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■2019年02月

■アジアカップ2019総括(最終回)

前回のつづき

 アジアカップ2019総括の締めくくりとして、大会を通じた各選手の評価と、次回W杯でベスト8以上を狙うために各選手に何が求められるのかを考えてみたいと思います。

評価は3段階でそれぞれの数字は、

1=素晴らしいプレー内容

2=プレー内容は及第点

3=不満の残るプレー内容

を意味しています。



GK

権田選手 2

トルクメニスタン戦では、オフ空けすぐで実戦感覚が戻っていなかったのか、不意をつかれたようにロングシュートを食らってしまい、DF陣のミスで相手FWと一対一になった場面では、シュート角度の広い方へ行きたい相手のフェイントに惑わされて逆をつかれ、ダイブしたもののボールに触れず相手を倒してPK献上。
しかし次のオマーン戦以降しっかりと立て直したのはさすがで、アルガッサニとの一対一では相手をシュート角度が狭くなるサイドへ誘導してミスを誘いました。以降キャッチングやセービングは安定していましたが、味方からのバックパスを細かくつなごうとしすぎてあわや失点かというピンチを招くことも。相手選手が自陣に6人以上侵入している時は無理につなごうとせず前へ大きく蹴るというような約束事を事前に決めておくべきしょう。

シュミット選手 2

ウズベキスタン戦ではキャッチングもセービングもまずまず安定していましたが、相手FWがドリブルしてきて味方のDFと並走しているようなケースで、相手と並走するDFにシュートコースを限定させた上で、自分はニア・ファーどちらに来ても対応できるようにしつつも来る可能性の高いコースへのシュートに備えるというように、味方に的確なコーチングができるようになればもっと良いGKになれます。相手がペナに入ったタイミングで適切な構えをしながら思い切って前進してシュートコースを消すなどの勇気も必要です。

DF

吉田選手 2

ディフェンスリーダーとして奮闘し、ピリッとしない入り方をしてしまったトルクメニスタン戦で2失点を許したものの、準決勝イラン戦までは自身が出場した試合では連続でクリーンシートを達成。ところが決勝戦では3失点にからんでしまいました。
吉田選手は足元の上手いテクニック系のFWを苦手にしているような気がしますが、ゴール前で前を向いた相手と一対一の場面をつくられたら、相手が両足とも使えるならシュート角度が広くなるファーポスト側を切り、相手が片足でしかシュートできないならまず利き足側を切るのがセオリーでしょう。
この大会はトルクメニスタン戦から再三危ないGKへのバックパスが見られましたが、自陣に多くの相手選手が侵入している時は大きく前方へ蹴った方が失点するよりはるかにましです。
キャプテンとしても良くやっていたと思いますし決勝戦前の英語によるスピーチは見事でしたが、苦しいゲームこそキャプテンが笑ってチームメイトを勇気づけてあげて欲しいです。

冨安選手 1 

この大会最大の収穫の一つは彼の成長でした。
初戦はぶっつけ本番のような形でボランチとして起用されましたからポジショニング等で経験不足なところがあったのはやむを得ませんでしたが、次のオマーン戦から本職のCBで起用されて以降素晴らしい出来で、サウジ・イラン・カタールなどアジアトップクラスの強豪に彼の守備が十分通用していました。足元の技術が高いので攻撃時のパスが正確なのも評価が高いです。サウジ戦では上手い動きで相手マークを外し殊勲の決勝ゴールもゲット。
今でも空中戦は強いですが、ボールの落下地点までの助走の取り方や空中での体の使い方を身につければ、まだまだ強くなれます。

三浦選手 2.5

起用されたウズベキスタン戦では良いプレーもあったのですが、ショムロドフのフェイントに惑わされて失点したシーンでは角度の広いファーポスト側を切るようにして相手のシュートコースを限定することでGKを助けて欲しいです。攻撃時にミスパスも散見されフィード能力のアップもお願いします。

槙野選手 3 

トルクメニスタン戦では何度もマークすべき相手FWを不用意に離し、チームがボールをロストした瞬間たった一本のパスでやられて権田選手がPKを献上する原因に。ウズベキスタン戦でもロシアリーグでプレーするショムロドフとの駆け引きで完敗し、彼へのスルーパスが出るとスピードでブッチ切られて失点。この大会に参加するにあたって準備がちゃんとできていたのか疑問です。

長友選手 2

攻守ともに豊富な運動量で活躍。守備は堅実で、トルクメニスタン戦では相手の連携ミスをついてアシストも記録しましたが、サイドハーフともっと連携してゴール前へ正確なクロスをあげてアシストしたり自らカットインドリブルからゴールをあげるようなプレーが望まれます。日本対策として5バックをぶつけてくる相手チームが増えていますので、ますますそういったプレーが必要でしょう。

酒井選手 2 

彼は、相手ボールホルダーと並走するときに自分の腰を相手の下半身に密着させたあと、ドンと押して相手のバランスを崩してボールを奪ったり、空中戦で相手と競るとき、自分の片手を相手の背中に添えて相手をうまく抑えながらヘディングに競り勝つなど、相手と競るときの体や手の使い方がアルゼンチンやブラジルの選手みたいで、いつもリーグアンの試合を見ていて感心しているのですが、この大会でも守備は堅実でしたね。
ただ相手セットプレー時にファーポスト側へボールが来ると対応が遅れて相手のマークを外してシュートを打たれることが多いのは改善点ですし、長友選手と同じ理由で、サイドハーフともっと連携して攻撃参加からアシストや自身のゴールを増やして欲しいです。

室屋選手 2

ウズベキスタン戦で右サイドを突破してからの正確なクロスで武藤選手の同点ゴールをアシストしたのはすばらしかったですし、守備面でも一対一やポジショニング等で成長が見られます。さらなるレベルアップのために良いプレーを継続していって欲しいです。

佐々木選手 3 

以前のような大失態のミスはなくなりましたが、かといって特筆するような良いプレーもないというのが現状です。大ケガから復帰したばかりという理由もあるのでしょうが、まずはJリーグで出直しを。

遠藤選手 1 

この大会でもっとも成長した一人。
オマーン戦からボランチで起用されましたが、中盤で相手選手にタテパスが入ってくると、その背後から足やヘッドでボールを跳ね返して相手の攻撃のビルドアップを妨害し、前を向いたボールホルダーに対してもガチガチ一対一を仕掛けて盛んにボールを奪い返すと、攻撃の起点となるパスを良いタイミングで出していました。
バックがボールをもっている時にパスを引き出すための「顔出しの動き」を増やして、チームの攻撃のビルドアップの中心になって欲しいですし、準備動作で自分のマーカーをはがしてフリーかつ半身でパスを受けすぐに前を向くという能力も求められます。

柴崎選手 2.5

準決勝のイラン戦では良い出来でしたしサウジ戦ではCKからアシストも記録。しかし中島選手や大迫選手がいなければ流れのなかでのプレーで輝きを失ってしまうなど、大会を通じてチームの攻撃を組み立てるオーガナイザーとしては不満足な出来だったと思います。スペインなどの四大リーグを基準とすると彼の「ややクラシックな司令塔」のようなプレースタイルが現代サッカーにマッチしていない印象を受けます。
現代サッカーでは、ハーフスペースでボールをもってフリーで前を向く選手をいかにしてつくるかというのが攻撃戦術の一つのポイントになっており、中盤の底から攻撃をビルドアップしていく時は、複数の選手でトライアングルをつくりながらなるべくシンプルかつ早いテンポのパスをつないで相手DFラインの前でMF陣が形成している“防御陣地”を通過したいわけです。
ところが柴崎選手の場合、中盤の底から自分の一発のパスでゴールをアシストしようとするプレーが多く、攻撃の組み立てがどうしても粗くなり、相手MF陣で形成する防御陣地の前から、味方が追いつくのが非常に難しい長距離の高速スルーパスを出してみたり、中盤の底から相手ゴール前の急所を探すため「考えてパス・考えてパス」というシーンがどうしても増え、それだけパス出しのテンポが遅くなりチーム全体の攻撃リズムも悪くなってしまいます。
 ボールを受けるときのボディシェイプも悪く、いつも相手ゴールに背を向けて受けるので、無駄なバックパスが増えたり、背後から相手が近づいているのに気づかずボールを奪われてしまうシーンも見られました。
鹿島ではゴールに背を向けてのバックパスが有効だと教えられたのかもしれませんが、スペインではフリーなら半身でボールを受けてすぐ前を向けと教えられます。
相手ゴールに背を向けてボールを受け180°回転して前を向くのに2秒かかり、半身で受けて前を向くのに0.5秒しかかからないとしたら、わずか1秒ちょっとの差で相手に寄せられてバックパスを選択せざるを得なくなるか、前を向いてパスを出しそれがゴールにつながるかの大きな違いとなって表れます。シャビやイニエスタはそうした基本をおろそかにしませんし、バイエルン時代にフリーで前を向けたのにバックパスを選択したビダルがグアルディオラ監督に叱責されたのも同じ理由からでしょう。
その点レアル・マドリード・カデーテAのピピ君のプレーを見るとスペインで育てられた選手だなと思うわけですが、スペインサッカー関係者が見ると柴崎選手の常にゴールに背中を向けてボールを受けるプレーは印象が悪くなってしまうのではないでしょうか。
 守備にあいかわらず弱点をかかえており、トルクメニスタン戦でアマノフへの詰めが遅れてロングシュートを食らう原因となり、イラン戦ではペナルティエリア内でアズムンに抜かれるなど特に対人守備に不安を抱えています。
スペインリーグの堅守速攻型のチームでは守備力に不安があるのでボランチとしてレギュラーポジションを獲得するのは難しいようですし、かといって攻撃サッカーをやっている上位クラブに移籍するには、自分の準備動作でマーカーをひっぺがしてボールを受け、早いテンポで正確なパスを出す能力が求められるので今の柴崎選手は攻撃面でもプレーの質・量・インテンシティをもっと高めていく必要があります。1部クラブでレギュラーポジションを取るためには自らのプレーをどうスペインのサッカーに適応させていくか考えていかないといけないのではないでしょうか。代表で非常に重要なポジションを任されているだけに厳しい評価となりましたが応援しています。

塩谷選手 2  

本職ではないボランチで奮闘、対人守備で強さを見せ、シンプルにタテパスをつないでいったのも良かったですし、ウズベキスタン戦では得意のミドルシュートから決勝ゴールもあげました。
決勝戦では自分の左脇のスペースを相手に使われて苦しみましたし、カタールの2点目をアシストするタテパスを出した相手へのプレスが遅れてしまったのも改善点です。

青山選手 2

ウズベキスタン戦では、攻守のバランスを考えたポジショニングをしながら、パスを受けるために精力的に動き、前方の味方がフリーでいるうちにテンポ良く正確なパスを足元につけるという作業を地道に繰り返すことで、チーム全体の攻撃に良いリズムをもたらしていました。課題としては、対人守備力の強化を求めたいです。

堂安選手 2

トルクメニスタン戦であげたターンからのゴールは見事でしたし、ベトナム戦ではプレッシャーのかかる場面で確実に決勝点となるPKを決めて見せたのも素晴らしかったです。
ただし彼の得意なピッチ中央へのカットインドリブルからのシュートやワンツーはアジア各国に完全に研究されており、それでもそうしたプレーにこだわりすぎてしまったことがあまり活躍できなかった原因です。サイドバック等と連携しながらタテを突破して右足でクロスをあげるようなプレーを取り入れて相手に守備の的を絞らせないようにしなければなりませんし、正確に味方にパスをつなぐ能力が不足しているのでそれも早急に改善していく必要があります。 
この夏にも移籍の噂がある彼ですが、もし移籍するにしてもアヤックスなど同じリーグのビッグクラブでレギュラーポジションを獲得し、エールディビジのゴール・アシスト総合ポイントで1位を取ってからステップアップしても遅くはないと思います。

原口選手 1.5 

オマーン戦では決勝点となる大事なPKを決め、イラン戦では相手にトドメを刺すダメ押しゴールを決めてくれました。トルクメニスタン戦では大迫選手のゴールをアシストし、大会を通じて守備でも豊富な運動量でチームを助けていました。
これは彼だけの責任ではありませんが、中島選手や大迫選手がいないとチームでボールをキープして攻める能力がガクンと落ちてしまうので、オフェンスリーダーの一人としてチームメイトと共にそうした問題点を解決していって欲しいです。

南野選手 1.5

準決勝イラン戦ではハードワークして大迫選手や原口選手のゴールをアシストし、決勝戦では待望の大会初ゴールを記録しましたがやや遅すぎました。初の公式戦で気負いがあったのかもしれませんが、シュートを打つときにテストマッチのように相手GKやゴールの位置を見る余裕があればもっと早くゴールが生まれていたのではないでしょうか。
今のところ中島選手や大迫選手など誰かから良いボールを供給してもらわないと生きないので、自分でボールをキープして周りを生かすパスを出すようなプレーの幅の広げ方をする必要があると思います。
ドリブルがやや強引すぎて相手3~4人に囲まれてボールロストしてしまうケースがあるので、そういう時は早めの判断で味方を生かすと自分も生きるでしょう。

伊東選手 2

ウズベキスタン戦では攻守にわたって出色の出来。積極的な守備からボールを奪い、スピードを生かして自らシュートを放ったりチャンスメイクしたりと攻撃面でも大活躍でした。他の試合でも左右両サイドを攻略するジョーカーとして、あるいは先発としてもっとチャンスが与えられるべきだったと思います。

乾選手 2 

ウズベキスタン戦では、抜群のボールキープ力で味方が攻めるためのポジショニングを取る時間をつくっていたのはさすがでした。
ただクラブで試合に出られていない影響か、後半になるとスタミナ不足でバテバテとなりミスを連発していました。クラブでレギュラーポジションを獲得できていない時は、自主的な走り込み等で90分走り切る体力を維持する必要があるように思います。

FW

大迫選手 1 

初戦のトルクメニスタン戦で格の違いを見せつけるような2ゴールをあげた後、負傷欠場してしまいましたが、戦線復帰した準決勝イラン戦ではPKを含む圧巻の2ゴール。卓越したポストプレーでタメをつくり味方が押し上げる時間をつくるなど、攻撃面で欠かすことのできないプレーヤーであることを証明しました。
ただ決勝戦では相手に研究され、あっという間に3~4人の相手に囲まれて得意のポストプレーを封じ込まれてしまいました。

武藤選手 2 

ウズベキスタン戦ではヘディングシュートから貴重な同点弾をあげるも、全体的に実戦勘の不足が目立つプレーが多く、ペナの中でシュート角度が狭くなる方へ切り返したり、ゴール中央方向にいる味方よりも遠いサイドにいた長友選手にパスしてしまったりと、ゴールの確率が低くなる方へ低くなる方へとプレーを選択してしまっていました。やはりクラブで試合に出続けることが最優先課題です。

北川選手 3 

将来有望な若者の一人ですが「国際経験不足」の一言。まずはJリーグで実績を残し、できれば海外挑戦していろんな経験を積むことでしょう。期待しています。




これは余談ですが、川口選手や楢崎選手に代表されるように、かつてはアジアトップクラスのGKを輩出していた日本も今ではさほど差を感じられなくなっているのが残念です。

冨安選手や立田選手など世界で戦える体の大きさを持ったCBが続々と出現し始めており、日本の育成の皆さんが本当にがんばったんだなと感謝の気持ちが絶えないのですが、こんどは世界で戦えるGKの育成をお願いしたいところです。

GKはチームにたった一つしかないポジションですし、もし外国人GKを取るなら日本人選手の育成が間に合わない応急措置としてやって欲しいのですが、J1リーグの水準に満たない外国人GKにお金を出して獲得し、J3や地域リーグのクラブに貸し出すという理解に苦しむことをやっているところがあります。

Jリーグ各クラブには、まず日本人GKの育成に投資することを最優先に考えて頂きたく存じます。


    ☆       ☆       ☆


森保監督の采配 2

オマーン戦やサウジ戦のような内容が続くならたとえ優勝しても続投は支持できないと考えていたのですが、準決勝イラン戦は結果も試合内容も非常に良く、W杯でベスト8以上を狙うつもりならあの内容が最低ラインではあるものの、森保監督の続投は支持できます。

しかしながら、昨年秋のウルグアイ戦で成功したシステムをそのままこのアジアカップにもってきたわけですが、その時のメンバーだった中島選手や大迫選手が欠けてしまうと攻撃の組織がほとんど機能せず、攻めるためにチームとしてボールをキープすることすらできなくなってしまうところは大きな問題。

トップ下の南野選手が中島・大迫両選手がいないと機能しなかったり、ボランチの柴崎選手がアジアレベルでさえ守備で穴になっているところなどは、システムとして再考の余地があるのではないでしょうか。

スタメンを固定せず、各選手を場合によっては複数のポジションで試したりして、その時点で最適の化学反応を起こしてくれる選手の組み合わせはどれなのか、このアジアカップで1試合ごとに試しながらチームづくりをしても良かったのではないかと思います。

若い選手の成長を促すためにあえて辛抱して動かなかったのかもしれませんが、選手交代も全般的に遅く保守的で、あまり効果的でなかったように思います。

特に左SBの長友選手の後継者不足は深刻で、湘南の杉岡選手など若手にチャンスを与えて欲しいです。

日本代表の監督は、日本人であるか外国人であるかに関係なく、もっともふさわしい人物がなれば良いという考え方ですが、戦術など世界のサッカーの進歩発展は欧州を中心に起こっているというのが現状ですので、やはり監督経験がJリーグのみだとどうしても不安が残ります。

先進地である欧州サッカーの研究はもちろんのこと、もし必要であれば本場FCバルセロナあたりから戦術面での相談役を招聘すると良いかもしれません。


    ☆       ☆       ☆


 3回に分けてアジアカップ2019における日本代表の戦いぶりを総括してみました。

この大会では冨安選手に象徴されるように若手がめざましく成長し、準決勝イラン戦では森保ジャパンの今後の戦い方のベースとなるような素晴らしい試合内容・インテンシティで勝利という結果を出してくれました。

しかし課題が3つ出たと思います。


(1)攻撃面での戦術や組織力の低さ

(2)相手の日本対策を打ち破るための応用力の低さ

(3)選手のメンタルの不安定さ


(1)に関しては(その1)で述べたように「三角パス」による攻撃のビルドアップや、いわゆるハーフスペースでフリーでボールをもって前を向くプレーヤーをつくって相手の守備組織を攻略するやり方を提案しました。

(2)に関しては(その2)で述べたように、例えば5秒間相手にプレスをかけてハマらず何かがおかしいと思ったら、いったん自陣に引いて守備ブロックをつくるという約束事を決めたり、相手のフォーメーションによって“偽SB”を使い、4-2-3-1と3-3-3-1を使い分けることを提案しました。

(3)に関しては、失敗を恐れずに常にチャレンジ精神をもち、目の前の試合で自分たちがやるべきことに集中することが試合に勝つために一番重要であること、もしカウンター恐怖症に悩む選手たちの助けとなるなら、「三角パス」を含むポジショナルプレーを日本代表に導入することを提案しました。

 (1)に関連する話ですが、この大会の日本代表は選手同士のコンビネーションの構築がなかなか進まず、大迫選手など特定の個人に頼らないとチームの攻撃が機能せずにカタールにチームの完成度で劣り、優勝を逃す結果となってしまいました。

特定の個人に頼らないとチームの攻撃が機能しないというのでは本当に困りますし、日本サッカーの強みである、選手同士が連動してボールを主体的に保持して攻めるサッカーをやるためには、代表チームでありながらクラブチームのような強化の仕方をする必要があると思います。

代表チームは4年で1サイクルとはいえ、実質的な練習時間や試合数が少ないですから、「アジア用の戦い方」と「世界との戦い方」を分け、ハリルジャパンのように1試合ごとに戦術もスタメンもとっかえひっかえしていると、いざ世界の強豪と対戦するときになって、選手同士の連携やチーム組織を熟成させていく時間が絶対に足りなくなるというのが、ロシアW杯直前のゴタゴタから得られた教訓です。

ですから代表チームであっても、ある程度同じサッカースタイルを継続的にやることで選手同士の連携やチーム組織を熟成させていく必要があります。

その場合、格下や同程度の実力の相手にやる、自分たちが主体的にボールを保持してグラウンダーのショートパス中心に攻めるサッカーをベースとし、格上相手であれば「堅守速攻型」で行くというふうに使い分けられればベストだと思います。

「堅守速攻型」で行くにしても、やはりグラウンダーのパスを使ったコレクティブカウンターを使うべきで、今まで何度も指摘しているように、ロングボールをポンポン放り込むサッカーをしていたチームに、W杯直前になって精緻なパスサッカーをいきなりやらせようとしてもそれは非常に困難ですから、自分たちのベースとなるサッカースタイルの選択を誤ってはいけません。

 森保ジャパンの次の目標はコパアメリカとなりますが、やはり真剣勝負の公式戦は、テストマッチでは得られない経験と成長を選手たちにもたらすということをこのアジアカップで再認識させられましたし、できるだけベストメンバーで臨みたいところです。

「コパアメリカで日本人選手が活躍すれば市場価値があがり、のちのち高く売れればクラブの財政面でも貢献してくれますよ」と言って、各クラブにも利益があることを強調して招集に協力してもらうというのはどうでしょうか。


〈了〉



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■アジアカップ2019総括(その2)

前回の続き

アジアカップ2019で露呈した森保ジャパンが解決すべき問題点の2つ目は、「相手の日本対策を打ち破るための応用力の低さ」です。

アジアカップ前の記事で、ウルグアイ戦などの映像を分析してアジア各国は必ず日本対策をやってくるので、相手の対策をピッチ上の選手たちでどう打ち破るのかが課題と書いておいたのですが、あまり上手くいったとは言えませんでした。

決勝戦のカタール戦に象徴されますが、ポストプレーをやろうとする大迫選手をカタールの選手3~4人があっという間に取り囲んでつぶしたり、バイタルエリアでのショートパスを使った日本の攻撃を警戒して、5つのレーンすべて、特にハーフスペースを埋めるためにカタールが5バックをチョイスしたりと、サンチェス監督によって森保ジャパンはかなり研究されていたと思います。

これに対して日本の選手は、大迫選手のポストプレーに頼り切りになったり強引な中央突破ばかりにこだわるのではなく、ハーフとバックが連携してサイドから崩す攻撃を織り交ぜることができれば良かったのですが、決勝戦の90分間で修正して勝利に結びつけることはできませんでした。

森保監督は選手の成長を促すために、選手自身の判断で問題を解決することができるよう、あえてピッチの外から正解となる指示を出さなかったのかもしれません。

当研究所も、選手が自分たちの判断でピッチ内の状況に応じた戦術を使い分けることができれば理想的であるということを何度も言ってきました。

しかし、選手たちがどう考えても正解を導き出せそうにないのにそれでも放置してしまうと、「選手が自分の頭で考えて正解を導き出せば日本サッカーは本当に強くなれる」と言って、2006年ドイツW杯で壊滅的な敗北を喫するまで4年間ほぼ自由放任状態だったジーコジャパンの失敗を繰り返しかねません。

カタールとの決勝戦では、相手が日本の4-2-3-1をしっかり研究し、5-1-2-2のシステムをぶつけてきたわけですが、選手たちはこれに上手く対応することができず、フォーメーションのミスマッチを突かれて前半の早い時間帯から立て続けに失点を重ねたことが痛かったです。

当ブログでも準々決勝のベトナム戦でのエントリーで、


相手と味方のフォーメーションを比較して、どう動けばどのエリアで数的優位をつくってパスを回し相手を崩せるか、それに対して相手がたとえば5-4-1から4-1-2-3に変えてきたらじゃあこちらはどうすれば良いかということを、ピッチ上の選手たちの判断で解決できれば素晴らしいですし、もちろんスカウティング等で相手が使えるフォーメーションを事前に予想しておいて、監督さんからの指示でやっても良いでしょう。




と述べたのですが、それが決勝戦で生かされずに残念です。

もしプレスがどうしてもハマらずに何かがおかしいと思ったら、いったん自陣に引いて4-4-2の守備ブロックをつくり、ゾーンで守ることで態勢を立て直しながらベンチの指示を待つというような約束事があったほうが良いと思います。

ピッチ上で走り回っている選手たちだけで、相手のフォーメーションの全体像をつかみ、ミスマッチがあれば自分たちのフォーメーションをどうするか、そのままではマズイのであればどう変えるべきかを判断して正解を導き出すのは、現状では難しいのかもしれません。

仮に正解がわかったとしても、それが普段まったくやったことのないフォーメーションでそれをいきなり機能させろというのも現実的ではありませんし、やはりスカウティング等で相手が使えるフォーメーションを事前に予想してトレーニングしておき、「相手が4-1-2-3できたらああする、5-1-2-2できたらこうする」という具体的な指示を監督さんから事前に出しておき、そのどちらでいくかはピッチ内の選手たちに任せるようなやり方のほうが良いのかもしれません。

5-1-2-2で来たカタールに対し、4-2-3-1のままで行くなら、決勝戦のエントリーで述べたように、GKから15番にパスが出たときに原口選手が食いついてしまうのはマズイと思います。(下図)

原口選手があがった後方にできる、ダブルボランチの脇のスペースが広く空いてそこを使われてしまいますし、15番からそのスペースへ前進した2番へ、あるいはいったんGKに戻してから2番へ、それぞれ浮き球のロングパスが出て通ってしまうと、日本の左サイドがピンチになってしまいます。

しかも南野選手が23番をフリーにしていましたから、前半は左サイドを中心にカタールにいいようにパスを回されてしまいました。

ですからたとえば15番にパスが出たら大迫選手が16番へのパスコースを切るように15番にプレスをかけ、原口選手は2番をマークして前を向かせないようにして、パスの出しどころを消せば良かったのではないでしょうか。



〇カタール(5-1-2-2)
   

    〇15番  〇16番   〇
         ▲大迫

 〇2番              〇
      
         〇23番
 ▲原口     ▲南野    ▲堂安


      〇     〇
      ▲     ▲



      〇     〇
 ▲    ▲     ▲     ▲


▲日本(4-2-3-1)



しかしながら、日本の4-2-3-1に対して5-1-2-2をぶつけられるとフォーメーション的に相性が良くないのは確かで、だからこそサンチェス監督は大事な決勝戦でそういう戦術をとってきたわけです。

「日本の4-2-3-1を破るにはこうすればいいんだよ」というのをサンチェス監督は証明してみせたわけですから、他の国もそれをマネして日本に襲い掛かってくることが予想されますので、やはり抜本的な対策が必要と考えます。

あそこまで完敗を喫したのでこういっても信じてもらえないかもしれませんが、カタールは日本より個の能力(特にフィジカルコンタクト能力)で劣っていたように思います。

個の能力で劣る相手に対しては、マッチアップで齟齬が起きないように4-2-3-1からフォーメーションを変更してマンマーク的に、局面によってはダブルチームをつくってプレスをかけ、ボールを奪い返すというのは一つの案です。

相手の5-1-2-2に対して、森保監督が広島時代に使っていた3-2-4-1を使う手もありますが、センターバックタイプを3枚使うシステムだと、相手がさらにフォーメーションを変更して4-2-3-1に戻したくなった場合、選手交代なしにそれが難しくなること、サンフレッチェの3-2-4-1は攻撃時に4-1-5みたいな形になるので、これまで再三指摘しているようにバイタルエリアの5つのレーンで選手がひしめき合ってお互い使いたいスペースをつぶし合ったり、ボールをロストした場合、致命的なカウンターアタックを浴びやすくなるなどの問題があります。

ペップ時代のバルサは5-3-2を使う相手に対し右SBのダニエウ・アウベスを中盤にあげて4-1-2-3から3-3-1-3みたいな形にして対応していたように思いますが、これを日本代表に導入したらどうかと思います。

つまりMFでもプレーできそうなスキルのある左SBの長友選手を中盤にあげ、冨安・酒井の両選手で相手の2トップを見て、吉田選手が1枚余る3-3-3-1にすれば、プレスをかけるときにもマッチアップ的に齟齬が生じませんし、中盤ではこちらが1枚余るのでダブルチームをつくりながら相手にプレスをかけることもできます。

マイボール時は長友選手が“偽SB”となって他のMFと連携しながら中盤で数的優位をつくりつつ、三角パスによる攻撃のビルドアップに参加してもらおうという狙いです。

相手がフォーメーションを変更して、こちらも4-2-3-1に戻したくなったとき、選手交代をすることなく、長友選手がDFラインに戻るだけで容易にシステム変更が可能となるのも利点です。(下図)

今後長友・酒井両選手の後継者を育てるとき、“偽SB”をこなせそうな選手をピックアップしていく必要があると思います。

〇相手チーム(5-1-2-2)
   

    〇    〇    〇
         ▲大迫

 〇               〇
      
         〇
 ▲原口     ▲南野     ▲堂安


      〇      〇
   ▲長友   ▲柴崎   ▲遠藤



     〇       〇
     ▲冨安 ▲吉田 ▲酒井


▲日本(3-3-3-1)



このシステムの弱点は、3バックの両サイドにスペースが空くことで、そこを相手に使われそうになった場合は、両サイドハーフ(原口・堂安)と長友・遠藤両選手がマークを受け渡しつつ守ることになりますが、中盤中央の守備の弱さ(柴崎選手)のところが気になります。

かといって守備力の低い柴崎選手をサイドにもってきて3バックの脇のスペースをカバーしてもらうのも不安ですし、4バックと3バックの併用という可能性を考えても、私は柴崎選手をピボーテ(ボランチ)で起用するのはあまり賛成できないんですよね。

彼は10番とか8番のインテリオールタイプの選手だと思っているのですが、どうしてボランチというポジションにこだわっているのでしょうか。

南野選手も誰かから良いボールを供給してもらわないと生きないということではなくて、自分のボールキープ力とパスで周りの味方を生かし、自分も生きるようなプレーの幅の広げ方を今後していくことが必要でしょう。

遠藤選手を吉田・冨安の両CBの間に落として、その代わり長友・酒井の両SBを中盤に上げる手もありますが、個人的には最近成長が著しい遠藤選手は中盤に残しておきたいです。

日本代表で4-2-3-1を最初に使ったのはオシム監督時代のアジアカップ2007初戦、くしくも同じカタール戦だったと思うのですが、あれから10年以上たちましたし、そろそろ4-2-3-1一本でいくのはキツくなってきたのかもしれません。

 アジアカップ2019で露呈した森保ジャパンが解決すべき問題点の3つ目は、「選手のメンタルの不安定さ」です。

代表各選手のメンタル面でこの大会ずっと気になっていたことは、日本はアジアカップ優勝を目指すチャレンジャーだったにもかかわらず、まるで前回優勝国がタイトルの防衛に失敗することを恐れ、気持ちで守りに入ったような消極的なゲーム運びが非常に多かったことです。

5バックの相手に苦戦したトルクメニスタン戦でカウンターから失点した後、まるで「カウンター恐怖症」にかかってしまったかのように、ロングボールをひたすら放り込んで、ショートパスによる選手同士が連動した攻撃のビルドアップを放棄したようなゲームが続きます。

オマーン戦やサウジ戦ではPKやセットプレーで1点取ったらそれをひたすら守り切るようなサッカーをやっていました。

準々決勝のベトナム戦では「責任は自分が取るからボールをしっかりポゼッションして攻めろ」という指示が監督さんからあったそうですが、自信なさそうなパスのつなぎ方でミスも多かったです。

ボールをロストしてカウンターを受けるのをまだ恐れているのか、ボール保持者が考えてパス・考えてパスというのを繰り返すので、パス出しのテンポが遅すぎて相手の守備をなかなか崩せませんでしたし、ちょっとでも不安を感じるとすぐバックパスしてしまうのでなお攻撃が遅くなってしまいます。

これはグループリーグから続いていたことですが、「うかつに飛び込んで相手に抜かれるミスをしたくない」と考えているのか、後ろにじゅうぶん人が余っていても、相手のボール保持者が前進した分だけズルズル後退してあっという間にゴール前に迫られ危険なシュートを打たれていました。

実際トルクメニスタン戦ではそれで失点もしていますが、ブラジルW杯コートジボアールとの初戦を見ているかのようでした。

準決勝イラン戦では「もう逃げられない」と腹をくくることができたのか、選手全員が自信をもってパスをつないで最高の結果を出せたのですが、決勝戦では再び気持ちで守りに入ったようなゲーム運びに逆戻り。

休養日が1日少ないカタールのサンチェス監督は「持久戦になったらスタミナ面で自分たちが不利。ましてや延長戦に突入すれば勝てる確率は限りなく低くなる」と考えたのでしょう、前半勝負で思い切った攻撃を仕掛けてきました。

これに対して日本の選手たちに「アジア最強のイランに勝ったので、格下のカタール相手なら自分たちがミスさえしなければ普通に勝てる」みたいな心のスキが生じてしまったのでしょうか、「ミスをしないように」相手の出方を慎重にうかがって受けて立つような試合の入り方をしてしまい、前半のうちに先制パンチを2発もらってダウン。最後までそれを取り返すことはできませんでした。

相手との心理戦でも完敗だったと思います。

アジアカップ決勝戦についてのナンバーの記事でオシム元監督が「運は勇気を出した方に味方する」と言っていましたが、勇気を出してキックオフから思い切って攻めてきたカタールに勝利の女神が微笑む結果となってしまったのは大変残念でした。

今回、若いべトナム代表の選手たちに学ばされたことは、失敗を恐れず、自信をもって自分たちのサッカーをやることの大切さです。

ベトナムの選手は日本より個で劣るのは明らか(10番のグエン選手はJ2水戸で定着できずに帰国)でしたが、自信をもってひたむきにパスをつないで走り回り、日本ゴールを脅かしていました。

「ミスしたらどうしよう」などという邪念がなく、すばやい決断で正確にパスをつなぐことだけに集中していますからミスが起こりにくく、日本が守備陣形を整える前に攻撃するという彼らの意図したサッカーはできていました。

しかし日本の選手たちがミスパスによるボールロストを異常に恐れるのも無理ないことかもしれません。

なぜなら日本は、どこからどこまでがその人の責任なのかが非常にあいまいで、本来その人がやるべき仕事ではなくても、その問題にちょっとでも関与していれば叩かれてしまう「無限責任社会」だからです。

トルクメニスタン戦では、ミスパスが結果的に失点につながったので堂安選手がマスコミから叩かれていましたが、当研究所は一切彼の責任を追及していません。

なぜなら攻撃の選手は得点することがもっとも重要な仕事であり、ボールロストする可能性が高いシュートを打ちラストパスを出さなければ自分の責任は果たせないからです。

そして攻撃の選手がボールロストしても簡単に失点しないようにバック4枚にダブルボランチの計6人もの選手が後ろに控えているわけですから、相手陣内で攻撃の選手がボールロストして(もちろんミスパスは無い方が良いに決まっていますが)もしそれが失点につながったのだとしたら、状況にもよりますが守備の選手にまず責任があると当研究所は考えます。

前述の堂安選手が叩かれたシーンは、ドリブルするアマノフの前に4バックとボランチ1枚(柴崎選手)がいて、柴崎選手が相手にしっかり詰めてシュートコ-スを消すという守備の基本を守っていれば、あれほど簡単にロングシュートから失点しなかったはずです。

ですからあの場面で本来批判されるべきなのは、守備の基本を怠った柴崎選手であり、守備力の低い柴崎選手をそのポジションで起用した監督さんであるというのが当研究所の考え方です。

それなのに、得点するためにボールを失うリスクをおかしてシュートを打ったりパスを出したりした選手がマスコミやサポから激しく叩かれて失点の責任を負わされるのであれば、ボールロストを恐れて前方へパスを出すのをためらう選手ばかりになってしまっても無理のないことです。

もちろん「攻撃の選手だから一切守備はやりません。自分がミスパスしても後のことは知ったことではありません」というのも現代サッカーでは困るのですが、基本は分業制。

ピッチを三分割したアタッキングサードで、ゴールをあげるためにボールを失うリスクのあるシュートやパスをすることは許容されなければなりませんし、攻撃の選手がそこでボールを失ったら、ダブルボランチから後ろの選手で責任をもって守り切る。

逆に失点する確率が高くなりますからダブルボランチから後ろの選手は、ボールをロストしないように前方へ正確にパスをつなぐ必要がありますし、通るかどうかイチかバチかのパスを出すことは避けなければなりません。

失点のリスクが一番高いディフェンディングサードでは、ボールをロストする可能性が高いすべてのプレー、通るかどうかイチかバチかのパスを出すことを避けるのはもちろんDFが相手FWをドリブルで抜こうとするのも厳禁です。

選手がボールロストによる失点を心配することなく、心おきなく攻撃できるようにしたいなら、前回記事でも述べたように、ボール保持者の前に多すぎる味方を配置するのを避け、攻撃しながらいつボールを失ってもいいようにフォーメーション全体のバランスを維持しながら「三角パス」で攻撃をビルドアップしていく、いわゆる「ポジショナルプレー」を日本代表に導入することを強くお勧めします。

アジアカップで露呈した森保ジャパンの問題点を3つあげましたが、戦術面や相手の日本対策を打ち破るための応用力の問題よりも、このメンタルの問題が一番の敗因だったかもしれません。

日本人選手はまじめすぎて心の余裕がなさすぎますし、マスコミの「日本はアジアカップ優勝の最有力候補」みたいな評判を気にしすぎじゃないでしょうか。

そういうことをいちいち気にして「優勝以外はすべて失敗だ」などと自分に余計なプレッシャーをかけ、大事な決勝戦で普段どおりの実力が発揮できないようになってしまうよりは、「失敗したらどうしよう」という邪念を一切振り払って目の前の試合で自分がやるべきことだけに集中し、自信をもって攻めのパスをつなぎ、自信をもってボールを奪い返すために相手に体を寄せる。

それをひたむきにやり続けることが、勝利という結果を出すために一番重要なことだと考えます。

アジアカップ決勝に敗れたことを教訓にして、W杯の予選・本大会などの重要なゲームにどういう入り方をするべきなのか、今後の日本代表にとって本当に重要な課題となりました。

 この大会を通じた代表各選手の評価でアジアカップ総括を締めくくりたいと思います。記事のアップは火曜夜の予定です。





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■アジアカップ2019総括(その1)

 これから3回の予定で、アジアカップ2019における森保ジャパンの戦いぶりを総括したいと思います。よろしかったら最後までおつきあいください。

ロシアW杯でベスト16という結果を出した日本代表の「各選手が連動しながらボールを主体的に保持して攻めるサッカー」を継承するということで代表監督に招聘されたのが、西野さんと同じ日本人である森保さんでしたが昨年秋のテストマッチでは好成績をあげ、このアジアカップも期待されました。

当研究所はアジアカップ前のエントリーで、森保監督続投を支持する条件として「試合内容にもよるが、ベスト4以上」を設定しておきました。なぜならどの世界にもプレッシャーがかかると、とたんに普段通りの実力を発揮できなくなってしまう人がいるからであり、アジアカップというプレッシャーがかかる公式戦で選手たちはもちろん、森保監督がどれくらいやれるのかを見てみたかったからです。

結論から言えば、準優勝という結果を出しましたし、準決勝のイラン戦では良い内容のゲームが見られましたので、森保監督の続投を支持いたします。

この大会での収穫は、冨安・遠藤・南野ら若手選手に、テストマッチと違って負ければ実際に痛みを伴う公式戦を経験させ、なおかつ彼らの成長が見られたことでしょう。

ただし本気でW杯ベスト8以上を狙うつもりなら、イラン戦における日本代表の試合内容、攻守におけるインテンシティが最低条件であり、さらにあれから着実にレベルアップしていかないといけません。

この大会、日本はすべて90分以内の勝利で決勝戦までたどり着きましたが、準々決勝ベトナム戦までの試合内容はお世辞にも褒められたものではありませんでしたし、決勝のカタール戦では戦術面やチーム組織の完成度で相手に劣り、優勝を逃す結果となってしまいました。

アジアカップで露呈した森保ジャパンが解決すべき問題点は3つあったと思います。

(1)攻撃面での戦術や組織力の低さ

(2)相手の日本対策を打ち破るための応用力の低さ

(3)選手のメンタルの不安定さ


それでは(1)の「攻撃面での戦術や組織力の低さ」から述べていきます。

初戦のトルクメニスタン戦(その1 その2)では、攻守両面で組織ができておらず、まるでプレシーズンキャンプが終わったばかりのチームのようでした。

多くの代表選手がシーズン中の欧州から来ていたのにいったいどうしたことかと思ったのですが、つづくオマーン戦では守備組織はまともになったものの、チームでボールをキープして攻撃するということがほとんどできず、試合の後半はロングボールをポンポン放り込んでは簡単にロストし、オマーンに圧倒的にボールをポゼッションされて防戦一方となりました。

グループリーグの1位通過をかけて戦ったウズベキスタン戦は、普段あまりやったことのないサブ組主体の急造チームで臨みましたが、これが意外にも攻守に組織的なサッカーができており2-1で逆転勝ち。

ところが主力組が復帰したサウジとの決勝トーナメント1回戦は、攻撃面での組織力や戦術でサウジに大きく見劣りがし、相手に圧倒的に攻められましたが、セットプレーのワンチャンスをものにしてゲットした1点を最後まで守り切っての辛勝。

日本にとっては守備の良いトレーニングにはなりましたが、セットプレー以外まったく攻め手がなく、サウジにあえて攻めさせていたのではなく、攻めたくてもセットプレー以外まったく攻め手がなかったというのが実際だと思います。もしCKからのあの1点がなければサウジに圧倒的に攻められてもずっと耐え続け、0-0のままPK戦に持ち込む以外、日本に勝機はなかったでしょう。

準々決勝のベトナム戦、報道によれば森保監督から「責任は私が取るから、自信をもってパスをつないでくれ」という指示があったそうですが、ミスが多くぎこちないパスのつなぎ方ながらも、ようやく「各選手が連動してボールを主体的に保持して攻めるサッカー」が見られるようになりました。

そしてベトナム戦が良いウオーミングアップとなったのか、準決勝のイラン戦ではエースFWの大迫選手が復帰したこともあって、自信をもってテンポよくパスをつなぐ素晴らしいサッカーで3-0の完勝。

しかし決勝戦では大きなワナが待ち構えていました。チーム戦術と組織の完成度に勝るカタールに完敗を喫してしまったのです。(その1 その2

今回サウジ・カタールの両代表を見て思ったのは、今から10年ぐらい前の、自陣にこもって守りを固め、身体能力の高いFWへロングボールを放り込む時代遅れのカウンターサッカーは完全に姿を消し、足元の技術がしっかりした選手を多く育成し、FCバルセロナの育成出身であるカタールのサンチェス監督に代表されるようにスペインから能力の高い指導者を招聘することで、戦術的にも洗練された現代的なパスサッカーのチームに変貌していたということです。

ボールを扱う技術で日本の選手を上回るプレーヤーが出現し始めているのもそうなんですが、日本代表がチーム戦術や組織力の面でサウジやカタールに劣っていたという現実を、日本サッカー界全体として深刻に受けとめなければなりません。

ロシアW杯の後、突然日本サッカー協会が「ジャパン・ウェイ」を提唱し始めましたが、日本人の特徴を生かしたサッカーをやるのは大賛成ですし、当研究所もずっとそれを訴え続けてきました。

しかしジーコジャパン時代の「個の自由」みたいに、日本代表が世界の潮流からまったく外れたガラパゴス的進化を遂げ、ガラパゴス諸島(日本列島)から一歩でも外に出たら生きていかれない(サッカーに勝てない)ようになってしまうのであれば本末転倒です。

「ジャパン・ウェイ」も結構ですが、欧州を中心とする世界最先端のサッカーから優れたものは進んで取り入れるべきです。

森保ジャパンが、カタールに戦術や組織力で劣っていたのは特に攻撃面で、得点チャンスを作り出すために、チーム全体でボールをキープして相手ゴール前まで運ぶ、攻撃のビルドアップ時に使われるグループ戦術が一つ目。

敵チームはこちらに自由に攻撃させないようパスコースを切るようにプレスをかけてきますが、相手のそうした動きを上回るスピードで、グラウンダーのパスを受けられるようにポジション修正をし、味方のボール保持者に複数のパスコースを用意してあげなければチーム全体でボールをキープして攻撃することはできませんが、森保ジャパンはこの部分でカタールやサウジに劣っています。

ウルグアイ戦に象徴されるように昨年秋のテストマッチでは、森保ジャパンが素晴らしいパスサッカーで結果を出してくれましたが、それは中島選手や大迫選手が卓越した「個の能力」でボールをキープして味方が攻めあがる時間をつくってくれていたおかげであり、彼らがいないアジアカップの試合では、森保ジャパンはチーム全体でボールをキープして攻撃することがほとんどできず、特定の選手がいなければチーム全体の攻撃が機能しないというのでは本当に困ります。

逆にカタールやサウジは、ある選手にパスが渡ると周囲の選手2人がすっとボール保持者に寄せ、一辺が7~10mの三角形をつくるようにサポートし、半身でボールを受けてすっと前を向きパスを出すというシンプルな作業を繰り返しながら、流れるようにチームで攻撃をビルドアップして多くのゴールチャンスをつくっていました。

両チームともバルサOBが監督を務めていたことからもわかるように、これはバルサの攻撃戦術の基本中の基本です。

こうした優れたグループ戦術をマスターすれば、特定の選手の能力に依存することなく、誰が出てもチーム全体でボールをキープして攻撃することができるでしょう。

中島選手や南野選手に代表されるように、日本代表は攻撃面で体が大きくないプレーヤーが多いですから、グラウンダーのパスで攻撃を組み立てていった方が彼らのストロングポイントを十分に引き出せると思います。

そうした理由もあって、当研究所は以前からバルサの「三角パス」を日本サッカー界に導入するよう提唱してきましたが、グアルディオラ監督は自分の戦術を現地の実情に合うように適応させつつも、ドイツ(バイエルン)でもイングランド(マンチェスターC)でもリーグ優勝という形で、「三角パス」が決してスペインサッカーだけに有効な戦術ではないことを証明しており、今回アジアカップ決勝戦で日本代表も嫌というほどその効果を見せつけられたのですから、日本代表はもちろん育成レベルに至るまで日本サッカー界全体が本気になって取り入れるべきです。

その手始めとして、ペップが「あらゆるエッセンスがつまっている」というロンド(鳥かご)のやり方から変えていくべきではないでしょうか。

日本では8人ぐらいで円陣を組み、その中に守備側の選手2人がいてボールを追いかけるというロンドをよく見かけますが、それは間違いではないものの、実戦でそのようなシチュエーションはまず起こらないので、ややもすれば「練習のための練習」になってしまいがちです。

そこで、3人の選手で一辺が7mの三角形をつくり、その中心に1人の守備選手を置いて、できるだけ一辺7mの三角形を保ちながら必ずグラウンダーでパスをつないでいくロンドをやれば、より実戦的になると考えます。

その際、パスを受ける適切なポジショニングやボールを受けるときの正しいボディシェイプ、味方の受けやすさを考えたパス出しを徹底させます。

「それじゃ簡単すぎて守備側がボールを奪い返せないよ」という人がいるかもしれませんが、それで良いのです。

プレスをかけてきた相手選手をグループで簡単に抜いて前進し、攻撃するための戦術なのですから。

もし難易度をあげたかったら一辺が7~10mのひし形を4人の選手でつくり、守備側を2人に増やしてやれば良いでしょう。

 カタールに比べて森保ジャパンが見劣りしていた攻撃戦術の2つ目は、相手の守備組織を崩してゴールを奪う「攻撃の最終局面の戦術」です。

当研究所はペップ時代のバルサの攻撃シーンを研究し、そこから抽出した戦術上の原理原則を「パスサッカーにおける攻撃の最終ステージの戦術」として既にまとめています。

リンク先の記事を読んでもらえばわかると思いますが、その原則とは

(1)相手4バックの前に広がるバイタルエリアの5つのスペース(レーン)において、それぞれのスペースに入れる選手は1人のみ。

(2)その5つのスペース(レーン)のうち、中央をはさんだ両脇(いわゆるハーフスペース)でボールをもって前を向くことで、相手守備組織を崩すための決定的な形をつくっている。

(3)スペースをつぶさないように、味方のボール保持者より前にいてバイタルエリアの5つのスペース(レーン)に侵入する選手はできるかぎり3人以下が望ましい。どんなに多くとも4人まで。

「ポジショナルプレー」や「5レーン理論」という用語が近年流行していますが、ペップ時代のバルサをよく見ていた人なら、前述のような原則はずっと以前から知っていたと思います。

アジアのサッカーで、このレベルの戦術の話をする日がこんなに早く来るとは思ってもいませんでしたが、カタールのサンチェス監督がバルサ出身であることを踏まえれば、決勝戦におけるカタールの2点目のシーンにおいて、6番のハティムが日本のバイタルエリアのあの場所でパスを受けて前を向いたのは偶然ではないことがわかります。

ハティムがパスを受けたのは、CB(吉田選手)とSB(長友選手)のゾーンのギャップであるハーフスペースであり、ここでボールをもってフリーで前を向けたらバルサの戦術的には半分以上勝ちと言えます。(前半34分にもカタールの同じ形の攻めが繰り返し出てきます)

そして19番のアリが冨安選手を引っ張ってハティムを助けつつ、シュートしたい自分が生きるためにウラへダイアゴナルランしています。

こうした意図のある連動した攻撃によってあのゴールが生まれたわけですが、たった2人で4人で守っていた日本の守備網を崩している点にも注目です。

カタールの1点目も同様ですが、バイタルで張っている選手が多ければ多いほどゴールの確率が高まるものではない、優れた戦術と個人技の組みあわせによってゴール前の数的有利・不利はあまり関係なくなるということです。

一方、森保ジャパンの「攻撃の最終局面の戦術」はこうした原則や約束事がなく、各選手の即興のアイデアだけで行われているように見えます。

バイタルエリアの1つのレーンに複数の選手が重なってしまったり、バイタルエリア全体に4人も5人もの味方が張り付いてスペースをつぶしてしまったり、ボール保持者より前にいる選手が多すぎるので、前掛かりになって攻めている時にボールロストすると致命的なカウンターアタックを浴びてしまう可能性も高くなります。

現代サッカーは攻撃も守備も一体であり、攻撃をビルドアップするときに「三角パス」を使うのも、シュートチャンスを確実に増やすのみならず、ボールを失っても失点につながるような危険なカウンターアタックを浴びないようにするという目的があるのです。

森保ジャパンも、相手の守備組織を崩してゴールを奪う「攻撃の最終局面の戦術」に、バルサ・メソッドを取り入れるべきです。そうすれば、中島・南野・堂安・大迫ら日本人選手の高いポテンシャルをより一層引き出すことができると思います。

「三角パス」のやり方をふくめ、本格的な指導を受けたいというのであれば、バルサの広告スポンサーになっている楽天の三木谷さんや神戸でプレーしているイニエスタにお願いして、バルサ・メソッドを日本代表に導入するための“伝道師”を本場カタルーニャから派遣してもらったらどうでしょうか。

つづく



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■日本代表、アジアカップ優勝を逃す(その2)

 前回のつづき

 選手個々の評価ですが、この試合で平均点以上の特筆すべき活躍をした選手はいなかったように思います。

すべてが彼の責任とは言い切れないものの、吉田選手は3失点にからんでしまいました。

カタールの19番アリにオーバーヘッドキックから先制点を許したシーンですが、ゴールに背を向けてボールを受けようとする相手に対し、それがグラウンダーのパスであれば、相手の背中に自分の体を密着させると、そこを軸にしてボールと一緒に前方にターンされて抜かれてしまいます(南野選手の得意なプレーですね)が、浮き球のパスが来た場合はボールと一緒に前方にターンするのが難しいですから、相手の背中に自分の体を密着させ、後ろから足を出してボールを蹴りだすのがセオリー。ファーストトラップには間に合わなくてもアリの2回目か3回目のボールタッチの際に後ろから足を出してボールを弾き出してしまえば、あのゴールは防げたかもしれません。
2失点目は、相手の6番ハティムのシュートをまず褒めるべきですが、吉田選手が最初にタテを切りに行って逆を取られ、中(ゴール中央方向)へのシュートコースを空けてしまったところを打たれたように見えました。
やはりシュートの角度が広くなる中をまず切るのがセオリーでしょうし、ハティムに左足のシュートがあるという情報があればなおさら中(自分から見て右)を切るべきでした。
3点目のPKを取られたシーンですがあれは不運だったとしか言いようがありません。

原口選手は、相手のセンターバック3枚のうちの左15番にパスが渡った時にプレスをかけに行ってしまったので、味方のボランチの横にスペースが空いてしまい、そこに2番のウイングバック(WB)などの相手選手が入り込んで、同じくフリーになっていた相手のアンカー23番とともに日本の左サイドを崩される一因となっていました。
あえて15番にはボールを持たせてWBをマークし続けるか、どうしてもプレスが上手くかからなければ、ボランチの横まで下がって4-4の守備ブロックをつくってゾーンで守ると良かったように思います。
ただし、ピッチ上の選手たちだけでは相手の守備陣形全体をゲーム中に見渡すことはなかなかできませんし、試合前に森保監督が、相手が4バックだった場合と5バックだった場合でどう対応するか具体的な指示を出しておくべきだったと思います。

南野選手は、大迫選手が落としたボールを受けての鋭いターンからウラへ抜け出し、相手GKの動きを冷静に見切って浮かしたシュートから今大会待望の初ゴールをあげたプレーは素晴らしかったです。
ただし、守備の場面では相手のセンターバック3枚にプレスに行ってしまったため、相手のアンカー23番が中盤の底でフリーになり、前半に2失点してしまうもう一つの要因になってしまいました。南野選手の判断で23番をマークし続けることができれば良かったのですが、やはり試合前に監督さんからそういう指示があるべきだったと思います。

柴崎選手は、イラン戦では数々の好プレーが見られましたが、この試合ではまったく影を潜めてしまいました。
パス出しのテンポが遅く、しばらくボール持って考えてパス・考えてパスというシーンが多く、チーム全体の攻撃リズムを悪くしていました。
前半24分に右サイドからピッチ中央方向にいた塩谷選手へのパスがミスになって相手のカウンターを浴びたシーンに代表されるように、この大会ずっと気になっているのが、味方の足元に出したのかスペースに出したのかわからない中途半端なパスが通らずにボールをロストするミス。自分のパスでチームを勝たせたいという気持ちが空回りしているのかもしれませんが、味方の足元にビシッと正確なパスを通して欲しいです。
また、味方からボールを受けるときのボディシェイプがいつも悪く、相手ゴールに背を向けてパスを受けるので、スムーズに前を向けないためどうしても無駄なバックパスが増えてしまいますし、相手ゴールに背を向けてパスを受けて前へターンする瞬間に相手に寄せられてもう一度後ろを向かされてチームの攻撃が遅くなるという場面も見られます。極めつけは前半19分、背後から相手が来ているのが見えずにボールを奪われ(パスを受ける瞬間、相手ゴールに背を向けているから見えなくて当然)、相手をファールで止めてイエローをもらったのは非常にまずいプレーでした。こういうことは半身で味方からパスを受けるという正しい習慣を身につければ防げることです。
さらに、チームで上手くパスが回らずに攻撃が停滞している時、柴崎選手に積極的にパスを受ける動きをしてもらいたいのですが、足を止めて誰かを指さしてコーチングしているケースが散見されるなど、この試合は中盤の底から日本代表の攻撃をつかさどる司令塔としてはプレーの質・量ともに失格の出来でした。


    ☆       ☆       ☆


 森保監督の采配について振り返りますと、カタールのサンチェス監督の戦術に攻守両面で完敗でした。

中盤でパスをつないでボールを相手ゴール前まで運んでいく攻撃のビルドアップ時の戦術も、適切な距離(7~10m)で三角形をつくりながらスムーズにパスをつないで行くカタールに比べ、日本のパスワークは、ギクシャクしてミスの多いものでした。

ここまで威力を見せつけられたのですから、日本サッカー界もバルサ流のパスのつなぎ方を導入することを強くお勧めします。

またアタッキングサードで相手の守備組織を崩してゴールを奪う攻撃の最終局面でも、バルサ流の戦術によってカタールの選手の頭の中がスッキリと整理されており、どこのスペースでパスを受けて前を向き、どのタイミングで相手DFのウラへランしたりスルーパスを出すかの共通理解が出来ていて、普段のトレーニングで良く訓練されていることが一目でわかりました。

これも日本サッカー界がどんどん取り入れていくべきことです。

守備面では、相手の5-1-2-2フォーメーションに選手たちが戸惑い、プレスがうまくかからずに前半の早い時間帯から2点を失ってしまいました。

前からプレスに行くにしろ、引いて守備ブロックをつくるにしろ、各選手が自分たちの判断で上手く対応してくれることを望み、あえて何も指示を出さなかったのかもしれませんが、相手のフォーメーションをピッチ上の選手たち全員がすぐに把握して自分たちのフォーメーションをそれに合わせてプレスをかけるというのは、今の日本代表選手たちには難しかったようでした。

アジアカップの決勝戦という試合の重みからすれば、選手たちの成長のための“捨てゲーム”にするにはあまりにももったいないですし、相手が4-1-2-3や5-1-2-2を使い分けているということはこの大会のスカウティングでわかっていたでしょうから、せめて相手が4バックで来たときはこう、5バックで来たときはこう対応すると試合前に各選手に情報を入れておき、そのどちらで行くかはピッチ上の選手たちに任せるというやり方の方が良かったと思います。

シュートが得意な利き足はどちらなのか、相手チーム全員分のデータを試合前に日本の選手に与えておけば、カタールの2点目は防げたかもしれません。

選手起用については、後半立ち上がりからカタールがバテバテなのは明らかで、早い時間帯に1点返せれば一気に逆転、あるいはそれができなくとも同点に追いついて延長戦に持ち込むことは可能だったと思います。

それを考えれば、後半5分までに足の速い伊東選手を左右どちらかのサイドハーフに入れれば、足の止まったカタールは相当キツかったと思うのですが、いかがでしょうか。

後半17分に投入した武藤選手が機能したようには見えませんでしたし、伊東・乾両選手の投入も遅かったように思います。


    ☆       ☆       ☆


 アジアカップ2019決勝戦、日本は1-3でゲームを落とし優勝を逃してしまったという結果は大変残念でしたし、試合内容も、攻守両方の戦術で完敗でした。

準決勝のイラン戦では、迷いがなくて攻守にインテンシティの高い素晴らしいゲームを見せてくれた日本代表でしたが、この試合は「失敗に対する恐れ」という大きな岩を各選手が背負ってプレーしているような、重苦しいサッカーをやっていました。

前半に限って言えば、どちらが1日多く休んだチームかわからないほどで、コートジボアールとのブラジルW杯の初戦になんとなく似ていたように思います。

試合に負けてしまったことについては悔しいのですが、アジア最高峰のパスサッカーをやる両チームの激突は見ごたえがありました。

ベストを尽くした結果がこうなってしまったことに関しては受け入れるしかないので、今年秋には始まるW杯アジア予選や2022年W杯本大会のために、良いチームを作り直して再びチャレンジするだけでしょう。

 次回は、アジアカップ2019の日本代表の戦いぶりはどうだったか、今後のチーム強化はどうすべきか、総括してみたいと思います。

今度の土日あたりをめどにアップする予定です。

〈了〉




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■日本代表、アジアカップ優勝を逃す

 昨日、アジアカップ2019決勝戦、日本対カタールの試合がUAEのアブダビで行われ、日本は1-3と敗れて優勝を逃してしまいました。

対戦相手のカタール代表は、スペイン4部でプレーする1人を除き、全員が国内リーグでプレーしています。

その戦力評価は、ホームで日本の勝利、アウエーで引き分けが一番確率が高い結果と見ていました。
中立地では当然勝利が求められる相手でしたが、敗戦という結果は非常に残念。日本の試合内容も悪かったと思います。

テストマッチではアウエーでスイスを破り、この大会のグループリーグでも北朝鮮に6-0と圧勝、サウジにも2-0で勝利し、それらポイントが加算されて当研究所のカタールの格付けが急上昇していたので警戒していたのですが、試合内容的にも完敗でした。

1失点目は、センターサークル付近で日本がボールを失ってからカタールに8本のパスをつながれ、ゴール前での一対一でやられたもの。

2点目は、やはりセンターサークル付近でボールをロストしてから22本のパスをつながれ、日本の守備ブロックを中から崩されて打たれたミドルシュートからでした。

ボール保持者を適切な距離でサポートする三角形をつくり、相手の守備ブロックをパスで外から内から崩しつつボールをバイタルまで運んでシュートを打つ。

ペップ・グアルディオラや彼が率いたFCバルセロナのサッカースタイルを高く評価してきた当研究所からすれば、カタール代表のフェリックス・サンチェス監督の戦術は非常になじみのあるものでしたが、それもそのはず。

私は彼の経歴をまったく知らなかったのですが、サンチェス氏はバルセロナで生まれ、1996年から10年間バルサのマシア(育成組織)で指導し、2006年からカタールの育成組織アスパイア・アカデミーに移籍、長期の育成計画に従ってバルサ流の組織サッカーをカタールに導入し、2014年U-19アジア選手権で優勝、そして今回のアジアカップ優勝と、バルサ流のパスサッカーの破壊力をあらためて思い知らされました。

クライフに代表されるオランダにルーツをを持つバルサやスペイン流のパスサッカーこそ日本人選手の特徴にあっているし、日本代表にこそこういうサッカーをやってもらいたいとずっと考えてこのブログを長年運営してきた筆者にとって、相手にそれをやられてしまい非常に悔しい一戦となってしまいました。

しかし下を向いて立ち止まっていても何も始まりませんし、パニックになる必要もありません。

この敗戦から何を学び、日本のサッカーをより強くするために何をするべきか考え実行していくことが一番重要です。そのためにも日本代表の試合内容がどうだったか現実から目をそらさずに振り返っていきます。

ちなみにこの試合を裁いたのはイルマトフ主審らウズベキスタンのセットでしたが、判定がカタールに有利なものが多かった気がします。しかし日本の方が前の試合より1日長く休みことができ、カタールは後半から完全に足が止まってバテバテだったのですから、この試合に限っては判定の不利は言い訳になりません。


 
    ☆       ☆       ☆



 この試合の敗因は二点あると思います。

一つ目は戦術面で完敗だったこと。

日本の4-2-3-1に対してカタールは5-1-2-2のシステムで対抗してきましたが、前半はプレスが上手くかからずにパスによる相手の攻撃のビルドアップを効果的に妨害することができませんでした。

トップ下の南野選手が大迫選手と一緒に相手センターバック3枚にプレスをかけに行ってしまい、カタールのアンカー(23番)が中盤の底でフリーになって上手くパスを回され、さらに原口選手も3バックの右15番にプレスに行ってしまったので、相手の右ウイングバック(WB)2番を誰が見るのか混乱し、ゴール前での吉田選手の一対一の対応のまずさもあって前半12分の失点を招いてしまいました。(前半15分までは、カタールのボール保持率57%)

南野選手が相手の23番を見て、2番と3番の左右WBは原口・堂安の両サイドハーフが見るようにし、相手の3バックには大迫選手が1人でつき、あえてボールを持たせるようにすれば良かったのではないでしょうか。

同じフリーでボールを持たせるにしても、前にいる選手よりも後方のCBに持たせた方がリスクが低いですし、ボールを持った相手CBが前進してきてサイドでWBと連携したとしても、相手の2トップをこちらのCB2枚とボールサイドと反対側のSBの3枚でみれば、サイドでも数的不利にはなりません。(下図)

4バック系には2トップを、3バック(5バック)系には1トップを当てるとフォーメーションのミスマッチをつくることができますから、相手の5-1-2-2に対し、森保さんお得意の3-4-2-1をぶつければズレが無くなるはずですが、最近ずっと使っていませんでしたから、どちらにせよピッチ上の選手たちの判断で対応するのは難しかったと思います。

カタールが4-1-2-3や5-1-2-2を使い分けていることは、この大会をスカウティングしていれば分かっていたことですし、試合前に相手がどちらできても対応できるよう選手に準備させることができなかったことは、戦術面で森保監督らのベンチワークに問題があったのではないでしょうか。




〇カタール(5-1-2-2)
   

    〇15番  〇    〇
         ▲大迫

 〇2番              〇
      
         〇23番
 ▲原口     ▲南野    ▲堂安


      〇     〇
      ▲     ▲



      〇     〇
 ▲    ▲     ▲     ▲


▲日本(4-2-3-1)



もし「大事な決勝戦で失敗はしたくない」という気持ちが日本の選手の中で強くなりすぎて、立ち上がりから消極的で受け身なサッカーをやってしまったのであれば、それがこの試合の敗因の二つ目であり、もしかしたら戦術面の問題よりもこちらの方が敗因としては大きかったかもしれません。

仮にフォーメーションのミスマッチを相手に突かれ、前からのプレスがハマらなかったとしても、動揺せずに落ち着いて自陣に4-4-1-1のコンパクトな守備ブロックをつくり、ゾーンディフェンスでマークを受け渡しつつ守れば問題無かったはずです。

実際、最初の失点シーンもセンターサークル付近の相手陣内でボールを失った瞬間、ボールの前に日本のフィールドプレーヤー8人が戻っていたのにそこからパス8本つながれて失点し、2点目もやはり相手陣内でボールをロストした瞬間、ボールの前に日本の選手がほぼ全員いたのに、そこからパス22本をつながれて失点したわけです。

一部マスコミが「2点ともカウンターからやられた」と間違ったことを書いていましたが、2点とも相手が攻撃を仕掛ける基点のパスを出した時点はもちろん、ゴールとなるシュートを打った瞬間も日本の守備の人数は十分そろっていました。

それでもやられてしまったのは、「大事な決勝戦だから失敗しないように慎重にいきたい」という気持ちが強すぎて、日本の選手が相手の攻撃を受けて立つような消極的な試合の入り方をしてしまったからではないかと思います。

「うかつに飛び込んで抜かれたくないから」と考えて、相手がパスを回したりドリブルで前進するのをズルズルと下がって見てしまい、相手にいいようにパスを回され前半の早い時間帯から失点を重ねていったように見えました。

次回エントリーの選手個々の評価で詳しく述べますが、最初の失点シーンで、浮き球をトラップする19番のアリを吉田選手が見てしまったのも、ヘタに体を密着させて抜かれたくないという気持ちから出たミスではないでしょうか。

イラン戦で見られたような中盤でガチガチ相手に当たりに行ってボールを奪うようなインテンシティの高い日本の守備がこの試合ではほとんど見られませんでしたが、やはり「大事な決勝戦で失敗したくない、相手に抜かれたくないので慎重に行きたい」というメンタルの問題が関係していたのではないかと考えています。

ブラジルW杯の初戦となったコートジボアール戦が典型的な例ですが、大事な試合になるほど失敗を恐れ、受け身で消極的な精神的に守りに入ったサッカーをして自分たち本来の力を発揮できないまま負けてしまうというのは、日本サッカーの本当に悪いクセ。

この試合の立ち上がりの森保ジャパンの守備の仕方も、コートジボアール戦で先制した後のザックジャパンと良く似ていました。

 攻撃も守備と同様、戦術面で完敗だったことと選手の気持ちの持ち方が消極的すぎたという二つの敗因があったのではないかと考えています。

まず戦術面で完敗だったことについて

カタールのパスのつなぎ方は非常にスムーズでミスが少なかったですね。

ある選手にパスが渡ると、周囲の選手2人がすっとボール保持者に寄せ、一辺が7~10mの三角形をつくるようにサポートしながらパスをつないでいくのですが、こういう約束事が決まっているから、無理のない体勢でパスを受けて前を向くことができ、大きなサイドチェンジを除けば、味方の足元へ出すパスも短い距離で済むトラップしやすい強さのパスなので、ボールがなめらかに正確につながっていきます。

これはバルサ流の攻撃戦術です。

森保ジャパンのパス回しにはこういう約束事がないので、パスをつなぐにしてもギクシャクしてミスも多いです。

ボール保持者をサポートする選手の距離が遠すぎたり近すぎたりとバラバラで、15m以上の遠距離にいる味方へタテパスを出すケースでは、途中で相手にカットされないようにパススピードがどうしても速く強くなるので受け手のトラップがミスになったり、スペースのどのポイントでパスを受けるか出し手と受け手に共通理解が無く、受け手が予想しなかったところへパスが出たため無理な体勢でパスを受けざるをえず、次に出すパスが不正確になるという多重ミスが起こる原因になっています。

逆に3m以下の近すぎる距離でパス交換していると、相手のマーカーも集まって来てスペースが無くなり、攻撃が手詰まりになってしまいます。

日本の選手がボールを受けるときのボディシェイプも悪く、相手ゴールに背を向けてパス受けるので、ムダなバックパスが多くなって攻撃が遠回りになってしまいますし、前半19分のプレーのように、背後から相手が迫っていることに気づかなかった柴崎選手がパスを受けた瞬間ボールを奪われ、ファールで止めるというミスの原因にも。

2点目が典型的ですが、カタールのバイタルエリアでの守備組織の崩し方もバルサのニオイがプンプンするものでした。

バイタルにいた6番ハティムにパスが入って前を向いた瞬間に、19番のアリがDFラインの背後へランし冨安選手がついて行きます。

ハティムはアリへスルーパスを出す選択肢もありましたが、アリが冨安選手を引っ張って空けたスペースにドリブルしてのシュートを選択し、これが決まって痛すぎる2点目を奪われました。

だから当研究所はいつも言っているじゃないですか。日本の選手は相手DFラインのウラへ走りこむタイミングもスルーパスを出すタイミングも早すぎる、味方がバイタルエリアで前を向いてからダイアゴナルランし、それからスルーパスを出しても遅くはないと。

実際ボランチの柴崎選手が相手のアンカーの前からDFラインの背後へ20m近いスルーパスを出して堂安選手が追いつけないシーンがあったと思いますが、中盤でのパスのつなぎ方はもちろんバイタルエリアで相手守備組織を崩す戦術も、残念ながら森保ジャパンの方が見劣りがしていました。

「大事な決勝戦で失敗はしたくない」という気持ちが日本の選手の中で強くなりすぎてしまったことが、攻撃面で上手くいかなかったもう一つの原因だったように思います。

イラン戦での日本選手のパス出しには一切の迷いがなく、パスをつなぐときのテンポも非常に良くて、あのような素晴らしい攻撃につながったのですが、この試合では「大事な決勝戦で失敗したくない。パスがミスになって反撃を受けたくない」という気持ちが強くなりすぎたのか、攻撃をビルドアップするときの中心である柴崎選手を筆頭に、ボールを受けて考えてパス、考えてパスというケースが前半はとても多く、それが日本の攻撃をノロノロと遅く、相手が予測しやすいものにしていました。

パスをつないで中盤で攻撃をビルドアップしていく局面では「考えたら負け」で、前方にフリーな味方がいたらその味方がフリーでいられる間にオートマティックにどんどんパスをつないで、できるだけ短時間のうちに、相手の守備陣形が整わないうちに、バイタルエリアにいる味方にボールを持って前を向かせることが、より多くのゴールを奪うために重要なポイントなのです。

で、バイタルエリアにいる味方がボールを持って前を向いてから考える。

DFラインの背後へランする味方へスルーパスを出すか、ワンツーで突破するか、自分のドリブルで抜くか、それとも相手DFの前からシュートを決めるか、もちろん何秒も考える時間はありません。一瞬で決断しなければなりませんし、だからこそこういうシチュエーションを練習で意図的につくって何度も練習する必要があるのです。

 というわけで、この試合で日本の攻撃も守備も上手くいかなかったのは、戦術面で相手に完敗だったことと、日本の選手たちのメンタルに問題(大事な決勝戦で失敗はしたくないという気持ちが攻守に消極的なプレーにつながった)があったことの、二つの敗因があったように思います。

相手の足が止まった後半は、日本の選手も積極的に攻撃して1点返すことができましたが時すでに遅し、あの迷いのないパスのつなぎ方、攻撃の仕方を前半から出来ていたらこのゲームの結果も違ったものになっていたのではないかと悔しく、もったいなく感じました。

 選手個々の評価と森保監督の采配については次回にしましょう。




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