■2017年03月

■日本代表、不安の残る大勝劇(その2)

前回のつづき
 
 ハリルジャパンがたった一つの攻撃戦術しか使えず、タイにゲーム中に修正されると、とたんに攻撃が行き詰ってしまったという問題は非常に重要なので、もう少し続けさせてください。

サッカーというスポーツにおいて、たった一つのことしかできない選手あるいはチームというのは、そのたった一つの事を世界の誰も阻止できないというのでないかぎり、それ自体が弱点となります。

選手個々のレベルで言えば、左右どちらか一方の足でしかシュート・パス・ドリブルをすることができない選手、あるいはドリブルばっかりでパスができない選手、パスしかできずシュートを打てない選手、いつも相手バックのウラでパスを受ける動きしかできない選手のプレーを守備側の選手が予測し、対応することは容易です。

チームレベルで言えば、どんな状況でもカウンターサッカーしかできないチーム、逆にどんな状況でもポゼッションサッカーしかできないチーム、サイド攻撃しかできないチーム、逆に中央突破しかできないチームに対して、相手チームが対策を立てるのも容易です。

しかし左右どちらでもシュートできる選手、チャンスにシュートもアシストもできる選手、状況に応じてポゼッションサッカーとカウンターサッカーを使い分けることができるチームの出方を予測するのは困難ですし、たった一つの事しかできない相手と対戦するときよりも、対策を立てるのに倍以上の労力が必要となります。

だから選手レベルでもチームレベルでも「たった一つのことをワンパターンで繰り返す」ということ、それ自体が弱点となるのです。

このタイ戦におけるハリルジャパンもまさにそうでした。

タイの守備ブロックの両サイドにスペースが空いていて、右に大きく張った久保選手にサイドチェンジの長いボールが入って基点をつくり、そこからゴール前へクロスを入れて香川・岡崎両選手がゴールをゲットしたまでは良かったのですが、タイが日本の両ウイングをケアすることでそこへのパスが通らなくなると、ロングボールを使ったカウンターサッカーしかできないハリルジャパンはたちまち行き詰ってしまいました。

図1
間違い5
(クリックで拡大 以下同様)

図1の前半30分のプレーを見てください。

タイがゲーム中に修正してきたことで前半25分すぎから日本のカウンターサッカーがだんだんと行き詰っていくのですが、日本の攻撃がうまくいかない場合に典型的に見られる悪い形、4トップ・5トップになっています。

このゲームでは、ゴール前に4トップがベッタリ張りつくことはあまりなかったのですが、相手のバックラインと横一直線に並ぶという、バイタルエリアでの攻めに深みをつくれない非常に悪いポジショニングを取った4トップが、ロングボールを要求しながら一斉にウラのスペースへ走りこもうとするケースがしばしばありました。

そこでバックやボランチがロングボールを入れるのですが、マークされている両ウイングには通らず攻め手を失っていきます。

ならばとグラウンダーのパスを出そうとするのですが、4-2-4みたいな形になっているので日本の中盤に人がおらず、パスの受け手のポジショニングが悪いので、無理にパスを通そうとして直前にいるタイの選手にボールをぶつけてしまい、何度もタイの逆襲を浴びてしまうことに。

しかし相手が両サイドをケアしているということは、ピッチ中央にスペースができるわけで、図1を見ればそれが明らかです。皆さんはスペースを見つけられましたか?

バックやボランチがボールを持ったタイミングで、周囲の選手がグラウンダーでパスを受けられる正しいポジションを取ることによって、ピッチ中央のスペースを上手く使ったパスサッカーに戦術を切り替えて攻めることができれば、これほど苦戦することはなかったはずです。

図2
間違い6

図1と同じ場面ですが、ピッチ中央に広いスペース(図のA)ができています。このスペースを日本の選手たちに早く気づいて欲しいのです。

例えば山口もしくは香川選手のどちらかがAで酒井高選手からパスをもらって前を向き、バイタルエリア(赤のエリア)に侵入した原口もしくは岡崎選手にパスをすれば、そこでラストパスを出すための基点ができますし、Aでパスをもらった香川選手がドリブルして相手バックを引きつけてから、ウラヘ抜ける久保選手にスルーパスを出すという選択肢もあります。

図2を見ればわかるように、ダブルボランチとトップ下でつくる三角形の距離が遠すぎます。

まだボランチの酒井高選手がボールを持っているこのタイミングでは、トップ下の香川選手が酒井高選手をサポートするためにもっと近く(Aのあたり)まで寄って行き、山口選手とともに三角形をつくってパスを回すようにすれば、もっと楽にチームでボールをキープして攻めることができるようになるでしょう。

Aにポジショニングした香川選手に相手がマークに行ったとしても、その分どこかに別のスペースができるはずで、そのスペースをすばやく見つけて山口選手らが使い、パスをもらえば良いのです。そうやって効果的に動くことで初めて相手の守備を崩すことができます。

この瞬間、相手4バックの前のスペースには十分すぎる数の味方がいますので、トップ下まで同じスペースに侵入する必要はありません。

香川選手は相手4バックの前のスペースへ侵入するタイミングが少しづつ早く、ダブルボランチと距離が離れすぎている時間が長いことも、中盤で上手くパスが回らない一つの原因です。

もし相手に攻められる苦しい時間帯が続くようであれば、ボールを奪い返した後、ダブルボランチとトップ下の三角形を中心にチームでボールをキープするようにすれば、味方に一息つけさせることができるようになります。

アウェーのUAE戦では、ロングボールをワントップの大迫選手に当て、彼のポストプレーで前線に基点をつくっている間に、みんなが押し上げる時間をつくるというカウンターサッカーに頼りすぎていると警告しました。

普段ロングボールを使ったカウンタサッカーばかりやっていると、高いポジショニング能力や選手どうしの連動性が要求されるパスサッカーにいきなり切り替えようとしても困難だというのは、当研究所で口を酸っぱくしていってきたのですが、このタイ戦もまたそんな感じでした。

(当ブログ過去記事・二手三手先を考えてサッカーをするということ(その2)

ハリルホジッチ監督を招聘した霜田さんは、「戦術を使い分ければ良い」などと簡単に言うのですが、カウンターサッカーしか戦術の引き出しがないハリル監督は、そもそも使い分けができていません。

霜田さんを中心とする日本サッカー協会の技術委員会が「ブラジルでザックジャパンが負けたのはポゼッションサッカーのせい」という間違った分析をし、ポゼッション(パス)サッカーを毛嫌いして、カウンターサッカーしか戦術の引き出しが無いハリル監督を招聘したツケがこのタイ戦でも表面化しているように思います。

ボールをキープして質の高いパスを出せる選手を中盤に入れない監督さんの選手起用法も大いに疑問です。

 つづいて守備戦術の問題点を見ていきます。

図3
間違い2


図3を見てください。やはり日本がうまくゲームを進められなくなり始めた前半25分ごろのプレーです。

4-2-3-1(4-2-1-3)のフォーメーションで、DF4人・MF4人のコンパクトな守備ブロックをつくり、自分たちが守るべきスペースを限定してゾーンで守るためには、原口・久保の左右ウイングがAのポジションを取らなくてはいけません。

ところが人をつかまえるハリル監督の戦術のせいか、左右ウイングが自分とマッチアップしている相手のサイドバックに引きずられて、4-2-4みたいな陣形になってしまっています。

そのため、久保選手の背後に広大なスペース(赤いエリア)ができています。

図4
間違い3

そのスペースへタイのバックからグラウンダーのパスが出て、左サイドハーフのシロクが受けに来ます。彼とマッチアップしている酒井宏選手が“デュエル”に行きますが、ピーラパットがオーバーラップをかけ、サイドで1対2の数的不利をつくられる
1秒前。


図5
間違い4


ボールを受けたシロクに前を向かれてしまい、ピーラパットにパスが出ます。日本の右サイドを崩されてこちらのバックが相手と
3対3のピンチに。

幸い、シロクのパス精度が低く、ボールを受けたピーラパットがもたついている間に戻ってきた山口選手が応対して事なきを得ましたが、個の能力がもっと高い相手だと失点する確率が高いと思います。

ハリル監督の守備戦術デュエルは、人をつかまえることに重きを置いているので、この場面に限らず、相手の動き方によって両サイドあるいはピッチの中央とあちこちに広いスペースができており、そこにいる敵選手にパスが入ると、日本の選手がプレスをかけに行っても間に合わないというシーンがしばしば見られます。

ヨーロッパ四大リーグなどでゾーンディフェンスを見慣れた私にとって、こういう守備戦術はすごく気持ち悪いですし、実際この試合でもタイのパスサッカーにプレスがハマらず、なかなかボールを奪い返すことができずに苦戦を招いていました。

昨年11月のオーストラリア戦で非常に上手くいった、コンパクトな守備ブロックをつくってブロック内で相手が使えるスペースを限定し、そこから約束事に従ってプレスをかけていった方が良いと思うのですが、タイよりも個の能力が高い相手にこの戦術では不安を感じます。

 思いのほか記事が長くなってしまいました。タイ戦における選手個々の評価は次回にしましょう。

次回につづく



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■日本代表、不安の残る大勝劇

 28日にロシアW杯アジア3次予選の日本対タイ戦が埼玉スタジアムで行われ、日本が4-0で勝利しました。

今回の対戦相手、タイ代表は全員が国内リーグでプレーしています。日本がホームでもアウェーでも勝たなければいけない実力の相手と見ていましたが、4-0で勝利という結果は良かったものの、試合内容は今後に大きな不安を残すものでした。

私も、1990年代からW杯予選やアジアカップでタイとのゲームは何度も見ていますが、相手にこれほど危険なシュートを打たれまくった試合は、ちょっと記憶にありません。

それではいつものように試合内容を詳しく分析していきます。

          ☆        ☆        ☆

 まず日本代表のゲーム全体の進め方がどうだったか見ていきます。

タイのキャティサック監督が「我々が失うものは何もない」と言っていた通り、引いて守るのではなくバックラインを高く上げて前からプレスをかけ、自分たちの実力が日本にどれだけ通用するか真っ向勝負を挑んできました。

しかし、タイはボールを奪われた瞬間のトランジション(攻守の切り替え)が遅い上に、高く上げたタイの守備ブロックはバックの後ろと両サイドにどうしてもスペースが空くので、日本のFWが両サイドを広く使って、そこへロングボールを使ったサイドチェンジのパスを入れることで揺さぶられると、とたんにタイの守備組織が不安定になります。

右サイドで基点をつくった久保選手から正確なクロスがゴール前に入って、香川・岡崎両選手がゴールをあげたところまでは良かったのですが、その後が大問題。

さすがにタイも修正してきて、サイドに張った久保選手へのロングボールが通らなくなると、前半25分ごろから日本は攻撃手段を失ってしまい、逆にパスサッカーで攻めてきたタイにゲームの主導権を握られます。

自分たちが守るべきゾーンを限定するよりも人をつかまえることに重きを置いた、ハリルホジッチ監督の守備戦術である“デュエル”は、タイの速いパス回しにかわされてしまって、なかなかボールを奪い返すことができず、タイから危険なシュートを雨あられと浴びせられることになります。

こうした不安定な状態は後半10分すぎまでハーフタイムをはさんで30分間ほど続きましたが、川島選手のビッグセーブ連発で何とかしのぐという苦しい展開。

サッカーでは「2点差は一番危険なリード」と良く言われますが、もしこの不安定な時間帯に1点でも許していたら自信とモチベーションが倍増したタイの勢いを止められず、2-2あるいは2-3とゲームをひっくり返されていたかもしれません。

どうしてこんなことになってしまったかと言えば、状況に応じた戦術の使い分けができなかったから。

両サイドをケアされてロングボールを使ったカウンターが封じられたということは、逆にピッチの中央が空いてくるはずです。

そこで選手たちが自分の頭で状況判断し、タイの守備ブロックの中でショートパスを使ったポゼッションサッカーで相手を崩すという戦術に転換できれば困難な状況を打開できたはずですが、それができませんでした。

前半25分すぎからタイがやったようなショートパスを使った攻撃を、本来なら日本の方がやりたかったのです。

しかしそれを求めるのは選手たちにとって酷というものかもしれません。

なぜならハリル監督が、中盤でボールをキープしたりパスを出したりすることが得意な選手を先発メンバーとして送り出さなかったからです。

この試合の日本はこんなフォーメーションでした。


図1


                 岡崎
             香川 (FW)           
      原口    (FW)          久保
     (FW)                 (FW)
 

            酒井高   山口  
            (DF)    (DM)   


     長友     森重    吉田   酒井宏
     (DF)    (DF)    (DF)   (DF)


                川島



4-2-3-1とはいうものの、各選手のプレースタイルと役割分担、さらにピッチのどこに誰が長い時間いたかという実質的な面から見れば、DF4人に守備的なMF2人、FW4人の4-2-4みたいな形。しかもボランチの片方の本職はサイドバックです。

酒井高・山口のダブルボランチでは、相手選手のギャップにいる味方へ正確なグラウンダーのショートパスを出せるだけの能力が現時点では不足していますし、岡崎・香川・久保・原口のFW4人は、どちらかと言えば自分がパスをもらってドリブルを仕掛けたりシュートしたいタイプの選手たちです。

結局ボールをキープしてある程度タメをつくって、そこから質の高いパスを出すという役割を担える選手が誰もいません。

だから前半25分すぎ以降、個でもチームとしてもボールをキープすることができず、ボランチから後ろで相手にボールを奪われてピンチを招きたくないので、タイにプレスをかけられると前方へ長いボールを蹴るしかなくなり、両サイドに張った久保・原口の両選手がマークされてそこで基点ができなくなると日本は攻め手をまったく失い、タイの猛攻にアップアップの状態になってしまったわけです。

いつも思うのですが、ハリル監督は代表各選手のプレースタイルや長所短所を正確に把握できていないので、彼の戦術は、隣り合ったポジションの選手同士でどう連携し、どう役割分担して、チームを機能させるかという思想が希薄ですね。

攻守にわたってチーム組織のレベルが低く、ただ11人の選手をピッチ上に並べて、あとは選手個々の能力で攻撃も守備も何とかしろという色合いが濃いです。

この試合も、久保選手から岡崎・香川両選手へのクロスだけが、得点につながった唯一の連携であって、タイにゲーム中に修正されてサイドで久保選手が基点をつくれなくなると、それすら機能しなくなってしまいました。


図2

                久保
           


      原口       香川       清武
               (倉田)      (浅野)


             山口   倉田   
                  (本田)


     長友     森重    吉田   酒井宏
            (昌子)

                川島


図2は、当研究所がタイ戦の前に推奨していた先発メンバーです。

(当ブログ過去記事・日本代表、UAEにリベンジ!(その3)

この11人を選んだ理由は、もちろん隣り合ったポジションの選手同士でどう連携し、どう役割分担して複数の戦術を使い分けながら、組織的に相手の守備を崩していくかを考えての事です。

右サイドハーフに清武選手を入れた理由は、ボールキープ力があって適度なタメがつくれ、パス能力も高いからです。セットプレーからの精度の高いキックも期待できます。

UAE戦では大迫選手のポストプレーで前線に基点をつくり、みんなが前を向いて攻め上がる時間をつくっていましたが、彼はタイ戦には出られません。

岡崎選手は、欧州四大リーグレベルのバックが相手だと大迫選手のようにはポストプレーが収まらなくなってしまいますから、今のところロシアW杯本大会を見据えて長期戦略で使える選択肢ではありません。

そこで足のシュートの正確性を買って久保選手のワントップとしましたが、彼も大迫選手ほどポストプレーが得意ではないでしょうから、センターFWにラストパスを供給する選手が必要となります。

その役目を果たすのが清武選手です。

ボランチの一角に倉田選手を入れたのも、UAE戦でボールをキープしながら前へ運び、大迫選手へ良いスルーパスを出せていたからで、山口・倉田・清武の三角形もしくはそこに香川選手が加わることで、チームとしてもボールをキープして、そこからゴールにつながるパスを出していけば、この試合のようにタイの猛攻に一杯一杯の苦しい展開にはならなかったはず。

(個人的にはヘーレンフェーンの小林祐選手を山口選手と組ませたかったのですが)

このスタメンであれば、カウンターサッカーに戦術を切り替えたい場合でも問題ありません。

しかし図1のようなシステムでは、個としてもチームとしてもボールがキープできませんし、複数の戦術を使い分けようにも、ほぼロングボールを使ったタテポンサッカーしかできない先発メンバーになっています。

そうした意味において、ハリル監督の選手起用法や戦術の引き出しの少なさに、強い不安を感じざるを得ません。

実際、後半12分に久保選手のゴールで3-0とした後も日本の戦いぶりがなかなか落ち着かなかったのですが、後半20分過ぎに本田選手を入れてからタイの猛攻が収まります。

本田選手を左ウイングに入れたのは適材適所だったとは決して思えませんが、少なくとも本田選手のところでボールキープができるようにはなりました。

サッカーではボールはピッチ上に1個しかありませんから、こちらがボールをキープしているかぎり、相手に攻められることはありません。

これによって日本は一息つけるようになり、後半30分すぎに清武選手が入ったことによってより一層こちらがボールを安定的にキープできるようになって、吉田選手のゴールでタイにトドメを刺せたわけです。

スタメンとして清武選手を中盤のどこかに入れておけば、こんな苦しい展開にはならなかったでしょうし、どんなに遅くとも、こちらがまったく攻め手を失ってアップアップだった前半30分すぎまでに、ボールがキープできる選手を入れるべきでした。

ハリル監督は、チームのどこに問題があるのか気づくのも、それに対して正しい解決策を見つけるのも、いつも遅いです。

この試合、ダブルボランチの一角として酒井高選手を起用したのですが、これも適材適所とは思えません。

ハンブルガーSVのギスドル監督のマネをしたのでしょうが、そもそも彼はサイドバックであって、パス能力を含めた純粋な攻撃的ボランチとして評価するなら、どう考えてもヘーレンフェーンの小林祐選手の方が上じゃないでしょうか。

長谷部選手をはじめボランチにケガ人が続出していて、当初バックアップメンバーとして小林選手が登録されていたはずですが、新たに高萩選手がケガをしたにもかかわらずハリル監督は誰も追加招集をせず、日本に帰ってきて今野選手の骨折がわかり、急場しのぎに酒井高選手を起用して、タイ相手に苦戦したわけですよね。

だーから、小林祐選手をUAE遠征からチームに帯同させるべきだと言ったのですが、どうしてこうなったのでしょうか。

(当ブログ過去記事・長谷部キャプテンが負傷離脱か?

ザッケローニ元監督は、どんなアクシデントがあるかわからないので、ケガ人が出たら必ずすぐさま追加招集をかけていたように思いますが、ハリル監督はリスクマネジメントもヘタクソですね。

 これまで何度も指摘しましたが、ハリル監督は、代表各選手の特徴、長所・短所、選手間の優劣を見抜く能力が低く、それゆえチームが機能するように選手を適材適所のポジションに配置することができていません。

どの選手をピッチに送り出すかを決める際に一番重要なのは、その選手の現時点における実力であり、将来どれくらい「伸びしろ」(潜在能力)があるかも重要です。

監督さんがその選手を手元に置いて、練習中のプレーを見れば、ちゃんとそれが見抜けるはずなんです。

しかしハリル監督は選手の実力を見抜く洞察力が不足しているため、選手起用の失敗が怖くて、直前に試合でプレーしている実績のある選手しか使えないのでしょう。

だから「経験が無い」「実戦勘がない」などと理由をつけて、W杯3次予選・開幕戦のUAEとのゲームに、一番実力のあるGKではなく二番手のGKを出して、ゴール前FKとPKから2失点して負けてみたり、「経験」で「スピードや体力の衰え」をカバーしきれなくなった選手をいつまでたっても機能しない左右のウイングに入れて、チームを不調に陥れているのです。

経験や過去の実績はあくまでも過去のものであって、それがあるからといってその選手が次の試合でも必ず成功できることを約束してくれるわけではありません。

確かに小林祐・倉田両選手は代表のボランチとして、清武選手は右サイドハーフとして経験がないかもしれませんが、タイ代表の攻撃力を考えたら守備で大穴が空くとは思えませんし、代表で経験が無いと言ってもエールディビジとJリーグとブンデスでプレーしてきた経験はあるでしょう。タイリーグとのレベルの差を考えても、そんなに使うのが怖いですかね?

「経験がないこと」を理由に、若い選手の起用を恐れていたら、いつまでたっても代表の選手層が厚くなりませんし、チームが使える戦術の幅も狭くなり、世代交代も停滞してしまいます。

いやUAEとの開幕ゲームに若い大島選手を起用したじゃないかという人がいるかもしれませんが、若い選手にチャンスを与えたのは正解だったとしても、その選手の適性に合わないポジションで起用したことが間違っています。

大島選手は体格が小さくて守備力がほとんどありません。その選手を守備的MFで使ったので、UAEの攻撃を防ぎきれず、2失点にからんでしまったのです。適材適所で使ってあげなければ大島選手がかわいそうです。

代表サポの一部に「日本の選手がヘタクソだから、誰が監督をやっても同じ」などと、大変自虐的なことを言う人がいるようですが、私はそうは思いません。

タイリーグのオールスターチームに対し、圧倒的に個の能力が高いブンデス・プレミア・ベルギーリーグのレギュラークラスを戦力として与えられているわけですから、どんな凡庸な監督でも勝って当たり前なんですよ。

この試合を4-0で勝てたのは、日本の選手がタイに比べて個の能力で勝っており、局面局面での一対一に勝てたからですが、個の能力で相手に上回っていなければ勝てないというようなサッカーでは、日本と個の能力で互角か、上の相手と試合をした場合、行き詰ってしまうことは火を見るより明らかです。

それではドイツやアルゼンチンなど世界の強国が出場するであろうW杯の本大会で、良い成績を残すことは難しいでしょう。

残念ながら選手個々の能力において日本よりも上回っているチームがW杯の出場国にはまだまだ多いという現状を踏まえて、私が日本代表監督に望むことは、そうしたハンデを克服できる優れた戦術を代表チームに授け、勝たせることができるような能力です。

「試合内容なんてどうだっていい、サッカーは勝てば良いんだよ、勝てば」とか「チームが勝ったら、ぜんぶ監督のおかげ」と考えているような方には、このゲームのどこが問題なのかサッパリ理解できないのではないかと思いますが、試合内容だけを見れば、タテポンサッカーで点が取れず、デュエルもパスサッカーでかわされて大苦戦した昨年9月のイラク戦のVTRを見ているかのようでした。

このような組織力の低い、個の能力頼みのサッカーでは、タイよりはるかに個の能力が高いイラクやオーストラリア・サウジとの対戦が不安で仕方ありません。

(当ブログ過去記事・日本代表、イラクに冷や汗の勝利

選手個々の評価は次回にします。



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。


当ブログ関連記事・2016年を振り返って



  

■日本代表、UAEにリベンジ!(その3)

前回のつづき

 この試合を見て改めて強く感じたことは、3次予選の開幕ゲームとなった昨年9月に埼玉スタジアムで行われた日本対UAE戦の結果や試合内容が極めて不自然なものだったということです。

もし自分たちに不利なアウェーゲームで日本を2-1で破るだけの実力がUAEに本当にあるのであれば、自分たちにアドバンテージのあるホームゲームではUAEが2-0あるいは3-0の大差で日本に勝っても本来不思議ではありません。

しかし、終わってみれば日本が2-0の完勝でした。

以前述べたように、私はあるチームの実力を評価する場合、正確にボールを蹴る・止めるから始まってフィジカルコンタクトに勝つためのスキルや身体能力といった選手個々の能力、さらに少人数グループやチーム全体の戦術理解度などを総合的に判断して、どちらのチームが強い・弱いといったことを絶対評価していきます。(下図)

基礎が大切
(クリックで拡大)

埼玉での日本対UAE戦がキックオフされる前の時点における両チームの戦力評価から、日本のホームで日本の勝ち、UAEのホームで引き分けがもっとも確率の高い試合結果ではないかと考えていました。

ウマル・アブドルラフマンは足元の技術は確かに上手いんですけど、今から10年前の日本代表のトップ下みたいにフィジカル能力がかなり不足しています。チーム戦術もまだまだ改善の余地がありますね。

日本が1-2で負けたあの試合も何度か見直してUAEの戦力を再評価しましたがそれは変わりませんでしたし、UAEのホームで行われたこの試合を見ても、それは変わっていません。

2-0での勝利は日本がかなりがんばった、上出来の結果であると評価していますが、少なくとも現状のUAEに、たとえホームであっても日本に勝ちきるだけの実力はなかったように見えました。

それだけに、そんなUAEが自分たちに不利なアウェーで日本に勝ったというあの試合の結果、その結果を導くことになった試合内容が不自然なのです。

あの試合をもう一度振り返ってみますと、ゲームを支配していたのは日本であり、UAEに日本を圧倒するだけの実力は無く、たまにカウンターからシュートを打つぐらいで日本の守備をほとんど崩せず、彼らに勝機はほとんどありませんでした。

レフェリーの判定に助けられたもの以外は。

UAEの得点あるいはUAEの“幻の失点”に、ことごとくレフェリーの不可解な判定が関わっていたという事実があります。

本田選手の先制ゴールは日本が実力で相手から奪い取ったものですが、この直後からカタール人レフェリーの不可解な判定が露骨になっていきました。

前半20分に、日本のゴール前でドリブルしていたマブフートが自分からバランスを崩して倒れこみ、その直後に吉田選手の手が相手に触れているのに吉田選手が倒したとしてUAEに直接FKを与える判定。ましてや吉田選手にイエローカードなんて考えられません。

このFKがUAEに同点ゴールをもたらしますが、UAEに有利なレフェリーのジャッジなしにはありえないゴールでした。

後半8分に大島選手がUAEに与えたPKは、そう判断されても致しかたないものだったと思います。

しかし32分に浅野選手のシュートが完全にゴールラインを超え、日本が実力で奪った正当な得点だったにもかかわらず、カタール人主審は初めから副審と協議する気もサラサラなく、頑として日本のゴールを認めようとはしませんでした。

まるで日本のゴールが決まってもらってはカタール人審判団が困ると考えているかのように。

UAEのGKイッサが浅野選手のシュートをゴールからかき出したとき、副審との間に障害物となるものはありませんでしたから、選手たちの陰になって、副審からその瞬間が見えなかったということはありえないでしょう。

結局、UAEは自分たちに有利な判定で1点もらい、日本のゴールを1点取り消してもらった結果、2-1で勝ったわけです。

試合結果を決定付けたこの2つのプレーのうち、レフェリーの助けなしにUAE代表が自分たちだけで勝ち取ったものは何一つありません。

こうしたことは両チームのサッカーの実力とは本来関係のないもので、レフェリーによる試合結果の作為的な操作を疑わずにはいられません。

UAEがカウンターから日本DFのウラヘスルーパスを出して、マブフートがGKとの一対一を制して先制、あとは日本の猛攻をしのぎ切って勝ったというならサッカーでは良くある話なのですが、マブフートが勝手にコケてもらったFKから1点ゲット、日本のゴールをレフェリーに取り消してもらって2-1で勝利というのでは、UAEが実力で勝ったという要素がありません。

この試合が本当に中立公平にジャッジされていれば2-1で日本の勝利、マブフートが自分でシミュレーションぎみに倒れたのを見間違える“誤審”があったとしても、2-2で引き分けが自然だったと思います。

そしてUAEホームのこの試合、イルマトフ主審のジャッジは正常かつ公平でした。

UAE選手のシミュレーションからかなりの確率で得点になるペナルティアーク直前での直接FKが与えられることはなく、日本が実力で奪った2つの正当なゴールが取り消されることもありませんでした。

そうなれば、日本とUAEとのサッカーの実力差が試合結果に正当に反映されて、2-0で日本の勝利となるのは自然です。

それだけに埼玉での日本対UAE戦を裁いたカタール人審判団の判定の不自然さ、自分たちに有利なホームで0-2で負けたUAEが、格上の日本に本来なら勝つことが一層困難になるアウェー戦で2-1という、あの試合の結果そして内容の不自然さが際立つのです。

あの試合を裁いたカタール人審判団の不自然なジャッジは日本のゴール前でFKを与えた、日本のゴールを取り消したという2つの“誤審”にとどまりません。キックオフから試合終了のホイッスルを鳴らすまで一貫したものであって、だからこそ私はある確信をもって、日本対UAE戦が終わった30分後にあのような記事をアップしたのです。

(当ブログ過去記事・世紀の“大誤審”) 

(当ブログ過去記事・八百長試合のつくりかた) 

 つい数日前に、ロシアW杯アフリカ予選の南アフリカ対セネガル戦で主審を務めたガーナ人のレフェリーが不正な試合操作を疑われてレフェリーとして一生活動禁止・永久追放という厳罰がくだされたばかりですし、韓国Kリーグの全北現代が審判を買収して八百長試合をやったということで今年のACLから追放処分を受けています。

(日本対UAE戦を裁いたカタール人審判アブドルラフマン・アルジャシムら3人を取り調べて、もし不正に試合結果を操作した証拠が得られたらサッカー界から永久追放すべきです)

大変残念なことにサッカーの世界では八百長試合が存在することは厳然たる事実です。

にもかかわらず、日本がUAEに1-2で“負けた”あの試合の直後に、「日本代表の出来が悪かったんだから、浅野選手のゴールが取り消されて負けても仕方ない」などというナイーブな主張をする人がたくさん出てきたり、「この人、普段はまったくサッカーを見たことがないんだろうな」としか思えない、畑違いのジャーナリストまでが首を突っ込んできて、「自分たちが負けた原因を審判のせいにするのはみっともない」などというチープで幼稚な正義感を振り回す日本人が少なくなかったことには本当に失望させられました。

(当ブログ過去記事・日本人の民族性とサッカー

私は純粋にスポーツとしてのサッカーを楽しみたいだけです。

八百長で日本代表が勝っても、ちっともうれしくありませんし、レフェリーの作為的なジャッジによる試合操作で日本代表から正当な勝利が奪われることも絶対に許せません。

サッカー界から八百長試合が完全に撲滅される日が早く来るように、そして世界中のサポーターからサッカーというスポーツへの関心が失われるようなことが起こらないためにも、国際サッカー連盟やアジアサッカー連盟には襟を正して欲しいですし、そうした目標のために日本サッカー協会も頑張ってほしいです。

        ☆        ☆        ☆

 それでは最後にまとめです。

アウェー戦でUAEに2-0の勝利という結果は素晴らしいものでしたし、日本代表の試合内容も改善すべき点はあるものの、まずまず良かったと思います。

原口・大迫・久保選手に代表される若い世代の実力が最近グ~ンと伸びてきて、日本代表の戦力が着実に底上げされてきていることも髙く評価しています。

ただ、UAEレベルの相手はW杯本大会にはほとんど出てこないので、この試合に勝ったからといって決して満足することなく、W杯本大会で当たる相手のレベルを頭に入れながら、つねに目標を高く持って次の試合までに課題をきっちりと修正して欲しいと思います。

このW杯予選に関して言えば、今回UAEにリベンジを果たしたことによって、ようやく初戦の“負け”を埋め合わせてプラスマイナスゼロの位置に戻ってきたにすぎません。

「W杯予選はここからが勝負」と思って、次の試合も自分たちがやるべきことだけに集中して欲しいです。

        ☆        ☆        ☆

 皆さんすでにご存じのように、大迫・今野の両選手が代表から離脱することになってしまいました。高萩選手も結局チームを離れており、川崎の小林・浦和の遠藤両選手が追加招集されましたが、次のタイ戦にどういうスタメンを送り出すか、頭が痛いですね。
 
UAE戦で好調だった選手を中心に4-2-3-1で行くならば、こんなのはどうでしょうか。


               久保
           

      原口      香川       清武
              (倉田)      (浅野)

             山口   倉田   
                  (本田)

     長友     森重    吉田   酒井宏
            (昌子)

                川島

GKはUAE戦で安定していた川島選手で。4バックは大きく変更する必要性を感じませんが、昌子選手に信頼がおけるのであれば、吉田選手の相棒としてチャンスを与えてみても良いかもしれません。

今野選手の代役は、UAE戦で出場時間は短かったものの動きが良さそうだった倉田選手で。

もしいけると監督さんが思うなら倉田選手をトップ下で起用するのも面白いかもしれません。その場合はボランチにスピードが無くなってきたもののフィジカルコンタクトの強さとパス能力がある本田選手をもってきたらどうかと思うのですが、たぶん本人が拒否するでしょうね。

センターフォワードはクラブでの得点力アップが目覚ましい久保選手にして、空いた右サイドハーフにはコンディションに問題なければ清武選手でどうでしょうか。清武選手をトップ下で起用する手もありますが、その場合の右サイドハーフは浅野選手か小林選手のうち好調な方でどうかと思います。

タイ戦のスタメンやフォーメーションがどうなるか楽しみにしましょう。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇
 
  2017.3.23 イスターダ・ハッザ・ビン・ザイード(アルアイン)

           UAE 0 - 2  日本

                       久保 13'
                       今野 51'



     GK ハリド・イッサ       GK 川島

     DF A.サンクール       DF 酒井宏
        ムハナド・サリム        吉田
        ハムダン.I            森重
        A.ハイカル           長友

     MF A.バルマン        MF 山口      
        ハミス.I             久保
       (ムハマド.A 64)       (本田 78)
        I.アルハマディ         香川
        ウマル.A           (倉田 71)
                          今野
     FW A.マブフート          原口
        I.マタル
       (サリム.S 75)      FW 大迫
                         (岡崎 82)




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■日本代表、UAEにリベンジ!(その2)

前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、1ゴール1アシストを記録した久保選手。
酒井宏選手のアーリークロスから正確なダイレクトシュートを決めてくれました。両肩の上はGKがシュートを一番防ぎにくい場所の一つなのですが、あれを狙って打ったのであれば本当にすごいです。今野選手のゴールをアシストした正確な逆サイドへのクロスも良かったですね。
ただし、一つはペナルティエリアの中で、もう一つはサイドで相手を背負いながら、シミュレーションぎみに倒れて審判からファールをもらおうとしたミエミエのプレーがありましたが、それは余計でした。FWはつねに自分の力でゴールを奪わなければ本当の実力はついてきませんし、若い時からそんな横着なプレーをしていてはダメです。2度目に倒れたときはレフェリーに流されて相手のカウンター攻撃を招くなど、こっちもいただけません。

インサイドハーフで久々に代表選出の今野選手もチームが苦しい時間帯に値千金の追加点をゲット。久保選手のクロスを胸トラップしてからGKの股間を抜くシュートを決めてくれました。
守備でもUAEの攻撃を組み立てる中心選手であるウマル・アブドルラフマンへのマークを中心に、精力的に働きました。などと書いていたら、UAE戦で骨折していたという悪いニュースが...。

吉田選手は抜群の安定感でクリーンシートに貢献。
読者の皆さんは、昨年11月のサウジ戦よりも彼のプレーレベルがワンランクアップしていることにお気づきになったでしょうか。一対一における対人守備の強さもアップし、カバーリング能力も改善されていますが、サウジ戦のときより見違えるように良くなったところは、「いける」と思ったときに自分のマークを捨てて前方へダッシュし、相手の危険なパスをインターセプトする能力です。
同じクラブにファン・ダイクという良いお手本がいますし、ウェンブリーでのリーグカップ決勝でマンチェスターUと当った時もイブラヒモビッチに対してかなり善戦していましたから、そうした貴重な経験が彼の成長にとって大きなプラスになっているのでしょう。
昨年夏、吉田選手が名古屋に復帰するというウワサがあって当研究所も必死に引きとめる記事を書いたのですが、あのとき日本に帰ってこなくて本当に良かったですね。
昌子・植田両選手もプレミアのレギュラーCBのプレーを間近で見られるのですから、いずれ自分たちも欧州四大リーグでプレーできるように、彼の良いところはどんどん盗むように。吉田選手もこれで浮かれることなく、地に足をしっかりつけて今後の成長に期待します。

川島選手は前半20分、マブフートとの一対一で相手のシュートを滑り込みながら右足ももでビッグセーブ。あれがもし入っていたら、ホームのUAEが勢いづいてこの試合全体の結果が変わっていた可能性があります。実戦感覚の不足をマスコミからさんざん言われている彼ですが、1試合を通じて無難な出来でした。以前から当研究所が指摘しているように、現時点において日本人で一番安定しているGKは彼じゃないでしょうか。
ブッフォンを見ればわかるように、GKは体のケアを念入りにやれば40歳ぐらいまでやれる場合がありますし、彼の起用で時間を稼いでいるうちに、若くて優秀な日本人GKを育てるという策も検討すべきではないでしょうか。

酒井宏選手は、久保選手の先制ゴールをアシストした右サイドからの正確なアーリークロスが秀逸でした。
ただ、細かいパスミス・トラップミスが散見されます。それを相手にかっさらわれるとピンチを招くことになりますので、一つ一つのプレーを正確にお願いします。

大迫選手は、フィジカルコンタクトの強さを生かしてポストプレーで何度も前線に基点をつくり、チームの攻撃を陰ながら支える活躍。
しかし、味方の選手が彼のポストプレーに頼りすぎで、ゴールに背を向けてプレーしている時間がけっこうあるので、相手バックの前あるいは後ろのスペースでパスを受けて前を向きシュートする回数をもっと増やしていきたいところです。前半6分のミドルなんかは外れこそしたものの形としてはとても良かったですね。大迫選手は代表チームでゴールの稼ぎ頭になれるだけのポテンシャルがあると当研究所は考えています、などと思っていたら「代表チームから離脱」という残念なニュースが...。非常に痛いのは確かなんですが「他の選手がポジションを奪うチャンス」と、ここは前向きに考えてやるしかありません。

原口選手は豊富な運動量で主に守備で貢献。フィジカルコンタクトにも強く対人守備でも光っていました。
しかし、後半43分の決定機は自分で打つべきだったんではないでしょうか。原口選手は熱いハートが持ち味ですが、シュートを打つときに必要以上に興奮して全身に無駄な力が入り、クラブの試合でもミドルシュートがゴールの枠から大きく外れてしまうケースが多いように見受けられます。ハートは熱くても頭の中は冷静に、ゴールの枠の中へ強めのパスを送る感じで落ち着いて蹴れば、シュートもどんどん決まっていくと思います。

倉田選手は短い時間でしたが、スルーパスから大迫選手の決定機を演出するなど、もうちょっと長い時間みたいなと思わせてくれるプレーぶりでした。

 逆に森重選手は、前半20分に中盤でアルハマディに競り負け、彼のスルーパスからマブフートが川島選手と一対一となる大ピンチを招いてしまいました。後半3分には、ボールの落下地点の見極めが難しかったとは思いますが、相手の左サイドからのクロスにかぶってしまい、後ろにいたアルハマディがボレーシュートを空振ってくれて命拾いというシーンも。

山口選手は1試合を通して無難な出来だったように思いますが、前述の森重選手がアルハマディに競り負けたシーンでは、山口選手がマブフートへのパスを警戒しながら森重選手にもっと近づいてカバーできるポジショニングをとっておけば、防げたピンチだったかもしれません。

岡崎選手は、後半43分に原口選手から絶好のシュートチャンスをもらったものの、ゴールの枠を大きく外してしまいました。若いころから彼のプレーを長く見てきましたけど、なかなかシュートの正確性が向上しませんね。それは何も考えずに本能的にシュートを打ってしまうことが原因なのでしょうか。
人間は自分の目で見たものに向ってボールを蹴ったり投げたりする本能がありますが、南アフリカW杯出場を決めた2009年秋のウズベキスタン戦であげた彼のゴールが典型的なんですが、岡崎選手は相手GKの胸あたりを見て、そのままそこに向ってシュートしてしまうケースが非常に多い気がします。跳ね返ってきたボールをプッシュできる可能性がありますからゴールの枠から大きく外すよりはまだマシですが、それではいつまでたってもシュート技術は向上しませんし、クラブでもゴールゲッターとして信頼されることはないでしょう。
シュートを打つときに冷静に状況判断して、ゴールの枠内かつ相手GKのいないところへシュートすべきです。もしどこへ打つか迷った場合はセオリー通りに、ファーポストの内側へ決め打ちしても良いでしょう。

香川選手は最近のクラブでのプレーぶりからして先発メンバーに起用した監督さんの判断は納得できます。
この試合もひどい出来だったというわけではないんですが、バックやアンカーからボールをもらい、センターFWや両サイドハーフと連携して彼らにパスを供給してチャンスメークするというところでは、もうちょっと頑張ってほしいところです。
周囲のサポートが遅いのか、クラブでは素早い判断で良いパスを供給できているのに、代表になるとどこへパスを出すか迷って結局ヨコパスというプレーが多いのも相変わらずです。
ただ、彼は最近新たなトレーニングを始めたらしく、ダブルタッチをまじえたドリブル突破など個の力で相手をはがしてボールを前へ運ぶ能力が少しづつあがってきており、努力の方向性としては正しいと思いますので、代表でもフィットするように引き続きハードワークして欲しいです。

次回へつづく




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■日本代表、UAEにリベンジ!

 ロシアW杯アジア3次予選、日本代表の今年最初の試合がUAE・アルアインで行われ、日本はUAEに2-0で勝利しました。

今回の対戦相手、UAE代表は全員が国内リーグでプレーしており、日本との実力差は、日本のホームで日本の勝ち、UAEのホームで引き分け程度の相手と見ていました。

本来ならば「引き分けでもOK」と言いたいところだったのですが、オーストラリアがアウェーのUAE戦で勝ち点3を取っていますし、何といっても3次予選初戦のホームであんな負け方をした相手ですから是が非でも勝ちたいゲームでした。

そうした意味において、2-0で日本の勝利という結果は素晴らしいものでしたし、試合内容の方もまずまず良かったのですが、W杯本大会で当たるレベルの相手を見据えれば、攻守で改善すべき点もまだまだ残されています。

それでは試合内容の方を詳しく分析していきましょう。

        ☆        ☆        ☆

 試合全体の進め方としては、先制ゴールをあげるまではまずまず良かったのですが、リードしたあとは「1点を守ろう」という意識が強くなりすぎ、こちらの4バックが引きすぎてしまって相手にやらなくてもいい得点チャンスを与えてしまっていたように見えました。

そこで相手に1点でも許していたら、この試合全体の結果もまったく違ったものになっていたはずですが、相手のレベルにも助けられてどうにかこうにか乗り切った直後にこちらが追加点を奪ったことで、日本の選手がより自信をもって戦えるようになり、攻守にわたってプレーがより良くなって、2-0のまま試合をクローズさせることができました。

「重要な試合でこちらが先制した。このまま勝ち点3が欲しい」という気持ちもわからないではないですが、リードを守ろうとするあまり、選手個々が精神的に守りに入ってしまってプレーが消極的になり、大逆転を許すという事例はサッカーでは本当に多いので日本代表も十分注意して欲しいです。

 攻撃面に関しては、昨年10月の対オーストラリア戦・11月のサウジ戦に引き続き、良くなっています。

その理由はシンプルで、ホームでのUAE戦を落とす原因となった戦術面での誤りが修正されたから。

その誤りとは、3トップが得点を焦ってあまりにも早いタイミングで相手ゴール前へベッタリと張りつき、そこにトップ下や攻撃的なボランチまでが密集して4トップ・5トップのような形になってしまうことです。

これをやると、自分たち自身で相手のウラのスペースを消してしまい、敵選手をたくさん引っ張って来ることで「相手ゴール前に2階建てバスを止める」ような状態を自らつくってしまうことになります。

それは昨年8月のUAE戦直後に指摘した通り。

(当ブログ過去記事・日本代表の試合内容、どこが悪かったのか?) 
(当ブログ過去記事・イラク戦・オーストラリア戦にのぞむ日本代表メンバー発表!

この試合もそのあたりが修正されており、久保選手の先制ゴールシーンに象徴されるように、サイドにボールを展開したとき久保選手がいったん下がって相手バックの前のスペース(バイタルエリア)でパスを受ける動きをします。

それによって相手4バックのウラに自分が走りこむためのスペースをつくっておいて、酒井選手がボールを持って前を向いた瞬間、久保選手がスピードに乗って相手のウラのスペースへ向ってラン、酒井選手からのアーリークロスを上手く合わせて貴重な先制ゴールを奪うことができました。

さらに、右サイドハーフに普通にスピードのある久保選手を入れたことによって前回UAEと対戦したときよりもチーム全体の攻撃スピードが格段にアップし、相手の守備態勢が整わないうちにチャンスメークからシュートまで持って行けるようになったことも大きいですね。

UAEのバックは自分の前にいる相手にはまずまず強いのですが、後ろに下がりながら対応するときはガックリと弱くなります。それが久保選手の先制ゴールを生んだもう一つの要因です。

 攻撃面での課題をあげるとすれば、大迫選手のポストプレーに頼りすぎているところでしょうか。

後方からロングボールを大迫選手に当てて彼のポストプレーから前線で基点をつくるという攻撃がかなり多かったのですが、こればっかりに頼っていると、世界トップレベルのセンターバックに大迫選手のポストプレーを封じ込まれてしまった場合、一気に攻めの手段を失ってしまうことになります。

また大迫選手が相手ゴールに背を向けたポストプレーばかりに忙殺されてしまうと、バイタルエリアでセンターFWを前へ向かせ、相手バックの前あるいは後のスペースで味方のサイドハーフやトップ下からパスをもらってシュートという攻撃の形もできなくなってしまいます。

この試合の日本は4-1-2-3(守備時は4-1-4-1)のフォーメーションを使いましたが、攻撃のバリエーションを増やすためにも“2”のインサイドハーフがもっとがんばって、バックやアンカーから受けたボールをグラウンダーのパスで、センターFWや両サイドハーフに数多く供給できるようになると、もっと楽に試合に勝てるようになるでしょう。

 守備に関しては結果的に無失点に抑えこそしたものの、攻撃よりは課題が多かったように思います。

この試合の守備戦術は、かなりマンマーク寄りのゾーンディフェンスで、10人のフィールドプレーヤーが組織的に動いて相手が使えるスペースを限定するよりも、結果的にスペースが広くなってしまっても相手選手をつかまえることを優先させる戦術でした。

そのため、特にこちらが先制ゴールをあげたあと、それぞれの選手が気持ち的に守りに入ってしまい、4バックが後ろに引きすぎてしまったために、DF4人のラインとMF4人のラインとの間に広大なスペースをつくってしまいました。

そうなってしまうとアンカーの山口選手1人だけではカバーしきれなくなり、UAEに広くなったスペースを使われてプレスが後手後手にまわり、何度か決定機をつくられてしまうことに。

川島選手のビッグセーブがなければ、この試合の結果も大きく変わっていたかもしれません。

W杯本大会でUAEよりも能力が高いチームと当った場合、このままでは大量失点しかねないと思います。

4バックが必要以上に怖がって下がりすぎないようにし、相手がバックパスをしたときなどフリーで前方へパスできない瞬間にしっかり押し上げること。もしバックが押し上げられないのであれば、MFの4人が相手のボールホルダーを追いかけ回してあまり前へ行きすぎず、つねにDFの4人とMFの4人との間のスペースをコンパクトに保つようにしなければいけません。

 最後にまとめますと、日本代表のゲーム内容は攻守にわたってまずまず良かったと思います。

ただ、UAEレベルの相手はW杯本大会にほとんど出てこないか、もし出てきたとしても出場32ヵ国中最弱レベルなので、この試合に勝ったからといって決して満足することなく、つねに目標を高く持って次の試合までに課題をきっちりと修正して欲しいと思います。

この試合の日本の戦術としては、まずは失点しないこと、負けないことを最優先にどちらかといえば守備にやや重心を置き、そこからゴールを狙いに行ったように見えました。

それは守備時の4-1-4-1の採用や、インサイドハーフに今野選手を起用したことからもうかがえました。

逆に言えばUAEが相手であっても、慎重に「石橋を叩いて渡る」ような戦術を取らなければならないレベルに日本代表があるということでもあり、それでは世界の強豪国に勝ってW杯で良い成績を残すという目標を実現するうえで不安が残ります。

代表チームはクラブと違い、試合数や活動日数が極めて限られています。

W杯直前のテストマッチ数試合でチーム力を劇的にアップさせることは困難なので、予選という限られた真剣勝負の場で選手個人もチーム全体も着実に成長していかなければなりません。

選手個々の評価は次回にしましょう。

つづく




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■長谷部キャプテンが負傷離脱か?

 フランクフルトでプレーする長谷部選手ですが、今月11日に行われた対バイエルン戦で負傷した箇所が思いのほか重症だった可能性があり、近いうちにヒザの内視鏡検査を受ける予定と報道されています。

これが事実であれば長谷部選手のことが非常に心配ですし、実際は軽傷で今月のW杯アジア予選2試合も問題なくプレーできることを祈るばかりですが、どうしてフランクフルトはもっと早く彼のケガに気づかなかったのでしょうか。

もし最悪UAE戦・タイ戦への出場が無理だったとしても、ロシアW杯の本番で累積警告などのために彼がプレーできない試合が出てくるかもしれませんから、「別の選手がW杯の予選という公式戦で経験を積み、結果をしっかり出すことでボランチの選手層を厚くする絶好のチャンス!」と前向きに考えていくしかありません。

一部報道では、長谷部選手を代表チームから離脱させず、UAEに呼んで負傷したヒザの状態をチェックするとともに、精神的な主柱としてそのままチームに帯同させるという話もあります。

たとえ実際にプレーできなくても、宿舎等での監督と選手、あるいは選手だけのミーティング時に長谷部選手から豊富な経験に基づいたアドバイスがあれば大きな力になるでしょうから、良いアイデアだと思います。

ただこのままでは、中盤の底から攻撃の組み立てにも参加するボランチが手薄になってしまいますし、UAE戦で何が起こるかわかりません。

確かバックアップ登録されていたのはヘーレンフェーンの小林祐希選手だったと思いますが、必ず攻撃的なボランチを1枚、UAEに呼んでチームに帯同させておくべきです。

もしUAE戦で長谷部選手の代役が負傷退場や次試合出場停止となったときに、「攻撃的なボランチがいなくなっちゃった、どうしよう。そうだ小林祐希を呼べ!」「今、彼はオランダですけど。」「えー、今からだと帰国はタイ戦の前日じゃないか。それでは時差ボケで使い物にならん、どうしてこんなことになった!」みたいな展開は絶対に避けなければなりません。

技術委員長である西野さんが責任をもって、しっかりと代表チームをハンドリングして欲しいです。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■UAE戦・タイ戦にのぞむ代表メンバー発表!

 ロシアW杯アジア3次予選の対UAE戦(3/23 アルアイン)・対タイ戦(3/28 埼玉)にのぞむ日本代表メンバーが発表されました。


GK 西川 周作  (浦和)
   川島 永嗣  (メス:フランス)
   林  彰洋  (F東京)

DF 吉田 麻也  (サウサンプトン:イングランド)
   森重 真人  (F東京)
   酒井 宏樹  (マルセイユ:フランス)
   長友 佑都  (インテルミラノ:イタリア)
   昌子  源  (鹿島)
   植田 直通  (鹿島)
   槙野 智章  (浦和)
   酒井 高徳  (ハンブルガーSV:ドイツ)

MF 清武 弘嗣  (C大阪)
   長谷部 誠  (フランクフルト:ドイツ)
   山口  蛍  (C大阪)
   香川 真司  (ドルトムント:ドイツ)
   今野 泰幸  (G大阪)
   高萩 洋次郎 (F東京)
   倉田  秋  (G大阪)

FW 原口 元気  (ヘルタベルリン:ドイツ)
   大迫 勇也  (ケルン:ドイツ)
   浅野 拓磨  (シュツットガルト:ドイツ)
   久保 裕也  (ヘント:ベルギー)
   本田 圭佑  (ACミラン:イタリア)
   岡崎 慎司  (レスター:イングランド)
   宇佐美 貴史 (アウクスブルク:ドイツ)

 
 W杯予選中断中の明るい話題として、ベルギーリーグのヘントに移籍した久保選手が3月12日に行われた対メヒェレン戦において披露してくれた、4人抜きドリブルからのスーパーゴールをまず取り上げたいと思います。

ゴール正面からペナルティエリアに侵入し、右を抜くぞと見せかけたフェイトにつられて相手バックが左足を横へ出した瞬間、ダブルタッチでその逆を抜いてGKとの一対一を冷静に制してのゴールは大変素晴らしかったですね。

でも久保選手ってこういうプレースタイルだったでしょうか。スイスリーグでプレーしている時にこうしたゴールを見た記憶が無いんですが大歓迎ですね。代表戦でもキレのあるドリブル突破からのゴールやチャンスメークを期待したいです。

今後も個の能力で局面を打開してのゴールやアシストでどんどん結果を残していけるなら、ハリルジャパンの右ウイングの最有力候補です。

ダブルタッチと言えば、ドルトムントの香川選手も復調の兆しが見えてきました。

今月11日に行われたベルリン戦で、ダブルタッチぎみにボールを動かしてからのパスでオーバメヤンのゴールをアシストしたときに「おやっ」と思ったのですが、3部チームとの対戦となった14日のポカール準々決勝においては、ゴールにこそつながらなかったもののダブルタッチから相手2人をかわしてドリブル突破するシーンが見られました。

香川選手がどういったトレーニングを新たに始めたのかはわかりませんが、自分の直前にいる相手を個の能力ではがして局面を打開し、決定的なパスを出したりゴールしたりするためのスキルが最近少しづつ上がってきているのは大変良い傾向です。

昨年12月に当研究所で「ドリブラー養成計画」という記事をアップしたのですが、それ以降ダブルタッチを使ってのドリブル突破で結果を出す代表選手が急に出始めました。

もし日本人サッカー選手が、直接あるいは間接的に当研究所の情報を入手して、攻守両面で個の能力を上げ世界で活躍してくれるなら、メッシやイニエスタなどワールドクラスのドリブラーを研究した成果を基に、苦労してあの記事を作成した甲斐があったというものです。

手足の長さや体の大きさでは劣勢でも足元が器用でアジリティのある日本人選手が、自分の直前にいる相手を個の能力ではがして局面を打開し、ゴールやチャンスメークをするスキルとして、ダブルタッチやステップオーバー・マシューズフェイントは極めて有効だと思います。

世界で成功したいのであれば、原口・宇佐美・浅野ら他の代表選手たちにも高いレベルでの技術習得を強く推奨しておきます。もちろんFC東京の中島選手や建英君ピピ君ら他の日本人選手たちも同様です。

 逆に気がかりなのは、今回召集された代表メンバーで30歳以上のベテランが目立つということです。特にMFで。

クラブで好調だというのはわかるんですが、ハリルホジッチ監督は1年数か月後に迫ったロシアW杯のピッチに立つ日本代表の年齢構成をどうイメージしているんでしょうか。チームの平均年齢は32歳ぐらいなんですか?

監督さんは、大事な試合だから経験が必要だと言っていますが、そんなことを言っていたらいつまでたっても若い選手が経験を積めず、世代交代に失敗する可能性が高くなります。日本サッカーはロシアW杯以降も続いていくことを忘れてはいけません。

「世代交代は予選を突破してからで良い」という意見も一部でありますが、それで失敗したのがブラジルW杯でした。

ザックジャパンで長らくセンターFWを務めていたのは前田選手でしたがブラジルW杯直前で衰えが見え始め、予選を突破してから柿谷・大迫ら若手選手にチャンスを与えたわけですが、いかんせんプレッシャーのかかる公式戦でのプレー経験が絶対的に不足していて、結局本大会ではほとんど機能しませんでした。

負けても痛くもかゆくもないテストマッチと、負ければ次のラウンドへ行く資格を失うという実際の痛みを伴う公式戦とはまったく別物であって、W杯の予選でプレッシャーに押しつぶされるようでは、もっとプレッシャーのかかる本大会で通用しないのは当たり前。

ですから、予選の段階から若い選手にチャンスを与えて成功経験を積ませないと、W杯のような公式戦でいきなり起用しても通用しない可能性が高いです。たとえ控えでもチームに帯同させて、ピッチ内外の先輩選手の振る舞いにじかに触れさせることで積める貴重な経験もあると思います。

前回召集メンバーとの比較では井手口選手はともかく、ボランチやトップ下の3番手としてヘーレンフェーンの小林選手は召集しても良かったんじゃないでしょうか。クラブでものすごくひどいプレーをしていたようには見えなかったのですが。

来るべきUAE戦のスタメンは、昨年11月のサウジ戦から大きく変更する必要性を感じませんが、代表監督は目先の勝利ばかりに囚われるのではなく、5年先10年先の日本サッカーのことも考えた長期戦略で選手の起用・育成をして欲しいです。

 さてUAE戦前の合宿で重要なポイントは、昨年11月のサウジ戦で機能した攻守の戦術を選手全員がもう一度思い出すということです。 

(当ブログ過去記事・日本代表、ロンドン世代でサウジに勝利 ) 

守備は、コンパクトな守備ブロックをつくってゾーンで守り、そこから約束事に従ってプレスをかけていくことで相手に自由にプレーさせない。サウジ戦では試合終盤に守備ブロックがバラけ、広く空いたバイタルエリアを使われてそれが失点につながりました。

攻撃は、適切な距離感を保って味方のボールホルダーをサポートしてパスをつなぎ、攻撃を組み立てていく。

得点を焦ってひたすらロングボールをポンポン放り込んだり、前線に4~5人が足を止めて張っていてサイドからのクロスをワンパターンで要求する4-1-5みたいなフォーメーションにならない。(これがホームでのUAE戦を落してしまった最大の原因の一つ)

ハリルホジッチ監督から「相手のボールホルダーを際限なく追いかけ回せ(いわゆるデュエル)」とか「失点するリスクが怖いのでロングボールを放り込め」みたいな指示が出て、試合中にそうした戦術が機能せず苦戦の原因となっているなと感じたら、長谷部キャプテンを始めとした選手たちで状況判断して、監督さんから許可を得てゲーム中に戦術変更するような臨機応変さも欲しいところです。

次に注意すべき点は以前から指摘していたように暑熱対策です。

予選会場となるアルアインは、キックオフ時間である夜の7:30でも気温が30℃近くあることが普通なので、相手より先に足が止まらないようしっかり準備して欲しいですね。

最後に意外に見落としがちなのが、アウェーで勝っているからといってタイ戦は決して油断できないこと。

日本が、かなり時差があるアルアインから埼玉へ東西に移動するのに比べ、自国で試合をしてからほとんど時差のない南北に移動して日本にやってくるタイの方が体力的には有利になります。

昨年バンコクでやったタイ戦もメルボルンでやったオーストラリア戦も、相手が日本とやる直前の試合を中東で戦っており、タイもオーストラリアも日本との試合中、体力的にキツそうだったのを覚えています。

試合中に体力を温存して走り負けることでUAE戦を落しては元も子もありませんが、時差のある長距離移動のあとのタイ戦のことも考え、試合前の練習は必要最低限のものに的を絞って実施し、選手を無駄に消耗させないように注意して欲しいです。

というわけで今度のUAE戦、もうやるべきことはわかっているわけですから日本代表の各選手が自分の実力をゲームで出し切ることだけに集中してくれることを望みます。



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。


一対一の勝ち方

フィジカルコンタクトに勝つためのスキル

ポストプレーヤーへの対処法

コンパクトな守備ブロックからのゾーンディフェンスのやり方

パスサッカーの基本(その1)

パスサッカーの基本(その2)

より高度なパスサッカー(その1)

より高度なパスサッカー(その2)

より高度なパスサッカー(その3)

良いカウンターアタックとは


  

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索