■日本代表、ボスニアに辛くもドロー

 今年はじめて欧州組を代表に召集して行われたテストマッチ、日本対ボスニア・ヘルツェゴビナ戦が、昨日ドイツ・ドルトムントで開催され、2-2のドローという結果に終わりました。

管理人スパルタクは、対戦相手のボスニアは事実上日本より格上であり、それでも最悪引き分け、できれば日本が勝って代表がレベルアップしたというところを見せてほしいと、課題をあげておきました

 今回のボスニア代表のメンバーをみると、バイエルン・ミュンヘンでプレーする同国最高のスター、ハサン・サリハミジッチこそいませんでしたが、ベストメンバーにかなり近いもので、日本代表にとって不足の無い相手だったといえるでしょう。

 試合をふりかえると、前半は日本がやや優勢。

日本らしいショートパスの組み立てによる組織的攻撃からサイドへ開き、そこからのクロスや内に切れ込んでのシュートで、ボスニアゴールを脅かしました。

前半ロスタイム、中村選手の左CKからのボールを高原選手がドンピシャで合わせて、日本が先制しました。

 しかし、この一点で闘争心に火がついたのか、後半はボスニアが見違えるように動きがよくなりました。

前半のボスニアの攻撃もよかったのですが、後半は中盤でのショートパスの組み立てが更にスピードアップし、日本のプレスがあまりかからなくなってしまいました。

そしてサイドからゴール前にいるフリーな選手へ正確なクロスをあげられて、危ないシーンを何度もつくられました。

11分、バルトロビッチからパスをもらったバルバレスが日本のペナルティエリアに侵入、中澤選手が対応しましたが、バルバレスがシミュレーション気味に倒れ、これがPKの判定。

ミシモビッチが落ち着いて決めて同点とされます。

22分には、右サイドのフリーキックを、バルバレスにヘッドで合わされ、ボールは川口選手の前へ飛びましたが、彼がこれをはじいてしまい、飛び込んだスパヒッチにつめられて逆転されてしまいました。

 これでモチベーションががっくり落ちたのでしょうか、日本代表に元気が無くなり、ゲームをボスニア側に支配されてしまいました。

日本の攻撃がほとんど機能しなくなったのに比べ、ボスニア代表はサイド攻撃から良いチャンスをつくっていました。

日本代表では、中田英選手が一人、前線から必死にボールを奪い返そうとしているのが、印象的でした。

そしてロスタイム、右サイドからの中村のクロスにその中田英が執念のヘッド、これが決まって日本代表は土壇場で追いつき、そのまま試合終了の笛となりました。

 試合内容に関しては、攻撃がかなり良かったと思います。

中盤の組み立てもショートパスで組織的に崩していく、日本らしい攻撃ができました。 欧州王者のギリシャを破りブラジルと引き分けた、昨年のコンフェデのレベルに戻りつつあるように思います。

グラウンダーのショートパスをダイレクトでつないでボールを回していって、相手に触らせないようにすれば、たとえ相手がフィジカル的に強くても、日本の中盤は機能します。

後はこれをできるだけ長く持続できるようにするのがW杯本大会までの課題となります。

 ただ昨日の試合では、前半は選手間の距離が近くて、非常に連携がとりやすくなっていたのに対し、後半は選手間の距離が少し離れすぎて、攻撃がギクシャクしてしまいました。

これは、ボスニア代表が前半コンパクトで、疲れてきた後半に間延びしたことと関係があるように思います。

以前にも指摘しましたが、日本代表は陣形を作る場合、FWからDFの最終ラインまでの距離を一定に保つのが非常に苦手で、相手チームの陣形がコンパクトかそれとも間延びしているのかに、非常に影響されやすいです。

特に日本代表の場合、相手が間延びしていると自分たちも間延びしやすくなり、間延びする場合は、ボランチのラインとトップ下のラインの間が広くなりすぎるクセがあるようです。

過去記事

これを防ぐためには、日本代表がたとえば4-2-2-2という陣形をとっているとしたら、この四つのラインが相互に一定の距離をとるように気をつけて、FWからDFの最終ラインまでの距離をコンパクトに一定に保つということを、相手につられてやるのではなくて、常に自分たちで作り出すということが大切です。

これが出来ていれば、選手間の距離が近いために連携がとりやすくなり、ショートパスの組み立てが容易になりますし、相手のサイドやDFの最終ライン裏にスペースが空いてきて、ロングフィードも生きてきます。

また守備でも選手が連携してプレスをかけやすくなるでしょう。

 選手個人については、中村のクロスやCKが非常によかったです。 もともとキックの精度については、文句無く素晴らしかったのですが、昨日の試合ではボールの落しどころが的確でした。

今まで彼のクロスの落しどころがGKに近すぎると感じていたのですが、昨日の先制点となったCKでは、GKが取れそうで取れない絶妙な所へボールを落して、高原のドンピシャのヘッドが決まっていますし、

ロスタイムの同点ゴールの場面でも、クロスを落す場所の定石とされている”プライムターゲットエリア”内の相手DFの間に正確に落して、中田英のヘッドをアシストしました。

こういうサッカーの基本がきっちりと押さえられたプレーをみるのは本当に気持ちが良いものです。 Jリーグではなかなか見られるものではありません。

 こうしたプレーにからんでいるのは、中田英・中村・高原といった欧州組であり、やはり欧州というサッカー先進地でもまれているという”移籍効果”が表れているのだと思います。

特に中田英はセリエAからプレミアへ移籍してから、サッカーの基本に一層忠実になったような気がします。

 逆に守備は良くありませんでした。

最初の失点となったPKを与えるきっかけとなったプレーは、完全な審判のミスジャッジで気にする必要はありません。 しかし、二点目は日本のイージーなミスが原因でした。

まずバルバレスに、ほぼフリーでヘディングシュートを打たれたのが敗因の一つ目、そして二つ目はボールをはじいてしまったGK川口のミスです。

雪でボールが滑りやすかったので、川口のミスとするのはかわいそうな気もしますが、やはりGKのほぼ正面にきたボールはGKの責任としなければなりません。

この試合では、ボスニアの選手を日本のゴール前でフリーにする場面が何回も見られました。 私が日本病と呼んでいるやつです。

Jリーグでは「一回ぐらいマークがずれても大丈夫だろう」で済むのかもしれません。 実際Jリーグでは、どフリーのシュートをはずす場面を良く見かけますし、3-3とか4-4といったしまりの無い試合も多いような気がします。

しかし、W杯に出て決勝トーナメントに進出してくるようなチームの選手は、
相手がマークをずらしフリーになれたら、たった一回でもそのチャンスをゴールに結び付けてくるような、高いレベルにあります。

そういった高いレベルのチームが一点リードして守りに入ったら、それを崩すのは本当に難しいのです。

そのことを2002年W杯のトルコ戦で日本代表は嫌と言うほど味わったはずです。

バルバレスをしっかりマークして強いヘッドを打たせなければ、たとえボールが川口に飛んでも、彼がそれをはじくことは無かったでしょう。

相手の選手を日本のゴール前で絶対にフリーにせず、入ってくるクロスにはまず日本の選手が触る、それが出来ないと思ったら、ヘッドで負けても良いから相手の体にこちらの体を密着させて、相手の動きを殺すことが守備の基本中の基本です。

 また、ボスニアの速い球回しにあまりついていけませんでした。 陣形をコンパクトにしてもっともっとプレスをがんばってほしいです。

ボールを奪えなくても、プレスをかけ続けることで、相手のサイドからのクロスやロングフィードを不正確なものにすることができます。 プレスをがんばっておけば、中の守備もそれだけ楽になるのです。

 それから、これも以前指摘したことですが、やはり今のままの4バックはW杯の本番で使うのはリスクが高すぎると思います。 4バックの両サイドが守備の本職ではなく、防御力に不安があるからです。

3バックにするか、4バックの両サイドのどちらかに守備の本職をいれる(たとえば三都主-宮本-中澤-田中といった具合に)ことを検討すべきでしょう。

 チーム全体としては、メンタル面の弱さが気になりました。

ボスニアに逆転された後、日本代表のほとんどの選手の動きががっくりと落ち、がむしゃらにボールを取り返そうとしているのは中田英だけ。

一点リードされた状況で、雨の中ただ漠然とプレーしている姿は、2002年W杯・宮城スタジアムでの決勝T一回戦のトルコ戦をふと思い出してしまいました。

リードされてもすぐにボールを取り返して同点や逆転するといった闘争心がなければ、どんなに優れた戦術を与えられても、意味がありません。

それがわかっていたのは中田英だけのようでした。

ジーコジャパンはチーム内の雰囲気がファミリーのように和気あいあいとしていて良いのですが、ここ一番という所を踏ん張る、激しい闘争心を養うには、どうなのでしょう。

 今回のテストマッチは、日本・ボスニア双方ともに高いレベルのサッカーをみせてくれて、非常に有意義でした。

試合も見ごたえがありましたし、日本の課題も浮き彫りになりました。

特に、海外組をいれたフルメンバーで組織力をアップさせるための時間がもっと欲しいですし、これぐらいのレベルの試合をもっと経験したいところです。

逆にいえば、先日のフィンランド戦のように、フルメンバーがそろわずモチベーションが低い相手を日本に呼んで、ダラーっとした試合をいくらやっても、日本サッカー協会はもうかるのでしょうが、日本代表の強化にはほとんど意味が無いということです。

(ボスニア戦は、もともと組まれていたサウジアラビア戦がキャンセルになったことで実現したのですが、もしAFCとサウジ側が試合をキャンセルしなかったらと思うと、ぞっとします)

ですから、今年のキリンカップは欧州で開催することにして、四月か五月は海外組も呼んでの強化月間とするべきではないでしょうか。

四月か五月に欧州でミニ合宿&キリンカップ二試合→対ドイツ戦→テストマッチ→本番といった具合にです。

 日本代表が2006年W杯で好成績をあげられるかどうかで、今後五年・十年の日本サッカー界の発展に大きな違いが出てくると思います。

今年はワールドカップイヤーであり普段の年とは違います。
日本代表のW杯直前の準備を万全にするために、国内リーグなどが多少犠牲になるのはやむを得ないですし、それだけのリスクをおかす価値があります。

ワールドカップ直前の今、日本サッカー界の総力を結集しなくて、いつするのでしょうか。


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2006.2.28 ジグナル・イドゥナ・パルク(ドルトムント)


  日本  2   -   2  ボスニア

  高原  '44    ミシモビッチ '56 PK
中田英 '90+    スパヒッチ  '67


GK 川口     GK ハサジッチ

DF 加地     DF スパヒッチ
   宮本        ベルベロビッチ
   中澤        ムシッチ
   三都主      (フルゴビッチ 62)
             パパッチ
MF 中田英
   小笠原    MF グルイッチ
  (小野 70)    (ヤキロビッチ 82)
   中村        バイラモビッチ
   福西       (ビディッチ 87)
  (稲本 70)     ベシュリヤ
            (ブラダビッチ 76)
FW 久保        バルバレス
  (柳沢 71)    (ラスチッチ 77)
   高原
  (大黒 83)  FW ミシモビッチ
            (イブリチッチ 69)
              バルトロビッチ

  

■コメント

■ [buraziruba]

かなり詳しく分析してますね。これからもみさせてもらいます。

■burazirubaさん [スパルタク@管理人]

コメントありがとうございました。

これからもよろしくお願いします!
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