FC2ブログ
■2018年08月

■新生・森保ジャパンの課題

 今回は、2022年カタールW杯(オリンピック信仰が根強いこの日本では2020年東京五輪のほうが現時点で関心が強いみたいですが)に向けて誕生した新生・森保ジャパンの課題について考えたいと思います。

もちろん森保ジャパンの最大の課題は2022年W杯において好成績をあげることですが、それを達成するためには今度こそ、カタールW杯のアジア予選やアジアカップ2019等のような結果が求められる公式戦に勝ちながら代表選手の世代交代を着実に進めていかなげればなりません。

ロシアW杯でベスト16に進出した“ベテラン選手たち”の経験を若い選手へ継承させつつチームを融合させ、ベテラン・中堅・若手のバランスが上手く取れたチームが2022年W杯のピッチに立っているのが理想的な形と言えます。

世代交代の難しさは世界各国共通で、ベテランとなった選手が過去に輝かしい結果を残していれば残しているほど、チームの監督が「あの時の素晴らしいプレーをもう一度やってくれるのではないか?」と強く期待して起用を続け、そのベテラン選手が体力の衰えなどで期待通りの活躍を見せられなかった場合、そのチームには「敗北」という結果と「実戦経験の不足した若手選手たち」が往々にして残されることになります。

近年で言えばオランダ代表やイタリア代表がその典型であり、ロシアW杯で言えばドイツ代表が期待外れの結果に終わった大きな原因の一つが、特に攻撃の選手における世代交代の失敗にあったと思います。

クローゼの後継者を見つけられず、ロイスやゲッツェの伸び悩みもあり、レーブ監督もミュラーやエジルなど2010年南アフリカW杯から攻撃の主力を担っていたプレーヤーを「2014年ブラジル大会における輝かしい活躍をもう一度見せてくれるのではないか」と期待して起用したんでしょうが、グループリーグ敗退というよもやの結果に終わりました。

かくいう日本代表も、これまで輝かしい実績を残してきた本田選手が攻撃の選手として90分間プレーするクオリティにないということに西野さんが気づいたのは、彼を右ウイングからトップ下に戻しても連敗を続けていたW杯直前のテストマッチの段階だと思います。

それくらい、輝かしい過去を持つベテラン選手の衰えを見極めるのは難しいということです。もちろん選手本人がそれを認めることは絶対にありません。

西野さんの前の監督は、選手の育成や世代交代も含む「長期的な視野に立ったチーム作り」という発想がほとんどなく、目先の一試合に勝つために、過去の実績を最優先にしてスタメンを決めていたためにどうしてもベテラン偏重の選手起用となり、大会前にサポーターから「おっさんジャパン」と揶揄されるようなチームを西野さんは引き継ぐことになってしまったのです。

特にGKとセンターバックのポジションで、高齢化と若手選手(しかし世界基準ではそれほど若いわけではない)の国際経験不足が深刻な問題となっていました。

森保監督は、世代交代に関して「ポジションは実力で奪うもの」と言っていますが、特にGKとCBのポジションについて「A代表でやれる実力がある」と判断した選手は東京五輪世代や、さらにその下のカテゴリーからどんどん抜擢して、アジアカップ2019やカタールW杯アジア予選でA代表としてプレーさせながら、東京五輪に備えさせると良いと思います。

上のカテゴリーでの真剣勝負に身を投じることよって実力をアップさせ、その選手が下のカテゴリーである五輪代表に戻ってきたとき、例えばCBなら同世代の敵FWを「軽く」感じることができれば理想的です。

過去の実績や経験の多い・少ないだけを基準にして起用していては、イタリア代表のドンナルンマみたいな選手は絶対に出てきません。

現時点でまだベテラン選手を追い抜く実力がなくても「将来の伸びしろ」が大きいと判断される若手選手は、プレッシャーのかからないテストマッチや、公式戦でもこちらが4点差5点差つけて試合が決まった後にでも交代出場させて実戦経験を積ませてやるような指導者側の配慮も欠かせないでしょう。

そうした意味で森保監督の「選手の将来性についての目利き能力」が問われるところです。

ロシアW杯では日本代表の守備のもろさが改めてクローズアップされたわけですが、GKやDF陣の問題に加え、バックラインの直前に広がるバイタルエリアを担当するダブルボランチの守備力の低さが目につきました。

西野さんはロシアW杯に向けたチーム作りに関して、ザックジャパンへの回帰を図ったように思います。

ザックジャパンにおいては、守備でバランスをとる長谷部選手と、中盤の底からボールを散らすことでポゼッションサッカーの要となっていた遠藤選手がダブルボランチを組んでいました。

西野ジャパンでは遠藤選手と似たような役割を大島選手や柴崎選手が担ったのですが、世界を相手にした場合、長谷部選手も含めて対人守備力の不足は明らかで、ベルギー戦ではフェライーニに痛いゴールを浴びる原因ともなります。

ですから日本サッカー界は理想のボランチとして「フェライーニに対人守備で勝てる柴崎」を、長期戦略で育成していかなければなりません。

つまりバイタルエリアでの地上戦でもゴール前での空中戦でも抜群の対人守備能力を誇り、なおかつ柴崎選手みたいに攻めの起点となる気の利いたパスを出せる技術も持った選手です。

守備ではフィジカル能力も大きく関係してきますから、身長はできれば最低でも180㎝以上欲しいところですが、こういう選手が自然に出てくるのを待つのではなく、ある程度の体の大きさを持った選手に、足元のスキルや戦術眼を教えていくような長期の育成戦略が必要です。

森保監督が広島時代に使っていた3-6-1もダブルボランチの一人は、バス展開力はあるが守備力がさほど無いタイプの選手が担っていたわけで、A代表でも3-6-1を使う時にこの問題が解決されない場合、カタールW杯ではロシアW杯でベルギーに負けたのと同じ失敗を繰り返す恐れがあります。

 その、森保監督の代名詞とも言えるシステム・3-6-1についても、一抹の不安を感じています。

西野さんのサッカーを継承する指導者として日本サッカー協会は森保さんを代表監督に据えたのですが、西野さんはかつて広島を率いていたミシャ監督の戦術にルーツを持つ3-6-1でロシアW杯に勝ったわけではありません。

そこで「そもそものボタンの掛け違い」が無ければいいなと思います。

確かに森保監督の3-6-1は成功を収めたのですが、それは、自分たちより個の能力で同等か劣るチームが相手(特にフィジカルコンタクト能力で)、相手チームの守備は、前から厳しくプレスをかけてくることがなく、ボールホルダーが前進した分、一緒に後方にズルズル下がるだけのリトリート戦術が主流、よってフィジカルの戦いが発生しない試合がほとんど、下位チームであっても強豪チーム相手に0-0の引き分け狙いのサッカーをやることを潔しとせず、どんどん攻めてくれる「守備の文化の欠如」などなど、欧州四大リーグと比べてレベルが劣り、特異なサッカー文化を持つJリーグという特殊な環境においてでしか成功が実証されていません。

守備面では、4-4-2でつくるコンパクトな守備ブロックのように、四角いピッチをまんべんなくカバーできればゾーンで守りやすいですし、選手同士も距離的にチャレンジ&カバーがやりやすいです。

しかし3バック(5バック)系のシステムは形がいびつで、3バックの両サイドやウイングバックのところでスペースができ、そこを担当するサイドの選手を中心に個での対応を余儀なくされやすく、一対一のマッチアップがより強調されやすいシステムであるような気がします。

そこで森保ジャパンよりも個の能力(特にフィジカル)で勝っている対戦相手が同じ3-6-1のミラーゲームを挑んできた場合、このシステムを使うアドバンテージはなくなるでしょうし、そういう相手から厳しいプレス守備をかけられるとさらに苦戦すると思います。

アジアレベルまでは問題無くても、一番大切な舞台で欧州・南米などの強豪国と対戦するときになって壁にブチ当たらないと良いのですが。

森保ジャパンの4年間で日本人選手の「個の能力」を世界トップレベルまで持っていけるなら話は別ですが、3バックの両脇にどうしてもスペースが空くのでそこを使われて攻撃されると弱いという構造的な弱点を抱えており、WBを下げて5枚で守る時間が長くなってしまうのであれば、このシステムをあえて使う意味はあまりないような...。

攻撃面では、相手ゴール前に1トップ+2シャドーに加えて両サイドのWBまで押し上げ、5トップのような形で攻めるのもこのシステムの特徴の一つですが、逆にマーカーまでひっぱってきてしまってバイタルエリアが敵・味方の選手で大渋滞、「相手ゴール前に二階建てバスを止める」というマズイ状況を、自らつくってしまいかねません。

(オフサイドにならずに相手DFラインのウラへボールを持った味方が突破した後、中央への折り返しを狙うために、5人の選手がやや遅れてゴール前に飛び込むのであれば問題はありません。最初から相手DFラインとこちらの5トップが横一直線で並んでいるのが問題)

それが「日本式ポゼッションサッカーの欠点」の一つであり、ハリルジャパンがW杯アジア予選でシンガポールやカンボジアに苦戦し、UAEに負けた原因がまさにそれだったというのは、これまでさんざん指摘した通りです。

アジア予選では、「日本からは勝ち点1取れれば十分」と考え、5バック・6バックをゴール前にベタ引きにして、0-0のドロー狙いなんてチームはいくらでもありますからね。

「ブラジルW杯のザックジャパンはポゼッションサッカーのせいで負けた」という誤った分析をして日本サッカーのアイデンティティを全否定していた4年間から、「ポゼッションサッカーとカウンターサッカーを適切に使い分ける」という「正しい道」へ戻ってきたのは大変結構なのですが、特にバイタルエリアやサイドで近すぎる&多すぎる選手同士で細かすぎるパスを回そうとして多くの敵選手までひっぱってきてしまい、自分たちでゴール前のスペースをつぶして攻撃が停滞するという欠点を、日本式ポゼッションサッカーは持っていますので、森保監督も注意していただきたいです。

 なんかネガティブなことばかり書いてしまいましたが、まだ森保監督はA代表を一試合も指揮していないわけですし、彼の代名詞ともいえる3-6-1がアジアはともかく世界レベルでは通用しませんと決めつけるつもりはサラサラありません。

森保監督には自らの戦術を選手たちに浸透させる十分な時間を与えなければなりませんし、彼が抜擢するであろう若い選手たちも、長い目でじっくり育てていく必要があります。

彼の3-6-1システムがこれから受けるであろう試練を予測してみましたが、何か参考になるところがあれば幸いです。

アジアカップ2019や東京五輪、そして最終目標である2022年カタールW杯で森保ジャパンが良い成績を残せることを祈っています。

   ☆         ☆         ☆       

 それでは短い話題を二つほど。

Jリーグで外国人枠の撤廃が検討されていますが、絶対に反対です。

スタメン全員が外国人選手というクラブが現れ、選手が自国のリーグなのに出場や成長の機会を失ったイタリアやイングランドの代表チームが衰退したのも、外国人枠の撤廃が大きな原因でしたし、プレミアのクラブに移籍したのに浅野選手や井手口選手が規制を受けてプレーできないように、プレミアリーグが労働ビザの制限を設けて、外国人選手の野放図な流入にストップをかけた結果、ようやくイングランド代表がロシアW杯で4位になるところまで持ち直してきたのです。

イタリアやイングランドがやって大失敗だった外国人枠の撤廃を、いまからJリーグが二周遅れで実施しようなどというのは正気の沙汰ではありません。

むしろ、チームにたった一つしかないポジションであるGKは、公式戦(リーグ・天皇杯・リーグカップ)の半分以上は日本人GKで戦わないといけないみたいな規制をJクラブに取り入れても良いぐらい。

ともかくJリーグクラブの外国人枠撤廃は、組織は選手の個性をダメにするというジーコジャパン時代の「個の自由」、「ブラジルW杯でザックジャパンが負けたのはポゼッションサッカーのせい」に続く、日本サッカーをダメにする天下の愚策になりかねません。

 つづいてフロニンヘンの堂安選手や仙台の西村選手にロシアのクラブからオファーがきているみたいですが、はっきり言っておススメできません。

スペイン・イングランド・ドイツ・イタリアの欧州4大リーグ(2部も含めて)か、フランス・オランダ・ベルギー・ポルトガル等の周辺国リーグ(以上、西側のクラブ)に、自ら売り込みに行った方が良いと思います。

日本人は意外と知らないのですが、ロシアは産油国でありサッカー界を支えるマネーの出どころも最終的には石油や天然ガスの輸出代金です。

ですからサウジリーグのクラブがお金に困って自国選手を外国に売ることがないように、ロシアのクラブも世界の原油価格が高騰している時であればあるほど、西側のクラブからいくら大金を積まれても「売らない」と決断したときは選手を売りません。

それで苦しめられたのがCSKAモスクワ時代の本田選手で、自分のプレーが一番ノリにノッテいる時期に、たとえ四大リーグのビッグクラブからオファーが来ても、「ロシアの監獄」から逃げられないというリスクがあります。

そうした意味で、ロシアのクラブは西側のクラブとは違うロジックで移籍市場を動いているのだということを肝に銘じておく必要があります。

それを納得した上で移籍を決断したとか、西側のクラブからオファーがまったく無かったというのなら別ですが、欧州に行きたいならドイツ-オーストリア-イタリアを結ぶ線から東の国のリーグは、あえて行くメリットを感じません。

プレー環境が整っていて移籍市場の流動性も高い西側のクラブへの移籍が実現できるよう努力した方が良いと思います。特に年齢が若い選手ならなおさらです。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。


プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索