何故なら、相手チームが布陣をコンパクトにしようとしているなら、こちらが押しこまれて最終ラインを下げた時は、相手が最終ラインを押し上げてウラに大きなスペースが空いているということになり、GKとFWが一対一になるようなカウンターから点が取りやすくなるからです。

実際、ドイツから奪った2得点はカウンターからでした。(特に先制点の形が典型的) だからゴールから遠くなる事を心配する必要はないのです。

もし相手がカウンターを警戒して最終ラインを上げてこないのであれば、相手陣形が間延びして、敵センターバックとボランチの前などのスペースが広く空くことになります。だからそのスペースを使って攻めれば良いわけです。

 攻めの内容に関しては、グラウンダーのダイレクトパスによるカウンター攻撃がとても速く美しく素晴らしかったです。まるで東欧のチームのようでした。

こういう頭の良い攻撃は管理人スパルタクは大好きです。

ただ、ドイツがガチガチに守っていてそれを崩してとった2得点とは違うという事は頭に入れておくべきでしょう。

 守備に関しては、プレスが非常に良かったと思います。この調子で本大会までにもっとプレスに磨きをかけて欲しいです。

失点に関しては2失点とも、ゴール前での一対一に負けた結果です。

一点目はクローゼに宮本がフィジカルで負けてつぶされたのが原因で、これは10年・20年かけてこれからフィジカルの強い選手をつくっていかなくてはならないという、日本サッカー界全体の課題です。

また、Jリーグの審判がフィジカルコンタクトで倒れるとすぐファールを取って選手を保護するのも、日本の選手の多くがフィジカルに弱く、Jリーグチャンピオンチームがアジアチャンピオンズリーグでフィジカルの強い中国・韓国のチームになかなか勝てない原因です。

たぶんあれがギリシャ人審判じゃなく、Jリーグの審判ならクローゼのファールを取って得点を取り消していたかもしれません。

 二点目は柳沢のマークのズレが、シュバインシュタイガーの正確なヘッドを許してしまった原因となりました。 これは防げた失点だったかもしれません。

Jリーグですと選手の決定力不足のために、一・二回どフリーにしても、シュートを外してくれるかもしれませんが、決定力の高い世界レベルでは一回のマークのズレで一失点を覚悟しなくてはなりません。

普段やっているJリーグの感覚でマークしているとW杯ではやられます。

ゴール前で絶対にマークのズレを起こさない、たとえ相手に最初にボールに触られても、相手の体にこちらの体を常に密着させて、倒さないようにしながらも、相手のバランスを失わせるということを、粘り強く続けることが大切です。

 選手個人では、鋭いカウンターをみせてくれた2ゴールの高原と柳沢、自陣深くから攻撃を指揮した中村・中田英の働きが特に目に付きました。

 ドイツ戦は惜しくもドローとなりましたが、あくまでもテストマッチ。
日本代表がしっかりとした自信と悔しさをともに得ることができたのは、大きな収穫だったと思います。

日本もテストマッチでブラジルやドイツ・イタリア・イングランドといったレベルとどうにか引き分けられるぐらいにまで、やってきました。

是非、大人の駆け引きを覚えて、W杯の本番では大暴れして欲しいと思います。


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   2006.5.30 バイ・アレナ(レバークーゼン)

  ドイツ    2  -  2    日本


クローゼ '75         高原 '57
シュバインシュタイガー'80   高原 '65 

GK レーマン         GK 川口

DF ヤンセン         DF 宮本
   メルテザッカー         坪井
   メッツェルダー         中澤
  (ノボトニー 55)
                MF 三都主
MF シュバインシュタイガー     加地
   フリンクス          (駒野 39)
   バラック            中田英
   ボロブスキ           中村
  (オドンコー 63)        福西
   シュナイダー
                FW 高原
FW クローゼ           (大黒 78)
   ポドルスキ           柳沢
  (ノイビル 70)        (玉田 81)

  

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