■日本代表、雨のキエフで敗れる! その2

前回のつづき


 それでは次に具体的な試合内容についてみていきましょう。まずは守備です。

 守備に関しては、よく我慢してがんばっていたと思います。プレスもまずまずでした。

欲を言えば、中村・中田英両選手がもうちょっとプレスをがんばってくれると、後ろが楽になるのではないでしょうか。

 ただ、プレスをかける場合、激しくプレスするということと、汚いファールをするという事は区別しないといけないと思います。

一発退場となった中田浩選手のスライディング・タックルですが、もちろん本人に悪気はなかったでしょうが、後ろからチャージしていますし、スパイクが相手の足首に入ってしまいましたから、審判によっては、やはりレッドの確立が高くなります。

そもそも、日本のゴールから距離のあるピッチの中央で、しかもタッチライン沿いという、日本にとってそれほど危険ではないあのスペースで、激しいスライディング・タックルが必要だったのか疑問です。

特にアウェーゲームでは、「審判は地元チームに有利なようにフリーキックやPKを与える理由をさがしている」ということに気をつけなくてはなりません。

ですから、激しいプレスを止める必要はありませんが、レッドやPK判定を出す理由を与えるようなプレーは極力さける事が重要になります。

今回の後ろからのタックルもそうですし、自軍のペナルティエリア内で五分五分のボールを競る時、ホームチームの選手の肩に手を掛けたり、手で相手のユニを引っ張ったりするのも避けるべきでしょう。

特に日本の選手が手を使って相手を引っ張ったり押したりするプレーは、国際主審に非常に印象が悪いようです。

今回の試合でもPKになったプレー以外でウクライナの選手の肩に手を掛けたプレーは、ほとんどファールを取られていますし、2003年のコンフェデ・フランス大会のフランス戦で、稲本選手がPKを取られた時もフランスのブムソングに対して手を使ったことがPKの理由だったように記憶しています。

さらに2004年の親善マッチ・アウェーでのハンガリー戦で茶野選手がPKをとられたときも相手選手を手で軽く押したことが原因でした。

手を使わずにボールの奪い合いに競り勝つ技術を身につけるなり、手を使うにしても審判から見えないようにするなど工夫しないと、何度でもPKをとられます。

アウェーゲームではそういった事は要注意で、ホーム・アウェー別の戦い方を意識したり経験したりする事が少ない日本の選手は特にです。

 最後に攻撃を見ていきますが、退場者が出て一人少なくなって以降は仕方がなかったとしても、ラトビア戦と比べて効果的に相手を崩す事が出来ず、決定的なシュート・シーンがほとんどつくれませんでした。

原因は、ラトビア戦で有効だった組織的なショートパスでの組み立てがめっきり減少し、選手個人個人がボールを長時間持ちすぎ、しかもドリブル突破にこだわり過ぎで、周りのサポートすべき日本の選手たちも、ウクライナの選手2~3人に常に囲まれてプレスをかけられている、ボールを持っている味方がその局面を個人技で突破するのをただ待って、見ているだけだったからでしょう。

コンフェデ・ドイツ大会の対ブラジル戦やギリシャ戦でみせてくれた、日本代表のダイレクトのすばらしいショートパスの連続攻撃はどこへ行ってしまったのでしょうか。 あれはブラジルなど強豪国につられて出来ただけの偶然だったのでしょうか。

 今の日本代表は攻撃に関する限り、長い時間をかけてドリブルをしている一人しかサッカーをしていません。

攻撃の大切な局面で、パスコースをつくってやる第2の動き、ボールの無いところで次の展開に備えて動く第3の動きがほとんどありません。

これでは、なるべくダイレクトのショートパスで時間をかけずに組織的に攻撃するという、世界の最先端のサッカー戦術の流れとはまったく逆方向へとむかっています。

「時間は常に守備側に味方する」
というのはサッカーの基本セオリーです。

ですから現代の最新のサッカー戦術の流れは、中盤でなるべく時間をかけずに、シュート直前のプレー(ラストパスやドリブル突破、フェイントなど)とシュートそのものの二つの場面で、時間とアイデアをかけるという方向へとむかっています。

つまり、攻撃側に与えられた、限られている時間をかけるべきところは、中盤ではなく相手のペナルティエリアの中かその直前なのです。

あるいは、敵のボランチや2列目の前で時間をかけるのではなくてボランチの後ろ、つまり敵のセンターバックの前か後ろのスペースで時間をかけるべきなのです。


(特に日本の選手は敵のセンターバックの前のスペースを使うのがうまくありません。みんなバックの後ろばっかりみています)

しかしウクライナ戦の日本代表は、中盤のドリブル突破で時間をかけすぎてボールを失い、本来時間をかけるべきラストパスやシュートまで行けませんでした。

あの試合をみるかぎり、日本代表の攻撃の組織力だけで言えば、W杯出場国で最低のレベルまで下降してしまったといえるかもしれません。

だから攻めに時間がかかるばかりで、常に2~3人で組織的にプレスをかけてくるウクライナの守備をくずせず、ドリブル突破をしようとしてボールをほとんど失ってしまい、日本代表は何も出来なかったのです。

 もしかしたらラトビア戦をパスのミスで引き分けにしてしまったので、ミスを恐れてパスをするのを避けた可能性もあります。

相手にプレスをかけられて、ボランチからバック、バックからキーパーへ戻すバック・パスが”守りのパス”なら、サイドから2列目や2列目からFWへのパスは”攻めのパス”と言え、守りのパスはリスクを避けてミスをしないように慎重になるのは必要な事ですが、攻めのパスまでミスを怖がっていてはサッカーは出来ません。

攻めのパスでリスクをかけなければ、相手の守備陣を崩して得点する事は困難です。

ともかく、サッカーは個人競技ではなくてチーム・スポーツである以上、個人技だけではなくチーム全体の組織力も絶対必要です。

攻守にわたる組織力を少なくともコンフェデのギリシャ・ブラジル戦の水準まで回復させなければ、ドイツでは決勝トーナメント進出さえ非常に難しくなるでしょう。

 打開策としては、例えば紅白戦やミニ・ゲームで浮きダマのパスやドリブル突破を一切禁止にして、ショートパスだけで攻撃を組み立てるといった練習を提案したいと思います。(グラウンダーのショートパスしばり)

同時に、自分より相手ゴールに近いところにフリーな選手がいたら、自動的にパスを出すという事も約束事にしておきます。(オートマティズムの採用)

浮きダマのパスやドリブル突破を禁止すれば、その局面局面で正しいポジショニングをとって、ボールを持っている味方をフォローしなければ、攻撃が全くできませんし、

パスがミスになって通らなければ、受け手のポジショニングがミスだったと気がつきやすくなります。

この練習をくりかえしているうちに、めまぐるしく変わる局面局面で、どのようにポジショニングすればパスを受けられるのか、その瞬間で正しいボジショニングとはどこなのか、自然と体がおぼえてくるでしょう。

そしてオートマチック(自動的)にパスを回していく事で、すばやいパス回しの良いリズムが身につきます。

 以前から再三言っている事ですが、日本の選手は個人技はかなりのレベルまで来ましたが、高い組織力に欠かせない、攻守におけるポジショニング能力は世界のトップレベルまでは到達できていません。

攻めにおいては、なるべくフリーでプレーをする。

相手の足や手がとどく間合いでボールを扱うプレーは避け、局面局面でフリーのスペースをすばやくみつけてあらかじめポジショニングしてグラウンダーのパスを受けられるようにしておく、

あるいは、相手のマークをふりきるテクニックをアップさせ、ボールを受ける一瞬だけでもいいからフリーになる。

逆に守備では相手をフリーにしない。 

ボールを持つ相手選手には必ず体を寄せてプレッシャーをかけるというサッカーの基本をもう一度確認して、いつでも相手がどこであっても実戦で出来るようにしておかなければなりません。

「相手が弱いからプレスを手抜きしても大丈夫でしょ」とか、「かったるいからボールを持っている味方へのフォローをサボってしまえ」と一瞬でも考えるようなら、W杯でよい成績を残すなんて目標をかかげるのは止めたほうがよいでしょう。

 今回のウクライナ戦は、0-1で負けたことについては何も気にしてはいませんが、日本代表の攻撃の組織力がきわめて低く、攻めの形がほとんどつくれなかった事が一番に残念でした。

次の試合では、日本がブラジルと引き分けた今年のコンフェデ・ドイツ大会をよく思い出して、もう一度攻守の組織を立てなおして欲しいと思います。



2005.10.12 スタディオン・オリンピウスキー(キエフ)

    ウクライナ  1 - 0  日本

'90+ グシン(PK)


GK スタルツェフ    GK 川口    

DF ネスマチニー    DF 駒野
   ヴァシュチュク      坪井
   ヤツェンコ       (大久保 90+)
                茂庭
MF リュクン         三都主
  (ナザレンコ 46)    (村井 68)
  (グセフ 90+)    
   シェライェフ    MF 中田浩
  (ラドチェンコ 46)    中田英
   シシュチェンコ      中村
  (ロタン 46)      (松井 69)
   ティモシュチュク     稲本
  (マクシモフ 65)
   グシン       FW 高原
               (鈴木 46)
FW ヴォロベイ        柳沢
   ベリク         (箕輪 57)
  (ヴェングリンスキー 46)
  

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