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■2018年09月

■有望な若手選手にチャンスを与えることの大切さ

 インドネシアで行われた東アジア大会で、海外組抜き、Jリーグ開催中なので国内組も自由に招集できないという悪条件なかでU-21日本代表が準優勝を果たし、さらに先日のコスタリカとのテストマッチで、中島・南野・堂安選手らが大活躍したことで、有望な若手にチャンスを与えて実戦を経験させることの重要性を、日本サッカー界は再認識したと思います。

中島選手や堂安選手にチャンスが与えられたことで、まだA代表に呼ばれていないリオ世代・東京世代の選手たちもモチベーションがグッとあがり、まずはクラブのゲームで結果を出すぞとさぞ気合が入ったことでしょう。

国別代表ですから本来あり得ない話ですが、東アジア大会に臨む日本代表監督に、世界トップレベルの外国人選手を招集する特例が認められていたとしたら、監督としての自分のクビが危なくなってくれば来るほど、優秀な外国人選手に頼りたくなるのが人情というものです。

もし森保さん以外の人が東アジア大会の日本代表を率いる監督だったとして、アジア最弱レベルのネパールとの初戦が“しょっぱい”1-0の試合に終わり、サポーターやマスコミからさんざん叩かれた後で、グリーズマンやモドリッチ、ムバッペ、エデン・アザール、デブライネやウムティティを使えるのだとしたら、次のパキスタン戦以降、彼らをスタメンから起用する誘惑に負けてしまい、若手の日本人選手をベンチに引っ込めてしまう人が大半だと思います。

そうなれば実戦を通じて前田・岩崎・立田・板倉ら若手日本人選手たちの、あの成長はありえなかったわけです。

優秀な外国人選手をそろえた日本代表が例え東アジア大会で金メダルが取れたとしても、それが日本サッカー界の強化につながるでしょうか。

それはコスタリカとのテストマッチでも同様です。

ましてや外国人選手を使うことがルールで認められていて、しかも代表監督よりも成績不振で頻繁にクビを切られることが多いクラブチームの監督さんの場合、自分のチームに優秀な外国人選手がいれば、経験の浅い若手日本人選手よりも優先してスタメンで使う人が圧倒的だと思います。

だから私は、Jリーグの外国人枠完全撤廃には反対なわけです。

もちろん、優秀な外国人選手がJリーグに来ることで、日本人選手が好影響を受けてレベルアップするというのはありますし、実際、1990年代初めのJリーグ発足からそれを目にしてきました。

しかし、優秀な日本人プレーヤーがどれくらい生まれてくるかは、日本のサッカー選手全体のピラミッドの“すそ野”がどれくらい広く大きいかにかかってくるでしょうし、実際の試合でプレーする日本人選手数が少ない状態で、その頂点にいる一部のエリート選手を強化しても、日本サッカーの真の強化にはつながらないと考えます。例えそのエリートたちが優秀な外国人選手から良い影響を受けたとしても。

ちょっと前に、ヴィッセル神戸がJリーグの試合中、ピッチ上の11人のうち6人が外国人選手だった時間帯があったそうで、外国人枠の撤廃をきっかけに、他のクラブでも同様の例が続出するようであれば、日本サッカーの危機だと思います。

J1・J2・J3合わせてJリーグ会員クラブは確か54だったと思いますが、もしすべてのクラブがスタメン11人のうち6人を外国人にすると、54×6=324で、324人もの大量の日本人サッカー選手が自国リーグでプレーし、実戦を通じてサッカー選手としての能力を高めるための経験をするチャンスを失います。

1000人のサッカー少年たちがいたとして、そのうち何人がJリーグでプレーできるプロサッカー選手になれるのかを考えてみても、こうした状態が日本サッカーの強化に悪影響を与えないはずがありません。

正確なデータを持っていないのですが、仮に1000人の子供たちから1~2人がプロサッカー選手になれたとして、300人以上の日本人選手が出場チャンスを失うことになるわけです。

Jリーグは各クラブが保有できる外国人選手数を無制限とすることも検討しているようですが、経営がおもわしくないJ2クラブが日本人選手を切る代わりに年俸が安くて「コスパの良い」外国人選手を大量に獲得し、全登録選手30人のうち、外国人選手25人・日本人のプロA契約の選手が5人というところが現れるかもしれません。やはりそれも日本サッカー界の危機です。

セリエAでもプレミアシップでも、外国人枠が撤廃されてスタメン11人全員が外国人選手というクラブが現れるに至ったことが、イタリア・イングランド両代表の強化の足を引っ張ったことは明らかでしょう。

ですからJリーグの外国人枠に関して言えば、外国人3人+アジア枠等1人の計4人までが同時にピッチ立てる状態が、外国人選手をJリーグに受け入れるメリットが若手を含む日本人選手の出場機会を奪ってしまうデメリットを上回るギリギリのところではないかと考えます。

クラブが契約できる外国人選手数にも一定の歯止めをかける必要があります。

そういうわけで、いまJリーグが検討している外国人枠の完全撤廃ですが、日本サッカー協会の関塚技術委員長は9月12日に開催された技術委員会で反対と明言し、私も関塚さんを強く支持したいと思います。

Jクラブでも反対の声があがっているそうで、日本サッカー界に良識派がまだまだ多いということであれば勇気づけられますね。

これに関連して「外国人枠撤廃で日本人選手が育たなくなるは本当か」という、外国人枠の撤廃について賛成なのか反対なのか結論が書かれていないので何が言いたいのかよくわからないプロの記者が書いた記事を最近読んだのですが、記事のタイトルと内容から、その記者さんは外国人枠の撤廃に賛成していると判断して言わせてもらうと、

レベルの高い外国人選手がJリーグに来ることで、チームメイトとしてレベルの高いプレーを間近で見られることで得られる好影響であったり彼らと競争したりすることで、日本人選手もレベルアップするのだから(だから外国人枠の撤廃に賛成なのだ)と言いたそうな内容でした。

私は以前の記事で外国人枠の完全撤廃に反対したわけですが、「外国人選手を全員Jリーグから追い出せ」と言っているわけではありません。Jリーグ発足以来、質の高い外国人選手がやってきたことで日本人選手のレベルアップにつながったことは前述したように良くわかっていますし、神戸のイニエスタのプレーはサポーターばかりでなく多くの日本人指導者や選手たちに、ほんとに良く見てもらいたいです。

フリーで味方からパスを受けるときに、ゴールに背を向けるのではなく半身になって受けてすぐ前を向くという基本をおろそかにしないところなどは特に。

しかし、日本人はどうも極論から極論に触れるというか、「組織戦術は選手の個性をダメにする」と言われたジーコジャパンの「個の自由」以降、「個か組織か」という極端な二者択一の議論が起こります。

過去記事をあさってもらえばわかると思いますが、私の考え方は「世界トップレベルには達していない日本人選手の個の能力を引き上げるには時間がかかる。だからといってその間日本代表がなすすべなく負け続けても良いはずがないので、組織戦術で個で劣勢なのをカバーして勝ちつつ、個の能力を引き上げていく」というものでした。

西野ジャパンが個の能力でトップレベルのベルギーにあれだけやれたのは、チーム組織を大事にしたこと、多くの日本人選手が欧州クラブへの移籍で個の能力をアップさせ、ベルギーの選手との差をいくぶんか縮められたこと、その相乗効果があったからだと思います。

ところが「個か組織か」という論争が起きていた当時、「組織で個が劣勢なのをカバーできるはずがない」という主張の方が大勢でしたし、そのような主張をする人たちは、組織の重要性を訴える人たちを「組織力さえ高めれば、個の能力が低くても問題ないと考えている人たち」と誤解しているようでした。

さらに2014年ブラジルW杯でザックジャパンが敗退すると、「ザックジャパンはポゼッションサッカーのせいで負けた」という主張が日本サッカー界で圧倒的に増え、またしても「ポゼッションか、カウンターか」という極端な論争が巻き起こります。

私の立場は、「どちらの戦術も必要。ピッチ内のシチュエーションに応じてポゼッションとカウンターを使い分けていくべき」というもので、今もそれは変わっていませんが、「ポゼッションサッカーは諸悪の根源、カウンターサッカーこそ正義」みたいな主張が大勢となり、ハリルジャパンの誕生へとつながっていきました。

このように、「個か組織か」「ポゼッションかカウンターか」みたいな、極端な二者択一論が起こるたびに辟易させられるのですが、私は「外国人枠を完全撤廃してスタメン全員を外国人にするのを許容するか、それともJリーグからすべて外国人選手を追い出すべきか」という二者択一を主張しているのではなく、「Jリーグの各クラブに外国人選手をどれくらいの人数プレーさせることを認めるのか、程度の問題だ」と言っているのです。

その記者さんの記事では、外国人を多く使っても神戸では若い選手が育っていると主張していましたが、外国人枠の完全撤廃による弊害が現れてくるのはそれが実施されてから年単位である程度の時間がたってからでしょうし、撤廃する前である神戸の例を出してみても、日本人選手が育たなくなることの証拠にはなりません。

ブラジルW杯で優勝したドイツ代表も証拠としてあげておられましたが、外国人枠を完全撤廃してスタメン全員が外国人であるクラブが現れたイタリアやイングランドが何の問題もなかったという実例を自分の意見が正しい根拠として出すのであればともかく、ブンデスリーガでは「ドイツ国籍を持つ12人を、しかもそのうち6人はクラブの地元で育成された選手を登録しなければならない」という外国人枠撤廃の弊害をマイルドにするための対策が取られているのでむしろ話が逆ではないでしょうか。

イタリアにしろイングランドの代表チームにしろ、自国クラブでプレーできる外国人選手数を適切に抑えれば、今よりもっと強くなっているのではないでしょうか。

欧州各国リーグでプレーする日本人選手が増えましたが、裏を返して言えば、その分、地元選手の出場機会は確実に無くなっているということですから。

 最後にまとめますが、これまで述べてきた理由によって当研究所はJリーグの外国人枠完全撤廃には反対ですし、もしそれをやってしまうと、チーム組織は選手の個性をダメにするというジーコジャパン時代の「個の自由」、「ブラジルW杯でザックジャパンが負けたのはポゼッションサッカーのせい」という誤った分析から誕生した、バックからトップの大迫選手にひたすらロングボールを放り込むハリルジャパンの「タテに速いサッカー」に続く、天下の愚策になりかねないと思います。

外国人選手をJリーグに呼ぶメリットがデメリットを上回るのは、1試合に出場できる非日本人選手が1クラブ4人までではないかと思います。

Jリーグのレベルをアップさせ人気を高めるために、外国人枠の完全撤廃という話が出てきたのでしょうが、もちろんJリーグがいつか世界最高峰のサッカーリーグになってくれることを望んでいますけど、日本人選手のレベルアップによってそれが達成されなければ意味がありません。

Jリーグ各クラブが世界トップレベルのサッカーを見せてくれることが理想ですけど、そうじゃないからといって必ずしもサポーターが逃げてしまうということでもないと思います。

(これも程度の問題で、あまりに低レベルのサッカーだとそっぽを向かれるでしょうが)

ポゼッションサッカーがどちらかというと好みである私が世界最高レベルのサッカーを見たいなら、日本代表なんか見ずにバルサのサッカーだけを見ますし、指導者・戦術家としてペップ・グアルディオラを尊敬しているので、バルサ→バイエルン→マンチェスター・Cと彼の率いるチームだけを追っかけたかもしれません。

しかし25年以上も日本代表を追っかけてきて、こうして代表戦のレビュー記事をこのブログで13年書いてきた理由は、何といっても私が日本人だからで、日本人としての「地元愛」からです。

夏の甲子園では秋田の金足農業が大きな話題となりましたが、高校野球が根強い人気を保っているのも、プロ野球よりプレーレベルが高いからではなくて「俺たち、私たち地元の代表チーム」だからだと思います。

Jリーグ各クラブのサポーターの皆さんが、地元のクラブを応援するのは、やはり自分たち地元の代表であり、地元クラブの育成組織で育ち、成長する過程を見てきた選手がいるからではないでしょうか。

練習場やスタジアムでのプレーを見て、「この若手選手は今あまり注目されていないけど、いずれクラブを背負って立つ主力プレーヤーになる」と予想して当たった時は、結構快感じゃないですか?

しかしどのJクラブも、スタメンの半数以上が世界中からかき集められた外国人プレーヤーとなり、経験の浅い、でも将来の伸びしろがたっぷりある地元クラブの育成出身の若い日本人選手が、自国のトップリーグで実際にプレーするチャンスを奪われるケースが増えれば増えるほど、長い目で見れば、日本サッカー界のためにはならないと思います。

そうした意味において、自分のクラブで育成したラ・マシア出身の選手を主力として、自国リーグやCLで世界トップレベルのサッカーを展開し、代表チームに多くの主力選手を送り込んでスペインの2010年南アフリカW杯優勝に大きく貢献したペップ時代のバルサは、まさに理想的なクラブでした。

最後にペップの言葉で締めたいと思います。

「バルサのカンテラがレアル・マドリード、ビジャレアル、エスパニョールのものより格段に優れているわけじゃない。バルサではそういった選手がトップで起用される。そこで違いが生まれるんだ」




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■森保ジャパン、コスタリカに勝利の船出

 森保ジャパンの船出となるコスタリカとのテストマッチが昨日行われ、日本が3-0で勝利しました。

今回の対戦相手コスタリカ代表は、レアルでプレーするナバス、サントスのルイスらを欠いた1.7軍のような若手主体のチームで来日、それを考慮しても、日本はホームでもアウエーでも勝たなければいけないレベルの相手と見ていましたが、3-0という結果は順当だったと思います。試合内容もまずまず良かったのではないでしょうか。

     ☆       ☆       ☆

 まずチーム全体の組織プレーがどうだったかを見ていきますが、攻撃に関して言えば、初の実戦にもかかわらずなかなか良かったと思います。

パスのテンポが非常に良くなり、フィニッシュにつなげるための攻撃のビルドアップがスムーズになりました。

周囲の選手によるグラウンダーのパスを味方から引き出すための「顔出し」の動きが格段に増え、ボールホルダーも迷いなくフリーの味方へパス出来ていたことがその勝因です。

このパスのテンポを森保ジャパンの攻撃のベースとして、カタールW杯の本番まで忘れずに継続していって欲しいです。

日本サッカー長年の課題であるアタッキングサードにおける相手DF陣の崩しも、中島選手を中心に、南野・堂安選手らがからんでなかなか良かったと思います。

 逆に守備面ですが、相手のボール保持者に厳しく体を当てに行き、何度もボールを奪い返したのは評価できます。

しかし、この試合は森保監督の代名詞ともいえる3-6-1ではなく4-2-3-1(守備時は4-4-2)を使ったのですが、4バックの守備における組織戦術で初歩的ミスが見られました。

コスタリカのボール保持者がサイドにいて、こちらのサイドバック(SB)が応対するためにサイドに寄せたとき、残りのセンターバック(CB)2枚と逆サイドのSB1枚がゴール前から動かないので、相手のボールホルダーがいるサイドにスペースが空くのはもちろん、そちらへ寄せた日本のSBとゴール前から動かないCBの間に広大なスペース(下図の2)をつくってしまっていました。(下図)

悪い形
(クリックで拡大 図は過去記事の使いまわしなので図の2のスペースが空くということが理解できればOK)

今回の相手は個でも組織でも日本より劣る相手だったので事なきを得ましたが、もっとレベルの高い相手だと失点に直結するようなミスです。

また守備ブロックの作り方が甘く、縦にも横にも間延びしていて守備ブロック内に危険なスペースができてしまっているのも問題です。

4バックのゾーンディフェンスで守る場合、MF4人×DF4人で長方形のコンパクトな守備ブロックを形成し、横幅(だいたいペナルティエリアの横幅と同程度)と等間隔で並んでいる4人の選手の距離を変えず、守備ブロック全体で相手のボールホルダーがいるサイドへスライドさせるのが戦術の基本です。(下図)


スライド


その際CBは自分がそれまでマークしていた敵FW等をボールサイドとは反対にいる1つ隣の味方へ受け渡すか、相手のボール保持者が絶対に前方へパスできない状況であればバックラインを押し上げて、相手のFWをオフサイドポジションに置き去りにします。

相手が逆サイドのスペースでフリーになっている選手へサイドチェンジしたら、こちらも守備ブロック全体で逆サイドへスライドします。

こういうゾーンディフェンスの基本はザックジャパン時代はできていたんですがね...。

もしゾーンではなくマンマーク志向で守りたい、CBと逆サイドのSBの3枚のバックをゴール前から動かしたくないならば、相手のボール保持者に応対しているこちらのSBとゴール前にいるCBとの間にできるスペースに、ボールサイドに近いほうのボランチが入ってカバーするべきしょう。(下図)


カバー


おそらく選手たちが、頭の中が3バックの守備戦術のまま切り替えが出来ず4バックをやってしまったのでこういうミスが出たのだと思います。

3バック系のシステム(特にマンマーク志向)は、守備時に3バックとウイングバック(WB)の連動性が低く、サイドにいる相手のボール保持者の応対はWBやボランチが個で対応し、基本バイタルエリア中央から動かない3バックは、WBの背後のスペースをあまりケアしません。

そのスペースはWBが下がって5バックぎみにして埋めるか、WBが敵に抜かれてそのスペースに侵入してきて初めて、3バックのボールサイドにいる選手が応対することになるのですが、そのやり方をゾーンの4バックでもやってしまうと前述のような初歩的ミスになってしまうわけです。

森保監督も、選手たち自身で気づいて修正するのを待つために、あえて試合終了まで放置していたのかもしれませんが、失点に直結しかねないミスなので、どんなに遅くても前半の半分(20分ぐらい)をすぎて修正できないようなら、選手たちに指示を出すべきだったと思います。

 これは以前から再三指摘していることですが、この試合も日本人選手はヘディングの正確性が世界の平均レベルに達していません。フリーでヘディングさせてもらっているのに、敵へのナイスパスになってしまうシーンが多すぎます。

アタッキングサード内はもちろんのこと、自陣やミドルサードでのヘディングパスが80%味方へちゃんと渡るのと、80%相手ボールになってしまうのとでは、試合に勝つ確率が大きく変わってしまうことでしょう。


     ☆       ☆       ☆


 選手個々で特筆すべきは、まず中島選手。ドリブルを中心に高い個人技で前方の敵を個の能力ではがし、シュートにチャンスメークにと大活躍。アタッキングサードにおけるチームの攻撃を活性化させていました。ロシアW杯に臨む日本代表メンバー発表を見た瞬間、私にとって最大の失望は彼の名前が無かったことでした。「日本代表をどう立て直すか?」の記事で、左サイドハーフの代表候補に中島選手を推していたことからもそれがわかると思いますが、もし彼がロシアのピッチに立っていたら日本の成績もまったく違ったものになっていたかもしれません。

南野選手は、バイタルエリアで敵の選手と選手との間のスペースでパスを受けてからのチャンスメークが良かったですし、思い切って相手の股を抜いたシュートからの代表初ゴールも素晴らしかったですね。

佐々木選手は、ゴール前でのヘディングが相手のオウンゴールを誘う幸運に恵まれました。
守備では時間がたつごとに良くなっていったものの、軽いプレーから1対1で抜かれたり、味方からのロングボールを受けようとしている相手選手に対してヘディングを挑んでクリアしようとするのではなく、ボールウオッチャーになって相手に自由なポストプレーを許す場面が見られたことは今後の成長のための課題です。

途中出場の伊東選手は、自分のドリブルでシュートコースを開けて、個の能力で奪った目の覚めるようなゴールが大変良かったです。ただ、シュートコースがやや甘かったのでクルトワやノイヤーあるいはナバス・レベルのGKだとセーブされていた可能性があります。世界トップレベルのGKからでもゴールできる選手に成長してくれることに期待します。

遠藤選手は守備はまずまず、南野選手へのアシストとなった攻め上がりも良かったのですが、中盤において攻撃を組み立てるときにパスミスが散見されます。パス能力や攻撃の戦術眼を向上させるともっと良い選手になれます。

逆に、槙野・三浦の両選手は、相手のボールホルダーがサイドにいて味方のSBが応対するときに、自分たちとSBとの間に出来る広大なスペースへのケアを怠ったことは、失点にこそつながりませんでしたが大きな問題。

東口選手は、ゴールを空けて前方へ飛び出したものの、ヘディングシュートした相手との競り合いに負け、ボールに触れなかったプレーが一回ありました。GKのミスは失点に直結するので注意して欲しいです。

ここで、インドネシアで行われた東アジア大会で気になった選手を挙げておきますが、個人的にはセンターバックの板倉選手が非常に興味深かったですね。

体が大きくて対人守備で有利な体格に恵まれているのはもちろんなんですが、足元の技術が高く、個の能力で前方の敵選手をはがしてパスが出せそうなところが良いですね。

以前の記事で、「ロシアW杯では日本代表のボランチの守備能力の低さが目立った。今後は『フェライーニに対人守備で勝てる柴崎』を育成するのが日本サッカー界の課題」と指摘しましたが、板倉選手に、五輪代表やA代表の場で守備はもちろんパス能力や攻撃における戦術眼が高まるように育成していけば、日本サッカー界待望の「対人守備に強く、足元も上手くて高い攻撃能力を持った大型ボランチ」に成長してくれる可能性があります。

いかがでしょうか森保監督?

ただ、186㎝と身長に恵まれていても体の線が細いので、フィジカルコンタクトの戦いで世界に勝てるような体づくりが今後必要だと思います。

そうなるとすぐ「筋トレ」という話になるのですが、反則にならないような手の使い方(相手からボールを奪うために手や肩を相手の体の前に入れたり、自分のボールを奪われないように相手の体をハンドオフしたり)を普段の試合や練習からやっていれば上半身もヘトヘトに疲れて、それをユース年代から継続することで必要な筋肉が自然とついてくるのですが、そうではないとすればフィジカルコンタクトの争いが少ないJリーグという環境の問題とも言えます。

     ☆       ☆       ☆

 森保監督のA代表初陣は、勝利という結果は順当なものでしたし、試合内容の方もまずまず良かったと思います。

特に攻撃面では、多くの選手が高い連動性でもって意図の見える攻撃を数多く展開してくれ、テストマッチで久々にワクワクできる、面白いと思える試合を見ることができました。

若い選手の躍動に、日本サッカーの明るい未来への扉が少し開いたように思います。

アジア大会とあわせ、勇気を出して経験の浅い若手選手に試合出場のチャンスを与えることの重要さを、日本サッカー界は理解したのではないでしょうか。

リオ五輪を目指していた選手たちも、五輪予選に専念させリオ五輪が終わったら本格的にA代表に合流させるのではなく、A代表でやれると判断された選手はロシアW杯アジア予選の段階からどんどんチャンスを与えていれば、A代表はもちろん五輪代表もチームが劇的に活性化されたと思うのですが、まあ前の前の監督さんは実績のあるベテラン偏重の選手起用で、初召集したフレッシュな選手も「試合では使わない」と招集発表の記者会見で宣言しちゃうような人でしたから望むべくもありませんでしたが。

来月か、どんなに遅くとも11月までには海外組を呼ばないと、1月のアジアカップに向けたチーム作りが間に合わなくなってしまいますが、実績のあるベテラン選手たちもこの試合の若い選手のプレーに大いに刺激を受けたことでしょう。

まだ森保ジャパンの1試合目ですし、何らかの評価を下すのは時期尚早すぎますが、若い選手が躍動したこの試合をきっかけに日本サッカー界が良い方向へ進んでくれることを祈ります。



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