■2016年09月

■イラク戦・オーストラリア戦にのぞむ日本代表メンバー発表!

 ロシアW杯アジア最終予選のイラク戦(埼玉)・オーストラリア戦(メルボルン)にのぞむ日本代表メンバーが発表されました。
以下のとおりです。


GK 西川 周作 (浦和)
   川島 永嗣 (メス:フランス)
   東口 順昭 (G大阪)

DF 吉田 麻也 (サウサンプトン:イングランド)
   森重 真人 (F東京)
   酒井 宏樹 (マルセイユ:フランス)
   長友 佑都 (インテルミラノ:イタリア)
   太田 宏介 (フィテッセ:オランダ)
   丸山 祐市 (F東京)
   植田 直通 (鹿島)
   槙野 智章 (浦和)
   酒井 高徳 (ハンブルガーSV:ドイツ)

MF 清武 弘嗣 (セビージャ:スペイン)
   山口  蛍 (C大阪)
   長谷部 誠 (フランクフルト:ドイツ)
   香川 真司 (ドルトムント:ドイツ)
   柏木 陽介 (浦和)
   大島 僚太 (川崎)
   永木 亮太 (鹿島)

FW 原口 元気 (ヘルタベルリン:ドイツ)
   浅野 拓磨 (シュツットガルト:ドイツ)
   本田 圭佑 (ACミラン:イタリア)
   岡崎 慎司 (レスター:イングランド)
   宇佐美 貴史(アウクスブルク:ドイツ)
   武藤 嘉紀 (マインツ:ドイツ)
   小林  悠 (川崎)


川島選手と槙野選手が復帰し、鹿島の永木選手は代表初招集です。

もう何人か新しい選手を呼んで手元に置いてみた方が良いような気もしますが、UAE戦・タイ戦でうまくいかなかったからといってそれまでのチームを全否定し、招集メンバーを総とっかえしてみても、チームづくりから継続性が失われてしまい、かえって状況が悪化してしまいかねません。

前の2試合で上手くいったところを伸ばしていき、悪かったところはすみやかに修正するという考え方で、チーム強化を図っていくべきです。

 これまで何度も繰り返していますが、現在の日本代表が上手くいっていない原因は、次の3点。

(1)トップ下や攻撃的なボランチが得点を焦るあまり相手ゴール前にベッタリと張りつき、4トップ・5トップのような形になってしまうこと。これによって相手のマーカーをゴール前に集結させ、フリーでシュートを打ったり得点につながるパスを出すためのスペースを自分たち自身でつぶしてしまい、攻撃に「深さ」も取れないので酒井宏からのクロスが攻撃の唯一のパターンで、相手のバックにとっては「左からやってくるクロスをヘッドでひたすら前方へはね返す、簡単なお仕事」をするだけで良く、アイデアに欠けた単調な攻撃を繰り返していることが得点から遠ざかってしまう最大の原因。いつもゴール前にベッタリと張りつくことで相手DFのウラのスペースも消してしまい、スピードに乗った攻撃ができないことにもつながっている。(下図)

バランスが悪い

(クリックで拡大)

(2)右ウイングの本田選手にボールが入っても、相手に左足でのカットインを徹底的に切られ、かといって右足のドリブルでタテに抜くこともできず、攻めに時間をかけているうちに2人3人と相手に囲まれてバックパスという場面が多く、チームの攻撃にスピードが出ないもう一つの原因に。(これによってクラブでも出場機会を失っている) ウイングとしてサイドでのデュエルに勝って自分のクロスから味方のゴールをアシストしたり、カットインからのドリブルシュートで得点したりといった結果も出せていない。

(3)本田選手を中心に、ボールを失ったあと攻撃の選手が守備に戻るのが非常に遅く、縦にも横にもコンパクトな守備ブロックをつくれていないので、相手のカウンター攻撃にも脆弱で、守備が安定していない。これには(1)も大きく関係している。

当ブログ過去記事・日本代表の試合内容、どこが悪かったのか? 

当研究所がさんざん指摘してきたことですが、この3つの問題は何も今に始まったことではありません。

これが2次予選初戦のシンガポールとのゲームで引き分けてしまった原因だったのですが、カンボジアやシリアとの試合でも改善されることはなく、2次予選より対戦相手のレベルがアップした3次予選ではとうとうゴマカシが効かなくなり、敗戦につながってしまったのです。

こういう戦術上の問題は監督がその試合中・試合後にすぐ気づいて、少なくとも2次予選をやっている間に修正しておくべきでしたし、そのための時間はいくらでもありました。

当ブログ過去記事・ブラジルW杯の金縛り状態ふたたび(その2) 

当ブログ過去記事・日本代表、シンガポールに3-0の勝利 

当ブログ過去記事・日本代表、またしてもカンボジアに苦戦 

当ブログ過去記事・シリア相手にゴールもいっぱい、課題もいっぱい 

イラク戦前の練習時間も限られているわけですから、まず(3)の守備からチームの立て直しに着手した方が良いでしょう。

「コンパクトな守備ブロックをつくって相手が攻撃で使えるスペースを限定し、ゾーンディフェンスの約束事に従ったプレスをかけて相手に自由にプレーさせず、できるかぎり早くボールを奪い返す」

これを90分間継続できるように、実際にピッチを使った練習で確認するべきです。

(1)と(2)の問題については、不調の選手をいつまでも使い続けていたり、選手がその特徴・長所短所を踏まえた適材適所のポジションで起用されていないことが原因ですから、別の選手にチャンスを与えたり同じ選手を他のポジションで試してみることが必要です。

自分の目で各選手が練習時にどういう動きをしているかチェックできないのがつらいところですが、練習での動きに問題がないという前提で検討すれば、

(1)については、バックやボランチからパスを引き出す豊富な運動量と的確なポジショニングを取りつづける能力があり、受けたボールを適切かつ素早い決断で前方にいる味方へテンポ良くパスし、中盤でチームの攻撃をしっかりと組み立てられる人材が必要です。

(2)と(3)については、右ウイングにスピードや技術で相手との一対一に勝ち、なるべく独力でサイドを崩すことができる選手、攻守が入れ替わるたびにサイドを激しく上下動しても90分間体力が持ち、4-4のコンパクトな守備ブロックを形成する一角を崩すことなく、穴を開けずにちゃんと守備ができる選手を起用すべきです。

今回召集されたメンバーで考えてみますと、


              本田  
            

      原口     清武      浅野


           山口   長谷部   
              

     長友   森重   吉田   酒井宏
    (太田)

              GK

最初に本人が「自分は香川選手のようなタイプ」と自己紹介したことが誤解のもとになっている気がしますが、清武選手はゴールゲッターというよりもパサータイプの選手に見えますし、トップ下には彼を試してみてはどうかと思います。

左サイドにはタイ戦で好調だった原口選手がそのまま入ります。対戦相手の選手との力関係もありますが、守備に問題がなければスピードのある浅野選手を起用して右サイドを崩してもらい、守備時には原口・浅野の両選手がダブルボランチの位置まで下がって4-4のコンパクトな守備ブロックを形成します。

センターFWには本田選手を入れてはどうかと思います。彼はサイドを独力で突破できないので、本来の右ウイングのポジションから大きく離れピッチ中央でプレーしている時間が長く、それによって守備に戻ってくることも難しくなっているからです。

2次予選でも得点などの「結果」を出すことができたプレーエリアはゴール前などのピッチ中央部分であり、自分の得意なところでプレーすることで彼のポテンシャルを最大限に引き出すためにも、守備の負担を軽減させてチーム全体の防御力を落とさないためにも、センターFWで試してみたらどうでしょうか。

ハーフナー選手のようなフィジカルコンタクトに強いタイプが呼ばれていればその選手をセンターFWに入れて、本田選手を攻撃的なボランチにコンバートすることも一つの考え方だと思います。

コメント欄で読者さんからご質問がありましたが、スピードが落ちてきたベテランの攻撃的な選手をボランチに下げて再生させるというのは良く使われる手段で、それが上手いのはドイツ代表です。

2002年W杯で3-5-2のトップ下をやっていたバラックを4-4-2の攻撃的なボランチにコンバートして、2006年W杯では彼が中盤の底からゲームをつくっていましたし、同じ2006年W杯でサイドハーフをやっていたシュバインシュタイガーは、自分のクラブ(バイエルン)に真正ウインガーのリベリーが加入してきたこともあってボランチに転向、2010年・2014年W杯で4-2-3-1のボランチを務め、代表チームにも好成績をもたらしています。

もちろん新しいポジションをやるわけですから選手がボランチというポジションに求められることを勉強する必要がありますが、バラックやシュバイニーの例からも明らかなように本人に適性があれば、昔から長くやっているボランチに絶対にかなわないということはないと思います。

日本でも、中田英寿選手や遠藤保仁選手の例がありますよね。

当研究所は、ロシアW杯2次予選の初戦シンガポールとの試合から本田選手が右ウイングで機能していないことをずっと指摘していましたし、W杯には絶対に出てこないレベルのチームに0-0という結果は、我々に対してそのことを警告するサインだったと思います。

だから6月のキリンカップで、スピードが落ちてきている代わりにボール奪取に必要なフィジカルコンタクトの強さを持っていてパス展開力もある本田選手のボランチへのコンバートを試したらどうかと提案したのですが、それができなかったのはやはり痛かったですね。

 もし上記のシステムで、浅野選手のサイド起用が上手くいかず、FWとして使った方がチームが機能するというのであれば、フォーメーションを4-4-2に変更するというのはどうでしょうか。


                  本田     
            浅野  
           (香川)

      原口               清武

           山口   長谷部   
               

     長友   森重   吉田   酒井宏
    (太田)

              GK


右サイドの守備に大きな穴を開けないというのが前提ですが、右サイドハーフに清武選手をもってきて、原口選手と協力しながら中盤で攻撃を組み立てます。

本田・浅野両選手で2トップを組み、本田選手が場合によってはパスを受けに下がって清武・原口とからみながらチャンスメークし、浅野選手のスピードを生かしてスルーパスやワンツーからゴールを狙わせたり、逆に清武・原口・浅野に生かしてもらって本田選手自身がゴールを決めても良いでしょう。

メンタル面の問題を解決することが大前提となりますが、香川選手はもともとパサータイプのトップ下というより周りに生かしてもらってゴールするのが得意なセカンドストライカータイプだと思いますので、浅野選手の調子が落ちてきたときにFWとして起用するなら香川選手も機能するかもしれません。

以上3つの課題を解決して下の図のようなプレーができれば、良い結果が得られるのではないでしょうか。

バランスが良い


 最近マスメディアがパニックになったようにいろんなことを大騒ぎしていますが、日本代表の選手やコーチングスタッフは、それをいちいち真に受けて自分たちもパニックになるのでなく自分たちがやるべきことだけに集中すべきです。

つまりチームが機能しない3つの問題をすみやかに修正し、それを実際の試合でプレーで表現するということです。

マスコミは「UAE戦は海外組のフィジカルコンディションが悪かったせいで負けた」などと言い始めていますが、的外れな議論だと思います。

私が見る限り選手たちの体が特別重かったようには見えませんでしたし、初戦の緊張でもっとカチコチになるかなと心配していたのですがそれもなく、先制ゴールをあげるまでは動きはまずまず良かったんじゃないでしょうか。

ところがレフェリーによる不可解な判定が続いたことでリズムを狂わされ、日本の選手たちが「早くゴールを取りたい」と焦ってしまった結果、これまで述べたような3つの問題が発生しそれが攻守にわたってチームが機能しない原因となっていました。

ですからどんなに選手の体調が良くても、前述の3つの問題を解決しないかぎりW杯の予選で良い結果を出すことは難しくなります。

多くの海外組選手が試合に出られていないということについても大騒ぎしていますが、日本代表がより強くなってロシアW杯で好成績を残すために、乗り越えなければいけない試練であると私はポジティブに考えています。

欧州四大リーグのクラブでレギュラーポジションが取れていないということは、たとえW杯に出場できても、そのレベルの選手で構成された欧州や南米の代表チームに勝つことは難しいということです。

むしろこれまで述べてきた3つの戦術的な問題点を選手たちだけで気づき、試合中に話し合って修正することができるような「サッカーIQ」が身についていないから、欧州クラブでレギュラーポジションを維持できないのです。

自分がどうしてクラブで試合に出られないのか、現実を直視してその原因を自分の頭で良く考え、自分の代わりにレギュラーポジションを獲得しているライバル選手にあって、自分に無いものがあればそれを盗んで身につけるようにし、サッカー選手としての実力をアップさせなければなりません。

クラブで試合に出られないことは決して良いことではありませんが、「クラブと代表との連戦による疲労の蓄積が無い」と前向きに考えるようにして、今はW杯予選の試合でベストを尽くすしかありません。

永遠にザックジャパン時代のメンバーでチームを組んでW杯予選を戦い続けることは不可能ですし、実力があってチームを勝たせることができるなら、ピッチに送り出される選手たちの顔ぶれが変わることも、日本代表が強くなるために避けては通れない道であると私はポジティブに考えています。

大騒ぎしているマスコミの言うことをいちいち真に受けて「自分たちは調子が悪いんだ」などと自己暗示をかけて試合でのパフォーマンスが落ちないように、「ロシアW杯出場」というみんなで共有している一つの目標を達成するため余計な雑音を一切シャットアウトし、自分たちが今やるべきことをやるということだけに集中できるように、長谷部キャプテンが先頭に立ち日本代表各選手の「心を整えて」欲しいと思います。




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■フィジカルコンタクトに強くなるために一番重要なこと

  Jリーグで、外国人枠の緩和が検討されているようです。

現在Jリーグにおいて1つのクラブが保有できる外国人選手は、国籍・年齢制限の無い3人に、AFC加盟国の国籍を有する「アジア枠」選手やJリーグと提携している国内リーグを持つ「提携国枠」選手など2人を加えた計5人まで、試合にエントリーできるのはそのうち最大4人までとなっています。

Jリーグに外国人選手を増やそうという動きが出ているのは、やはりU-23日本代表がリオ五輪で敗退したことが影響しているのだと思います。

特に国内組の選手は外国人選手と比べてフィジカルコンタクト能力が低く、相手からボールを奪い返す・自分のボールをキープするというプレーの面で見劣りがしたことは否めません。(コロンビア戦・スウェーデン戦と進むにつれ、少しづつ改善されてはいましたが)

しかし、Jリーグに外国人選手を増やせばこうした問題がすぐに解決するというような単純なものではないと思います。

京都のエスクデロ選手は浦和時代、「自分のフィジカルコンタクト能力をフルに発揮すると、Jリーグのレフェリーにすぐファールを取られるので、いつもセーブしてプレーしている」とコメントしていました。

もしJリーグの審判が、「汚いファール」と「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」をちゃんと区別してジャッジしていれば、エスクデロ選手は浦和時代から自分のフィジカル能力をフルパワーで発揮できて、Jリーグで「無双状態」だったかもしれませんし、そうなってこそ対戦相手の選手もフィジカルコンタクトに強い彼をストップするために、自分たちのコンタクトスキルをどうあげていくかという発想が生まれて、そうした相乗効果でJリーグ全体のフィジカルコンタクト能力があがっていたはずです。

ところが、開幕当初は「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」を流すようにレフェリーに指導が入るのですが、Jリーグのシーズンがどんどん進んでいくと、なし崩し的に元へ戻ってしまい、昨年FC東京に加入したネイサン・バーンズ選手に、AリーグやKリーグと比べて「フィジカル的な戦いは無いに等しい」と評されてしまうような大変残念な状態が、現在まで続いてしまっているように見えます。

国内組選手のフィジカルコンタクト能力強化にとって一番重要なのは、Jリーグ審判団のフィジカルコンタクトに対するジャッジの基準を見直すこと、「汚いファール」と「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」をちゃんと区別して、後者のプレーを許容し奨励していくことなのです。

「手で相手を殴る・つかむ・押す・ヒジ打ちをする」「足で相手を転ばせる・蹴る・踏んづける」「頭突きをする・ツバを吐く」

こういう「汚いプレー」は厳しくファールを取っていかなければなりません。

しかし「自分の腰や太ももの外側・尻を相手の下半身にぶつけてバランスを崩し、ボールを奪う」「並走しながら自分の肩を相手の体の前に入れてボールを奪う」といったような体幹に近い部分でのフィジカルコンタクト、「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」には、Jリーグの審判はもっともっと寛容になるべきです。

そうやって相手のバランスを崩してボールを奪うわけですから、ときには相手選手が倒れたり吹っ飛ばされたりすることはあります。

自分の手を相手の胸に当て「つっかえ棒」のようにして自分のボールを守るやり方もありますが、どこまで手を使っても良いのかも含めて、欧州四大リーグにおいてフィジカルコンタクトがどこまで許容され、どこからが「ファール」となるのかを日本サッカー協会と共に研究し、世界に通用する判定基準を設けてJリーグ各審判員にしっかり教育していくとともに、その判定基準がシーズンの開幕からリーグ最終節まで一貫して変わらないように、マッチ・コミッショナー等がつねに監視していく必要もあります。

審判団やリーグ機構が、Jリーグに所属する選手たちに「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」の基準を示し理解してもらわなければ、日本人選手のコンタクトスキルは上がっていきません。

ゴール前で相手にちょっとでも触れられると「ここでFKをもらった方が得」と考えてシミュレーションぎみにわざと倒れる選手が非常に多いのが日本サッカーの悪しき伝統であり、そこでレフェリーが安易に笛を吹いて甘やかしてしまうことが日本人選手のフィジカル能力がいつまでたっても上がらない原因の一つです。

そういう場面では選手がどんなに激しく怒りや不満の表情を浮かべてもレフェリーは毅然とし、倒れている選手に「立て」と要求すべきです。

サッカーでは「正当なフィジカルコンタクトによって相手からボールを奪うこと」がルールで認められていることを選手側も理解しなければいけませんし、ましてやそれを逆恨みしてヒジ打ちや頭突きをするなんてことは絶対に許されません。

例を一つ挙げれば、Jリーグ1stステージ第9節のガンバ大阪対川崎戦で、大久保選手が宇佐美選手の顔面にエルボーを食らわせて流血させたことがありましたが、これはそれより前に起こった、センターサークル内で宇佐美選手に体を寄せられてボールを奪われたプレーに対する報復行為と見られ、レフェリーがなぜレッドカードを提示しなかったのか極めて疑問でした。

この試合でのヒジ打ちが見過ごされたことが伏線となって、大宮戦での頭突き退場へとつながったのでしょうが、あの程度のフィジカルコンタクトに負けていちいち腹を立てているようでは、W杯や欧州四大リーグで外国人選手との体のぶつかり合いに勝って結果を残すなんてことはできませんし、ボールを奪われて悔しいのであればヒジ打ちや頭突きで報復するのではなく、相手に当たられてもルールで認められた正当なボディコンタクトの仕方でボールをキープできるようなスキルを身につけるべきで、そうすることによって大久保選手のみならず、Jリーグ全体のフィジカルコンタクト能力が上がっていくのです。

「汚いファール」と「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」を区別できない審判、フィジカルコンタクトを受けるとすぐに倒れて「レフェリーからの保護を受けるのが当然」みたいな甘えを持った選手たち。

この試合は現在のJリーグを象徴するようなゲームでしたが、こういう環境にいくら外国人選手を入れたところで、ただそれだけでは日本人選手のコンタクトスキルは上がっていきません。

もうそろそろJリーグが開設されて25周年を迎えようとしていますが、外国人を入れさえすればすぐにそういった問題が解決されるというのであれば、もうとっくに日本人選手のフィジカル能力は世界トップクラスになっているはずです。

むしろ「レフェリーの判定基準」という一番重要なところを放置して外国人選手だけを増やせば、日本人選手のフィジカルコンタクト能力が上がらないまま、各クラブの外国人選手を増やしすぎて自国選手の出場機会が失われ、代表チームの弱体化が進んでしまった、イングランド・プレミアリーグやイタリア・セリエAの二の舞になりかねません。

特にGKのポジションで、最近日本人選手の出場機会が少なくなっているように思います。

1試合にエントリーできる外国人数は現行の4人のままでも十分であり、一番重要なのは「汚いファール」と「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」をちゃんと区別し、どこまでが「正当なフィジカルコンタクト」なのか、欧州トップリーグでも通用する判定基準を設け、それをJリーグのすべての審判員・すべての選手にしっかり教育していくことです。

それに加え、Jリーグに「フィジカルコンタクトの強さ」を前面に押し出したチームがもっとあっても良いと思います。

選手獲得に高いお金がかけられず、足元の技術が高い選手をそろえることができない弱小クラブこそ選手一人ひとりがハードワークし、引き気味にしたコンパクトな守備ブロックからフィジカルコンタクトをガチガチしかけて厳しいプレスからボールを奪い、そこからコレクティブカウンターを狙うべきなんじゃないでしょうか。

そういうクラブがJリーグに増えてくれば、上位チームもそれに対抗してフィジカルコンタクト能力を高めざるを得ず、リーグ全体の国際競争力がアップしていくと思います。

そこでレフェリーが「見ていてかわいそうだし流して怒られると怖いんで、選手が倒れれば何でもかんでもファール取ります」では、全部が台無しです。



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当ブログ関連記事・フィジカルコンタクトスキルの基本

当ブログ関連記事・ポストプレーヤーへの対処法の基本



  

■香川選手はどうしたら復活できるか?

 今回は、不調が続く香川選手はどうしたら復活できるのか考えてみます。

結論から言えば、彼の不調の原因は足元の技術でもフィジカルコンディションでもなくて、やはりメンタルの問題が一番大きいと思います。

彼は、毎試合自分のプレーを採点するマスメディアを含む他人からどう思われるかを異常に気にしすぎており、まわりから高い評価を受けたいという思いで頭がいっぱいになってしまった結果、自分が本当にやるべきことを見失っているように見えます。

得点のような「目に見える結果」を出したいと焦るあまり、ゴール前に長い時間ベッタリと張りついていたり、よほど自分にパスが欲しかったのかドリブルする味方に近づきすぎて衝突するなど、プレーが完全に空回り。

トップ下が、「パスで攻撃を組み立てる」という本来やるべき大事な仕事を放り出してしまえば、チーム全体としてもスムーズにボールをゴール前へ運ぶことができませんから、いくら自分がゴール前で張っていても良いパスが来るはずがありませんし、バイタルエリア中央でセンターFWのすぐ横に並び、4トップ5トップみたいな形になってしまうと、相手のマーカーをゴール前に引っ張ってくることで、シュートやラストパスをするためのフリースペースを自分自身でつぶしてしまっています。

UAE戦やタイ戦で日本代表の攻撃が機能しなかった大きな原因の一つがこれです。

以前、香川選手がスランプに陥ったときに、得点したいからといって相手ゴールにどんどん近づいていくと、逆に得点から遠ざかってしまうよと言ったのですが、最近クラブのゲームでも再びGKの3m前にポジショニングするようになっていますね。

当ブログ過去記事

 香川選手は他者から高い評価を受けたいと強く願っているのと同時に、ミスプレーで自分の評価を下げたくないという気持ちも強すぎるのではないでしょうか。

彼がドルトムントでもザックジャパンでも中心選手となったころから現在までずうっと続いている悪いクセですが、香川選手が中盤でパスを受けてルックアップしたとき、右前方10mにフリーの味方がいたとします。

しかしその味方にはすぐパスを出さず、他にパスを出せる味方がいないか探しますが見当たらず、じゃあ最初の味方へパスを出そうと視線を戻すと、その味方には敵選手がすでにマークについていてもうパスを出せません。

そうこうしているうちに相手のボランチが自分にプレスをかけてきて前方へのパスコースが無くなり、香川選手はボールを守るために後方へクルッと半回転して別の味方へバックパス、自分がバックパスをした味方からリターンがもらえないスペースへ走っていくというプレーが本当に多く、こうした状況判断の悪さが彼がトップ下としてチームの攻撃を上手く組み立てることができないもう一つの大きな理由となっています。

サッカーというスポーツにおいては「時間はつねに守備の味方」なのであって、プレーに時間をかければかけるほど守備側の選手がゴール前へ戻っていき、フリーでプレーするためのスペースやパスコースがなくなって得点の確率がどんどん低くなっていきます。

「今ならフリーでシュートを打てるしコースも空いている」「今ならフリーで味方がパスを受けられ、その選手がシュートや決定的なパスを出すことができる」と思った瞬間に、自分のファーストインプレッションどおりにプレーを選択した方が良い結果が得られることが多く、さんざん迷ったあとで選択したプレーはたいてい上手くいかないものです。

(決断は早い方が良いからといって、あまり焦りまくってプレーしてもミスにつながり、やはりゴールできる確率は低くなってしまいますから、何事もバランスが重要です)

香川選手がこうした決断力に欠ける優柔不断なプレーを繰り返してしまう原因は、自分が選択したプレーがミスになって他者からの評価が下がるのが嫌なので、「絶対に失敗したくない。だから一つ一つのプレーを慎重に選択したい」という気持ちが強すぎて、自分の判断力に自信がなく、いつもピッチの中で迷いながらプレーしているからではないでしょうか。

 「他人の評価」なんて、良いプレーをしようとしている自分の足をひっぱる邪魔もの以外の何物でもないのであって、ゲーム中はそんな邪念を一切捨てるべきです。

試合中は「自分がやるべきこと」だけに集中してプレーし、それができたのならゴールやアシストを記録したかどうかに関係なく自分のプレーや決断に自信を持ち、それができなかったときはその原因を自己分析して、次の試合で課題を克服できるように心掛けないといけません。

試合後に「キッカー」や「ルールナハリヒテン」のようなマスコミが自分に何点をつけたか一切見る必要もありません。

もし誰かに自分のプレーを客観的に評価してもらいたいのであれば、試合前に「自分に求められているプレー」を、試合後に「それがどれくらい達成できていたか」を、クラブでも代表チームでも監督やコーチに聞くようにし、そのアドバイスを自分のプレーに生かせば良いのです。

トゥヘル監督が香川選手にどういうプレーを求めているのか正確なところはわかりませんが、当研究所が考える4-2-3-1のトップ下に求める仕事は「攻撃80%・守備20%」です。

「80%の攻撃」のうち、中盤でパス回しの中心となったり味方のゴールをアシストするパスを出したりして「攻撃を組み立てる仕事が70%」、機を見てゴール前へ侵入し味方からパスをもらって「自分でゴールを決める仕事が30%」です。

攻撃のうち、70%の仕事(パスによる攻撃の組み立てとチャンスメーク)がちゃんとできているなら、チームが勝つ確率は髙くなりますし、そうなれば「香川選手は我がチームに必要だ」と、プロの指導者から正当に評価されるはずです。

70%の仕事をちゃんとやり遂げた上でタイミング良くバイタルエリアへ侵入し、味方にパスを出してそのリターンをもらってシュートみたいな形で、残りの30%の(自分でゴールを決める)仕事ができれば、さらに評価が高まることでしょう。

(現在の香川選手は得点しようとゴール前で張っているプレーが70%、パスで攻撃を組み立てるプレーが30%になっています。これではトップ下としてダメ)

だから試合中は自分に課せられた仕事をやり遂げることだけを考えてプレーすることが一番大事です。

それで自分の仕事を果たすことができた、そのために集中して全力を出し切れたと思ったら、自分がゴールできようができまいが、チームが勝とうが勝つまいが、自分のやったことに自信を持つこと。

自分の選択したプレーが悪い結果となっても引きずらずに、その失敗から多くのことを学んで次に良いプレーができればいいと開き直ることも重要です。

シュートを外していちいち頭を抱えて立ち止まるのは香川選手の悪いクセですね。そんなヒマがあるならGKがシュートをキャッチできずに前へこぼしたボールにつめるための第一歩をすぐさま踏み出すべき。

ゴール前で、ボールが自分のところへこぼれてきてからどういうプレーをするか考え始めるのではなく、「自分のところへこぼれてこい!」といつも念じていて、もしそういう場面が来たらどうやってゴールを決めるか、つねに準備しながらプレーすべきです。

 こうしたメンタル面の問題を自分だけで解決できないと思うなら、勝てば日本のW杯出場が決まる、勝てば日本のW杯優勝が決まるみたいな、緊張でガチガチになり頭の中が真っ白になりそうなゲームであっても、香川選手本来の実力をつねに発揮できるようにするため、スポーツ心理学の専門家を個人的に雇って定期的にメンタルトレーニングをやったらどうでしょうか。

自宅にある高圧酸素カプセルの機械より、今の香川選手にはメンタルの強化の方がよほど重要だと思います。

だからといって怪しげな新興宗教にひっかかるのだけは注意して欲しいのですが、試合中に他人の評価を気にして「目に見える結果」を出すことばかり気にしてプレーするのではなく、自分の能力・判断力に自信をもち、いつも平常心で冷静にプレーできれば、香川選手はクラブでも代表でもちゃんと復活できると思います。

こうしたメンタル面の弱さを克服できないようであれば、クラブでの試合はもちろん日本代表の中心選手となってW杯で良い結果を残すことも困難になります。

ドルトムントでデビューしたときは彼も若くて、「怖いもの知らず」でゴールを決めまくっていましたが、大人になるにつれ「失敗する怖さ」を知ってしまい、それがプレーに悪影響を与えているように思えます。

今ここであえて香川選手を「千尋の谷」へ突き落し、彼が自分の力でそこからどう這い上がってくるか、攻撃の中心として日本代表を世界で勝たせるだけの実力(精神力・技術・体力)を身につけることができるのか、そこをじっくりと見極めたいです。

 「UAE戦やタイ戦で苦戦したのは、海外組のフィジカルコンディションが悪かったのが敗因だから、国内組を使え」という意見が、ここに来て出始めていますが、チームのどこに問題があるのか正しく分析できていないと思います。

あの2つの試合で日本が苦戦したのは、「トップ下や攻撃的なボランチが得点を焦るあまりゴール前にベッタリと張りつき、4トップ5トップみたいな形になって相手のマーカーをゴール前へ集結させ、自分たち自身で攻撃のためのスペースをつぶしてしまったこと」「右ウイングにボールが渡ってもそこでデュエルに勝つことができず、時間をかけているうちに2人3人と相手選手に囲まれてバックパスしか選択肢がなくなり、チーム全体の攻撃からスピードが失われていること」「両ウイングを中心に攻撃の選手が守備に戻ってこないので、MF4人・DF4人のコンパクトな守備ブロックをつくることができず守備が安定しないこと」、以上3点が原因なのであって、たとえ国内組を使ってもこの3つの課題が解決されなければ再び苦戦を繰り返すことでしょう。

ジーコジャパン時代の前例から国内組を使えという発想が出てきたのでしょうが、ここで先発メンバーを国内組に総とっかえしたところで、チーム強化から継続性がまったく失われてしまいますし、仮にそれでロシアW杯に行けたとして世界の強豪に通用するでしょうか。

本当はこういうことでは大変困るのですが、国内組をオーバーエージとして起用してみたらU-23でも世界に通用しなかったというのをリオ五輪で目にしたばかりです。

どんなに不調でも同じ選手をスタメンで起用し続けたり、各選手の特徴・長所短所に応じた適材適所のポジションで使われていないということが最大の問題なのであって、岡崎選手を外して浅野選手をセンターFWに入れたことで、浅野選手はタイ戦でゴールをあげて結果を出しましたし、「チームに競争があるのは当たり前」と正しい認識をすることができた岡崎選手はチェルシー戦でさっそく2ゴールをゲットし、日本代表チーム内での競争が、2人の成長に良い結果をもたらしています。

代表のトップ下や右ウイングのポジションに今必要なのは、こうした競争なのです。


当ブログ関連記事・岡崎選手の課題、香川選手の課題



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■日本代表における選手起用法についての疑問

 今回は、日本代表における選手起用法について、疑問に思っていることを書いてみようと思います。

UAE戦は八百長まがいのジャッジが続出するという大変不運な試合だったとはいえ、トップ下の香川選手と右ウイングの本田選手のところが機能していなかったのは明らかで、つづくタイ戦でもその2つのポジションは放置されたまま、試合にこそ勝ったもののゲーム内容は悪く、このグループでもっとも力の劣る相手に苦戦した大きな要因となっていました。

ハリルホジッチ監督は実際のプレー内容ではなく、「セリエAやブンデスリーガの人気チームでプレーしているから」という肩書き、あるいはブランドだけを見て、どのポジションに誰を起用するか決めているのだろうか?と疑問でならなかったのですが、もしかしたら別の理由があるのかもしれません。

それで思い出したのが「なでしこジャパン」です。

なでしこが、前回W杯準優勝チームでありながらリオ五輪アジア予選で敗退してしまうという大変ショッキングな結末を迎えてしまったその直後に、スポンサー企業や広告代理店から「消費者の話題になるように、宮間・大儀見・川澄らベテランのスター選手をつねに起用しろ」という強い要請があり、佐々木則夫監督はそれを拒むことができず、若手選手への世代交代をしたくてもできなかったので、負けるべくして負けたのだという趣旨の報道を目にしました。

実際、なでしこのリオ五輪アジア予選のウラで行われていたラ・マンガ国際で、U-23日本女子代表がノルウェー・スウェーデン・ドイツに3連勝していたわけで、本当はリオ五輪アジア予選のピッチに立つべきだった選手がラ・マンガ国際でプレーしていたのではないか、もし世代交代がちゃんとできていたらリオ五輪アジア予選の結果もガラッと変わっていたのではないかと、今になって思います。

「消費者の話題になること」を狙ってベテランのスター選手を多く起用したのに、女子サッカーが一番話題になる大会であろうオリンピックに出場できなくなり、リオ五輪期間中なでしこのことを話題にした消費者はほとんどゼロ。

もしそのような報道が事実なら、選手の起用法などサッカーのことは、サッカーを一番良く知っている現場の専門家に任せ、部外者が余計な人事介入をするのは厳に慎むべきです。それをやってビジネス的に一番損をするのは、なでしこのスポンサー企業であり広告代理店なのですから。

そして、なでしこだけではなく男子の日本代表にも同じようなことが起こっているのではないかと心配しています。

日本代表のスポンサー企業やスポーツ用品メーカー・広告代理店が、「消費者の話題づくり」や「ある選手モデルのユニホームやシューズを売るため」に、どんなに不調でそのポジションで機能していなくてもベテランのスター選手をW杯の予選で起用しろとハリルホジッチ監督に圧力をかけ、代表監督には誰を招集しどのポジションで起用するか完全な決定権が与えられていない、なんてことが私たちサポーターの知らないところで起こっているのであれば、リオ五輪アジア予選で敗退した、なでしこ同様の危機です。

消費者でもある私たちサポーターは多くの場合、「勝者」に強いあこがれを持つのであって「ボロボロの敗者」にではありません。

タイ戦での香川選手や本田選手の出来は悪かったように見えましたが、日本やタイだけでなく他のアジア諸国やドイツなど欧州にもあの映像が流れるわけで、どんなにひどいプレーをしていても選手を試合で使い続ければ、かえって「ユニホームやシューズを売るための広告塔」としてのその選手のイメージなりブランド価値に大きな傷がついてしまいかねません。

高額なユニホームやシューズを買うコアなサポーターほど、サッカーを見る目が肥えているわけで、もしスポンサー企業や広告代理店が「とりあえず試合に出しとけば話題になって、シャツが売れるだろう」と考えているのだとしたら、それは世界中の消費者をバカにしすぎです。

その選手が所属するクラブの関係者も代表戦の試合映像は見るでしょうし、それでクラブでもその選手が出場機会を失ってしまえば、「誰得」なんでしょうか?

「定番商品はこれから大きく売り上げが増えていくわけではないが販売数や利益はある程度計算できるから、店頭に占める定番商品の面積を減らして新商品を並べるという冒険は一切したくない」というような考え方は、マーケティングの観点からいえば「縮小均衡」で衰退しつつある老舗企業の発想です。

むしろ、香川・本田両選手の調子が悪いなら、勇気をもって清武選手をトップ下のポジションで試したり右ウイングで浅野選手を起用したりして、それで彼らが日本代表で活躍し、クラブでも清武がバルサやレアル相手に良いプレーをする、浅野がブンデス2部で活躍してアーセナルに戻りプレミアでゴールを量産するといった相乗効果が出てくるなら、清武や浅野モデルのシャツやシューズが日本だけでなくアジアを中心に世界中で売れるでしょうし、それに奮起した香川・本田両選手が代表でもクラブでも復活をとげれば、彼らのシャツやシューズの売れ行きも再加速することでしょう。

つまり日本代表は、サッカーの国際競争力においてもビジネス面においても再び成長軌道に乗ることができるというわけです。

実際アーセナルから「青田買い」をされた浅野選手に対する関心が、プレミアファンが多いタイで高まりつつあるのを感じました。

なでしこのように、話題性はあっても低調なプレーを繰り返す選手を試合で使い続けたために日本代表がロシアW杯予選で敗退なんてことが起こってしまえば、チームや選手を応援しているサポーターにとっても、スポンサー企業や広告代理店にとっても、日本サッカー協会にとっても誰の得にもなりません。

誰をいつどのポジションで起用するかは監督やコーチなど現場スタッフに一任し、スポンサーや広告代理店が人事介入するようなことは絶対にやめて頂きたいです。

日本サッカー協会もそのようにステークホルダーを説得しなければなりません。

2006年ドイツW杯でジーコジャパンが壊滅的な敗北を喫したあと代表戦人気がガタ落ちとなり、日本平や熊本みたいな3万人収容以下のスタジアムを埋めるのがやっとだった、あの暗黒時代のことを良く思い出してください。

あのどん底から、ようやくここまで日本サッカーを立て直すことができたのですから。  

 プレー面でほとんど機能していないにもかかわらず、本田選手が右ウイングというポジションにこだわっているのは、スポンサー企業や広告代理店のビジネス上の都合ではなくて、もっと別の理由があるのではないかとも妄想しています。

ブラジルW杯は日本代表にとって非常に悔しい結果になってしまいましたが、ザックジャパンの中心選手だった本田・香川・岡崎・長友選手の間には強固な友情関係が構築されており、「ロシアW杯はこの4人がそろって出場し、絶対にブラジルのリベンジを果たそう」と固く誓い合っているのではないか、

そこで本田選手が「自分の後継者としてトップ下は香川に任せたい。彼が攻撃面での新しいリーダーになってほしい。でもゴールをあげ続けるヒーローとして自分も活躍し続けたいが、センターFWには岡ちゃんがいるのでそこへは行けない。ならば自分が出られるのは右サイドしかない」と考え、ブラジルW杯が終わってから突然、右ウイングのポジションでプレーするようになったのではないかという妄想です。

もしこれが事実だったとしたらですが、そのような“消去法”で自分のポジションを決定して成功できるほど、代表もクラブも世界のサッカーは甘くないです。

どのポジションも基本的には、「自分はそこが一番得意」という選手が集まってくるのが世界のサッカーですし、一対一のデュエルに勝ってサイドで数的優位をつくり相手の守備を崩すという役割が求められる右ウイングというポジションの特性を考えれば、大変言いにくいのですが、若い時よりスピードが落ちつつあり技術も不足している本田選手にとって適任のポジションとは言えないですし、実際にプレーで結果も出せていません。

夢をかなえるためには、その実現を信じることがまず必要ですが、自分の理想と現実とのギャップが大きくなりすぎたときは、現実の方を直視して「戦略的な一時撤退」を決断し、現実と折り合いをつけながら夢をかなえるための次のチャンスをうかがうことも大事です。

私は「常に理想を追い続ける、リアリスト(現実主義者)でありたい」と考えています。

サッカーで言えば、日本人の特徴にあったパスサッカーでW杯優勝を勝ち取って欲しいというのが理想ですが、自分の理想だけを押し通せば、一直線に夢が実現するというほど、現実は甘くはありません。

現状、ドイツやアルゼンチンが日本より格上なのは間違いないですし、もしW杯で当たったら、守備を固めてカウンターサッカーという戦い方を選択しても今はやむをえないと考えます。

W杯で1つでも先に勝ち進むことで日本人選手がいろんな経験を積んだり、代表人気を盛り上げて強化に必要なお金を日本のサッカー界に落としてもらうということも重要ですしね。

もちろん相手が実力的に互角か格下ならば、自らの理想がどれくらい通用するか試す価値は十分あると考えます。

以前のエントリーのコメント欄に、管理人スパルタクはパスサッカーとカウンターサッカー、どちらを支持しているのかというご質問がありました。日本のサッカー界ではその2つは相反するものであり、1つのチームがその両方を武器として持ってはいけないと考える人が多いようですが、私はもっと柔軟でしなやかな考え方です。

理想を追い求めることができるうちはどんどん前へ進んでいき、自分の実力では乗り越えられない現実の壁にブチ当たったら、折り合いをつけて理想と現実とのバランスを取るのみです。

話を本田選手に戻すと、フィジカルコンタクトに強くパス展開力もあるという彼のプレースタイルに加え、ミランでは献身性を評価されているという点を考慮すれば、攻撃的なボランチに転向すれば、代表でもクラブでも再び輝くことができる可能性がありますし、レジスタとしてミランに優勝をもたらすような活躍ができれば、もしかしたらレアルマドリードから声がかかるかもしれません。

日本代表でも同じポジションでプレーすればチームに良い影響をもたらすことができます。

たとえ右ウイングでプレーできたとしてもMLSへ行ってしまったら「もう世界の第一線では活躍できない選手」とみなされて、ヨーロッパに帰ってくることは困難になると思われます。

そのどちらが本田選手にとって、本当の利益になるでしょうか。

攻撃のポジションであれば、センターFWが唯一機能する可能性のあるポジションではないでしょうか。

以上述べたことは、想像力がたくましすぎる私の妄想だとは思いますが、どの選手をどのポジションで起用してチーム全体のバランスを取るか、それを考えるのは監督やコーチの仕事であって、一介の選手がそれに介入するのはルール違反です。

  今の日本代表における選手起用法について、疑問に思うところをつらつらと書いてみましたが、結論としては「純粋に各選手のプレー内容や現在の実力によって、どのポジションに誰を起用するのかを監督やコーチングスタッフといった現場のプロが決めて欲しい」という、その一言に尽きます。

まだリーガエスパニョーラの厳しい環境に適応しようとしている途中ではあるものの、エイバル戦でのゴールにつながった清武選手のスルーパスは良かったですし、カイザースラウテルン戦で先発した浅野選手も、得点こそありませんでしたが、太ももの外側や尻を上手く相手に当てて一対一に競り勝ち、惜しいシュートやチャンスメークがあって、彼もプレー内容はまずまず良かったですね。この試合における彼のデュエルでの勝率が52%だったと、ドイツサッカー界が驚いているらしいじゃないですか。

清武選手は年齢的にはもうベテランの域ですけど、彼に加えて浅野・原口・宇佐美・武藤ら若い世代が中心となり、日本代表を背負って立ってもらわなければ困る時期に差し掛かっているように思います。

 次回は、どうすれば香川選手を再生できるのかについて、考えてみます。



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当ブログ関連記事・日本代表をどう立て直すべきか?


  

■どうしたらアジアから八百長試合をなくせるか

前回のつづき

 日本サッカー協会(JFA)の田嶋会長が、UAE戦での“誤審”に対する抗議書をアジアサッカー連盟(AFC)に提出してからそろそろ2週間になろうとしていますが、何の動きもないですねえ。

読者の方からサポーターの署名を集めてJFAに提出したらどうかというお話も出ておりますが、田嶋会長からやる気があまり感じられないですし、もしかしたらやりたくてもやれない「大人の事情」があるのかもしれません。

AFC内部の権力闘争が今どういう状況なのか、最近チェックしていないのでわかりませんが、たとえばカタールやUAEの王族の援助があったので田嶋会長がFIFA理事選挙に勝つことができ、だから田嶋会長はカタールとUAEのサッカー協会には頭が上がらないとか、あるいはカタール人のハマムAFC元会長が失脚する遠因となる活動を田嶋会長がやっていたので、カタール人主審があからさまにUAEびいきの“誤審”を繰り返したのはその報復だったとか、AFC内部のドロドロの事情があるのかもしれません。

ただどういう理由であれ、アジアのサッカー界から八百長試合を完全に撲滅していかないといけないということに変わりはありません。

サッカーの試合がどういう結果になるのか、そのシナリオがウラで決まっていたのでは、われわれサポーターがどんなに一生懸命応援しても初めからムダだということですし、そんなインチキスポーツに自分の限られた時間を浪費するつもりはありません。

JFAもAFCもFIFAも、世界中のサポーターがそういう気持ちになってしまったら、自分たちの首を絞めることになるということを深刻に受け止めるべきです。

そこで日本のサッカー界がアジアの先頭に立って八百長試合を無くしていくと決意するのであれば、自分たちは強くならなければなりません。以前にも言ったとおり「正しい者が報われ、悪い者が罰せられるのではなく、強い者が報われ、弱い者はただ弱いというだけで罰せられる」というのがこの世界の掟だからです。

前回エントリーでのたとえ話で言えば、「車が来なくても横断歩道が赤信号なら、歩行者は青になるまで立ち止まっていなければならない」ということを正義だと固く信じるのであれば、それを全世界の人たちに守ってもらうためのパワーを日本人が持たなくてはならないということです。

パワーとは、選挙でいうなら「自分が獲得した票の数」です。それを増やすには「信頼できる日本の味方」を世界にできるだけ多くつくらなければいけません。

日本がまず味方につけなければいけないのは「東南アジア」です。

ロシアW杯アジア予選で、シンガポールやカンボジア・タイと対戦して感じたことは、本田・香川選手ら日本のサッカー選手へのあこがれが、想像をはるかに超えるほど強いということです。

自国チームが失点したのに、本田選手のゴールに手を叩いて喜んでいるシンガポールやカンボジアのサポーターにはびっくりさせられましたし、タイも、本田・香川はもちろんアーセナルに目をつけられた浅野選手への関心が集まり始めていて、日本サッカーに対する強いリスペクトを感じました。

もともとタイ代表は、1stユニホームが赤で2ndが青だったのですが、前回W杯予選で日本と対戦した2007年ごろはタイの王様の在位60周年記念だとかで、王様の色である黄色が1stユニになっていましたが、そこから赤に戻ると思いきや青になったのは、日本代表の青いユニホームへのあこがれじゃないでしょうか。

パスサッカーでアジアカップ2011に優勝したザックジャパンを見て、当時カタールの監督だったブルーノ・メツは「日本はアジアのFCバルセロナ」と呼んでいましたが、現在キャティサック監督がパスサッカーでタイ代表を強化しているのは、やはり日本のサッカーを見習いたいという気持ちがあるからではないでしょうか。

日本が東南アジアに対して持っているこうした文化的影響力(ソフトパワー)をアラブ諸国は持っていませんし、いくら裕福な産油国であってもお金で買えるものではありません。

東南アジア10か国(ベトナム・ラオス・カンボジア・タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ・インドネシア・東ティモール・ミャンマー)に対する、日本のソフトパワーを生かさない手はないです。

タイなんかも「アラブの笛」に苦しんでいるようですから、「日本と東南アジア10か国が協力して、一緒にアジアから八百長試合を撲滅していきましょう」と協力を呼びかけるわけです。

これで10票獲得できるでしょう。

昔AFCの会長はマレーシアの王族で、実質的に組織を動かしていたのは同じマレーシア人のダトー・ベラパンだった時代がありましたが、アジアから八百長試合を無くしていくために、もう一度東南アジアサッカー界の代表者をAFC会長選挙に当選させ、筆頭格の副会長は日本人が当選できるように選挙協力を行い、日本人のAFC副会長が実質的に組織を切り盛りしていくのも良いかもしれません。

同様に、伝統的な親日国のインドや日本サッカーへのあこがれが強いブータンなどを足掛かりに、南アジアの7か国、ウディネーゼやミランを指揮していた頃のザッケローニ氏の戦術をずっと研究していたとかで、ザックジャパン時代に日本サッカーを非常に高く評価していたタジキスタンを足掛かりに中央アジア6か国、さらにモンゴル・台湾・グアムなどの東アジア諸国を味方につけてそこに日本が持っている1票を加え、最大27の組織票を固めることができる可能性があります。

AFC加盟国数は47(投票権がある国は45票)ですから軽く過半数を超えるわけで、アラブ諸国が一致団結したとしても12票、日本プラス東南アジア・南アジア・中央アジア連合が形成できれば、AFCで日本が勝てない選挙はなくなるんじゃないでしょうか。

あとは、カタールと対立しているバーレーンなどに肩入れしてアラブ陣営を内部分裂させたり、もしオーストラリアが協力してくれるなら、味方に引き入れたりすれば良いでしょう。

韓国・中国・北朝鮮を仲間に引き入れるのは絶対にダメです。

前の2者こそ、不正が疑われる試合を何度も繰り返してきた当事者ですし、彼らはどんな正論であっても日本のリーダーシップは認めないという立場はゆるぎなく、彼らが「協力や友好」を日本に求めてくるときは、自分の利益のために日本を利用してやろうというだけのことですから。

もちろん韓国・中国の人は非常に「頭がいい」ので、本音をペラペラしゃべって自分の計画を台無しにすることは絶対にありませんけど、カタールのハマムAFC会長の不正を追及するために日本が韓国と協力することになって、2009年にハマム会長の再選を阻止しようとしたのですが、会長選挙でハマム氏が勝つと韓国サッカー協会は手のひらを返して真っ先に日本を裏切り「韓国は全力でハマム氏を支える」と表明、日本は韓国に利用されるだけ利用されてボロ雑巾のように捨てられます。

ハシゴを外されてハマム氏の怒りをたった1人で受けるとめる立場となった日本。それが2011年の田嶋会長のFIFA理事戦敗北へとつながっていくことになった、というのが当時の報道でした。

日本がソフトパワーを最大限に利用しながら、東南・南・中央アジア諸国とサッカー指導者の派遣やJリーグへの東南アジアのスタープレーヤーの受け入れなどビジネスでも関係を深め、彼らと一緒に選挙でもウインウインの関係を構築できれば、AFCの選挙は勝てると思います。

それで日本人のAFC会長もしくは副会長が先頭に立って、アジアから八百長試合をなくしていけば良いのです。

具体的には、AFCを「東アジア」「東南アジア」「中央アジア」「西アジア」の4地区に分け、W杯のアジア予選やアジアカップの本大会とその予選といったAFCの公式戦において、違う地区同士の対戦となった場合は、公平を期し不正を排除するために第三の地域から審判団を派遣しなければいけないという規定を創設するのが一案です。

(「AFCを東西に分けてW杯予選をやるべきという意見もありますが、サッカーの実力が「東高・西低」の現状、日本・オーストラリア・韓国がひしめく東地区は「死の組」となることが必定なので、避けた方が無難)

たとえば日本とUAEが対戦する場合は、審判団は日本とUAEがそれぞれ所属する「東アジア」「西アジア」以外の地区、つまり「東南アジア」か「中央アジア」から派遣しなければいけないと定めるわけです。

またAFCで公式戦を担当する審判団をいくつもプールしておいて、外部から八百長を持ちかけることができないようにホテルに「缶詰め」にしておき、誰がどの試合を担当するかを試合直前に決定するというのも良いかもしれません。

それで不正がなくならないなら、世界でもっともマトモなUEFAあたりから審判団を派遣してもらうしかないと思います。

アジアから八百長試合をなくしていきたいのであれば、日本人が強くなってAFCの権力を握り、そのパワーを正しいことのために使うしかありません。
 
ところで、これはある読者さんからのタレコミ情報なんですが、2013年3月26日にソウルで行われたブラジルW杯アジア最終予選の韓国対カタール戦で、日本の西村雄一レフェリーが「韓国びいき」の笛を吹いて韓国が勝ったので、カタール人主審が
日本対UAE戦でその仕返しをしたのではないかという説が出ているようです。

韓国が決勝ゴールをあげたのが後半ロスタイム6分だったのですが、引き分け狙いのカタールがその前に時間稼ぎをしていた可能性があり、不正が疑われる試合であったかどうかは、キックオフから一試合全体を通して見ないことには何とも言えません。

私はこの試合のことを全然知りませんでしたが実を言いますと、このあとに行われた2013年6月4日のレバノン対韓国戦は、疑惑のゲームだと思っていました。

オーストラリア人のベンジャミン・ウイリアムズ主審は、ロスタイムを7分も取った上に、ペナルティアークで韓国にFKを与え、ゴールが決まった直後にタイムアップの笛、韓国は危うく敗戦を逃れたという試合でした。

ペナルティアーク付近でのFKは、八百長試合への関与が疑われるレフェリーが良く使う手だと以前言いましたが、レバノンの選手が軽く手で触れているものの、韓国の選手は自分の意図通りヘッドでボールを後方へフリックするプレーができており、これがどうしてレバノン側のファールなのか理解できません。

(ウイリアムズ主審は、東アジアカップ2013の日本対中国で、中国に疑惑のPKを2つも与えており、当研究所がアジアのレフェリーで要注意人物と見ている1人)



よく調べてみると、韓国が戦ったブラジルW杯アジア最終予選8試合のうち、3試合が日本人レフェリーでしかもすべて韓国のホームゲームという非常に不自然なことが起こっていました。

韓国から金銭をもらって日本人レフェリーが買収されるようなことはまずあり得ないとは思いますが、過去の植民地支配に対する罪の意識をもっている日本人はまだまだいるので、「日本人がレフェリーを担当する試合で負けて韓国がW杯へ行けなくなるようなことがあれば、それがきっかけで日韓関係が悪くなるのではないか、もしそうなったら自分の責任だ」などと余計な心配をして、日本人審判が無意識に韓国びいきの笛を吹いてしまうかもしれませんし、韓国の人は「頭がいい」ので、そういうことをあらかじめ期待して韓国のW杯予選試合を日本人審判が多く担当するように仕向けたのかもしれません。

日本がアジアから八百長試合の追放を訴えるなら自らすすんで襟を正し、「李下に冠を正さず、瓜田に履を納れず」と昔から言うように、たとえ何もなかったとしても、東アジアどうしで、
日本と韓国のサッカー協会が不正な癒着をしているのではないかと疑われるような行為をしては絶対にいけません。

 最後に、私たちのような一般市民のサポーターは、サッカーから八百長試合を撲滅するために何ができるでしょうか?

FIFAやAFCの本部に押し掛けても「誰だお前?」と言われて、警備員につまみだされるのがオチですから、日本代表のホームゲームで、自分たちの強い決意を行動で示すしかないと思います。

UAE戦では7番のマブフートがシミュレーション気味に倒れて、そのFKから相手が同点に追いついたのですが、もしこういうことがスペインやアルゼンチンみたいなサッカー先進国で起こったら、UAEの7番がボールを持つたびに5万人以上の観客から、耳をつんざくような口笛とブーイングが浴びせられ、7番がベンチに下げられるまでそれが執拗に繰り返されると思います。

自分のところへボールが来ると、5万人の観客から一斉に口笛、ボールを放せば止まるが、また自分がボールを持つと5万人から再び口笛。

5万人の反感が自分たった1人に向けられるわけですから、命の危険さえ感じるわけで、私の20年以上におよぶサッカー観戦歴から言って、これをやられてもPKやFKをゲットしてやろうと考えてもう1度シミュレーションで倒れる度胸のある選手は見たことがありません。

浅野選手の明らかなゴールを見逃されて試合に負けたわけですから、これがもしブラジルやドイツのようなサッカー先進国だったら、埼玉スタジアムのピッチから引き揚げようとするカタール人審判団に対して、5万人の大観衆から耳をふさぎたくなるような大音量の口笛とブーイングが浴びせられるはずです。

サッカーを含めたスポーツは「だまし合い」の側面があると言いましたが、「闘い」の側面があるのも否めません。

私が代表戦やJリーグの試合をスタジアムへ見に行くときは戦術チェックが欠かせないので、メインスタンドかバックスタンド以外に座ったことはありませんが、代表戦の場合まわりを見回してみると「家族みんなでピクニック」みたいな雰囲気を感じることがほとんどで、良くも悪くも日本が幸福な国である証拠なのですが、「闘う日本代表へのサポート」ということに関して言えば、複雑な気持ちになります。

ブーイングするときもたいてい苦笑いしながらやっていて、真剣に怒っているというふうには見えないこともしばしばです。

しかし彼らは自分のお金を払って代表戦を見に来ているわけで、どういった応援をしろと強制することは絶対にできませんが、せめて世界のサッカーを良く知っている、両サイドのゴール裏スタンドに陣取るサポーターだけでも、シミュレーションでFKやPKを獲得しようとするような卑怯な相手チームの選手がボールを持つたびに、あるいはレフェリーが疑惑の判定をするたびに耳をつんざくような口笛を吹いて、「八百長は絶対に許さない」という自分たちの強い意志を示して欲しいです。

そうすることで、メイン・バックスタンドのサポーターにも、「世界基準」のサッカーの見方を教えてあげて欲しいですし、もしその場にいれば、メイン・バックスタンドのどこかで私も全力で口笛を吹きたいと思います。

「口笛とかブーイングみたいな欧米のマネを日本人がする必要はない」という人もときどきいますが、英語が世界共通語となった以上、「イギリス人のマネをして英語を勉強する必要は無い」などと言っていたら日本が世界で生きていけないのと同様、観客が相手チームの選手やレフェリーに強い不満を示す意思表示として口笛を吹くのが世界共通語となっており、それを使わない手はありません。

「たとえ相手びいきの審判によってゴールを奪われても、日本は実力でアジア諸国を圧倒しなければいけないんだ」という意見が少なくありませんでしたが、そういう人たちは心のどこかでアジアの人々を甘くみているというか、「格下」と見下しているように思えます。「1ゴールや2ゴール、ハンデをつけてやっても最後は日本が勝ってW杯へ行けるよ」というような。

私は、アラブ人も中国人も韓国人も自分と対等と考えるからこそ、彼らが不正な手段でサッカーの試合に勝とうとするなら、それを絶対に許せないと考えるのです。

あとは、UAE戦でのカタール人主審の不可解な判定の数々をまとめた映像をSNSを利用して世界中に拡散し、カタールに2022年W杯を招致したときの疑惑などもからめながら、世界中のサッカーファンに、いかにカタールサッカー協会が腐敗しているかを訴え、それによって2度とUAE戦のようなことが起こらないよう牽制していくといった手段も考えられます。(本当におかしな判定だけを集めたビデオをつくらないと説得力がなくなってしまうので注意。大島のPKは不可解とは言えない)

ともかく、「日本代表の出来が悪かったのだから、浅野のゴールが取り消されて負けても仕方がない」などと日本人自身が言ってしまえば、相手の“不正行為”を受け入れることを認めたことになってしまいますし、それでは世界の誰も手を貸してはくれません。

自分がそれを本当に守りたいと思っているなら、勇気を出して自分から戦わないと何も守れないというのが、この世界の厳しい掟です。

 次回は、日本代表における選手の使われ方について、疑問に思っていることを述べます。



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■日本人の民族性とサッカー

 いまだにくすぶっているUAE戦の“誤審”問題ですが、この事件で痛感させられたのは、これだけ多くの日本人選手が欧州でプレーするようになったのに、日本はいまだサッカー後進地域なんだなということです。

誰の目から見ても明らかな浅野選手のゴールが、カタール人審判団によって認められなかったわけですが、あれと同じことがアルゼンチンやイタリア・スペインのようなサッカー先進国で起こったら、「自分たちの代表チームの出来が悪かったんだから、ゴールが取り消されて負けても仕方ない」なんてことを言う国民がいるとは思えません。

むしろ、99%の国民があれを見て激怒するでしょうし、「大事なW杯予選で、ゴールと勝ち点をアンフェアなレフェリーに盗まれた!!」と、国中を巻き込んだ大スキャンダルになるんじゃないでしょうか。

1966年W杯決勝戦のイングランドによる疑惑のゴールを、「あれはゴールなんかじゃない。自分たちはW杯優勝を1回奪われた」と、いまだに言い続けているドイツ人がいると聞きますからね。

 日本人と世界の他の人々との、このリアクションの大きな違いはどこから来るのかというと、日本人の異常すぎるほど高い
「規範順守意識」のせいだと思います。

この場合の「規範」には、憲法やサッカー競技規則などのルールであったり、国連や国際サッカー連盟(FIFA)アジアサッカー連盟(AFC)といった国際機関、あるいは有名な学者先生やテレビニュースの解説者の考え、新聞の社説、ハウツー本や必勝マニュアルのたぐいも含まれます。

日本人はこういう「規範」は絶対に正しいのだから、それが間違っているなんてことを疑っちゃいけないし、ちゃんと守らなければいけないという意識を非常に強く持っているように見えます。

つまり、日本人は「判断基準」を自分の頭の外へ置き、さまざまなルールなりFIFAやAFCのような国際機関が送り込んできたレフェリーなりに、善悪・正誤の判断を全面的にゆだねてしまう傾向があるのではないでしょうか。

しかし多くの外国人は逆で、それが正しいかどうかは別として「善悪・正誤の判断基準」をあくまでも自分の頭の中に置いているように思えます。

もしかしたら日本人では少数派なのかもしれませんが、私もそうです。

私がサッカーの試合を見るときは、もちろん日本代表を応援していますが、第三国から派遣されて両チームを公平に裁く審判のように、一歩引いて冷静にゲームを目で追っているもう1人の自分がいます。

応援しているからといって全面的に感情移入してしまうと、
「日本のサッカーは世界一イイィ」みたいな盲目的な信者になってしまい、このブログでいつもやっているように、日本代表の選手やチーム全体の良かったところ・悪かったところを客観的に評価するなんてことは不可能になるからです。

実は日本代表の試合だけでなく、日本がからまない国際Aマッチやクラブレベルなら欧州四大リーグ・CLの試合などを見るときも、自分が第三国の審判として試合を裁くように公平かつ客観的に見るということを、これまで20年以上にわたり続けることで、自分の「サッカーを見る目」を養ってきたつもりです。

そのような作業をしながら試合を見ていくと、レフェリーが笛を吹く前に、「今のはオフェンス側のファールだな」とまず自分が判断し、実際にレフェリーがそのように判定して、「やっぱりな」と納得できる回数がだんだんと増えてきます。

この場合のレフェリーとは、W杯や欧州四大リーグ、CLなどで笛を吹いているレフェリーたち(私の場合UEFA所属の国際審判が多め)で、そういう試合の見方をすることで、どういう場合にファールになるのかといった、彼らの判定基準が知らず知らずのうちに身についていくというわけです。

(ちなみに、サッカーを良く知らない素人アナウンサーはこれで区別できます。 「惜しい! 岡崎のオフサイドです。失礼しましたハンドを取られたようです。 日本のスローインからゲーム再開です。失礼しましたFKで再開のようですね」 このように、レフェリーがなぜ笛を吹いたのか、その理由を間違えて実況してばかりいるアナは、普段サッカーをあまり見ていない素人とみて間違いありません)

 ロシアW杯アジア最終予選の初戦、日本対UAE戦も私はそうやって観戦していました。

しかしキックオフ直後から、

「今のが日本のファール?」

「また日本のファールになった。UAEの選手が倒れれば、何でもかんでも日本のファールといった感じだ」

「本田のゴールで日本が先制。でもカタール人審判のUAEびいきが、だんだん露骨になってきたぞ」

「日本のゴール直前で、UAEの選手が下半身のバランスを自分で崩して倒れ、そのあとに吉田の手が相手に触れているのに、日本のファールになったのは理解できない! UAEが同点に追いついた」

「大島のPKは取られても文句はいえない。レフェリーがUAEを勝たせたくて仕方ないように見えるのに、飛んで火にいる夏の虫だ」

「宇佐美がドリブルでペナへ侵入し、UAEの選手が両手で宇佐美を突き飛ばして防いだ。 前半、酒井宏が相手を手で押してイエローもらっているのだから、判定基準が同じならどうしてPKにならない?」

「相変わらず、微妙な判定の大半が日本のファールになっている。ハリル監督がテクニカルエリアから出て抗議しているが、怒るのも当然だ」

「浅野のシュートは完全にゴールの中に入っている! なのにこのカタール人主審はどうして副審に確認を取ろうともしないんだ!! 何があっても日本のゴールは絶対に認めないといわんばかりのレフェリングだ」

「試合終了。 この試合は始めからUAEが日本に勝つというシナリオが決まっていて、カタール人審判団がそのシナリオに沿って試合を演出していったように見える。 もしそうならイカサマじゃないか!!」

私が問題にしているのは、浅野選手のゴールを見間違えたかどうかみたいな単発の“誤審”ではなく、キックオフから試合終了に至るまでの、あのカタール人主審の不自然なジャッジの積み重ね、一連の流れです。

皆さんも第三国から派遣された中立のレフェリーになったつもりでUAE戦のビデオをもう一度見直してみると、今まで見えなかったものが見えてくるかもしれません。

 あの試合のあと、「自分たちが負けた原因を審判のせいにするのはみっともない」などといった、チープな正義感を振り回す日本人が少なくなかったのには深く失望させられましたが、そういう人は「サッカーを見る目を持たない人たち」だと思います。

冒頭で指摘した「善悪・正誤の判断基準」を自分の頭の外へ置き、AFCという「公平中立な国際機関」が派遣してきた審判団が過ちをおかすわけがないと思考停止して、自分の頭で判断することを放棄した人たち、「絶対に正しい審判様」に「今の判定はどうですか? どうですか?」とお伺いをたてるという発想しかできない人たちなのでしょう。

今FIFAは、前会長からアジア・アフリカ・北中米カリブ・欧州・南米各大陸選出の幹部たちによる汚職でボロボロの状態です。

2010~11年にかけて韓国・中国の国内リーグで審判買収などの八百長事件が発覚していますし、ナイジェリア国内リーグで79対0という疑惑の試合もありました。イタリアでも2005年あたりからカルチョポリと呼ばれる大スキャンダルも起こっています。

大変残念なことに、サッカーの世界において八百長試合は現実に存在するのです。

あのUAE戦が八百長試合だったという確証はありませんが、この世界に八百長試合は絶対にないと決めつけるのは間違いですし、FIFAやAFCを「公平中立な国際機関」と思い込むのもナイーブすぎます。

日本人にとってルールとは「絶対に守るべきもの」のようですが、多くの外国人にとっては「自分にとって有利なものは利用し、不利なものは要領よく生きるために抜け道を探すもの」であり、国連やFIFA・AFCのような国際機関は、「自分たちにとってなるべく有利になるように動かすもの」です。

国連で自分たちに不利な決定が下されそうになると、中国もアメリカも拒否権を使って全力でつぶしにかかりますし、ホンダがF1でタイトルを取りまくると、突然「ターボ禁止」というルールができたり、日本人が冬季五輪のジャンプ競技で金メダルを取りまくると、「スキー板の長さは選手の身長に比例させなければならない」というルールができるのもそのせいだと思います。(飛距離を長くするためには板の面積が広い方が有利だが、このルールは欧米人に比べて身長が低い日本人にとって不利)

国際機関をいかに自分たちにとって有利なように動かすか、そのためには機知やウイットのような知恵(インテリジェンス)が絶対に必要となりますが、ただ単に他人がつくったルールを守るだけなら、そのルールを丸暗記する知識(インフォメーション)があれば事足ります。

知恵と知識の区別がつかず、インフォメーションは沢山もっているが、インテリジェンスのない多くの日本人は、国際社会でいつも損させられるだけです。

外国人が自分たちにとって有利になるように国際社会で「言葉の戦争」を繰り広げているのに、多くの日本人は、国際機関で開かれる会議に出席して、そこでの議論を律儀にメモして日本に帰ってきて、「今回の会議ではこんなことが決まりました」と言うだけ、そんな話を耳にします。

「国際会議における有能な議長とは、会議が終わるまでしゃべりまくるインド人をだまらせ、会議中だまりこくっている日本人をしゃべらせる人だ」という、我々日本人にとっては全然笑えないジョークさえあるぐらいです。

そういうことを繰り返していると、「日本人は自分で物事が判断できない、頭がカラッポで能力の低い人たち」と多くの外国人から誤解され、ナメられてしまいかねません。

サッカーは、競技規則の知識を誰よりも持っていれば勝てるというものではありません。実際のプレーで相手に勝つには「知恵」が必要なのです。

サッカーに限らず、スポーツは「だましあい」の側面があります。

右を抜くと見せかけて相手の左をドリブルで抜くとか、パスとみせかけてGKをあざむいてからミドルシュートを打ってゴールを奪うといったプレーは、相手をだますことで成立しています。それが「機知」であったり「知恵」と呼ばれるものです。ブラジル人が口を酸っぱくして言う「マリーシア」です。

ルールや倫理道徳のような「規範」からすれば、人をだますことはいけないことですが、スポーツでは人をだますことが上手くないと相手に勝つことはできません。

「スポーツは常に正々堂々と戦わないといけない。人をだますことはいけないことだ」と信じて疑わない民族が、サッカーをやったらどうなるでしょうか?

 「ルールを守るだけで自分の頭では判断しない日本人」で思い出すのが、かつての日本代表監督だったフィリップ・トルシエの言葉です。

「車が来なくても、横断歩道の信号が赤だったら日本人は渡らない。こういうところから直していかないと日本のサッカーは強くならない」

こんな内容の話だったと記憶しています。

たとえば、日本人と外国人がマラソン競争をしていて、車がこないのに信号が赤なので律儀に日本人が立ち止まっていれば、自分の判断で横断歩道を渡り日本人を追い抜いた多くの外国人は、それを見て「日本人はマヌケ」と思うでしょう。

一方、信号が赤なのに横断歩道を渡って車にひかれたら、それも「マヌケ」です。

何が言いたいかというと、実生活で信号無視を奨励しているわけではなくて、つねに自分の頭で考えて行動しろということです。

日本人はあまりにも「規範」(ルールやマニュアル)を神聖視して、それを何の疑いもなく守ろうとするので、下手をすると、信号機が途中で壊れて5分間赤になりっぱなしなのに、「おかしいな、おかしいな」と思いつつ、車の来ない横断歩道の前でずっと立ち止まっていたなんてことが起こりかねません。

スペインのクラブでジュニア世代を教えている日本人の話ですが、日本のジュニアチームがスペインに遠征してきて、彼のチームと線審を置かずに主審一人だけのミニゲームをやることになったそうです。

で、日本の子供がドリブルをしていてボールがタッチラインを割ってしまうと、ベンチで見ていた他の日本の子供たちが「出た、出た」といって主審に正直に自己申告をしたそうなのですが、「スペインの子供ならこれはありえない。もしそんなことをやれば、お前は敵チームを勝たせるために送り込まれたスパイか?とチームメイトから怒られる。こういうところからすでにスペインと日本のサッカー選手との差がついていくのではないか?」みたいな内容の話だったと思います。

ボールが出たのに「出ない」と言えばウソになりますが、主審が出たのを見逃して味方の選手がだまっていても、それは見逃した主審の責任です。 それを同じチームの選手がわざわざ「出た、出た」と正直に申告するのは、倫理道徳的には正しいことかもしれませんが、サッカーの世界では知恵が無いということになります。

日本代表に「ドーハの悲劇」を知らない世代が選ばれるようになってビックリなんですが、1994年アメリカW杯アジア最終予選の最後の試合、日本対イラク戦はロスタイムまであと3分、日本が2-1でそのまま勝てば、W杯初出場決定という状況でした。

リードが1点だろうが2点だろうが3点だろうが変わらない、勝てばアメリカに行けるという状況で、「マイボールになったら絶対に攻めなければいけない」とばかりに、クソまじめにリスクを冒してイラクゴールへ攻め込み、相手にボールを奪われてコーナーキックから同点にされたんですよね。

そこから日本サッカーは大きく進歩したと思っていたんですが...。

 不自然な“誤審”が続出したUAE戦のあと、ろくに試合の中身を見ずに、「自分たちが負けた原因を審判のせいにするのはみっともない」などと言って、中学2年生みたいなナイーブな正義感を振り回す人がかなりいて、日本はまだまだサッカー後進国なんだなと失望させられました。

そういう人は、信号が壊れて赤になったまま5分以上たっているのに、何の疑いもなく横断歩道の前で立ち止まっているような人たちのように思えます。

元日本代表監督のイビチャ・オシムは「サッカーは人生の大学」と言っていましたが、そういう人は「人生の大学」の入学試験で、一次の点数が足りなくて、二次試験は門前払いでしょうね。

 次回は、どうしたらアジアのサッカーから「八百長試合」をなくしていけるのか、について考えてみたいと思います。



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当ブログ過去記事・世紀の“大誤審”

当ブログ関連記事・八百長試合のつくりかた



  

■日本代表をどう立て直すべきか?

 ロシアW杯アジア最終予選の初戦の“誤審”で、厳しいスタートを強いられた日本代表。その逆境が、これまで隠れていたチームのさまざまな問題点を浮かび上がらせることになりました。

機能していない複数のポジション、適材適所で起用されず自分の力を十分に発揮させてもらえない選手たち。

今回は、これから日本代表をどう立て直していくかについて考えてみたいと思います。

 チームの立て直しには、どこが機能していてどこが機能不全におちいっているのか、現有戦力への絶え間ない再評価が欠かせません。

選手を評価する場合は一切の私情を排し、プレーの内容で判断するのが鉄則です。

「槙野はキャラが暑苦しいから、代表に呼ぶな」と言う人もいますが、当研究所はそうした個人的な感情の「好き嫌い」で選手を評価したことは一度もありません。

あくまでも実戦におけるプレー内容や、チームの約束事・監督の指示を守ってチームの勝利のために協調できるかどうかを基準に、その選手をなるべく公平かつ客観的に評価するよう努力しています。

ある選手のプレーをネガティブに評価することもありますが、その選手が憎いから言うわけではありませんし、どこを修正すれば問題が解決され、その選手がフットボーラーとして成長できるか、つねに建設的な提案をするよう心がけているつもりです。

どういう理由であれ、どんなに低調なパフォーマンスでも絶対に交代させられることのない“聖域”となる選手をつくってしまうと、そのチームはたちまち腐っていき、敗北という結果によって厳しい現実を思い知らされることとなります。

プレー内容が悪いのに使われ続ける選手は「何があっても俺は絶対にチームに必要なんだ」と勘違いし、監督の指示を無視して自分勝手な行動をとるようになったり、どんなに練習で良いプレーを見せても試合で使ってもらえない若手は、「これじゃ、一生懸命やるだけムダ」といってベンチで“腐って”しまい、優秀なプレーヤーになるための努力を自ら止めてしまったり、実戦で使ってもらえないのでいつまでたっても経験不足の状態から抜け出せなくなったりしてしまうといった現象は、聖域をつくったがために腐敗してしまったチームにしばしばみられることです。

リオ五輪アジア予選に敗退したなでしこジャパンしかり、ドイツ
W杯で惨敗し最後にチームが内紛から空中分解したジーコジャパンしかりです。

逆に、機能していないとみて当時ナンバー1のスタープレーヤーだった中村俊輔選手を南アフリカW杯の直前に控えに回し、若手に大胆にチャンスを与えて決勝トーナメント進出を勝ち取った、岡田ジャパンの教訓から学ぶべきなのです。そのとき急成長したのが本田選手であり、長友選手でしたよね。

「絶対に外せないスター選手などチームにいらない。すべてに優先させるべきスターはチームである」というのが、当研究所のゆるぎないポリシーです。

「継続性」と「選手間の競争」という2つの相反することのバランスを上手くとっていくことも、チームづくりにとって非常に重要だと思います。

聖域をつくってしまえば、チームはどんどん腐敗していきますが、競争が大事だからといって毎試合先発メンバー全員の顔ぶれが違うというのも、チームの強化から継続性が失われ、勝者になるための経験が蓄積されていきません。

その2つのバランスをうまくとるためには、調子の良い選手は継続して使ってあげることで良い意味で「調子に乗らせる」、低調なパフォーマンスを繰り返している選手はそのポジションから外し、練習で良い動きをしている別の選手にチャンスを与えることで、常に新鮮な風をチームに吹き込み、緊張感を持たせることが極めて重要です。

たった一度でも外された選手はそこでチームから永久追放ということではなくて、新しくチャンスを与えた選手が期待はずれだったり、パフォーマンスが低下してきたときに、自分の弱点を克服したというところを練習で確認できたら、再び実戦で起用して再チャレンジの機会を与えてやり、絶え間なく競争させていくべきです。

いくらチャンスを与えても何シーズンも成長が見られない選手は、クラブなら売却を、代表チームなら招集を以後見合わせるということになります。

 前置きが長くなりました。それではいよいよ本題に入りますが、UAE戦・タイ戦でプレー内容が良く結果も残すことができていたのは、攻撃ではまず原口選手でしょう。

浅野選手もスピードを生かしてサイドを突破し、タイ戦では本田選手への惜しいアシスト未遂がありましたし、チームを楽にしてくれる追加点もマークしています。

UAE戦での清武選手は最後のクロスのところで精度に難ありでしたが、中盤でのパス出しそのものは悪くなく、1アシストを記録するなどセットプレー時に質の高いボールが蹴れる存在として貴重です。

守備ではタイ戦で起用された山口選手がまずまず良かったと思います。

次のイラク戦では彼らを継続的に使ってあげるべきでしょう。

逆に、味方からボールを受けてそれを確実に前の選手へつなぎ、攻撃の組み立ての中心となる役割を2試合とも果たせていなかった香川選手のポジションは、早急にテコ入れが必要です。

スピードやテクニックで一対一のデュエルに勝ち右サイドを崩すということができていない本田選手のポジションも、現在の代表で大きなミスマッチが起きているポジションです。

本田選手は右ウイングのポジションなのに、ピッチの中央へ中央へと流れてゴール正面で何度も決定機にからんでいるのですから、彼の特徴にあったポジションへコンバートすれば、このチームで生きる余地はまだあると思います。

岡崎選手も、ゴール前で相手のマークを外してフリーになる工夫(この能力だけをみればマインツの武藤選手の方が上)が全然足りず、ただガムシャラに走り回るだけでは限界に来ています。ミドルシュートも枠に飛ばず、今のところ期待薄です。

守備では、西川選手がタイ戦ではまずまずだったものの、UAE戦では不満の残るパフォーマンスでした。ハリルホジッチ監督はしばしば思考に柔軟性を欠いているように思いますが、現時点においては川島選手の方がGKとしての能力が上のように見えますし、試合に出ていないから出さないと決めつけるのではなく、代表に呼んで練習中のパフォーマンスで西川・川島のどちらを使うか決めた方が良いです。

GKは体の手入れを念入りにやれば、40歳ぐらいまでやれる場合がありますし、彼で時間稼ぎをしている間に、身長が最低でも190㎝以上あり、若くてキャッチングが安定しており、反応速度も速い選手を育てるというのも一つの手です。ドンナルンマみたいな将来有望な若手がこの日本にいませんかね。

また長谷部選手もこの2試合、試合を決定づけるようなミスを守備で繰り返しています。彼の後継者育成を考える時期に来ているように思えます。

酒井高選手はタイ戦でひどい出来でした。単にめんどくさがりなのか、自分がプレーに関与してミスするのを恐れる消極性の問題なのかわかりませんが、即失点につながりかねないミスをザックジャパン時代から何度も繰り返しています。あの最悪のクセが治らないかぎり代表には呼べません。

あと、国内組の選手全体に対する評価についてなんですが、Jリーグは中盤で守備側からのプレスや、ゴール前でのフィジカルコンタクトがほとんど無いに等しく、いくらでもフリーでシュートを打たせてもらえるので、Jリーグで何十ゴールを記録したとか、何十アシストしたみたいな結果をそのまま額面どおり受け止めることはできません。

Jリーグで多くのゴールをあげているプレーヤーがACLになったとたん点がとれなくなったり、国内組だけで臨んだハリルジャパンが、昨年の東アジアカップで最下位に終わったことを思い出さないわけにはいきません。

たとえばJリーグで1シーズンに20ゴールあげた選手が、フィジカルコンタクトが厳しくプレースピードやインテンシティが格段に高い欧州四大リーグに移籍したら、ゴール数が1/10以下になってしまうようなことは十分ありえるので、国内組の選手の評価には慎重になる必要があります。

 以上の点を考慮に入れ、次のイラク戦にどういうメンバーを送り出すべきか考えてみました。



              本田  
            (ハーフナー)

      原口     清武       浅野


           山口   長谷部   
                 (本田)

     長友   森重   吉田   酒井宏
    (太田)

              川島


 センターFWに浅野選手を入れても良いのですが、もし守備に問題がなければ右サイドハーフで起用し、得意のスピードを生かしてこのサイドをぶっちぎり、ゴール・チャンスメークの両面で期待しています。

小林悠選手はこれまで3度このポジションでチャンスを与えられたはずですが、ほとんど機能していません。乾や南野、Jリーグで好調のFC東京・中島など、そろそろ別の選手にチャンスを与える頃合いかもしれません。

センターFWには本田選手をもってきました。「最前線でゴールをあげるヒーローであり続けたい」というのが彼の希望なら、機能する可能性があるのはこのポジションぐらいでしょう。タイ戦で浅野選手からの百点満点のクロスを外しましたが、あれが続くようならこのポジションでプレーする資格はなくなります。

今の代表はサイドからのクロスが多めなのですが、だったらヘディングシュートに長けるハーフナー選手を呼ぶべきではないでしょうか。バイタルエリアで彼の足元にパスを当ててそのリターンを2列目の選手が受けてシュートというプレーも狙えますし(フィジカルの強い本田選手も同様)、彼に引きつけられて他の選手がゴール前でフリーになれる可能性も高まります。ハーフナー選手はクラブで結果が出なくてもじっと辛抱してカッカしないことです。

個人的には岡崎選手は現状このポジションの4番手と考えています。今季開幕戦でドルトムント相手にゴールをあげたのが好例ですが、足の状態さえ問題なければゴール前で相手のマークを外してフリーになるのが上手い武藤選手が3番手です。

クラブでも好調の原口選手を左サイドハーフから外す手は今のところないと思います。もし召集されるなら宇佐美・乾・中島の各選手あたりがこのポジションで競うことになるでしょうか。

トップ下はパス能力に優れる清武選手が現在のファーストチョイスで、香川・柏木選手らがその控えです。

ダブルボランチは山口選手と長谷部選手ですが、本田選手がここでプレーできれば、最近失点につながるようなミスが多い長谷部選手を外して、ワントップにハーフナー選手をいれたらどうでしょうか。

本田選手はフィジカルコンタクトに強く、パス展開力もあり、ミランでは献身性が評価されているわけですから、このポジションで起用したら面白いのではないでしょうか。この位置からゲームをつくり、トップ下やワントップにボールを預けてからリターンをもらい、自分でゴールを決めればチームの攻撃パターンも増えますし、いくらでも本田選手が目立つことはできますしね。

左サイドバックは長友選手と太田選手で競い、右サイドでは最近クロスの精度があがってきた酒井宏選手がそのまま入ります。

GKは練習で特に問題なければ川島選手です。センターバックの層が薄いのは相変わらずで、スペイン2部ヒムナスティックの鈴木選手が良いプレーをしているなら、代表に呼んでみてはどうでしょうか。

守備時は、両サイドハーフがダブルボランチのところまで下がり、4-4のコンパクトな守備ブロックをつくって90分間守ります。

本田選手のセンターFW起用がダメだったら試合中に浅野選手とポジションを交換して元へ戻せばいいわけですし、清武選手のトップ下が機能しなければ、香川選手に戻したり柏木選手にチャンスを与えたりすればいいわけです。

どんなに機能しなくても本田・右サイド、香川トップ下にこだわり続けるのは理解不能です。

 イラク戦をこれで行って勝てた場合、オーストラリア戦でもこのメンバーで行くかどうかは思案のしどころです。

前回記事でも指摘したとおり「あわよくば勝利を狙うが、アウェーなら最低でも勝ち点1取れればOK」と割り切り、守備をガッチリ固めカウンターサッカーを狙うというのも一つの考え方です。

オーストラリアのスカウティングビデオを見て、現在の日本との力関係をどう見るかにもよります。相手が相当上と見るなら、次のようなフォーメーションへの変更も検討する価値があるのではないでしょうか。


             ハーフナー

           浅野
          (香川)


    原口    山口    本田    SH  



    CB     森重    吉田    CB   


              川島

日本では、両サイドバックは何が何でも攻撃参加しないといけないと考えられているようですが、あえて両サイドにセンターバックタイプの選手をいれて攻撃参加は控え、失点しないことを最優先にした布陣です。(そのかわり2トップ+両サイドハーフにはしっかり動いてもらって得点を取ってもらいます)

昌子選手や丸山選手は今でもサイドバックできましたっけ?

右サイドハーフの人選が難しいですが、守備に穴をあけることなく、スピードやテクニックでサイドを突破して相手を崩せる選手ならべストです。

ボールを奪ったら、両サイドハーフや浅野選手のスピードを生かしたコレクティブなカウンター攻撃を仕掛けます。(ロングボールを単純に放り込むような攻撃への対応は、オーストラリアのCBが最も得意とするところだと思います)サイドからのクロスやセットプレーからハーフナー選手のヘッドでゴールしても良いでしょう。

オーストラリアはこういうタイプのチームへの対応は慣れていそうですし、カウンターサッカーという弱気なチョイスが逆に裏目に出て勝ち点が1つも取れなかったという可能性もあり得ますので、トップ下のポジションは無くさずにあえて普段どおりの戦い方で行くべきか、そのあたりの判断は監督さんにお任せします。

 次のイラク戦までたった1か月しか問題を修正する時間が残されていませんが、まだ間に合います。

日本代表の監督・コーチが海外に散らばる代表選手たちに、90分間コンパクトな守備ブロックをつくってゾーンディフェンスをする時のやり方とか、攻撃のときに5トップ6トップみたいな形となってゴール前に張りつくことで相手のマーカーも集結させてしまい、自分たちで相手ゴール前に2階建てバスを置くような攻撃をしないとか、3人の味方で三角形をつくってプレスをかけてきた相手選手1人を取り囲み、いつもの練習でやる「鳥かご」のようにテンポ良くパスを回してボールを前へ運ぶとか、次の予選が始まるまでに解決しておくべき課題を図をふんだんに使った手紙や映像ビデオにまとめて各選手に送り、各自で勉強や個人練習をしておいてもらって、10月に日本に再集合してもスムーズに全体練習に取りかかれるようにしておくべきです。国内組の選手には、監督やコーチがマンツーマンで指導できるはずです。

もう1秒たりとも時間を無駄にはできません。

 以上、W杯アジア最終予選で厳しいスタートを切った日本代表の再建策をいくつか提案してみました。

「本田・香川選手のところを変えるのはリスクが高い」と考える人もいるのかもしれませんが、UAE戦・タイ戦でこれだけ危険信号が出ているのに、何も変えずに現状維持を選ぶ方がよっぽどリスクが高いと思います。

機能していないポジションを2つも放置しておいて勝たせてくれるほど、世界のサッカーは甘くないです。

ライカールトのバルサ・モウリーニョのチェルシー・ベニテスのリバプール・アンチェロッティのミランが、個の能力が高いのは当たり前で組織戦術の高さをCLで競っていた時、日本国内では「組織サッカーは選手の個性をダメにする」というジーコジャパンが「個の自由を大切にするサッカー」として賞賛されていましたが、当研究所はそれは危ういと厳しく批判していました。

うちがヤバイと言ったときは本当にヤバイですから。

次回は、UAE戦の“誤審”問題などについて、ちょっとした雑談をします。




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■タイに勝利も、課題山積(その3)

前回のつづき

 今回は、疑問だらけだったハリルホジッチ監督の采配について述べます。

どん底に突き落とされた時、その人間の真の実力がわかると良く言われます。

UAE戦であんなレフェリーに当たってしまったことは極めて不運でしたが、どん底に突き落とされた日本代表の監督そして選手たちが、そこからどうやって這い上がってくるか、個人的にはそれをこのタイ戦で見極めたいと思っていました。

選手たちのあまりのパニックぶりに、ロシアW杯の初戦やそこで負けたあとのことが今から思いやられましたが、一番失望させられたのがハリルホジッチ監督の采配でした。

 彼の監督としての能力に、いくつもの疑問点が浮かび上がっています。

まず第一点目は、選手の特徴や長所・短所を的確につかみ、選手たちのポテンシャルを最大限に引き出せるようなフォーメーションを採用し、適材適所を考えて選手をピッチ上に配置していくということができていないことです。

UAE戦で明らかになったのは、ボールを奪い返したあとそれを受けて前方へパスを配球する攻撃の組み立て役として、トップ下の香川選手がほとんど機能していないという問題です。

しかし、このタイ戦でもハリルホジッチ監督は何の工夫もなく香川選手を同じ役目で起用し、再びチームの攻撃を機能不全に陥らせています。

以前指摘した通り、彼はパサーというよりはセカンドストライカータイプの選手であって、最前線でボールを収められるフィジカルの強いセンターFWの後ろを動き回りながらゴールやアシストを狙わせた方が、香川選手の潜在能力を最大限に引き出すことができ、彼を再び生き生きとプレーさせることが可能になるのではないかと考えています。(私はまだ香川選手を見放したわけではありません。いずれ再生策を提案します)

今の4-2-3-1を変えないならば、トップ下にはパサータイプの選手を入れるべきで、現状もっとも能力が高いのは、セビージャで一応レギュラーを取っている清武選手だと思います。タイ戦でもトップ下に彼を入れておけば、もっとスムーズに攻撃を組み立てられたのではないでしょうか。

ところがハリルホジッチ監督はUAE戦で左ウイングとして彼を起用し、「ウラヘ抜けるプレーができなかった」といって、途中交代させています。

わかりやすく言えば、シャビを3トップの背後ではなくウイングに入れ、「ロッベンやリベリーのように動けなかった」と批判してベンチにひっこめるようなもので、ハリルホジッチ監督は選手の特徴を見極める目を本当に持っているのか、強い疑問を抱かざるを得ません。

ハリルホジッチ監督が「タテに速い堅守速攻型のサッカーがやりたい」と言いながら、守備の強化がおろそかになっているのも理解できません。

柏木選手や大島選手のような、フィジカルコンタクトが苦手で守備力が低い“小兵”をボランチに入れると、攻撃力が強い相手には守りきれない恐れがあると当研究所はキリンカップ直後から警鐘を鳴らしていましたが、UAE戦で大島選手を入れたことが守備力の低下を招き、2失点にからんでしまいました。しかしながら一番の問題は適材適所で選手を起用できない監督です。

柏木・大島両選手の特徴・長所短所を考えれば、清武選手とトップ下のポジションを争わせるべきなんじゃないでしょうか。スピードがあってウイングとして適性があるように思われる原口選手をUAE戦でボランチとして交代出場させたことも理解に苦しみます。タイ戦では当研究所が提案していたように山口選手が起用されましたが、ハリルホジッチ監督の数少ない正しい判断でした。

ハリルジャパンで右ウイングとして起用され続けている本田選手は、加齢によるスピードやスタミナ・体力の低下が目立つようになり、相手がタイ代表レべルなのに、一対一のデュエルに勝って右サイドを崩すということができていませんでした。

逆に彼のスピードの無さが、チーム全体の攻撃を遅くしている面があるのは否めないと思います。

それで思い出すのがキリンカップのブルガリア戦です。あの試合は本田選手が負傷欠場していて、右サイドには小林悠選手が入っていました。

小林悠選手はほとんど機能していませんでしたが、それでもボールを相手ゴールへと運ぶチーム全体のスピードが格段に上がり、決して弱くはないブルガリアから7ゴールをあげ、「日本代表の攻撃ってこんなに速かったっけ」と驚いたことを覚えています。

特に左ウイングに宇佐美、右ウイングに浅野選手という、技術やスピードに高いものを持っている選手が投入されると、サイド攻撃のスピードに拍車がかかり、相手にとって脅威になるような攻撃ができていたように思います。

それと比較して現在の本田選手のプレー内容を見れば、サイドを激しく上下動するウイングというポジションで使うのは相当の無理があるのは明らかで、実際彼は本来の右ウイングというポジションにはほとんどおらず、プレーエリアがピッチ中央部に偏っています。

「だったら最初からそこへ入れておいたらいいのに」と考えるのは私だけでしょうか。

試合の後半になると、守備のために自陣へ戻って来られない状態までバテてしまうこともしばしばです。

スピードは無いけれどもフィジカルの強さとパス展開力に優れるという彼の特徴を生かすなら、守備の負担が軽く、味方がつくったチャンスをピッチ中央で待ち構えていてゴールを決めるセンターFWか、攻撃的なボランチなら機能するのではないかと推測しますが、監督はどうして右ウイングで彼を使い続けるのか理解不能です。

ハリルホジッチ監督は、その選手のプレー内容やそのクオリティーで判断するのではなく、「ACミランやレスター、ドルトムントに所属しているから」という“ブランド”だけで、誰をどのポジションで起用するか決めているようにも見え、彼の監督としての能力に大きな不安を感じます。

 彼の監督としての能力に疑問を感じる第二の理由は、攻撃でも守備でもスペースを管理することができていないところです。

アジアのようなサッカー後進地域でさえ、その完成度は別にしてもコンパクトな守備ブロックをつくってゾーンディフェンスで守ることが今や常識となり、「攻守におけるスペース管理能力」は、現代のサッカー指導者にとって絶対に欠かせないものとなりました。

相手が攻撃するためのスペースをできる限り狭くし、自分たちが攻撃するスペースはできるだけ広くすることが、「スペースの管理」という言葉の意味であり、これができなければ試合に勝つことは難しくなります。

守備では、10人のフィールドプレーヤーでコンパクトな守備ブロックをつくれば、相手が攻撃で使えるスペースを狭く管理することができます。

日本では「攻撃に迫力を出す」という意味不明の理由で、ゴール前に多くの選手を張りつかせて攻撃するのを良しとする風潮がありますが、それでは多くの相手選手をマーカーとしてゴール前へ引っ張ってきてしまい、「攻撃のためのスペースを広くする」ということとは正反対の結果を招いてしまいます。

むしろゴール前へ侵入するタイミングをできるかぎり遅くし、相手バックラインをできるだけ高く保つことでそのウラのスペースを広く空けておいたり、相手がDF4人+MF4人のコンパクトな守備ブロックをつくっている場合、自分たちが攻撃で使いたいスペースをそれ以上に狭めてしまわないよう、DFラインの前にあるバイタルエリアに配置する攻撃の選手を多くても2~3人にとどめておくことでスペースを確保し、攻撃のスイッチが入ったときに、わざと空けておいたバイタルエリアに選手が侵入してボールを受け、そこからシュートしたりラストパスを出したりすべきなのです。

ところがハリルホジッチ監督は、UAE戦で日本が5トップ・6トップみたいな形で攻撃していても試合中にそれを修正することができず、このタイ戦でも、選手たちがだんだん我慢しきれなくなって4トップのような形になっても、ベンチに座ったまま。

守備でも、いちおうDF4人・MF4人がピッチに並んではいましたが、日本の守備ブロックの横幅がペナルティエリアのそれからはみ出しても、4人が横に等間隔で並んでいなくても、DFラインとMFラインが間延びしていても、ベンチにどっかと座ったまま一向に修正しようとしません。

ハリルホジッチ監督が就任してからしばらくして、彼の半生記を読んだのですが、カウンターサッカーで、フランス二部のチームを一部にあげたとか一部の下位チームを上位に進出させたというのが、彼の実績らしい実績です。逆に強豪のパリサンジェルマンのように、対戦相手の多くが守りを固めるであろうチームを任された時は実績を残せていません。

カウンターサッカーを得意とする監督さんの場合、攻めるためのスペースは、相手が前掛かりになって攻めに出ることによって、相手チームが用意してくれます。

しかし、相手が自陣に引いて守備ブロックをつくった場合、相手チームの背後には堅守速攻型のサッカーをやるための広く空いたスペースはないわけですから、自分たちで攻めに使うスペースをつくり出さなければならないのですが、ハリルホジッチ監督にはそういう能力が無いように見えます。

日本は、アジアでは引いて守られることが多いわけですが、2次予選のプノンペンで行われたカンボジア戦で、相手が5バックのベタ引きで来てハリルジャパンはさんざん苦戦し、試合後にベンチで頭を抱えている彼の姿を見て、悪い意味で「これはヤバイ」と思いました。

 彼の監督としての能力に疑問を感じる理由の三番目は、ゲームの流れを的確に読んで交代選手を効果的に使っていくことができてないように思われることです。

このゲームは、前半25分すぎから中盤で攻撃の組み立てがうまく行かなくなり、日本は質の高いシュートチャンスをつくれなくなっていきました。

後半開始からトップ下に清武選手を入れても良かったと思いますがベンチは動かず、後半の15分すぎからはタイの足が止まり始め、そこでトップ下に正確なパスを3トップに配球できる清武選手を入れれば、もっと早い時間に2点目3点目が取れたんじゃないかと思いますが、ハリルホジッチ監督はベンチにどっかと座ったまま。

後半30分に浅野選手のゴールで相手を突き放すと、ようやく時間稼ぎのために次々とFWを変えていきました。

ゲームの流れがこちらに来ているときにベンチが動かないのはサッカーの鉄則ですが、「流れが来ている」というのはゴール数で相手をリードしているということと、イコールではありません。

たとえリードしていてもこちらの攻撃・守備が機能しておらず、ゲームをうまく進められなくなったときは効果的な選手交代を行い、ベンチが悪い流れを変えていかなければいけないのです。

ゲームの流れを的確に読んで、適切な手を打っていく「勝負師」としての能力面からも、ハリルホジッチ監督の采配には疑問の残る試合でした。

彼はブラジルW杯でアルジェリアを決勝トーナメントに進出させたのですが、それは選手がサッカーを良く知っていただけじゃないのか、本当に彼の手腕でチームが勝ったのかと、日本代表での采配を見て疑問に思います。

10年ぐらい前からアフリカのサッカー界を引っ張ってきたのは、コートジボアールでありガーナでした。しかし前者はドログバやヤヤ・コロのトゥーレ兄弟・エブエといった世代が交代時期に入り、ブラジルW杯以後はレスターのマフレズやスリマニ、ポルトのブラヒミに象徴されるアルジェリアがアフリカで台頭してきました。そのちょうど良い時期にハリルホジッチ氏がアルジェリア代表監督を務めていたのは間違いありません。

 それでは結論ですが、もし彼より能力が高いと思われる人物をリストアップできているならば、残念ながらこのタイミングでハリルホジッチ監督を解任した方が良いと思います。

これから日本代表の試合内容が良くなっていく、日本がもっと強くなっていくということを予測させるような潜在能力を、彼から感じ取ることができません。

仮にロシアW杯へ行けたとしても、本大会で良い成績が残せるとは思えませんし、タイとのゲームを「良い試合だった」と言う彼にこのまま任せておいたら、最悪予選敗退はあり得ます。

後任にふさわしい人物の条件は、

(1)選手の特徴・長所短所を的確に見極めて、その選手の能力を最大限引き出せるような起用法ができること。

(2)攻撃・守備両面で、チームを高いレベルでオーガナイズし、スペースの管理がちゃんとできること。

(3)ゲームの流れを的確に読み、交代選手を有効に活用してチームを勝たせることができる「勝負師」としての能力があること。

最低限この3点を満たしていることです。今から外国人監督の招聘は難しいというなら、上記の3つを満たしているという条件つきで日本人の暫定監督に任せてもやむをえないと思います。

ロシアW杯アジア最終予選グループBの今後を占いますと、UAEがホームでオーストラリアに敗れたので、たぶんアウェーでも勝つことは難しいでしょう。ということは、UAEがオーストラリアから奪える勝ち点はゼロということです。

アウェーで最悪でも引き分けてホームで勝つことができれば、日本はオーストラリアから勝ち点4を稼ぐことができます。(もちろん現状のままでは容易なことではありません)

タイやイラク・サウジ相手に絶対に取りこぼさないようにし、アウェー戦に勝ってUAEとの対戦成績を1勝1敗のイーブンに戻し、オーストラリアから勝ち点4を稼げれば、日本が逆転で2位以内に入ることは十分可能です。

ですから、このタイミングで日本代表に新しい監督を迎え入れ、イラク戦までの残り1か月の貴重な時間を1分たりとも無駄にせず、新監督のもとでチームを立て直すことができれば、間違った道から引き返すことができます。

もしこのままの体制で行って、イラク・オーストラリアに連敗するようなことでもあれば、そこから挽回して2位以内に入るのはますます困難になりますし、そこでハリルホジッチを解任して、新監督を招聘したとしても、その監督のチーム作りが軌道に乗り、勝利という結果になってあらわれるまで、W杯アジア最終予選でさらなる試合数を要します。

もし彼より有能な人材をすでに見つけているならば、今このタイミングで新監督にチームの再建を任せるべきだと思います。

次回は、日本代表をどう再建していくかについて述べる予定です。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

     2016.9.6 ラジャマンガラ・キラサターン(バンコク)

           タイ 0 - 2 日本

                    原口 18'
                    浅野 75'


     GK カウィン        GK 西川

     DF ティーラトン      DF 酒井宏
        コラピット          吉田
        タナポーン         森重
        トリスタン          酒井高

     MF ポックラウ       MF 山口
        シャリル           長谷部
       (プラキット 77)       香川
        クルクリット
       (ピーラパット 84)  FW 本田
        チャナティップ      (小林 86)
        ナルバディン        浅野
       (シロク 58)        (武藤 82)
                        原口
     FW ティーラシン       (宇佐美 90+)




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■タイに勝利も、課題山積(その2)

前回のつづき

 タイ戦で特筆すべき活躍をしたのは先制ゴールをあげた原口選手。日本人選手が頭を振ってヘディングシュートをする場合、自分のヘソを相手ゴールに向けながら頭を振って、右からきたボールを左へ、左から来たボールを右へとヘディングシュートすることが多いのですが、それではシュートが枠に行かないのは当たり前。 原口選手は自分の肩を相手ゴールへ向けて右から左へ頭を振ったので、シュートがちゃんと枠を捉えゴールすることができました。他の日本人FWも見習うべき。
ただし相手サイドバックの30㎝前方でゴールに背を向けて立ち止まっている時間も長く、それでは相手バックラインを崩せません。サイドや相手バックの前のスペースで、常にフリーでいられるよう「宙ぶらりん」のようなポジションを取ることです。力いっぱいシュートしてゴールが枠を捉えないことも多いので、キックフェイントで相手選手を地べたに這いつくばらせてから、ゴールの枠内へ正確にシュートするなど、駆け引きの面でも向上していくこと。

浅野選手は、バイタルエリアでバウンドしたボールを処理しようとしている相手DFに対し、勇気をもってヘッドでボールをかっさらい、一対一に持ち込んでからGKが一番防ぎにくい右の脇の下を狙ったシュートで落ち着いてゴールを決めることができました。
こういう駆け引きがちゃんと出来るFWは好きですね。得意のスピードでサイドをぶっちぎって味方のシュートチャンスもつくり、UAE戦で沈滞していた日本の攻撃を活性化させました。
ただ、力任せにシュートしてゴールを大きく外す場面もあったので、そのへんは良く考えてプレーを改善させるべきです。

酒井宏選手は、原口選手のゴールを正確なダイレクトクロスで素晴らしいアシスト。ようやくクロスを味方に合わせることができましたね。
しかし、後半ペナルティエリア内で相手にボールを奪われ、失点につながりかねないミスをしたのはいただけません。ペナの中で細かいプレーをするよりも、安全第一で大きくクリアするべきです。

山口選手は相手ボールになった直後、タイのボール保持者を早め早めにつぶしていき、チームのピンチを未然に防ぐプレーで守備に大きく貢献。あとはボールを奪った後、攻撃の選手へ確実にパスをつなげられるとなお良いです。スルーパスを出す場合は、2人のバックの間は確実に抜けるパススピードで、なおかつ相手バックの後方5mぐらいでボールの転がりが弱まるようにキックすれば、ウラヘ抜け出した味方がGKと一対一の形をつくりやすくなります。

西川選手はタイの選手との一対一の場面で、相手のシュートを顔面でナイスセーブ。最後まで我慢して相手の動きを良く見て対応できました。

 逆に香川選手は「結果」を出そうと焦りすぎているのでしょう、完全に平常心を失い、プレーが空回りしています。特に後半は頭がパニックになっているように見えました。

ゴールを焦るあまり相手バックの前のスペースへ早すぎるタイミングで侵入してしまうので、自分も味方のFWもプレーするスペースが無くなってしまいます。香川選手はしばしば「プレーするスペースが無かった」というコメントを試合後に残しますが、その50%は香川選手自身の誤ったポジショニングが原因です。

よほどパスが欲しかったのか、中盤をドリブルする原口選手の横1mを並走して、前方から来たタイの選手をまったく見ておらず、相手と激突してチームの攻撃チャンスをつぶしたり、サイドでボールを持っている味方に接近しすぎて衝突し、ボールを奪われてみたりと、大混乱だった彼のプレーを象徴するようなシーンの連続。

そうかと思えば、後半29分に「結果」を残す絶好のチャンスが訪れ、自分の右前方5mにゴールがあるにもかかわらず、シュートを打たずに左にいた原口選手へのヘディング・パスを選択して、ゴールを記録するチャンスを逸してしまいました。左にヘディングするにしてもせめてゴールの枠内に飛ぶようにして、原口選手が触れても触れなくてもシュートがゴールの枠内に行くよう「保険」をかけておくべきでした。

香川選手は、ダブルボランチやサイドバックがボールを持っているとき、そこから遠くてパスを受けられないところを歩いているシーンが多く、「顔出し」の動きが足りなすぎです。自分がパスを出した後の動きも不適切であることが多く、パス出しした後、相手選手の1m脇を歩いているケースが多く、これでは味方からリターンパスが受けられません。彼の適切でないポジショニングが、チームが中盤で攻撃を有効に組み立てることができない最大の要因になっています。これについてはすでに「岡崎選手の課題、香川選手の課題」で指摘済みです。

香川選手は、トップ下として自分が果たすべき仕事について、頭の中でぜんぜん整理できていないのだと思います。
当研究所が考える4-2-3-1のトップ下に求められる仕事は、
「攻撃80%・守備20%」です。「80%の攻撃」のうち、サイドバックやボランチからパスを受け、それを前方の3人へつないで中盤におけるパス回しの中心として働いたり、味方へラストパスを出してゴールを決めさせるなど「攻撃を組み立てる仕事が70%」、機を見てゴール前へ侵入し味方からパスをもらって
「自分でゴールを決める仕事が30%」です。「20%の守備」は、前線から相手ボール保持者を追いかけて、後ろの選手が守りやすいようにパスコースを限定するのが仕事となります。

こうした役目をきっちり果たすことが香川選手に求められる最低限の「結果」であり、それでチームを勝たせた上に自分でアシストやゴールを記録すればボーナスポイントが与えられます。香川選手は自分でゴールやアシストを記録することだけが「結果」だと勘違いしているから、間違ったプレーを繰り返し、それによってチームの攻撃が機能しなくなっているわけです。

UAE戦後の記事で「トップ下から香川選手を外すべきだ」と書きました。読者の皆さんは「いくら出来が悪かったとはいえ、そこまでしなくても...」と思われたかもしれませんが、私はタイ戦での彼のプレーを見て、自分の判断が正しかったと確信しました。次のイラク戦こそ勇気をもって彼を外すべきです。

状況が改善されないかぎり何度でも同じことを指摘しますが、本田選手は右ウイングとしてまったく機能していません。タイ代表レベルでさえ一対一に勝ってサイドを突破し、シュートチャンスをつくることができていません。サイドを抜けない彼がピッチの中央へ中央へと流れてくるため、右サイドの攻撃に幅がつくれなくなり、酒井宏選手からのクロスしか右サイドの攻め手が無くなっています。加齢でスピードや体のキレが低下しており、日本の攻撃に速さが出ない要因の一つになっているようにも見えます。コンパクトな守備ブロックをつくるために自陣へ戻ることもできず、守備が安定しない原因に。

もし日本がロシアW杯に出場することができたとしても、欧州や南米などのレベルの高いチームが相手なら、なおさら本田選手の右ウイングが日本の弱点になります。日本代表を本気でW杯へ行かせたいなら、もう彼を右ウイングで起用してはいけませんし、このままだと彼と一緒にすべての日本代表選手がロシアW杯を自宅のテレビで観戦することになりかねません。

本田選手はピッチの中央で惜しいシュートを放ったり、スルーパスを出したりしているのですから、ピルロやヤット選手のように攻撃的なボランチなどでプレーすれば彼もチームも生きるのに、どうしてそういう選択が取れないのでしょう。右ウイングでの起用はハリルホジッチ監督の指示でしょうか、それとも本人の希望なんでしょうか。

ブラジルW杯以後クラブでも代表でも、突然彼はトップ下から右ウイングへとポジションを変えたわけですが、どんなに結果が出なくてもそこにこだわらなければいけない理由を、本田選手自身がマスメディアを介してサポーターに説明してくれないでしょうか。取材が認められているプロの記者さん、お願いします。

酒井高選手は後半24分、相手ボールになっても4バックのラインをそろえるために戻る動きが緩慢で、彼のウラのスペースをタイにつかれて、あわや失点かとシーンをつくられてしまいました。 後半37分には、ボールの一番近くにいた酒井高選手が大きくクリアしておけば何でもないところを、わざわざ遠くにいたGKの西川選手に処理を任せたため、背後からやってきたタイの選手にボールを奪われてあわや西川選手が一発退場かというピンチを招くボーンヘッド。 彼は2013年11月に行われたベルギーとのテストマッチでも、ルカクのゴール前へのクロスをさっさとクリアしておけば何でもなかったのに、ゴール前で無駄に余裕をかましているうちに、背後から追い抜いたミララスにボールを奪われて失点という大失敗をやらかしています。 失点に直結しかねないミスを何度も何度も繰り返している彼のDFとしての危機感の無さは異常であり、この悪いクセが完全に治るまで代表に呼ばなくていいです。

長谷部選手は浅野選手のゴールをアシストしたのは良かったんですが、前半27分に失点につながりかねないミスパス。UAE戦でもドリブルが大きくなって、決勝点となるPKの遠因をつくってしまいましたが、ボランチの後ろはもうバックしかいないわけで、自陣深くでは安全第一でのプレーをお願いします。経験あるベテランらしくないイージーミスが最近多すぎで、もう一度パスやトラップ・ドリブルから自分の技術を見直して欲しいと思います。

ボールの空気圧が弱いとアピールした森重選手の行為は余計だったと思います。もしそれをアピールするなら、相手陣内深くのタッチラインを割るように自分がボールを大きく蹴り出してから、ボールボーイに交換を要求した方が良かったのではないでしょうか。

 次回は、疑問だらけだったハリルホジッチ監督の采配について見ていきます。



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■タイに勝利も、課題山積

 ロシアW杯アジア最終予選の2試合目となるタイとのゲームがバンコクで行われ、日本代表が2-0で勝利しました。

今回の対戦相手・タイ代表は、全員が国内リーグでプレーしているチームです。日本がホームでもアウェーでも勝たなければいけない相手と見ていましたが、アウェーで2-0という結果は良かったと思います。

ただ、日本がW杯へ行くために2ゴールで十分だったかどうかは、最終予選の全試合が終了した時にわかることになります。

試合内容の方は、UAE戦よりは少し良くなったものの、全体的に悪かったです。ではどこが悪かったのか詳しく見ていきましょう。

        ☆        ☆        ☆

 その前にレフェリングについて触れておきますが、この試合のイラン人審判のジャッジは「正常の範囲内」だったと思います。日本が勝ったからそう言っているのでは決してありません。

相手の選手が倒れれば、何でもかんでも日本のファールを取っていたUAE戦のカタール人レフェリーとはまったく違い、日本とタイの選手がぶつかった場合、どちらの原因でファールが起きたかをおおむね正しく判断できていました。

タイの選手がハンドで日本のシュートを防いだシーンが一度ありましたが、タイのホームゲームですし、「故意ではなかった」と判断されてスルーされることはままあることです。

森重選手のイエローカードはやや不可解でしたが、遅延行為と判断されても致しかたないですし、「やぶをつついて蛇を出す」ような余計なアピール行為でした。

        ☆        ☆        ☆

 それでは日本代表の試合内容がどうだったか、攻撃から見ていきます。

前回UAE戦では日本の選手たちが得点を焦るあまりゴール前にべったりと張りつき、サイドバックも含めて5トップ・6トップのような形になってしまう時間が長くなっていました。

それによって自分をマークする敵選手を相手ゴール前に集結させてスペースが完全に無くなり、「ゴール前に2階建てバスを置く」ような状況を日本みずからつくってしまっていたことが、点が取れない最大の原因だったと指摘しました。(図1)

図1
バランスが悪い
(クリックで拡大)

この試合では、同じ間違いをしないように修正しようという姿勢が選手たちからうかがえ、先制ゴールをあげたところまではまずまずでしたが、前半20分すぎから攻撃が機能しなくなるとだんだん我慢しきれなくなり、再び前線に4人も5人もの選手が張りつくという悪いクセが顔をのぞかせました。

特にトップ下の香川選手が「結果」を出すことに焦りすぎていて、相手センターバック2枚の前方のスペースにすでに浅野選手らがいるのにそこへポジショニングして、あいかわらず4トップみたいな形になってしまうことが日本の攻撃が機能しない最大の原因です。(図2)

図2
4トップ


パスで攻撃を組み立てるという重要な役割を担うはずのトップ下が3トップに吸収されてしまうので、ダブルボランチは両サイドへパスを展開するより他に選択肢がなく、日本の攻撃がサイドからゴール前への浮き球のクロスという単調な攻撃を繰り返す原因になっています。

そうではなくて、トップ下がダブルボランチと組んで1辺が7m程度の三角形をつくり、敵のダブルボランチの前でいつも練習でやっている「鳥かご」のようにパスを回して攻撃を組み立て、ここぞというタイミングでトップ下が敵ダブルボランチの背後にいる味方へパスを出したり、自分がそのスペースに侵入してパスを受けてシュートを打ったり、スルーパスを出したりしてチャンスメークをするべきなのです。

なぜ適切なサポート距離が約7mなのかと言えば、敵の守備ブロックがコンパクトな状態のとき、DFライン4人とMFライン4人のタテヨコの距離が、だいだい10~13mぐらいだからです。

7mより狭くなれば相手に近すぎてパスをカットされる危険性が高まりますし、それより距離が遠くなってもパスをカットされやすくなり、適切な距離感で味方をサポートしながらパス交換するのが難しくなります。

30℃近い熱帯気候のため、体力的にきつかったとは思いますが、上の図2のように3トップが相手ゴールに背を向け、背後から自分をマークしている相手DFの30㎝前で足を止め、パスコースを探している味方のボールホルダーを見ているだけという時間も長く、それがボールを長く保持していたわりに効果的な攻めができず、ゴール数が増えなかった原因の一つです。

日本人選手の長所は、スピードとアジリティ、そして足元の技術だと思います。

しかしそういうタイプの選手にとって一番不利なのは、
止まっている相手、その前で止まっている自分、止まったボールという状況です。このような状況で、スピードやアジリティが生かせないのは当たり前。

日本が世界で勝つためには、後ろに下がりながら守る相手に対し、前進する自分、テンポの良いパスやスピードに乗ったドリブルで前へ進むボールという状況をつくらなければいけないのです。

そのために一番やってはいけないことは、「俺がゴールするからクロスを寄越せ」とばかりに、敵のマーカーをひっぱりながら相手のペナルティエリアの中で味方のボール保持者を見ながら足を止めて4人も5人もの選手がべったりと張りついていたり、相手の4バックの前でこちらの3トップが足を止め、ボール保持者を見ているような状況をつくりだすことです。

そうではなくて、3トップができるだけゴール前へ侵入するタイミングを遅らせて相手バックラインのウラをわざと広く空けておき、バイタルエリアにいる自分に敵のDFが密着マークしてきたら、あえて自分たちが攻めるべきゴールから遠ざかるようにポジショニングしながら、バイタルエリア内でフリーになり続けることができるよう常に移動する。

それでも相手は自分をマークするためにバックラインを押し上げてくるでしょうが、永遠に押し上げつづけることはできません。バックラインのウラが広く空きすぎるとウラを取られやすくなるので、いつか相手はバックラインを押し上げるのをやめます。そのとき自分がバイタルでフリーになれるのです。

そこで「鳥かご」のように三角形をつくってテンポ良くパスを回すことで相手のプレスをかわしたトップ下やボランチがボールを持って前を向ければ、相手バックはこちらがわざと広く空けておいた後方のスペースへ向かって下がりながら守るという、守備側にとって苦しい状況をつくり出せます。

そこでバイタルでフリーになっている3トップの誰かが、バックラインのウラヘダイアゴナルランしてトップ下やボランチからスルーパスを受けるとか、バイタルでフリーになっている3トップの誰かにパスを当てて、そのリターンをもらったトップ下がワンツーでバックの背後に抜けて、GKとの一対一からゴールを決めるとかすれば、日本人選手のスピードやアジリティを最大限に生かした攻撃ができるはずです。(図3)

図3
バランスが良い


 ところが「ゴール」や「勝ち点3」という結果が欲しくて焦りまくっている日本の選手は、ゴール前にべったりと張りついて5トップとか6トップみたいな無茶苦茶なフォーメーションになり、その結果世界の誰よりも勝利やゴールを渇望しているにもかかわらず、世界で一番ゴールから遠ざかってしまっているという大変皮肉な状況に陥っています。

そうなってしまう原因は、選手たちがゲーム中に心の余裕を持ち、攻守両面で個人戦術・チーム戦術のセオリーにのっとって冷静にプレーするということができず、「試合に勝ちたい」「ゴールが欲しい」「負けるのが怖い」という自分の感情や不安で頭の中が100%になったままプレーしているからです。

多くの選手が精神的にイッパイイッパイでプレーしているので、相手のバックラインを高くすることで得点チャンスを増やすため、あえてゴールから遠いところにFWが居たり、バイタルエリアのスペースを広く保つために、あえてゴール前にいる味方の数を少なくするというアイデアが生まれることもなく、「ゴールに近いところに沢山の味方がいないと点が取れないんじゃないか」と不安になって、間違ったポジショニングを取ってしまうのです。

選手が冷静さを取り戻して修正することができないなら、ベンチにいる監督が試合中に修正の指示を出すべきなのに、それができていません。

 UAE戦があんなことになってしまって大変不運だったとはいえ、この試合の日本の選手たちに冷静さや精神的な余裕は一切なく、全身に無駄な力がはいりまくりで、めちゃくちゃなプレーをしている選手も多かったですね。

スルーパスを出せば、キックが強すぎて味方が追いつけず、ボールがピッチの外まで一直線。

スルーパスというのは、前進してくる相手GKよりもウラヘ抜け出した味方が先にボールに追いつけるよう、相手のバックとバックの間は確実に抜けるパススピードだけれども、相手DFラインの背後5mぐらいのところでボールの転がりが弱まるように、力を加減して出すものです。

パスが出たけどちょっと大きすぎる。でも自分の方が相手DFより先にボールに追いつきそうだ。だからスライディングしてきた相手より先にシュートを打たなければというアイデアしかないので、力いっぱいシュートを打ってゴールのはるか上を超えていく大ホームラン。

そうではなくて、自分が先にボールに追いつくことができた、でも相手DFが自分の左から右へ向かってスライディングしてきたので、自分のキックモーションよりも相手のスライディングタックルの方が早くそのまま力いっぱいシュートを打てば相手にぶつけるか大きく上にフカしてしまう、そこでキックフェイントから自分の足の裏でボールを手前に引いて、相手のスライディングタックルを空振りにしてやり、相手がスライディングしてきたのとは逆方向の、左前方へちょんとボールを蹴って自分がシュートするためのスペースをつくり、前へ出てきた相手GKの動きを見ながらボールをゴールの枠内へ流し込むみたいな相手との冷静な駆け引きが、日本の選手はまったくできていません。

正確なシュートを打つために、良い態勢で打つことを心掛け、もし良い態勢で打てないなら無理をして打たず、フェイントなどを使って良い態勢からシュートを打つためのスペースをつくれないか別のアイデアを試すというような発想が、日本サッカー界にはほとんどありません。

シュート時に心の余裕や冷静さを欠いていることが、1試合にシュートを20本も30本も打って2点ぐらいしか決まらない最大の要因だと思います。

日本人はマジメすぎ、物事を100%完璧にやろうとしすぎて心の余裕や冷静さを失ってしまい、それが「絶対に失敗したくない。失敗が怖い」という感情を生んで、過緊張で頭が真っ白になりとんでもないオウンゴールを引き起こしてみたり、イレ込みすぎてプレーが空回りし、シュートがとんでもない方向へ飛んで行ってしまったりするのではないでしょうか。

ブラジルW杯やリオ五輪が典型的な例ですが、日本のサッカーチームが国際大会の初戦や、もう一つも負けられないというプレッシャーがかかる大事な試合で結果を出すことができない最大の要因は、日本人選手がメンタル面で問題を抱えているからだと思います。

大事な試合で失敗がゼロになるようにベストを尽くすのは当たり前なのですが、いくらベストを尽くしてもミスは起こる、ならばベストを尽くしてプレーした結果、どういう結末になろうが受け入れるしかないと開き直り、心の余裕や冷静さを保つことを心掛け、「無心」でプレーしたり、適度にリラックスしてサッカーを楽しんでプレーしたりした方が、逆に良い結果がついてくると思います。

日本人選手の、こうしたメンタル面の問題を改善しないかぎり、日本サッカーが国際大会で成功するのは難しいです。
 
 次に日本代表の守備面はどうだったかを見ていきます。

この試合は、ちゃんとした守備ブロックをつくろうと努力はしていたようですが、タテにもヨコにも大きく間延びしており、しかもDFの4人が、SBとCBの間が5mでCBとCBの間は18mみたいに、ヨコに等間隔で並んでさえいませんでした。これでは効果的な守備はできません。

山口選手が機転を利かせ、危ないスペースでフリーになったタイのボール保持者を早め早めにつぶすようにしていましたが、こういう守備をゾーンディフェンスとは言いませんし、無失点で済んだのはタイの攻撃力が低すぎて助かっただけで、タイ以上の攻撃力があるチームだと、何失点するかわかりません。

コンパクトな守備ブロックをつくる場合、図2で示したようにDF4人・MF4人の横幅はペナルティエリアのそれと同じ程度、それぞれ10~13mの等間隔で4人が横に並び、DFラインとMFラインとの間も10~13m程度の距離を保たなければなりません。

そして相手のボール保持者がサイドにいるなら、守備ブロック全体をボールサイドへスライドさせて守ります。

過緊張で選手の頭が真っ白になり、こういう守備戦術の約束事がぜんぶ吹き飛んでしまったのかもしれませんが、そういうときはハリルホジッチ監督がベンチにどっかと座りっぱなしではなくて、テクニカルエリアに出て逐一、修正の指示を出すべきです。

日本が優勝したアジアカップ2011や、圧倒的な強さで勝ち抜いたブラジルW杯アジア最終予選など、ザッケローニ時代は監督さんがすぐさまテクニカルエリアに飛び出して両手を胸の前につき出し、アコーディオンを縮めるようなしぐさをして、「間延びしているぞ、守備ブロックをコンパクトに維持しろ」と指示が出たんですがね。

たった2年で、どうして選手たちがコンパクトな守備ブロックのつくり方、ゾーンディフェンスのやり方を忘れてしまったのか。手倉森ジャパンの守備組織よりひどい状態です。

選手個々の評価は次回としましょう。

次回へつづく



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■UAE戦個人評価と、次のタイ戦はどう戦うべきか?

前回のつづき

 日本対UAE戦、個のレベルで特筆すべき活躍だったのは本田選手。当研究所が提案していた“プライム・スコアリング・エリア”で待ち構え、清武選手からのクロスをヘディングで良く決めてくれました。中盤でボールをキープしたり、パス回しの中心になったりと大活躍で高く評価したいんですが、彼が本来のポジションである右ウイングから大きく離れてしまう時間が長いので、相手ボールになったとき4-4のコンパクトな守備ブロックをつくることができなくなってしまい、敵のカウンター攻撃に対して脆弱な状態をつくりだす一つの原因となっています。ピッチ上のリーダーである彼がそういうプレーをしてしまうことで、GKと4バック以外の他の選手も、自分のポジションを離れて相手ゴール前にべったり張りつき、「俺がゴールを決めるからクロスを入れろ」みたいな、非常にバランスの悪い選手配置になってしまうのではないでしょうか。本田選手にとって適切なプレーエリアを考えれば、センターFWかトップ下、攻撃的なボランチを任せるのが適切であり、彼をこのまま右ウイングのポジションで使い続けるのは、メリットよりもデメリットの方がはるかに大きいと思います。

 逆に大島選手は、中盤で攻撃を組み立てようと努力していましたが、全体的にパスが弱すぎます。彼のコロコロパスをさらわれて、相手のカウンターから失点につながる吉田選手のゴール前での“ファール”を招いてしまいました。もちろん味方が取れないような強すぎるパスも困りますが、5mとなりにいる味方に対しても、足元へビシッと強いパスを出して欲しいです。
PKを取られたプレーは、自分の体を相手選手よりもゴールラインから遠い方へ置いて、足だけでボールを取りに行ったことも原因です。ボールを奪いに行くときは、自分が守るべきゴールとボールとを結んだ直線上に立ってやること。
大島選手がUAEの選手とボールの奪い合いをしているとき、他の選手が指をくわえて見ているのではなくて、大島選手の背後をカバーしていれば、あんなことにはならなかったはず。チーム全体でどんな時もチャレンジ&カバーの守備の大原則を忘れずに。

西川選手は、失点につながったゴール前FKもPKのときもそうなんですが、ヤマをかけて早く動きすぎじゃないでしょうか? 特にPKは「キッカーの方が有利で当たり前」というのが当研究所の考え方ですが、GKはできるかぎり最後の瞬間まで動かずにキッカーの動きを見てから、どういう風に動くか決断した方が良いと思います。ノイヤーやブッフォンのPK対応などは非常に参考になると思います。

香川選手は、攻撃を組み立てるプレーメーカーとしての役割をほとんど果たせず。ダブルボランチやサイドバックからパスを引き出すポジショニング能力や、バイタルの中でボールを受けて前の3人へパスをつなぐ能力にも問題があります。こうした問題点が改善されないかぎり、香川選手をトップ下で起用するのはしばらく見合わせるべき。
以前にも言いましたが、彼は「トップ下」と言ってもパサータイプではなく、セカンドストライカータイプであり、香川選手が一番輝いていたゲーゲンプレス時代のドルトムントでは、彼のパス能力で攻撃を組み立てていたというよりも、トップのレバンドフスキにロングボールを当てて、こぼれたところを彼が拾ってシュートやラストパスをしてゴールしていたわけです。遅攻をしなければいけない場合は、シャヒンのように中盤でボールがある程度キープできてパス能力が高い選手がいないと、チームも香川選手もちょっと苦しんでいたイメージがあります。
彼も厳しいプレスを受ける中でボールを受けたりパスしたりする能力を高める努力を一生懸命やっていると思いますが、彼を別のポジションで生かしてあげることを真剣に考える時期に来ています。

岡崎選手は惜しいヘディングシュートが1本ありましたが、ワントップとしてほとんど機能せず。相手DFのマークを外して自分がシュートを打つためのスペースをつくるといった工夫もほとんど見られません。常に相手の2人のセンターバックの前に居るだけで、あえてそこのスペースを空けるために、サイドにボールがあるときにCBとサイドバックの間のスペースへ移動するとか、そういうアイデアもありません。しかもDFラインのウラヘ抜けて味方から彼にパスが出てこなかったときに、オンサイドの位置まで戻る動きも緩慢で、「いま味方が前へパスを出せる状況なのに、実際にそうしたら岡崎選手がオフサイドになって日本の攻撃時間が削られてしまう」と思ったことが何回かありました。チームが苦しい試合をしているのに、そういう怠慢プレーは二度と見たくないです。

清武選手は、セットプレーのキッカーとして1ゴールに貢献し、中盤においてもパスで攻撃を組み立てる彼のプレーは有効だったと思いますが、ラストパスの精度をことごとく欠いています。逆サイドへふわっとした浮き球のクロスを使うことが圧倒的に多かったのですが、浮き球のクロスを使うなら、味方に正確に合うように早くて強いボールを入れるようにするべきですし、日本は背の高い選手が少ないので、グラウンダーのパスをもっと大切にして、ワンツーやスルーパスでゴールをお膳立てするようなプレーを増やしていくべきだと思います。
後半12分、酒井高選手のクロスを合わせられなかったシーンでは、シンプルに足のインサイドでボールを確実にミートして、ゴール方向へコースを変えるという選択をした方が良かったのでは?

酒井宏選手は、クロスの質にあいかわらず問題を抱えています。自分の対面の相手を抜いて苦しい態勢からダイレクトクロスというプレーだけではなく、タテを抜くと見せかけて中へカットインし、ペナルティエリアの角あたりから、右足でゴール前にいる味方へ強くて早いボールでピンポイントのクロスをするといったプレーを試してはどうでしょうか。

原口選手はボランチとして起用されたのだと思いますが、相手を押し込んでいるときでも最前線に張りっぱなしではなくて、長谷部選手と一緒にペナルティアークより前方にポジショニングし、相手がクリアしたこぼれ球を正確なミドルシュートでゴールに叩きこんだり、それを拾って左右にパスで再展開するなどして、相手のカウンター攻撃の芽を徹底的につぶして欲しいです。でも彼をボランチで使うのは適材適所なんでしょうか。

        ☆        ☆        ☆

 それでは次のタイ戦をどう戦うべきかですが、UAE戦で日本代表がチームとして機能しなかった原因として、

1.本田・香川・原口・大島・宇佐美ら攻撃的な選手が守備に戻って来ず、4-4の守備ブロックがつくれないので、相手の攻撃に対して守りが脆弱であり、日本のゴール近くへ相手のボール保持者の侵入を簡単に許している。それが失点の可能性を高め、日本の攻撃時間も削っている。

2.同じ理由から、相手からボールを奪い返して攻撃的な選手へ確実にパスをつなぐ人(ボランチ)、ボランチやサイドバックからボールを受けて攻撃的な3人へパスを供給することでチャンスメークする人(トップ下)、自分でゴールを決めたりラストパスを出して味方のゴールをアシストする人(FW)みたいなチームの役割分担が全然できておらず、「前線で張っている俺がゴールを決めるからクロスをよこせ」という選手ばかりになっている。

あと、選手が個性にあったポジションで使われておらず、プレーが上手くいかず結果も出ないので、自信を失ってしまいかねないという問題も大きいと思います。

以前にも言いましたが、大島選手や柏木選手のように足元の技術は高いけれどもフィジカルコンタクト能力や守備力が低い“小兵”をボランチに持ってくると、チーム全体の守備力も低下してしまいますが、遠藤選手や山口選手を長谷部選手と組ませると、こんどは攻撃時のパス展開力に問題が出てくるところが悩ましいですね。

また、香川選手はパスを引き出すポジショニング能力やボールキープ力が不足していて、トップ下として機能しておらず、守備力もほとんど無いという問題。岡崎選手もワントップとしてほとんど機能していません。

セットプレーから精度の高いキックを蹴ったり、中盤でボールをキープして正確なパスを出せる人が清武選手しかいないのに、監督さんによって途中交代させられてしまったという問題。

右ウイングの本田選手は右サイドでプレーしておらず、もっぱらピッチの中央やゴール前でプレーしていて、本来のポジションに戻ってこないという問題。

 こういった問題を解決するためには先入観や固定観念を排し、選手のプレースタイルや長所・短所を良く観察して、適材適所で選手を配置していく必要があります。


             浅野 
            (武藤)
            (香川)

 宇佐美       清武       原口


         本田    長谷部           
                               

 酒井高    森重    吉田    酒井宏 



             GK 


上手く行っていないチームを立て直すときは、守備の安定から手をつけるのがガチガチの鉄則です。

相手ボールになったら宇佐美・原口両選手がダブルボランチの位置まで下がって4-4の守備ブロックをつくり、フィジカルコンタクトに強い本田選手と長谷部選手でバイタルエリアをしっかりと固め、相手からボールを奪い返したら、ボールキープ力と正確なパス展開能力にすぐれる本田選手が1列上がり、同じく高いパス能力を持つ清武選手と協力して攻撃を組み立て、「ここはサイドから攻めろ、今は中央突破のチャンスだ」といった具合に、パスをどこへ出すかでチーム全体にメッセージを送り、攻撃を指揮していきます。

そして浅野・宇佐美・原口選手らにラストパスを出してゴールを決めさせます。もちろん後ろから上がった本田選手や清武選手がリターンをもらって決めても良いです。

近年サイドハーフ(ウイング)には、利き足がポジションとは反対の選手を置いてカットインからのドリブルシュートを狙わせる戦術が流行しています。しかしここはスピードの緩急やキレを重視して、利き足が左ではありませんが原口選手を右サイドへもってきて、タテに抜いてサイドをえぐってからのマイナスのパスや、あえて右足のドリブルからのカットインプレーでチャンスメークをしたりゴールをあげたりするプレーを期待しています。

たとえメッシであっても、たった1人で敵11人を相手にして、自分ひとりの力でW杯に行くなんて不可能です。チームも本田選手個人としてもロシアW杯へ行けるように、いまは辛抱してチームプレーに徹して欲しいです。

もしこれで上手く行かない場合は、試合中にボランチのところへ遠藤もしくは山口選手を入れて、本田選手を前線にあげてはどうでしょうか。こうすれば本田選手は攻撃に専念することができ、守備のために自陣へ戻る体力的負担が軽減できます。



             本田 
            (浅野)  
            (武藤)

  宇佐美      清武       原口
            (本田)     


     遠藤もしくは山口  長谷部           
                               


  酒井高    森重    吉田    酒井宏 



              GK 

 
 東南アジアのアウエー戦と言えば、2次予選のカンボジア戦で苦しんだことを良く思い出してください。タイはカンボジアより数段戦力は上です。

「絶対に相手は引いてカウンターサッカーで来る」と決めつけてはいけませんし、「格下相手だから」といって点を取って勝つことばかりに夢中になり、守備をおろそかにしてオープンな展開の“殴り合い”(=点の取り合い)を挑んだら、致命的なパンチを食らってノックアウトされ、取り返しのつかない結果につながりかねません。

臆病になる必要はありませんが、どんな展開になっても90分間、相手ボールの時は4-4のコンパクトな守備ブロックをつくって辛抱強く守り、相手のボールホルダーが中盤にいるときから体をしっかり寄せてボールを奪い返すこと。

高い気温下でのゲームが予想されますが、陣形が間延びすると1人ひとりが広いスペースを守らなければならず、無駄に体力を消耗します。90分間コンパクトな守備陣形を維持して相手が攻撃で使えるスペースを消しておけば、そういうことは無くなりますし、その体力を攻撃に十分使うことができます。

ボールを奪い返したら、日本の選手3人で三角形をつくりながら、いつもの練習でやる「鳥かご」のようにテンポ良く強いパスをしっかり回して、プレスをかけてきた相手を抜き、バイタルエリア付近でクロスやラストパスを出してゴールを決めることです。(図1)

図1
バランスが良い
(クリックで拡大)

図2のような形を「泥臭い攻撃」だと思っているのかもしれませんが、それでは結果が出ないということは、ブラジルW杯のギリシャ戦(0-0)、2次予選初戦のシンガポール戦(0-0)、そして先日のUAE戦と、何度も何度も証明されています。

図2
バランスが悪い

守備でも攻撃でも、個人戦術・チーム戦術のセオリーというものは、ゴールを1点でも多く取り、失点を出来る限りゼロにするためにはどうすれば良いか、世界中の人たちが100年以上にわたって試行錯誤した結果、生み出されたものです。

そうした「サッカーの基本」を大事にしたプレーが「良い試合内容」であり、試合内容を犠牲にして「泥臭く」プレーすれば、試合に勝てるというのは大きな誤解です。

W杯に行くために1人ひとりがエゴを捨て、日本代表の選手全員でチームプレーに徹してください。ハリルジャパンの修正力に期待しています。


一対一の勝ち方


フィジカルコンタクトに勝つためのスキル

コンパクトな守備ブロックからのゾーンディフェンスのやり方

パスサッカーの基本(その1)

パスサッカーの基本(その2)

より高度なパスサッカー(その1)

より高度なパスサッカー(その2)

より高度なパスサッカー(その3)



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■日本代表の試合内容、どこが悪かったのか?

 前回記事のコメント欄で日本代表を真剣に心配して下さっている読者の皆さん、どうもありがとうございました。

日本サッカー協会会長の田嶋さんがFIFAに抗議するとのことですので、何かしら次の動きがあるまで、今は事件のなりゆきを見守ることにして、次のタイ戦に勝つために私たちができる精一杯のことをやりましょう。

私ができる唯一のことは、日本代表の問題点を指摘して広く
日本サッカー界に問うことで、すみやかにそれを修正してもらうことです。

最後にもう一度言っておきます。確かに日本代表の出来もあまり良くはありませんでしたが、そうした悪い試合内容であっても、浅野選手の1ゴールは日本代表がサッカーのルールにのっとって正当に手に入れた権利ですので、「内容が悪かったのだから浅野選手のゴールが取り消されて負けてもしょうがない」という考え方は、一見、潔くて美しい主張のようにみえますが、絶対に間違っていると思います。

        ☆        ☆        ☆

 そのUAE戦の日本代表、試合内容のどこが悪かったのか、今回の記事で分析していきます。

結論から言えば、「選手配置のバランスが非常に悪かったので、攻撃でも守備でもチーム組織がまったく機能しなかった、それが試合に勝てなかった最大の原因である」という、この一言に尽きます。

図1を見てください。

図1
バランスが悪い
(クリックで拡大)

2014年ブラジルW杯のギリシャ戦(0-0)から、ロシアW杯アジア2次予選初戦のシンガポール戦(0-0)、そしてこの試合と、
日本代表は同じ間違いを何度も何度も繰り返しているのですが、日本がゴールが欲しくて欲しくてたまらない時は、いつも4-2-3-1のフォーメーションを自分たちで大きく崩してしまい、バック3人とボランチ1人以外は、みんながみんな「俺がシュートするから、ボールをよこせ」と言わんばかりに、全員が相手のバックラインと一列に並び、6トップみたいな形になっちゃうんですね。

これがすべての元凶です。

日本の6トップがゴールを焦るあまり、ペナルティエリアの中で相手DFラインと一直線に並んでしまうと、DFラインのウラのスペースがまったく無くなってしまいますし、6トップが敵選手をたくさん呼び寄せてしまうために、バイタルエリアからパスを出したり受けたりするためのスペースまでつぶれてしまいます。

つまり、ゴールが欲しくてたまらないのに、日本の6トップがゴール前に密集することで相手選手を集中させてしまい、「相手ゴール前に2階建てバスを置く状態」を自分から招いてしまっているんですね。

こうなるとサイドバックから単純なクロスをあげるしか攻撃パターンがなくなってしまい、相手はただヘッドでクリアするのを繰り返すだけで済みますので、非常に守りやすくなっています。

そして日本の中盤があまりにもスカスカなので、UAEのバックによってクリアされたボールのほとんどを相手に拾われてしまい、フォーメーションを大きく崩しているので日本は4-4のコンパクトな守備ブロックをつくることもできません。それが原因で相手のカウンター攻撃をもろに浴び、危ないシーンを何度もつくられていました。ゴールが欲しいのに相手のカウンターで日本の攻撃時間が削られてしまうという悪循環。

ゴールが欲しくてたまらないサッカー選手は、ゴールの近くへ近くへと動いていく本能がありますが、その本能が逆に自分たちを得点から遠ざけているのだということに、本田選手をはじめ、すべての代表選手が早く気づいてください!!

 次に、バランスの取れた選手配置による攻撃の例を示します。図2を見ながら説明します。

図2
バランスが良い
(クリックで拡大)

攻撃でも守備でも組織を最大限機能させることで相手からゴールを奪い、失点を防ぐため(つまり試合に勝つため)には、4-2-3-1ならそのフォーメーションをできるだけ維持しながら、味方の3人の選手でトライアングル(赤線による三角形)をつくり、いつも練習でやっている「鳥かご」のように、リズム良くパスを回しながら相手のプレスをかわしてボールをバイタルエリアへと運んでいきます。


        CF


 LH     OM     RH
       

      DM    DM


 SB   CB    CB   SB

        GK


センターFW(CF)と左右のハーフ(LH・RH)は、中盤で味方がパスを回している段階では、相手DFラインのウラヘ動き出すタイミングをできるだけ遅らせます。

ゴールが欲しいからといって早すぎるタイミングでウラヘ動くと、相手DFラインまで下がってしまうからです。よってゴールから自分が遠くにいる状況に不安を感じても我慢すること。

相手DFのウラは広ければ広いほどスルーパスを受けやすくなりますし、そこでパスを受けてドリブルでGKと一対一になってしまえば、自分がそれより以前のタイミングでゴールから遠くにいることなんて不利でも何でもありません。

自分の感情で動くな、戦術セオリーの理詰めで動け!

バイタルエリアの一つのスペース(DFラインの前にある黄色い丸)に入れる日本の選手は原則として1人です。バイタルエリア全体ではどんなに多くても3人ぐらいまでにしておくこと。それ以上の味方が集まると、味方がスルーパスを出すために使うスペースがつぶれてしまいます。

トライアングルをつくりながらパスを回してボールを前へ運び、バイタルエリアの黄色い丸の中にいる味方にパスが通ったら、別の選手がいよいよ相手DFラインのウラヘ走りこみます。

サイド攻撃を狙うなら、RHにボールが入ったタイミングで右のSBがオーバーラップをかけ、RHが右のSBにスルーパスを通し、ウラヘ抜けた右のSBがゴール前へグラウンダーでアーリークロスを入れたり、サイドをえぐってからマイナスのクロスを入れて、中央へ走り込んだ味方に決めさせます。

中央突破を狙うなら、CFにパスが入ったタイミングでLHが相手DFラインのウラヘダイアゴナルラン、CFはLHへスルーパスを通し、LHはGKとの一対一に勝って冷静にゴールを決めます。

あるいは、わざと空けておいたバイタルエリアのスペースに、トップ下(OF)やボランチ(DM)が走りこんでパスを受け、そのタイミングでダイアゴナルランしたLHやCFにスルーパスを通します。

この状態でもしボールを失ったとしても、分厚い中盤が控えていますので、左右のハーフがダブルボランチの横まで戻ることで、すみやかに4-4-1-1の守備ブロックをつくり、相手の攻撃に備えます。

選手配置のバランスが非常に悪い、図1を見てください。

もしRHの浅野選手のところでボールを失ったら、敵のボール保持者の前で守っている日本の選手は4人しかいません。

これが選手配置のバランスが良く取れている図2の状況においては、RHのところでボールを失っても、敵ボール保持者の前方にいる日本の選手は7人です。

どちらが相手のカウンター攻撃に強く、失点の確率が低いかは一目瞭然ですね。

図2のような攻めを、日本がたとえ1点リードされた状況でも辛抱強くやらなくてはダメです。焦って図1のような攻めをやったらゴールを奪うのは本当に難しくなります。

 以上が、日本がUAEに勝てなかった、戦術上の最大の原因です。

もしこの記事を読んでいる方で、ハリルホジッチ監督など代表チーム関係者とコンタクトが取れる人がおられるなら、次のタイ戦まで練習時間が2日しかありませんが、この記事を読んでもらって代表チームの戦術上の問題点をすみやかに修正するよう伝えてもらえないでしょうか。

今の日本代表の状態は本当に心配です。

「欧州4大リーグでやっている俺たちがアジアで負けるわけがない。攻撃も個の能力だけで崩せるし、守備ブロックをつくるために自陣に戻るなんてかったるいことやってられるか。バックも個でも守りきれるでしょ」みたいに、日本代表の選手一人ひとりが自分にうぬぼれ、思い上がっているのでしょうか?

今の日本代表は、昨シーズンのダメダメだったACミランみたいに、攻撃でも守備でも個人がバラバラにプレーしており、組織というものがありません。

この試合で言えば、UAEに先制したところまでは少なくとも攻撃に組織はあったと思いますが、試合の後半はゴールを焦るあまり冷静さを完全に失ってしまったのか、全然ダメでした。

6人もの選手が「俺がゴールを決めるからクロスを入れろ」と最前線に張りっぱなしで、サポートしてくれる味方がいないので、パスコースがないボール保持者はどこへパスを出すか迷うばかり。

パス回しにスピードがでるどころか、ぜんぜんパスがつながらないので相手の守備を崩すことができません。

結果、ゴール前へサイドから単調なクロスを入れては、はね返されるのを繰り返すだけ。

次の試合でもこれを繰り返したら本当にヤバイです。


パスサッカーの基本(その1)

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■八百長試合のつくりかた

 昨日行われた日本対UAE戦、日本代表のプレー内容についても問題はあったので、それは後で詳しくやりますが、引き続きサッカーにおける八百長試合について話させてください。

私はこれまで20年以上、W杯本大会とその予選(アジア・欧州・南米・アフリカなど)、アジアカップ・ユーロ・コパアメリカ・アフリカネーションズカップ・北中米ゴールドカップなど各大陸王者を決める大会とその予選、クラブレベルでは欧州や南米のトップリーグの試合を数えきれないほど見てきました。

その長い経験から、2つのチームを公平にジャッジしようとしているレフェリーと、どちらか片方のチームを意図的に勝たせようとイカサマをしているとしか思えないレフェリーの2種類が存在することに気づきました。

もちろん後者は非常に少数なんですが、確実に存在しますし、サッカーの試合を数多く見るという経験を積んでいけば、後者のイカサマ審判が八百長試合をつくり出すテクニックというものを、かなりの程度見分けられるようになります。

 これは一般論ですが、片方のチームを意図的に勝たせようとしているレフェリーは、自分が勝たせたいチームが「勝つ理由」を一生懸命探すようにジャッジしていきます。

例えば、両チームの選手がぶつかってどちらのファールか微妙な時に、自分が勝たせたいと思っている方に「ファールを受けた」というジャッジを与えるのがその典型です。そして判定基準が一定せず、負けさせたい方のチームの選手が同じようなファールを受けても流すか、観客に八百長と感づかれないように、アリバイづくりのように2対8ぐらいの割合で、負けさせたい方のチームにもファールをとってやることもあります。

そして試合結果を操作しようとしているレフェリーが良く使うのは、ペナルティアーク直前で2つのチームの選手が接触して倒れ、どちらのファールか微妙なときに、勝たせたい方のチームにことごとくFKを与えるという手法です。

A代表の選手ともなればある程度のテクニックがありますから、ペナルティアークのド真ん前からFKを蹴れば、かなりの確率でゴールできます。

これが八百長審判が探していた、自分が勝たせたいと思っているチームが「試合に勝った理由」となるのです。

攻撃側のファールと判定すれば、ただのFKですが、守備側のファールと判定すれば、かなりの確率で1点になり、試合結果に天と地ほどの大きな違いが出ます。

勝たせたいチームにPKを与えるという、観客にもミエミエの手段を使うのはイカサマのやり方が下手くそな部類の審判で、勝たせたい方のチームが「FKからのゴール」という一見合法なプレーで自分のイカサマジャッジを半分助けてくれるので、八百長試合に関与しているレフェリーとしては、非常に使い勝手が良いわけです。

「FKからのゴール」という、自分が勝たせたいチームが「試合に勝った理由」をつくれなかったレフェリーは、たとえミエミエであったとしても、自分に課せられたノルマを達成するために、PKの笛を吹く理由を一生懸命探すようにジャッジしていくことがあります。

ペナの中で後ろから足を引っ掛ければ、八百長のある無しにかかわらずかなりの確率でPKになりますが、横からショルダータックルを受けた場合や、正面からボールを奪いに行って接触しただけでも、「待ってました」とばかりに、勝たせたい方のチームにPKを与えるのです。

選手が意図的に手を使ってシュートを防いだわけではなく、手を体の線にぴったりとつけていたのに、たまたまボールが腕に当たっただけでも、自分が勝たせたいチームにPKを与える理由になりえます。

ひどい場合には、身体接触が無くて攻撃側の選手が自分で勝手に倒れた「シミュレーション」にPKを与えたり、倒れたのがペナルティエリア外でもPKにしたりと、イカサマ審判はあの手この手で自分が勝たせたいチームが「勝った理由」を、PKによるゴールという形でつくり出していくわけです。

負けさせたい方のチームからゴールを奪うという手段もしばしば使われます。

ボールが完全にゴールラインを割っているのにゴールを認めなかったり、ボールがネットを揺らしても、その前にクロスボールがゴールラインから出ていたと判定してゴールを取り消したり、勝たせたい方のチームの選手がペナルティエリア内でハンドをしてシュートを防いだときにも、あえて見逃したり。

あるいは軽微なファールでもイエローやレッドを出して負けさせたいチームを数的不利に追い込み、それによって自分が勝たせたいチームがゲームに勝つように仕組むこともあります。

レフェリー、特にW杯の予選を裁くような国際審判は、そこにたどり着くまでにアマチュア時代から何百試合もジャッジしてきた経験があるわけで、誤審が1試合のうちに何度も何度も起こるようなことはまずありえませんし、その“誤審”が両チームにとって有利なものが50%対50%で起こるのではなくて、片方のチームがことごとく有利になる“誤審”ばかりが起こるなんて、その審判が意図的にイカサマをしようとしているのでもなければ、確率論から言ってあり得ません。

私がこれまで見てきた試合の中で八百長試合の可能性が非常に高いと思われるのは、ペナルティエリアの外で勝手に倒れたカタールの選手にPKを与えた、2009年6月10日に行われたW杯南アフリカ大会アジア最終予選、横浜国際での日本VSカタール戦

レフェリーからPKを4つも与えられたのに三星が勝てなかった2013年4月3日に行われたACLの三星VS柏戦

やはりレフェリーが不可解なPKを中国に2つも与えた2013年7月21日東アジアカップの日本VS中国戦などがあげられます。

アジアばっかり。だから世界で最もサッカーの発展が遅れているんだよ。

 では昨日の日本対UAE戦はどうだったでしょうか?

ゲームを支配していたのは日本で、UAEはたまにカウンターからシュートを打つぐらいで、日本はほとんど守備を崩されていませんでした。

最初のキーポイントとなったのは、前半20分にUAEがゴール前FKから同点に追いついた直前の場面です。

このペナルティアークのド真ん前でUAEがレフェリーからFKをもらうことができたのは吉田選手の“ファール”が原因ですが、映像を何度繰り返し見ても、吉田選手の足はドリブルするUAE選手には触っておらず、相手がシミュレーションで勝手に倒れただけなのは明白です。

でもレフェリーは、ペナルティアークの前でUAEにFKを与える理由が出来るのを「待ってました」とばかりに吉田選手にイエローを出す“誤審”。

逆転ゴールとなったPKも、UAEにPKを与えたくて与えたくて一生懸命理由を探しているような状態で、大島選手がうかつに足を出して格好の餌食となってしまいました。

そして浅野選手の完全なゴールが認められないという“誤審”、宇佐美選手がペナルティエリア内へドリブルで侵入した時、相手に倒されたのに日本の時だけPKは与えられないという“誤審”。

中盤での競り合いなど小さいファールから、ゴール前でのFKやPKまで、ことごとくUAEに有利な“誤審”ばかりが続きました。

もしUAEが攻撃で日本を圧倒して決定機でも大きく上回っていたとか、日本に長い時間攻められても辛抱し、鮮やかなカウンターから決勝ゴールを決めたというなら、私は潔く完敗を認めていたでしょう。

しかしこの試合全体を見れば、ゲームを支配していたのは日本で、UAEはたまにカウンターからシュートを打つぐらいで、日本はほとんど守備を崩されていません。

日本が優勢に試合を進め、早い時間帯に先制点も取りました。

ところが、それ以後レフェリーが露骨にUAEに有利な笛を吹くようになり、結局試合を決定づけたのは、シミュレーションで得たゴール前のFKとPKによるUAEの2点と、完全なゴールを取り消された浅野選手による日本の幻の1点です。

この中に、レフェリーの助けなしにUAE代表が自分たちの力だけで勝ち取ったものは何一つありません。

PKが与えられた後、日本は無理をして攻めに行かなければならなくなりましたから、決定機が互角だったような印象をうけたかもしれませんが、レフェリーの助けがなければUAEがこの試合で日本に勝てる要素はほとんどありませんでした。

私には、この試合をジャッジしたカタール人審判団のセットは、「UAEが勝つ理由」を90分間ずっと探し続けていたように見えました。

 陰謀論をもて遊ぶのは本来嫌いなのですが、仮にこのゲームが八百長試合だったとして、それを仕組んだ黒幕の「犯行動機」は何でしょうか?

客観的な事実として、2006年ドイツ大会に出場したサウジアラビア以来、アラブ諸国がW杯に出場できていないことに非常にイラだっていることを指摘しておきます。(2014年W杯に出場したイランは、同じ中東でもアラブ人国家ではありません)

この試合前日の記者会見でも、アラブ人記者がUAEの代表監督に「今回はアラブ諸国がW杯に出られるだろうか?」と質問しているのを、多くの日本人記者が聞いているはずです。

だから当研究所はやめろといったのに、アラブが主導するアジアサッカー連盟(AFC)がオセアニアのオーストラリアをアジアに加盟させ、それが一つの大きな要因となって、アラブ諸国がW杯に出られなくなったり、アジアカップで優勝できなくなったのです。

オーストラリアの優勝で終わったアジアカップ2015の閉幕直後、アラブ諸国で「オーストラリアをAFCから追い出せ」という声が上がったのはそのせいです。

UAEもこの試合をジャッジしたカタール人審判も、アラブ国家が久しぶりにW杯へ出場することを熱望している同じアラブ人です。

もちろん日本は、彼らにとってはどうでもいい非アラブ国家ですよね。同じ日に行われたサウジ対タイでも試合の終盤にサウジにPKが与えられていますね。

 実をいうとこのW杯予選に限らず、トゥーロン国際からリオ五輪に至るまで、最近日本がらみの試合を吹く国際レフェリーがことごとく日本に厳しい判定をしていると感じていました。
 
もしそれら大勢のレフェリーを動かすとすれば、相当の政治力・資金力が必要となります。

日本の隣には、日本サッカー界の不幸を心から望んでいる国が少なくとも2つあります。その片方の国の最高指導者は、サッカーが大好きな反面、日本の事が大嫌いだと言われています。

その国は資金力だけはあって、欧州の名門クラブや欧州リーグでプレーする有名選手を「爆買い」することで、その国のサッカーを発展させようと躍起になっていますが、欧州リーグで多くの日本人選手が活躍することでW杯の常連となった日本の存在は面白くないんじゃないでしょうか。

日本サッカー協会も、今回の“誤審”の背景に何があるのか内々に調査すべきです。それが第二・第三の“誤審”が起こることを牽制することにもつながりますし、実際に不正行為の証拠をつかんで世界に公表できれば世界のサッカー界のためにもなります。

 サッカーでも国際政治でもナイーブな日本人は、「正義」や「ルールを守って正々堂々とやること」が大好きです。

そして自分たちは「正義」が大好きで「ひきょうなこと」が大嫌いなのだから、世界の他の人たちだってそうに違いないし、だから外国の人がインチキをしていると疑うことは恥ずかしいことだと思い込んでいます。

しかし、外国人を相手に仕事をした経験から言わせてもらいますが、この世界は「正しいものが報われて、悪い者が罰せられる」ところではありません。「強い者が報われ、弱い者はただ弱いというだけで罰せられる」世界なのです。

私はそれを決して良い事だとは思いませんが、厳然たる事実です。

日本やアメリカ・ドイツのような先進国はまだマシですが、アラブや中国・韓国などの発展途上国がなかなか発展できなかった理由は、不正行為をすることだけが得意な無能が政府や企業の要職を占め、マジメに努力している有能な人間が底辺であえいでいたりするからです。

サポーターをふくめて日本サッカー界には政治を毛嫌いする人が多いですが、不正行為をする悪者に力(政治力・武力・財力)を与えてはいけませんし、正義を愛する人たちが悪人よりも力を持たなければ、ルールを守って正々堂々とやっている人たちがちゃんと報われる世界はつくれません。

第4の審判をゴール脇へ置いとけば解決されるみたいな、生易しい問題ではないのです。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「判定をくつがえすのは難しい」と、やる前から敗北主義におちいっていますが、2006年W杯アジア予選プレーオフのバーレーン対ウズベキスタン戦で、日本人レフェリーが誤審を認めて再試合になったという前例があります。

ですから、浅野選手のゴール映像をFIFAやAFCに示しながら、「日本人が審判をやった試合も誤審を潔く認めて再試合をやったのだから、日本対UAE戦も再試合にすべきだ」と粘り強く主張すべきです。

さらにもっと大事なことですが、UEFAや南米連盟の幹部、日本人選手が所属している欧州クラブの関係者や、ブンデスリーガ・プレミアリーグ・セリエAなどのリーグ幹部やドイツ・スペインのような強豪国のサッカー協会など、世界のサッカー界に強い影響力を持っている人たち、あるいはイングランドやドイツ・スペインのサッカーファンなどに広く、日本対UAE戦を裁いたカタール人主審による“誤審”を数多く集めたビデオ映像集を見せ、「自分自身のフェアな努力で、プレミアの優勝クラブ・ブンデスリーガの強豪・イタリアやスペインの名門クラブの一員になった選手たちが、不正な手段でロシアW杯から排除されようとしています。世界のサッカー界から不正を無くしていくために再試合とカタール人レフェリーへの調査が行われるよう、日本に協力してください」と、JFA幹部が手分けをして世界中を回り、これから何年にも渡ってしつこく主張していくべきです。

それによって「カタールとUAEは卑怯者」というイメージを全世界のサッカー界に広く植えつければ、FIFAが動いて再試合ができるかもしれませんし、あのカタール人審判団のレフェリー生命を奪い、もう2度とプロの試合で笛を吹けないようにしてやれば、他のAFC所属のレフェリーも日本にイカサマ試合を仕掛けて利益を得てやろうとは思わなくなるはず。

田嶋さんはFIFA理事なのですから、AFCの公式戦で明らかな誤審をやり、試合中に線審との協議でも誤審を訂正しなかったレフェリーは、以後W杯本大会やその予選、アジアカップなどFIFAとAFC主催の公式戦で一切笛を吹けなくするような、レフェリーの評価制度を設けて欲しいですし、それで浄化できないなら、大昔みたいにW杯の予選のためにUEFAから審判団を派遣してもらったらどうでしょうか。

なんでしたら、この記事で列挙した「レフェリーが八百長試合をつくり出す手口」をFIFAに報告して、イカサマ試合への警戒を促しても良いです。

私が日本サッカー協会会長兼FIFA理事なら、まじめにやっている日本代表の選手たちを守るためにここまでやります。

田嶋さんはどうなされますか?

スポーツ仲裁裁判所でも、利用できるものは何でも利用して、この不正と断固戦わないといけません。

「あと7試合あるから何とかなるさ」と言ってこの不正を受け入れ、日本が最終的にW杯出場を逃してしまったら、取り返しがつきません。

 それにしてもUAEのホームならまだしも、日本代表のホームでこう何度も何度も、イカサマ試合のようなことが起こるのは屈辱的ですね。

田嶋会長もしっかりして欲しいです。日本代表戦でもACLでも何度も不正が疑われる試合があったのに、JFAが不作為で来たから、こうなるのです。

あのカタール人レフェリーは、何百万・何千万の日本人が見ている前であのようなことをやっても、自分の身に一切の不利益は起こらないと思っているわけですから。つまり完全にナメられているんですよ。

ACLなどAFCの公式大会がスポーツ興行として何とかやっていけているのは、日本のTV局が巨額の中継料金をAFCに払っているからと聞いたのですが、だったらJFAと日本のTV局で良く話しあって、ACLの放送権を買うのをもうやめにしたらどうですか。

日本のプロサッカー選手はJリーグから直接、欧州各国リーグへ行って国際経験を積むことができますし、ACLが赤字でつぶれても、痛くもかゆくもありません。

ACLの放送権を買わなければ、W杯予選の放送権も売らないというのであれば、「抱き合わせ販売は独占禁止法違反だ」とAFCを訴えてやればいいのではないでしょうか。

このままイカサマで日本が出られないなら、2018年ロシアW杯なんて一切見たくありませんし、日本のTV局がFIFAから放映権を買わなくてもいいです。

「日本が不正で大会から排除されるのなら、ロシアW杯のTV放送権は一切買わないけど、FIFAはそれで良いのか?」と問い詰めたら、FIFAも動いてくれるのではないでしょうか。

 日本対UAE戦で、もしレフェリーによるイカサマがあったとしても、その真犯人は今のところわかりません。しかしレフェリーを派遣したカタールが主犯で、試合に勝たせてもらったUAEも受益者なわけで、彼らが真犯人だろうが別に真犯人がいようが、日本に八百長試合を仕掛けた者への報復と見せしめが必要です。

いずれ日本代表を、FCバルセロナやレアルマドリード・バイエルンミュンヘン・ユベントスのようなメガクラブに所属する選手たちばかりで固め、(マンチェスターシティはUAE資本なのでやめましょう)W杯のアジア予選で日本がそれ以外の国とやるときは3-0ぐらいで勝つようにし、日本がカタールとUAEに当たる場合だけ10-0以上で勝って得失点差が大量のマイナスになるようにしてやり、カタールとUAEだけは絶対にW杯に出られないように合法かつ徹底的に妨害して、50年でも100年でもイカサマ師を後悔させてやりましょう。

日本の全サッカー関係者がこの国辱を絶対に忘れず、必ずリベンジしなければいけないと思います。

もしカタールもUAEも無実だというなら、真犯人を我々の前に突き出して欲しいですね。

次回はちゃんとサッカーの話をしますが、見ててこんな胸糞悪いサッカーの試合は、2002年韓国ワールドカップの、韓国対ポルトガル、韓国対イタリア、韓国対スペイン以来だわ。(もちろん2002年W杯は64試合ぜんぶ見た)



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■世紀の“大誤審”

 当ブログは日本代表を応援していますけど、日本が負けた原因を人のせいにするということは絶対にないということは、うちを長いこと読んでくださっている読者さんならわかってくださると思います。

私は自分の考えを自由に発表する基本的人権を日本国憲法で保障されているので、はっきり言わせてもらいますが、2018年ロシアW杯アジア最終予選、本日行われた日本対UAE戦は、イカサマ試合だと思います。

どういう理由か知りませんが、レフェリーは始めからUAEを有利にする意図をもって何度も何度も“誤審”を繰り返したとしか思えません。

前半のUAEのゴールにつながった、ゴール前での吉田選手の“ファール”はもちろんですが、特に後半32分の浅野選手のシュートは、映像を見ればわかりますが完全な日本のゴールです。

日本サッカー協会はこの映像をFIFAに持ち込み、この試合の結果に異議を唱え、誤審による試合のやり直しを求めるべきです。(異議申し立ては試合終了後何時間以内と決められているなら、できるだけ急いでください。)





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