■2015年08月

■W杯アジア予選にのぞむ日本代表メンバー発表

 2018年ロシアW杯アジア予選、対カンボジア戦(9/3 @埼玉)対アフガニスタン戦(9/8 @テヘラン)に向け召集された、日本代表が発表されました。


GK 西川 周作 (浦和)
   東口 順昭 (G大阪)
   六反 勇治 (仙台)

DF 吉田 麻也 (サウサンプトン:イングランド)
   槙野 智章 (浦和)
   長友 佑都 (インテルミラノ:イタリア)
   酒井 宏樹 (ハノーファー:ドイツ)
   酒井 高徳 (ハンブルガーSV:ドイツ)
   森重 真人 (F東京)
   丹羽 大輝 (G大阪)
   米倉 恒貴 (G大阪)

MF 香川 真司 (ドルトムント:ドイツ)
   長谷部 誠 (フランクフルト:ドイツ)
   山口  蛍 (C大阪)
   原口 元気 (ヘルタベルリン:ドイツ)
   遠藤  航 (湘南)
   柴崎  岳 (鹿島)

FW 本田 圭佑 (ACミラン:イタリア)
   岡崎 慎司 (レスター:イングランド)
   宇佐美 貴史(G大阪)
   武藤 嘉紀 (マインツ:ドイツ)
   興梠 慎三 (浦和)
   永井 謙佑 (名古屋)


 今回招集されたメンバーを見て気づく点は、長らく日本代表の正GKであった川島選手の名が見当たらないことです。いまだ移籍先が見つからず、現在無所属で実戦に出れていないことが影響しているのでしょう。

東アジアカップで活躍した浦和の武藤選手が落選となったのは、トップ下のポジションの競争がいかに厳しいかを物語っています。

同じ東アジアカップ活躍組でも、湘南の遠藤選手はうれしい選出となっていますね。

興梠・永井の両選手も召集されていますが、中国・武漢での3試合を見る限り、彼らのプレーには正直がっかりさせられましたし、W杯のレベルを見据えれば、どうして呼んだのか個人的には疑問です。

だったらどんどん「飛び級」させて、ヤングボーイズ・ベルンでプレーしている久保選手やザルツブルグの南野選手あたりにチャンスを与えた方が、まだ将来への楽しみがあるのではないでしょうか。

何度も言っているように、センターバックの人選も相変わらずのベテラン偏重ぶり。

以前にも書きましたが、Jリーグの監督さんは変化に対して臆病というか、リスクを冒して若手を起用するよりも、30歳前後の実績があるベテランを好んで起用する傾向があるように思えます。

特にセンターバックのポジションなんですが、ベテラン選手が失点にからんだ時は次の試合以降、若い選手にスタメンのチャンスを与えて欲しいのに、代表歴があるとか何年もそのクラブでレギュラーを張っているからといった「年功序列」が重視され、何のおとがめもなくそのまま試合に出続ける例が少なくないように見えます。

これではチーム内に健全な競争やスムーズな世代交代が起こるはずがありませんし、本当の意味での実力主義とは言えません。そうしたことが原因となって、日本人の若手センターバックが極端に手薄な現在の状況が生まれてしまったのではないでしょうか。

これも以前指摘した通りですが、世界と比べると日本のサッカー界は「若い選手」の基準が5歳遅いです。

代表は育成の場ではなく、もっとも優れた選手をピックアップしてチームを組むのが理想なのは言うまでもありませんが、一番重要なのはW杯の予選や本大会などといった公式戦でチームが勝ち続けることであり、そのためには理想論を捨て現実策を取らなければいけないときもあります。

クラブで将来性のある若者が年功序列に押さえつけられて、芽を伸ばせないような状況にあるときは、失敗が許されるテストマッチなどで我慢して使ってあげて、あえて代表の場で選手を育てるといった現実策も必要です。

マンチェスターユナイテッドやACミランでプレーする日本人選手が出現したあたりから、日本サッカー界全体がリスクをとって挑戦するよりも、選手起用法も含めて失敗を恐れ、現在の地位を守りに入ることが多くなっている気がします。

それが2014年ブラジルW杯や2015年アジアカップ・ACLなど、近年の日本サッカーが世界の公式大会でパッとしない原因の一つだと思います。

Jリーグ各クラブの監督さんにお願いですが、ベテランのバックがミスを犯したり相手の若いFWのスピードについていけなくて失点にからんだときは、勇気をもって若い選手にチャンスを与えて欲しいですし、外国人選手を獲得してセンターバックのポジションを安易に埋めるようなこともできるだけ避けて欲しいです。

そうすることによってこそ、ユースを含めたJリーグ各クラブ内で健全な競争が起こり、本当に実力のある選手がクラブでレギュラーを張り、さらに活躍すれば代表に選ばれるという、真の実力主義が日本サッカー界に根付くことになります。

 W杯予選のカンボジア戦とアフガニスタン戦ですが、2試合で勝ち点6を是が非でもゲットしなくてはなりません。   

東アジアカップのような、前をろくに見ないでロングボールをポンポン放り込み、攻撃のパスが3本とつながらないようなサッカーはもう勘弁してください。

あんなサッカーでは、まかり間違ってアジアレベルで勝つことはあっても、ハイレベルなW杯で勝利という結果は絶対に得られませんし、選手のアイデアとか技巧とか戦術の美とか、そういったエンターテインメント性のかけらもないので見ていて相当につらいものがあります。



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■ようやくエンジンがかかるも時すでに遅し(その2)

 前回のつづき

 個人レベルで特筆すべき活躍だったのはまず武藤選手。自身の大会得点王を決定づけた同点ゴールは素晴らしかったですし、味方へのチャンスメークでも徐々に存在感を発揮しています。チームが攻め急ぎすぎていたり、狭いところでパスを回そうとしすぎている場合に、ボールを落ちつけたり、サイドチェンジを使ってピッチを広く使ったりといった具合に、トップ下としてチーム全体の攻撃がバランスの取れたものになるように気配りできるともっと良くなります。

米倉選手は、武藤選手のゴールをアシストした正確なクロスは評価に値します。しかしセンターバックとの意思統一がはかれず、オフサイド崩れから相手FWと味方GKとの一対一の場面をつくられるなど、守備面では不安定なところを何回か露呈。

槙野選手は、武藤選手の同点ゴールを引き出すスルーパスで攻めの基点としてチームに貢献。ただ、センターバックから相手DFラインを抜くスルーパスを出すと、パスの距離がどうしても長くなり正確に通すのが難しくなりますから、パスカットされたときに相手のショートカウンターの格好の餌食となりかねません。よって私個人としてはあまり好きな攻撃の形ではなく、相手ゴール前へのスルーパスはなるべくボランチから前の選手が出すようにしてほしいです。

山口選手は一対一の強さを発揮して、相手からボールを良く奪っていました。これでパスによる攻撃の展開力がついてくれば、もっと良いボランチになれます。それにしても山口選手が貴重な20代前半の1年間を、決してレベルが高いとはいえないJ2でプレーするのは日本サッカー全体にとっての損失です。「自分の責任でチームが降格したから、自分の力で一部にあげないと」という義理人情にとらわれるのではなく、セレッソがJ1に昇格するまでの間という約束で他のJ1チームにレンタル移籍させ、より高いレベルでの環境で彼の成長を促した方が、どれだけ利益になったことでしょうか。

 逆に川又選手はまたしても機能せず。自分で状況判断せずにゴールに背を向けてパスを受け、それをひたすら機械的にバックパスしてしまうので、攻撃に余計な手数がかかって日本の攻めが機能しない原因に。パスを受ける前に周囲を見渡して、フリーなら受けたボールと共に前方へターンしないといけません。バックパスが監督の指示ならば「ボールをもってターンできるときは自分の判断でそうしたいです」と相談してみてはどうでしょうか。

永井選手も改善が見られず。今のプレースタイルだとドリブルで曲がれないのでウイングには使いづらいですし、かといってワントップだとフィジカルコンタクトがあまり得意ではないのでボールがおさまらず、彼を上手く使ってあげられるポジションが非常に限られてきます。ドリブルしながら曲がったり、フェイントで相手をかわしたりするスキルを身に着けないと、かつて浦和に在籍していた“野人”の二の舞になってしまいそうです。

宇佐美選手もキックオフ直後にクロスバーに嫌われたシュート以外はほとんど消えていました。自分1人でペナの中の相手を2人も3人も抜いてゴールを決めたいと気負いすぎているのか、ちょっとプレーに無理がありました。そこまで気負わずとも、味方とのパス交換から1人かわしてシュートとか、自分に相手を2~3人ひきつけておいて空いている味方にパスして決めさせるとか、まずはオーソドックスなプレーで実績を積み上げていくべきだと思います。宇佐美選手の起用法なんですが前にも言った通り、4-2-3-1で使うなら守備の義務から解放されるトップ下で試すというのも一案だと思います。彼に守備をちゃんとやってもらうことが彼自身のためにもなるのですが、そのせいで彼の攻撃がまったくキレを失ってしまうのでは「角を矯めて牛を殺す」というものです。

期待しているのであえて指摘しますが、柴崎選手は今のままではトップ下としてW杯で活躍するにはかなり厳しい状況です。次のプレーへの判断が遅く、フィジカルコンタクトも強くないので、仮にプレミアやブンデスリーガへ移籍しても厳しいプレスに苦しんでボールをキープすることがほとんどできないんじゃないでしょうか。パス出しにおいても自分の一発のパスで決めてやろうと気負いすぎているのか、出すのも難しければ受けるのも難しい凝ったパスのほとんどがつながっていません。自分のプレーの問題点をもう一度洗いなおした方が良いです。

        ☆        ☆        ☆

 東アジアカップをしめくくる中国との試合は、引き分けという結果は不満の残るものでしたし、日本の試合内容も前の2試合に比べれば良くなってきているものの、まだまだ及第レベルにはありません。

日本は4か国中、2分け1敗で最下位に終わりました。残念な結果ではありますがより長期的な視野に立って考えれば、この大会は勝負を度外視して将来の日本代表を担う若者に国際経験を積ませる場として、割り切って参加することも十分ありだと思います。

しかしこの大会に呼ばれたメンバーを見ますと、3年後のロシアW杯開幕時に30歳前後になっている選手が多すぎました。

どうせ最下位になるのであれば、もっと若いメンバーを招集してスタメンの平均年齢が23~24歳ぐらいになるようなチームを出場させ、東アジアのフル代表を相手に厳しい経験を積ませた方が、3年後の利益を見据えればどれだけ有益だったことでしょうか。

(特に、槙野選手と組ませる形で神戸の岩波選手や鹿島の植田選手らを起用して、若いセンターバックを育成して欲しかったですし、ハリルホジッチ監督に強く要望しますが、これからテストマッチや勝負がついたあとのW杯予選等でサザンプトンの吉田選手と岩波選手や植田選手らを組ませてどんどん経験を積ませるべきです。プレミアリーグの現役選手と組ませることで若い選手はお金には代えられない貴重なものを吸収できるはず)

ベテランを多く招集したので勝ちに行ったのかといえばそうではなく、かといって多くの若手選手に経験を積ませることもできず、日本サッカー協会がどういう目的をもってこの大会に日本代表を参加させたのか、そこのところが非常にあいまいで中途半端でした。

ハリルホジッチ監督はこの大会前に、「ロシアW杯に参加する日本代表の50%は国内組になる」とおっしゃっていたように記憶していますが、この大会のパフォーマンスを見る限り、あと3年時間が残されているとしても今回プレーした国内組がW杯で世界を相手に戦えるレベルまで引き上げるのは、容易な作業ではないというのが率直な感想です。(だからといって海外組のすべての選手が世界と戦えるレベルにあるということでもありません)

大会直前までJリーグの試合があり、練習時間がほとんどなくて選手全員が疲労していたことは同情の余地があるのですが、肉体的な疲労とは関係のない、メンタルの部分があまりにも弱かったり、ゴールをいかに奪うか・いかに失点を防ぐかというゲームの勝負どころにおいて、日本の選手がいかにサッカーというものを知らないかを痛感させられたりと、今から3年後が思いやられます。

国内組の選手たちが、これからわずか3年後にW杯に出場して勝利することを本当に望むなら、東アジアカップのような低レベルの試合をしては絶対にいけませんし、相当な危機感をもって毎日のトレーニングや試合に励んで、よほどの成長をみせないと。

「ロシアW杯に参加する日本代表の50%は国内組になる」なんて、現時点ではたちの悪い冗談でしかありません。

 最後に余談ですが、今回最下位になったことで、日本がそれほど重要でもない次回東アジアカップに参加するために、香港や台湾などを相手にした予選を戦わなくてはいけなくなったのでしょうか?

もしそうなら「痛し痒し」ですねえ。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

          2015.8.9 武漢体育中心

          中国  1 - 1  日本


     ウー・レイ 10'       武藤 41'


  GK ワン・ダレイ          GK 東口

  DF ラオ・ウエイフイ        DF 丹羽
     レン・ハン              森重
     フェン・シャオティン        槙野
     ジー・シャン             米倉

  MF カイ・フイカン         MF 遠藤
     リウ・ジャンイエ          山口
     ウー・レイ              永井
     ウー・シー             (浅野 84)
    (ジェン・ジィ 69)          武藤
                        (柴崎 74)
  FW ガオ・リン              宇佐美
    (ジャン・チミン 80)   
     ユ・ダーバオ         FW 川又
    (ヤン・シュー 61)         (興梠 63)




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■ようやくエンジンがかかるも時すでに遅し

 東アジアカップ、日本代表の最終戦は開催国・中国とのゲームでしたが、前試合に引き続いて1-1のドローとなりました。

中国代表は全員が国内リーグでプレーしています、中国とは日本のホームで日本の勝利、アウエーで引き分け程度の実力差と見ていましたが、相手は主力選手をほぼそろえていたのに比べ、こちらは海外組を欠く2軍チーム。

引き分けという結果は悪くはなかったと思いますが、そこをなんとか勝ちに持っていかないとチームとしても選手個々としても成長はないわけで、珍しくレフェリーが比較的公平にジャッジしてくれて不可解なPKを一本も取られなかったことも考えれば、日本の試合結果には不満が残りました。

試合内容の方も、ゲームを見ること自体が拷問のような、アイデアも技巧もエンターテインメント性のかけらもない前の2試合に比べれば良くなりましたが、まだまだ合格点にはほど遠いです。

        ☆        ☆        ☆
 
 日本代表の試合内容を守備から分析します。

守備面では、前の2試合から引き続いて良くなってきています。
疲労が原因で時間が経つにつれ選手がばらけて陣形が間延びしてしまうのは相変わらずなんですが、それでも陣形をコンパクトに保ち、相手ボールホルダーに厳しくプレッシャーをかけることができている時間帯は、相手に攻めの形をほとんどつくらせませんでした。

失点シーンは、サイドを突破した相手がプルバックし、ペナルティエリア直前の“D”のエリアで待ち構えている選手にミドルシュートを狙わせるという、ゴール前の攻撃の「定石中の定石」にまんまとやられてしまいました。

“D”のエリアにはサイドを突破した選手からのクロスだけでなく、守備側のGKやDFがクリアしたボールがこぼれてきやすい場所でもあります。

Jリーグを見ていても、この定石を知らないとしか思えないチームをかなり見かけるのですが、守備の時はクリア要員を最低1人は“D”のエリア付近に置いておく、相手ゴール前でのセットプレー時や流れの中からこちらが攻めているとき、味方からのパスや相手のクリアを拾ってミドルを狙うために、やはり“D”のエリアに1人以上の選手を置いておくのは戦術の定石です。

対策
(黄色チームが攻撃側  クリックで拡大)

日本代表に選ばれた選手たちも、このように十分予測可能な相手の攻撃から失点を食らうことのないようにして欲しいです。

 攻撃面でも前の2試合からは改善が見られました。攻撃にようやくチームとしての意図が感じられつつあります。

味方からパスを引き出す動きが少しづつ見られるようになりましたし、自分が次にどういうプレーをすべきかの判断がより的確になり、適切な判断をくだすために要する時間も短くなりました。

次のステップとしては、相手が密集して守っているサイドでわざわざ細かいパスを回そうとするのではなく、サイドチェンジを使ってピッチ全体を広く使うことができれば、攻撃はもっと良くなります。

ただ、どういう攻めの意図があるのか理解に苦しむ浮き球のロングパスがまだ多いですし、味方へショートパスを出すとき、自分のトラップミスからボールが浮いてしまい、それをそのまま蹴るために浮き球のパスになってしまう、あるいはダイレクトパスを出すときに、グラウンダーのパスをもらったのにキックの技術が低いために浮き球になってしまうというシーンを多く見かけました。

この試合のように相手がコンパクトな守備ブロックをつくっている場合、相手選手に囲まれた狭いスペースで味方から浮き球のパスをもらい、ワントラップしてボールを足元へ落とし、頭をあげたころには複数の相手に体を寄せられてボールを失ってしまいます。

逆にグラウンダーのパスなら、受けた選手がシュート・パス・ドリブルのいずれのプレーを選択しても、短時間で次の動作へスムーズにつなげることができ、それによってプレスをかけようとする相手も、うかつには飛び込んでこれなくなります。

「パスを出すときはなるべくグラウンダーで」と口をすっぱくして言っている理由の一つがそれです。

中国のコンパクトな守備ブロックの攻略にも手こずりましたね。

アジアのようなサッカー後進地域でも、組織的なゾーンディフェンスが当たり前になってきましたが、コンパクトな守備ブロックの崩し方は以前に集中講座で述べた通りですが、この試合の日本代表には相手ゴール前30mでアイデアが欠けていました。

攻守にわたって試合内容はだんだんと良くなってきたのですが、まだ満足できるようなレベルにはありませんし、最低でもこのインテンシティのゲームを東アジアカップの初戦からできなければダメです。

 選手個々の評価とこの大会の総括は次回としましょう。



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■メンタルの弱さが深刻(その2)

 前回のつづき

 それでは日本代表の試合内容を分析します。

守備に関しては、前の試合より少し良くなったと思います。フィジカルの強い相手でも中盤のプレスを厳しく行けていました。

この試合の日本は、4-1-4-1のフォーメーションを使っていましたが、4バックと4人のMFの間をもう少しコンパクトにできれば、もっと良かったですね。

4人のMFがプレスをかけることで相手がバックパスをしたときなどに、こちらの4バックが勇気をもってラインを押し上げることで、全体の陣形をコンパクトに保つことが大事です。

北朝鮮戦と同様、後半20分すぎからは疲れが出て陣形が間延びしたことで、危ない場面もあったでしょうか。

さらに、相手のパスをカットできると思ったときは勇気をもって前へ出て、インターセプトできればなお良いですね。

 攻撃に目を転じますと、ゴールできたのは相手が大きくクリアできなかったボールを拾ってつなぎ、最後に山口選手が個人技(正確なミドル)で決めただけ。

チームとしては相変わらず、組織だった有効な攻めの形がほとんどつくれていません。

せっかく良い形でボールを奪って4対3になったのに、ボール保持者が「ビッグチャンスだから大事に攻めたい」と考えすぎてしまうのか、どこへパスを出すかモタモタ迷っているうちに相手が自陣に戻り、結局シュートまでいけなかったとか、

逆に前線の味方の動きをろくに見ないで、ロングボールを人のいないところへデタラメに蹴ってみたりと、攻撃がまったくのチグハグ。

まず味方のボールホルダーを孤立させてはいけません。周囲の味方が足を使ってフリーでパスを受けられるスペースに積極的に動いてフォローしないと。

ボールホルダーはもっと落ち着いて平常心を保ち、パスを受ける前から周囲の敵味方の配置状況をチェックし、ボールを受けたら、シュートかパスかドリブルか、次にどういうプレーを選択するかの判断時間はどんなに長くても2秒以内にすること。

どこへパスを出すか迷ったら、とりあえず自分より相手ゴールに近いところでフリーになっている味方へ正確に出しておけ! それによって攻撃の展開が新たな局面に入るから、その時のことはそうなった時に考えればいい。

それで攻撃が行き詰るようなら、そこで初めてバックパスして攻撃をつくりなおしても全然問題ありません。

パスをするときは、なるべくグラウンダーのパスを使うこと。この試合のように自分たちより平均身長が高いチームに浮き球のロングは多用するべきではありません。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは山口選手。チームを救う見事なミドルシュートでした。中盤の守備もがんばっていたと思いますが、これでパスによる攻撃の展開力がついてくるともっと良いですね。

槙野選手は、身長が2m近いキム・シンウクに手こずりながらもほとんど決定的な仕事をさせなかったのではないでしょうか。ボディコンタクトを恐れずに食らいついて行けば、自分より体が大きな選手の動きをどうすれば封じられるのか、自分なりの対処法が経験として蓄積されていくものです。負けるのが怖いからと一対一から逃げていてはいつまでたっても経験が蓄積されません。そうした意味で槙野選手の勇気を買います。

 逆に森重選手は、PKを与えたプレーは不運でしたが、後半のロスタイムに入る直前、日本のDFラインのウラへ抜け出したキム・シンウクを後ろからひっぱり倒してイエローをもらったプレーは問題。レフェリーによっては一発退場させられてチームが数的不利になる可能性もありました。森重選手は一生懸命オフサイドをアピールしていましたがそれを決めるのは選手ではなくてラインズマンです。自分で勝手にオフサイドと決めつけて相手に簡単にウラを取られるのではなく、オフサイドが取れなかった場合でも大丈夫なように、ウラヘ抜けようとする相手FWに遅れずに最後までついていかないと。
今年1月に開催されたアジアカップ2015で日本がUAEに勝てなかった守備面での原因は森重選手でしたが、あのときと全く同じミスを繰り返しています。あのときもDFラインのウラヘ抜け出そうとするUAEのマブフートに森重選手の反応が遅れ、縦パス一本で簡単に失点を許してしまいました。森重選手がゴール前で1対1の空中戦に弱いのも、簡単に相手FWにウラを取られるのも、ボールばかり見ていて自分がマークすべき相手をまったく見ていないからです。だからいつも相手に先に良いポジションを取られて、簡単にウラを取られてみたり、ゴール前の空中戦で競り負けるのです。
人は困難にぶち当たったとき、その人の本当の底力が試されます。うまくいかない原因を他人のせいにしたり、誰も自分のことを分かってくれないから努力してもムダといって腐ったりした時点でその人の負けです。森重選手は残念ながら、今はセンターバックとして国際マッチを戦えるレベルにはありません。

柴崎選手は、次にどういうプレーを選択するかの判断が遅く、プレスをかけてきた相手選手にたちまち囲まれてバックパスというシーンが目立ちましたし、長短のパスも一部をのぞいてはミスばかりで、オフェンスリーダーとしてほとんど機能せず。

永井選手も前の試合に引き続いて機能していません。ユースの時から抜群のスピード一本で競争に勝ち抜いてきたことが逆にあだになり、インターナショナルレベルで壁にぶちあたっているようですね。ドリブルしながらフェイントをかけたり、ボールを正確にコントロールしながらドリブルで曲がったりするスキルを身につければ、ドリブルのスピードに緩急をつけることと組み合わせることで、相手を抜けるようになるんですが。今からでも遅くないので練習あるのみです。

興梠選手は、後半23分の相手のセットプレーのとき、自分がマークすべき相手を簡単に放して決定機をつくられてしまいました。幸い失点にはつながらなかったものの、過去の日本代表はゴール前で集中を一瞬でも切らしたときにことごとくやられてきたわけですから、二度とこうしたことがないようにしてもらいたいです。

太田選手はパスやクロスでミスが多かったです。彼は負傷明けですからまだ本調子ではないのかもしれません。

        ☆        ☆        ☆

 監督の采配面で一つ疑問に思ったのは、この試合の日本は自陣に引いて4-1-4-1の守備ブロックをつくり、固く守ってカウンター狙い、前半はどんなに攻撃されても耐え忍んで、後半勝負というゲームプランだったように見えましたが、W杯でドイツやアルゼンチンとの試合というならともかく、相手との力関係を考えれば「守ってカウンター」という「弱者の戦術」で行ったのは、いささか消極的で相手をリスペクトしすぎではなかったでしょうか。

そもそもこの試合で、負けないサッカーで勝ち点1取ることに、どういう意味があったのでしょうか?

日本サッカー協会にとって、東アジアカップは優勝という結果を求めた大会ですか? それとも勝負を捨てて若手の育成に主眼を置いているのでしょうか?

日本代表をこの大会に参加させた目的があいまいになっているような気がします。

        ☆        ☆        ☆

 この試合、引き分けという結果は残念でしたし、試合内容もあいかわらず良くありません。

日本の選手は、攻撃でも守備でも弱気で消極的で慎重になりすぎ。 

2試合を終えて勝ち点1、これで日本の優勝はなくなりましたが、それはたいした問題ではないと思います。

優勝という結果も得られず、かといって将来有望な若手(特に人材が不足しているセンターバック)に長い時間、実戦経験を積ませることもできず、貴重な時間を使ってなんのためにこの大会に参加したのかという疑問を抱かざるを得ないことの方が重要な問題です。

若い遠藤選手がそこそこやれていますし、最初から勝負を捨てているなら、せめてセンターバックはU-22代表からでも呼んだ方が良かったのではないでしょうか。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

          2015.8.5 武漢体育中心

         日本  1 - 1  韓国

        山口 39'       チャン・ヒョンス(PK)27'


       GK 西川        GK キム・スンギュ

       DF 太田        DF チャ・ドンホ
          槙野           キム・キヒ
          森重           キム・ヨンゴン
          遠藤           イ・ジュヨン
                       (ホン・チョル 65)
       MF 藤田
          倉田        MF チョン・ウヨン
         (川又 88)        チュ・セジョン
          山口          (イ・ジェソン 64)
          柴崎           イ・ヨンジェ
          永井           チャン・ヒョンス
         (浅野 70)       (クォン・チャンフン 80)
                        キム・ミヌ
       FW 興梠
         (宇佐美 78)   FW キム・シンウク



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■メンタルの弱さが深刻

 東アジアカップ、日本代表の二試合目の相手は韓国でしたが、1-1の引き分けに終わりました。

日本と韓国との実力差は、日本のホームで日本の勝利、アウエーで引き分け程度と見ていました。

前回も申し上げたとおり、日本は主力を欠く2軍チームですが、それは相手も同じ。中立地での対戦ならば、日本が勝たなくてはいけない相手でしたが、引き分けという結果は残念でした。試合内容の方も相変わらず良くありません。


        ☆        ☆        ☆

 のちほど攻守両面で日本の戦いぶりはどうだったか分析しますが、この試合を見てまず思ったのは、日本の選手たちの弱気さ、自信の無さです。

サッカー選手が気弱になっているとき、どういったプレーをするようになるかというと、味方からパスをもらう時、まず相手ゴールに背を向けて受けるようになります。

なぜなら自分の体を前へ向けてボールを受けるということは、自分より相手ゴール側にいる敵選手にボールをさらすことになりますから、失敗(=敵にボールを奪われること)を恐れる選手は相手ゴールに背を向けてパスを受け、無難な、しかしほとんどの場合意味のないバックパスを選択するというわけです。

守備の場面では、パスを受けようとする相手より前へ出ればパスカットできるケースであっても、相手選手の背後にピッタリついて、相手がパスを受けてから何とかしようとします。

相手より前へ出てパスカットに行ったが空振りに終わり、自分が抜かれるという失敗を恐れるからです。もちろんそうした判断が正しいときもありますが、こういう消極的な守備ばかりやっていると、守備がつねに後手後手にまわって、相手に好き勝手ボールを回されて失点するのは時間の問題です。

他にも、相手がスペースに出したフィフティ・フィフティのボールに、普通に走ればマイボールにできるのに、わざわざ走るスピードをゆるめて相手ボールにしてしまうとか、味方のボールホルダーがパスを出す相手を探しているのに、足を止めてそれを見ているだけとか、2人の選手のちょうど真ん中に来た味方からのパスを2人ともお見合いし、相手ボールにしてしまうというのもそうです。

山口選手の同点ゴールのあとは、いくらかマシになりましたけど、この試合の前半、日本の選手たちはこういう情けないプレーばかりしていました。

こういったプレーに共通しているのは、自分が失敗することを極度に恐れ、失敗したくないから自分はボールにからみたくない、からんだとしても失敗が一番目立たないプレーを選択しようという「敗者のメンタリティ」です。

実際、こんな消極的なサッカーをやっていては試合に勝つことはできません。

日本代表の選手たちには子供の時から15年20年と積み上げてきた努力に裏付けられた実力や自信・プライドがあるはずです。

それが前の試合でたった一回負けただけで、こっぱみじんになってしまったのでしょうか? 自分たちが子供のときから懸命に積み上げてきたことは、その程度のことで崩れ去ってしまうほどのチンケなものだったんですか?

この試合、日本の選手たちは普段Jリーグで出来ているプレーが50%もできていない感じでした。

 サッカーですから失点することや試合に負けることはあります。そのたびにショックを受けて自信を完全に喪失し、普段できていたことすらできなくなってしまうのではサッカー選手は務まりません。

過去の日本代表を見ても、2006年W杯のオーストラリア戦やブラジル戦、2014年のコートジボアール戦のように、先に日本がリードして、そのあと同点にされただけなのに、もう試合に負けたかのようにチーム全員でがっくりとうなだれて、あとはお決まりのようにズルズルと逆転ゴールを食らって負けてしまうというシーンを何度も見てきました。

ハリルホジッチ監督もこの試合のあと、「日本の選手は重圧の中でプレーすることに慣れていない」と精神面の問題を指摘していましたが、日本のサッカー選手の打たれ弱さ、メンタルの弱さはちょっと深刻だと思います。

ロシアW杯の出場権がかかっているわけでもないのに、今からこんな状態では先が思いやられます。

失点した、前の試合で負けたから、がっかりして消極的なプレーばかりを選択するのではなくて、悪い結果が出た試合のあとだからこそ、プロはいま自分がやるべきことに集中して、勝つために勇気をもって常に積極的にプレーしなければいけません。

それこそが勝利への最短距離の道です。

全力を尽くした結果負けたのならしょうがありませんし、サポーターも温かい拍手を送ってくれるはずです。

しかし、ボールにからんで失敗したくないので足を止めて見ているだけの選手や、シュートが外れるのが怖いから味方へバックパスばかりしている選手が、「自分はその試合で全力を尽くした」と胸を張って言えるでしょうか?

私が一番失望させられるのは、そういう弱気で消極的なプレーです。

 攻守における試合内容の分析と、選手個人の評価は次回とします。



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■あれじゃあ、サッカーにならない(その2)

 前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは遠藤選手。あまりやったことのないポジションだったはずですが、早くて正確なクロスから武藤選手の先制ゴールをお膳立て。守ってもサイドでの一対一でほとんど勝っていたんじゃないでしょうか。彼がコンスタントに活躍するようになれば、W酒井選手のポジションが危うくなってきます。

逆に森重選手はパク・ヒョンイルに競り負けて同点ゴールを許す要因に。ブラジルW杯でコートジボアールのボニーに競り負け、今年4月のテストマッチでウズベキスタンの選手に競り負け、そして今回と、彼がインターナショナルレベルで一対一に勝てないことがことごとく失点につながっています。何度チャンスを与えてもらっても改善が見られませんし年齢も年齢ですから、彼にはJリーグで対人守備能力をつけてもらうことにして、別の選手にチャンスを与えるべき。同じ失点するにしても20代前半の若手に経験を積ませた方が日本サッカーの将来のためになります。

槙野選手もパク・ヒョンイルに競り負けて逆転ゴールを献上。先にボールに触れなくても、せめて相手に空中で競り合いを挑み、正確なヘッドを許さないといった次善の策をとるべきでした。

武藤選手は先制ゴールは良かったものの、攻撃面でのリーダーであるトップ下としての働きには不満が残りました。前半25分を過ぎたあたりからチーム全体が攻めを急ぎすぎ、意図のないロングボールを前へひたすら放り込むだけになってしまいましたが、そういう時こそトップ下が自分の判断で味方に声をかけ、遅攻をすべきときは自分のプレーで味方にそうしたメッセージを伝え、チーム全体の攻撃をオーガナイズすることでゲームの主導権を奪い返すような働きが求められます。ただ彼にとってトップ下はほとんどやったことのないポジションでしょうから、同情の余地はあります。

山口&谷口選手は、ボランチとして相手に対するプレス守備はまずまず良かったと思いますが、ボールを奪い返したあと、攻撃の基点となるべきパスの質が低すぎます。いくら監督の指示だからといってロングボールをひたすら前へ放り込むのでは、攻撃の形がつくれません。後半の20分すぎから陣形が間延びしバイタルエリアが広く空いてしまったために、北朝鮮のロングボール攻撃を日本のDFがクリアしてもこぼれ球がほとんど拾えなくなりましたが、そういうときこそボランチがチーム全体にコンパクトな陣形を保つよう声をかけ、味方の4バックとの距離を縮めてバイタルエリアのスペースをつぶし、守備ブロックをつくって相手の攻撃をはね返して、そこから反撃につなげるような守備面でのリーダーシップが求められます。

川又選手はワントップとしてほとんど機能せず。パスを受けても味方へ落とすボールがことごとく不正確で、日本が攻めの形をつくれない一因に。彼に限ったことではありませんがこの試合、日本の選手がパスを受けて前方へターンできる場合でもそうせずに、相手ゴールに背を向けてパスを受け、それを意味もなくただ機械的に味方へバックパスするということを繰り返していたことが、攻撃が機能しない原因の一つとなっていました。そうなってしまうのはパスを受ける時のボディ・シェイプが悪いからで、パスはできるだけ半身になって受けないと。これはユース年代までにきっちり身に着けておいてほしい基本事項です。

ボディシェイプ

永井選手は、足元の技術の不足が原因で彼の最大の武器であるスピードが生きてきません。直線的なドリブルだけではなく正確にボールをコントロールしてドリブルしながら曲がることができるようになるとか、味方へ長短のパスを正確に出せる技術をつけるとか、今からでもぜんぜん遅くないので自分で課題をつくって足元の技術を高める練習に取り組んで欲しいです。前半44分のシュートチャンスは大事に打とうとしすぎてワントラップしてしまったことが敗因でした。あそこはノートラップのダイレクトシュートを正確に打たないと相手に対応する時間を与えてしまいます。


        ☆        ☆        ☆
 
 ハリルホジッチ監督の采配を分析しますが、前半25分すぎからチームが攻めを急ぎすぎて、ロングボールをデタラメに放り込む攻撃ばかりになってしまったことが、ボールをほとんどキープできずゲームの流れをこちらに引き寄せられなくなった原因でした。

柴崎選手が本調子ではなく、浦和の柏木選手がケガで代表を辞退したため、トップ下の人材が不足している苦しい台所事情はわかりますが、ほとんど経験のない武藤選手にぶっつけ本番でトップ下をやらせたのは酷だったようです。

それで武藤選手をトップ下から外し、4-1-2-3にしてハーフの一人として柴崎選手を投入したのは悪くない判断だったと思いますが、攻撃の選手で唯一ゴールの匂いがしていた宇佐美選手を柴崎選手の代わりに引っ込めたのは理解に苦しみました。

あそこはフォーメーションを変えずに、個の力でボールをキープでき、チャンスメークもできる宇佐美選手をトップ下にもってきて試すという選択肢もあったのではないかと思います。

センターバックの人選についても、ほとんど成長の見られないベテランを使い続け、ゴール前でやられ続けるのをただ見ているぐらいなら、将来性のある若者を起用して世界に通用するセンターバックに育てるために経験を積ませた方が、どれだけ有益でしょうか。

今回呼んだセンターバック候補が、ロシアW杯時に30歳を超えている選手ばかりというのは、強い懸念を持たざるを得ません。

        ☆        ☆        ☆

 東アジアカップ、日本男子の開幕戦となった北朝鮮戦は、逆転負けという結果は最悪でしたし、試合内容の方も相当にひどいものでした。

Jリーグの試合から中3日で酷暑の武漢に移動して、チーム練習のための時間がほとんど取れず、北朝鮮とのゲームにぶっつけ本番で臨まざるを得なかった日本の選手たちの事情は考慮しなくてはなりませんが、Jリーグの選手たちが卓球やバスケットボールといった全く別のスポーツを初体験でやらなければいけなかったわけではありません。

代表戦といっても同じサッカーなのですから、こういうピンチの時はこうすれば乗り切れるという経験をJリーグの普段の試合でさんざんしてきたはずで、いちいち監督が打開策を指示してあげなければ勝てませんというのではなくて、チームが攻め急いでまったく攻撃の形をつくれないときは遅攻に切り替えチーム全体を落ち着けるとか、防戦一方の時は意識的にコンパクトな守備ブロックをつくって失点を防ぎ、そこからプレスをやり直してボールを奪ったら反撃することで失ったゲームの主導権を取り戻すといったことを、ピッチの中にいる11人の選手たちが自分の頭で考えて、行動に移せるようにならないといけません。プロなんですから。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

            2015.8.2 武漢体育中心

          日本  1 ー 2  北朝鮮

          武藤 3'      リ・ヒョクチョル 78'
                     パク・ヒョンイル 88'



        GK 西川        GK リ・ミョングク

        DF 藤春        DF シム・ヒョンジン
           槙野           チャン・グクチョル
           森重           リ・ヨンチョル
           遠藤           カン・グクチョル

        MF 谷口        MF ロ・ハクス
           山口           リ・チョルミョン
           宇佐美          ホン・グムソン
          (柴崎 55)       (ソ・ギョンジン 83)  
           武藤           ソ・ヒョンウク
           永井          (パク・ヒョンイル 66)
          (浅野 84)
                      FW リ・ヒョクチョル
        FW 川又          (キム・ヨングァン 90+)
          (興梠 72)        チョン・イルグァン



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■あれじゃあ、サッカーにならない

 東アジアカップ(男子)が昨日開幕し、日本代表は北朝鮮に逆転負けを喫しました。

北朝鮮代表の選手は、ほとんどが国内でプレーしています。日本との実力差はホームでもアウエーでも日本が勝てる程度と見ていました。

ただ、主力選手で固めた相手に対し、こちらは海外組を欠いた2軍チーム。それでも現時点における日本サッカーの代表であり、相手の足元の技術や組織力などサッカーの内容を見れば、勝たなければいけない試合でしたが、敗戦という結果は最悪でした。日本の試合内容も相当ひどかったと思います。

        ☆        ☆        ☆

 試合内容をまず攻撃から見ていきます。

 開始3分、速攻から右サイドの遠藤選手がクロスをあげ、武藤選手がダイレクトで合わせて先制ゴールをゲットし、日本の攻撃は幸先の良いスタートを切ったのですが、そのあとがいけません。

前半25分をすぎた辺りから、どういう狙いなのかサッパリわからないロングボールを、タテへひたすら放り込むだけの攻撃になってしまいました。

この、パスが3本とつながらないような単調な攻撃は試合終了まで続き、日本は攻めの形をほとんどつくれずに、ゲームの主導権を失っていきました。

練習をほとんどやっていない急造チームだったせいもあるのでしょうが、選手たちが「タテへパスを早く入れろ」という監督の指示を守りすぎてしまったことが、こうしたことが起こってしまった最大の原因ではないでしょうか。

まじめな日本人に非常に良くみられる失敗の一つですが、監督の指示を何の疑いもなくひたすら繰り返すのではなくて、攻撃が上手くいっていないと感じたら、ピッチの中にいる選手たちで状況を判断して、チーム全体のやり方を修正して欲しいです。

具体的に言えば、この試合のように自分の直前に相手選手が立ちふさがっていて前方の状況が良くわからないのに、ともかくタテへ速いパスを入れるためにロングボールをデタラメに放り込むのではなく、いったんフリーな味方へ横パス等をして、その選手が前方でフリーでパスを受けられる選手にパスをするといったように、「意図を持った攻めの形」というものをつくらなければなりません。

特に攻撃のリーダーとなるべきトップ下が、速く攻める時は攻める、ボールをキープして落ち着けるべき時は落ち着けるといったように、ゴールに結びつく有効な攻めができるように、攻撃面でチームを指揮しなければいけません。

サッカーの最終目的は「速いパスを前へ入れること」ではなくて、「点をとって試合に勝つこと」です。そのためにその瞬間・瞬間にどういう攻撃が有効なのかを自分の頭で考えて正しい判断を下す能力が欠かせません。日本の選手はこうした能力に問題を抱えています。

 攻撃がまったくダメでしたので、あとは虎の子の1点を守り切らないと勝ち点3が取れないような状況に追い込まれてしまったわけですが、後半の20分を過ぎたあたりから日本の守備陣形が間延びをしはじめ、相手がゴール前へあげたロングボールにこちらのバックが競り負けて、同点・逆転ゴールを許してしまいました。

私が、日本のサッカーチームにロングボールを放り込む攻撃をやらせることを嫌う理由の一つは、選手が攻撃のために上下動を繰り返す距離がどうしても長くなり、体力を消耗することで時間が経つごとに自陣へ戻れなくなって、陣形がどんどん間延びしていくからです。

そうなると、ひとりひとりが守るべきスペースがおのずと広くなり、自陣内で一対一に負けると、それが直接失点に結びつくことになります。この試合のように。

本来、ロングボールを放り込む攻撃というのは、サッカーではもっとも原始的で、もっとも単純で、もっとも防御がたやすい攻撃のはずなんですが、一つだけ例外があります。

それは守備側の選手の一対一の能力、対人守備能力が低すぎる場合です。

キックやドリブルといった足元の技術と違い、フィジカルコンタクトの能力というのは本来一番差がつきにくい分野のはずなんですが、Jリーグでやっている選手はこれが世界平均より劣っているために一対一に弱く、相手の単純なロングボール攻撃を有効にさせてしまっています。

だから当研究所では、日本人選手のフィジカルコンタクトの能力強化を一生懸命訴えてきたわけですが、本当に改善されませんね。

日本の各ユース年代が最近アジア予選で敗退を繰り返していますが、フィジカルの弱さがその最大の要因だと思います。

日本人がフィジカルコンタクトに弱いのは、身体能力の問題というよりむしろ、精神的なものの方が大きいんじゃないかと最近考えています。

日本人選手のフィジカルコンタクトへの恐怖感、弱気さ、消極的な姿勢が一対一に弱い最大の原因ではないでしょうか。

実際、ゴール前でのクロスボールへの対応でも、北朝鮮の選手はボールの落下地点が自分から多少離れていても、落下地点に向かって積極的に走りこんでいき、空中戦を競っています。

勢いをつけて走りこむので空中戦に勝つ確率が高まりますし、たとえ勝てなくても相手DFのクリアが不正確になって味方の前へボールがこぼれ、セカンドシュートを狙える可能性が出てきます。

しかし、これは海外組の選手にも言えることですが、日本の選手はボールの落下地点が自分から3m離れただけで、もう「自分の担当じゃないや」とばかりに足を止めて、相手DFがクリアするのを見ているだけなんですね。

そもそも相手と競ろうとしないのですから空中戦に勝てるわけがありませんし、相手が余裕をもって正確にクリアすることを許すので、こぼれ球を拾ったセカンドシュートのチャンスすらありません。

ゴール前の空中戦は、たった一回の勝ち負けが直接ゴールに結びつき、試合の勝ち負けに大きく関わってきます。

相手ゴール前でちょっとクロスがずれたからといって、相手DFがクリアするのをボーっと見ているだけというのは、もったいなさすぎます。

この試合、センターバックがあっけなく空中戦で競り負けて2失点の原因となったわけですが、監督さんのセンターバックの人選にも問題があるように思われました。

この試合の日本代表は、攻守にわたって組織がダメ、個でもダメで、勝てる要素を見出すことが難しい試合でした。

ともかく攻めでパスが3本つながらないというのではサッカーになりません。

 選手個々の評価は次回にします。



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