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■2019年06月

■日本代表、決勝トーナメント進出ならず(その2)

 前回の続き

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、1ゴールをあげた中島選手。
岡崎選手へのスルーパスがやや長くなりすぎましたが、相手GKがクリアしたボールがちょうど自分のところへこぼれてきて、見事なコントロールシュートでノドから手が出るほど欲しかった先制点をゲットしてくれました。久保選手のように周囲の味方を使うのが上手なプレーヤーがいたこともありますが、中島選手もコンビネーションで相手の守備組織を崩していくプレーが改善されています。
ただループシュートが外れた前半39分と後半ロスタイム3分のシュートのどちらかのチャンスは決めて欲しかったところです。
 中島選手のウィークポイントは守備力が不足しているところで、3月のコロンビアとのテストマッチやコパアメリカ初戦となったチリとのゲームでも、彼がいるサイドからかなり攻め込まれていました。だからといって中島選手がいなければこのチームの攻撃力はガクンと落ちてしまいますから、彼を外せばいいという単純な話でもありません。
ザックジャパンでも、本田・香川・長友の左のトライアングルで相手を崩して、中央の本田もしくは右サイドの岡崎がゴール前に走りこんでゴールを決めるというのが攻撃の形の一つだったのですが、ブラジルW杯の初戦を香川選手のサイドをコートジボワールに崩されて落としてしまうと、ザッケローニ監督は次のギリシャ戦で香川選手を外して左サイドハーフに岡崎選手を入れたのですが、守備が安定した代わりに日本の攻撃におけるストロングポイントまで消えてしまい、絶対に勝ちたかったギリシャ戦をスコアレスドローにしてしまったことを思い出します。
理想は中島選手がコロンビアあたりに攻められても耐えられる守備力を身に着けてくれることですが、「角を矯めて牛を殺す」ということもあります。
いくら「現代サッカーは全員攻撃・全員守備」といっても、メッシ・ブスケツ・ピケの攻撃力・守備力がすべて同じである必要はありませんし、むしろ適材適所による分業の方が大切だと私は考えます。
ですから対戦相手の攻撃力に応じて、中島選手を含めたチーム全体の攻撃力・守備力のバランスを考えたスタメンなりシステムなりを用意すべきでしょう。
たとえば攻撃力の高い相手に4-2-3-1で挑むなら、ダブルボランチは守備力重視の人選にして中島選手がいる左サイドのサイドバックにも守備力の高い選手を入れるとか、中島選手自身を守備の負担が少ないトップ下に入れるなどのような選択肢が考えられます。

久保選手は、トップ下としてチームの攻撃をひっぱる中心選手として及第点以上のプレーを見せてくれました。
前半36分のシュートはちゃんとワクに入っていましたし、足の振りも非常に速くコンパクトでした。ゴール左上スミを狙うイメージだったのかなと思いますが、GKは腰より下のシュートの方が防ぎにくいので右下スミを狙っていたら決まっていたかもしれません。
久保選手の良いところは自分の個人技でシュートまで持っていけるだけでなく、味方を使うプレーも非常に上手いところで、前半39分には正確なワンタッチパスを中島選手へ通し決定的なチャンスを演出。後半45分の「どうぞ決めてください」と言わんばかりの前田選手へのスルーパスもほぼ完璧でした。
狭いエリアで相手からプレッシャーを受けてもミスをせずドリブルやパスができる正確な技術をもっていますし、次にどういうプレーを選択するかの判断も早く的確なところがいいですよね。
私は彼のことを「まだ18歳なのにこれだけ出来て凄い」という見方はせず、1人のサッカー選手として見ていますが、プレーの一つ一つを見るにつけサッカーのことをよく知っているなと思わされます。
まだ大人のフットボーラーとしての体が完成されていないので、スピードやアジリティを落とさないよう注意しながらフィジカルコンタクトの闘いに負けないような体づくりをして欲しいです。

板倉選手もより守備的なボランチとして良いプレーを見せてくれました。恵まれた体格を生かし、地上戦でも空中戦でも対人守備に強さを見せてくれましたし、冨安選手が前方へ引きずり出された瞬間、さっとバックラインまで下がってスペースを埋め、左センターバックの役割を一時的に引き継いだプレーは評価が高いです。ちょっとブスケツみたいでしたね。
バックがボールを持っている時に積極的にパス受けの動きをしてサポートし、足元の技術もしっかりしていてパスで攻撃をビルドアップしていくプレーも良いです。
まだ2試合しか見ていないので判断は時期尚早かもしれませんが、もしベストメンバーを呼べたとしても守備的なボランチの最有力候補の一人だと思います。

 逆に岩田選手はボールの落下点の見極めが危なっかしく、前半34分にゴール前ファーサイドにいたミナにヘディングの競り合いに行ったところ、この試合二度目のかぶりで失点の原因に。その後、空中戦に不安がある岩田選手のところをエクアドルに徹底的に突かれていたようでした。右サイドの地上戦でも相手にウラを取られて簡単にクロスをあげられてしまうシーンも。
ボールの落下点を正確に見極めるトレーニングとしては、野球のボールを山なりに投げてもらってそれをキャッチするトレーニングが有効だと思います。

川島選手は、失点シーンではGKとして精一杯のプレーをしてくれたと思いますし、冨安選手のバックパスが弱くなって相手に奪われたプレーでは相手の決定機を良く防いでくれました。
しかし自陣深くでパスを細かくつなごうとしすぎて、前半22分にペナ付近にいた味方へのパスが相手選手へのプレゼントボールとなって決定的なピンチを招くことでチーム全体のリズムを狂わせ、それが失点を招く伏線となってしまいました。川島選手ほどのベテランともなれば次の試合でどうすれば良いか十分わかっていると思います。後半23分に自分の前でバウンドしたクロスは処理が難しかったでしょうが、確実にキャッチして欲しいです。 

冨安選手は、対人守備では安定したところ見せてくれましたが、川島選手のパスミスのわずか3分後に自らのバックパスが弱くなって相手に奪われ、あわや失点かというピンチを招き、相手を勢いづけてしまいました。柴崎選手が蹴りやすいように配慮した結果なのでしょうが、エルサルバドルとのテストマッチでもバックパスが弱くなってヒヤッとさせられるプレーがありましたので十分注意して欲しいです。

柴崎選手は、パス受けの動きも良くなってきていますし、自らのパスで攻撃をビルドアップしていくところも悪くはありません。
ただ前述の冨安選手のパスミスのシーンですが、相手選手3人に囲まれている冨安選手の足元にパスをつけたのはかなりの「無茶ぶり」でしたし、相手陣内に体を向けている柴崎選手から、相手バックを後方に向かってステップさせながら味方のFWと競り合いになるようなロングボールを蹴った方が、たとえボールロストしても失点のピンチを招くよりは千倍マシです。

岡崎選手は、相手のパスコースを消しながらボールホルダーを追い込む前線の守備はさすがでしたが、シュートやアシストなどゴールにからむプレーがゼロというのはさびしいです。

前田選手は悪いパフォーマンスだったわけではありませんが、後半45分に久保選手からスルーパスを受けて相手GKと一対一になった場面は決めたかったですね。自分の前にGKしかいないことがわかったでしょうから、それが見えたことで焦りが生まれてトラップが上手くいかなかったのか、それともまだケガの影響が残っていたのでしょうか。
FWが味方からパスを受けた時、自分の思い通りの場所にボールを置けるかどうかでシュート決定率が大きく左右されますから、その精度を磨いて欲しいです。

名前のあがらなかった選手は及第点の出来かプレー機会が少なく評価の対象外です。


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 前回記事でも少し触れましたが、森保監督の采配について、この試合、空中戦に不安のある岩田選手のところがエクアドルに狙われていましたが、試合終了まで引っ張ってしまったのは疑問でした。

結果的に1失点で済みましたが、もし岩田選手のところでもう1失点していれば、その時点で日本の決勝トーナメント進出への道が閉ざされていた可能性があります。

前半27分にE.バレンシアと競った時、ジャンプのタイミングが遅れて危ないシーンをつくられたのを見て、岩田選手に指示を出すなり交代させるなりして35分の失点を未然に防ぐのが世界レベルの優秀な監督だと思いますし、どんなに遅くとも失点直後に岩田選手を交代させ、守備の安定を図るべきだったように思います

過去の日本代表監督でこうした判断が抜群に優れていたのは、ウディネーゼやミランを指揮した経験のあるザッケローニ元監督でした。

点差や試合の残り時間も関係してきますが、ゲーム中に守備と攻撃の両面でチームに問題があると分かった時、たとえば右サイドバックやボランチが一対一で何度もやられていて、同時に攻撃の選手が機能せずFWや2列目の選手を交代させたいという状況の場合、私ならたとえ1点取って勝ちたくても、まず守備の立て直しの方を優先させます。

なぜなら守備の穴を放置しておくと、相手にそこを徹底的に突かれて守備の時間が長くなった分だけ、自分たちが攻撃する時間が削られてしまいますし、その穴が原因で先に失点してしまえば、同点に追いつきさらに逆転までもっていくために、0-0の時よりも何倍ものエネルギーを必要とするからです。

公式戦における森保監督の交代カードの切り方を見ていますと、攻撃の選手同士の交代が多いような気がしますが、あまり効果が出ていないところが気になります。


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 日本代表のコパアメリカ・グループリーグ最終戦となったエクアドルとのゲームは、引き分けという結果は大変残念でしたし、試合内容を見ても、経験の無さからくる“自滅”のような形で、勝てる試合をみすみす落としてしまったように思います。

それがこのチームの現時点における実力を出し切った結果でしょうし、それを受け入れざるを得ませんが、ベンチワークにも改善の余地があったのではないでしょうか。

この3試合を見て、もしベストメンバーを呼ぶことができていれば、本気のチリやウルグアイとガチンコ勝負をしても、日本が決勝Tに進出する可能性は十分あったと確信しています。

もしそうなれば、本気のブラジルとアウェーでヒリヒリするようなゲームができて、2022年カタールW杯に向けてさらに貴重な経験ができたと思うんですよね。

そういうわけで、日本代表のコパアメリカがもう終わっちゃって、あーつまんない。

気が向いたら来月にでもコパアメリカにおける日本代表の戦いぶりを総括する記事をアップします。

<了>



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■日本代表、決勝トーナメント進出ならず

 日本代表のコパアメリカ・グループリーグ最終戦、決勝トーナメント進出をかけたエクアドルとのゲームは1-1で引き分けてしまい、残念ながら日本はグループリーグ敗退という結果に終わりました。

対戦相手のエクアドルは、国内リーグでプレーしている選手とメキシコやアメリカなど海外でプレーしている選手を合わせたチーム。

かつてはネカクサ等でプレーしたアギナガという良い司令塔タイプの選手がいて、南米らしいショートパスとドリブル突破を組み合わせたサッカーをやっていたのですが、コパアメリカ1999が3連敗に終わった結果、「自分たちにはブラジルやアルゼンチンみたいな攻撃サッカーは無理」とあきらめてしまったようで、その後コンパクトな4-2-3-1もしくは4-4-2で手堅く守ってからのカウンターというサッカースタイルを採用、日本も開催地となった2002年大会でW杯初出場を決め、その後も06年ドイツ大会・14年ブラジル大会に出場しています。

特にドイツ大会では、スペインのウエルバでプレーしていたA.バレンシアがブレイクしてプレミア移籍を果たし、マンチェスターUの主力選手になるまで成長しました。

しかしそのバレンシアも高齢化し、現在のエクアドルにワールドクラスのプレーヤーはほぼ見当たらず、大迫勇・酒井らベストメンバーで構成した日本代表であれば、中立地で勝たなければいけないレベルの相手。

そのような相手に、U-22世代が多い、若き代表が勝ち切れるかどうかが試合の焦点となりましたが、引き分けという結果は大変残念でした。

試合内容の方は、悪いというほどでは無かったのですが、経験の無さから来るゲーム運びのマズさもあって、勝てた試合をみすみす落としてしまったように思えます。


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 若手が多いこともあり、日本とエクアドルの戦力はほぼ拮抗し、お互い勝てば決勝Tへの進出が決まるとあって、技術を生かしてドリブルとパスで攻撃を組み立てる日本と、フィジカルの強さを生かした速攻のエクアドルが攻め合う、互角のゲーム展開を演じます。

それでも前半15分、中島選手のゴールで先手を取った日本でしたが、1点リードしてからゲームを上手く運べなくなるという課題がまたしても露出。

マイボールを大切にしすぎて前半22分に川島選手の中途半端なパスがペナルティエリア付近にいた相手へのプレゼントボールになり、あわや失点かという大ピンチ、そのわずか数分後にも冨安選手のバックパスが弱くなったところを奪われてやはり失点につながってもおかしくないピンチを迎えます。

この二つのミスで相手を勢いづけてしまい、ゲームの流れを失った日本は徐々に押し込まれていきます。

コンパクトなブロックを自陣に敷いて守る日本ですが、防戦一方の展開になると我慢しきれず、ついに同点に追いつかれ、後半30分を過ぎるとエクアドルの足が止まり、今度は日本が勝利を目指して攻め立てましたが、最後まで決勝ゴールを奪うことができず引き分けとなりました。

これがこの試合の“ストーリー”だったのですが、勝ち切れるかそれとも引き分けに終わるか、ゲームの大きな分かれ目となったポイントの一つは、川島・冨安両選手が立て続けに自陣深くにいるエクアドルの選手にボールを奪われ、試合の流れをみすみす相手に渡してしまったこと。

それまでエクアドルにたいしてやられていたわけでもなかったのに、この2つのミスに動揺したのか、攻守両面で良いリズムを失い、ゲームの流れが相手の方に行ってしまいました。

こうしたミスが生まれた背景には、自分たちが置かれた状況に対する日本人選手の「過剰適応」があるのではないかと思います。

つまり、細かくショートパスをつなぐプレーがチームで続いていくと、そうした状況や「チーム内の空気」を自分から壊さないように、さらに細かく細かくショートパスをつなごうとして自陣深くでボールを失い、決定的なピンチを何度も迎えてしまったのではないでしょうか。

GKからパスで攻撃をビルドアップしていくことは決して悪いことではありませんが、川島選手のミスが起こった時点で、チーム全体として「パスが細かくなりすぎているし、相手にもそれを狙われており自分たちでピンチを招いているな」という認識を共有して欲しいですし、そういう時こそショートパスによる単調なリズムをあえて壊す、まったく別のプレーが求められます。

多くの日本人選手はロングボールの上手な使い方がまだ理解できていないように思いますが、エクアドルのFWやMFが自陣に数多く侵入してパスカットを狙っているということは当然DFラインも高くあげているでしょうし、相手のボランチの後ろにも大きなスペースが空いているはずです。

そこで川島選手や冨安選手・柴崎選手などから、エクアドルのバックが後方にステップしながらヘッドせざるをえないようなロングボールを蹴り、味方のトップと競ったボールがバイタルエリアに落ちたところを、久保・中島・三好選手ら2列目が拾って攻めるとか、それが無理なら相手陣内深くのタッチライン外へボールを蹴りだすことで陣地を稼ぎ、相手を自陣深くからのスローインという不利な状況に置いてからプレスをかけて、そのボールを奪って攻めるといったような選択肢が考えられます。

自分たちが置かれた状況に対する「過剰適応」という意味では、前述の2つのミスがきっかけとなってエクアドルに押し込まれ、防戦一方となった後の状況も同じです。

自分たちで4-4-2のコンパクトな守備ブロックをつくってゾーンで守るという状況になったら、こんどはひたすらその状況を継続してしまうというのも過剰適応で、リードした後に10分15分攻められる時間帯をつくられてもやむを得ませんが、守備ブロックをつくって相手の攻撃を跳ね返すという状況をひたすら続けてしまうのではなく、機を見て遅攻・速攻を繰り出して2点目3点目を狙いにいかないといけません。

アジアカップ2019のサウジ戦もそうだったのですが、日本代表はこれが意外と苦手のように見えます。

攻撃面に関しても、ドリブルやショートパスによる中央突破という状況がチームで続くとそれに過剰適応し、ひたすら中央突破にこだわった攻撃をやってしまったのも2点目が遠かった原因の一つです。

中央突破を繰り返したことにより相手の守備ブロックが中央に固まっていましたから、そこでリズムを変えてサイド攻撃を使えれば、より効果的だったと思いますし、もしサイド攻撃が続いていて相手の注目がサイドに向けられていたら今度は中央突破を使うと良いでしょう。

細かいショートパスならそればっかり、強引な中央突破ならそればっかり、ブロックをつくって守るとなったらそればっかりで、失点という相手から与えられたきっかけがなければマンネリ状況を変えられないというのではなく、常にピッチ上で広い視野をもち、今やっているプレーを継続するか、それとも変化が必要なのか、自分たちでピッチ内の状況を見て、適切に判断できるチームなりプレーヤーにならないとコパアメリカやW杯のような世界レベルのコンペティションで勝ち抜くことは難しくなります。

 勝利を逃してしまったもう一つのポイントは、森保監督の交代策も含めたベンチワークではなかったでしょうか。

前半34分の失点は、ミナに競りに行った岩田選手がかぶってしまったことが原因ですが、岩田選手はボールの落下点の見極めが危なっかしいのは同じく前半27分にE.バレンシアと競った時、ジャンプのタイミングが遅れて危ないシーンをつくられたことからも明らかで、そうした伏線もあってエクアドルにあのようなゴールを決められてしまったように思います。

この試合のエクアドルは、流れの中からもセットプレーからもクロスボールはファーサイドを狙い、そこで数的優位をつくることで日本のゴール前での競り合いに勝つことを狙っていましたが、特に空中戦に不安のある岩田選手のところは徹底的に狙われていたようでした。

結果的に追加点こそ奪われなかったものの、岩田選手のところはその後も日本のウィークポイントになり続けており、もし2点目を奪われていれば、そこで日本の決勝T進出はジ・エンドとなっていた可能性があります。

どんなに遅くとも失点直後には岩田選手を交代させ、守備の安定を図るべきだったように思いますし、練習を見ていないので何とも言えないのですが、右サイドバックには立田選手をスタメンから起用することはできなかったでしょうか。

この試合のように両チームの戦力が拮抗している時は、監督さんによる戦術やスタメンのチョイス・交代カードの切り方といったベンチワークが勝負を分けることが少なくありません。

引き分けという結果は、選手が現時点における実力を出し切った結果でしょうし、それを受け入れざるを得ませんが、上手いベンチワークで引き分けのゲームを勝ちにしてやって欲しかったですし、この大会を通じて途中出場の選手があまり機能していなかったことも含め、改善の余地があるように見えました。

 選手個々の評価は次回にしましょう。




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■日本代表、ウルグアイに価値あるドロー(その2)

 前回の続き

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、価値ある2ゴールをあげた三好選手。
マッチアップしたラクサールは直前に筋肉系のトラブルを太ももにかかえていたようですが、右サイドをドリブルで駆け上がるとペナの中でラクサールを振り切り、GKムスレラの左肩上をブチ抜くファインゴール。
2点目も、杉岡選手のクロスをムスレラが前へはじく可能性を予測して絶妙のポジションを取り、相手選手に当てないように正確なシュートを決めてくれました。
後半8分、カバーニのミスパスを安部選手が拾ってゴール前中央にいた三好選手にパスを出した場面ですが、利き足ではないとはいえ右足でダイレクトにシュートを打てれば、強豪ウルグアイからのハットトリックも夢ではなかったと思うのですが、どうでしょうか。

川島選手は、後半10分にゴール前での一対一からカバーニのシュートを止めるビッグセーブ。あれが決まっていたらこの試合の結果は違っていたものになっていたかもしれません。このプレーをハイライトに良いポジショニングからウルグアイの危険なシュートを何本もセーブしてくれました。
ただ、後半2-1とリードしてからウルグアイの猛反撃にあい、チームがサンドバック状態になっていましたから、相手の攻撃時間をブツ切りにすることで味方に“息継ぎ”をさせ、ゲームの流れをこちらへ引き戻すためにも、ボールをキャッチしたらもっと長く時間をかけてからキックしても良かったように思います。

板倉選手は序盤にパスミスがあったものの、試合全体を通してみれば及第点以上の出来でした。
ボールを受けに中盤に下がってくるスアレス・カバーニの2トップへの対応も含め、味方CBの前のスペースで果敢に体をぶつけて相手の攻撃を妨害し続けました。
足元の技術がしっかりしていてマイボールにしてからは中盤の底から自らのパスで攻撃をビルドアップしていきました。
守備的MFとして世界で闘うのに必要な体の大きさを持っているのも魅力ですし、ベストメンバーを呼べたとしても、今後継続してこのポジションで見てみたい選手です。
パス受けの動きも悪くはなかったと思いますが、後半1点リードしてからは相手の猛攻にチーム全体がアップアップの状態になってしまったので、そういう時こそ板倉・柴崎のダブルボランチがボールを奪い返した直後の味方をしっかりサポートし、パスコースをいくつも用意してやることで、クリアするだけで精一杯という苦しい状況を回避できるようになるとさらに良いです。

 逆に冨安選手は、相手のCK時にヒメネスとの一対一に敗れ同点ゴールを献上する原因に。
たとえ自分の前に入られてしまったとしても体を相手に密着させて自由にヘディングさせないような守備の仕方はできなかったでしょうか。この試合を通して、マッチアップしたスアレス・カバーニを中心に相手選手へのマークが甘かったように見えました。接近しすぎると一発で抜かれてしまうので、あえて相手との距離を取っていたのかもしれませんが、それで相手に自由にプレーさせてしまっては意味がありません。
スアレスはラ・リーガのトップ・オブ・トップのFWですし、四大リーグの選手の個の能力がどういうレベルなのか体感できたのは、貴重な経験になったと思いますので、この失敗を今後に生かして欲しいです。

岡崎選手は、前線でのプレスからボールを奪ってシュートまで持っていくなど彼らしい評価できるプレーもあったのですが、日本代表のセンターFWを任されているわけですから、前半2分の三好選手のクロスをシュートした場面と、9分の安部選手のクロスをヘッドした場面は、どんなに悪くともシュートをゴールのワク内にいれなければいけません。スアレスやカバーニはこの試合ワク内シュートがそれぞれ4本はあったはずですが、岡崎選手はゼロ。
彼はシュート精度の低さが長年の課題となっていますが、シュートがワク内に入らなければゴールという結果が出るはずがありませんし、クラブでも得点が取れるFWとして信頼を勝ち取ることは難しくなります。
レスター時代にラニエリ監督から「シュートを打つな」指令が出たという一件もありましたが、シュートの正確性を向上させゴールという結果をしっかり出すことで、ラニエリ監督みたいな人を黙らせて欲しいです。

上田選手は途中出場したもののゴディンらに軽くあしらわれて、ほとんど何もやらせてもらえませんでした。
ポジショニングの取り方に光るものがありますし、FWとして結果さえ出してくれればどのカテゴリーでプレーしようが文句は無いのですが、現時点では、技術・フィジカルコンタクト能力・スピードなど多くの部分でプロと戦う準備が出来ていないように見えます。
それはむしろ彼をコパアメリカというハードルが高すぎる大会に連れて来た森保監督ら首脳陣の判断に問題があるのであって、いきなりアマチュア(大学生)の選手にプロの、それも四大リーグレベルのDFを相手に結果を出せという方が酷というものです。
自分が目標とするべきハードルの高さを体感できたでしょうから、これを良い経験にしてFWとしての自らの能力に磨きをかけていって欲しいです。

いつものように、名前のあがらなかった選手は及第点の出来かプレー機会が少なく評価の対象外です。


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 森保監督の采配に関して、先発メンバーの人選や攻守の戦術を見直して、チリ戦の大敗から短期間でチームを立て直したことに関しては非常に良かったです。

しかし、三好選手のゴールで2-1とリードした直後からウルグアイの猛反撃を受け、日本はゲームのコントロールを失い、2-2と追いつかれた直後の後半22分に上田選手を投入したのですが状況はまったく改善されず、この交代策にどういう狙いがあったのか疑問です。

選手たちはマイボールになっても大きくクリアするのが精一杯で、本来ならピッチ内の選手たちで自分たちが置かれた状況を考えて問題を解決できれば良かったのですが、もしベンチが選手交代のカードを切って問題解決を図るのであれば、たとえば久保選手のように、ボールをキープできて味方を落ち着かせることができるプレーヤーを新たに投入すれば、チームでボールをポゼッションして時間を稼ぎ、相手に行ってしまった流れを引き戻しゲームのコントロールを取り戻すことができたかもしれません。

機を見てカウンター攻撃を仕掛けるにせよ、自分たちである程度ボールをポゼッションしなければそれもかないません。

そうした意味で、大迫勇選手のようにポストプレーでボールをキープし、味方が攻めあがる時間をつくれるFWを投入するのであればまだわかるのですが、上田選手は現状ではそういうプレーはできませんし、彼を投入してもウルグアイの猛攻は試合終了まで続いてしまいました。

リードしてから、ピッチ内の選手たちの判断で問題を解決するか、もし選手を代えるなら、もっと早いタイミングでベンチがより効果的な交代策を打つことができれば、2-1のままゲームをクローズさせることができた可能性があります。

初戦に中山選手を起用した件もそうなんですが、プロの世界は厳格な実力主義の世界ですから、呼ぶことができたメンバーで能力やコンディションの面で監督がベストと考える選手が使われて当たり前ですし、もし森保さんが「クラブから快く送り出してもらった以上、選手全員を試合で使ってやらなければ」という心配りをなさっているのであれば、それは気の使いすぎで、その優しさが選手にとって仇になってしまうこともあるのではないかというのが私の個人的な意見です。

 ウルグアイのフォーメーションは4-4-2でしたが、こういう格上の相手に守備的にゲームを進めてカウンター狙い、最悪でも0-0の引き分けで終わらせたいというゲームプランの時には、3-4-2-1を使うと良いかもしれません。

ウルグアイのストロングポイントはスアレス・カバーニの強力2トップですから、それに対して最終ラインを1枚余らせる3バック(時には5バック)でガッチリ守り、2シャドーもワイドに張らせて相手のSBのあがりをケアする3-4-3みたいな形にすると良いのではないでしょうか。

この試合で3-4-2-1を使わなかったのは練習が不足していて実戦で使うにはリスクがあるのと、実績があって計算できるセンターバックが3枚そろわないという事情があったのだと思います。格上のチームの攻撃を90分間耐え切る「守備の文化」も十分備わっているとは言えないこともあります。

ちなみに2010年南アフリカW杯の初戦、対フランス戦が代表的ですが、ウルグアイは「相手は格上なので0-0でもいいからどうしても引き分けたい」という時は5バックのシステムを使うことがあります。

これに対して日本代表は「初戦が一番大事。初戦は勝つ以外にない。勝てなければそこですべてが終わる」かのように思いつめ、精神的にいっぱいいっぱいの状態でガチガチに緊張してゲームに臨んでしまうのですが、世界の修羅場をいくつもくぐり抜けてきた伝統国ウルグアイとの経験の差をどうしても感じてしまいます。


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 日本代表のコパアメリカ第二戦、優勝候補の一角であるウルグアイとのゲームは2-2のドローという結果は価値あるものでしたし、試合内容の方も課題はまだあるものの良かったと思います。

この試合も若手が多く起用されましたが、良い結果を出すことができた選手も苦い思いをさせられた選手も、本気でぶつかってきたワールドクラスの相手と真剣勝負の公式戦を経験できたということは、貴重な財産になったはずです。

Jリーグではホームとアウェーの違いがあまり感じられませんが、カバーニのシミュレーションからPKを取られたプレーのように、日本国内でのテストマッチではまず起こらないようなことが起こってしまうのも世界の“アウェーゲーム”の怖さであり、それも貴重な経験になったのではないでしょうか。

攻守両面でのチーム戦術も選手個々の球際で闘う姿勢も前の試合から相当改善されましたが、どうしてこういうサッカーが初戦からできなかったのかなと改めて残念に思います。

多くの代表サポは当然の結果だと思ったようですが、チリ戦のエントリーでも述べたように、たとえ若手中心であってもそのポテンシャルからすれば日本代表が全力を出し切った結果の0-4とは決して見えず、それが非常にもったいなく思えたのです。

サッカーには番狂わせというものが多々あるので、ウルグアイ対チリの結果がどうなるかまだわかりませんが、戦力的にはウルグアイの方が上ですから、そのウルグアイを相手にこれだけの試合ができるのであれば、チリが相手でも勝ち点を奪う可能性は十分あったと思います。

アジアカップ2019の決勝もそうだったのですが、日本代表は大事な試合の入り方にまだまだ課題を抱えています。

 最後に、別の機会にでも改めて述べたいと思いますが、カバーニのシミュレーションがPKになったように、VARがあってもレフェリーがそれを恣意的に使うのであれば、VARが無くて瞬間的に誤審をするか、VARのスロー映像を何度も見ながら誤審をするかの違いでしかありません。

VARの映像をどう解釈するか、そもそもどのプレーをVARの対象とするかに、感情に左右される人間の判断が介入できる現状では、VARの判定も絶対に正しいとは言い切れないものがあります。

ペナの中でのハンドの判定基準もそうなんですが、世界各地でVAR判定にからむ混乱がいまだに収まらないようですし、国際サッカー連盟もVARの在り方をもう一度考え直す必要があるように思います。

<了>




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■日本代表、ウルグアイに価値あるドロー

 日本代表のコパアメリカ第二戦は、ウルグアイとのゲームでしたが、2-2の引き分けとなりました。

今回の対戦相手ウルグアイは、スペイン・イタリア・フランスなどのビッグクラブでプレーする選手中心に固められたチームであり、戦力的には向こうの方が上。

たとえ日本がベストメンバーを組めたとしても、W杯大陸間プレーオフのようなガチンコの公式戦では日本のホームで引き分け、ウルグアイのホームでは敗戦がもっとも確率の高い試合結果と見ていました。

ホームアドバンテージのない中立地であれば、やはり引き分けるのも困難な相手ですが、そういう相手から勝ち点を奪ってこそチーム全体としても選手個々としても成長というものがあるわけで、その意味ではU-22世代が多い若いチームがやってくれましたね。

試合会場となったポルトアレグレはウルグアイに近いせいか“ラ・セレステ”のサポーターが多く、センテナリオほどではないにしろウルグアイのホームスタジアムのような雰囲気。

PKを含めてレフェリーのジャッジもウルグアイ寄りのものが多かったのですが、2-2でドローという試合結果は勝ちに等しい価値あるものでしたし、日本の試合内容の方も、経験の無さから来る課題が出たところはあったものの良かったと思います。


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 それでは日本代表のゲーム内容をいつものように分析していきます。

チリとの初戦とは違い、相手をある程度リスペクトしてDF4枚・MF4枚のコンパクトな守備ブロックをつくり、そこから厳しくプレスをかけていって、ボールを奪ったらテンポよくボールをつなぐパスサッカーで攻撃する日本が、序盤からウルグアイと互角の勝負を見せてくれました。

どうしてこういうサッカーが大事な初戦から出来なかったのかと、残念に思うほどです。

一口に南米といっても各国のサッカースタイルは一様ではなく、ウルグアイはフィジカルコンタクトの強さを武器に一対一でガチガチボールを奪い、速攻から強力FWに点を取らせるカウンターサッカーが伝統的なスタイル。

若き日本代表も一対一では相当苦戦していましたが前の試合とは違い、一つのボールをめぐって体をぶつけて闘う姿勢というのはしっかり見ている方に伝わってきましたし、それが好結果につながった大きな要因の一つです。

 守備面では結果的に2失点はしましたが、1失点目に関しては下を向く必要はありません。

植田選手のスパイクの裏をカバーニが勝手に蹴ってシミュレーションで倒れただけで、どう考えてもウルグアイにPKを与えるのは不当な判定です。

南米でリスペクトされている“エディンソン・カバーニ”という名前あるいはブランドだけで奪ったような1点で、スタンドにウルグアイサポーターが多かったこともあり、そうしたことにレフェリーが影響された結果の失点でしたから、植田選手はあまり気に病む必要はありませんが、あれが南米サッカーのずる賢さを象徴するようなプレーであって、南米のチームと、特にアウェーでやる時はこういうことも起こりうるということをしっかり頭に入れて今後のプレーに生かして欲しいです。

2失点目は選手個々の評価のところでも触れますが、冨安選手がヒメネスに競り負けてしまったことが原因。

コンパクトな守備ブロックをつくってゾーンディフェンスで相手にスペースを与えない守り方や相手のボール保持者へのプレスのかけ方も前の試合より良くなりましたが、ゴール前に相手のクロスが入ってくるときボールウオッチャーになってしまい、相手にフリーでシュートを許す場面が結構ありました。

相手がシュートミスしてくれたり、GK川島選手のポジショニングが良かったおかげで失点にこそつながりませんでしたが、そこは要改善点でしょう。

 攻撃面では、ダブルボランチの柴崎・板倉両選手を中心に攻撃を上手くビルドアップして堅守のウルグアイから2点取ったのは評価できます。

このレベルの相手でも中島選手は個の能力で勝負できる貴重な戦力で彼も局面では効いていましたが、個で相手の守備陣を崩すところとチームの連携で崩すところのバランスが取れておらず、あれだけの個の能力がありながら最終的にゴールという結果につながっていないのが非常にもったいないですね。

中島選手が敵選手3人が待ち構えているところに無理矢理ドリブルで突っかけていったり、周囲も彼へのサポートが遅れたりして結局ボールロストしてしまうシーンが多く、中島選手がオーバーラップした杉岡選手を上手く使って彼のクロスから2点目が生まれたように、彼と周囲の選手とのコンビネーションがもっと高まれば、チームとしても中島選手個人としてもその潜在能力を最大限引き出せるのではないでしょうか。

さらに言えば、中島選手が中盤深くまで下がりそこからドリブルをスタートして一対一とか一対三をつくるのではなく、できるだけ相手バックラインに近いところからスタートさせ、ピッチをタテに5分割したときのいわゆるハーフスペースあたりで相手バックとの一対一をつくりたいですよね。そうすれば彼自身のゴールやアシストがもっと増えると思うのですが。

バルセロナ時代のグアルディオラ監督は、自分の戦術的工夫でメッシのドリブルをいかに高い位置からスタートさせるかに腐心していたわけですが、同様に中島選手のドリブルをいかに高い位置からスタートさせてその破壊力を最大化するのか、それは森保監督の戦術いかんにかかっています。

 この試合、明らかな課題となったのはゲーム全体の進め方。

前半にお互い1点を取り合った後、後半も三好選手のゴールで再びリードしますが、そこから10分もたたないうちにウルグアイに同点に追いつかれてしまったのは非常に残念。

こちらがリードしたら、もちろん相手は追いつくために必死になって反撃に出てくるわけですが、そこで10分なり15分なり相手の攻撃を耐えることができれば、相手も攻め疲れて攻勢がいったん弱まり、再びこちらが攻撃に出ることでゲームをコントロールできることが多いのですが、日本代表の場合リードしたらその直後から防戦一方になってついに我慢しきれず失点、最悪逆転負けまで行ってしまうことが多いのは、2006年ドイツW杯のオーストラリア戦しかりブラジル戦しかり、2014年ブラジルW杯のコートジボアール戦しかり、2018年ロシアW杯のベルギー戦しかりです。

この試合も2-1となった直後からゲームのコントロールを失い、試合終了まで防戦一方となってしまいましたが、各選手が半ばパニック状態になってマイボールになったら大きくロングボールを蹴るだけになってしまうので、味方が息を整えるヒマもなくボールをみんな相手に拾われ、ボコボコに殴られ続けるサンドバック状態になってしまいました。

トルシエ・元日本代表監督が言ったように「守備の文化」が無いと言えばそれまでなのですが、GKがボールを手でキャッチしたらすぐにキックして攻撃を再開するのではなく、できるだけ時間を稼ぐことで相手に試合の流れが行っている時間帯をブツ切りにし、早く攻撃したい敵選手のモチベーションを上手にいなしたり、バックがボールを奪い返したら、ダブルボランチを中心に的確なポジショニングを取ることでボールホルダーにパスコースをいくつも用意してやり、チームでボールをキープすることで、試合の流れをこちらへ引き戻したりできれば、試合をコントロールしてこちらがリードしたままクローズさせることができます。

W杯でベスト8以上の好成績を勝ち取るためには、選手一人ひとりがゲームの流れを的確に読み、いまチームとしてどういうプレーをすれば勝利なり引き分けなり自分たちの望み通りの結果を得ることができる可能性が高いのか、常にそうしたことを考えてプレーできるようになることが欠かせません。

特にこの試合は、ロシアW杯決勝トーナメント1回戦のベルギーとのゲームでとても悔しい思いをした選手もプレーしていたわけですから、あの試合から教訓を学び、二度と繰り返さないようにしなければ、日本サッカーの進歩発展はありません。

 選手個々の評価については次回にしましょう。

つづく




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■日本代表、チリに大敗

 日本代表のコパアメリカ初戦となるチリとのゲームがブラジルのサンパウロで行われ、0-4の大敗を喫しました。

対戦相手のチリは、スペインやイングランド、トルコなどでプレーする選手で固められたチーム。

ただ、ビダル・アレクシス・メデル・イスラといった近年のチリ躍進を支えてきた黄金世代が高齢化してきており、日本も大迫勇選手らを揃えたベストメンバーで立ち向かえば、中立地で勝つチャンスはあると見ていましたが、経験の浅いU-22世代の選手が多かったにしても、彼らが全力を出し切ったようには見えず、このような大量失点による敗戦はあってはならない結果でしたし、プレー内容のほうも課題がたくさん出た試合となってしまいました。

「世界最古の伝統と格式を誇る公式戦であるコパアメリカは、勝ち点をあげるために全力を尽くさなければいけない大会であり、決して若い選手の成長のために捨てて良い大会などではない」というのが当研究所の考え方ですので、日本選手のプレーに対する評価もW杯の予選や本大会と同様に厳しく行かせていただきます。


    ☆       ☆       ☆


 ゲームは立ち上がりから両チームともオープンな「殴り合い」となる展開。

前半の前半は日本もチリと互角の勝負を見せましたが、30分過ぎからエンジンがかかってきたチリが攻勢を強めると、相手にいいようにパスを回され、セカンドボールも拾えなくなって防戦一方となり、ゴール前の一対一で競り負けて相手セットプレーから失点。後半も同様の展開で次々と失点を重ねていきました。

チリを過度にリスペクトせず、「ゴール前をベタ引きで守りカウンター狙い」というサッカーを選択しなかったのはゲームプランとして決して悪くはなかったのですが、相手ボールになった時、多くの選手はただ自陣に戻ってスペースを埋め、チリが好き勝手にパスを回すのを見ているだけなんですね。これではやられるのは当たり前。

ぶわっと広がった陣形のまま、敵のボール保持者の出方をうかがってただ見ているのではなく、相手ボールになりプレスをかけて5秒以内に奪い返せなかったら4-4のコンパクトな守備ブロックをつくって自分たちが守るべきスペースを限定し、そこから相手のボールホルダーに厳しく体を寄せてボールを奪うか、最低でも自由なプレーを許さずミスを誘うような基本的な組織的ディフェンスを90分間続けることが欠かせません。

南米サッカーでは、技術やフィジカルを武器にした一対一のバトルがより重視される傾向が強いのですが、相手に体を寄せてボールを奪う、サッカーの一番基本的な部分でファイトできていない選手が多かったのは非常に残念でした。

攻撃に関しては、中島・久保両選手が個で局面を打開して攻め込む場面も結構あったのですが、彼らがボールを持っている時、周囲の味方が遠巻きにして見ているシーンも多く、攻撃が単発で終わってしまい相手の守備組織を崩して質の高いゴール決定機をつくることがあまりできませんでした。

せっかくドリブルやフェイントで相手を抜いて数的有利の状況をつくれているのですから、そういう場面でこそ周囲の選手が味方のボール保持者をサポートし、連動した組織プレーで相手を崩すようにすると、ゴールという結果により近づくことができるようになります。

攻撃面でもう一つ気になるのは、日本人選手のシュート決定機における柔軟性の無さ。

自分で一度シュートを打つと決めたらもう修正は困難で、たとえ自分の前に相手選手が3人ブロックに来ていても周囲で何が起こっているのかまったく目に入らずに、強引にシュートを打っては跳ね返されてしまうというシーンをしばしば見かけます。

そういう場面でこそ柔軟な思考と冷静な判断力が必要であり、シュートモーションに入って相手選手がブロックに来たのがわかったら、途中でフェイントに切り替え逆に切り返すことで相手のDFやGKをピッチに這いつくばらせてからシュートするような遊び心と余裕が日本人選手には一番足りない部分だと思います。

ちなみに中継したダゾーンの集計では、チリのシュート総数は15本でそのうちゴールのワク内シュートが7本。それに対して日本代表はシュート総数14本に対し、ワク内シュートはたったの3本でした。



    ☆       ☆       ☆


 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、柴崎選手。
バックがボールを保持している時のパス受けの動きがかなり良くなってきましたし、長短の攻めのパスでシュートチャンスを創出することに貢献していました。
最低限このレベルのインテンシティのプレーをコンスタントにできるのであれば、日本の中盤における攻撃のビルドアップがスムーズになるのですが、アジアカップ2019や最近のテストマッチまでそれができていなかったのは、やはり所属クラブで常時試合に出ていないせいだと思います。
 対人守備も柴崎選手なりに精一杯やっていましたが、チリの4点目は彼のヘディングミスがそもそもの原因。
ロシアW杯からずっと指摘していますが、柴崎選手は味方に1点取らせるパスを出せるが守備力の低さゆえに失点の原因にもなる“両刃の剣”です。チリのように攻撃力の高い相手だと、柴崎選手が入るダブルボランチでは守備力が不足し、このような大敗を招いてしまう可能性が高いということは、チーム構成の攻守のバランスを考えるうえで重要なポイントだと思います。

読者の皆さんからの注目度が高い久保選手は、自らの個人技で局面を打開するプレーが効果的でしたし、正確なパスで味方を使うプレーも非常に良かったですね。ゴールにこそならなかったものの、ビダルとメデルをドリブルでかわしてペナに侵入し、シュートを放った後半19分のプレーは非常に惜しかったです。チリを相手に闘うことができていた数少ない選手の一人でした。

前田選手は体を張った泥臭い守備で相手に自由に攻撃させず、また攻撃面でも左サイドでパスを受けてクロスで味方の決定機を演出するなど、好感が持てる出来。

 逆に厳しいことを言わせてもらいますが、中山選手はこの大会に出る準備が出来ていたのか疑問。

長いオフが終わりプレシーズンキャンプ初日に初めてスパイクを履いた直後のような、体が重そうでゲーム感覚がすっかり失われているような出来で、パスミス・トラップミスが目立ったほか、スパイクの裏を見せる不必要なファールでイエローをもらい、相手のボール保持者への寄せも遅くルーズで、自分がボール保持者に応対しなくてよい場合でも、本来のポジションであるバイタルエリア(CB2枚の前方に広がるスペース)へ戻るのが緩慢で、自分が行くべき場所もわからずピッチをさまっているような状態。CB2枚の前にフィルター役となるべき選手がいないのですから、前述したようにチリに好き勝手にパスを回されてボールを奪い返すことができず、セカンドボールも拾えない大きな原因になっていました。

1失点目は、相手CK時にジャンプするタイミングが遅れ、中山選手がプルガルに競り負けたのが原因。ゲームの途中から中山選手が一対一の競り合いに弱いということでチリに集中的に狙われていたように思います。
2失点目は中山選手のバルガスへの寄せが甘く自由にパスを回され、再びバルガスにボールが戻ってきた時にはボールウオッチャーになっていて、シュートコースを大きく空けていたのが原因。
3失点目は、やはり中山選手がボールウオッチャーになり自分の後ろにアランギスを置くポジショニングミスと浮き球の落下点の目測を誤るというダブルミス、さらにペナの中でアランギスとの一対一に敗れて簡単にクロスを許してしまったのが原因でした。

クラブでなかなか試合に出れないせいなのか、ボランチというポジションのことをまだ良く理解できていないのか、その両方なのか原因はわかりませんが、厳しいことを言わせてもらえば、中山選手一人のおかげで負けたような試合となってしまいました。

大迫敬選手は、GKとして前述の3失点を防ぐチャンスは無かったと思います。
ただし4失点目の場面は、判断は難しかったと思いますが少なくともゴールから離れて前へ出たら相手より先にボールに触らないといけません。むしろバルガスはシュートの角度が無い方向へドリブルしていましたし冨安選手も並走していましたから自分は前へ飛び出すのは自重し、冨安選手にファーポスト側へのシュートコースを切ってもらった上で、ニアポスト側へのシュートを防ぐことに重点を置きつつ、どちらへシュートが来ても対応できるようにしておけば、あの失点は無かったかもしれません。
また前半16分にゴール前で味方からバックパスを受けた時に、相手FWのプレスをフェイントでかわしたプレーですが、「成功したんだからいいじゃないか」ではなく、GKとしては絶対に避けるべきプレー。なぜなら成功しても1点にもならないが、ミスしてボールを失えば確実に失点につながるハイリスク・ノーリターンのプレーだからです。
なでしこの女子W杯スコットランド戦もそうですが、リスクマネジメントを考えずに自陣でボールを大切にしすぎて痛恨の失点を喫してしまうのは日本サッカーの悪いクセです。

植田選手は、日本の右サイドにいる相手ボール保持者に右サイドバックの原選手が応対している時、そちらの方向へスライドせずゴール前中央に張ったままなので、右サイドバックの後方に大きなスペースを空けてしまい、相手にそこを上手く使われてバルガス等の危険なシュートを浴びる原因になっていました。(下図は過去記事の使いまわしですが、右CBが植田選手だと思ってください)

スカスカ
(クリックで拡大 以下同様)

正しいゾーンディフェンスの守り方はこうです。(下図 やはり過去記事の使いまわしなので、選手名は無視してください)

コンパクト


冨安選手にはこういう傾向が見られないので、チームの約束事でそうやっているのではなく、植田選手のゾーンディフェンスの戦術的理解が不足していることが原因だと推測します。植田選手のこうしたポジショニングミスは何度も指摘しているのですが、なかなか改善されないですね。

上田選手はゴール前に張っているだけでなく、もっと中島・久保選手などがボールを持った時にサポートしてやって欲しいですし、日本代表のセンターFWとして一番重要な仕事ですから、少なくとも前半43分か後半11分のどちらかの一対一は必ず決めないといけません。
将来有望な選手だけにこの1試合だけで評価するのは酷というものですが、鹿島への入団が内定しているとはいえ大学サッカーが彼の成長にとって最善の場所なのか、今一度考える必要があるのではないかと思います。


    ☆       ☆       ☆


 森保監督の采配面では、攻撃で効いていた中島・前田両選手を外し、三好・安部両選手を投入した後半21分の交代策が疑問でした。もちろん三好・安部両選手に問題があったのではありません。

このチームの問題点は中山選手のところが守備で大穴になっており、そこをチリに徹底的に突かれていたのと、攻撃面での上田選手の決定力不足の2つでしたから、どんなに遅くとも後半の頭から中山選手の代わりにちゃんと守れるボランチを入れてボロボロの守備を一刻も早く立て直し、もし攻撃の選手を替えるのであれば上田選手に代わって誰かをいれておけば、後半0-1のまま辛抱しながら数少ない決定機をモノにして、ドローでゲームを終わらせることができたかもしれません。

このチームには、中山選手よりマシな守備的MFはいないというのであればやむを得ないところですが...。

ダブルボランチのうち、柴崎選手は守備力に不安があるのですから、より守備的なボランチに負担がかかりやすいのですが、少なくともこの試合に限っては中山選手がまったく守備で使い物にならない状態でしたから、そこを手当てせずに前線からのチェイシングで地味に守備で効いていた前田選手までひっこめたら、そりゃ守備が崩壊状態になりますよね。

実際、後半21分の交代の後、さらに2失点して完全にゲームが壊れてしまいました。

中山選手や上田選手をなかなか交代させず最後の方まで我慢したのは、森保監督になにがしかの意図があったのかもしれませんが、チームが勝つために最善を尽くす采配、今チームのどこに問題があってそれを修復するためにはどうすれば良いかの判断力という意味での采配では、疑問が残りました。


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 森保ジャパンのコパアメリカ初戦は、大量失点による敗戦という結果もさることながら、試合内容の方も悪かったですね。

ボールの奪い合いというサッカーの一番基本的な部分で、闘う姿勢が見えない選手が多くいたり、ゴール前の空中戦でたとえ勝てなくても、最低限自分の体を相手に密着させて自由にヘディングできないようにしたり、地上戦の一対一で絶対にシュートコースを空けないようなポジショニングを取ったりするような個人戦術の基本で手を抜いている選手もいて、選手が全力を出し切った結果の負けというのであればまだ納得できるのですが、この試合を見る限りまったくそうは思えませんでした。

このゲームが行われたモルンビースタジアムは、サンパウロ州のサッカーの聖地であり、Jリーグブームの余波で1990年代に日本の地方TV局がカンピオナート・パウリスタ(サンパウロ州選手権)をけっこう録画中継してくれて、私もモルンビースタジアムで行われるサンパウロFCやパウメイラス、コリンチャンスのゲームを、アデマール・ペレイラ・マリーニョさん(現役時代は横浜マリノスの前身である日産自動車でプレー)の名解説でよく見ていました。

パウメイラスやコリンチャンスのもともとのホームスタジアムであるパレストラ・イターリア(パウメイラスはイタリア移民がつくったクラブ)やパルケ・サンジョルジが小さかったため、サンパウロFCから収容人数の多いモルンビーを借りてホームゲームをやることが多かったのです。

モルンビーで行われるブラジルサッカーをTVで見ていた当時、二十数年後に同じスタジアムで日本代表が試合をすることになるとは夢にも思いませんでしたが、森保ジャパンがコパアメリカに参加することを知った時、ブラジルサッカーの聖地の一つでこんな情けない試合をするとも思いませんでした。
 
せめてボランチにFC東京の橋本選手か川崎の守田選手がいれば、たとえ負けるにしても、もう少しどうにか抵抗のしようがあったのではないでしょうか。



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■日本代表、エルサルバドルに物足りない勝利

 昨日、日本代表はエルサルバドル代表と、ひとめぼれスタジアム宮城でテストマッチを行い、2-0で勝利しました。

対戦相手のエルサルバドルは、国内リーグでプレーする選手を中心に、パラグアイやアメリカ等でプレーする海外組を加えたチームです。

エルサルバドルのサッカーを見るのは超久しぶりで、北中米カリブ地域のNo.1を決める大会であるゴールドカップ(アジアでいうところのアジアカップ)の2002年大会以来だったのですが、メキシコやコスタリカがタテに早い速攻型のサッカーへ転換しつつあるなかで、あまり体の大きくない選手がショートパスを細かく細かくつないでくる、いかにも伝統的な中央アメリカのサッカースタイルはそのころから全然変わっていないですね。

世界各国のサッカースタイルからだんだん個性が無くなりつつあるのをさびしく感じることもしばしばなのですが、中央アメリカらしいサッカーを久しぶりに楽しめました。

そのエルサルバドル代表の戦力評価ですが、ホームでもアウェーでも日本が勝利できる相手、特にホームゲームであれば大量点差をつけての勝利が求められる相手と見ていましたが、日本が勝利したものの相手のレベルを考えれば2-0という結果には得点力に物足りなさを感じますし、あと1~2点は取れたのではないでしょうか。

前の試合に引き続き、この試合も3-4-2-1がテストされましたが、ゲーム内容も今一つだったように思います。


    ☆       ☆       ☆


 それではいつものように日本代表のゲーム内容を見ていきますが、継続して選手がトレーニングできたでしょうし、前の試合よりは選手同士の連携が良くはなってきていますが、3-4-2-1が機能して局面で数的優位がつくれて相手の守備組織を崩して勝った、3-4-2-1というフォーメーションの優位性のおかげで相手に勝てたという風にはあまり感じられませんでした。

先制ゴールは永井選手のスピードと個人技で取ったようなものでしたし、2点目もエルサルバドルの、人は足りているのに原口選手のウラへの飛び出しをノーマークで許すミスが伏線になったゴールです。

前の試合のように選手同士の距離感が悪く、ボール保持者が孤立して攻撃が行き詰ってしまうというシーンは少なくなりましたが、1トップ+2シャドー+2ウイングバックの連携はまだまだ改善の余地がありますし、実戦で使えるようにするにはもっと練度をあげていく必要があるように思います。

前半25分に見られた、小林→橋本→原口→南野→堂安とつながった攻撃は相手の守備組織も大混乱で効果的でした。残念ながら堂安選手から永井選手へのラストパスが通らずゴールに結びつかなかったのですが、こういう連携攻撃がより多く見られるといいですね。

またダブルボランチを中心に、パスを受ける時のボディシェイプが悪く、そのために本来は前へパスが出せるシーンでもバックパスになって攻撃が遅くなったり回り道したりするケースが多いのも非常に気になります。

ボディシェイプ
(クリックで拡大)

日本人選手の悪いクセですが、ボールをポゼッションしている時に、相手選手がたくさんいて前への攻撃が手詰まりになったサイドの選手からピッチ中央へパスが出ても、わざわざピッチが混雑している同じサイドへボールを戻してしまうシーンが見受けられました。

前方の状況にもよりますが、なるべくボールが右から来たら左へ、左から来たら右へとパスをさばいて、敵選手が少ない、相手チームにとってのウイークサイドへボールを逃がすようにすると、より攻撃がスムーズになるでしょう。

 相手チームの攻撃力が低かったこともあって、守備面で大きな問題は生じなかったように思いますが、後半5分すぎから10分間ぐらい日本のプレスが上手くかからなくなったように見えました。

そういう時はぶわっと広がったまま相手を際限なく追いかけていくのではなくて、5秒相手にプレスをかけてボールを奪い返すことができなかったら一度コンパクトな守備陣形を整えて自分たちが守るべきスペースを限定することで、守備を立て直すと良いと思います。

 後半15分から普段やっている4-2-3-1に戻したのですが、やはりやり慣れたシステムのせいか攻撃のビルドアップが自然にできるようになりましたね。惜しいシーンはあったものの、残り時間が少なかったりメンバーを大量に交代させたせいかゴールを決めるところまではいきませんでした。


   ☆       ☆       ☆


 選手個々で特筆すべき活躍をしたのは2ゴールを決めた永井選手。
1点目は、相手を2人置き去りにするキレのある切り返しで勝負あり。2ゴール目も原口選手の折り返しを予測した絶妙のポジショニングが良かったですね。 
日本人選手、特に得点から遠ざかっている選手ほどゴールに近すぎるところで待ち構えてしまうことが多いのですが、それだと折り返しが自分の背中を通ったり、自分の前に来ても相手GKに先に触られてしまったりして満足にシュートも打てないことがほとんどです。
しかし永井選手のように、自分の前にシュートを打つためのスペースを空けるため、ゴール前へ飛び込むタイミングを遅めにすれば、味方からの折り返しがズレたり、相手選手に当たってコースが変わるような予想外のことが起こっても、それに対応して正確なシュートを打ちやすくなります。他の選手も見習ってほしいと思います。
ところで右腕のケガは大丈夫だったでしょうか?

原口選手は、良いタイミングでウラへ飛び出して泥臭いプレーから永井選手の2ゴール目をアシスト。 
ただ、シャドーの選手ともっと連携を高めてサイドを崩して突破する場面を数多くつくりたいですし、自身でフリーでシュートするときは少なくともゴールの枠内には入れたいところです。

冨安選手は、永井選手へのアシストも含め高いフィード能力で攻撃面でも貢献。
相手FWのレベルもそれほど脅威ではありませんでしたが対人守備でも安定したところを見せてくれました。
一度だけバックパスが弱くなってヒヤッとさせられる場面があったので注意してほしいです。

伊東選手は、スピードを生かした突破で何度もゴールチャンスをつくりましたが、自分で打つべき時にパスしてしまったり、逆に自分で打てるチャンスをトラップミスで逸してしまったりしなければゴールという結果につながったはずです。
守備でも一対一で強さを見せてくれましたが、ベルギーへ移籍して顕著な成長が見られます。

 逆に堂安選手ですが、個で局面を打開しようとすること自体は間違いではありませんが、相手2人が待ち構えているところに強引に突っかけていってはボールロストを繰り返すのは明らかに無謀です。
それでも3回に1回は相手を抜いてゴール決定機をつくれるというのであればまだしも、一対一で全敗というのは許されません。もっとシンプルに味方をつかってアシストを稼いだり、一度味方にボールを預けてそこからリターンをもらってゴールを決めるなど、自分のドリブル突破が読まれていることに対しての工夫が欲しいです。そのためにも正確なパスを出す能力をもっと向上させることが欠かせません。
ドルトムントへ移籍した香川選手は1年目からルールダービーでのドッペルパックで勢いに乗ってゴールを量産するのですが、相手チームに徹底マークされて得点から遠ざかるようになります。
しかし香川選手はチャンスメーク能力を高めてフィニッシャーとしての能力にそれをプラスすることで、相手の対策という壁を乗り越えて再びゴールをあげられるようになりました。
堂安選手も今ブチ当たっている壁をきっと乗り越えられると思いますのでハードワークを続けて欲しいと思います。

小林&橋本のダブルボランチは、積極的なパス受けの動きは良かったですし、パスによる攻撃のビルドアップもまずまず、特に小林選手の左足からの正確なクロスやパスは良かったと思いますが、残念だったのはパスを受ける時のボディシェイプの悪さ。相手選手を背負っているわけでもないのに、相手ゴールを背にして味方からパスを受けるので、ムダなバックパスが増えてどうしても攻撃が遅くなるため、その間に相手が守備陣形を整えてしまいます。
フリーなら必ず半身でパスを受けてすぐに前を向き、前方にいる味方がやはりフリーのうちに正確にパスを出すことを心がけて欲しいです。
また、混雑しているサイドから来たボールを再びそこへ戻すのではなくて、なるべくボールが右から来たら左へ、左から来たら右へとパスをさばいて、敵選手が少ない、相手チームにとってのウイークサイドへボールを逃がすようにするのもボランチとして大切な仕事です。

2シャドーの一角に入った南野選手は、良いボールがなかなか入ってこないことにじれてしまったのか、後ろに下がってボールを受けるシーンが多かったのですが、4-1-4-1できた相手チームのアンカーの脇にできるスペースが一つの攻略ポイントになっていましたから、我慢してそのスペースをもっと上手く使って、1トップやウイングバックと連携して相手を崩すと良かったように思います。

 名前のあがらなかった選手は及第点の出来かプレー機会が少なく評価の対象外です。

え、久保建選手ですか? ゴールやアシストが無くてもデビュー戦であれだけできれば及第点じゃないでしょうか。 


   ☆       ☆       ☆


 エルサルバドルとのテストマッチは、相手のレベルを考えれば2-0で勝利という結果は、特に攻撃面で物足りないものがありますし、試合内容の方も、選手たちが3-4-2-1システムを上手く使いこなせていたかと言えば、まだまだ1トップ+2シャドー+2ウイングバックの連携や選手同士の距離感に改善の余地があるように見えます。

このレベルの相手はW杯の本大会にはまず出てきませんし、3-4-2-1を公式戦で使えるようにするためには、ここからさらに練度をあげていく必要があるでしょう。

ライトなサッカーファンの方は「試合に勝ったんだから内容も良いに決まっている」という見方をしがちですが、それでは本質を見失ってしまいます。

対戦相手のレベルや自分たちがやりたいことがどれだけ達成できたのか、自分たちのプレー内容を精査しなければ、試合内容の正しい評価はできません。

 次はいよいよコパアメリカとなりますが、その時点で選ばれた選手たちが日本にとってベストの代表です。

相手をリスペクトしすぎて試合をやる前から0-3で負けたような気持ちでゲームに入るのではなくて、自分たちの実力が本気の南米選手を相手にどれだけ通用するのか試す絶好のチャンスですから、平常心を保ちつつ後悔のないように「自分は現時点での実力を出し切れた」と納得できるようなプレーして欲しいです。




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■日本代表、3-4-2-1のテストは不発(その2)

 前回の続き

 この試合、特筆すべき活躍をした選手はいませんでした。

いつもなら及第点の出来だった選手に短評を加えることはしないのですが、以前より明確な成長が見られたという理由で昌子選手を取り上げます。

後半9分日本の左サイドにボールがでてトリニダード・トバゴのカウンターという場面。
日本ゴールに向かってドリブルするL.ガルシアに対して昌子選手が並走して応対しますが、ワンサイドカットをしてきっちりファーサイド側へのシュートコースを切り、ニアへシュートを打たざるを得ない状況に相手を追い込んでその通りシュートさせたことでゴールを守るシュミット選手も予測や対応がしやすかったと思います。

以前の昌子選手は、相手との一対一の場面で自分の左右どちらも抜かせまいとして結局どちらも抜かれてしまっていたことは、3月のコロンビアとのテストマッチでも指摘しました(日本代表、コロンビアに工夫無く、力負け(その2))。 

その後ワンサイドカットができるようになってからリーグアンの試合でも一対一の勝率が上がってきました。実際4月1日に行われたパリSGとのゲームでは、昌子選手がムバッペと一対一になる場面がありましたが、ファーサイド側(昌子選手から見て左側)へのドリブル突破やシュートを切っていたので、最後に緩急をつけたタテのドリブルでムバッペに置いていかれそうになりましたが、味方のGKと協力して何とか失点を免れることができました。(ムバッペのシュートをGKが弾き、そのこぼれをシュートしたチュポ-モティングが外してくれた)

G大阪の三浦選手にしろ浦和の槙野選手にしろJリーグ出身のバックは意外と相手選手と一対一になった時のワンサイドカットができていないことが多いのですが、昌子選手はリーグアンに移籍して着実に成長が見られます。これからも継続していって欲しいと思います。

 逆に酒井選手は、後半10分の相手CK時に畠中選手と一緒に相手に競り負けて、ゴール枠内への強いシュートを許してしまいました。昨年10月に行われたウルグアイとのテストマッチでも同じパターンで失点にからんでいましたが、相手のCKからのボールがファーサイドへ来た時、酒井選手が相手に競り負けるシーンをしばしば見かけます。原因をしっかり分析して同じミスを繰り返すことのないようにして欲しいです。

堂安選手は、攻撃面で効果的なプレーがあまりできていませんでした。ドリブルから個で局面を打開するプレーも味方とコンビネーションで相手の守備組織を崩すプレーも今一つで、味方からパスをもらってゴールを決めるフィニッシュの精度も欠いています。やはり左足でのカットインドリブルが研究されて以前ほどゴールに結びつかなくなっていますし、壁にブチ当たっているように見えます。
フェイントやボールコントロールの技術を高めたりスピードに緩急をつけたりして得意の左足のドリブルに磨きをかけてなるべく世界トップに近づけていく努力はもちろん必要なのですが、相手DFに左足を徹底的に切られた時、例えばタテにドリブルして右足でクロスを入れたり、他の味方と連携してパスで崩したりするような「プランB」も磨いていくと、相手も堂安選手の次のプレーを予測しづらくなって自分が一番やりたいプレーも生きてくるように思います。

柴崎選手は、積極的にパス受けの動きをしてチームがスムーズにパスを回せるように努力していたのは良かったのですが、味方にショートパスを出す時、足元へ出したのかスペースに出したのかわからない中途半端なパスを出して味方のボールロストを招いてしまうシーンが、昨年のロシアW杯でも、今年1月のアジアカップでも、そしてこの試合でもずっと続いていてものすごく気になります。

もっと具体的に言うと、3mぐらい前方に敵選手がいる味方に対してショートパスを出す時に、わざわざ味方の1m前方のスペースに向かってパスを出し、ビックリした味方が体勢を崩しながらトラップするためにボールロストしたり、味方よりも先に敵選手がボールに追いついて奪われて逆襲を食らってしまうというシーンが毎試合必ずと言っていいほど見られる感じです。

柴崎選手ほどの技術の持ち主が、インサイドキックでミスをして1mものズレを起こしているとは考えにくいので、3m前方に敵選手が待ち構えている味方に対してショートパスを出す時に、その味方の1mぐらい前方へパスを出すことを良かれと思って柴崎選手が意図的にやっているのではないかと推測しているのですが、こうしたプレーによって味方のボールロストを何度も誘発しています。

シャビ・イニエスタ・ブスケツで中盤を構成していた時代が、バルサのショートパスによる攻撃の組み立てが最もレベルが高かったように思うのですが、彼らがショートパスをつなぐ時、パスを受ける選手の視点で言うと、右か左かそれとも前方真っ直ぐなのか次に自分がパスを出したい方向を考えて味方からのボールを最適の位置へ置くようにトラップし、ボールをトラップする時もパスが来た方向と反対の足でトラップして利き足でパスをするケースが多かったように思います。

例えば、右方向からパスが来たら左足でボールをトラップして自分が出したいパスの方向を考えた場所にボールを置き、利き足が右なら左足を踏み込んで右で蹴り、利き足が左なら右足を踏み込んで左で蹴ります。

逆に左方向からパスが来たら、最適の場所にボールを置くように右足でトラップし、利き足が右なら左足を踏み込んで右で蹴り、利き足が左なら右を踏み込んで左で蹴ります。

(両足で同じように正確に蹴れるなら、ボールをトラップした方の足をそのまま踏み込んで軸足にし、反対の足で蹴った方がよりスムーズにパスが出せます。「自分はパスが来た方向と同じ側の足のアウトサイドでトラップした方がやりやすい」という選手はそうしてもらって全然かまいませんが、普通はパスが来た方向とは逆の足のインサイドでトラップした方が簡単でミスも少ないのではないでしょうか)

こうすることによってミスなくスムーズかつ極めて短時間のうちにボールを受けてショートパスを出すというプレーを完結することができますし、パスの受け手のすぐ前方に敵選手がいたとしてもうかつに飛び込めばパスで抜かれてしまうため飛び込むことができず、相手からプレッシングを受けてもバルサは相手の守備ブロックの中でショートパスを正確につないでいくことができるのです。

シャビやイニエスタなどは、ヘッドアップして自分の足元をほとんど見ずにこれをやりますから、なおさら守備側はボールを奪うために飛び込みにくくなります。

逆にパスの出し手の視点から見た場合、こうしたことに十分配慮して、パスの受け手の足元へ正確にパスをつけなければならないのですが、柴崎選手のように、3m前方にいる敵選手と正対している味方の前方1mのスペースにパスを出してしまうと、体勢を崩して足を伸ばさないとボールに届かないのでトラップミスにつながったり、味方より先に敵選手がボールに追いついて奪われてみたり、何とかボールキープは出来ても体勢が崩れているので次のパスを出すのにとても時間がかかったりと、パスの受け手にとって非常に困ったことになることがお分かり頂けると思います。

柴崎選手もユース時代から「自分のパスに味方へのメッセージを込めろ」と指導されてきたでしょうし、味方の1m前方へパスを出すのも「そのまま前進して攻撃しろ」というパスの受け手へのメッセージなのかもしれませんが、常にそれが正解というわけではないということを知っていて欲しいです。

特に相手DFラインの前かつ、相手守備ブロックの中にポジショニングして「間受け」を狙っている味方へショートパスを出す場合、たいてい味方のすぐ近くに敵選手がいますから、味方の足元ではなくスペースへ出すパスはまず通らないと考えた方が良いです。

柴崎選手の守備面での改善点ですが、自分からのパスがミスになって5m前方の敵選手にボールをぶつけてしまって奪われても、その場に立ち止まったままというシーンが見受けられます。そうした場合はまず自分がファーストディフェンダーになって相手のボール保持者の前に立ちふさがり、少なくとも前方へのパスコースを消さなければなりませんし、そこでボールを奪えれば絶好のショートカウンターのチャンスとなります。

名前のあがらなかった選手は及第点の出来かプレー機会が少なく評価の対象外です。

    ☆       ☆       ☆

 トリニダード・トバゴとのテストマッチはかなり実力の劣る相手だったにもかかわらず、スコアレスドローという結果はとても残念でしたし、試合内容の方も低調だったと思います。

フル代表としては初めて3-4-2-1をテストしましたが、選手たちがまだこのシステムに慣れていないせいか不発に終わりました。練習時間も短かったでしょうし、現時点で「3-4-2-1は機能しない」と決めつけることもしたくありません。

2トップの相手に対して4バックではなく3バックでやった方がやりやすいこともありますし、日本代表もオプションとして3バックのシステムを持っておくことに賛成です。

当研究所は、左SBの長友選手が一列上がって“偽SB”となる3-3-3-1と4-2-3-1の可変システムをおススメしていますが、3-4-2-1のどちらを使うにせよ2トップのシステムでプレーするのが得意な大学生チームあたりに日本代表の練習試合の相手をお願いして、それによって3バックの習熟を進めていった方が良いと思います。

ただ、3-4-2-1は4-2-3-1に比べてトップ下のポジションが無くなる分、攻撃の選手が一枚少なくなりますし、この試合の後「攻撃の枚数が足りないのだから、余っている畠中選手か冨安選手が攻めあがるべき」という意見も出てきていますが、CBを攻撃参加させるぐらいなら始めから4-2-3-1にして、トップ下に攻撃が本職の南野選手か鎌田選手あるいは香川選手を置いておけばいいのでは?という疑問を感じないわけではありません。

ウイングバック(WB)に原口選手のような、より攻撃的なプレーヤーを起用すれば、こうした問題は解決されるかもしれませんが...

また森保監督は3-4-2-1を使う理由として「相手の守備を分散させることができるから」とおっしゃっています。

これも詳しいお話を森保さんにお聞きしないと良くわからないのですが、念のために確認しておきますと、4バックの相手に対して、こちらが1トップ+2シャドー(SS)+2WBで5トップみたいな形をつくれば、相手の両SBは日本のSSとWBのどちらを見れば良いのか混乱して、相手の4バックが横に広がって分散させられるという意味であれば、残念ながらそうはなりません。高度なゾーンディフェンスをやるチームであればあるほどそうです。

日本サッカー界では、こちらと相手のフォーメーションの噛み合わせで誰が誰を見てといった具合に、マンマーキング的な思考をする傾向が強く、それだと4バックに対して5トップをぶつければ、守備側が数的不利で攻撃側が有利になるという発想が出てくるでしょうし、実際Jリーグでもそういう場面があったのかもしれませんが、ゴール前に浮き球のクロスが入ってくる空中戦のケースを除き、ゾーンで守ると必ずしもそうはならないのです。

なぜなら、SSがボールを保持しようがWBが保持しようが、4バックがコンパクトな陣形を保って自分たちが守るべきスペースを限定したままボール保持者のいる方向へスライドし、ボール保持者に一番近い選手がプレスをかければ良いからです。もちろんMF3~4人も4バックの前にいてバイタルエリアがなるべく狭くなるように限定しています。

こうなると相手4バックの前にあるバイタルエリアの狭いスペースに5トップがひしめき合い、どのスペースにも敵もしくは味方の選手がいて、使いたいスペースをつぶしあうことで、攻撃が手詰まりになってしまいがちです。

10円玉の上に乗ってそこから絶対にはみ出さない様にシュートを打つことが不可能なように、どんなに優秀な選手でも自分がシュートやパスをするためのスペースが無ければ、その局面でいくら数的優位であってもどうしようもありません。

むしろ狭いスペースに味方がひしめき合っていると1人のDFで2人以上の攻撃側の選手をマークできるという状況も生まれてしまいます。

アジアのチームのようにベタ引きで守って0-0で引き分けでもOKというサッカーをしてくる相手なら、サイドハーフやボランチをDFラインまで下げることで5トップの攻撃側と数的同位あるいは優位に持っていこうとしますから、なおさらゴール前にスペースが無くなります。

ですから当研究所はくどいくらい、いくらゴールが欲しいからといって5トップ・6トップみたいな形になるのはダメですよと言っているわけです。(関連記事・日本代表の試合内容、どこが悪かったのか?

このことを森保監督がちゃんと理解なさっておられるのであれば問題ないのですが、念のため再確認しておきます。

<了>



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■日本代表、3-4-2-1のテストは不発

 昨日、日本代表はトリニダード・トバゴ代表とのテストマッチを豊田市で行い、スコアレスドローに終わりました。

今回の対戦相手トリニダード・トバゴは国内リーグやアメリカ2部の選手を主体に、サウジやイスラエルリーグでプレーする選手を加えたチーム。

2006年ドイツ大会でW杯初出場を果たした当時は、マンチェスターU時代にゴールを量産していたヨークやウエストハムのヒスロップがチームを引っ張り、イングランド2部でプレーする選手も結構いて、ジャマイカとカリブ海地域の覇権をかけて争っていた時代もあったのですが、近年はハイチやキュラソーに押されて低迷ぎみです。

日本にとってホームでもアウェーでも勝てる相手、特に日本のホームであれば大量点差をつけて勝たなければいけないレベルのチームでしたが、1ゴールもあげられずに引き分けという試合結果は大変残念でした。日本のプレー内容も低調だったように思います。

それではいつものように日本代表の試合内容を分析していきます。

    ☆       ☆       ☆

 トリニダードの監督さんの試合前コメントによれば、ポゼッションサッカーへの転換を図っている最中とのことでしたが、選手個々のレベルではフィジカルコンタクトには強いもののボールを蹴る・止めるの基本部分でモタモタしているような相手でしたし、日本の守備をパスで崩すような組織力もありません。

よって、日本代表が相手の守備をどう崩して勝つかに試合の興味が絞られました。

この試合では、森保監督の“代名詞”とも言える3-4-2-1が初めてフル代表でテストされましたが、これがまったくの不発。

選手たちがまだ3-4-2-1に慣れていないのか、動き方やポジショニングの取り方がカオスでした。

ボール保持者の周囲にサポートすべき味方がまったくおらず、逆にボールと反対のサイドには味方がたくさん密集しているなど、全体の選手配置がアンバランスになっているケースが多かったですね。

パスコースが無いボール保持者は前への攻撃が手詰まりになってバックパスを連発。それによって攻撃が遅くなり、相手の守備組織がなかなか崩せない原因となっていました。

どんなフォーメーションでプレーするにしろ、無秩序にやたらめったらポジションチェンジしてパス&ゴーを繰り返すのは、選手配置のアンバランスを招きやすく、相手のカウンター攻撃にも脆弱になるので避けるべきです。

もしポジションチェンジをするにしても、誰かが空けたスペースを別の誰かが埋めるようにして元の陣形をなるべく保つようにしないといけません。

例えばワントップの大迫選手が右サイドへ流れたら、右ウイングの堂安選手がワントップの位置に入るといった具合にです。

この試合は森保監督にとって「3-4-2-1のテストありき」で、あえてフォーメーションの噛み合わせでこちらが不利になるのを承知で押し通したのだと思いますが、4-1-2-3で来たトリニダードの両ウイングが日本の3バックの両サイドとウイングバックの中間にポジショニングすることで、相手の3トップに対しこちらは5バックで見るような形にさせられていました。

これだとバックが一枚ムダに余らされる分、攻撃時に一枚足りなくなって、それも日本の攻撃が停滞した原因の一つだと思います。つまり3-4-2-1にして3バックの一角に畠中選手を入れた分、4-2-3-1にしている時のトップ下である南野選手が弾き出されるシステムになってしまったということです。

私がCBタイプを3枚使う3バックのシステムをあまり好まない理由の一つがこれで、「5-2-2-1のカウンターサッカーで引き分けでもOK」というゲームプランならこれでもいいのですが、そうではなかったはずです。

4-2-3-1でキックオフしたものの、相手のフォーメーションとの関係でこちらが3バックにした方が良いときはSBの長友選手あたりが一列上がって“偽SB”となって3-3-3-1に変化し、相手がフォーメーションを変えてきてこちらも4バックに戻したくなったら一列上がった長友選手が元の左SBの位置に戻る可変式のシステムを使ったほうが良いのではないでしょうか。

ところがCBタイプの選手を3枚使った3バックだと、4バックに戻すためには選手交代が必要になることが多いので、そのために交代枠を一つ失ってしまうのもできれば避けたいですよね。

このことについては、過去記事(アジアカップ2019総括(その2))で詳しく述べた通りですが、実戦で使えるようにするためにはある程度の習熟が必要ではあるものの、3バックを使う必要がある時は4-2-3-1⇔3-3-3-1の可変システムを使ってみてはどうかと思います。

選手たちが不慣れなせいもあったのでしょうが、少なくともこの試合ではあえて3-4-2-1というシステムを使う優位性が感じられませんでした。

選手個々の評価は次回にしましょう。




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