■松井のゴールで日本代表、アンゴラに辛勝

 日本代表、今年最後の総決算の試合となったアンゴラ戦は、松井選手のゴールで1-0の辛勝となりました。

まず、いつものように試合を振り返ってみましょう。

 立ちあがりは、ショートパスをつないでくるアンゴラに対して日本はロングパスで対抗しますが、ゲームの主導権はアンゴラに握られてしまいました。

しかし、5分過ぎから日本も中田英選手が基点となって、グラウンダーのパスで中盤を組み立て、一旦サイドに開いてからアーリークロスという形で何度も良いチャンスを作り出し、ゲームの流れを取り戻しました。

7分の、クロスをペナルティエリア(以後P.A.)内で高原選手が胸トラップし、続けざまにシュートしたシーンを皮切りに、

左サイドからの三都主選手の精度の高いアーリークロス、右サイドからの駒野選手のクロスや、中村選手のセットプレーからのキックが、P.A.の中にいる日本の選手にぴたりぴたりと合います。

これは日本の選手のクロスが正確だっただけではなく、アンゴラの守備選手がサイドからのクロスボールに決定的に弱く、日本の選手をマークするのではなくボールウォッチャーになってしまうといった、守備の基本が全然出来ていない事が原因でした。

しかし、中盤の組み立て・ラストパスまではまずまずうまくいって、質の高いチャンスを数多く作り出したのですが、高原・柳沢両選手が足・頭をフルに使って放ったシュートが残念ながらことごとく決まりませんでした。

前半終了間際、日本にヒヤっとする場面がありましたが防ぎきって、後半へ。

 後半に入ると、日本の気候に慣れたのかアンゴラが攻勢に出てきます。
何度か危険な形をつくられましたが、フィゲイレドを中心にアンゴラ代表のシュートの精度が低くて日本は助かりました。

これに対して日本代表はがっくり運動量が落ち、攻撃がほとんど機能しなくなります。 

 中盤にフレッシュな選手が欲しいところでしたが、ジーコ監督はやっと20分をすぎてから松井を投入、松井はがむしゃらに守備をして相手からボールを奪い返すなどしてチームを活性化、ゲームの流れを再び引き寄せて、アンゴラと五分と五分の展開に持ちこみます。

 そして試合終了間際、右サイドから中村のクロスを左サイドにいた柳沢が逆サイドにヘッドで折り返し、アンゴラの選手が完全に振られたところをノーマークになった松井がヘッドでボールをゴールに叩きこんで、これが決勝点となりました。

 まず対戦相手のアンゴラについて、今回、管理人スパルタクは初めてアンゴラのサッカースタイルを観たのですが、昨日の試合をみるかぎりにおいては、ショートパスを使った攻撃はまずまずでしたが、守備の組織力はかなり低いとみました。

FWからDFラインまでかなり間延びして、最終ラインがずるずると下がってしまうために、センターバックの前に大きなスペースを作ってしまい、

また、選手がボールウォッチャーになってしまうために、サイドからのクロスに決定的に弱いという、守備の弱点を抱えていました。

 そのアンゴラに日本はホームで勝つ実力はあるというのは昨日の試合で証明されましたが、試合のレベルそのものをみると、このままではよほどクジ運が良くない限り日本もアンゴラも来年のドイツW杯でグループリーグ突破は厳しいと思います。

 次に日本代表をチェックしますが、今年スパルタクは、日本代表の最大の問題点は「いかにその局面局面で正しいポジショニングがとれるかだ」と、ずうーっと繰り返し言ってきました。

(日本代表カテゴリーの過去ログをどうぞ。)

それは「いかに正しくスペースを使うか」と言いかえる事もできます。

その問題点は残念ながら今年中には修正されなかったようです。

 日本代表の試合内容が悪い時は、攻撃も守備もたいてい”ポジショニング”が原因だとスパルタクは思います。

ポジショニング能力の高い選手がカウンター攻撃すれば、たった2人で1点稼ぎ出すこともできますが、ポジショニング能力が低いと、2人ですむところを3人、3人ですむところを4人いなければ攻撃のパスが回らないといった事が起こります。

そして前にムダな人数をかければかけるほど、ボールを奪われた時カウンターから失点する確立が高くなるのです。

守備においてもポジショニング能力が高ければ、より少ない人数で失点を防ぐ事ができます。

ジーコ監督はこのことに気づいているのでしょうか? 気づいているのだとしたら何故修正できないのでしょうか?

 そうした問題点を含めて、まず攻撃から詳しく見ていきますが、今回のアンゴラ戦は今年最悪の内容の試合の一つだったウクライナ戦よりだいぶ良くなってきましたが、まだショートパスの組み立てがギクシャクしています。

昨日の試合は中央のMFが3人だったわけですが、中田英がボールを受けてルックアップした時、横にいるボランチの稲本選手が三歩動いて顔をのぞかせて、球を受けられるような正しいポジショニングをとってくれれば、もっとスムースにボールが回ったのですが、その三歩が動けません。

稲本に限らず日本人選手の多くは「正しいポジショニングのとり方」を今まで教わってこなかったためでしょうか、試合中に死ぬほど走り回るにもかかわらず意味の無い動きが多く、逆に大切な三歩が動けないのです。

ジェフ千葉のオシム監督が「今なぜ走らなかったのか?」と「今なぜ走ってしまったのか?」を考えさせ、正しいポジショニングを徹底的に選手に教え込んだと聞きましたが、それも納得です。

稲本が三歩動いて中田英からパスを受け、それをトップ下の中村に基本のインサイド・キックでつなぐだけで、日本の攻撃はぐっとよくなるのです。

それができていないから彼はプレミアでレギュラーポジションがなかなか取れないのでしょう。

 また、個人レベルだけでなくチーム全体でも「正しいポジショニング」や「スペースの使い方」がわかっていません。

今回の相手・アンゴラはFWからDFまで間延びしていて、最終ラインがずるずると下がるチームだったのは前に述べた通りですが、間延びしたチームの最終ラインがずるずると下がっているということは、DFラインの後ろではなく前に広いスペースがあるというのは当たり前の論理です。

逆にヨーロッパのチームのようにFWからDFまでコンパクトにして押し上げている場合は、DFラインの裏に広いスペースがあるはずです。

つまり相手によってセンターバックの前のスペース、あるいはバックの後ろのスペースの広さは違っていて一定ではないのだという事です。

 しかし日本代表選手でそれに気づいている人がいるのかいないのか、多くの場合2トップが狭くなっているDFラインの裏でボールを受ける事ばかり狙っていて、敵センターバックの前に広大なスペースが空いている局面で、そこを使って相手を崩すといったシーンは少なかったように思います。

中村も後ろに下がったりサイドに流れたりしすぎで、本来のトップ下のポジションにもっと長い時間いるべきでしょう。

センターバック-ボランチ-トップ下-センターフォワードの縦のラインはチームの背骨であり、これを長い時間崩すのはよくありません。

 中田英がボールを受けてルックアップした時に、敵センターバックの前にできている広大なスペースに、中村が走りこむ、あるいは稲本が中田英を追い越してオーバーラップして球を受ける、あるいは2トップのうち1人が下がってきて受ける、

そしてボールを受けたらターンをして相手ゴールを向き、前にいる選手・自分を追い越す選手に対してスルーパスを狙う、DFの前でフェイントしてシュートするなど、いくらでも形はつくれます。

 また、相手が間延びした事によって、こちらもつられて間延びして、ショートパスのつなぎに必要なコンパクトさを失った事もギクシャクした原因でしたし、以前にも述べたとおり、中盤で時間をかけ過ぎて1人1人のボールを持つ時間が長すぎるという問題も攻撃のリズムを失わせていたように思います。

 中央からの攻撃はあまり良くありませんでしたが、サイド攻撃は非常に良くなっていました。
特に三都主の精度の高いアーリークロスが効果的で、何度もビッグチャンスを作り出していました。

三都主は1対2とか1対3の局面でムチャなドリブル突破をして球を失うのを繰り返すよりは、相手をぬく前に精度の高いアーリークロスを多く出した方が彼の持ち味が出るとスパルタクは言ってきましたが、それが証明されたような試合だったと思います。

どうか本大会までそれを継続して欲しいと思います。

 守備については、相手の精度の低いシュートにだいぶ助けられた面もありましたが、まずまず良かったのではないでしょうか。

ただ、一点だけ問題点をあげるとするならばプレスのかけ方です。

日本のゴールに背を向けてボールを保持しているアンゴラの選手にプレスをかけるとき、ボールを奪おうとしてアンゴラの選手の正面(つまりアンゴラ・ゴール側)に周りこんだ瞬間、アンゴラの選手にボールをキープしながらターンされて、まんまと日本の選手が抜かれてしまう、というパターンが試合中何回もみられました。

 これも守備のポジショニングの基本を習ってこなかった事が原因だと思いますが、

守備の時のポジショニングは、ボールを持っている敵選手と自軍ゴールを一直線に結んで、その線上で敵選手より数メートル自軍ゴール側に立って、自軍ゴールを隠すようにするのが、基本です。

なぜなら、敵のボールを持っている選手は必ず自軍ゴールめがけてドリブルしたりシュートしたりしてくるからです。(当たり前)

 もし自軍ゴールと反対方向、つまり敵ゴールに向かってドリブルする敵選手がいても、こちらにとっては基本的に危険な存在ではありませんし、真横にドリブルする選手も、それほど危険な存在ではありません。

危険なのは敵選手が前を向いて、タテのドリブルやパスを狙う時です。だからそのようなポジションをとることが守備の基本とされるのです。

 しかしこの基本がわかっていないと、背中を向けているアンゴラ選手の向こう側にボールを取りに行った瞬間、相手にターンされて抜かれてしまい、そのまま日本のゴールへ向かってドリブルされてしまう、といった事が起こります。

日本のゴールに背を向けている敵選手は前を向いている選手ほど、危険な存在ではありません。 ですから前を向かせないように、背中側から密着マークするだけでよいのです。

 今回のアンゴラ戦も日本代表は現状維持で、新たに成長した部分を我々にみせてくれるような事はなかったように思います。

コンフェデのブラジル戦でみせてくれた、あの質の高いパフォーマンスはいつでも出せるんだというところを見せて欲しかったのですが...

 2006年W杯は、”日本代表黄金世代”の総決算ともいうべき大会になります。ここで失敗すれば、ここ5年以上の日本サッカーの努力が報われないことになってしまいます。それではあまりにも、もったいないのでは無いでしょうか。

誰かが言う「攻撃サッカーで勝つ」といった抽象的な解決策ではなくて、私はチームの組織力、いいかえれば1人1人のポジショニング能力のアップに全力をあげる事が今一番必要だと思います。

それが可能になれば、ドイツ大会の決勝トーナメントで日本が勝ちぬいていく事も不可能ではないと考えています。

 まだ本大会まで時間は残されています。
来年こそ、個の能力と高いチーム組織力が融和した、ハイレベルの日本代表を見せて欲しいと思います。

 (あれ、決定力の無さが問題じゃなかったの?という方がおられるかと思いますが、その話は次回にしましょう。)

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  2005.11.16 東京国立競技場

   日本  1 - 0 アンゴラ

 松井 90+

GK 川口能活    GK ジョアン・リカルド

DF 田中誠     DF ジャシント
  (松井大輔 66)    ジャンバ
   宮本恒靖       アレックス
   中澤佑二       デルガド

MF 三都主     MF フィゲイレド
   駒野友一      (シモン 87)
   中田英寿       ミロイ
   中村俊輔       メンドンサ
   稲本潤一      (ゼ・カランガ 79)
  (阿部勇樹 80)   
           FW アクワ
FW 高原直泰      (ロベ 62)
  (大黒将志 79)    エジソン
   柳沢敦       (サンタナ 89)
              マウリト
             (フラビオ 69)
  

■コメント

■ [nmf]

こんばんは!
トラバさせていただいたnmfです。

> 中村も後ろに下がったりサイドに流れたりしすぎで、本来のトップ下のポジションにもっと長い時間いるべきでしょう。

同感です。
日本は課題の克服がなかなか見えない試合を続けていて、本番がちょっと心配です。

■nmfさん [スパルタク@管理人]

TBありがとうございました。
のちほど逆TBさせていただきますね。

>日本は課題の克服がなかなか見えない試合を続けていて、本番がちょっと心配です。

本当ですね。
普段からレベルの高い試合を続けて、本番でもゆらぐことのない自信を選手につけさせてやるのも、監督の大切な仕事だと思うのですが...
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