■2016年08月

■岡崎選手の課題、香川選手の課題

 欧州各国リーグが開幕し、日本人選手の活躍が続々と報じられていますが、彼らが欧州四大リーグで輝くためにはどうしたら良いか、課題点を指摘するとともにそれをクリアするための解決策を提案をしていきたいと思います。

 まずプレミアーリーグ、スウォンジー戦に出場した岡崎選手ですが、相変わらず豊富な運動量でチームを助け、パスで攻撃を組み立てるなど新しい一面も見せてくれ、現地での評価も高くなっています。

それはそれで大変結構なことで、これにゴールがあれば「申し分なし」です。

では、どうして岡崎選手の献身的なプレーがゴールにつながらないのかと言うと、「自分がシュートを打つためのスペースをつくり出すこと」ができていないからです。

これが岡崎選手が解決すべき課題です。

彼は「自分がシュートを打つためのスペースは相手DFラインのウラにある」と考えて、サイドにいる味方がクロスボールを入れる態勢に入ると、ペナルティエリアの手前10mぐらいから一目散にダッシュしてペナの中にある相手DFラインのウラを取ろうとするのですが、こうしたプレーがことごとく徒労に終わっています。

具体例をあげましょう。

昨シーズン(2015-16)終盤、オールドトラフォードでのマンチェスターU戦で、レスターが勝てば優勝が決まるという大一番、しかしエースのバーディを出場停止で欠いており、岡崎選手に優勝をたぐり寄せるゴールの期待がかかります。

後半5分だったでしょうか、レスターがカウンターを発動し、シンプソンが右サイドでクロスを入れる態勢を取りますが、岡崎選手は相手DFラインのウラでボールを受け、シュートをしようと猛然と前方へダッシュします。

しかしユナイテッドのDFスモーリングはそんなことは百も承知、走りこむ岡崎選手と併走してプレッシャーをかけ、結局岡崎選手はシンプソンのクロスに触ることはできず、決定的チャンスを逃してしまいました。(図1)

図1
岡崎1
(クリックで拡大 以下同様)

ウラヘ抜けてDFの前でボールに触ってコースを変え、シュートするというプレーは選択として間違いではないですけど、あまりにもコテコテの正攻法で、プレミアの経験豊富なDFが相手ならば簡単に読まれて防がれてしまいます。

1回の決定機で、シュートを打つことができるスペースを最低でも2つ以上見つけ出すことができれば、守備の的が絞れない分DFとしても対応が難しくなりますし、そういうFWこそ高いレベルのリーグで結果を残していくことができるのです。

例えば前述の状況では、スモーリングはボール保持者のシンプソンと自分の背後にいる岡崎選手を同時に視野に入れることはできません。これを上手く利用できれば、岡崎選手はシュートを打つためのスペースを「相手DFのウラ」以外でもつくりだすことができます。

スモーリングが岡崎選手の方を見た瞬間、前方へ猛然とダッシュすれば、スモーリングは自分の前を岡崎選手に取らせないよう一緒に前方へと走るでしょう。そしてクロスがいつ来るか確認するためにシンプソンを見た瞬間、岡崎選手はその場でピタッと止まります。もし必要なら岡崎選手が数歩後退しても良いでしょう。

そうすれば、岡崎選手が自分について来ていると思い込んだスモーリングは前方へ行きすぎてしまい、ピタリと止まった岡崎選手の前方に2~3mのスペースがつくれます。そこでシンプソンとアイコンタクトをしてクロスを自分に入れてもらえば、フリーでシュートが打てるでしょう。

クロスがグラウンダーならトラップせずにダイレクトシュート、浮き球なら頭をブリブリ振り回さずに確実にミートすることを心掛け、GKに当てないように強いヘディングシュートがゴール枠内へ飛ぶようにすれば、ゴールの確率が高まります。(図2)

図2
岡崎2

もしスモーリングが自分の背後で岡崎選手が立ち止まることを恐れて、前方へのダッシュをためらったときは、スモーリングの前もしくは後方へ遠慮なくダッシュして相手DFラインのウラでシンプソンからのクロスを合わせれば、ゴールできます。

「相手DFのウラのスペースへ走りこんでシュート」ばかりでは、いつもパーしか出さないじゃんけんのようなもので、相手に読まれて勝つことはできません。グーやチョキを出すことによって相手に的をしぼらせなければ、自分が一番出したいパーが生きてくるのです。

 ゴール前でのセットプレーなど別のシチュエーションにおいて、「ゴールの嗅覚が優れている」と言われるFWが、クロスが入ってくるのとは反対の、ファーポストの前方数mのところ(イングランドサッカー界で言うところのプライム・スコアリング・エリア)で待ち構えていることがあります。(図3)

図3
PTG1.jpg

このエリアは、直接味方のクロスが飛んでくるだけでなく、味方のクロスを相手GKやDFがクリアしたボールや、味方のシュートをGKがはじいたボールがこぼれてくることが多く、GKの位置を事前に確認しておいて、自分のところへボールがこぼれてきたらどうシュートするか常に頭に思い描いて準備して待ち構えていると、得点の確率が高まります。

いつもいつもゴール前中央で相手DFにヘディングで競り勝とうとするのではなく、たまにはこういうプレーを狙っても面白いのではないでしょうか。

 次に香川選手の課題です。

2ゴールをあげたポカールやリーガ開幕戦となったマインツとのゲームでは、中盤での攻撃の組み立てが今ひとつ上手く行っていないようでした。

その原因は、中盤でパスを受ける時のポジショニングが適切でないことにあります。

香川選手は味方にパスを出した後、大きく動きすぎてしまい、敵選手の死角に入ってしまうことがしばしばあります。こうなると浮き球のパスが来ない限りボールが受けられませんが、ヘディングで相手に競り勝ってマイボールにするというプレーは彼の持ち味ではなく、そうなるとドルトムントの選手は香川選手へパスを出すことができません。(図4)

図4
香川1


また、味方からの縦パスを香川選手がゴール方向へ背を向けて受け、ターンして前方を向こうとする場面も多いのですが、相手に背後から激しいフィジカルコンタクトを受け、ミスになるケースも多いです。(図5)

図5
香川2


中盤で攻撃を組み立てる場合は、なるべくダイアゴナルパスを使うべきです。パスを出したら大きく動きすぎず、「ゴールへの階段を一段一段登るように」次にグラウンダーでダイアゴナルパスが受けられるスペースへ移動しパスを受けます。

縦ではなくダイアゴナルでパスを受ければ、半身でボールを受けることができますから、前方へすばやくターンすることが可能となり、相手が自分にフィジカルコンタクトをしてくる前に仕事を終えることができます。中盤においては、自分と味方2人でトライアングルを常につくるようにしてパスを回し、このプレーを繰り返していけば、スムーズに攻撃を組み立てることができます。チームメイトにも香川選手がパスを受ける瞬間までにグラウンダーでパスが受けられるスペースへ常に動いてくれとお願いしておくべきです。(図6)

図6
香川3


当研究所はあまり推奨しませんが、どうしても縦パスを受けないといけないという場面では、パスが出た瞬間、自分の背後についている相手の胸を自分の背中全体で押して相手のバランスを崩してから前方へすばやくダッシュして半身でパスを受けるようにすると良いでしょう。

相手ゴールに背を向けてボールを受けるというプレーも当研究所は推奨していませんが、どうしてもやらないといけない場合は、両腕をやや後方に伸ばし、腰を低くして自分の尻を突き出しながらボールを受けると、自分の背後についている相手選手から一番遠いところにボールを置いてキープできますし、自分の両腕で背後にいる相手の位置がつかめているなら、ボールをどちらかの足のアウトサイドでコントロールしつつ相手の体に自分の体を軽く預け、自分を押してくる相手の体を支点にしてクルッと前方へ体を入れ替えて抜いてしまえば、次回からは相手がそうやって抜かれるのを警戒して、香川選手へのフィジカルコンタクトを控えるはずです。そうすればフリーでボールを受けられる可能性が高まります。

ゴールに背を向けてボールを受けたとき、相手が自分の立ち足はもちろん、ボールをコントロールしようとした逆の足を蹴ってきた場合は、ちょっと派手に倒れて警告をもらうように仕向ければ、次からは激しく来ることができなくなります。そういうプレーをあらかじめ予測しておき、どう対応するか準備しておくことがケガを防ぐことにもなるのではないでしょうか。

それでも「半身でボールを受けるのがベスト」というのが当研究所の結論であるというのは変わりませんが。

 香川選手がペナルティエリア内へ侵入して、味方からパスやクロスを受ける時も、岡崎選手と同様、自分がシュートを打つためのスペースをつくる動きにもっと工夫が必要です。

上の図2のように、香川選手をマークしている相手がこちらを見た瞬間、前方へ走り込み、相手が味方のボールホルダーを見たときにその場でピタッと立ち止まるか、数歩後退してやれば自分の前方にシュートを打つためのスペースができるはずですので、そこでボール保持者にアイコンタクトしてラストパスを出してもらい、前もってGKの位置などを確認した上で、シュートを落ち着いて決めます。

 以上、岡崎・香川両選手が欧州四大リーグはもちろん、W杯の予選や本大会で輝くためにはどうすれば良いか、課題を指摘するとともに対策を提案してみました。

もちろん彼らだけではなくて、海外組・Jリーグ組の別なくすべての日本人選手が使える実用的なスキルを紹介したつもりですので、これを生かして、世界に通用する日本人プレーヤーがどんどん出てきて欲しいですね。

こういった実用的なプレーが正確にできるよう普段から何度も練習しておき、本番の大事な試合では「初戦が一番重要だから人生最高のプレーをしてやろう」とか「初戦で勝てばあとが楽になる。だから絶対に勝たなければ」などといった邪念は一切捨てて、普段の練習で出来ていることを本番の試合でも正確にプレーできるように、そのことだけに集中すべきです。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。
  

■ロシアW杯アジア最終予選に臨む日本代表発表!

 2018年ロシアW杯アジア最終予選に臨む日本代表が発表されました。以下のとおりです。

GK 西川 周作 (浦和)
   東口 順昭 (G大阪)
   林  彰洋 (鳥栖)

DF 吉田 麻也 (サウサンプトン:イングランド)
   森重 真人 (F東京)
   長友 佑都 (インテルミラノ:イタリア)
   酒井 高徳 (ハンブルガーSV:ドイツ)
   酒井 宏樹 (マルセイユ:フランス)
   昌子  源 (鹿島)
   槙野 智章 (浦和)
   太田 宏介 (フィテッセ:オランダ)

MF 香川 真司 (ドルトムント:ドイツ)
   清武 弘嗣 (セビージャ:スペイン)
   長谷部 誠 (フランクフルト:ドイツ)
   柏木 陽介 (浦和)
   大島 僚太 (川崎)
   山口  蛍 (C大阪)

FW 本田 圭佑 (ACミラン:イタリア)
   岡崎 慎司 (レスター:イングランド)
   宇佐美 貴史(アウクスブルク:ドイツ)
   浅野 拓磨 (アーセナル:イングランド)  
   原口 元気 (ヘルタベルリン:ドイツ)
   武藤 嘉紀 (マインツ:ドイツ)
   小林  悠 (川崎)

以上が、来月1日に埼玉で行われるUAE戦と、6日にバンコクで行われるタイ戦に召集されたメンバーですが、6月に行われたキリンカップ招集メンバーからは、メス(フランス)に移籍した川島選手やU-23代表のキャプテン遠藤選手、鹿島の金崎選手らが外れ、マインツの武藤選手やフィテッセの太田選手の名が久しぶりに含まれています。

6月のキリンカップの記事でも指摘しましたが、現在のハリルジャパンはメンバー的に攻撃的すぎるのではないかという懸念をちょっと抱いています。

全体のバランスを見るとサイドバックが多すぎで、センターバックが足りないように感じられます。スペイン2部のヒムナスティックでプレーしている鈴木選手のプレー内容が良ければ、招集を検討しても良いのではないでしょうか。

守備的なMFも少なすぎるように思います。

W杯本大会で当たるチームの攻撃力を考えれば、ダブルボランチには今よりもっと高いレベルの守備力を求めたいところ。

できれば身長180㎝以上あってフィジカルコンタクトに強く、ボール奪取力が抜群で、それに攻撃時のパス展開力があれば申し分ありません。

柏木選手や大島選手をこのポジションで起用するには、現時点において守備力がやや軽いように思われますし、個人的にはヘーレンフェーンに移籍した小林祐希選手が体の大きさを生かしてボール奪取力を磨き、中盤の底から攻撃をつくっていくような選手に、いずれ成長してくれないかなと期待しているんですが...。

となると現状、C大阪の山口選手に期待せざるを得ないんですが、どうして日本に帰ってきてしまったのか、それもJ2に。

○| ̄|_

W杯予選で顔面に大ケガを負い、異国のクラブで日本人が自分1人だけという状況に心細くなってしまったのかもしれませんが、自分の成長のためにも、どうせ帰国するならJ2よりレベルが高いJ1クラブへ移籍するという選択肢があったはず。

正直、彼はメンタル面に問題を抱えていると言わざるを得ませんが、それでも呼んでくれたハリルホジッチ監督の心意気に感じて、プレー面だけじゃなく、メンタル面でも成長して欲しいです。

 UAEに関しては相手FWのマブフートは注意しなければなりません。日本のバックとバックの間で彼をフリーにしておくのではなく、必要であればマークを受け渡して、常にこちらのバックの直前に置くようにマークし、相手のパスの出し手と一緒に彼を自分の視野にいれるようにしておくこと。そうすればアジアカップ2015のときのように簡単にやられるようなことはないはずです。またラストパスの供給源となる相手の10番ウマル・アブドルラフマンも要警戒ですが、この2人だけに気を取られてはいけません。90分間集中を切らさずに、自分たちがやるべき守備の基本につねに忠実であることです。

 2018年W杯のアジア最終予選が始まりますが、UAEとの初戦では「普段の練習で出来ているプレーを本番の試合でもやる」ということだけに集中して欲しいです。そして自分たちが本番の試合でやるべきことは「相手より1点でも多くゴールし、できるかぎり失点を少なくすること」です。

「初戦が一番大事だから、人生で最高のプレーをしてやろう」と思いつめた結果、過緊張におちいって頭が真っ白になってしまったり、イレ込んで力みすぎ、キックしたボールがとんでもない方向へ飛んで行くなどして自滅した、手倉森ジャパンの教訓を十分に生かすようにして欲しいです。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。


  

■手倉森ジャパンのリオ五輪・総括(最終回)

前回のつづき

 今大会を通じて、将来への可能性を感じさせた選手をあげておきましょう。

南野選手は、五輪という大舞台であっても、ナイジェリア戦で相手GKの動きを良く見て冷静に決めたゴールは良かったですね。世界大会に出た日本人選手がパニック同然でシュートを打ち、大きくふかしていた時代とは隔世の感があります。スペースも時間も限られているバイタルエリアでのチャンスメークも光り、コロンビア戦では浅野選手のゴールをナイスアシスト。やはり海外経験があの落着きをもたらしているのでしょう。

浅野選手は、やはりスピードが魅力的で足元の技術もあります。藤春選手のクロスをヒールでコースを変えて奪ったゴールも良かったですし、ゴール中央からギリギリのタイミングでウラヘ抜け出して決めたコロンビア戦のゴールも彼の持ち味が出たのではないでしょうか。この五輪でもっとゴール数を増せるチャンスはあったと思いますので、シュート時のメンタル面や技術面でさらなる向上を。

コロンビア戦でワールドクラスのミドルシュートを決めた中島選手も大変素晴らしかったのですが、シュートを打てるところで味方にパスしてミスになったり、大事にシュートを打とうとしたのか、打つタイミングをワンテンポ遅らせてシュートコースを消されたりと、大会を通じてどういうわけか弱気にも見えました。五輪のアジア予選では簡単に競り負けていましたが、フィジカルコンタクトの強さという面で成長が見られたところは収穫です。FC東京のトップチームで使ってもらえないようですが、その状態が続くようなら自分を評価して先発で使ってくれる他のJクラブや、もしやれる自信があってオファーも来ているのであれば、ドイツやオランダなど海外クラブへ移籍した方が良いのではないでしょうか。

大島選手は中盤での攻撃の組み立てから、バイタルエリアでのゴールにつながるチャンスメークまで大活躍。もう少しでゴールという場面もありました。彼はトップ下のポジションが適任のように思われますが、清武選手や香川選手などA代表ではライバルが多いですね。守備力には課題ありです。

鈴木選手はナイジェリア戦で決めた、右に行くと見せかけたフェイントで直前のナイジェリアDFをはがし、左に切りかえして打った正確なコントロールシュートは見事でした。体を張ったチャンスメークで陰ながら頑張っていた興梠選手はオーバーエージでは一番活躍していた方ですが、PKによる1ゴールのみという成績はセンターFWとして物足りなかったのは否めませんし、もっと鈴木選手を信頼して使ってあげた方が良かったのではないでしょうか。

植田選手は、空中戦では相変わらずの強さを見せてくれましたが、地上戦ではまだ改善の余地があります。ポテンシャルはかなりのものを持っていますし、できるだけ早くA代表へ呼んで監督さんの手元に置き、世界に通用するセンターバックになってもらうために経験を積ませていく必要があると思います。

 中村選手や櫛引選手が特別悪かったとは思いませんが、他国と比べて突出した出来だったとも言えず、川島選手の後継者が見当たらない現状、センターバックと並んでゴールキーパーは強化が特に必要なポジションとなっています。

言うまでもなくGKは専門職であり、身長はできれば190㎝以上欲しいですし、それに満たないのであれば読みや反射神経の良さでカバーしていく必要があります。GK本来の仕事がパッとしないので、ゴールをアシストして攻撃面で貢献しようという考え方は、自分がやるべきことを勘違いしています。

GKはチームに一つしかポジションが存在しないにも関わらず、Jクラブで安易に外国人選手を起用する傾向が近年非常に高まっており、強い懸念を覚えずにはいられません。

あるJクラブのGKが、母国のA代表に招集されて出場したテストマッチの映像を見ましたが、信じられないようなイージー・ミスの連続で、「本当にこの外国人選手よりマシな日本人GKがクラブに1人もいないのだろうか?」と思ったものです。

どういう意図があるのか知りませんが、ある外国のサッカー協会は、どうやらJリーグに自国人のGKを輸出することを“国策”にしているようで、出場機会を失った若手日本人GKの能力低下が心配されます。

日本サッカー協会は日本人GKの強化に本腰を入れ、安易に外国人選手に頼らないようJリーグ各クラブに呼びかけていくべきです。

 手倉森ジャパンは、マスコミから「世界で勝てない世代」と言われ、自分たちもそう思い込んで自己暗示をかけてしまっていた側面があったのではないかと思うのですが、この世代はU-17W杯では世界大会に出てまずまずの結果を出していたはずですし、リオ五輪では個の能力でもチーム組織の面でも大きく劣るようなことはありませんでした。 
 
ただ、コロンビアやスウェーデンと互角以上の戦いが出来たことに、変な安心感を持たないでほしいですね。

コロンビアやスウェーデンの選手が欧州四大リーグに移籍して活躍し、自分たちがJリーグでプレーしているままだと、27~28歳になったとき、サッカー選手としての能力に大きな差が開いてしまうのが現状です。

それが年齢制限の取れた日本代表の、W杯における成績にも影響しかねません。

ですからリオ五輪代表に選出された人も、そうならなくて悔しい思いをした人も、U-23世代のすべての日本人プレーヤーに言えることですが、やれる自信があって実際にオファーがあるなら、なるべく若いうちに欧州四大リーグか、オランダやスイス・オーストリアなどのような周辺国リーグへ移籍した方が良いと思います。

 Jリーグは日本のプロサッカー選手育成のための「ゆりかご」であり、Jリーグを非常に重視しているからこそ言いますが、日本人選手がJリーグで数年プレーすれば、世界のどこへ行っても通用する国際競争力を身につけることができる、というのが本来あるべき自然な姿であり、リオ五輪で痛感させられたのはベテラン選手でさえJリーガーは国際競争力に問題(特に守備面で)を抱えているということです。

一対一で抜かれるのを極度に恐れて“ディレイ”に逃げたり、相手とのフィジカルコンタクトを避ける守備戦術が横行しているのが、その最大の原因だと思いますが、これは持って生まれた才能も関係はするものの、大部分はある程度経験を積めば克服できるものであり、その経験をJリーグで積むことができないというのが最大の問題です。

ACLでもフィジカルコンタクトで劣勢なJリーグクラブの敗退が続いていますし、村井チェアマンも一生懸命やっていらっしゃるんでしょうけど、問題を解決するためのソリューションを持たず、同じところで何度も何度もつまづいているようにしか見えません。

Jリーグチェアマンは、必ずしも元プロのサッカー選手や監督である必要はないと思いますが、会社でいえばCEO(最高経営責任者)なのですから、自社が取り扱っている商品や所属している業界のことについて十分な知識がないというのが一番困ります。

村井さんがチェアマンになって2年たちましたが、Jリーグの国際競争力が上がったとはまったく思えません。

 リオ五輪はブラジルの優勝で終わりましたが、日本のマスメディアでは「王国復権」の文字が躍っています。

しかしながら、ブラジルは有利な自国開催に加え、A代表のエース・ネイマールをオーバーエージで招集して本気で勝ちに行ったのに対し、アウエーを戦ったドイツは、エジルやマリオ・ゴメスなどA代表の主力をオーバーエージとして招集していませんし、キミッヒやドラクスラーなどU-23の枠で呼べる選手も五輪には連れて行きませんでした。

本来であれば、圧倒的に有利な条件にあるブラジルが90分以内にドイツを仕留めなければいけない試合でしたが、120分戦って引き分け、PK戦で決着というのは、実質的にはドイツの勝ちに等しい“ドロー”であり、これがH&Aでドイツホームのセカンドレグがあり、ちゃんとオーバーエージを使っていたら、どうなっていたかわからないと思います。

「マラカナンの呪縛」から逃れることで自信をいくらか回復させ、また強くなっていくかもしれませんが、ネイマールに頼りながらフルメンバーではないドイツU-23代表をホームで降すことができなかったブラジルの「王国再建」は、まだ道半ばといったところじゃないでしょうか。

テストマッチでブラジルに手も足も出なかった手倉森ジャパンの選手たちでしたが、ドイツから学ぶべき点は多いと思います。



<了>




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■手倉森ジャパンのリオ五輪・総括(その3)

前回のつづき

 手倉森ジャパンのリオ五輪・総括、その3回目は選手たちのピッチ上における戦いぶりについて振り返ります。

チーム組織としては、手倉森監督の指示に良く応えてカウンターサッカーとポゼッションサッカーを上手く使い分けて戦うことができ、カウンター攻撃時に焦って攻め急ぎすぎ、そのせいでチャンスをフイにしたり、初戦で守備ブロックのつくりかたがまずくてナイジェリアにスペースを与えてしまったりと課題も残ったのですが、全体的に見てまずまずの出来だったと思います。

 逆に、日本のU-23代表選手が世界と一番差をつけられているところが、守備時における一対一の対応です。

攻撃ではゴールが奪えているのに失点が多すぎて、なかなか勝ち点3につながっていきません。

オーバーエージで呼ばれたJ1の優勝候補と言われるクラブ所属の選手たちも含めて、守備時における一対一が基礎からまったく出来ていない選手が多すぎます。

日本人は「教え魔」であり「教えられたがり魔」でもあると良く言われるので、これまであえて我慢して日本サッカー界の自助努力に期待していたのですが、今回のリオ五輪で忍耐の限界を超えましたので、守備時における一対一の対応の仕方について集中講座を開きたいと思います。

大会前のブラジルU-23とのテストマッチや初戦のナイジェリア戦が典型なんですが、日本の選手は相手に抜かれることを怖がりすぎて、ボールホルダーの前方2~3mのところで両足をそろえながら立ちどまって対応しようとするケースが多かったですね。

しかし、相手がドリブルで前進するとそのままズルズル後退するだけで、ドリブルで抜きにかかった相手が自分の横に来ただけで、「もうダメだ」みたいに簡単にあきらめて、そのまま相手を見送ってしまうシーンが目立ちました。

守備側が両足をそろえて立つと、横や後ろへ体を反転させて応対することが難しくなり、左右へもそれほど大きく動けないので、攻撃側はボールを動かしたりフェイントを使ったりして相手の両足をそろえさせ、その瞬間を狙ってドリブル突破やパス・シュートを狙ってくることが多いです。

ですから、守備側が初めから両足をそろえて相手の前に立つと、ワールドクラスのドリブラーにとっては「えっ? こっちから何もしなくても両足をそろえてくれるの? だったら遠慮なく抜かせてもらうわ」といった感じで、日本の選手が空けてくれた前方のスペースでブラジルの選手がドリブルを加速させると、日本の選手はなすすべなく抜かれ放題というのが、あのブラジルとのテストマッチでしたね。

 ここで守備時における一対一の対応の仕方を再確認しておきます。欧州四大リーグでも一対一に強い南米出身プレーヤーの対応の仕方は、体格が似ている日本人選手にとって非常に参考になると思います。

<ステップ1>

まず相手ボールホルダーの前方1mぐらいまで速やかに寄せて、腰をやや落として体全体を適度にリラックスさせながら、片足を軽く前へ出します。

ボールを奪いに行くときは、両足をそろえるのではなく、片足を前に出した状態で行います。

ここで自分が完全に止まってしまうと、ボールホルダーに次の動きを読まれやすくなるので、ステップ2の動作までなるべく足を止めずにスムーズにつなげていきます。

完全に止まらざるを得ない状況になっても、片足を軽く前に出して構えるようにします。

<ステップ2>

自分のナナメ後方で味方の選手がコペルトゥーラの隊形をつくってカバーしてくれているなら、細かいステップを踏みながら相手にさらに寄せていき、勇気をもってボールを奪いに行きます。この時に大股で飛び込むと相手に一発でかわされてしまうので要注意です。

ボールを奪いに行く時に絶対に忘れてはならないのが、「相手の利き足の方向を切りながらボールを奪いに行く」ということ。(自分がタッチライン際にいる場合を除く)

ボールを両足でまったく同じように扱つかうことができる選手は対応がより難しくなりますが、たいていの選手は本来の利き足と、後から練習してボールを扱えるようにした足があるはずで、ドリブル突破をするときに、守備側の選手から遠い方の足がボール扱いが上手い利き足になれば攻撃側が有利になります。

(たとえば左利きなら、左足でボールを扱いながら相手の左を抜けば、上手い方の足でボールを一番遠くに置きながらドリブルできる)

ですから守備側としては、相手の利き足の方向を切りながらボールを奪いに行くことで、相手をボール扱いがあまり上手くない利き足と反対の足の方向へ誘導すれば、ボールを奪える確率が高まります。

(相手が左利きなら利き足とは逆の右側[守備側から見た場合は自分の左側]へ抜くよう誘導すれば、ボールを遠くに置きたい相手は利き足とは反対の右足でボールを扱わざるを得なくなる。それでも左足を使ってドリブルしてくるなら、ボールを奪う時に自分の足が届きやすくなる)

よって、試合前に相手チームのスタメン全員とベンチ入りメンバーの利き足は、すべて頭に入れておかなければなりません。チームから事前にデータが配られるでしょうが、そうでなくとも試合前の練習中に相手チームの全選手の利き足をチェックしておくこと。

もちろん相手との駆け引きがありますから、利き足の方向を切っていても、その裏をかいてあえて利き足の方向から相手が抜いて来たり、守備側に近い方の足でわざとボールを扱って、守備側が足を出した瞬間に抜くようなことも考えられますから、練習や実戦で経験を積み、相手との駆け引きに強くなるように。

もし自分がタッチライン際にいる場合は失点の確率を減らすため、相手の利き足がどちらかに関わらず、ピッチ中央方向へドリブル突破されないように警戒しながら対応するのが基本ですが、「あえてタテを切って中へ行かせろ」というチームの約束事があれば、その限りではありません。

<ステップ3> 

基本的には相手の利き足の方を切りながら、自分と正対している相手に対し小刻みなステップで接近してボールを奪いに行きますが、ファーストアタックでボールを奪えればそれでよし。もしそうでなくてもあきらめてはいけません。

相手が自分の左右どちらかをドリブルで抜いてきたら、速やかに反転してその相手に並走するようについて行くこと。

相手までの距離を1mぐらいに詰めて、片足を一歩前に出した体勢をとるのは、このためです。

相手と正対している時よりも、並走している時の方がボールを奪うために仕掛けることができるチャンスは多くなりますし、むしろそこからがデュエル(決闘)の本番です。

(正面にいた相手がドリブルで自分の横に来ただけであきらめてしまうのではお話になりませんし、ボールをドリブルしている相手よりも、何もしないで並走しているだけの自分の方が足が遅いという選手は、さすがの当研究所も面倒見きれません。自分で何とかしてください)

相手と併走するポジションについたら、自分の太ももの外側を相手の下半身にドンと当てて相手のバランスを崩しながら、自分の肩を相手の前にいれるとボールが奪いやすくなります。

この一連の動作がスムーズにできるように何度も練習することです。

ナイジェリア戦で塩谷選手がPKを取られたように、「太ももドン」で相手のバランスを崩すだけでその後ボールを奪いに行かないと、レフェリーからファール(ペナの中だとPK)を取られかねないので、「太ももドン」と「ボールを奪う」という二つの動作を流れるように自然に行うこと。

ここでボールを取り切れなくても、相手チームのボール保持者がバランスを崩してドリブルをミスし、ボールを体から大きく放すように仕向けることができれば、自分のナナメ後方でコペルトゥーラの隊形を取ってカバーしていた味方が、そのボールをカットすることができますので、最後まであきらめず体を寄せて相手に食らいついて行くことが必要です。

併走する相手に自分の太ももをぶつけ肩を入れながら足を出してもボールが奪えない場合は、最悪ファールで止めてもやむを得ないでしょう。相手のドリブルをスピードに乗らせて手がつけられなくなるよりはマシです。

自分がピッチのどこにいるか(PKを取られるペナの中かFKが怖いゴール前か、それともファールしても問題ないところか)も考慮にいれながら、ファールで止めるかどうかを決断します。

 センターバックが、バイタルエリアで前を向いたボールホルダーに応対するときは、自分の後方をカバーしてくれるフィールドプレーヤーがいないことが多いのですが、基本はあまり変わりません。

相手までの距離を1mぐらいまで詰めながら片足を軽く前に出して構え、まず相手の利き足でのシュートやドリブル突破・パスを警戒し、顔や体を絶対にそむけずに相手の動きを最後まで良く見ながら、いつでも足をだしてシュートやドリブル突破を阻止できるように準備しておくこと。もちろん駆け引きがありますから、相手が必ず利き足でシュートを打ったり、ドリブル突破をしてくると決めつけてはいけません。

そして相手の利き足を警戒してそちらのサイドを切りながら、いけると思ったら一瞬のチャンスを逃さずに、小刻みなステップで一気に接近して相手のボールを奪うか、安全な方向へクリアします。

これも練習や実戦で駆け引きや読みのスキルを絶えず向上させていくことが欠かせません。植田・岩波の両センターバックは特に、この基本を良く頭に入れておいてください。

以上が、自分と正対している相手ボールホルダーへの対応の仕方ですが、ボール保持者と併走する場合よりもボールを奪える確率がもっと高いのは、相手が自分に背を向けている時です。

ボール保持者の後方から気づかれないように近づいて行き、立ち足を削ったりボールを扱っている足を蹴って相手を倒さないように注意しながら、自分の足を出してボールをかっさらうと奪える確率が高くなるのですが、日本人選手はこういうスキルも低いですね。

 日本人選手がいつまでたっても一対一に強くなれない原因は、Jリーグで多くのクラブがやっている消極的な守備戦術にあると思います。

Jリーグでは「相手に抜かれる」という失敗を極度に恐れ、自分たちから積極的にボールを奪いに行くのではなく、守備側が相手のボールホルダーをディレイさせながら自陣へ向かってリトリートし、相手がミスしてボールを失うのを待つような消極的な守備戦術を取っているクラブが多いのではないでしょうか。

しかし、選手たちはディレイさせた後どうするべきか?の解決策を持っていないので、相手がドリブルで前進するのを見ながらズルズルとひたすら後退していき、守備側の選手がペナルティエリア内に入ってしまって「もう下がれないよ」というところで相手にシュートをズドンと打たれて失点という、目を覆いたくなるような場面をチラホラ見かけます。

当研究所は、練習でも実戦でも相手に抜かれて反省した数だけ一対一に強くなれると考えていますので、これまで述べてきたような守備時における一対一の対応の仕方を基礎からしっかりと身につけ、U-23の選手はもちろんJリーグ組・海外組の別なくすべての日本人選手が、一対一の強さでは世界トップレベルだと言われるようになるまで努力して欲しいです。

同じ失敗をするなら、若ければ若いほど良いです。

自分のナナメ後方をカバーしてくれる仲間を信じていれば、抜かれることを恐れずに思い切ってボールを奪いにいけるでしょうし、その回数が増えれば増えるほど一対一に強くなり、ボール奪取能力も高まります。日本サッカー界はこういった好循環をつくり出すべきです。

逆に、抜かれることを恐れてズルズル下がるだけでは、絶対に一対一に強くなれません。

 最後は余談ですが、ACミランの本田選手がなぜ右ウイングのポジションで結果を出すことができないのか、ここまで読んで頂ければお分かりになったはずです。

彼は、右足が使えないのかあえて封印しているのか知りませんが、ドリブルする時ほとんど左足しか使いません。

ですから守備側としては彼の左足側さえ切っておけば良いわけで、右足のドリブルでタテを突破できない彼は行き詰ってしまい、左足でドリブルしながらピッチ中央方向へ流れて、ゴール前にアバウトなクロスをあげては跳ね返されるというプレーを繰り返すことが多くなっています。

左足と同じくらいボールを扱えるように右足を練習すれば、事態を打開できるかもしれませんが、それなりに時間がかかるのではないでしょうか?

だから右サイドで行き詰ってしまうよりは、ピッチ中央を主戦場とするセンターFWか二列目、あるいは攻撃的なボランチへのコンバートを推奨しているのです。

右ウイングをやるぐらいならまだ左サイドの方がマシではないでしょうか。

当研究所がこんなことを指摘するのは、レアルマドリードに移籍して活躍したいという彼の夢の実現を邪魔するためにイジワルしているのではなくて、むしろ応援しているからこそです。

「新しいポジションへのコンバートはリスクがある」と彼が語ったという報道も目にしましたが、彼が「教育者」を自認するのであれば、自分が変わることへの恐れを抱いてはいけないと思います。

強い者が生き残るのではなく、自分を取り巻く環境に適応するために変化できる者が生き残るのです。


次回へつづく



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■手倉森ジャパンのリオ五輪・総括(その2)

前回のつづき

 手倉森ジャパンのリオ五輪・総括、その2回目は手倉森監督の采配について振り返ります。

目標としていたグループリーグ突破に失敗したわけですから、まずその問題点から考えていかなければなりません。

前回、手倉森ジャパンの選手たちは自分たちの失敗を恐れ、対戦相手を恐れ、弱気で消極的なプレーをしてしまったことがチームの自滅を招いたのではないかというお話をしましたが、監督さんの采配にも少なからずそういう面があったのではないでしょうか。

もちろん、リオ五輪の欧州予選・南米予選・アフリカ予選のスカウティング・ビデオを見て、手倉森さんは「スウェーデン・コロンビア・ナイジェリアと比べて日本が一番の格下だ」と結論づけ、「カウンターサッカーで前半を耐えて、後半相手の足が止まってきたところで勝負に出て勝つ」という、リオ五輪アジア予選で成功した戦術・ゲームプランを選択したのでしょうが、試合前から自分たちの戦い方を決めつけてしまうのではなく、もっと実際のゲームの流れを重視した采配をするべきだったのではないかと考えています。

例えば初戦のナイジェリアとのゲーム。

日本は相手を恐れてズルズルと下がりすぎ、イージーミスもあって序盤で2点を失いましたが粘り強くすぐに追いつき、ナイジェリアの監督さんがベンチで非常に渋い顔をしていましたが、リードするたびにすぐに失点してしまうナイジェリアの方が「嫌なゲームの流れだ」と感じていたはずです。

ところが「前半は同点で良い、相手の足が止まってくる後半が勝負」という試合前のゲームプランにこだわりすぎたのか、2-2に追いついてゲームの流れがこちらに傾きかかっていたにもかかわらず手倉森ジャパンの勢いが徐々に弱まっていき、それまでのすばらしい攻撃がどういうわけか機能しなくなります。

日本の中途半端な攻撃に助けられてナイジェリアはチームの態勢を立て直すことができ、前半終了間際に1点、後半に2点を加えて再びリードを奪い、手倉森ジャパンのゲームプランは一気に狂います。

監督さんが、2-2に追いつけたところを「勝負どころ」と見て、
チームに攻撃の手(足)をゆるめるなと指示し、そのまま逆転ゴールを奪って3-2とゲームをひっくり返すことができていたら、焦ったナイジェリアが攻守に空回りを始め、試合そのものの結果も変わっていたかもしれません。

 つづくコロンビア戦も、後半にイージーミスもあって相手に2点のリードを許しますが、すぐさま2点を取り返し、ゲームの流れは一気に日本にやってきます。

「2点リードは一番危険な点差である」というのはサッカー界においては常識であり、過去何度も2点差をひっくり返しての大逆転劇が繰り広げられてきました。

他ならぬ手倉森ジャパンが、リオ五輪アジア予選の決勝戦において、0-2から3ゴールを叩きこんで韓国に大逆転勝利を収め、優勝しています。

コロンビア戦でも2-2に追いついた直後、浅野選手がもう少しで逆転ゴールという場面をつくり出し、明らかにゲームの流れがこちらに来ていましたが、後半35分に藤春選手に代えて同じサイドバックの亀川選手を投入しました。

この交代にどういう意図があったのかは監督さんに聞いてみないと本当のところはわかりませんが、コロンビアに負けてしまえば決勝T行きの可能性が完全に消えてしまうので、攻撃力はあるけど守備に不安を抱える藤春選手を念のために交代させたということなんでしょうか。

もしそうであれば、消極的な采配だったように思います。

守備固めとして同じサイドバック同士の交代をすれば、ピッチの中にいる選手には、「守備にやや比重を置いて、最悪でも敗戦だけは避けろ」というメッセージだと受け止められかねませんし、この交代が日本の攻勢ムードに微妙に水を差す結果にならなかったでしょうか。

もし交代カードを切るなら例えばFWの鈴木選手を入れて、むしろ「ここが勝負どころだ、勝ちに行け」というメッセージを選手たちに送るべきだったのではないかと思います。

サッカーを見る目がない一部のマスコミが「やっぱり初戦が一番重要だった」と盛んに書き立てていますが、決勝Tへ進出したコロンビアも、このグループで一番力が劣るスウェーデンと負けに等しいドローを演じてしまい、初戦で成功していません。

日本対コロンビア戦が始まる前に、ナイジェリアがスウェーデンを破って決勝T行きを決めたことが既に分かっていて、トップを走るナイジェリアを、2位争いをする日本とコロンビアが追いかける展開となっていたわけですから、日本にとってもコロンビアにとっても一番のポイントとなるゲームは、2位争いの直接対決である第二戦だったのです。

ですから、2-2に追いついて日本が押せ押せの状態になっているときに動くのであれば、逆転ゴールを奪うための「攻めの選手交代」を行って、コロンビアとの直接対決に勝ちに行くべきだったのではないでしょうか。

しかしコロンビアと引き分けてしまったことで、最終戦でスウェーデンに勝ったものの、コロンビアがナイジェリアに勝ったため、日本の決勝T進出はならず。

最終戦でコロンビアがナイジェリアに負ける可能性もあったとはいえ、後から振り返れば第二戦がグループリーグ一番の勝負どころであり、グループリーグ突破の可能性が完全に消えるリスクを冒してでもコロンビアから決勝ゴールを奪いに行かなければ、日本の決勝T進出はありませんでした。

当研究所では、「サッカーとは、弱気で消極的なチーム・選手が罰を受けるスポーツである」と常々言っていますが、一つ一つの試合の流れを的確に読み、自分たちに流れが来ている
「勝負どころ」では臨機応変に、リスクを冒してでも勝ちに行くべきところでそういう采配ができるようになれば、手倉森さんはもっと良い指導者になれると思います。

 つづいてオーバーエージの問題について。

読者の皆さんはリオ五輪の日本の試合を見て、オーバーエージは必要だと思いましたか?

当研究所はこれまで何度も「オーバーエージは必要ない」と訴えてきましたが、大会が終わってもこの考えかたに変わりはありません。

(当ブログ参考記事・おめでとう手倉森ジャパン(その2)

(当ブログ参考記事・オーバーエージは必要ない

手倉森さんはオーバーエージを使うという決断をしましたが、オーバーエージの選手は、経験を積ませ育成目的で招集されたのではなくて、そのポジションですぐに結果を出してもらうための即戦力として呼ばれたわけです。

厳しいことを言うようですが、J1の優勝候補と言われるクラブに所属する、そろそろ30歳になりそうなベテラン選手たちが、国際経験の不足からイージーミスをして失点にからんだシーンを何度も目にして、同じ経験を積ませるのであれば20代前半の若手に失敗させて、そこから教訓を学ばせた方がグループリーグ敗退に終わるにしても、よっぽど有意義だったんじゃないでしょうか。

コンディションさえ問題なければ、岩波選手や鈴木選手をもっと信頼して使ってあげても良かったのではないかと思います。

大会前に一部のマスコミが、リオ五輪にコロンビアのハメス・ロドリゲスやファルカオ、スウェーデンのイブラヒモビッチがやって来るかのような「飛ばし記事」を書いて盛んに煽っていましたが、「大山鳴動してネズミ一匹」で、結局ハメスもファルカオもイブラもリオにはやって来ず。

ヨーロッパのサッカー事情に通じている人ならば、この時期に欧州四大リーグよりもレベルが下がる五輪に彼らを招集するのは99%無理だというのがわかると思いますが、飛ばし記事に煽られたのか霜田さんが本田・香川・清武選手らを呼びに大マジメで渡欧してしまうあたりに、日本サッカー協会と世界のサッカーの中心地である欧州の常識との間に大きなズレを感じました。

清武選手をリオに行かせるよりも、プレシーズンマッチでレアルマドリードのプレスをかいくぐって正確にパスを出したり、ブラジル代表のマルセロとガチのマッチアップを経験させる方がよっぽど重要でしたし、ベルンの久保選手が五輪に行けなかったのは大変残念でしたが、そのおかげでUEFAチャンピオンズリーグの予選で、ウクライナの強豪シャフトル・ドネツクから2ゴールをあげる経験ができたわけで、やはりこちらの方が久保選手のためになったのではないでしょうか。

 手倉森監督の采配には以上のような問題点があったように思いますが、評価できる点も少なくありません。

前回ロンドン五輪に出場した関塚ジャパンは4位になったものの、戦術は「守ってカウンター」の一本やりで、相手にリードされるとそこで終わりというチームでした。

しかしリオ五輪に出場した手倉森ジャパンは、リードした相手が自陣に引いて守備ブロックを形成しても、ポゼッションサッカーでそれを崩して何度も追いついてみせ、複数の戦術を上手く使い分けていた点は大きな進歩です。

ナイジェリアから奪った2点目の南野選手のゴール、コロンビアから奪った1点目の浅野選手のゴールをそれぞれ引き出したバイタルエリアでのパスサッカーによる崩しは、かなりレベルが高かったと思います。 高い連動性やプレーの正確度などはA代表も見習ってほしいぐらい。

リオ五輪アジア予選時には手倉森ジャパンも関塚ジャパンと同様、カウンターサッカー一本のチームでしたが、相手が自陣に引いてカウンター攻撃のためのスペースを消しに来たときに対抗できるよう、ポゼッションサッカーという「プランB」の戦術を、五輪本番までの短期間にチームに備えさせた手倉森さんの手腕は評価したいです。

この世代はU-17W杯の2011年メキシコ大会で、吉武監督のティキタカ・サッカーを経験しているので、もともとポゼッションサッカーをやれるだけのベースがあって、それも大きかったのかなと思います。

選手個々への指導についても、太ももの外側で当たって相手のバランスを崩し、ボールを奪うようなフィジカルコンタクト・スキルをチームに導入したことで、リオ五輪アジア予選ではイランやイラクの選手にフィジカルで簡単に当たり負けしていた選手たちが、コロンビアやスウェーデンの選手たちと互角にバチバチ戦えるようになっていました。

正直アジア予選が終わった時点のプレー内容では、個の能力が高い中南米の強豪に苦戦するのは間違いないと思っていたので、コロンビア戦で手倉森ジャパンが相手を押し込んで優勢にゲームを進めているのを見たときは、選手たちの確かな成長を感じました。

つづくスウェーデン戦は、ほとんど危なげなく勝利し、「日本が一番の格下」という大会前のスカウティング情報は何だったのかなとも思いました。

 それだけに、選手も監督さんも平常心を失っていたのか、イージーミスから何度も失点したり、勝負どころで勝ちに行くチャンスを逸したりしてしまった、ナイジェリアとの一戦目とコロンビアとの二戦目はもったいなかったのではないでしょうか。

かつての大横綱・双葉山の「いまだ木鶏たりえず」という言葉は有名ですが、選手たちが「初戦が一番大切だから絶対に失敗したくない。そのためには最高のプレーをしなければ」といって過緊張に陥ったり、過度にイレ込んだりしたときに、「木鶏の境地」でそれを修正できるような指導者がこの日本に現われて欲しいです。

もしかしたらその人物こそが、世界で通用する初めての日本人指導者になるかもしれません。

次回につづく





サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。


  

■手倉森ジャパンのリオ五輪・総括

 決勝トーナメント進出をかけた手倉森ジャパンのグループリーグ最終戦、スウェーデンとの試合は1-0で勝利を収めたものの、同時刻に行われていた試合でコロンビアが勝利したので、手倉森ジャパンのグループリーグ敗退が決定してしまいました。

勝つしかない手倉森ジャパンは点を取りに積極的に行きましたが、前の2試合に引き続き、中盤までの攻撃の組み立てはなかなか良かったと思います。

しかし相手ゴールまで30mに迫ってからの崩しが雑で、得点を焦っているのかアバウトな浮き球のパスを相手DFラインのウラヘ放り込む攻撃が多かったのですが、なかなかゴールにはつながりませんでした。

中島選手もどういうわけか弱気になっているように見え、シュートを打てる場面で「大事に」パスを選択した結果、相手にひっかけて得点チャンスを逃したり。

それでも後半、左サイドでの良い崩しから交代出場の矢島選手が決めて、ノドから手が出るほど欲しかった先制点をゲット。

守備もまずまず良かったと思いますが前半の終了間際、スウェーデンがセットプレーからゴール前にロングボールを放り込み、GK中村選手がわざとワンバウンドさせてからキャッチしようとしたところ、ボールがイレギュラーしたのかキャッチし損ねて、危うくゴール内に後逸しそうになったプレーがありました。

ゴール前のピッチが荒れていましたし、あそこは前へ出て直接キャッチした方が無難だったのではないでしょうか。

        ☆        ☆        ☆

 それでは手倉森ジャパンのリオ五輪を総括しますが、グループリーグ敗退に終わった一番の原因はブラジルW杯で敗退したザックジャパンと同じで、選手たちのメンタルの持ち方が間違っていたことだと思います。

このグループはスウェーデン以外の、日本・ナイジェリア・コロンビアの3チームに実力の差はそれほどなく、どのチームにも決勝トーナメント進出の可能性がありましたが、手倉森ジャパンはメンタルの持ち方が間違っていたために自分たち本来の力を発揮できなかったり、普段ならありえないようなイージーミスから何度も失点したりして、終わってみればそれがナイジェリア・コロンビアとの大きな差になってしまいました。

初戦のナイジェリア戦では「メダルが取れるかどうかは初戦で決まる。絶対に失敗できない試合だから大事に行かなければ」という決死の覚悟をもって精神的に一杯一杯の状態でゲームに入り、失敗できないからと相手の出方を「慎重に」見ているうちに、そんなことを考えずに最初から積極果敢に攻めてきたナイジェリアのポストプレーへの対応が後手にまわり、あっという間に先制パンチを食らいます。

すぐに同点に追いついたものの、選手たちの精神的な不安定さは変わらず。過緊張で頭が真っ白になっているのか、相手のクロスボールにかぶってしまったり、ゴール前でのクリアが小さくなったりと、普段の練習やゲームならあり得ないようなミスから失点を重ね、初戦を落としました。

次のコロンビア戦でも「絶対に失敗できないから」と考え過ぎて、プロサッカー選手の技術があればクリアするくらい何でもないボールの処理を誤ってオウンゴール、コロンビア戦も日本が勝つ可能性が十分ある試合だったと思いますが、そこで勝ちきれなかったことで手倉森ジャパンの決勝Tへの道は事実上断たれることに。

2試合目でグループリーグ突破を決めたナイジェリアは主力を温存し、最終戦でコロンビアがナイジェリアに勝った時点で日本の敗退が決定しました。

私は、グループリーグ3試合はどれも重要で、どの試合が一番大切という考え方はするべきでないという立場ですが、後から振り返ってみれば、ナイジェリアがトップを走り、2位争いを日本とコロンビアがしたわけですから、「初戦が一番重要」ではなくて、実は第二戦目が日本のグループリーグ突破を左右する一番のポイントになった試合だったんじゃないでしょうか。

手倉森ジャパンの試合内容を見れば、コロンビア戦も最後のスウェーデン戦もなかなか良かったですし、どうして攻撃でも守備でもこういう内容の試合を初戦のナイジェリア戦から出来なかったのか?という強い疑問を感じました。

それができていれば、初戦も最悪引き分けぐらいにはもっていくことができて、グループリーグ最終戦まで日本の決勝T行きの可能性を残せたのではないかと思います。

でもそれができなかったのは、「初戦が一番重要だから」と考えてゲームに入り、失敗が怖いので「慎重に」ということで自分たちの力を意図的にセーブしたり、過緊張のせいで頭が真っ白になって自分たちの実力を発揮できなかったからですよね。

手倉森監督やリオ五輪代表の選手たち、それに元日本代表の現役プレーヤーに至るまで、「初戦が一番大事」「メダルが取れるかどうかは初戦で決まる」というコメントをさんざん聞いたのですが、初戦をまるで金メダルがかかった決勝戦に臨むかのようにガチガチに緊張しながらゲームに入るという作業を監督・選手たちがするのは、一体何のためなんでしょうか?

もちろん決勝トーナメントに進出して良い成績をあげるためなんですよね?

じゃあそういう作業をして実際に自分たちの望んだ成績につながっているかと言えば、絶対そうではありませんよね?

むしろガチガチに緊張しながら初戦に入ることで自分たちの実力を十分に発揮できず、普段ならありえないようなミスから失点して初戦を落とし、グループリーグで敗退してしまいました。

手倉森さん自身も「初戦で選手たちに大きなものを背負わせすぎてしまった」と言っておられましたが、何の役にも立たない、むしろ試合に勝ちたい自分たちの足を引っ張る、そんな無駄な作業はもう金輪際やめにするべきです。

ところで同じ日に、内村航平選手が体操個人総合で金メダルを獲得しましたが、最後の種目・鉄棒を残した段階までウクライナのベルニャエフ選手にトップを走られ、最後の鉄棒で完璧な演技をしなければ金メダルは取れないというものすごいプレッシャーがかかる状況で、見事それをなしとげての大逆転・金メダル。

頭一つ抜けたダイナミックな演技から着地をピタリと決めたのを観たときは、録画だとわかっていたのに涙が出そうになりましたが、表彰式後のインタビューで彼は「練習では出来ていたので、普段どおりの演技をしようと思った」と答えていて、「ああ、これが真の勝者のメンタルの持ち方なんだな」と学ばされました。

そんな内村選手もロンドン五輪では苦い経験をしていて、「(五輪の)魔物は自分自身で作り出しているもの。ロンドンの時は体操人生で一番いい演技とか、いい結果を求めていた。そこが普段通りじゃなかった」と言っています。(参考記事

内村選手と最後まで競り合ったベルニャエフ選手は、「内村は水泳のフェルプス・陸上のボルトと同じ体操の王様なんだ」とコメントしていましたが、これまでオリンピック金メダルを20個以上獲得しているフェルプス選手が所属する水泳のアメリカ代表にはスポーツ心理学者が帯同していて、選手たちにこう問いかけるそうです。

「君がレースですべきことは何だ?」

選手が「メダルをとること、相手を負かすこと、賞金を勝ち取ることです」と答えると、心理学者はこう否定します。

「いや違う。君がすべきことは、A地点からB地点までできるだけ速く泳ぐことだ。速く泳ぐことはライバルやメダルとは関係ない。大事なのは自分がすべきことに集中することだ。メダルやカネ、競争相手、マスコミ、そんなものは君の足を引っ張る騒音でしかない」(参考記事

かたや手倉森ジャパンはメダルを取ることを強く意識しすぎ、「初戦が一番重要」と思い込んでその試合で最高の結果を出そうとして過緊張で頭が真っ白になり、テストマッチの相手ブラジルや初戦の相手ナイジェリアを恐れすぎて自滅しました。

これは今に始まったことではなくて、リオ五輪アジア予選の初戦・北朝鮮戦でもそうだったんですね。そのことについては「選手のメンタル面に改善すべきところがある」と指摘しておいたはずです。 (当ブログ・関連記事

それが何の対策も取られることなくリオ五輪本大会を迎えてしまったことは大変残念です。

 ポゼッションサッカーで勝つことを目標にしてブラジルW杯で敗退したザックジャパンに対するアンチ・テーゼという意味はなかったとは思いますが、カウンターサッカーを「自分たちのサッカー」に据えてリオ五輪に臨んだ手倉森ジャパンも、グループリーグ敗退という結果に終わりました。

ザックジャパンがブラジルで敗退した時、「ポゼッションサッカーのせいで負けた。これからはカウンターサッカーで行くべきだ」という声が一部のマスコミからあがり、当研究所は「ポゼッションサッカー悪玉論は間違い」であり、「主に精神面の問題により日本は肝心なW杯の本番で、持てるポテンシャルを十分発揮することができなかった」ことが本当の敗因であると主張しました。(当ブログ・関連記事

同じように「初戦が一番大切」と言いながら、ヤヤ・トゥーレを恐れ、ドログバを恐れ、1点のリードを守るためにコートジボアールのパス回しを「慎重に」見ているだけ、相手のドリブルにズルズル下がるだけで、同点・逆転ゴールを次々に浴びて初戦を落としたザックジャパンの姿と、ナイジェリア戦の手倉森ジャパンの姿がダブりました。

過緊張で頭が真っ白になって自分たちの実力を十分発揮できないのであれば、勝てないのは当たり前。

ポゼッションだろうがカウンターサッカーだろうが、あんな個人のミスは戦術うんぬん以前の話です。

 敗退が決まったあと、手倉森ジャパンの一部の選手たちが「やっぱり初戦が一番大切だった」とコメントしていましたが、この大会から間違った教訓を得て欲しくありません。

もし手倉森ジャパンの選手たちが将来ワールドカップに出場した時、「初戦が一番大切」と言いながらまたしても過緊張に陥り、初戦を落とした結果グループリーグ敗退を繰り返してしまったら、リオ五輪の失敗から何も学ばなかったことになります。

そうではなくて、体操の内村選手のように「普段の練習通りに本番でもプレーすること」、フェルプス選手のように自分がやるべきことを「A地点からB地点までできるだけ速く泳ぐ」というふうにシンプルにとらえ直し、本番ではそれに集中すること。

それをサッカーに置き換えれば、「相手より1点でも多くゴールし、できるかぎり失点を少なくすること」になります。

もちろんその大会における自分たちの目標を設定するのは当然のことですが、いったん試合に入ったらそれはスッパリと忘れ、初戦の結果やその大会の最終順位、ライバルとなる競争相手への恐れ、勝利によって得られる年俸アップ、自分のプレーの成功・失敗に一喜一憂するマスコミ、そんなものは自分たちの足をひっぱる雑音でしかないことを心に刻むべきです。

選手がどんなにプレッシャーがかかる試合でも実力を十分発揮できるようにするため、A代表からジュニアユースに至るまで
日本の各年代別代表に実績のあるスポーツ心理学の専門家を帯同させたり、体操の内村選手や水泳の北島康介選手のように金メダルを何個も取っているレジェンドを臨時講師として代表合宿に呼んで、本番に強くなるメンタルの持ち方をコーチしてもらったら良いのではないでしょうか。


 ブラジルW杯が終わった直後から、当研究所は日本のサッカー選手のメンタル強化を何度も訴えてきましたが、過緊張に陥った手倉森ジャパンがリオ五輪で自滅するのを見て、日本サッカー協会の技術委員会はこの2年間メンタル面の問題を解決するために何の対策も取っていなかったことがわかり、大変残念でなりません。

つづく



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■手倉森ジャパン、二戦目はドロー

 手倉森ジャパンは、リオ五輪グループリーグの第二戦でコロンビアと対戦し、2-2の引き分けとなりました。

この試合の手倉森ジャパンは、失敗したくないという思いが強すぎて、相手が出てくるところを消極的に受けて立ってしまったナイジェリア戦よりも、守備でも攻撃でも「攻めの姿勢」が出ていました。

そうした意味で、試合内容は前半から悪くなかったのですが、ミスもあって後半立て続けに失点。しかしすぐさま2点を取り返し、その勢いのまま逆転ゴールを奪いたいところでしたがスコアは動かず、そのままタイムアップとなりました。

いったんは2点差のどん底に突き落とされたところから、あきらめず這い上がって来て勝ち点1を奪い取ったことは評価できます。

もちろん「ああすれば良かった、こうすれば良かった」というのはありますがサッと頭を切り替え、次のスウェーデン戦において平常心でのプレーを心掛けながらベストを尽くし、天命を待つしかありません。

それでは、次戦に向けての修正点を。

 最初の失点シーンで、ポストプレーをしたグチエレスに対し、井手口選手がパスカットを狙いに行って、体を入れ替えられてしまったプレーについて。

相手のポストプレーヤーが好き勝手やるのを指をくわえて見ているだけより10倍良かったと思います。その積極性は買いますが、グチエレスの右足に向ってパスが出たのに井手口選手が彼の左側を遠回りしてパスカットに行ったことで、体を入れ替えられて抜かれてしまう原因に。

相手のポストプレーヤーの足元にボールが来たときのパスカットの仕方を基本から再確認しておきますが、ポストプレーヤーのどちらの足にパスが出たのか、パスのスピードはどうかを見極めてから前に出てカットするかどうかを決断します。

パスの出し手とポストプレーヤーとの距離も計算に入れながら、ポストプレーヤーがボールを受ける前に、自分がその選手の前に出てカットすることができる範囲内のパススピードであることが、前に出る決断をするための第一の条件です。

いけると判断した場合、例えば自分に背を向けているポストプレーヤーの右足にパスが来た場合は、最短距離であるその選手の右側を通って前へ出て、パスをカットします。(遠回りして左側から前方へ回り込んでもカットが間に合うというなら、それでもかまいませんが)

相手がパスを出す前に、自分から先に左右どちらかを回ってポストプレーヤーの前へ出ようとしてしまうと、それに気づいたパスの出し手が自分が動いた方向とは逆のポストプレーヤーの足へパスを出すことで、体を入れ替えられ抜かれてしまうリスクが高まります。

こうしたことを一瞬で判断しなければいけませんが、普段の練習や実際の試合で何度も実践することで判断力を磨いていくしかありません。

もし相手選手の前に出てパスカットすることができないと判断した場合は、自分に背を向けているポストプレーヤーの背後数十cmまで距離を詰めて、相手の立ち足を削るのではなく、ボールをトラップしようとする瞬間を狙って後ろからボールを突き、ミスプレーを誘うべきです。

ここで注意すべき点は、常にボールと自分が守るべきゴールとを結んだライン上に立ちながらボールを足で突きに行くということ。このラインから外れてポストプレーヤーの横や前に回りこんでボールを突きに行くと、体を入れ替えられてあとは自軍ゴールまでドリブル一直線なんてことになりかねません。

次にグチエレスのシュートを止めに行った植田選手は対応が難しかったと思いますが、自分で「痛いプレーどんどん来い」と言っていたはずですから、最悪ヘッドで相手のシュートをクリアするつもりで顔を絶対にそむけず、最後まで相手のシュートの軌道から目を離さずに、足などで確実にシュートをはね返して欲しいです。

また自分がマークすべき相手選手との間合いが少し遠いと思います。相手が自分に背を向けているなら数十cmぐらい、自分の方へ向いているなら1mほどまで間合いをしっかり詰めないと、相手のポストプレーやドリブル・パス・シュートへの対応が間に合いません。

 2失点目となった藤春選手のオウンゴールは、「絶対に失敗できない。慎重に行かなければ」という思いが強すぎて、どうすべきかプレーを迷っているうちにボールが自分の足に当たってしまい、それがオウンゴールにつながったように見えました。

「絶対に失敗できないから慎重に行かなければ」は典型的な「負けフラグ」であると、ブラジルとのテストマッチの記事でも言いましたが、平常心で普段どおりにプレーできていれば、あのプレーはなかったと思います。シンプルにゴールラインの外へ蹴ってCKへ逃れるべきでした。

たった1日の練習で急にメッシやCR7クラスまでサッカーが上手くなるわけがないのですから、前日までの練習でベストを尽くしたら、本番の試合では自分の能力以上のことをやって奇跡を起こしてやろうと気負ったり、イレ込んだりして精神的に一杯一杯になるのではなく、自分の普段の実力を100%発揮することだけに集中したら良いのではないでしょうか。

そうすれば、少しは精神的に余裕が持てるはず。

 攻撃では、大島・南野選手らがからんで浅野選手のゴールにつながったバイタルエリアの崩しは、ナイジェリア戦に引き続いて良かったですね。

オフサイドぎりぎりにも見えましたが、A代表の選手たちにも見習ってほしいレベルの高い連携プレーでした。 

チームの苦境を救う中島選手の2点目は圧巻のゴラッソ。

どんな相手でもあのシュートを決められるなら、欧州四大リーグでメシを食っていかれると思いますので、これからもあのドリブルシュートを磨き続けて行って欲しいです。

 攻撃での課題は前半34分、藤春選手がフリーでヘディングシュートさせてもらえたのにゴールを大きく外した場面。

これは藤春選手だけじゃなくて、レスターの岡崎・鹿島の金崎といった内外の日本人トッププレーヤーから、Jクラブ・高校などの育成年代の選手・その指導者に至るまで、日本サッカーに携わるすべての人に言いたいのですが、日本サッカー界であまりにも硬直的なマニュアル教育が行われている結果が、あの大きく外れたヘディングシュートなんじゃないでしょうか。

藤春選手はゴールの枠やGKのポジショニングを一切見ることなく、ニアポスト側から来た味方のクロスを、ただ機械的に首を振ってファーポスト側へ流すことしか考えずにプレーしていたように見えましたし、実際打った瞬間に100%外れるとわかるシュートでした。

W杯の予選のような重要な公式戦で、こういうヘディングシュートをやってゴールを大きく外すところを、岡崎・金崎などA代表の選手でさえ何度も目にしたことがあります。

おそらく日本サッカー界には「ニアポスト側にはGKがいるのだから、ヘディングシュートをするときはニアポスト側を避け、クロスボールを頭を振りながら当ててファーポスト側へ流して決めろ」というマニュアルがあり、選手たちは自分の頭で適切な状況判断をすることなく、マニュアルを鵜呑みにしてひたすら機械的にシュートをしては、大きく外すということを繰り返しているのではないでしょうか?

そういうヘディングシュートが得意で実際に何十点も決めているというのであれば言うことはありませんが、そうでもないかぎり当研究所は推奨しません。現在のところは。

なぜなら、ニアポスト側から来たクロスボールを首を振って頭に当ててファーポスト側のゴールの枠内に正確に流し込んでゴールを決めるというプレーは、難易度がかなり高いからです。

首を振ればボールを頭でミートする際に視線がブレるので、それだけ自分の狙ったところへ正確にシュートすることが困難になります。

また流す分だけシュートのスピードも遅くなり、仮に正確に当てられたとしても、GKにキャッチされたりDFにクリアされたりする確率が高まります。

実戦においては、クロスボールが空中を移動する間にGKも動くので、必ずしもニアポスト側にいるとは限りませんし、ニアポスト側から来たクロスを、同じニアポスト側もしくはゴール中央の枠内にヘディングシュートする方がはるかに技術的に容易であり、ボールをミートする瞬間までしっかり目視できるので、自分の狙ったところへ正確にシュートできる確率も高くなります。

ニアポスト側へ打てば、首を振ってファーポスト側へ流すよりボールスピードが速くて強いヘディングシュートが打てますので、GKの体に当てないように注意しながらゴールの枠内へ正確に打てば、高い確率で決まると思います。

ユーロ2016準決勝のポルトガルVSウェールズ戦でクリスティアーノ・ロナウドが決めた先制ゴールを繰り返し見てください。ロナウドは頭をブリブリ振り回してヘディングしてますか?

ニアポスト側から来たクロスを正確に強くミートすることを心掛けているので、ボールがゴールのど真ん中へ行ってもGKが防げず、シュートが決まるのです。

強いシュートが枠内へ行けば、仮にGKの体に当てられても、前へこぼれたボールを味方がプッシュする得点チャンスが生まれます。逆にいくらマニュアル通りであっても、弱々しいシュートが始めから枠の外へ外れてしまうのでは、ゴールできる確率はゼロです。

サッカーは、得点チャンスが一試合に何十回もやって来るスポーツではありません。であるならば、ゴールが決まる確率がより高いシュート方法を選択すべきです。

(これは余談ですが、日本サッカー界では目の前にゴールとGKしかいないのに、自分でシュートを打たず味方にパスするのが「確率の高いプレー」だとされていますが、必ずしもそうとは言えません。自分でシュートを打てば決まるか外すかの二つに一つですが、味方にパスをすれば自分がパスミスをする可能性・味方がそのパスをトラップミスする可能性・味方がシュートをミスする可能性とゴールを決められないリスク要因がどんどん増えていきます。よって目の前にゴールとGKしかいなければ、自信を持って自分でシュートすべきです)

 次のスウェーデン戦、手倉森ジャパンは平常心でのプレーを心掛けながら自分たちの普段の実力を発揮することだけに集中し、目の前の試合でベストを尽くして、あとは天命を待つしかありません。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。


  

■手倉森ジャパン、初戦落とす

 手倉森ジャパンのリオデジャネイロ五輪、初戦の相手はナイジェリアでしたが、激しい打ち合いの末、4-5で初戦を落としてしまいました。

もう終わったことは仕方がないので、頭を切り替えて次の試合に向けての修正点をあげておきます。

 まず守備ですが、「大事な試合だから慎重に行こう」という思いが強すぎたんじゃないでしょうか。

1点目は、藤春選手が相手のポストプレーヤーがボールを収めるのを見てから何とかしようとしたのが敗因。Jリーグでは非常に良く見られるプレーですが、世界には通用しないやり方です。

元イタリア代表カンナバーロのプレーを解説したときに指摘済みですが、ナイジェリアの選手がボールを太ももでトラップする前に、背後から藤春選手が片足を前に出して、ボールを安全な方向へクリアしておけば、その後状況が悪化していくことはありません。

相手ポストプレーヤーへの対処の仕方

また、そうしたプレーをするつもりがないのに最初から相手のポストプレーヤーに背後から体を密着させるのも、自分の体を支点にして相手に体を入れ替えられ、自分が抜かれてしまうリスクが高まります。

相手のポストプレーヤーが浮き球をトラップする瞬間、後ろから片足を出してボールをクリアするのが第一目標、どうしてもそれができないなら、相手の体に触らないように相手の背後数十cmのところに居て、相手が前方へターンしようとするところを読んでボールを突くようにしたらどうでしょうか。

室屋選手がかぶってしまったナイジェリアの2点目、植田選手のクリアが小さく、しかも相手のど真ん前にいってしまった3点目は、「大事な試合だから失敗はできない。慎重にいかなければ」という思いが強くなりすぎて、精神的に余裕が無さすぎたために普段ならありえないようなイージーミスにつながってしまったんじゃないでしょうか。

4点目のPKは、日本にとって非常に厳しいジャッジでしたが、直前に塩谷選手と室屋選手がお見合いしてボールを奪われたミスを取り返そうとした塩谷選手のボディコンタクトを取られたものでした。

フィールドプレーヤーもしくはGKが、自分のミスを取り返そうとして行ったボディコンタクト(特にペナルティエリア内での)は、レフェリーの心象が非常に悪く、PKとなるケースが大変多いので、注意してほしいです。

5点目は藤春選手の不用意なプレーから自陣深くでボールを奪われて失点。DFの背後にはもうGKしかいないのですから、安全第一のプレーをお願いします。

あと、チーム全体の守備戦術についても、サイドにボールがあるとき、守備ブロック全体をボールサイドへスライドさせるのが緩慢だったり、選手同士がヨコに等間隔に並んでおらず、変なスペースができていることがあるのでそこも修正点です。

 攻撃面は、2-2に追いつくまではかなり良かったと思います。南野選手のゴールにつながった一連のプレーはレベルが高かったですね。

ただ、2-2に追いついてから攻撃がどういうわけか雑になり、パスの受け手がボールを受けられる状態でないのにタテパスを急いで通らなかったり、初めから誰もいないスペースへスルーパスを出してみたり。

このように日本の攻撃が上手くいかなくなったので、じれた手倉森さんが「相手DFラインのウラヘ浮き球のボールを出せ」と指示した結果、よけい日本の攻撃が機能しなくなり、ナイジェリアに3点目4点目と突き放される結果に。

そこは焦らずに、パスの出し手が受け手の状態(味方がどの位置にいて体の向きはどうか、止まっているのか、それともどこかの方向へ走っているのか、アイコンタクトして自分と意志の疎通はできたか等)を確認してからパス出しする心の余裕を持ちたいですね。監督さんからもそういう指示が欲しいです。

 こうした失敗の経験を上手く生かして、次の試合が良い結果につながることを祈っています。



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。

  

■お前はすでに負けている

 日本時間で31日、手倉森ジャパンがブラジルU-23とのテストマッチを行いましたが、ほぼ何もやらせてもらえない形で0-2の完敗を喫しました。

「相手をリスペクトしすぎてしまった」なんて生やさしい言葉は今回は使いません。

「日本の選手はビビりすぎ」。これが一番の敗因でしょう。

1対1のデュエルをやる前から相手におびえて、0-3で負けることを認めたようなサッカーをやってしまったのが本当に残念。

ブラジルのボール保持者に対して、手倉森ジャパンの選手は2mぐらい前方までは寄せるのですが、自分が抜かれるのを恐れ、両足をそろえてそこでピタッと止まってしまうんですね。そしてブラジルの選手がドリブルで前進すると、日本の選手はズルズル下がるだけ。

それをブラジルの選手から見たら、日本の選手が自分におびえており本気でボールを奪いに来る気はないということが手に取るようにわかるので、精神面で圧倒的な優位に立つことができ、余裕を持って日本の選手がつくってくれたスペースを利用してドリブルを加速させ、そうなったら余計にドリブルもラストパスも日本の選手は止められないわけです。

まるでブラジルW杯に出場したザックジャパンのコロンビア戦の後半を録画で見ているかのようでした。

カウンターサッカーだろうがポゼッションサッカーだろうが、こんな勇気に欠けたプレーをしていては勝ち点1すらゲットできません。

以前にも言いましたが、日本サッカー界では「足元の技術」が非常に重視されることの裏返しとして、自分たちよりボール扱いが上手い選手を見ただけでアイデンティティが崩壊してしまうのか、試合終了のホイッスルが鳴る前から「あんな相手に勝てっこない、俺たちの負けだ」となって戦意を喪失し、そのまま完敗という現実を引き寄せてしまうことがしばしば起こります。

 室屋選手が「90分間を通して、相手の捕まえ方が分からなかった」と言っていましたが、まずゾーンディフェンスを基礎から見直すことです。

手倉森ジャパンが4-4のゾーンディフェンスで守るとして、相手のボールホルダーに対し、コペルトゥーラの隊形を必ずつくること。(下図)

コペルトゥーラ
(クリックで拡大)

そしてAの選手が相手のボール保持者に、1mの距離までしっかり寄せること。

次に最悪抜かれても良いので、ボール保持者に対してしっかりとボディコンタクトをして全力でボールを奪いに行くこと。最後まであきらめず相手に食らいつくように並走しながら自分の太ももの外側をぶつけて相手のバランスを崩し、自分の肩を相手の体の前に入れることができれば、ボールを奪える確率が高くなります。

もし全力で奪いに行って抜かれても、そこで初めて「次にこうすればボールを奪えるんじゃないか」というヒントが得られるはず。この試合のように失敗することを恐れてズルズル下がるだけでは永久にボール奪取が上手くなれません。普段Jリーグでやっている選手がネイマール相手に自分のボール奪取スキルを試すチャンスが与えられる。それを恐れるのではなくて幸せと考えなくては。

Aの選手にとっての第一目標は「ボールを奪い返すこと」ですが、それに失敗した場合のセカンドベストは「ファールする必要は無いので、体をしっかり寄せて相手のボディバランスを崩し、ドリブルのミスを誘うこと」です。

これがちゃんとできていれば、たとえAの選手が相手に抜かれても、ドリブルする相手が自分の体からボールを大きく離してしまった瞬間を狙って、BもしくはCの選手がボールを奪い返すことができます。

たとえ抜かれても良いから、Aの選手が全力でボールを奪いに行けと言った意味はそういうことです。

この試合の手倉森ジャパンも、コペルトゥーラの隊形ができている瞬間もあったのですが、Aの位置にいる選手の相手に対する寄せが甘く、前方にいた相手がドリブルで自分の真横に来ただけでもうあきらめて追うのを止めてしまうので、ブラジルの選手はスピードに乗った正確なドリブルができ、そうなってしまうとBもしくはCの選手も止められず、さらにズルズル下がるだけでやられてしまうんですね。

また、4バックも相手にウラを取られることを恐れ、ズルズル下がるために味方のMFのラインと距離が離れすぎてしまい、DFとMFの2つのラインの間にできた広いスペースをブラジルに使われていました。

相手のボール保持者にプレスがかかっていて前方へのパスができない瞬間であったり、バックパスをした瞬間には、勇気をもってDFラインを押し上げないと。

 攻撃面でも、「数少ないチャンスなんだから失敗しないように」という消極的な姿勢が目立ちました。

後半、中島選手に絶好のシュートチャンスがありました。ダイレクトでもシュートを打てたんじゃないかと思いますが、「大事に」ワントラップしてからシュートしたことで、相手にシュートコースを消す時間的余裕を与えてしまいました。

 サッカーというスポーツにおいて、「重要なゲームだから大事に行こう」とか「失敗したくないから慎重にプレーしよう」というのは、典型的な「負けフラグ」です。

どんなに重要な試合でも、いや重要な試合だからこそ失敗を恐れず、攻守どちらにおいても「攻めの姿勢」で相手に全力でぶつかっていく。

ザックジャパンがブラジルW杯で負けて日本サッカー界が学んだことはこれです。 この教訓をリオ五輪でしっかりと生かして欲しいです。


当ブログ関連記事・日本代表のブラジルW杯総括(その1)



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。


  

プロフィール

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク






   

ブログ内検索