FC2ブログ
■2019年11月

■日本代表、守備組織の崩壊でベネズエラに惨敗(その2)

前回の続き

 選手個々の評価ですが、この試合で特筆すべき活躍をした選手はいませんでした。

及第点の出来だったのは山口選手。屈辱的なゲーム展開の中、ロシアW杯最終予選のイラク戦を彷彿とさせるようなミドルシュートで、かろうじて一矢を報いてみせました。
しかし相手からのボール奪取やパスによる攻撃のビルドアップへの関与などボランチとしての本業についていえば、質・量の両面でまだまだ物足りないところがあります。

後半から途中出場の古橋選手は、小気味よいプレーで重苦しいムードに支配されていたチームの攻撃を活性化させました。ゴールやアシストなど目に見える爪痕を残すことはできませんでしたが、今後も継続して見てみたい選手です。

 逆に、左サイドバックに入った佐々木選手は、惜しいシュートはあったものの散々な出来。彼のおかげで負けたような試合になってしまいました。
前半8分にはベネズエラのワントップ・ロンドンとの空中戦にいとも簡単に競り負けてヘディングシュートを叩き込まれ、30分には安易に相手のボール保持者に飛び込んで抜かれてしまい、佐々木選手が上がったウラのスペースを崩されて2失点目の伏線に。33分には、またしても簡単にエレラとの空中戦に競り負け、エレラが落としたボールにロンドンが詰めてハットトリックを献上。仮にジャンプ力で劣り、相手に先にボールに触られてしまったとしても、空中で自分の体を相手にぶつけ、ボールの落下点からズラして正確なヘディングを許さないなど、やり方はいくらでもあるはずですが、そうした努力がまったく見えません。一対一の戦いにおいて、キャリアのピークを過ぎてプレミアから中国リーグへ“都落ち”となったロンドンやラ・リーガでプレーするエレラにまるで中学生のようにあしらわれてしまいました。
攻撃面でも、たとえ1人でも味方のFWがフリーならダイレクトでクロスを入れてそれがピタリと合えば得点につながるのに、無駄に切り返すことで味方のFWは動きなおさなければならず、相手にマークを修正する時間を与えてしまうことで得点チャンスを失っていました。
日本のすべてのサッカー選手を応援するのが当ブログの基本姿勢ですので、これまで「モノの言い方」には気を付けてきたつもりですが、もうはっきりと言わなければならない時期に来ました。佐々木選手のプレーは日本代表にふさわしいレベルにはありません。それは彼が初めて代表キャップを記録した試合でのプレーを見た時もそうですし、アジアカップ2019を経て今の今までずっと思ってきたことです。以前であれば「大ケガで長期間休んでいたから」というエクスキューズが許されたかもしれませんが、それもここまででしょう。
30歳という彼の年齢からすれば、これから劇的な「伸びしろ」は期待できず、長い目で見て辛抱して育てていくような選手ではありません。同じチンチンにやられるにしても、まだ20代前半の若い選手に経験を積ませた方が日本サッカー界全体にとっての利益になるでしょう。森保監督は、明らかに彼の能力を過大評価していると思います。

植田選手は、ラインコントロールやコンパクトな守備ブロックをつくるために、味方に指示を出さなければならないディフェンスリーダーの立場にありましたが、その責務を果たせませんでした。
相変わらずゾーンディフェンスに基づいたポジショニングの取り方がおかしくて、彼の左にいる畠中選手や右にいる室屋選手が相手のボール保持者に応対するためタッチライン方向へ動いても、植田選手だけはその場で動かないので畠中・室屋両選手の背後に危険なスペースを空けてしまっています。たとえ自分がマークすべき敵選手がその場で動かなくても、自分の左右にいる味方が相手のボール保持者に応対するために動いたら、自分が見ていた敵選手のマークを味方に受け渡して畠中選手や室屋選手の方向へスライドすることで、彼らが動いたことで空いたスペースを埋めなければなりません。ゾーンディフェンスに関してわからないことがあれば、吉田選手や冨安選手に質問すると良いでしょう。
またボールウオッチャーになってしまうことが多々あり、チームの2失点目でロンドンに簡単に前を取られてシュートされたのもそれが原因です。4失点目では、ソテルドのシュートを体をそらして避けてしまったことが失点につながりましたが、「相手のシュートを体を張って止めるのは痛いから嫌」ということであれば、プロのサッカー選手は諦めた方が良いです。ちょっと前まで「痛いプレーは大歓迎」と言っていたように思うのですが、あの勇ましさはどこへ行ってしまったのでしょうか。

畠中選手も、サイドにボールがある時にボールウオッチャーになってしまいがちで、チームの3失点目でエレラがヘッドで落としたボールに対し畠中選手の方が近い位置にいたのに、背後からきたロンドンに気づかずに押し込まれてしまったのは反省点です。ボールはひとりでにゴールへ飛び込むのではなく誰かがシュートすることで飛び込むわけですから、ゴール前ではまず「人をつかまえる」ことが重要です。2失点目の場面でも、ロンドンにポストプレーを簡単に許してしまったことが失点の伏線になりましたが、やはりボールウオッチャーになってしまっていたため間合いを開けすぎていて、ロンドンにタテパスが入った時に対応が遅れてしまいました。植田選手もそうなんですが前方にいる味方の足元へつけるパスもミスが多かったですね。
プレミアリーグ経験者やスペインリーグの現役プレーヤー達と対戦したことは貴重な経験になったはずですので、この失敗を決して無駄にせず次に生かして欲しいです。

川島選手は、4失点に関しては防ぐチャンスは無かったと思いますが、前半17分に相手のクロスをダイビングキャッチしたプレーですが、あれを前にこぼしてはいけません。一歩間違えれば失点につながりかねないミスでした。

柴崎選手も、対人守備や自らのパスでチームの攻撃をビルドアップしていくプレーは前回キルギス戦より少し改善されましたが、ゲームキャプテンとして十分な働きをしたとは言えません。前から積極的に相手のボール保持者にプレスをかけるのか、それともいったん自陣にリトリートしてコンパクトな守備ブロックをつくり、そこからプレスをかけなおすのか、チーム全体で意志の統一をはかることができるようにチームメイトに指示を出して欲しいですし、0-2となったあと明らかにチームがパニック状態に陥っていましたから、そういうときにこそキャプテンとしてチームメイトを勇気づけてやって欲しいです。
 プレー面では、前半38分に自陣でボールロストして相手のショートカウンターから失点する原因となったのは反省点ですし、前半21分に相手ゴール前にドリブルしたとき、次のプレーの第一選択肢はシュートではなかったでしょうか。

橋本選手は、相手のボールホルダーに対する寄せが甘く、相手の速いパス回しにプレスが後追いになってしまうなど、中盤での守備に苦戦。攻撃をビルドアップしていくときのパス出しもミスが多かったです。
普段Jリーグで対戦している相手とスペインやイタリア・ブラジルのリーグで現役でやっている選手との差を体験できたでしょうし、この経験を次に生かして欲しいです。

中島選手は攻守両面で大ブレーキ。
守備時のポジショニングが中途半端であり、サイドにいる相手のボール保持者にキッチリ詰めるでもなく、かといってボランチと同じラインまで下がり守備ブロックをコンパクトに保つでもなく、あいまいなポジショニングを取るので彼のウラにスペースが空き、そこをベネズエラに狙われたことが大量失点の原因の一つとなりました。パスコースを切りながら相手のボール保持者からボールを奪い切るつもりで本気のプレスをかけるか、さもなくば速やかに味方のボランチと同じラインまで下がり、コンパクトな守備ブロックを形成してから、改めてプレスをかけていくべきです。
 攻撃面でも、中盤の低い位置から強引なドリブルを仕掛けていっては止められというプレーを繰り返していたため、常にベネズエラが守備態勢を整えた後に攻撃をしなければならず、チームの攻撃が機能しない一つの原因となっていました。前半0-4という結果がそれを証明しています。
誤解して欲しくないのは、ドリブルをしてはいけないと言っているのではありません。どのエリアでドリブルを始めれば、チームの攻撃を機能させられるのかTPOを考えて欲しいと言っているのです。中島選手は負けず嫌いで有名だそうですが、意地になって効果的でないプレーを繰り返しても、良い結果は得られないでしょう。

原口選手も、自らのパスで攻撃のビルドアップしていくプレーやチャンスメークの面で不満の残る出来でしたし、中島選手に感化されてしまったのか、強引なドリブルで攻めに時間をかけて結局ボールロストしてしまうプレーが目につきました。

浅野&鈴木選手は、ほとんど機能せず。4-4-2の2トップは、ゴールをあげるのはもちろんのこと、中盤に下がって攻撃のビルドアップに参加したり、サイドに流れてパスを受けることでチームの攻撃に幅をつくったり、片方のFWがもう1人のFWのためにラストパスを出しゴールをお膳立てしたりと、幅広い仕事をこなさなければならないのですが、単純に相手のバックラインのウラへ走り込むぐらいで、味方からグラウンダーのパスを引き出す動きが質・量ともに全然足りませんでした。
もっとも両選手とも普段クラブで4-4-2のFWをやっているわけではありませんし、2人で2トップを組んだ経験もあまりないでしょうから、ぶっつけ本番でいきなり機能させろと言う方が酷というものでしょう。この経験を糧にして次の機会に生かして欲しいです。
 鈴木選手に関して言えば、せっかく親御さんから頂いた立派な体があるのですから、ポストプレーのやり方を覚えれば国際マッチでも通用するんじゃないかと思います。
後方から来るパスを受ける時、フリーであれば半身で受けてすぐに相手ゴール方向へ向けばよいのですが、自分のすぐ後方に敵選手がいるのであれば、相手ゴール方向へ背を向けて自分の体を使ってスクリーンすることで相手からボールを守る必要が出てきます。(つまりポストプレー)
味方からのパスがグラウンダーで、敵選手が自分に対して体を密着させてこないならば、両手を後方に出して背後に敵選手がいないか探りつつ、ボールをトラップする瞬間に自分の間合いに入られないようにハンドオフして、自分が狙ったところへボールを落とします。相手が背後から体を密着させてきた時は、両手を広げ腰をやや落としお尻を突き出して自分の体重を背後にいる敵選手に預けます。その上で自分が狙ったところへボールを落としても良いですし、相手と自分の体が密着しているところを支点にしてボールと一緒に前方へターンすれば上手く入れ替わることができます。味方からのボールを受ける瞬間、相手が後退することで自分が背後に倒れれば、上手くいけばファールをもらえます。これがポストプレーの基本です。

名前のあがらなかった選手は及第点の出来か、プレー機会が少なく評価の対象外です


    ☆       ☆       ☆
 

 森保監督の采配について、まず選手起用の面で疑問を感じました。

W杯の予選と違い、いくらでも失敗が許される貴重なテストマッチの機会ですから、選手層を厚くするためにもっと若手を積極的に起用し経験を積ませるべきでしたが、GKには川島選手、左SBに佐々木選手というベテランが起用され、若手が経験を積む貴重な機会が失われたように思います。

川島選手も佐々木選手もこれから劇的な「伸びしろ」が期待できる年齢ではありませんし、GKに中村選手、左SBにもっと若い選手を招集して起用していれば、同じ大敗を喫するにしても日本サッカー界とって「将来への投資」になったはずです。

キックオフ後の采配についても不可解のように思え、明らかに佐々木選手が守備の穴になっていたのですから、どんなに遅くても0-2となった時点で交代させて傷口がこれ以上広がらないように手を打つべきでしたが、0-4となりもはや挽回不可能な状況になるまでベンチが何も動かなかったことについて理解に苦しみます。

また中島選手の独りよがりなプレーが、チームの攻撃が機能しない大きな原因となっていたのも明白でしたが、どのエリアでドリブルをすれば効果的なのか、森保監督が明確に指導すべきです。

そうすれば中島選手もちゃんと理解してくれると信じていますが、もし監督の指導を無視するようであれば、「どんなに上手い選手でもアンタッチャブルなスターはいらない。スターはチームなんだ」ということを代表選手全員に知らしめるために、態度を改めるまで中島選手の起用を見合わせるべきです。

森保監督としては、選手が自分の頭で考えて正しい判断ができるようになって欲しいという意図から、こうした問題をあえて放置しているのかもしれませんが、選手が同じような失敗を繰り返して正解にたどり着けそうにないならば、指導するなり最低でもヒントを与えるなりしないと、「選手が自分の頭で考えて正解を導き出せば、日本サッカーは強くなる」といってドイツW杯本大会まで自由放任主義を貫いた結果、壊滅的な敗北を喫したジーコジャパンの二の舞になりかねません。


    ☆       ☆       ☆


 19日に行われたベネズエラとのテストマッチは、1-4の惨敗というあってはならない結果に終わりましたし、試合内容の方もひどかったです。

この試合の日本代表は攻守両面で組織になっておらず、モダンなパスサッカーを展開したベネズエラに組織力でも個の能力でも完敗でした。

このゲームに出場した多くの選手は、世界的に見て自分の実力がどの位置にあるのか痛感したと思いますので、これを貴重な経験にして世界に通用するプレーヤーになって欲しいです。

今月17日に行われたU-22代表のゲームからわずか2日後にこの試合があったわけですが、そのせいで森保監督は選手に組織戦術を浸透させるための十分な時間が取れず、このような惨敗を招いてしまったのでしょうか。

ベストメンバーが揃ったはずのU-22代表もコロンビアに負けてしまい、フル代表と五輪代表の監督兼任は無理だという主張が出ていますが、一番の問題はU-22代表の試合からたった2日後にA代表のテストマッチを組んだ日本サッカー協会(JFA)にあると考えます。

14日にキルギスとのW杯アジア予選をやったあと17日は練習日に当て、19日の試合はフル代表ではなくU-22代表のテストマッチにしておけば、こんなことにはならなかったはずです。

FIFAインターナショナルウインドウの期間中に、A代表と五輪代表で3試合を組めば、テレビ中継の広告収入や入場料収入で営業的に美味しいのはわかりますが、JFAにとって代表戦は看板商品のはずです。

その看板商品としてクオリティーの低い試合を粗製乱造していけば、顧客であるサポーターはいずれそっぽを向くでしょう。

JFAにとってそれが本当に利益になるのか、じっくり考えるべきです。

 最後に余談ですが、日本代表の新しいユニフォーム、実際に選手が着てプレーすれば印象が変わるのではないか、キルギス・ビシケクのスタジアムの照明が薄暗いから、日本のスタジアムの明るいカクテル光線のもとで見ればマシになるのではないかと思ったんですが、やっぱりダメでした。

背中側の水色が「日本晴れ」を表すというのはわかったんですが、単純に前側の色が美しくないんですよね。いやハッキリ言って色が汚らしいんです。ユーウツな灰色の曇り空にしか見えません。

あと、赤い色の背番号も視認性が最悪で本当に見にくいです。

ラ・リーガでピンク色のボールを導入したら、サポーターから「見にくい」とコテンパンに叩かれて、たった一節でボツになったのですが、JFAにあのユニフォームはやめようと言える勇気を持った人はいないんでしょうか。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。




■日本代表、守備組織の崩壊でベネズエラに惨敗

 今月19日、べネスエラとのテストマッチが吹田で行われ、日本は1-4で惨敗を喫しました。

今回の対戦相手ベネズエラ代表は、スペイン・ブラジル・中国リーグなどでプレーする選手たちで構成されたチームです。

日本とほぼ互角の実力の持ち主であり、日本のホームでこちらの勝利、アウェーではベネズエラの勝利が一番確率の高い試合結果であると評価していました。

この試合ではベネズエラがほぼベストメンバーだったのに対し、こちらは海外組の多くを欠いた1.6軍のようなチームでしたが、現時点においてはあのメンツが「日本の代表」だったわけですから、やはりホームでは勝たなければいけませんし、そうでなければ選手個々の成長もありません。

こちらに有利なホームゲームで3点差をつけられる大敗というのは絶対にあってはならない結果でしたし、試合内容の方も攻守両面で悪かったですね。


    ☆       ☆       ☆


 まずこの試合の“ストーリー”を振り返ってみますが、今年6月に行われたコパアメリカ2019チリ戦のデジャブみたいな試合でした。

日本代表は攻守両面で組織になっておらず、守備の組織力が低いために個での守りを強いられる展開。

コパアメリカのチリ戦ではボランチの中山選手が穴となったのですが、この試合では先発メンバーの中で個の能力が一番低い左サイドバック(SB)の佐々木選手のところが大きな穴となり、日本代表という名の“ダム”が決壊していきます。

日本の右サイドからクロスがあがると、逆サイドのゴール前にいた佐々木選手がいとも簡単にベネズエラのワントップ・ロンドンとの競り合いに負け、キックオフからわずか8分で失点。

30分には、やはり佐々木選手が安易に相手のボール保持者に食いついてしまい、佐々木選手が上がったウラのスペースをベネズエラにワンツーで崩されて0-2。

これでパニックになった日本は守備組織が完全に崩壊してしまいます。

33分には、右サイドからのクロスにまたしても佐々木選手がいとも簡単にエレラとの空中戦に競り負け、エレラが落としたボールにロンドンが詰めてハットトリック達成。

38分、自陣で柴崎選手がボールロストし、ベネズエラのショートカウンターからソテルドが決めて4失点目。

後半は日本もチーム組織を立て直し、守備の安定とともに攻撃も機能するようになり、山口選手のミドルで一矢を報いますが後が続かずゲームセット。1-4の惨敗という大変残念な結果となってしまいました。

 それでは日本代表の試合内容を守備から見ていきますが「一対一でのボールの奪い合い」という一番ベーシックな部分でファイトできていなかったり、相手のポストプレーを見ているだけで自由にやらせ放題だったりと選手個々のレベルもひどかったのですが、組織で守る部分もレベルが非常に低かったです。 

たとえば、サイドハーフ(SH)が相手のボール保持者にプレスをかけても隣接するポジションであるボランチやSBが連動していないため、相手のボール保持者は簡単にこちらのウィークサイド(日本の選手が少ない数的不利なエリア)にいる味方にボールを逃がすことができ、ベネズエラがショートパスを素早くつないでくる攻撃をしてきたこともあってほとんどプレスがかかりませんでした。

1人がプレスを掛けたら、隣接するポジションにいる味方が連動して相手のパスコースを消すようにプレスをかけ、日本のストロングサイドに相手のボール保持者を閉じ込めることができればボールを奪い返しやすくなりますし、たとえ奪い返せなくても相手の攻撃を遅らせることができます。

仮に4~5秒プレスをかけてもボールを奪い返せないのであれば、いったん自陣にリトリートしてコンパクトな守備ブロックをつくり、自分たちが守るべきスペースを限定してから、改めて相手のボール保持者にプレスをかけていくべきなんですが、このチームはゾーンディフェンスによる守備ブロックのつくり方がおかしくて、相手のボール保持者がサイドにいるとき、SHやSBがプレスをかけてもボランチやセンターバック(CB)がボール方向へスライドしないために、守備ブロックが横に間延びしてしまっています。

間延びしているのは縦に関しても同様であり、特に左SHの中島選手のプレスのかけ方が中途半端で、相手のボール保持者にキッチリ詰めるでもなく、かといってボランチと同じラインまで下がり守備ブロックをコンパクトに保つでもなく、あいまいなポジショニングをするので中島選手のウラにスペースが空き、ベネズエラにそこを使われると個の能力が低い佐々木選手一枚では守り切れずに次々と失点を重ねていきました。

ここでコンパクトな守備ブロックによるゾーンディフェンスのやり方をおさらいしておきます。

守備ブロックの横幅はペナルティエリアのそれと同じ距離で、そこに4人の選手が等間隔で並び、サイドに相手のボール保持者がいる場合は、それを保ったまま横へスライドします。

そして相手のボール保持者が自分が守るべきゾーンに入ってきたら(下図で言えば右SHのところ)プレスをかけます。隣接する右ボランチは相手のボール保持者が右SHを抜いて赤線の方へ進むことに備え、少し寄せてカバリングのポジションを取ります。

ゾーンディフェンス

相手のボール保持者はパスを前方へ出せないためピッチ中央方向へバックパスをしました。(下図)今度は右ボランチが守るべきゾーンに相手のボール保持者がいるため、右ボランチがプレスをかけます。右ボランチが相手に抜かれることに備え、右SHと左ボランチが少し寄せてカバリングのポジションを取るのは一つ前の図と同様。

ゾーンディフェンス2

相手のボール保持者は逆方向へのサイドチェンジパスを選択しました。ボールが空中を移動している間に、コンパクトな守備陣形を保ったままブロック全体を逆サイドへスライドさせます。

ゾーンディフェンス3

説明の便宜上省略していますが、もちろんFWも相手のパスコースを切りながらプレスをかける味方と挟み込むようにして相手からボールを奪い返すために連動したプレーが必要です。

後半、中島選手をトップ下に、原口選手を左SH、古橋選手を右SHに入れてからコンパクトな守備ブロックがつくれるようになり、それに伴って守備が安定していきましたが、前半のキックオフからそれができるようにしなければいけません。

W杯アジア二次予選のタジキスタン戦キルギス戦のエントリーでも再三指摘している通り、間延びした陣形のまま連動性の低いプレスをかけ、危なっかしい1対1のバトルをひたすら繰り返していくというのは、海外組を揃えたベストメンバーの森保ジャパンでも見られます。

それでもやられなかったのは、タジキスタンやキルギスが個でも組織でもサッカーのレベルが低かったからであって、ベネズエラのようにW杯で対戦するようなレベルの相手は見逃してくれません。

森保ジャパンは、プレスのかけ方や守備ブロックのつくり方など組織的な守備の約束事をただちに見直すべきなんですが、本来であれば監督からあれこれ言われなくても、こうしたゾーンディフェンスの組織戦術はユース年代を卒業するまでにはすべての日本人選手がマスターしておくべきで、Jリーグ各クラブの育成組織の奮起に期待します。

 攻撃に関しても、組織力が低くてベネズエラの守備をなかなか崩せませんでした。

この試合の日本代表はいつもとは違い、浅野・鈴木両選手が2トップを務める4-4-2でしたが、これは攻撃面では能力が高い2人のFWを生かしたいときに使うフォーメーションです。

裏を返して言えば、2トップには多くの役割が課されるのであって、ゴールをあげるのはもちろんのこと、中盤に下がって攻撃のビルドアップに参加したり、サイドに流れてボールを受けることでチームの攻撃に幅をつくったり、片方のFWがもう1人のFWのためにラストパスを出しゴールをアシストしたりと、幅広い仕事をこなさなければこのシステムは機能しません。

日本の4-4-2に対してベネズエラは4-1-4-1で来ましたが、相手とのマッチアップに関して言えば、相手のアンカーの両脇にスペースがあり、そこにいるこちらのSH2人が数的優位になっているのと、こちらの2トップに対して相手は4バックで見るわけですから、ベネズエラのSBは味方のアンカーによるサポートがなければ対面にいる日本のSHに加えサイドに流れてきたFWの両方を見なければならないので、こちらとしてはFWとSHとSBが上手く連携してサイドで数的優位をつくりながらパスをつなぎ、ベネズエラの守備を崩してゴールをあげたいところでした。

ところが日本の2トップは単純にウラへの走り込みを繰り返すぐらいで、味方からグラウンダーのパスを引き出す動きが質・量ともに全然足りません。

中島・原口の両SHも、主にピッチ中央方向へ強引なドリブルをし、時間がかかる攻撃を繰り返しては複数の相手に囲まれてボールをロストしていました。

逆に、日本がやりたい攻撃をベネズエラにやられてしまいました。

ベネズエラの3点目が典型的なんですが、各選手がボールを持つ時間を極力短くし、ボール保持者を周囲の味方が適切にサポートしていくつものパスコースをつくりグラウンダーのパスをテンポよくつないでいき、日本のMF陣がつくる守備ブロックのフィルターをできるかぎり短時間で通過して、アタッキングサードで良い形をつくり相手を仕留める。

森保ジャパンの攻撃は、一昔前の南米サッカーのように中盤でドリブルを多用することで多くの時間をかけているうちに相手はすっかり守備組織を整えてしまい、ボール保持者をサポートすべき周囲の味方もグラウンダーのパスを受けられるポジショニングが取れないのでパスコースがなく、ボール保持者は相手が2~3人待ち構えているところへ強引にドリブルで突っ込むか、苦しまぎれに浮き球のアバウトなパスを出すものの味方に通らずボールロストを繰り返すだけになってしまっています。

森保ジャパンは、ベネズエラのモダン(現代的)なパスサッカーに完敗でした。

もっとも浅野・鈴木の両選手は普段クラブで4-4-2のFWをやっているわけではないので、ぶっつけ本番でいきなり未経験のシステムを機能させろと言う方が無理というものであり、新しいシステムに慣れるための時間をあげる必要があります。

しかし中島選手が低い位置から強引なドリブルを始め、時間がかかるばかりでゴールに結びつかない、まったく効果的ではないプレーをタジキスタン戦あたりからずっと繰り返しているので、ドリブルという武器をどのエリアで使い、どのエリアでは使ってはいけないのか、森保監督が中島選手に明確に指導をするべきです。

選手個々の評価は次回とします。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



■日本代表、キルギスに「帳尻合わせ」の勝利(その2)

前回の続き

 選手個々で特筆すべき活躍だったのはまず権田選手。前半31分にペナルティエリア内の至近距離から打たれたシュートをブロックしたのを始めとしてファインセーブ連発でした。もしキルギスに先制点をやっていたらこの試合の結果はまったく違ったものになっていた可能性があります。両チームのGKの能力差で勝たせてもらったような試合であり、当研究所が選ぶマンオブザマッチ。
プロのGKを目指している日本の子供たちも、チームを勝たせるのはゴールをあげるFWや10番だけではないということを良く見て欲しいですね。

南野選手は、遠藤選手のパスが伊東選手にうまくつながらずにゴールライン方向へ流れたものの、あきらめずに最後まで走り切り、パニくったキルギスのGKが不用意にダイブしてきたところで倒されてやるというマリーシアでPKをゲット。それを自ら冷静に決めて見せ、苦戦するチームを助けました。シュートはゴールやや右上に決まりましたが、たとえGKの読みが当たってもセーブしづらいコースであり、自分のキックの正確性に対する強い自信もうかがえます。
 ただ前半13分・18分の決定機のどちらかで最低でもあと1ゴールは記録できたように思いますし、中盤における攻撃のビルドアップ時につなぎ役としてもう少し貢献できればチーム全体のシュートチャンスが増え、結果として自分自身を助けることにもなります。

原口選手は、相手GKに経験不足のところがあったものの、ゴール前でのFKを直接決めてチーム2点目をゲット。
 ただ左サイドハーフとして自らのパスでチームの攻撃をビルドアップしたりアシストをしたりといった面ではもっとやれるはずです。
自らの後ろのスペースを相手右ウイングバック(WB)のマイヤーに使われ、長友選手が彼との一対一でやや苦しめられていましたが、プレスバックして長友選手と相手の右WBを挟み込むとか、ボランチの横まで戻ってコンパクトなブロックをつくり、そもそもスペースを与えないなど、守備面でも改善すべき点はあります。

酒井選手は、アシストこそつかなかったものの、タイミングの良い上がりから何度かダイレクトクロスをあげて攻撃の形をつくりましたし、フィジカルコンタクトに強い相手との一対一でも優勢で守備でも安定していました。

 逆に植田選手は相変わらずゾーンディフェンスの基本ができておらず、相手のボール保持者の位置などお構いなしに、一目散にゴールエリアの直前に戻ってきてしまう悪いクセがなかなか修正されません。(下図は過去記事の使いまわしですが、この状況がペナルティエリア内で起こっていると考えてください。右センターバックが植田選手です)

スカスカ

前半31分にペナルティエリア内で至近距離からシュートを打たれて大ピンチを招いた場面で、植田選手がボール保持者と応対している遠藤選手のナナメ後方かつ5mぐらいの適切な距離でカバリングのポジションが取れていれば、たとえ遠藤選手が抜かれてもキルギスの選手のクロスをブロックすることができていたかもしれませんし、もしそれができればそもそもあのシュートはありませんでした。失点につながりかねない戦術理解上の重大なミスであり、二度とこういうことが起こらないように速やかに修正をお願いしたいです。

3-3-3-1のフォーメーションできたキルギスは、右WBのマイヤーへのサイドチェンジパスを多用してきましたが、彼に応対した長友選手が一発で抜かれてしまうなどやや苦しめられました。
攻撃面でも上手く封じ込められてしまい、味方からのパスをトラップし損なって相手のスローインにしてしまうイージーなミスもあり、思うようなプレーをほとんどさせてもらえませんでした。

遠藤選手は、攻撃面で何本か良いパスがありましたが、守備ではフィジカルコンタクトで苦戦し、体を入れ換えられて抜かれたり、相手のスピードについていけず振り切られるなど、実戦から長いこと遠ざかり、試合勘を失っているように見えました。クラブで出場機会を増やすことが急務です。

キルギスは3人いる2列目が日本のダブルボランチをしっかりマークすることで攻撃をビルドアップできないように対策を打ってきましたが、遠藤選手はもちろん柴崎選手もそれに上手く対処できず、攻撃の選手になかなか良い形でボールを供給できませんでした。相手のマークをはがしてフリーになりパスを受け、2列目の味方に確実にパスをつなぐというボランチに欠かせない仕事が量・質ともに不足しています。
守備面でも相手ボール保持者への寄せが甘くなりがちで、前半23分の相手セットプレーでは、自軍ゴール前でこぼれ球を拾った相手選手の前に素早く立ちはだかりシュートコースを消すといった行動もせずボールウオッチャーに終始するなど、危険に対する予測も充分ではありません。
こういった課題を解消していかないとクラブでも出場時間がなかなか伸びていかないのではないでしょうか。

伊東選手は右SHで起用されましたが、ほとんど機能していませんでした。最近、堂安選手が壁にブチ当たってもがいているため、伊東選手にチャンスを与えることについては賛成ですが、起用するなら素晴らしい出来だった先月のモンゴル戦から継続して使ってあげるべきであり、モンゴル戦の次の試合で先発から外し1ヵ月の「冷却期間」を置いてしまったため、直近の「旬」は過ぎてしまったようでした。サッカー選手は「生もの」であり、起用するタイミングは極めて重要だと思います。

永井選手もワントップで起用されましたがやはり機能せず。そもそも彼の頭めがけてロングボールを蹴ってどうにかしてくれというのは、彼本来のプレーの持ち味とは思えず、そのポジションに起用した選手とやりたいサッカーの戦術がミスマッチを起こしているのではないでしょうか。

山口選手は、チームが試合の流れを失った後半33分に守備の立て直しとして投入されましたが、フィジカルコンタクトに強いキルギスの選手に押され気味で、不用意なボールロストもあり、チームが流れを取り戻すまでには至らずでした。

中島選手も同じく後半33分に試合の流れを失ったチームの攻撃面でのテコ入れとして投入されましたが、自陣内深くからドリブルで相手2人が待ち構えているところへ突っ込んでいってボールロストするなど、チームにとって有益ではないプレーがこの試合でも見られました。ミャンマー戦でのカットインドリブルからのスーパーゴールが強烈な成功体験として彼の脳裏に焼き付き、その再現を狙いたいのは良くわかるのですが、ピッチのどのエリアからドリブルをスタートすれば、その破壊力をいかんなく発揮することができるのか自らのプレーをもう一度分析し直すべきです。

名前のあがらなかった選手は及第点の出来か、プレー機会が少なく評価の対象外ですが、吉田選手、代表100キャップおめでとうございます。



    ☆       ☆       ☆
 

森保監督の采配面では、後半15分ぐらいからチームが攻守両面で徐々に主導権を失っていったのですが、策が功を奏したとは言い難いものの、実戦から遠ざかっていて守備で劣勢だったボランチの遠藤選手と、右SHとしてほとんど機能していなかった伊東選手を交代させて、試合の流れを取り戻そうとした采配は支持できます。

ただし、どんなに遅くとも後半25分には交代を完了させておくべきで、いささか遅かったように思います。

第四審判が交代選手の番号を示すためのボードを間違えるというトラブルがあったのは同情できますが、やはり後半33分での投入は遅すぎました。


    ☆       ☆       ☆


 W杯アジア二次予選、日本代表にとって今年最後の試合となったキルギスとのゲームでしたが、アウェーで2-0の勝利という結果は非常に良かったのですが、試合内容に関しては課題が次々と出たように思います。

攻撃面では特定の選手がいなくなると、チームとしてボールをキープして(決して個人がボールを長い時間持ってという意味ではありません)アタッキングサードまで運んでいく、攻撃のビルドアップ能力がガクンと落ちてしまうという問題は、今年1月のアジアカップ2019からほとんど改善されていません。

その原因は、ダイレクトパスを出すことそれ自体が最終目的になってしまい、受け手がパスを受ける準備ができていようがいまいがお構いなしにタテに速いボールをいれてしまうことにもあるのですが、パスを受けて決定機を作り出し得点をあげる「使われる選手」が多すぎて、彼らにボールを供給する役割を担う「使う選手」が不足しているというチーム全体のシステムの問題も大きいように思います。

W杯本大会に近づくにつれて対戦相手のレベルが上がっていくと、チームのシステムや各ポジションどうしの連携面でのほころびを相手が見逃してくれなくなって、それが目に見える試合結果につながりかねません。

将棋では、攻撃にも守備にも関与できていない駒を「遊び駒」と言い、盤上で遊び駒を多くつくればつくるほど勝利から遠ざかってしまいます。

サッカーで「遊び駒」に相当するのは「機能していない選手」であり、ピッチ上にそういう選手が多ければ多いほど、試合に勝つのは困難になります。

そうした意味でもこのアジア二次予選中に、誰をどのポジションで起用して一つのチームとして機能させ、どういうシステムで相手からゴールを奪い、どういうシステムで失点を防ぐのか、チーム組織の土台をしっかりと固めておく必要があります。

もちろんそれはメンバーを固定しろという意味ではありません。「継続性」と「新しいことへのチャレンジ」とのバランスを取りながら、誰がどのポジションでプレーしても攻守両面で狙ったようなサッカーができるようにするということです。



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



■日本代表、キルギスに「帳尻合わせ」の勝利(その1)

 昨日、カタールW杯アジア二次予選を戦っている日本代表の第四戦、キルギスとの試合がアウェーのビシケクで行われ、日本が2-0で勝利しました。

今回の対戦相手キルギス代表は、国内でプレーする選手を中心に、ドイツ四部やベラルーシ・マレーシアでやっている海外組をあわせたチームです。その戦力はホームでもアウェーでも日本が勝利できるレベルと見ていましたが、アウェーで複数ゴールをあげての勝利という結果はとても良かったですね。

しかし、スコアが試合内容を反映しておらず、攻守にわたって日本のプレー内容は良くありませんでした。

再現性のある攻撃の形がなかなかつくれず、守備でもかなり危険なシュートシーンを相手につくられてしまいました。

プレー内容が悪いなりに上手くPKをもらったりセットプレーから得点することで、試合結果だけ何とか「帳尻を合わせた」形にはなりましたが、三次予選以降、対戦相手のレベルが上がっていくに従い、こういう中身に乏しいサッカーは通用しなくなり、望むような結果を出すことが難しくなります。



    ☆       ☆       ☆



 それでは試合内容を分析していきます。

ピッチ状態があまり良くないこともあったのかもしれませんが、日本は浮き球のロングボールを普段より多めに使った攻撃を仕掛けていきましたが、これがまったくといって良いほど機能せず。

ワントップの永井選手の頭めがけてロングを蹴っても、相手DFに競り勝って意図したところへボールを落とすことができず、それどころかバックが始めから誰も味方がいないところへロングを蹴ってしまったりして、パスが2本以上なかなかつながってくれませんでした。

グラウンダーのパスを出す場合も、味方がパスを受けられるポジショニングにいないのであれば、相手選手の死角から出てパスを受けられるポジションに移動するまでパスの出し手がボールをキープして一瞬タメをつくり、味方がパスを受ける準備が整ったのを確認してから出せば問題無くつながると思うのですが、味方がパスを受ける準備ができていようがいまいが状況を見ずに、出し手がほぼ自動的にダイレクトでパスを出してしまうため、パスがなかなか2本以上つながりません。

森保監督から「ダイレクトパスを使え」という指示が出ていたのかもしれませんし、永井選手や伊東選手など前線に足の速いプレーヤーがそろっていましたから、彼らのストロングポイントを生かしたいという気持ちは良くわかるのですが、つながらなければ、相手の守備陣形が整う前にパスを出しても意味がありません。

そこは日本の各選手がピッチ内の状況をよく見て、自分の頭で適切な判断をして欲しいですし、「ダイレクトパスを出すこと」それ自体が最終目的になってはいけません。

あくまでも最終目的は「ゴール」であり、ダイレクトパスはその目的を達成するための手段の一つにすぎません。

 再現性のある攻撃の形がなかなかつくれなかったもう一つの原因は、チーム全体のシステムにもあると思います。

この試合は、これまで左サイドハーフ(SH)のレギュラーだった中島選手に代わって原口選手が先発したのですが、中島選手が欠けてしまうと、攻撃時にチームとしてボールをキープして相手ゴール前まで運ぶという能力がガクンと落ちてしまうというのは、今年1月に行われたアジアカップ2019で何度も露呈した問題です。

ザックジャパンには本田選手という絶対的な司令塔がおり、ボランチには抜群の技術に裏打ちされたキープ力を誇るヤット選手もいました。

西野ジャパンには、トップ下に香川選手・左SHにはボールキープ力のある乾選手がいて、彼らが中心となって攻撃を組み立てていたわけです。

原口選手はどちらかというと「使われる選手」だと思いますし、南野選手はトップ下といっても七割がたフィニッシャーで、自らのキープ力やパスでチームの攻撃を組み立てていくようなタイプではありません。

そうした意味では、守備力があまり高くないところに目をつぶっても起用されているわけですから、ボランチの柴崎選手にはもっともっとやってもらわなければならないのですが、チームとしてボールをキープし相手ゴール前まで運ぶ「攻撃のビルドアップ」の局面における貢献度が、質・量ともに充分ではありません。

この試合の先発メンバーだと、味方からパスをもらって決定機をつくりゴールをあげる「使われる選手」の割合が多すぎて、チームとしてボールをキープしつつアタッキングサードまで運び、彼らにボールを供給する「使う選手」が圧倒的に不足しているように思われます。

いくら能力の高いフィニッシャーを前線に並べていても、彼らにボールが供給されなければ無意味です。

この試合でなかなか良い攻撃の形がつくれなかった最大の理由はこれではないでしょうか。

現状そうした選手が不足しているのであれば、板倉選手でも誰でも良いですから、強いフィジカル能力や高い技術力でボールをキープしてチームの攻撃を組み立てる能力を秘めていると思われる若手選手を何人かピックアップし、2~3年先の将来のことを見越して今から実戦でチャンスを与え育てていくことが非常に重要です。

現代サッカーではマルチロールをこなせる選手が重宝されますが、それぞれのポジションを任される選手にはベースとなる役割というものがありますし、誰がアタッキングサードにいる味方へボールを供給し、誰が決定機を作り出してゴールをあげるのか、そうした役割分担=システムがちゃんと機能するように、監督さんがしっかりと考えていかないといけません。

中島選手がこの試合で先発から外された理由は、この記事を書いている時点で管理人は把握しておりませんが、前回タジキスタン戦では途中交代させられたり、モンゴル戦では試合中にトップ下へポジションを移されるなど、森保監督は最近の中島選手のパフォーマンスに満足していなかったのかもしれません。

あるいは日本が入ったアジア二次予選グループFにおいて最強のライバルとの対戦、しかもアウェー戦ということで、守備力がより高い原口選手を入れることで、守備に重きを置いたカウンターサッカーで相手を仕留めようという森保監督のゲームプランだったのかもしれません。

私は、自らのストロングポイントを放棄して相手の良さを消すサッカーをしなければならないレベルの相手はこのグループにいないという認識ですので、前者を前提として述べていきますが、ここ数試合中島選手が機能していないように見えるのは、彼のパフォーマンスが落ちてきているというよりも、次にどういうプレーを選択するかの判断が適切でないことが最大の理由だと思います。

ミャンマーとのアジア二次予選初戦で、カットインドリブルからあまりにも見事なゴールを決めたため、中島選手がドリブルを始めると1対1を徹底的に避け、2人3人と密集して取り囲む対策を各国が取り始めました。

中島選手自身も、あのゴラッソの再現を狙っているのだと思いますが、低い位置からドリブルを開始して、相手が2人3人と密集しているところへわざわざドリブルで突っかけていってはロストするということを繰り返しています。

ミャンマー戦のシーンを良く見て欲しいのですが、堂安選手が相手陣内でボールを奪い返した後、バイタルエリア左スミにいた中島選手にパスが渡り、ミャンマーの右サイドバックとの一対一から、ハーフスペースまでカットインドリブルをしていき、あのゴールが決まったわけです。

以前の記事でもちょっと触れましたが、中島選手のドリブルの破壊力を最大化するためには、ミャンマー戦のようにいかに高い位置から彼のドリブルをスタートさせるかが重要であり、そのためには、バイタルエリアにいる中島選手の足元へ高い精度でパスをつけられる選手をボランチあるいはトップ下に置くことが欠かせません。

中島選手自身も中盤での攻撃の組み立てに参加するときは、低い位置からドリブルをスタートして相手の2列目やボランチの選手を抜こうとするのではなくシンプルに味方にボールを預け、自分はバイタルエリアにあがってフリーでパスを受けることができるポジションを取ることが極めて重要です。

中島選手にどの位置からドリブルをスタートさせるか、彼のドリブルの破壊力を最大化するためにどういうフォーメーションにし、中島選手にボールを供給する選手をどのポジションに置くか、それは森保監督が構築するシステム次第ですし、監督が構築するシステムがしっかりしていなければ、中島選手を含めチーム全体も攻守にわたって機能しなくなってしまいます。

ロシアW杯では攻守両面で組織的に、いま流行りの言葉で言えば「ONE TEAM」となって戦ったことが日本のストロングポイントとなり、大会前には予想だにしなかった決勝トーナメント進出という結果を出すことができたわけですが、各ポジション同士が有機的に連携してチームを一つの組織として上手く機能させるという部分で、森保ジャパンは課題があるように思います。

 守備面でもフィジカルコンタクトを中心に、相手との1対1でやや手こずったように見えましたし、攻から守へのトランジションが起こったときに相手のボールホルダーへの寄せが遅くなりがちで、精度の高いサイドチェンジパスを出されたり、相手のカウンターからフィニッシュまで行かれてしまったり、ゴール前でのポストプレーから狙い通りのところへボールを落とされて危険なシュートを打たれたりと、課題が多く出たように思います。

相手のシュート技術の低さに助けられて大事には至りませんでしたが、レベルの高い相手なら決められてもおかしくない場面がありましたので、速やかに修正して欲しいです。

キルギスは3-3-3-1で、相手の右ウイングバックとこちらの左SB(長友選手)が1対1になる場面が多く、そこから多くのチャンスをつくられてしまいましたが、間延びした陣形でひたすら1対1のバトルを繰り返していくのではなく、両サイドハーフがボランチのラインまで戻ってきてコンパクトな4-4の守備ブロックをつくって守るべきところは守るということも必要です。

前半31分には、ペナルティエリア内で至近距離からシュートを打たれて大ピンチを招いた場面ですが、吉田選手は正しいポジショニングが取れているのに、植田選手が彼のすぐそば1mという意味のない場所にいるため、相手のボール保持者に応対している遠藤選手の背後に広大なスペースを空けてしまっています。

結局、タテにボールを持ち出した相手に遠藤選手が抜かれてしまいますが、植田選手がいるところが遠すぎるため、クロスを選択したボール保持者にもシュートを打った相手にも全く対応できていません。

植田選手がボール保持者と応対している遠藤選手の後方5mぐらいのところでカバリングのポジションが取れていれば、キルギスの選手のクロスをブロックすることができていたかもしれませんし、もしそれができればあのシュートもありませんでした。

「無くて七癖」ということわざがありますが、相手のボール保持者の位置に関係なく一目散にゴール前に戻ってきてしまうという植田選手の悪いクセは本当に直りませんね。

もしあのキルギスのシュートが決まっていたら、この試合の結果がまったく違ったものになっていた可能性があります。

選手個々の評価は次回にしましょう。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。

■今月の日本代表メンバー発表!

 今月14日に行われるW杯アジア二次予選、キルギスとのアウェーゲームに臨む日本代表メンバーと、19日に吹田で行われるベネズエラとのテストマッチに臨む代表メンバーがそれぞれ発表されました。


W杯アジア二次予選メンバー

GK
  権田 修一 (ポルティモネンセ:ポルトガル)
  川島 永嗣 (ストラスブール:フランス)
 シュミット・ダニエル(シントトロイデン:ベルギー)

DF
  吉田 麻也 (サウサンプトン:イングランド)
  植田 直通 (サークル・ブルッヘ:ベルギー)
  酒井 宏樹 (マルセイユ:フランス)
  長友 佑都 (ガラタサライ:トルコ)
  安西 幸輝 (ポルティモネンセ:ポルトガル)
  畠中 槙之輔(横浜M)
  室屋  成 (F東京)
  佐々木 翔 (広島)

MF
  南野 拓実 (ザルツブルク:オーストリア)
  中島 翔哉 (ポルト:ポルトガル)
  伊東 純也 (ヘンク:ベルギー)
  柴崎  岳 (ラ・コルーニャ:スペイン)
  橋本 拳人 (F東京)
  浅野 拓磨 (パルチザン・ベオグラード:セルビア)
  鎌田 大地 (フランクフルト:ドイツ)
  原口 元気 (ハノーファー:ドイツ)
  遠藤  航 (シュツットガルト:ドイツ)
  山口  蛍 (神戸)

FW
  永井 謙佑 (F東京)
  鈴木 武蔵 (札幌)



ベネズエラとのテストマッチ・メンバー

GK
  権田 修一 (ポルティモネンセ:ポルトガル)
  川島 永嗣 (ストラスブール:フランス)
  中村 航輔 (柏)

DF
  植田 直通 (サークル・ブルッヘ:ベルギー)
  畠中 槙之輔(横浜M)
  室屋  成 (F東京)
  三浦 弦太 (G大阪)
  佐々木 翔 (広島)
  車屋 紳太郎(川崎)
  進藤 亮佑 (札幌)
  荒木 隼人 (広島)

MF
  中島 翔哉 (ポルト:ポルトガル)
  柴崎  岳 (ラ・コルーニャ:スペイン)
  橋本 拳人 (F東京)
  浅野 拓磨 (パルチザン・ベオグラード:セルビア)
  原口 元気 (ハノーファー:ドイツ)
  井手口 陽介(G大阪)
  山口  蛍 (神戸)
  大島 僚太 (川崎)
  古橋 亨梧 (神戸)

FW
  永井 謙佑 (F東京)
  鈴木 武蔵 (札幌)
  オナイウ阿道(大分)



A代表発表の前日に、今月17日に広島で行われるU-22コロンビア代表とのテストマッチに招集されたU-22日本代表メンバーも発表されています。それもまとめて見ておきましょう。



U-22日本代表メンバー


GK
  大迫 敬介 (広島)
  谷  晃生 (G大阪)

DF
  板倉  滉 (フローニンゲン:オランダ)
  立田 悠悟 (清水)
  原  輝樹 (鳥栖)
  岩田 智輝 (大分)
  町田 浩樹 (鹿島)
  渡辺  剛 (F東京)

MF
  堂安  律 (PSV:オランダ)
  三好 康児 (アントワープ:ベルギー)
  久保 建英 (マジョルカ:スペイン)
  菅原 由勢 (AZ:オランダ)
  食野 亮太郎(ハート・オブ・ミドロシアン:スコットランド)
  中山 雄太 (ズヴォレ:オランダ)
  遠藤 渓太 (横浜M)
  菅  大輝 (札幌)
  田中  碧 (川崎)
  橋岡 大樹 (浦和)
  田中 駿汰 (大阪体育大学)

FW
  前田 大然 (マリティモ:ポルトガル)
  上田 綺世 (鹿島)
  小川 航基 (水戸)

 

 まずキルギスとのW杯アジア二次予選に呼ばれたメンバーを見てみますと、先月の試合でハムストリングスをやってしまった冨安選手は招集が見送られ、ブレーメンの大迫選手もケガから復帰したばかりという事情が考慮されたようで今回は呼ばれていません。

また堂安・久保・板倉らA代表の常連となっていた若手選手も呼ばれませんでしたがそのカラクリは、W杯アジア二次予選のわずか3日後に予定されているU-22代表のテストマッチとの掛け持ちは無理と森保監督が判断し、後者の試合に専念させるためのようです。

堂安・久保・板倉の各選手には、地球のほぼ裏側からやってくる相手とのテストマッチよりW杯予選という公式戦での真剣勝負を経験させた方が良いのではないかと個人的には考えますが、森保さんとしては2020年東京オリンピックから逆算し、このあたりで一度U-22のベストメンバーを集めてやっておきたいということなのでしょう。

来月にもU-22代表のテストマッチが予定されていますが、海外クラブでプレーする選手の拘束権がある“FIFAインターナショナル・ウィンドウ”ではないため、フルメンバーを組める今月中にどうしてもやっておきたいということなのだと思います。

 続いてベネズエラとのテストマッチに招集されたメンバーですが、キルギス戦が終わったらベテラン勢を中心に海外組の多くの選手をクラブへ帰し、その分Jリーグ各クラブから多めに選手が呼ばれています。

神戸の古橋選手や大分のオナイウ選手を代表でも見たかったというサポーターは多いのではないでしょうか。私も国際試合でどれくらい通用するか注目しています。

今回呼ばれた選手の多くは、森保監督が考える代表候補のラージグループのうち当落線上にあると思われ、これまでの序列を覆して代表に入るためにもベネズエラとのテストマッチは目の色を変えて頑張って欲しいです。

海外組のうち、柴崎選手や中島選手のようにクラブであまり出場機会に恵まれていないプレーヤーも引き続き帯同しますが、代表戦で良いプレーを見せることができればそれが報道を通じてクラブ首脳陣の目に留まり、クラブの試合でチャンスが与えられるケースもありますので、やはり頑張って欲しいです。

 キルギスはW杯アジア二次予選グループFのうち、日本にとって一番手ごわいライバルと当研究所は警戒しており、ビシケクで戦うアウェー戦はアジア二次予選の山場と見ています。

相手の戦力を分析すれば勝ち点3を取らなければならない試合であり、結果はもちろん将来の成長につながる良い内容のゲームを期待します。

 最後に余談ですが、日本代表の新しいユニフォームが本日発表されました。あえて画像へのリンクは貼りません。「代表にしろクラブにしろチームカラーを大事に」という記事を書いたばかりなんですがね。

個人的な感想ですが、今回ばかりはどう逆立ちしても擁護できないです。デザイン的に最悪だと思います。

コンセプトは「日本晴れ」だそうですが、ふつう「日本晴れ」というのは雲一つない快晴、スカイブルー一色の空のことを指しますよね。どうしてあのようにグチャグチャといろんな色が混じった、まだら模様が「日本晴れ」なのか、とうてい理解不能です。

無理にコンセプトなどというものにこだわるからネタが尽きて迷走していくのであって、今からでも遅くありません。

サプライヤーが用意した既存のデザインでも十分なので、まともなものに変更してくれることを強く希望します。

あれじゃ、日本代表を応援する気が萎えてしまいます。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。




プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索