■2015年10月

■コレクティブ・カウンターアタックとは

 前回、相手がコンパクトな陣形から厳しくプレスをかけてきたり、自陣にべったり引いて守備ブロックを形成している場合は「パスサッカー」で崩し、相手に押し込まれている場面でボールを奪い返した時には「コレクティブ・カウンターアタック」で崩すのが有効と書いたんですが、では「コレクティブ・カウンターアタック」とはどういうものか、映像で見た方がわかりやすいと思うので、今回はそれを見ていきながら、日本人選手のストロングポイントを生かせる有効なカウンターアタックについて考えてみます。

 まず「コレクティブ・カウンターアタック」の例ですが、下の映像を見てください。2012年10月12日にサンドニで行われた日本対フランスのゲームです。



当時のデシャン監督に「ああ、グサッと来たよ」と言わしめたやつですね。

ハリルホジッチ監督はこの映像見たことあるのかな?

相手のセットプレーをしのいでボールを奪ってからの判断の速さ、サポートの的確さ、そしてグラウンダーのスルーパスでウラヘ抜けて、中央への折り返しを香川選手が決めています。

「コレクティブ・カウンター」は瞬時の判断力と足元の技術・スピードが重要であって、もし背の高さやフィジカルコンタクトの強さで劣勢にあっても、そうしたハンデはほとんど関係ありません。

だから日本人選手に向いていると思うんですよね。当研究所が求める「タテに速い攻撃」「カウンターアタック」とはまさにこれです。

次は、2013年11月20日にブリュッセルで行われた日本対ベルギー戦から。



香川選手のラストパスがやや大きくなってウラヘ抜け出した柿谷選手が直接シュートまでもっていけなかったものの、相手に押し込まれている状況で本田選手がボールを奪ってから、香川選手のタテへの攻撃の判断の速さ、的確さが良いですね。

欲を言えば下図のように、相手のバックを幻惑するためドリブルする味方の前を交差するような動きを織り交ぜてスルーパスを受けたり、相手バックを引きずり出してドリブルする味方が直接シュートまでもっていけるようにしたりできれば、なお良いです。

正カウンター2
(クリックで拡大)

日本代表は今まですっかり忘れていたのを突然思い出したように、ときたま素晴らしい「コレクティブ・カウンターアタック」を見せてくれるんですよね。

やればできるんじゃん。

どうしてこの戦術を、ワールドカップのような大事な試合で、自分たちが意図したタイミングで意図的にやろうとしないのかがわかりません。

 じゃあ次に、今ハリルジャパンでしばしば見られるカウンターの例。

先日のイランとのテストマッチから。



自陣でボールを奪い返して、柴崎選手からサイドへ流れる武藤選手へロングボールという展開。絵的にはすごいチャンスに見えますけど、実はそうでもない攻撃です。

センターFWがタッチラインぞいでボールを受けても直接シュートは打てないですし、たとえ相手DFを抜いてゴール前へドリブルできたとしても、サイドでガチガチやっている間に戻って来てしまったイランの選手が、中央に2枚残っています。

よって武藤選手が相手に競り勝ってボールをキープし、タメをつくっている間に味方の押し上げを待つぐらいしか手立てはないのですが、味方が押し上げる時間をつくるということは、多くの敵選手がゴール前へ戻る時間もつくってしまうということであって、案外ゴールには結びつきません。

しかも前方へ大きくロングボールを放り込むことで、相手GKとの一対一の局面で使いたいウラのスペースを自分たちでつぶしてしまっています。

カウンター攻撃としては、それほどクオリティが高いものではありません。

霜田さん、こんな攻撃を選手に何十回やらせても、この戦術をこれから高度に発展させるなんてことはできないと思いますよ。

チャンスになるとしたら、相手のセンターバック2枚の間にできる“門”を抜けて味方がロングボールを受け、そのままゴールまで一直線にドリブルしてシュートを打つケースですが、相手もそれは十分警戒しています。

現代の守備戦術においては、バックラインを高めに保つことが流行していますが、その分ウラに広く空いたスペースへのケア方法もすでに確立されています。

相手ボールホルダーにプレスがかかっていれば、DFラインを押し上げて相手FWをオフサイドポジションに置き去りにし、相手ボールホルダーにプレスがかかっていなければ、ウラヘ抜けようとするFWにDFがそのままついて行って自由にやらせないというのは、守備戦術の基本。

相手のレベルが高くなればなるほど、味方へパスを通すのが難しくなってきます。

たまに運よく決まることもありますけど、次からは厳重に警戒されて、そう何度も使える手ではありません。

J3のゲームで、町田ゼルビアがバックラインを高く押し上げていたという理由だけで、U-22選抜がひたすらロングボールをウラヘ放り込み、攻撃がまったく機能しないまま負けたという話を小耳にはさんだんですが、手倉森さん、リオ五輪大丈夫ですか?

 次に「タテに速い攻撃」をするのがふさわしくない局面の例。



イランが自陣に引いて守備ブロックをつくっているので、相手DFラインとゴールラインの間のスペースが非常に狭くなっており、そこへロングボールを放り込んでも、味方が追いつけずボールが直接ラインを割ってしまうか、相手GKにキャッチされるか、それがせいぜいでしょう。 

相手が自陣に引き気味でブロックをつくっている時は「タテに速い攻撃」をやるのにふさわしいシチュエーションとは言えません。相手DFラインの前の、守備ブロックの中で、グラウンダーのパスを使った「パスサッカー」で崩す方が有効です。

シチュエーションごとにどういう戦術を使えば有効なのかを考えて、上手に使い分けていくことが重要です。

柴崎選手、意外と戦術理解の面で経験が足りないですね。

 つづいて同じくイラン戦から、こっちは良いカウンターの例。



相手のセットプレーからボールを取り返して、清武選手が的確な判断でタテにすばやくパスをつなぎ、宇佐美選手の絶妙のスルーパスから武藤選手とGKとの一対一をつくった場面。

ドリブルの2タッチ目が大きくなって武藤選手がシュートまでもっていけなかったんですが、それは彼自身が練習でこれからいくらでも改善していけます。

トランジション(攻守の切り替え)を早くし、チーム全体で統一された意図をもって、こうした「コレクティブ・カウンター」をどんどん狙っていくべき。

「コレクティブ・カウンター」が上手くできるようになるためには、次にどういうプレーを選択すべきか、プレーヤーは瞬時に正しい決断を下す能力が求められます。

さらに言えば、「コレクティブ・カウンター」をやるときの判断の速さ、パスをつなぐリズムで、「パスサッカー」(=ポゼッションサッカー)をやって欲しいのです。いつも言っていますよね、プレーヤーが1度にボールを持つ平均時間を2秒以内にしなさいと。

「コレクティブ・カウンター」で鍛えられると、「パスサッカー」をやるときにも、マイボールにしたあとの最初のタテパスが段違いに良くなってきますし、ボールの持ちすぎもだんだんと減ってくるでしょう。

ゴールが欲しいのに、いったんチームを落ち着けるために、ボールを奪い返したあとボールホルダーがゆっくりドリブルしながら周囲を見回して、決まり事のように横パス・バックパスをまず選択するという日本流ポゼッションサッカーではダメです。(もちろんボールを落ち着けたほうが正しいシチュエーションはありますが)

「コレクティブ・カウンター」が上手くなれば、「パスサッカー」のレベルもアップしますし、ゲーム中たえず「コレクティブ・カウンター」を狙っていて、それができないときに「パスサッカー」に切り替えれば良いわけです。

相手が日本代表より強ければ、押し込まれる時間帯が長くなるでしょうから、攻撃のときに「パスサッカー」よりも「コレクティブ・カウンター」で攻撃を仕掛ける回数が多くなるでしょうし、相手が日本代表より弱ければ、こちらが押し込む時間帯が長くなりますから、「コレクティブ・カウンター」よりも「パスサッカー」をやる回数が多くなるでしょう。

難しく考えることはありません。ただそれだけのことです。

 同じカウンターアタックでも、「コレクティブ・カウンター」は背の高さやフィジカルコンタクトの強さで劣勢であってもあまり関係なく、スピードやアジリティ・足元の技術を生かせる分、日本人選手向きだと思いますし、日本サッカーの新しいアイデンティティになりえると思います。

あとは選手個々の、瞬時の判断力をレベルアップさせるだけ。

だいたい頭の上をロングボールがポンポン超えていくのでは、アジリティのある香川選手や非凡なドリブルを持つ宇佐美選手が、宝の持ちぐされじゃないですか?

「コレクティブ・カウンター」がやりたいという理由もあって、当研究所は少なくとも「左右のハーフ(ウイング)にはスピードがある選手を!」と言っているわけです。


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■有効な攻めの形が見えない日本代表(その2)

 前回のつづき

 日本代表の守備については、監督さんが「ラジカルチェンジ」と呼んだように、前線から積極的にプレスをかけてボールを奪い、ショートカウンターを狙っていたように見受けられましたが、前線でのプレスがなかなかハマらず、こちらの4バックが相手のロングボール攻撃もあって前へ押し上げることもできず、プレスをかける前の6人と4バックとのあいだが間延びしてそのスペースへ落ちたボールをイランに拾われて攻められ、なかなか自分たちのリズムでゲームを進めることができませんでした。

思い返せばアギーレ前監督も、昨年10月のブラジル戦でフォアチェックからのショートカウンターを狙う戦術で玉砕しています。

フィジカルコンタクトが得意でない日本の選手は、相手からボールを奪い返す能力が高いとは言えず、「フォアチェックからのショートカウンター」という戦術は向いていないんじゃないでしょうか。

そこまで無理せずとも、オーソドックスに自陣でコンパクトな守備ブロックをつくってそこからプレスをかけてボールを奪い、清武→宇佐美→武藤のダイレクトパスでGKとの一対一までもっていった後半13分のようなカウンターで、高くなった相手バックラインのウラを突けば、十分ゴールは奪えると思います。

「タテに速い攻撃」といっても、ワントップの武藤選手にひたすらロングボールを放り込むんじゃなくて、こういう攻撃こそ数多く使っていくべきです。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは同点ゴールをあげた武藤選手。相手GKがフィスティングし損なったボールが背中に当たってのラッキーゴールでしたが、あそこに飛び込む積極性と勇気を買います。ただし後半13分にカウンターから相手GKと一対一になった場面で、パスをもらってドリブルのツータッチ目が大きくなりすぎ、シュートまでもっていけなかったのは反省点。高速でドリブルしてもしっかりボールをコントロールできるよう練習を。

本田選手は武藤選手のゴールをアシスト。GKの手元でボールが変化したようにも見えましたが、もしそうならゴールの半分は本田選手のものでしょうか。 ただ、イランの選手に体を当てられると簡単にボールを失ってしまうシーンが目立ちました。フィジカルの強い相手に当たってこられてもボールを失わないようなトレーニングを積むか、相手に体を寄せられる前にシュートやパスをして仕事を終えてしまうか、そのどちらかができるようにならないと攻撃の選手としては厳しいです。

西川選手は相手がPKを蹴る動きを良く見て、一度は止めたのが非常に惜しかったですね。ただし後半26分ぐらいだったでしょうか、相手のミドルシュートを左に横っ飛びでキャッチに行ったシーン、あれを前にこぼしてはいけません。しっかりキャッチするか、もし無理と判断したらゴールラインの外へはじいてCKへ逃るべきでしょう。

清武&宇佐美選手は、後半からイランのプレスが弱まって助けられた面はありますが、後半13分に相手のセットプレーから奪い返したボールを、清武選手が適切かつすばやい判断で前方の宇佐美選手へとパスし、彼から武藤選手への絶妙なスルーパスが通ったプレーはとても良い攻撃でした。当研究所が求める「タテに速い攻撃」がまさにこれです。

 逆に吉田選手は前半終了間際にPKを献上。吉田選手は相手を倒すつもりはなく、彼が前に出した足がイランの選手のかかとに偶然当たって相手が倒れたようにも見えましたが、ちょっとした注意力が欠けていました。 前半30分ぐらいに米倉選手から来たパスのトラップが大きくなって相手に奪われたあと、彼のリズムががおかしくなったように見えましたが、一つの失敗をひきずって目の前のプレーへの集中力を欠き、さらにミスを重ねてしまうのが一番良くありません。ミスの原因をしっかり反省したら頭をサッと切り替えることが重要です。

前述のように、米倉選手は吉田選手の直前で大きくバウンドするようなトラップが難しいバックパスをしてピンチの原因に。なるべく味方が受けやすいグラウンダーのパスを出すような配慮が欲しいです。

酒井選手はイランの選手がPKを蹴った瞬間、西川選手がセーブしたボールに誰よりも近かったにもかかわらず、後ろから走りこんだイランの選手に追い抜かれてシュートを許したのは残念。せっかく味方のGKががんばったのですからそれを助けてあげないと。 酒井選手は守備のときの「危険予測能力」が低く、いつも「まだ大丈夫でしょ」みたいな感じで軽くプレーしてやられるということを繰り返しています。

香川&柴崎選手は、フィジカルコンタクトでゴリゴリくるイランのプレスに苦しめられました。数少ないパスが通ったシーンでも香川選手のトラップミスでラストパスまで行けないという場面があり、柴崎選手はほとんどの時間消えていました。彼らのようなフィジカルコンタクトがあまり強くないタイプは、相手に体を寄せられる前にパスやシュートをして仕事を終えてしまえるかどうかにプレーヤーとしての命がかかっています。そのためには前回記事で説明したように、トライアングルやダイアモンドを形成してボール保持者がいつでもパスを出せるような複数のパスコースをつねに用意しておくことが欠かせません。その上で、マークするために食いついてきた相手を味方が引っ張ってつくったスペースに、別の味方が走りこんでそこにパスを出すといった工夫が欲しいですし、チームメイト全員や監督さんとよく話し合って、攻撃の組織の再構築を。
 
森重選手はゴール前で転倒していましたが、センターバックが足を滑らせると重大なピンチにつながりかねません。スパイクの選択ミスは論外ですし、横浜Mの中澤佑二選手は、ある代表戦でほんのちょっと足が滑ったことを猛反省し、下半身強化のために砂場での反復横跳びの練習を懸命にやっていたのが印象に残っています。 
日本サッカー協会もイラン側にアザディスタジアムの芝生を短くしてくれと要請していたようですが、相手のホームゲームでイラン代表が自分たちに有利なピッチ状態にするのは当たり前と考えなくてはいけません。長い芝生のせいでパスが途中で止まって相手にカットされたり、足を滑らせて転倒しないように、選手がアウエーの環境にすばやく適応する能力を身につけなければなりません。

        ☆        ☆        ☆

 監督の采配面では、本田選手の右サイドハーフ起用が適材適所とは思われず、センターFWやボランチで試したり、香川選手と並べて4-1-2-3にするとかして、右サイドハーフ(ウイング)には、スピードがあって相手をタテに突破できる選手を使ってほしいと個人的に考えていたのですが、そのようなトライはまったく無かったですね。

ハリルホジッチ監督はFW出身のせいか、攻撃の選手はいろいろと試していますが、守備の要であるセンターバック陣の強化がおろそかになっているんじゃないでしょうか。

何度も言っているように若手センターバックの育成が急務です。ロシアW杯に平均年齢31歳の4バックを連れて行くつもりなのでしょうか?

南野選手を使うなら最低でも25分とか、もっと長い時間使ってあげないと出した意味がないと思います。

監督さんは、あと2~3年たてば彼はチームに不可欠な選手になると言っていますが、結果を出せる実力があるなら3歳でも90歳でも良いというのが当研究所の考え方です。(現実として、20代のピークを過ぎると人間は運動能力が低下していきますが)

イラン代表でセンターフォワードを張っているアズムンも20歳ですし、南野選手にある程度の時間を与えて、機能するならどんどん使ってやり、ダメならダメで別の選手にチャンスを与えれば良いわけで、「20歳だからまだ若すぎる」みたいな変なマインドセットにとらわれるべきではありません。

ハリルホジッチ監督は、試合に勝ちたいという欲求が強いのは大変結構なのですが、目先の試合に勝ちたいあまり、若い選手を育成してスムーズな世代交代をはかるといった、より長期的なチームの利益への配慮が希薄なように見えるのは、ベテランを多く起用して勝ちに行ったのか、勝負をある程度捨てて若手に経験を積ませるのか、中途半端に終わってしまった東アジアカップでも感じたことです。

イラン代表のケイロス監督は、3年後のことをちゃんと考えてチームづくりをしているように見えました。

        ☆        ☆        ☆

 アウエーでの貴重な機会となったイランとのテストマッチは、引き分けという結果は悪くなかったものの、これはあくまでもテストマッチであり、W杯予選のような公式戦とは別物と考えなくてはいけません。

日本の試合内容は悪かったと思います。イランの厳しいプレスに苦しみ、こちらが意図した有効な攻撃を仕掛けることがほとんどできませんでした。

この試合の日本の選手たちは、相手の厳しいプレスにどう対処すべきか考えていることがバラバラで、シチュエーションごとにどういうふうに攻撃戦術を使い分けるべきなのか、頭の中でぜんぜん整理できていないようでした。

本田選手が試合後に「日本代表の成長曲線」についての話をしていましたが、ザックジャパン時代に比べて、いまの日本代表は対アジアにおいてさえ競争力が少し落ちているように感じます。

前回予選で当たったヨルダンなんかもイランと似たプレースタイルで実力もほぼ同じくらいですが、フィジカルの強い相手に厳しくプレスをかけられても、長友・本田・香川選手のトライアングルでショートパスをつないで左サイドを崩し、中央へ展開して本田・岡崎・前田選手らが決めるという攻撃戦術でアジアカップ2011を優勝、ブラジルW杯アジア予選も圧倒的な強さで突破しました。

ハリルジャパンになってから「タテに速いサッカー」というのを選手が意識しすぎて、雑なロングボールを放り込む場面が多いせいか、ボール保持者を中心にトライアングル・ダイアモンドを形成してサポートし、パスをつないで相手のプレスをかわして攻撃を組み立てる能力が低下しているように見えます。

相手がコンパクトな守備ブロックから厳しくプレスをかけてきたり、自陣にべったり引いて守備ブロックを形成している場合は、ボール保持者を中心にトライアングル・ダイアモンドを形成してパスをつなぐ「パスサッカー」で崩し、相手に押し込まれている場面でボールを奪い返した時には、この試合の後半13分に見られた、清武→宇佐美→武藤のダイレクトパスでGKとの一対一まで持っていったような「コレクティブ・カウンターアタック」で崩すのが有効です。

あれもこれもと欲張らず、まずはこの2つの攻撃戦術を適切な場面で適切に使い分けられるように、チーム全体で話し合って選手の意識を統一しておくべきでしょう。

次のシンガポールとカンボジアとの試合から、さっそく実践するべきです。

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ポゼッションサッカー悪玉論は間違い(その2)

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

    2015.10.13 ワルジシュガー・アザディ(テヘラン)

           イラン 1 - 1 日本


    トラビ(PK) 45'+        武藤 48'


     GK ハギギ         GK 西川

     DF ハジサフィ       DF 酒井
        ホセイニ          (丹羽 75)
        モンタゼリ          吉田
        ガフォリ           森重
       (トラビ 23)         米倉

     MF エザトラヒ       MF 柴崎
       (プラリガンジ 64)    (柏木 72)
        エブラヒミ          長谷部
        アミリ            本田
        レザイアン        (岡崎 66)
                        香川
     FW アズムン         (清武 46)
       (タレミ 84)         宇佐美
        デジャガ         (原口 59)

                     FW 武藤
                       (南野 88)




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■有効な攻めの形が見えない日本代表

 昨日イラン代表とのテストマッチがテヘランで行われ、日本は1-1で引き分けました。

対戦相手のイランは、ロシアやドイツ・カタールなど海外でプレーしている選手と国内組をあわせたチームで、テイムリアンやグチャンネチャドらが欠けていましたが、ほぼベストメンバーで来てくれました。

FIFAランキングは必ずしも各国の実力を正確に反映しているわけではないと考えているというのは以前に申し上げた通りで、FIFAランクはイランの方が上ですが、当研究所独自のポイント算定による格付けに従い、イランは日本とほぼ互角の実力を有する相手と見ていました。

相手にアドバンテージのあるイランのホームゲームで引き分けという結果はまずまずだったものの、日本の試合内容は悪かったと思います。どのあたりが悪かったのかは次で詳しく見ていきます。

        ☆        ☆        ☆

 アジア・トップレベルのフィジカルコンタクトの強さを生かしたイランのプレス守備に苦しみ、前半の日本は意図した攻めの形をほとんどつくれなかったというのは、前回シリア戦とまったく同様でした。

イランもロングボールを前線に放り込み、こぼれ球を拾ってサイドへ展開、クロスボールからヘッドでゴールを狙うという、さほど戦術的に高度ではない攻撃を繰り返し、日本がどうにか耐えるという展開。

前半終了間際、ミスからPKを与えてイランに先制されます。
 
後半キックオフ直後、今度はイランGKのミスから同点に追いつき、その後イランの足が止まり始めると、日本も少しづつ攻撃ができるようになります。

ただ、カウンターから良い攻撃の形が1~2度あった以外は、ロングボールの出し手と受け手の2人しかサッカーをしていない、グループ戦術やチーム組織というものがまったく感じられないものでした。

結局、個の強いイランの守備を最後まで崩すことができず、ドローに終わりました。

 この試合一番問題だったのは、どうやって相手のプレスをかわして攻めるのかという統一された意図なり戦術なりが日本代表にまったく見られず、選手それぞれがやっていることがバラバラだったことでした。

シリア戦後のコメントやこの試合のプレーぶりから判断すれば、本田・香川・宇佐美ら前線の選手は「シリア戦はピッチを広く使おうとした結果、選手の距離が遠くなりすぎて、パスがつながらなかった」と考え、選手間の距離を縮めて足元でパスを受けようとし、

逆に長谷部・森重・吉田ら後ろの選手は、岡崎選手へ出したロングボールがPKを誘ってゴールにつながった残像が頭に残っているのか、後ろから前方へ盛んにロングボールを放り込んでいました。

しかし、ブンデスリーガにあるという格言「手紙を速達で出すと、速達で返ってくる」(=ロングボールを放り込むと、ロングボールが返ってくる)そのままに、イランのストロングポイントであるロングボール攻撃で日本の間延びしたスペースを使われ、イランペースで試合を進められてしまいました。

日本は、チーム全体でどういう風に相手を崩すのかという意図が、まったく共有できていませんでした。

 当研究所もピッチを広く使えと盛んに言ってきましたが、シリア戦の前半のように、10人のフィールドプレーヤーがピッチに広範囲に広がって、あとは味方のボール保持者が何とかするのを見ているだけでは、相手のプレスをかわしてチームで意図を持った攻撃のビルドアップをしていくことはできません。

4-2-3-1の場合、両サイドハーフがピッチの横幅を広くとってポジショニングすることで、いったん相手の守備ブロックを広げたら、今度はその守備ブロックの中で、ボール保持者の周囲にいる選手がボール保持者と適切な距離を保ってサポートしつつ、トライアングルやダイアモンドの形をつねに維持してパスをつなぐことで、攻撃をビルドアップしていかなければなりません。

グラウンダーのパスを出すコースとなるトライアングルやダイアモンドの一辺は6~7mぐらい、相手選手の配置状況によっては、4mから12mぐらいまで伸び縮みすることはあるでしょう。(下図参照)

ダイアモンド
(クリックで拡大 以下同様)

相手にプレスをかけられた結果、トライアングルやダイアモンドの一辺に相手選手が立ちふさがってパスコースを切られた場合はサポートする選手がポジショニングを調整し、常にトライアングルやダイアモンドの形を維持してグラウンダーのパスを出せるようにしておくことがとても重要です。フィジカルコンタクトが得意でないチームは、空中で相手との肉弾戦になりやすい浮き球のパスをできるだけ避けるべきです。

なぜトライアングルやダイアモンドの形でサポートするかといえば、そうすることでパスがダイアゴナルになり、受け手は半身でボールを受け前方へターンしやすくなる(下図)ことが一つ目、

ボディシェイプ

パスがミスになって相手ボールになった場合でも、パスの出し手が相手のボール保持者にすぐさまプレスをかけることで、安全性が高まるというのが理由の二つ目です。(横パスをカットされるといっぺんに2人抜かれてしまう)

 続いて、チーム全体でGKからどうやって攻撃をビルドアップしていくか、イラン戦にあてはめて見ていきましょう。日本はいつもの4-2-3-1、イランが4-4-2でした。(下図)

ビルドアップ

まずこちらのセンターバック2枚がピッチの横幅を広く取り(1)、両サイドバックは押し上げます(2)。

相手は2トップでこちらのセンターバック2枚にプレスをかけてくるような状況では、最終ラインが相手と同数だとミスが起こったときに即失点につながりかねないので、ボランチが最終ラインまで下がって数的優位をつくると、よりセーフティになります。(相手がワントップならその必要はありません)この場合は2枚のボランチのうち、より守備的な長谷部選手が下がるべきでしょう。(3)

こうすることで相手の2トップにプレスをかけられても必ず誰か1枚余るわけで、GKから安全にパスを受けて最終ラインの3人でパスをまわすことができます。

長谷部選手が下がったことで左サイドで人数が不足していますから、トップ下の香川選手が左後方へ下がります。(4)

これで左サイドは、センターバックの森重を底として米倉・香川・宇佐美のダイアモンドが形成され、相手に対して数的優位に立っています。このダイアモンドを利用しながらパスをつないで前進していきます。

右サイドは同じく吉田を底として柴崎・酒井・本田のダイアモンドが形成され、また長谷部を底に、香川・柴崎・武藤で形成するダイアモンドも隠れていますが、これらダイアモンドを使って局面局面で数的優位をつくりつつ、パスをつないでボールを前へ運んでいきます。

当然相手も指をくわえて日本のパス回しを見ているわけではなく、厳しくプレスをかけてきますので、相手のプレスをかわしてパスをつないでいかなければなりません。

そういうケースでの選手の動き方とボールの動かし方を一例あげてみましょう。(下図)

ビルドアップ

まず西川が長谷部にパスしますが、相手FWのひとりがプレスをかけてきます。(1)

そこで長谷部はフリーの森重にパス。(2)

左サイドバックの米倉は自分をマークしているイランの右サイドハーフを引き連れて前進することで味方にスペースをつくり、森重は米倉がつくったスペースをフリーでドリブルします。(3)

たまらず相手の右セントラルMFが森重にプレスをかけに行ったら香川がフリーになれるので、香川は森重からのパスを受けて前を向きます。(4)

この時、香川は宇佐美・武藤とのトライアングルを使って中央から攻めることもできますし、米倉・宇佐美とのトライアングルで左サイドを攻撃する選択肢もあります。

さらに前進した香川を柴崎が右ななめ後方からフォローすることで、柴崎・武藤とのトライアングルが形成され、柴崎から本田とパスをつないで右サイドへ攻撃を展開することもできます。

局面で3~4人の選手がつねに適切な距離を保ちながらトライアングルやダイアモンドを形成することで、相手のプレスをかわしながらパスをつないでいくことが容易になりますし、攻め方のパターンは選手のアイデアでいくらでも増やせます。

代表チームは練習時間が非常に限られているわけですが、トライアングルやダイアモンドを形成してボール保持者をサポートし、パスをつなぐという約束事と共通理解が選手全員にあれば、攻撃時のグループ化・組織化が容易になり、パッと集まって試合をしても、それなりに高度な組織サッカーができるはずです。

 シリア戦の記事で言いたかったことをもう一度繰り返しますが、PKもらいに行ってレフェリーに笛を吹いてもらわなければゴールできない、それに頼らなければ試合に勝てないんじゃなくて、足元の技術の高さと俊敏さ・持久力という日本人の長所を生かしながら、つねに考えながら動いて(考えながらあえて動かないで)パスをつなぐ、それによってどんなに厳しいプレスもかいくぐり、相手を崩して自分たちの力でゴールを奪って試合に勝つ!

それが日本サッカーのアイデンティティであり、ジャパンウェイなんじゃないですか?

代表チームという限られた時間の中でこういう練習にこそ力を入れ、プレーの精度を高め続けることが大切なんじゃないですか?ということです。

 ともかく選手ひとりひとりが考えていることが、てんでバラバラというのは非常に良くありません。

日本代表の選手全員とハリルホジッチ監督が良く話しあって、シリアやイランとのゲームのように相手に厳しくプレスをかけられても、どうやって自分たちが意図した攻撃をやり、ゲームの主導権を握って試合に勝つのか、まずチーム全体としての意志を統一させることが急務です。

守備面での試合内容分析と選手個々の評価は次回とします。



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■日本代表、シリアに勝って首位浮上(その2)

 前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、まず本田選手。
プレッシャーのかかる中で貴重な先制点となるPKを冷静に決めてくれましたし、相手と競り合いながらのヒールキックから宇佐美選手のゴールもナイスアシスト。後半にゴール前中央よりでのプレーを増やしてから彼もチームの攻撃も機能し出しましたが、何度も指摘しているように右サイドハーフで本田選手を起用するのは適材適所ではないように思います。
コメント欄で読者さんもご指摘なさっているように、レジスタとして守備的MFへコンバートするか、香川選手とともにトップ下に2人を並べるシステムにするか、さもなくば彼をセンターフォワードで起用するというのもアリかもしれません。
最初は右サイドハーフでスタートして試合中にピッチ中央へ流れても構いませんが、その場合は岡崎選手や香川選手が本田選手のもと居たスペースを埋めて、チーム全体の陣形のバランスを取る必要があります。

岡崎選手は前半、相手の厳しいマークを受けてあまり有効に動けていませんでしたが、香川選手のパスをワンタッチでゴールに結びつけたのはストライカーらしい働きでした。PKを獲得したプレーについては最後のまとめで改めて触れます。

宇佐美選手は本田選手からのヒールパスを受け、倒れこむGKの脇の下を狙いすました心憎いシュートで久しぶりの代表ゴール。周囲の味方を生かすプレーも良いですね。

香川選手は左サイドから個人技で突破してペナルティエリアへ侵入し、相手の股を抜くパスから岡崎選手のゴールを絶妙のアシスト。日本のショートカウンターの中心としても活躍していましたが、後半30分ぐらいに相手と3対3になったシーン(下図参照)では、ピッチ中央からウラヘ抜けようとする本田選手と、左サイドからウラヘ抜けようとする宇佐美選手を確認して数秒考えてから、後者へのスルーパスを選択したのですが、オフサイドになってシュートまでもっていけませんでした。
あの局面では、パスが通ればすぐさまGKとの一対一にもっていける本田選手へのパス一択だったと思いますし、そのチャンスは香川選手が本田選手を見た最初の瞬間しかありませんでした。その瞬間にパスが出せる決断力をもったプレーヤーになって欲しいです。

選択
(クリックで拡大)

西川選手は相手のゴール前フリーキックを良くさわって無失点試合に貢献。

長友選手は久しぶりの実戦でしたが、前半ウラを取られそうになって相手をつかんだプレー(判定はノーファール)以外は、攻撃参加も含めてまずまず良かったのではないでしょうか。

 逆に吉田選手はボールを持ちすぎて相手に奪われカウンターを食らいそうになったシーンが前半に1度ありましたし、敵選手が近くにいる味方DFへのバックパスも避けるべきです。一歩間違えばマンチェスターU戦のマルシャルへのプレゼントボールみたいなことになりかねません。

槙野選手は相手が日本のゴール前へ放り込んだロングボールをダイレクトでクリアせず、わざわざワンバウンドさせてから処理しようとしていましたが、思わぬバウンドから相手FWにボールをかっさらわれて失点につながりかねない大変危険なプレーです。
味方のバックがゴール前で相手選手と空中にあるボールを競っているときも、味方をカバーするボジショニングを取らず、リスクマネジメント面でも問題。

酒井選手は、本田選手とのワンツーでサイドを崩したところまでは良いのですが、クロスの精度が悪すぎます。ダイレクトで蹴って味方に全然合わないのであれば、1度持ち直してから正確なクロスをあげた方がまだ良いです。

        ☆        ☆        ☆

 スコアだけを見れば楽勝の試合、楽勝の相手で、初めから3-0という結果が約束されていたかのように見える人がいるかもしれませんが、そうではないと思います。

こういう結果になった最大のキーポイントは、岡崎選手のPK獲得で、後半早い時間帯で先制できたことが非常に大きかったです。

しかしファールをもらいに行ったのがあからさまなあのプレーは、W杯に出てくるUEFAやCONMEBOL所属のレフェリーだと、8割方PKは取ってくれないんじゃないでしょうか。

この試合を裁いたイルマトフ主審も最初は笛を吹くつもりは無かったようでしたが、ラインズマンがファールと判定したので、ペナルティスポットを指差したように見えましたし、これが4万人のサポーターで埋まったシリアの首都ダマスカスでの本当のアウエー戦だったら、やはりPKの笛はなかなか吹けないと思います。

後半シリアは足が止まり始めていましたから、いずれは日本が先制ゴールをあげていた可能性は高いですが、もし岡崎選手のプレーでPKが取れていなかったら、日本が先制するまでもっと時間が必要でした。

ましてや何かの間違いでシリアに先制されれば、シリアもモチベーションがMAXになって最後まで足を止めずにがんばり、全く別の結果になっていた可能性もあります。

ゴールを奪うために普通にプレーして倒されたのであれば、ありがた~くPKをいただいときますけど、あからさまにPKをもらいに行ったり、シミュレーションでレフェリーをあざむいてまでゴールしてでも、試合に勝てば良いという考え方にはまったく賛同できません。

(岡崎選手のあのプレーがシミュレーションだったという意味ではありません)

南欧や東欧・中南米やアジア・アフリカなどの国々で「ずるいことをしても、要領よくやって結果を出した者の勝ち」という価値観を持つところは多く、そうした価値観がそれらの国々のサッカーに反映されることがよくあります。

PKのもらい方を指導したというハリルホジッチ監督の出身は東欧のボスニアで、南欧・フランスでの生活が長いですよね。

反対に日本は、「まじめに努力して内容を改善し続け、それがいずれ良い結果につながるはずだ」という価値観を持つ国で、第二次大戦に負けて焼け野原になったにもかかわらず、短期間のうちに世界第2位の経済大国になれたのは、そういった国民性のおかげだと思います。

(逆にあまりにも内容や努力の過程を重視しすぎるために、これまでの日本サッカーはパスによるアシストが得意なMFばかりを輩出し、ゴールという結果を出すFWや、相手のゴールを防ぐセンターバックに世界的プレーヤーが出なかったという側面もあるんじゃないでしょうか)

ラグビーのW杯で日本が優勝候補・南アフリカを破るという歴史的快挙をあげたことが大きな話題となりました。

ラグビーはまったくの門外漢なのですが、小柄な体格という日本人選手の不利を克服するために低い姿勢からの協働タックルとアジリティの高さを生かしたすばやい集散、そして相手に勝る持久力を生かしたことが勝因であるという分析があるそうですね。

ハリルホジッチ監督も彼らに刺激されて、「私たちも日本のアイデンティティーをつくらなければならない」「ジャパン・ウェイをつくり上げなければならない」と言っていました。

だからこそ言いますが、「試合に勝てるんならペナの中でファールをもらいに行ったりダイビングしてゴールをゲットできればそれでいいじゃないか」というのは、日本サッカーが大切にすべき価値観ではないと思います。

日本人選手の長所と個性を生かし、パスワークと選手のコンビネーションで相手を崩してゴールを奪うというプレーの質を高めていくことをあくまでも追求していくべきであり、それこそが日本サッカーのアイデンティティでありジャパン・ウェイだと当研究所はこれまでずっと考えてきました。

(W杯で日本より明らかに強い相手と対戦するときに、現実策としてカウンターサッカーを選択することはやむをえないとは思いますが)

その意味では、この試合の前半は課題が決して少なくありませんでした。

それでも、決して楽な試合ではなかったにもかかわらずシリアに3-0で勝ったという結果については良かったと思いますし、日本代表の試合内容も、特に後半は今後につながりそうな明るい兆しが見られたことも評価できます。

 W杯のアジア2次予選、次節は日本がお休みとなります。それを利用して行われるイランとのテストマッチを有効活用して、今後につながる、いろいろなことを試して欲しいと思います。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

     2015.10.8 イスターダ・アルシーブ・アルヤーダ

        シリア  0 - 3 日本

                   本田(PK) 55'
                   岡崎    70'
                   宇佐美   88'


  GK アルミハ          GK 西川

  DF サバグ           DF 酒井高
     アルマスリ           吉田
     アルサリハ           槙野
     アルシュブリ          長友

  MF アブドルジャファル    MF 長谷部
    (ユーシフ 80)          山口
     アルフサイン          本田
    (ウマリ 72)            香川
     ムハマド・ザヒール      (清武 79)
     アルマワス            原口
                       (宇佐美 66)
  FW ハルビン  
    (ラフィ 64)         FW 岡崎
     マルキ             (武藤 85)



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■日本代表、シリアに勝って首位浮上

 2018年W杯アジア2次予選の前半戦最後の試合は、グループ首位を走るシリア代表とのゲームでしたが、3-0で日本代表が勝利し、逆に日本が首位に浮上しました。

対戦相手のシリアですが、イラク・サウジアラビアやトルコなどでプレーする選手で構成されたチームであり、日本とはほぼ互角、やや日本の方が戦力的に上回るかと見ていました。

中立地での対戦なら日本の勝ち・引き分け・負け、いずれの可能性もあったと思いますが、勝利という結果は良かったですね。日本の試合内容の方も、少し光明が見えてきました。

        ☆        ☆        ☆

 試合前に注目されたシリアの出方ですが、ベタ引きにせず、キックオフからDFラインを高めに設定して攻めてきましたね。

それでもシリアの厳しいマークとフィジカルコンタクトの強さに苦しみ、前半は日本の攻めが機能していたとは言えませんでした。

相手の守備ブロックの中でパスをつなぐための、パスの受け手の運動量が足らず、パスの出しどころが無いボール保持者がじれて、浮き球のアバウトなパスを出してはボールを失うということを繰り返しているうちに、徐々に試合の流れが相手に行ってしまい、前半35分すぎから日本のゴール前で危ないシーンを何度かつくられてしまいました。

しかし前半を無失点で我慢したことが後半に効いてきます。

後半立ち上がりからシリアの足が止まりプレス守備が弱まると、日本の攻めが少しづつ機能し始めます。
  
長谷部選手のロングパスを受けた岡崎選手がペナルティエリアで倒されてPKを獲得しましたが、ファールをもらいにいったのがミエミエのプレーで、岡崎選手がシュートを打つには角度的に難しいにもかかわらず、シリアの選手が後ろからパニック気味に当たりに行ってしまったのは、経験の無さゆえでしょう。

先制した後のシリアの反撃をしのぐと、日本がゲームを支配できるようになり、良い攻撃の形が何度も見られました。

ボールを奪った後、香川・本田・宇佐美選手らを中心に中盤でワンタッチ・ツータッチのパスをリズム良くつないでボールを素早く前方へ運び、相手DFが戻り切らないうちにスルーパスを出してシュートまで持っていくという、すばらしい攻撃の形を何度もつくることができました。

当研究所が日本代表に求めている「タテに速い攻撃」というのは、まさしくこれです。

こういう攻撃を、相手が元気な前半のうちに出来るようになることが今後の課題です。

前半のシリアのプレスをかいくぐってパスをつなげないようでは、ワールドカップで日本と互角かそれ以上の相手のプレスをかわしてゴールするのはなおさら難しくなります。

パスがつながらないからといってボールホルダーがじれて、アバウトな浮き球のボールを放り込んでも、ハリルホジッチ監督が言うように、ロングボールを放り込んで前の選手がヘッドで競ってというのは、日本サッカーのアイデンティティではありませんし、そんなサッカーではアジアレベルでさえ、他の国に差をつけることができないというのは、8月の東アジアカップで嫌というほど学んだはずです。

後半30分ぐらいからの、あの攻撃の形とパスのリズムを絶対に忘れないで欲しいです。

 どうにかクリーンシートで抑えたものの、守備面では危ないところがありました。

バックとボランチの間でのパス交換がミスとなり、失点につながってもおかしくない場面が何度も見られたのはいただけません。

ボランチでボールを失えば後ろにはもうバックしかいませんし、バックが失えば後ろにはGKしかいません。

ボランチから後ろでのパス交換には細心の注意を払い、ボールホルダーが意図せず相手に囲まれてしまったら、セーフティーファーストで無理をせず、前へ大きく蹴ってもOKです。
 
 また、日本のゴール前で味方の選手が相手と空中にあるボールをヘッドで競っている時、周囲にいる選手のポジショニングにミスが多いです。

例えば下の図のようなケースで、シリアのA選手と日本のE選手が空中にあるボールをヘッドで競り合っている時、もしA選手が勝ってボールがB選手の方へこぼれたら即失点の可能性大です。

この試合、こういう危なっかしいポジショニングを取っているシーンが少なくありませんでした。

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(クリックで拡大)

下図のように、日本のD選手は自分が守るべきゴールと相手選手との間にポジショニングをとりつつ相手をマークすべきですし、特定のマークを持たないC選手も、味方のE選手が競り合いに負けた場合に備えて、カバーのポジショニングを取るべきです。

そうすれば、仮にEが相手に競り負けてボールが相手のBの方へこぼれたとしても味方のDがシュートコースを消しつつ即座に対応できますし、ボールがその反対側にこぼれたとしても、日本のCが前を向いて先にボールを拾いクリアすることができます。

1人がボールにチャレンジしたら、2人の選手が左右やや後方にポジショニングしてカバーするのは基本。

Eが吉田選手だった場合、Cは酒井高徳選手、Dは槙野選手というケースが多いと思いますが、CやDの位置にいる選手が誰であったとしても、たとえ原口選手や香川選手や長谷部選手であったとしても、フィールドプレーヤー全員ができるようにしておかなければなりません。

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これは守備の基本中の基本であり、普段からこういうちょっとしたことができているかいないかで、ワールドカップでの失点が1増えるか減るかが決まってくるのです。

決して特別な才能の持ち主しかできないということではありませんし、クラブでも代表でも、サッカー選手なら90分の試合中つねに意識してできていなければなりません。

育成年代でもせめてユースまでには体で覚えていて欲しい、守備戦術の基本中の基本です。

 選手個々の評価は次回としましょう。



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■シリア戦にのぞむ日本代表メンバー発表

 今月8日に行われるW杯アジア2次予選の対シリア戦にのぞむ日本代表メンバーが発表されました。

GK 西川 周作 (浦和)
   東口 順昭 (G大阪)
   六反 勇治 (仙台)

DF 吉田 麻也 (サウサンプトン:イングランド)
   槙野 智章 (浦和)
   長友 佑都 (インテルミラノ:イタリア)
   森重 真人 (F東京)
   丹羽 大輝 (G大阪)
   米倉 恒貴 (G大阪)
   酒井 高徳 (ハンブルガーSV:ドイツ)
   塩谷  司 (広島)

MF 香川 真司 (ドルトムント:ドイツ)
   山口  蛍 (C大阪)
   長谷部 誠 (フランクフルト:ドイツ)
   柴崎  岳 (鹿島)
   清武 弘嗣 (ハノーファー:ドイツ)
   柏木 陽介 (浦和)

FW 本田 圭佑 (ACミラン:イタリア)
   岡崎 慎司 (レスター:イングランド)
   原口 元気 (ヘルタベルリン:ドイツ)
   宇佐美 貴史(G大阪)
   武藤 嘉紀 (マインツ:ドイツ)
   南野 拓実 (ザルツブルク:オーストリア)


 前回の代表メンバーから、ケガで酒井宏樹・遠藤・永井選手らが外れ、清武・柏木・塩谷・南野選手らが召集されています。

特に若い南野選手には、チームに新たな活力を吹き込んでもらいたいという意味で期待したいですね。

南野選手だけでなく宇佐美選手や武藤選手など若い選手に望むことは、「自分はまだ20代前半だから、代表の先輩方の後をついて行きます」みたいな心理的な制限を、自分の中につくらないで欲しいということです。

それをやってしまうと、その制限を超えるポテンシャルを持っていたとしても自分で無意識にブレーキをかけることになり、サッカー選手としての成長スピードが遅くなってしまう可能性が高いからです。

そうではなくて、「自分が主力選手となってチームを引っ張り、日本代表をロシアにつれていく」ぐらいの意気込みを常に持って、代表の練習なりゲームなりに参加して欲しいです。

若い選手が活躍するようになれば、刺激を受けたベテラン選手も「もっとサッカーが上手くなりたい」と考えて努力するでしょうし、チーム全体に良い意味でのピリピリ感と健全な競争が生まれるのではないでしょうか。

A代表でやっている若手選手が、W杯アジア予選を戦う過程で経験したことをU-22代表に持っていってチームメートと共有すれば、リオデジャネイロ五輪出場権獲得のために大きなプラスになると思います。

ブンデスやセリエ・プレミアでやっている現役選手から学ぶことは多いはずです。

その意味で、湘南の遠藤選手がケガで呼ばれなかったのは残念なのですが、彼の世代はユース大会のアジア予選でずっとイラクに苦戦しており、イラクのユース代表の選手はA代表にどんどん呼ばれていて、国際経験の上でも遅れを取っていたのがその原因の一つだったのではないでしょうか。

 代表はもちろんクラブでも同様ですが、日本の指導者たちが「20代前半の選手に、チームの主力としてのポジションを任せるのはまだ早い」といった、誤った先入観にとらわれるべきではありません。

ドイツ代表のゲッツエは23歳でチームの重要な得点源になっていますし、スペインでもA代表でイスコやコケがたびたび先発のチャンスを与えられ長い時間プレーしています。

日本代表でも、20代前半の選手が攻守にわたり主力選手としてバリバリ活躍してチームの勝利に貢献してくれるようになれば、日本サッカーの未来は明るいです。

 さて、次はグループ最大のライバルであるシリアとの直接対決となります。

まず試合会場となるオマーンですが、本田選手や岡崎選手らが前回ブラジルW杯アジア予選でプレーしているので覚えているでしょうが、カラッとしたテヘランとはまた違った、湿度の高いムワッとした暑さへの対応が必要です。

シリアの出方については、日本とのゲームを2試合とも引き分けても他で取りこぼしさえしなければシリアは1位通過できますから、「守備重視でいって引き分けでOK、カウンターやセットプレーから得点して勝てたらもうけもの」という作戦でくるか、それとも最後に日本ホームでの直接対決が控えているのでそこで勝ち点3を失ってもいいように、シリアのホーム扱いである日本とのゲームでは勝ちを狙って攻めに出るか、それはわかりません。

相手がこう出てくると決めつけず、ゲームで実際にどういう状況になっても冷静さを保てるように、早い時間にリードできた、あるいはリードを許してしまったといったことも含めてあらゆる事態を想定した準備を行い、シリアとの直接対決で各選手が全力を出し切ることに集中して欲しいです。



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